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元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」
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冗談めかしつつ話す中で、恭介とほむらが何を話していたのかも、自然と浮き上がってきた。
恭介「ごめんね、当人がいないところで、あんまり込み入ったことを話すものじゃなかったよ」
さやか「ううん、やましいことないし、全然へーきよ」
煤子さんについての話が上がるのも当然の事だろう。
ほかならぬ私が、恭介に「ほむらは煤子さんに似てる!めっちゃ似てる!」って言ったわけだし。
さやか「あ、恭介にこれをプレゼント」
恭介「え?……おー、新しいCD?」
さやか「管楽器中心のね、恭介にもそこまで馴染みあるってジャンルではないと思うよ」
恭介「……うん、そうだね、これはあまり、未開拓ってやつかな」
さやか「入門っぽいやつを買ってきたから、それでしっかり耳を鍛えるがいい」
恭介「ふふ、ありがとう」
さやか「良いって良いって」
そんなこんな、恭介と駄弁ったのであった。
まどか「あ、さやかちゃん!」
さやか「おーっす、まどかぁー」
待ち合わせの高架下には、まどかの姿があった。
約束の時間の二十分前、まだほむらやマミさんの姿は見えない。
さやか「一緒に誘われてるだろうなぁとは思ってたけど、早いねえ」
まどか「えへへ……遅れちゃいけないかなあって」
魔法少女に対してはまだ悩むこともあるんだろう。
杏子の一件もあって乗り気は随分と殺がれている様子ではあるが、まだまだ選択肢から外れてはいないようだ。
さやか「あ、まどか」
まどか「うん?」
さやか「メール、誰から来た?」
まどか「え、っと、マミさんとほむらちゃ……あっ」
さやか「あ、やっぱり思った!?」
まどか「う、うんうん!すごい意外だなって!」
さやか「だよねー!」
その後、約束の時間になるまでの話には事欠かなかった。
マミ「あら」
QB「おや」
ほむら「!」
二人は約束の場所へと続く道で偶然出会った。
マミ「一緒に行きましょうか」
ほむら「……ええ」
ぎこちなくなりそうだと内心地雷を踏んだつもりでいたほむらだったが、マミの意外な積極性に追従することにした。
肩に乗った白い宇宙人が目障りだが、それ以上に今は、先を歩く巴マミの姿を懐かしく思う。
そして思い出すのは、彼女は先輩であり、先輩であろうとする人物だということだった。
マミ「暁美さんも銃を使うのね?」
ほむら「え?ええ、まあ」
QB「そういえば使ってたね」
ほむら(あなたにね)
マミ「でも見た感じでは、暁美さんの使っているものは実銃なのかしら?」
ほむら「ええ……」
あまり根掘り葉掘り聞かれると、肩の上の邪魔者にいらぬ情報を渡すことになってしまう。
曖昧に受け答えしたいものだ。
マミ「変な意味じゃないけど、実銃の弾と私の魔法で出した銃の弾って、どっちの方が強力なのかしら」
ほむら「……どっちかしら、弾の性質が違うから、精度や貫通力、色々なところで得手不得手はありそうね」
変な方向へと飛んでいったが、自分の魔法の話からは路線が逸れたようなので一安心である。
これから目的地へ到着するまでの数分間、しばらく魔法と実銃についての高度な談話が繰り広げられるのであった。
マミさんとほむらは一緒にやってきた。
先頭をマミさんが歩いていたところを見るに、二人きりでもほむらに背中を見せる余裕はあるらしい。
もう二人に距離について気にすることはないかもしれない。
マミ「早速これから、魔女退治に行こうと思うんだけど……」
まどか「何かあるんですか?」
ほむら「ええ」
魔女退治の他にやる事?
マミ「これからちょっと、魔法の弾と実際の弾を比較する実験をやろうかと思うのよ」
さやか「はあ、実験ですか」
ほむら「来る途中で、魔法の弾の実弾の違いについて話していたの、その流れよ」
さやか「ふーん、でもなんか、面白そう」
まどか「ほむらちゃんが使っているのは、本物の鉄砲なんだね?」
ほむら「……ええ」
モニターの魔女の結界の中でほむらが使っていたものは、魔法による生成物ではないのか。
ふむ、なるほど。
ほむら「けど、変わったところに興味を持つのね」
マミ「これからの魔女との戦いで役に立つかもしれないでしょ?」
ほむら「……確かにそうね」
誰も渋らなかったし、何より面白いなと思ったので、実験はすぐ始まることになった。
さやか「おー」
マミ「これが私の使っているマスケット銃」
まどか「綺麗……」
魔法少女に変身したマミさんが四十センチ程度のリボンを出現させると、それはすぐにマスケット銃に変化した。
白い本体には金色のレリーフが施され、あとはえっと、魔法だからよくわからない。
撃鉄部分はエメラルドのような宝石がついていて、それらが叩き合わされることによって、一発が発射される仕組みらしい。
マミ「一発しか出ないけれど、威力はあるわ……狙いも付けやすいし、使い魔なら一撃よ」
QB「銃をモチーフにした魔法で戦う魔法少女は結構いるんだけど、その中でもマミは特に高い技術を持っているよ」
マミ「ふふ、下調べとかしたからね」
さやか「下調べとかして、魔法を作るんですか」
マミ「イメージが大事だからね。私は専門家じゃないから銃に詳しくはないけど、銃を使ってみたかったから、ちょっとだけ調べてみたの」
さやか「へぇー……」
私もイメージすれば、新しい武器とか手に入れられるんだろうか。
まどか「えっと、ほむらちゃんの鉄砲は……」
ほむら「これよ」
魔法少女に変身したほむらは何の音沙汰もなく、一メートル以上の大きなライフルを抱えていた。
QB「どうやって出したんだい?」
ほむら「魔法よ」
QB「それは解るのだが……」
まともに受け答えするはずがないの、無駄だってわかってるくせに。
まどか「音とか、大丈夫なんですか」
マミ「ある程度の音は結界の応用で抑えてあるから、気兼ねなくできるよ」
丁度良くあったドラム缶を横倒しにして、その上に二つの銃が固定される。
リボンでしっかり固定された銃の引き金にもリボンがかけられ、銃口の先にはおしるこ缶と、ココア缶が据えられている。
更にその後ろにはコンクリートブロックが何枚か立てられ、威力も測ることができるようになっている。
じゃあ缶いらないじゃんって思うかもしれないけど、それは雰囲気作りだ。特に誰も反対はしなかったから問題なし。
ちなみに缶は二つともほむらが用意したものです。
さやか「なんだかわくわくしますね、どうなるんだろ」
QB「僕としてもマミの銃と現代の銃の違いを観るのは興味深いよ」
さやか「速さとか威力とかに違いが出るのかな」
QB「観てのお楽しみだね」
キュゥべえを頭の上に乗せつつ、開始を待つ。
マミ「それじゃあ同時にトリガーを引くわよ」
ほむら「ええ」
まどか「わー……」
固唾を呑む静寂の中、くい、とリボンが引っ張られた。
マスケットの抜けるように静かな音と、ライフルの弾けるような爆音が同時に響き、橋にぶつかって木霊した。
コンクリートブロックが灰色の煙を引き、結果が表れる。
マミ「……缶は、二つとも木っ端微塵ね」
実弾は缶に大穴を開けて本体を潰し、魔弾はどういう原理か、缶を粉々にしてみせた。
QB「なるほど、どちらも威力はあるね」
ほむら「性質はやはり、違うわね」
マミさんのマスケット銃は缶の後ろのコンクリートブロックに円形の破壊痕を残した。
ほむらの実弾はそれよりももうちょっと荒っぽく、コンクリートの上半分を根こそぎ砕いていった感じだ。
さやか「マミさんの弾は綺麗にコンクリートを壊しましたね」
マミ「そうね、普通ならこうはならないんでしょうけど……」
QB「実弾とは、衝突の際のエネルギーの加わり方に違いがあるみたいだ」
まどか「でも、どっちもちゃんと後ろのブロックを壊したんだね」
コンクリートに近づき、両方を間近で観察してみる。
さやか「お?」
すると、マミさんの弾による痕跡は面白いものだった
さやか「ブロック、丸く抉れてる所がちゃんと螺旋状になってる」
まどか「あ、本当だ」
マミ「ちゃんと魔力の弾が回転してる証ね」
さやか「……」
螺旋を描く痕跡を指でなぞる。熱くはない。
この傷跡を見るに、回転しながら射出された魔法の弾が、コンクリートに直撃してもまだ、その回転を維持していることがわかる。
コンクリートに衝突して魔弾が潰れ、マッシュルームのように先端を押しつぶされ、径が広がり、ブロックを両断するほど大きな穴になった。
が、弾が潰れて薄く広がっても、威力は減衰しなかった。
魔弾は回転力を衰えさせることなく、破壊のエネルギーを収束させたままにコンクリートを捻り、抉り抜いた。
破壊のエネルギーは拡散しなかった。コンクリートに無駄な破壊の帯を残すことなく、美しい傷跡だけを残したのだ。
これは実弾では再現しようのない、神秘の力だろう。
さやか(魔法の力は、周りの環境には左右され難いってことなのかな)
それだけ強いエネルギーであるとも言い換えられる。
だから私のサーベルの切れ味も、ただの刃物と思ってはいけないんだろう。
現存する史上最高の名刀なんかよりも、遥かに切れ味があるに違いない……。
マミ「なるほど、やっぱり実際の銃とは違うんだ……うん……」
口元に手を当てながら、マミさんは何事かを考えているようだ。
結果から何か、得るものでもあったのかもしれない。
ほむら「何か気になることでもあったの?」
ほむらはマミさんの様子を見て、素直に訊ねた。
マミ「え?あ、ああ、そうね……ええ」
マミさんは上の空で考えていたようだが、訊ねられたほむらの言葉の残響に反応した。
マミ「私の魔丸って、回転の力が想像していたよりも強いみたい……ちょっと参考になったわ」
ほむら「? そう」
自分のイメージよりも強く回転してる。
これはマミさんのイメージが、実際の自分の魔法に追いついてないって事かな?
これはマミさんのイメージが、実際の自分の魔法に追いついてないって事かな?
待たせちゃってごめんなさい、早速行きましょう、という事で、私達の足はようやく魔女の結界を目指す運びとなった。
先頭をマミさんとほむら、後ろには私とまどかがついている。
ほむらがソウルジェムの光を見ながら先導し、他が追従する形だ。
マミさん以上に魔女の捜索が得意なのだから当然なんだけど、マミさんは前を歩いている割に手持ち無沙汰であることに落ち着きがない様子である。
魔女の気配を探しながら歩く横のほむらに何度も話しかけるわけにもいかなくなったか、マミさんは私達に話を振るようになった。
マミ「魔女の手下が使い魔なんだけど、使い魔が完全に魔女の支配下にあるわけではないのよ」
さやか「へえ、そうなんですか!」
まどか「今まで見てきたのはみんな、かなり、えっと……その……チームワークが良かったように、見えたんですけど」
しかしその話が結構役に立りそうだ。
マミ「そう、チームワークは抜群にいいの……けど、それぞれがオートマチックに動く人形かといえば、そういうわけじゃないの」
ほむら「使い魔もそれぞれ、意思を持っているわ」
前を向いたままのほむらが引き継いだ。
ほむら「状況に応じて攻撃したり、防御したりもするから……完全に魔女の手足の一部、とは思わないほうが良い」
マミ「ええ、逆にそれを利用して、使い魔と魔女で同士討ち、なんてこともできるわよ」
さやか「マジっすか」
やっぱり魔法少女の先輩達は良く知っている。
QB「そう、だからこそ使い魔は、大元の魔女無しにでも行動し、人を襲うんだ」
まどか「……使い魔も、魔女になるんだっけ」
QB「うん、なるよ。元と同じ魔女か、別のものになる場合もあるけどね」
さやか「……」
食物連鎖だ。人を食って、使い魔は魔女になる。魔女が落とすグリーフシードを魔法少女が食う。
じゃあ魔法少女は何者が食うのだろうか?
まさか一巡してバクテリアじゃあるまい。
>>670
そんなハズはないが、凄く懐かしい響きだ。
そんなハズはないが、凄く懐かしい響きだ。
魔法少女が平均してどのくらいの時間をかけて魔女を探すのかは知らないけど、それでも早く見つかったほうだと思う。
ほむらはちょっと遠回りはしたけれど、かなりスムーズに目的地にたどり着いた。
寂れて半分以上のシャッターが下りた商店街の路地裏、その最奥部のゴミ溜めである。
まどか「こんなところにもあるんだ……」
不法投棄された旧式の冷蔵庫のうちの一つに浮かんだ結界の文様から、まどかは一歩引いた。
マミ「暁美さん、魔女を見つけるのが上手いわね」
ほむら「慣れてるから」
QB「どのくらい魔法少女として活動しているんだい?」
ほむら「早く行きましょう、周囲の人々を巻き込まないうちに」
キュゥべえの言葉を遮るようにして、ほむらは先に結界へと飛び込んでいった。
マミ「それもそうね、早く片付けてしまいましょうか?」
さやか「はい。……まどか、入るよ?」
まどか「うん」
さやか「ちゃんと捕まってないと落ちちゃうぞー」
まどか「ほ、本当に怖いんだよ?さやかちゃん」
さやか「へへ、ごめんごめん」
私は彼女の柔らかな手を握って、一緒に結界へと飛び込んでいった。
家電売り場のように煌々と明るい場所へ出た。
さやか「下がってて」
まどか「う、うん」
まどかを私のマントよりも後ろへ隠し、サーベルを握って周囲を見る。
あるもの。冷蔵庫、テレビ、扇風機、エアコン、プリンター、照明器具。
魔女や使い魔らしき姿は見えない。
目の前にほむらがいるだけ。
ほむら「警戒しなくても、近くにはいないわ」
さやか「自分で確認したかったからさ」
まどかにオーケーサインを出すと、可愛らしく胸を撫で下ろした。
マミ「待たせてごめんなさい、行きましょ」
ほむら「ええ、私が先を歩くから、ついてきて」
マミ「あら、私も一緒に並んでも良いかしら?」
ほむら「……良いけど、前衛は危険じゃないかしら」
さやか「そうですよー、私が前出ますよ?」
マミ「んー、いつもより奥まった戦い方だけど、確かにそうね、後ろにいるわ」
『ぶぅううぅううん』
マミ「!」
コミカルな羽音が進行方向から聞こえてきた。
直後に姿も顕となり、私達の間に緊張が走る。
さやか「使い魔だね」
羽根はトンボ、本体はやけにモッサモサした蛾のような異形の生物。総評、気持ち悪い。
マミ「気をつけて、後ろからも沢山来るわよ」
さやか「ええ、わかっています」
カトンボならぬガトンボは群れで登場し、狭い通路いっぱいに広がって突撃を行ってくる。
このままではあと数秒のうちに私達に衝突して、鱗粉まみれにされてしまうだろう。それだけは避けなくてはならない。
片手に持ったサーベルと、更にもう一本を生み出して、二本を両手の中でまとめ上げる。
少々重いけど威力は抜群、大剣アンデルセンの完成だ。
さやか「結構控えめの……“フェルマータ”!」
通路に溢れる青い流れが使い魔を洗いざらい葬っていくのを見て、私は思う。
やっぱり昨日の杏子との戦い、そのまま続けていれば私が勝ってた!
マミさんが来てくれたから、ちょっと向こう寄りな判定のドローな感じになってたけど……狭い通路を満たして流れるフェルマータを、避けられるはずがないのだ。
向こうもそれには気付いていたはずだ。
さやか(でも、私が最後にフェルマータを撃とうとしたあの時……杏子も、何か……)
マミ「暁美さん?行くわよ?」
まどか「さやかちゃん?」
さやか「んあ?」
いつの間にか、剣を振り下ろした私の前を三人が歩いていた。
ほむらは残念なものを見るような眼で私を流し目で見て、さっさと先を歩いてしまう。
ちょっと考え事をしている間に、通路の使い魔の掃除が終わっていたようだ。
さやか「ちょ、ちょっと待ってよー」
……また杏子との戦いを考えてしまった。
別の事を考えよう、別の事を。
私はこれから、見滝原を……さらにはもうちょっと広い範囲を守っていくんだから。
結界を進んでいくに連れて広間が目立つようになり、遣い魔たちの動きも三次元的になってきた。
フェルマータや適当な射撃では対処できない……かと思いきや、マミさんとほむらの二人は当然のように使い魔達を打ち落としてゆく。
私はといえば、素早く接近して斬るのみ。力を入れてやってるつもりだけど、飛び道具には敵わない。私が3匹倒す間に、二人は5匹を退治してしまう。
射線に出ると迷惑もかかりそうなので激しくは動けないし、前衛ってのは想像以上に、なかなか怖い役柄だ。
さやか(それにしても凄いなぁ……)
自分の周りに使い魔がいなくなったのを見計らって、ちらりとマミさんの戦況を伺う。
マミ「“レガーレ”……」
『ぶぅううん!?』
『ブゥウン!ぶぅぅうぅうん!』
黄色いリボンが使い魔の死角から伸び、一気に4匹のガトンボを拘束してしまった。
良心の呵責さえなければ、動けない的ほど当てやすいものもないだろう。
マミ「“……”……えい!」
マスケット中が光弾を撃ち放つ。一発だけでも威力は高いし、容易く4体の使い魔をまとめて始末するだろう。
さやか(ん?)
けれど、そこから先に起こった現象は、マミさんの戦い方を何度か見ている私には目新しいものだった。
弾を撃ったマスケット銃が、突如にリボンの姿へと戻り、ひゅるりろマミさんの手の中から零れ落ちたのだ。
さやか(何でだろう、いつもは撃ったら撃ちっぱなしだったのに)
そうこうしている間に、この広間も制圧完了。
過保護にまどかの周りをガードするほむらが最後に周囲を確認し、私達は再び歩を進めた。
>>681
にくまん…なのか?
にくまん…なのか?
使い魔との戦いにも一区切りがついたところで、まどかはおずおずと話しかけた。
まどか「ほむらちゃんって、鉄砲を使ってるけど……それって魔法で作ったものじゃないんでしょ?」
ほむら「そうよ」
まどか「じゃあほむらちゃんの魔法って、何なのかなって…」
ほむら「……あ、ごめんね、変な事聞いちゃった」
気になる気持ちはよくわかる。私だって気になるもの。
ただ、まだ誰にも……私にもマミさんにも教えていない辺り、とても重要な事に違いない。
私への隠し事の本質というべきか……。
マミ「あ、」
使えるようになる魔法は自分の願い事に関係するものだから……。
マミ「この先で、」
ほむらがうやむやにして隠す自身の魔法も当然、願い事に関わっている。
マミ「魔女の気配がするわ」
キュゥべえはほむらを知らない、私もほむらを知らない、まどかもほむらを知らない、恭介もほむらを知らない、杏子もほむらを知らない、マミさんもほむらを知らない。
ほむらは私を知っていた、恭介を知っていた、まどかを知っていた、キュゥべえを知っていた、杏子を知っている風だった。
ほむらは……知っている。
けれど。ほむらは。
煤子さんだけは知らない。
マミ「美樹さん、大丈夫?」
さやか「え?あ、はい」
魔女が近いらしい。気を引き締めていかないと。
>ほむら「……あ、ごめんね、変な事聞いちゃった」
・・・まどかだよな?
・・・まどかだよな?
人がギリギリ這っても通り抜けられないくらいの間隔で組まれた鉄格子に囲まれている。
広い空間は入り口以外は全てが鉄格子で封鎖されていて……。
――ガシャンッ
まどか「わ!」
……全て封鎖されている。
まるで牢獄のような部屋だけど、人間にとっては広すぎて、監禁というよりは軟禁に近いかもしれない。
マミ「……あまりこういうことって考えないんだけど、気持ち悪い魔女だわ」
まどか「私もダメ……」
ほむら「……」
さやか「ほむらは?」
ほむら「あなたはどうなのよ」
さやか「結構平気、よく集めてたし」
ほむら「……この中で一番苦手な自信はあるわ」
私以外の三人が全て顔を顰めるその先には、巨大なヤゴらしき生き物がいた。
大きすぎて虫というよりもドラゴンみたいだ。
といっても、三人にはただの気持ち悪い虫にしか見えないのだろう。
魔女「ビィイイイイィイイ!」
魔女が鼓膜によく響く声で鳴き、未発達な翼を広げた。
◆羽化の魔女・ジョゼフィーヌ◆
マミ「鹿目さん、ここから動かないでね」
まどか「みんな、気をつけて!」
さやか「任せなさーい!」
マミさんの展開する虹色バリアーがまどかを覆ったのを見届けて、ひとまずは安心。
そして以前にマミさんに見せてもらった、蝶の翅をもった魔女との戦いを思い出す。
魔女は当然のように飛ぶ。
どう考えてもそれじゃあ飛べないだろ!っていう翼やなんかでも、簡単にふわりと浮いてみせる。
だからこの魔女も、見た目はヤゴだが飛ぶかもしれない。
ヤゴだし中からトンボが出てくるかもしれない。
飛ぶ可能性は高い。
さやか「みんな、あの魔女飛ぶかもしれないよ」
マミ「うわ……」
ほむら「私の中では四番目に最悪の魔女だわ」
さやか「いや……なんていうかそういうリアクションじゃないなぁ、私が求めてたのって」
やはり戦い以上にビジュアル面が気になる様子だ。
ほむら「飛んで近づいてくる前に、さっさと全部撃ち落してしまいましょう」
マミ「賛成ね、飛び道具で良かったわ」
さやか「……じゃあ前いってきまーす……張り切りすぎて私を撃たないでほしいな」
マミ「ふふ、頑張るわ」
いつも以上の高火力射撃の予感を背中に受け、私は巨大ヤゴへ走り出した。
戦いの始まりだ。
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