私的良スレ書庫
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元スレ村娘「勇者様ですよね!」勇者?「……違うが」
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ビヤーキー(バイアクヘー):ハスターの僕。外見はキメラ的で、体長は2、3メートル。
地上では時速70kmだけど宇宙空間なら光速の十分の一で飛行出来る他、腰にあるフーンという磁気を操る器官で
光速の四百倍でワープできる。
教皇?「なに、難しい事は頼まないよ」
教皇?「『神』とはいえ既にα君が何度か戦闘して生還してるしねぇ」
執行人「うわ、いつの間に!?」
白服α「ほんの数時間前までな」
シスター「流石は騎士団の中で一番の古株ね、実力も私達並みだけの事はあるわ」
教皇?「だが、彼の場合は例外中の例外だよ? 今の君達では瞬殺が良い所だ」
執行人「おいおい、俺達は今じゃ淫魔の軍を単体で無力化できる程度には強くなったぜ?」
執行人「なのに俺達より弱い白服αの奴は平気で俺達は……瞬殺?」
教皇?「君達は何か勘違いをしているよ」
執行人「なに?」
教皇?「んん、『強い』『強くない』という問題ではなく、我々は『壊す』『壊せない』の力でなきゃいけない」
教皇?「分かるかな? α君は既に身を持って知ったろうけどね、『神』にとって肉体の強さは無問題なんだ」
神父α「興味深いですな」
シスターβ「ええ、つまり教皇様は……」
シスターβ「『壊す』力を私達にプレゼントして下さるのでしょう?」
白服α「…」
教皇?「その通り! んん、シスターβには後で君に合った力をあげよう」
シスター「βだけずるいわね」
神父α「まあまあ」
白服α「安心しろ、お前達にも渡される」
白服α「……教皇、準備は?」
教皇?「んん、ばっちりだよ」
教皇?「……ね?」チラッ
巫女?「…」コクン
教皇?「じゃあ皆に紹介しよう、私の友人をねぇ」
< ビシッ
< ガシャァン!!
執行人「!?」
シスター「空間が…『割れた』!?」
< ガシャガシャ・・・ガシャガシャガシャン!
神父α「?? しかし直っていきますね」
シスターβ「割れただけ?」
銀髪?「割れただけなのかしら?」
シスターβ「って、ぇ!?」
銀髪?「あら新鮮♪ 可愛いじゃない」
執行人「何だその女、そいつが教皇さんの友達かよ」
教皇?「あまり失礼な事は言わない方が良いよ執行人?」
執行人「……すんません」
銀髪?「それにしても酷い扱いね、人間風情にまた力を与える為に呼ばれるなんて」
教皇?「嫌とでも?」
銀髪?「さぁね~」
教皇?「まあとにかく、α君以外は初めて会うだろう」
教皇?「『彼』の名は『 ルシファー 』、君達に力を与えてくれる魔王だよ」
ルシ「こっちでの実力だと、精々四天王クラスかしらね」
執行人「お、おいおい……色々ツッコミ所があるな」
神父α「魔王の肩書きを持っている時点で何者かは見当もつきませんがね」
ルシ「あら? そんなに難しく考えなくていいわよ」
教皇?「そうだねぇ、ただ彼は女の姿をした魔王だし」
ルシ「明らかにややこしくさせようとしてるわね」
教皇?「……さ、後は頼むよルシファー」
ルシ「任せてよ」
勇者?「……面倒だ」
王女「仕方ありませんよ、あの村に置き去りにしたらまた白騎士が戻って来てしまいます」
錬師「そうだよ、お兄ちゃんが悪いんだよーだ」
勇者?「……」
勇者?(まさか連れて行く事になるとはな)
錬師「お兄ちゃん」
勇者?「…ちゃんはやめろ、何でお兄ちゃんなんだ」
錬師「なんとなく~」
勇者?「……?」
王女「どうかしましたか」
勇者?「いや、気にするな」スタスタ
錬師「あ! お兄ちゃんの首に切り傷ついてるよ!」
勇者?「!」バッ
< ズキッ
勇者?「これは……」
王女「先程の戦闘でしょうか、傷はちょっと引っ掻いた程度ですが」
勇者?(……)
勇者?(………)
勇者?(…………)
勇者?(『誰か』が、こちら側に来たのか)
勇者?(それとも、『向こう側』に行ったのか)
勇者?(……)スタスタ
勇者?(教皇の仕業か)
勇者?「荒野が途切れて来たな」スタスタ
王女「向こうに森が見えますね」
勇者?「あの森を抜けるのか」
王女「真っ直ぐ進んだ場合はそうなります」
勇者?「だが村は無い、そうだろう」
錬師「私知ってるよ! あの森には沢山の『竜』がいるんだよね」
王女「ええ、あの竜達は森からは出ないので教皇や私のお父様も放置していました」
勇者?「成程、人間の村や町よりは安心できるな」
王女「竜は肉食ですよ!?」
―――― 『 かえってきた 』
―――― 『 だれが? 』
―――― 『 ぱぱだよ、ままに にてるにんげんもいるよ 』
―――― 『ぱぱが!?』
―――― 『 みんないそいでじゅんびしてっ 』
―――― 『 しらないひともいるけど、ぱぱをかんげいしなきゃ! 』
―――― 『 きれいっていってくれるかな、ぱぱ 』
< 竜の森 >
勇者?「あまり変わってないな」スタスタ
王女「前にも来た事があるんですか?」
勇者?「来た、というのは正解ではないし初めて来たな」
錬師「綺麗な葉っぱ……これキラキラしてるよ」
勇者?「それを食べれば人間の性別が逆転する代わりに、100年は不老でいられるぞ」
錬師「え」
勇者?「あっちの木にある紫色の実は、人間なら万病に効くし淫魔なら一時的に快楽を得られる」
勇者?「この森はな、1つの薬屋なんだ」
王女(ど、どれも伝説級の薬なんですが……)
勇者?「とは言え、あまり意味はないか」
錬師「なんで?」
王女「……淫魔は元々不老な上に、快楽は人間がいれば問題ない」
王女「淫魔にとってはペットのようでも、大きな竜は人間にとって強敵」
勇者?「つまり誰も近寄らない」
錬師「そっか……だからこんなに沢山余ってるんだ」
勇者?(……魔王、お前のせいだからな)くすっ
―――――――― 「竜とスライムは絶対なのがファンタジーなんだよ!?」
勇者?「リュウ……と、スライム?」
黒髪「そう! こんな森には綺麗なドラゴンに、かわいいスライム!」
勇者?「……ドラゴン、というと以前お前が見せた『バハムート』か」
黒髪「『FF』の事は忘れて! ぼくが竜のデザインするから、君が作ってよ」
勇者?「だが、そういうモンスターは作らない方が……」
黒髪「君は『過去の人』、ぼくは『魔王様』!」
黒髪「ふふん、ぼくの旦那様になるならまずは魔王の言うことを聞いて貰おうかな♪」
勇者?「……ああ、わかった」
黒髪「じゃあ早速いまから絵にするから…」
< ガバッ
< 「ひゃああっ! ちょ、■■!?」
< 「『知識の交わり』をした方が早い、早く姿を変えた方が良いぞ」
< 「や、やだやだ! あれ物凄い快楽なんだよ!? ていうか知ってるよね!?」
< 「………」
< 「今の『知識』はずるいよ……」
< 「俺の気持ちが分かってくれたならいい」
勇者?(だから、スライム位にすれば良かったんだ)
勇者?(まったく……)
< ガサッ
王女「きゃっ」びくっ
錬師「お姉さん?」
王女「今、なにか……」
錬師「えー! お化け!?」
勇者?(竜かスライムに決まってるだろう)
< ガサガサッ
王女「ゆ、勇者様……やっぱり何かいます」
錬師「お兄ちゃん、それに何だか周りがガサガサ言ってるよ…?」
勇者?「……」
勇者?(竜がわざわざ囲みに来る事はない、となれば…)
< シュルッ
勇者?(野盗、もしくは騎士団か)
勇者?「……」シュルッ
王女(あの糸、つまりこれは敵?)
勇者?「姿を出したらどうだ? 恥ずかしくないのかそんなにガサガサと音を立てて」
< ピタッ
錬師「あ、止んだ」
王女「……」
勇者?(? 『止んだ』というよりは、『消えた』ように感じるな)
< 「……■■、■■■■■■■っ?」
< 「■■!」
< 「■■■……■■■■、■■■■■■■■」
王女「な…何ですか? この声」
錬師「変な言葉……」
錬師「お兄ちゃん、わかる?」
勇者?「…………」
勇者?「いや、何を言ってるのかさっぱりだ」
―――― 『ぱぱ、きっとわたしたちにあいたいんだよ』
―――― 『でも、ちがったら?』
―――― 『いまちょっとこわかったよぱぱの め 』
―――― 『ねえねえ、ならちかくにいる にんげんにそっくり なすがたになろう?』
―――― 『さんせい!』
―――― 『ぱぱにほめてもらえるかなぁ』
―――― 『よし、ならきまりだね』
勇者?「……!」
王女「 」
錬師「……お兄ちゃん、あれ…」
勇者?(…………これは……)
< グジュル・・グジュル・・っ
< ズびゅッ…‥ギュブィリュルァッ・・・
< 「 t#,% ぱぱ g@(i・・r/・・/^ 」ズル…ズル‥ ッ
< 「 ぱ…… パ 」ズル ッズル ッ
王女「ひっ……ぃやぁぁ!!」
勇者?「落ち着け、あの速度なら歩いても逃げ切れる」ガシッ
錬師「お兄ちゃん、あれなに? 生き物なの…?」
勇者?「……分からない」
勇者?「いや、『知らない』」スタスタ
勇者?「行くぞ王女、仮に何かあってもエイボンの書があるとはいえ余り関わるな」
王女「はいっ!」たたっ
錬師「……」
< ズル……ズル…
―――― 『ま、まってぱぱ! どうして?』
―――― 『おかしいよ、【にんげんとおなじすがた】をしてるのに……』
―――― 『どうして? どうして?』
―――― 『ぱぱは、わたしがきらいなの…?』
< ガサッ
?(案の定、だね)
?( ここにいる『竜』は、確かに以前は普通の『竜』だった )
?(でもそれはあくまで、以前の事)
?(今の” お父様 ”にはとても彼女達を救う事は出来ない)
?(彼女達の目は『数千年』の間に進化…いいえ、変化した)
?(長い年月をこの様々な薬剤を守る森の中で生活していくうちに、竜達はそれぞれの容姿のみを『視覚化』させた)
?(その結果、彼女達は自身を独自の肉体に進化させた)
?(彼女達は逞しい竜にも、美しい人間の雌にもなれる)
?(……彼女達の目が、そう映す)
?(彼女達はもう竜にはなれない)
?(そして彼女達は決してお父様には救えない)
?(だから私は待ち続けるわ)
竜?「 スライムの一族すらいないこの狂気の森で、私は最後の竜として待ち続ける 」
竜?「 いつか、救済の音色を奏でる楽団が来るまで…… 」
<竜の森の外>
王女「はぁ…はぁ……」
錬師「お姉さん、大丈夫?」
王女「……」
王女「っ!」
勇者?「吐きそうか」
王女「……」
勇者?「エイボン」
< ギィン
Eibon「お呼びですかマスター」
勇者?「しばらく王女の傍にいてやれ、お前のその姿は落ち着く筈だ」
Eibon「はぁ、男性にも女性にも見えるように実体化してるのですが」
勇者?「だから落ち着く、任せたぞ」
Eibon「イエス、マスター」
王女「……」
Eibon「少々グロッキーなようですね」くすっ
王女「…あなたは」
Eibon「私が傍にいれば貴女は落ち着くそうですよ、王女様」
錬師「本のお姉さん、また会ったね」
Eibon「私は常に貴女達と共にいた筈ですがね」
勇者?(……)
勇者?(さっきのは、スライムじゃなかった)
勇者?(見たことの無い…異形の『何か』だ)
勇者?(どうなってる)
勇者?(…………分からない)
勇者?(教えてくれ、魔王……この世界は今どうなってる? どうすればいい)
勇者?(俺は……何も知らない、何も分からないんだ)
< 翌朝 >
Eibon「マスター」
勇者?「なんだ」
Eibon「何故、転移魔法をお使いにならないのです?」
勇者?「理由があるからだ」
Eibon「気にはなりますが、遠回しな言い方をするからには話すつもりはないと考えて宜しいですか」
勇者?「そうだ」
Eibon「分かりました、では何故私がこんな事をお聞きしたかについて説明します」
勇者?「……確かにな」
Eibon「ええ、騎士団という敵勢力がありながらも野宿してまで徒歩を貫くのはやはり効率が悪いと思います」
勇者?「よく喋る奴だな」
Eibon「一目で済む内容ですよ、文にすればですが」
勇者?「……」
勇者?「エイボン」
Eibon「はい」
勇者?「今のこの世界はな、俺の手には負えない」
勇者?「ましてや教皇なんて訳の分からないのもいるんだぞ?」
Eibon「そのようですね」
勇者?「手に負えない」
Eibon「会話における最低限必要な言葉が大分無い気がしますが」
勇者?「……どう言えばいい」
Eibon「『手に負えないから、あちこちで人間なり淫魔なりと手を組みたい』」
Eibon「……で宜しいのでは」
勇者?「ならそれだ」
Eibon「復唱しないのですか」
勇者?「当たり前だ」
竜たちの容姿がぐちゃぐちゃになったのは視覚とかの認識が狂ってきたからかな?
沙耶の唄みたいに
沙耶の唄みたいに
< 半日後・竜の森から80km離れた草原 >
―――― ギィンッ
剣士「うわあっ!」ドサッ
白服A「フン……!」ヒュッ
< グシャァッ
銃士「剣士ィッ!! 畜生ぉぉ!!」バッ
< ガァンッガァンッ!!
白服B「遅いッ」シャッ
白服C「たかが拳銃で我々と対等に渡り合えると思うな!!」シャッ
拳士「シャァァアッ!!」ギュン
白服A「!」ゴガッ
拳士「顎をまともにヒットされたお前じゃ、まともには立てないだろう!?」
白服A「ヒット、か? 今のが?」スッ
拳士「え…」
< ブチンッ
白服A「やれやれ、首1つもぐのに手間取った」
白服C「残ったのは後5人だ」
< ガァンッガァンッガァンッガァンッッ!!
銃士「撃て! 撃ち続けるんだ!!」ガァンッ
女銃士「は、はいっ!」ガァンッ
弓士「ボウガンの修理、まだなのか!!」
薬士「もう少し待ってくれ!」
< シュタタタタタタッッ!!
白服B「無駄無駄! 俺達から逃れようなんざ……!!」シャッ
銃士「と、飛んだ!」バッ
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