私的良スレ書庫
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元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」
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ほむら『素直にそのまま言うわ、私に協力してほしい』
一時間目の授業の準備をしている忙しさに紛れ込ますように、ほむらのテレパシーは落ち着いたトーンで届いた。
ペンを親指の根元で4回転。
さやか『何を?聞くだけは聞くけど、見返りは必要よ?』
ほむら『…これから数週間の間だけでもいい、魔女退治で協力関係を築いて欲しいの』
さやか『そういう協力ね』
思い構えていたより、随分と普通な要求だった。
ほむら『手に入ったグリーフシードの分け前は、三分の二はあなたにあげる』
さやか『多いね』
ほむら『それが見返りよ』
私の魔法少女としての強さを見込んでの頼みだろうか?
ほかに何か、裏でもあるのだろうか?
契約にこぎつけるまでに何度も釘は刺されていたから、魔法少女初心者を狙って、という詐欺紛いなことはないだろうけど。
さやか『……わかった、いいよ』
ほむら『成立ね』
さやか『まぁ、ほむらと話せる機会って欲しかったからね』
ほむら『……?』
さやか『まどかも!』
まどか『へ、へっ?』
さやか『まどかもさ、ちょっとほむらと距離を置いてるみたいだし』
まどか『……』
ほむら『私は……彼女を一緒に連れて行くことには、反対だけれど』
互いに、自分のやりたいことを譲ることはない。
やらせないことを強要することもできない。
そうしていくうちに二人がどうにか打ち解けたらいいなと、私は思う。
さやか『でも、マミさんとも一緒になることもあるってのは忘れないでよ?』
ほむら『……彼女が、私を受け入れるとは考えにくいわ』
さやか『そうなの』
ほむら『魔法少女の姿で会うことも難しいかもしれない……』
マミさんも随分……まぁ、キュゥべえにあんなことがあったんじゃ、仕方ないかもしれないけど。
これは、マミさんの方もちょっとなんとかしないと、話がややこしくなりそうだ。
昼休み辺りになんとかしようか。
さやか『わかった、マミさんに相談してみる』
ほむら『……何故そこまで?秘密裏の協定でも構わないのよ』
さやか『堂々とできないことなんてしたくないもん、とにかく話してみる』
ほむら『……そう、わかったわ』
まどか「さやかちゃん……」
さやか「ん?」
テレパシーを介さず、わざわざ私の服の袖を摘んで話しかけてきた。
教室の目立たない位置にそれとなく移動する。
さやか「どうしたの?」
まどか「…」
視線はうろちょろ。ほむらを探しているのは、簡単にわかった。
まどか「……ほむらちゃんと、仲良くね……?」
さやか「ぷっ」
やめてほしい、くらいの事を言われるかと思っていたけど、これはちょっと予想外。思わず少し噴き出してしまった。
まどか「え、え、なんで?」
さやか「い、いやぁ、だってちょっと、なんかそれ人のお母さんみたいじゃん」
まどか「えー、そうかなぁ…なんだかその言い方はやだよ……」
さやか「あっはっは、まぁ、大丈夫だから安心してなって」
まどか「喧嘩はしないでね?」
さやか「わかってるって」
小さなまどかの頭をぽんと叩いて、私は教室を後にした。
問題はほむらにもある。
秘密があるのはわかった。それを教えてくれないのもわかった。
けどなんとなく、害意がないこともわかった。
最大の問題は、そんなほむらに疑いの眼差しでメンチをきってかかるマミさんの方にあったりするわけで。
なんとかやんわり許すくらいにまで、みんなの仲を取り持ちたいところだ。
せっかく魔法少女が集まっているんだから、魔女退治も協力しないと……とは、私の素人考えではないと思いたい。
マミ「あら?」
さやか「どうも、マミさんこんにちはっす」
ガラス張りの向こう側にマミさんを確認すると、ほぼ同時に、マミさんもこちらに気付いた。
見覚えのない生徒が教室の近くに居ると、どうしても目線は行ってしまうものなのだ。
マミ「どうしたの?話は……直接じゃなくても良いのに」
さやか「あはは、まだ挨拶してないですから、直接のが良いじゃないですか」
マミ「ふふ、そうね、そういうの、忘れちゃいけないね」
やっぱり温厚で、感じの良い人だ。
包容力でいえば、この学校一かもしれない。胸とかそういうのも含めて。
さやか「まぁ、ものは相談なんですけど」
マミ「うん」
さやか「同じ魔法少女同士、協力はするべきだと思うんです」
マミ「そうね、もちろん最初から……」
さやか「それはほむらも一緒に、っていうことなんですけど」
マミ「それだと話は変わってくるわね」
温厚な顔つきのまま、話がまかり通るはずもなかった。
言うときは言う。マミさんの堅いブロックだ。
マミ「というよりも美樹さん、あまり暁美さんに近づくべきではないわよ」
さやか「? 何でですか?」
マミ「あの人、まだ鹿目さんには魔法少女にならないようにって、強要しているんですもの」
さやか「うーん……でも、願い事がない限りはむしろ良いんじゃないですか?」
マミ「鹿目さんは自分を変えようと……」
さやか「あはは、まどかは流されやすいんですよねぇ……周りとか環境が変わると、自分もなんとかしなきゃって、焦っちゃうんですよ」
顔を傾げて“そうなの?”という顔をしてみせる。
上級生とは思えない可愛らしさだ。あと一押し。
さやか「まどかには、まぁ、ほむらが何を思っているのであれ、慎重にさせるのが一番だと思いますよ」
マミ「……そうかしら」
さやか「あ、そうだ、それに魔法少女が増えすぎると、グリーフシードの確保も大変なんじゃないですか?」
マミ「…………言われてみれば」
よし、いける。なんとかいける気がする!
私今がんばってるよ!
マミ「……そうね、鹿目さんに勧めるのは時期尚早ね……わかったわ、その点ではね」
よし!
マミ「けれど、暁美さんと組むには、彼女の行動は怪しすぎる」
さやか「んー……」
マミ「キュゥべえを襲ったのは不可解よ、いつ、私たちに何をするかもわからない人を……」
そこを聞かれると私も困る。私だってわからないのだ。
なので、適当にでっちあげることにする。
さやか「キュゥべえを襲ったのはまどかに契約させたくなかったからじゃないですか?」
マミ「……そこまでするの」
さやか「ん、ん、まどかが大切な人なんじゃないですかね」
マミ「……」
まどかに対して少々過保護なところがある……その予感は間違いないかもしれない。
さやか「転校の初日にも、まどかに対して明らかに敵意ってわけでもないような視線を向けていたし……」
――どうして!?さやからしくない!
――どうして貴女は、私が知ってる美樹さやかじゃないの!
――何が貴女をそうさせたの!?
――私のことは、“煤子(すすこ)”と呼んで、美樹さやか
さやか「……まどかの事、昔から知ってたのかも」
乙
英才教育の成果が見えてきたな
それにしても、煤子さん…いったい何むらなんだ…?
英才教育の成果が見えてきたな
それにしても、煤子さん…いったい何むらなんだ…?
映画で小説版のまどかの転入が否定され、
入学からさやかと恭介と幼馴染ということが判明した訳だが…
入学からさやかと恭介と幼馴染ということが判明した訳だが…
肉まんがまともに喋った
デュエマスレでホモネタ書かれた時くらいしか見たことなかったのに
デュエマスレでホモネタ書かれた時くらいしか見たことなかったのに
マミ「昔から知っていた、かぁ……」
ほむらの行動を思い出しているのか、しばらく宙の埃を目で追う。
そこに何かを見つけたように表情は思考を取り戻し、自信ありげな笑みを私に向けた。
マミ「共闘、いいかもね」
さやか「え!」
思わず驚きの声をあげても仕方ない。
さやか「良いんですか、って聞くと“ダメ”って言われた時が怖いから、ありがとうございます!って言わせてもらいます!」
マミ「ふふ、大丈夫、ちゃんと考えがあってのことだから」
さやか「考え……」
マミ「少なくとも美樹さんと私は仲間同士だし、暁美さんが変な動きをするようならすぐに対処できるわ」
さやか「確かに……」
最悪な想像、あらゆる不意打ちにも対処できるほど隙を見せなければだけど…。
ほむらがどんな魔法少女かもわからないし……。
まぁでも、マミさんにほむらをいつでもなんとかできる自信があるのなら良かった。
私は、ほむらは何をしないと信じている。
マミさんの自信に甘えちゃおう。
かくして、私とマミさんとほむらの3人で、見滝原魔法少女連合が結成されたのです。
あ、連合じゃ暴走族っぽいかな。見滝原魔法少女チーム……かな?
表の世界はつつながく回り、裏の世界はべったり張り付いている。
表裏一体、どちらも同じだ。
どちらかがなければ、なんてことはありえない。
自分にとって、今まで馴染みがなくても、表裏があるこの世界こそ真実なのだ。
私は真実を受け入れて愛する。誰だってそうやって進んでいくものじゃない。
さやか「だからまどか、魔女がいなければー、って考えるのは良くないことなわけですよ」
まどか「うーん、そうなのかなぁ……」
さやか「あるものを無いと言うのは、ナンセンス!受け止めがたいことでも、ちゃんと受けとめる胸がないとねー」
まどか「そ、そんな酷い言い方ないよ、あんまりだよ!」
さやか「あっはっは!」
私とまどかは屋上で弁当を食べていた。
魔法少女の話をするためには仕方が無い。二人だけの秘密だ。
QB「きゅぷ、きゅぷっ」
さやか「はいはい、プチトマトをあげような~」
QB「トマト……」
さやか「遠慮するでなぁい」
QB「ちょそんな強引にぎゅぶぶ」
……失礼。
私とまどか、そしてキュゥべえ3人だけの秘密の場所だ。
と落ち着こうとしたところで、屋上の扉は開く。
ほむら「……」
まどか「あ……ほむらちゃん」
さやか「おっす、ほむら!こっちちょっと狭いけど来なよ!」
3人と1匹だけの特別な場所。
ほむらの目つきは未だに疑るような凄みがあるけど、これを解していくのが私の役割だ。
マミさんとほむらのゆるやかな和解。
それにはまず、自称中継役である私自身が、ほむらとの友好を図らなくてはならない!
ほむら「……私はここに居ても大丈夫なの」
さやか「大丈夫なの、って?」
ほむら「巴マミのことよ」
視線はこちらのまま動かさないほむらの意識が、私とは別の方向に向いていることを私は悟った。
ここではない隣の棟を横目で見る。
マミ「……」
そこにはマミさんがいた。
柵に片手をやり、ソウルジェムを持つわけでもなく、ただこちらを見ているようだった。
その表情には自信も不安もない、無表情そのもの。
ただ冷静に、事態の行く末を見つめる人間の目だ。
さやか「大丈夫……まあ、ちょっとはほむらの事を警戒してたりするんだけど……」
ほむら「駄目じゃない」
さやか「ちゃんと話し合ったから大丈夫!いや、本当に!見られるのはそりゃあ、ちょっと気分悪いかもしれないけど、初回サービスってことでどうかひとつ!」
QB「訳がわからないよ、さやか」
マミさんの疑いの目は仕方が無いものの、ひとまず私たちは、魔法少女の仲間として交流することになった。
さやか「はい、あーん」
ほむら「……何よそれ」
まどか「わー、すごい……けどなにこれ?」
さやか「白身と黄身を反転させたゆで卵!今朝作ったんだ」
ほむら「……」
まどか「大きな黄身みたい……」
さやか「あ!やり方は教えらんないんだなーこれが!結構コツいるしねー」
冷めた目で私を見ることも多いけど、ほむらもここにいることを悪く思ってはいないようだ。
サバサバした物言いだけど、コミュニケーションを取ってくれている辺り、ほむらは心底私を鬱陶しく思っているわけではないらしい。
それに……。
ほむら「……まどか、口元」
まどか「え?」
ほむら「みっともないわね」
まどか「あっ」
まどかの口元についた食べかすを、ほむらが母親のように優しく取り上げる。
そう、まどかだ。ほむらはまどかに対してもドライな口調で当たっているが、私よりもどこか、絶対に柔らかいものがあるのだ。
昔にまどかと知り合いだった説。これはひょっとすればひょっとして、有力なものなのかもしれない。
さやか(……これから付き合っていく中で、ほむらの過去も気兼ねなく聞けるようになるかも)
命を賭けて願いを叶えた、魔法少女の過去。そこへは慎重に踏み込まなくてはならない。
私の癖、軽率な発言には気をつけよう……。
マミ「……」
そしてマミさん、そんな妬むような激しい視線を送るくらいなら、こっちきて一緒に食べたらどうですか。
>>333
デブだから
デブだから
>>333
心に結界を張っているから
心に結界を張っているから
>>333
常にドリル携帯してるから
常にドリル携帯してるから
>>333
正義のヒーローとは孤高なる者だから
正義のヒーローとは孤高なる者だから
>>340
あれシナリオ監修虚淵じゃん
あれシナリオ監修虚淵じゃん
>>341
監修っつっても、特におかしい部分以外はお任せしますってスタンスだって言ってたはず。
よく考えてるな、とか、なるほど、なんて感じる部分は多少の矛盾があってもチェックが入ってないと思う。
細かいチェックが入ってたら、あんな矛盾が多い状態での発売はなかっただろう?
監修っつっても、特におかしい部分以外はお任せしますってスタンスだって言ってたはず。
よく考えてるな、とか、なるほど、なんて感じる部分は多少の矛盾があってもチェックが入ってないと思う。
細かいチェックが入ってたら、あんな矛盾が多い状態での発売はなかっただろう?
>>342
ワルプルまでの一ヶ月間内に矛盾が出るのはゲーム上仕方ないとして、前日譚に矛盾らしい矛盾なんざあったか?
ワルプルまでの一ヶ月間内に矛盾が出るのはゲーム上仕方ないとして、前日譚に矛盾らしい矛盾なんざあったか?
バイオリニストがギタリストだったりとかもあるし、平行世界だから何でもありっちゃあり
白身と黄身の反転してるのって返し玉子だっけ?
すげえ難しいって聞いたんだが…
すげえ難しいって聞いたんだが…
食事はまどかが緊張気味だったけれど、後から雰囲気もほぐれてきた……気がした。
ほむらの口数は少なかったけれど、時折見せるまどかを気にする風な仕草は母性的だった。
ベンチ下のキュゥべえが近くに来るたびに足蹴にしようと座り方をわざとらしく変えていたけれど、よほど嫌いなんだろうな。
まぁ、今日はマミさんには気付かれていないようで良かった。
けど見守る私の心臓に悪いので、次からはやめてほしい……。
QB「ありがとうさやか、これで暁美ほむらも、大人しくなってくれればいいんだけど」
さやか「いやいや、あれ以上大人しくなられても困るのよー」
まどかとも別れた私は、帰路でキュゥべえと一緒に帰っている。
返ったら荷物を置いてから、すぐに魔女退治へ乗り出すつもりだ。
マミさんとほむらとも連絡は通してあるので、遅れるわけにはいかない。
まどかはマミさんと一緒に来るそうだ。まぁ確かに、マミさんの部屋に荷物を預けてからの方が、楽ではあるかな。
けれど私までマミさんと一緒に行動してしまったら、ほむらを派閥の外に置いているような構図になってしまう。
となると、ほむらばかりではない、内輪にいる私達でさえも、3対1の“壁”を作ってしまうかもしれない。
私もソロ帰宅することは、わりと重要だったりするわけです。
さやか「はーあ、人間関係で悩むなんて、ほんと久しぶりだわ」
夕焼けになりかかった空を見上げる。
精神的にちょっと疲れる。けど、どこか楽しい。
さやか「ふふ、今日もがんばろっと」
鉄塔に重なりかかった太陽をちらりと見て、私は急ぎ足で自宅を目指した。
鉄塔の上で魔法少女が街を見下ろす。
オレンジの太陽を背に、翳りつつある見滝原。
その街には、かつて自分と一緒にチームを組もうとしていた巴マミがいる。
二度とはここへ現れないつもりでいた彼女だが、どうしても気になることがあった。
「昨晩はずっと探していたが、やっぱり魔女でも使い魔でもねぇ……」
リンゴの芯を吹き捨てる。くるくる回る芯は、鉄塔の真下で見えなくなった。
「てなると、有り得るのは魔法少女だけだ」
首元のアンクに口づけ、犬歯を見せ付けるように笑う。
「さあ、どんなつえー奴がいるのか、お手並み拝見といこうかね」
シスターのヴェールをはためかせ、魔法少女は鉄塔を飛び降りた。
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