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元スレ村娘「勇者様ですよね!」勇者?「……違うが」
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村娘「お願いします、助けて下さい!!」
勇者?「……」スタスタ
村娘「麓の村が襲われてるんです! 早くしないと……っ」
勇者?「わざわざご苦労だな、こんな山の中まで」
村娘「勇者様! お願いです!」ガシッ
勇者?「そもそも俺は勇者じゃない」
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村娘「え……でも、村長は勇者って」
勇者?「年寄りの勘違いだろうな」
村娘「……じゃあ、『水浴びしていた女の子達を魔物から助けた』という話も?」
勇者?「6年は前の話だな」
村娘「勇者様ですよね!」
勇者?「……違うが」
勇者?「悪いが帰れ、今はそんな気分になれないんだ」スタスタ
村娘「……何でもします」
勇者?「なら帰れ」ザッ
< トントントントン
村娘「……」
勇者?「…」
村娘「何を作ってるんですか……」
勇者?「墓標だ」ザクッ
村娘「お墓……誰か亡くなったんですか」
勇者?「昨夜息を引き取ったんだ」
村娘「そのせいで、助けてくれないんですか」
勇者?「そうだ」
村娘「………帰りません」
勇者?「……」
勇者?「ほら」スッ
村娘「?」
勇者?「水だ、ここまで歩いて疲れたんだろ」
村娘「……走って来ました」ごくっ
勇者?「どの位だ」
村娘「………昨日のお昼から」
勇者?「悪いがやっぱり諦めろ」
勇者?「今の言葉で大体分かった、村に帰れ」
村娘「どっ、どうしてですか!?」
勇者?「半日以上かかる距離な上に今から行っても2日は経つ、となれば村はもう放棄されたか死んでる」
勇者?「『無駄』なんだよ」
村娘「……~~!」
勇者?「怒りたければ怒れば良い、帰れ」
・・・朝
勇者?「……」ガチャ
村娘「…zzZ」
勇者?(まだいたのか)
くいっ
勇者?(足の靭帯がおかしいな、帰れないのか)
勇者?(切れてはない、となれば3日で歩けるな)
村娘「……ぅん……? ここっ」ばさっ
勇者?「よく寝てたな、もう日暮れだ」
村娘「……勇者様」
勇者?「違うと言ってるのにな、ほらカレーだ」
村娘「? ドロドロしてる」
勇者?「甘口にはしてる、食べろ」
村娘「ご馳走様でした、美味しかったです」
勇者?「なら寝ろ、少しでも早く足を治して帰れ」
村娘「待って下さい」
勇者?「なんだ」
村娘「……治してからなら、一緒に来てくれますか」
勇者?「考えてはおこう」
・・・深夜
村娘「……」
< 「………、……っ」
村娘(?)ムクッ
村娘(……声が聞こえる)
< 「……ぁ、あっ…あ……んぁ!」
村娘「~!?」ビクッ
村娘(……)
村娘(ちょ、ちょっとだけ覗くなら……)ギィ
< 「……今、あの娘起きたみたいよ」
< 「なに?」
村娘(!!)バサッ
村娘(~~っ)がたがた
< ガチャ
村娘(…)
< ひた…ひた……
村娘(…………)
< すっ
< なでなで
< 「……問題ない」
村娘(………)
・・・朝
勇者?「……跳んでみろ」
村娘「…」ぴょこ
勇者?「2日で治ったか、良かったな」
村娘「……」
勇者?「なんだ」
村娘「いえ、ご結婚されてたんですか」
勇者?「独り身だ、山で狩りしながら暮らしてるだけのな」
勇者?「何故そんな事を聞いた」
村娘「いえ、何でもないです……」
勇者?「……」スタスタ
< ガチャッ
村娘(勇者様……と、誰かいたような気がしたのに)
村娘「って、勇者様! 私の村は!?」
勇者?「その容器に入れろ」コトッ
村娘「え? あの、これって」
勇者?「ナイフは消毒してある」
村娘「……どうしろと」
勇者?「『血』を採れ、死なない程度にな」
村娘「!?」
村娘「っ……これで良いですか」
勇者?「………」
村娘(やくそうがあるから良かったけど、頭がクラクラする)
勇者?「麓の村まで行く、ついて来い」
村娘「本当ですか! ありがとうございます!」
勇者?「言っとくが、丸3日経ってる以上ある程度の事は覚悟しろ」
村娘「……はい」
勇者?「仮に、魔物が村にまだいたとしても俺は戦わないからな」
村娘「え……」
勇者?「見つかれば死ぬ、そう考えてろ」
村娘「でも、勇者様なら勝てるんじゃ…!」
勇者?「勇者じゃないから戦わないと気づけ」
< ザッザッ・・・
勇者?「この滝の下に村があるんだったな」
村娘「はい、滝の内部にある洞窟と山道を経由して降ります」
勇者?「時間がかかり過ぎる、エレベーターでも作ったらどうなんだ」
村娘「えれ……べーた?」
勇者?「……何でもない、とにかくこの滝を一気に降りるぞ」
村娘「ちょちょちょちょっ!!? 勇者様やめて降ろしてぇ!!」
勇者?「暴れるな」
村娘「無茶です!! たかすぎます!!」
勇者?「黙ってろ、舌を噛むぞ」バッ
村娘「きゃぁあああーーー!!?」
勇者?「少しは静かに出来ないのか」
村娘「~~~!!」
勇者?「……」
< シュルッ
勇者?「着地するから掴まってろ」スッ
< ピタッ
村娘「……止まった」
勇者?「動くなよ、落ちたくないならな」スタスタ
村娘(空中を歩いてる!?)びくっ
< グラッ
勇者?「動くな」
村娘「は……はぃ」
勇者?「着いたぞ、離れろ」ぱっ
村娘「きゃっ」ドサッ
勇者?「静かにしろ」
村娘「~! いくらなんでも…むがっ?」
勇者?「……来い」バッ
村娘「むー! むー!?」
勇者?「………」ガサッ
サキュバスA「それでね、さっきなんかまた1人私のテクニックで死んじゃって……」
サキュバスB「下手なのよ貴女、人間は興奮し過ぎると死んじゃうのよ?」
サキュバスC「んー、またお腹空いたからしてこよーかなー」
サキュバスB「貴女もいい加減やめなさいよ……まだ複数の人間に犯されるのが好きなの?」
サキュバスC「うっさいなー、久しぶりの男なんだもん」
勇者?「……魔物とは聞いていたが、サキュバス?」
村娘「はい」
勇者?「殆ど無害な相手だろう、男を1人ずつ相手にしてやれ」
村娘「な、何言ってるんですか? サキュバスは男性の精だけじゃなく命も奪うんですよ!」
勇者?「………」
勇者?「……とにかく暫く様子を見る」
村娘「!」
< ガサッ
サキュバスB「?」
サキュバスC「どーかしたー?」
サキュバスB「何でもないわ」
サキュバスB「じゃあ私は少し寝るから、貴女達は楽しんで来なさい」
サキュバスA「私も!? いや、まあ……確かに小腹が空いたかも」
サキュバスC「よーし! ヤリますかー♪」バッ
サキュバスB(やれやれ……どの若いサキュバスもプライドがないわね)
ファサァッ!
サキュバスB(まあ仕方ないかもしれないわ……本当に久しぶりだものね)ヒュバッ
サキュバスB「……」
< バサッバサッ
サキュバスB(よくこんな辺境に村があったわね、奇跡とも思えるわ)
< スタッ
淫魔兵「お帰りなさいませ」
サキュバスB「ご苦労」
淫魔兵「先程、再び暴れ出した人間の雌を何人か処刑しました」
サキュバスB「そう」スタスタ
サキュバスB(面倒くさい女達……男達は満足してるのにね)
村娘「そんな……女の人達が殺され…?」
勇者?「あくまで一部だとは思うが」
村娘「勇者様! もうのんびり見てる場合じゃないですよ!?」
勇者?「……」ガサッ
村娘「あっ……」
淫魔兵「ん? 何だ貴様、小屋に戻れ!」チャキ
勇者?「武装はしていても『淫魔』クラスのサキュバスか、その程度でよく粋がるな」
淫魔兵「……!」
淫魔兵「下がれ、斬り裂かれたいのか!」
勇者?「下がるのはお前だ、『最下級位』で太刀打ち出来ない時点でさっきのサキュバスを呼んだ方が賢明だぞ?」
シャキン!
淫魔兵「……黙れ人間風情が」
勇者?「……」シュルッ
勇者?「最後に警告するぞ? 下がれ淫魔」
淫魔兵「殺す……!!」
< ギチッ
淫魔兵「!?」ピタッ
勇者?「……しばらくそこで喚いてるしかないぞ?」
淫魔兵「馬鹿な、魔法障壁すら発動する間もなくこの私が封殺されるなんて……!」
勇者?「材質は『ミスリル銀』、付加した属性は『処女の血』による対淫魔属性だ」
勇者?「『 ワイヤー 』なんて代物は初めて見たろう、使い方さえ上手くすれば淫魔クラスは生け捕り出来る」
淫魔兵「くっ、敵襲だ! 誰か来てくれー!」
勇者?『お前はそこにいろ』パクパク
村娘(凄い……流石は勇者様ですね、分かりました!)こくっ
勇者?(……『あいつ』が死んでから面倒な事ばかりだな全く)
< スタスタ
勇者?(ああ、面倒だ)
サキュバスB「何事?」
淫魔兵B「敵襲のようです! 相手は1人ですが、妙な力で淫魔兵が次々と戦闘不能に…」
サキュバスB「私が出ます、貴女達は他の『夜魔』クラスのサキュバスを呼んで下さい」
淫魔兵B「はっ!」
サキュバスB(…『淫魔』クラスとはいえサキュバス相手を軽く戦闘不能? 何者なのかしら)
勇者?(……来たか)
サキュバスB「貴方が侵入者ね、何者なのかしら?」
勇者?「何者かは関係ないな、俺は今現在この村に来ている中で最も賢いお前と話したかった」
サキュバスB「……」
サキュバスB(武器は無し、防具らしい防具も無し……)
サキュバスB(………)
勇者?「なぜ、お前達サキュバスがこんな村にいる? 『城』で何かあったのか」
サキュバスB「!!」
サキュバスB「……貴方、何者なの……ただの人間が知ってる筈ないわ」
勇者?「答えろ」
サキュバスB「貴方こそ答えなさい、どこまで知っているの? 『戦争』は知っているの?」
勇者?「………」
勇者?「戦争が起きているのか、何と戦っているんだ」
サキュバスB「人間に私達魔族が戦争を仕掛けたのよ、もう50年は前になるわ」
勇者?(…なるほど)
サキュバスB「戦いは最初のうちは魔族が優勢で、私達も『城』で安全に暮らしてたわ」
サキュバスB「……でもね、ある時魔族が急に弱くなったの」
勇者?「……」
サキュバスB「知ってるかしら? 今サキュバスを孕ませる事が出来る『インキュバス』が1人しかいないのよ」
勇者?「まさかそのインキュバスしかいないせいで魔族の数が激減してるのか」
サキュバスB「ええ、しかもそのインキュバスが『魔王』としか性交しないから……」
勇者?「魔王……か、となると減る一方みたいだな」
サキュバスB「……何でも知ってるのね、貴方」
勇者?「いいや知らないな、お前達がここにいる理由はなんだ」
サキュバスA「あ! いたよ!!」
サキュバスC「人間だ!」バサッ
勇者?「……あの2人も見たところ戦士ではないみたいだしな」
サキュバスB「……実は…」
勇者?「人間が数の力で押し返して来た結果が、弱いサキュバス達の追放という避難措置……か」
勇者?「そこまで人間が戦えるとは驚きだな」
サキュバスA「ま、所詮は数の差だけだと思うケド」
サキュバスB「住める場所を見つけても上位のサキュバスが占領してたり、人間の軍があったり……」
サキュバスB「いよいよ諦め始めた時、この村を見つけたのよ」
勇者?「………」
サキュバスB「さあ、これで満足なら貴方の話を聞きたいわね」
勇者?「……俺の話を聞いて時間を稼ぐつもりなら、無駄だ」
サキュバスB「何の事かしら」
勇者?「『夜魔』クラスのお前なら、他の淫魔を呼び寄せられるのは知っているという事だ」
サキュバスA「でもアンタに拒否権は無いわよ」ザッ
サキュバスB「待ちなさい」
サキュバスB「……仮に、貴方が何者か置いておくにしても私達を知り過ぎよ」
サキュバスB「この男……人間じゃないわ」
勇者?「いや人間だ、勇者でも魔王でも淫魔でも無いぞ」
勇者?「俺は指を切れば血も出る、ちゃんと赤い人間の血だ」
スタスタ
勇者?「それより、だ……俺は最初お前たちのリーダー格を殺すつもりで来たんだが」
サキュバスB「っ!」ビク
勇者?「そう警戒しなくて良い、俺はお前たち全員を保護したい」
サキュバスC「信用できるの?」
サキュバスA「保護って……今よりもいい暮らしができるわけ?」
勇者?「あぁ、『元の暮らし』に戻してやる」
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