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    元スレほむら「思い出せない…私は何者だ?」

    SS+覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★★
    タグ : - 暁美ほむら + - 暁美ホームズ + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    1 :

    私は魔法少女。

    魔女を狩る者。

    いずれ魔女になる者。

    ……そして。


    ほむら「思い出せない…私は何者だ?」


    名前もわからない。

    願いもわからない。

    わかるのは、天井が白くて、頭がひどく痛いことだけ。

    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1330265526(SS-Wikiでのこのスレの編集者を募集中!)

    3 = 1 :

    ほむら(……体が重い)


    ベッドから這い出る。ここは病院だろう。

    私は入院をしていたのか。


    ほむら(なんて酷い視界だ、くそ)


    視力が悪すぎる。このままでは魔女に殺される。回復しなければならない。

    指輪をソウルジェムに戻し、鏡の前へ。

    魔力を込めて、視力を強化。


    ほむら「……これが私か」


    長い黒髪。癖なのか、染み付いた陰鬱な表情。

    鮮明さの蘇った鏡には、名も知らぬ私がいた。

    4 = 1 :

    ガラララ。

    戸を開く。個室とは良い身分だ。

    だからこんなに情けない顔つきになるんだ。


    ほむら「……暁美ほむら、か」


    顔の印象に反して、暖色系の雰囲気が強い名前だ。

    私は今までどう育ったというのか。

    私は……。



    ほむら「…私は、魔法少女だ」


    私は魔法が使える。

    魔女はいくつも倒してきた…ような記憶はある。

    かなり長い間戦った…。


    ほむら「……ちっ、魔女との戦いで記憶がトんだか」


    油断でもしたのか、重傷を負って入院…といったところだろう。

    …病室に戻ろう。

    5 = 1 :

    ほむら「……記憶喪失」


    まるのついたカレンダー。

    知らない学校の入学案内。

    私は近々、見滝原中学に転入するようだ。


    通い慣れた学校ではないようで助かった。奇跡的だ。

    記憶喪失でも、前の私を気にせずに振る舞うことができる。

    ひとまず、転入に際しては気兼ねのない動きができる。


    ほむら「…アパートの案内…家族の予定…私はこの歳で一人暮らしか」


    親はこの町にいないらしい。

    まあ、居ても困るだけなのでありがたい。

    時間を気にせずに魔女を狩れる。


    ほむら「……そうだ」

    6 = 1 :

    変身。紫の光に包まれる。


    ほむら「そう、この感覚だ」


    左手には盾。

    これが私の、魔法少女としての最大の武器だ。


    ほむら「止める」カチッ


    私以外の全ての時間を停止させることができる。

    この能力を駆使し、何体もの魔女を葬り続けてきた。


    ほむら「……そして」


    フルーツの盛り合わせの隣に置かれた果物ナイフを取る。

    盾に収納する。

    私の盾は、物を保管することが可能だ。


    時を止めて、無限の武器で戦う。

    左手が盾ならば、右手は刃物だろう。


    ほむら「……思い出してきたぞ、私というものを」

    7 = 1 :

    魔法少女になる際の願いすら忘れてしまったが、まぁいい。

    後から思い出すだろう。


    記憶にあるのは、無数の魔女との戦いだ。

    私はかつて戦っていた。

    ならば記憶を失った今であろうと、私は戦おう。

    私の願いは、そこに関わるのかもしれない。


    ほむら「とにかく、グリーフシードを集めなくてはならないな…私の体は燃費が悪そうだし」


    盾の中身は空。

    魔女との戦いで、中の全てを使い尽くしたらしい。

    新たな武器も必要だ。


    大人しく入院し続けている暇はない。行こう。

    8 = 1 :

    数日が経過した。

    魔女の結界の中。


    下から浮かび上がり続ける巨大風船を足場に、下へ下へと降りてゆく。



    「ぷぅううう…」


    風船の魔女とでも名付けようか。捻れたバルーンアートの体から、無尽蔵に風船が沸き出している。

    相変わらず、悪趣味な世界観ではあるが…。


    ほむら「私も風船は好きだ」

    「ぷう?」

    カチッ


    ほむら「ついつい割りたくなるからね」

    「…!!??」


    四方八方に配置されたナイフ。

    全てが魔女へと降り注ぐ。

    9 :

    おお、オリ魔女とは珍しい

    10 :

    このほむらは負ける気がしない。

    11 :

    これは激しく期待

    12 :

    無数の刺し傷に原型を保つことを諦めた魔女が、グリーフシードとなってアスファルトに落ちる。


    ほむら「よし、ストックが増えた…余裕も出てきたな」


    連戦連勝。

    魔女を探し、会えば勝つ。


    時を止め刃物を放つ戦法…下準備は面倒だけど、負ける気がしない。

    私は随分と強い魔法少女のようだ。



    ほむら「……そんな私を記憶まで消して…一体どんな魔女なのか…」

    13 = 12 :

    眠いので今日はここまで

    15 = 11 :


    書き方が小難しいが今後の展開が楽しみだ

    16 :

    ほむらの口調があの外見とマッチしていいね
    ほむほむ…いや、ほむさんと呼びたくなる

    17 :

    なぜかB★RSのアニメを彷彿とさせるな

    18 :

    戦い方が十六夜咲夜な件ww

    19 :

    DIOの魂でも乗り移ったかね。
    あるいは吉影さんかもしれんが

    20 :

    長い年月で精神おかしくなりそうになった結果の記憶喪失とかではないのか

    21 = 12 :

    「にゃあ」

    ほむら「ん?」


    街路樹の陰から仔猫が顔をだした。

    黒い毛並みの、小さな猫。


    ほむら「可愛いな……よしよし」

    「なんなん」


    喉を撫でてやると目を細めて喜んだ。

    エサをやらずに人に懐く野良猫とは珍しい。


    ほむら「…そうだ、ようし猫ちゃん、私の右手を見ててね」

    「なん?」

    カチッ

    「な~ん!」

    ほむら「ほぅら、ねこじゃらしー」

    「なんなんな~ん!」


    時間を止めて、路肩のねこじゃらしを拝借した。

    突然の遊び道具の出現に、猫もご機嫌のようだ。



    「あー、仔猫可愛いなぁ…」


    誰かが私を羨んでいる。

    路面をトラックが通り過ぎる。

    22 = 12 :

    病室を抜け出し、魔女を狩る。

    街を歩く。

    また一日が終わった。


    薄暗い白の天井は何の想像も書き立てない。まるで私だ。



    ほむら(魔法少女、暁美ほむら…)


    未だ頭の中には靄がかかっている。

    思い出せない事が多い。


    ほむら(…唯一覚えている魔法少女関連の記憶まで曖昧だし…)

    机の上に並べたグリーフシードを見やる。

    そのうち2個はかなり黒ずみ、使用できない状態にある。


    ほむら「どうやって処理するんだっけ…グリーフシード…」


    私は目を閉じた。

    23 :

    ちゃんと処理しないと…

    24 = 12 :

    空白の日々。

    穴の空いた記憶。


    休日の昼下がり、いつものように街へ繰り出す。

    ソウルジェムの反応を頼りに魔女を探してはいるが、病院近辺では見なくなってしまった。

    魔女を探すためには、やや遠くまで足を運ばなくてはならない。

    とはいえ、私に残された道しるべといえば魔女退治しかない。

    多少面倒でも仕方がない。



    「ようこそ!ピエロのパリーの手品ショーだよ~!」

    ほむら「……」


    小さいがカラフルなテント。

    張り巡らされた万国旗。

    大道芸人の見せ物の前で、私は立ち止まった。



    ほむら(…なんだろう、この雰囲気…記憶にある?)


    ピエロ……サーカス……手品……。


    ほむら「……」

    25 = 12 :

    「なにあれ、かっこいー」

    「へ~…」


    人が集まる。

    隣の可哀想な語り弾きの青年の、そのまた隣のピエロが可哀想になる。

    視界でいえば小規模な満員御礼。

    私の前には、路上ではこれが限界の程度だろう、といえる人だかりが形成されていた。



    ほむら「…では、始めさせていただきます」


    税抜き1280円。紫のシルクハットを取る。


    ほむら「短い間ですがお楽しみください…どうぞ、よろしく…」


    手品師の口上なんてものはわからないから、ただ深々とお辞儀する。

    私の仕草のそれっぽさに乗せられてくれてか、老若男女の観客から疎らな拍手があがった。


    カチッ

    ほむら「はい」

    「「「!!」」」


    お礼も兼ねて、まずはシルクハットから満開の花束を。

    26 = 12 :

    「…見えた?」

    「…う~ん」

    見えたらすごい。


    ほむら「種も仕掛けもこざいません」


    シルクハットを宙へ放る。

    カチッ

    花束だけが消え、シルクハットの中に棒状の影が現れる。


    ほむら「奇術といえば、ハットにステッキ」


    紫のステッキでアスファルトを突く。

    カチッ

    アスファルトに花が咲く。


    ほむら「おっと、根を張るといけない」


    花にハットを被せる。

    カチッ


    「にゃあ」


    ハットを取り上げると、中から黒猫が現れる。


    ほむら「よしよし…」

    「なぁん」


    観客が静かだ。

    27 = 12 :

    ハットを被り、ステッキを空に放る。

    かなり高めに投げた。何人がステッキを視認できるだろう。


    カチッ


    「…あっ」


    ステッキが落下する。

    キャッチ。


    ほむら「ステッキが二本になってしまった」

    紫と白のステッキ。色合いは私の魔法少女のコスチュームに合わせている。

    しかし二本も必要な小道具ではない。


    ほむら「君に、はい、白い方をプレゼント」

    「わぁ!ステッキ!」

    「あ、ありがとうございます」


    子供はステッキを興味津々にいじっているが、本当に種も仕掛けもないのであしからず。

    28 = 12 :

    突如思い付きで開いたマジックショーなので、大した小道具は用意できなかった。

    けれど、短いショーだけど、多少は観客にスリルを提供したい。


    中学生のゲリラ奇術とは思えないくらいの迫力をみせてやろう。


    カチッ


    ラストの大手品。やってることは同じだけど。


    ほむら「種も仕掛けもない、ただのナイフです」


    観客から期待にも似た緊張が走る。

    ナイフを使ったマジック。それだけで気持ちが高ぶるのも無理はない。


    ほむら「みなさま、御静観ありがとうございました」


    ナイフを回転させながら、真上に投げる。

    観客がどよめいた。


    カチッ

    29 :

    いい感じの中2臭さだ。

    30 = 12 :

    群衆から抜け出し、大通りから出る。

    今頃、マジックショーは空から色とりどりの花弁が降り注いで大熱狂といった所だろう。


    ほむら「…しかし…記憶にはピンとも引っ掛からないな…」


    魔法少女のコスチュームから、記憶喪失になる前の私はマジシャンになりたかったのでは、と考えたが…。

    さすがにマジシャン程度で魔法少女になるほど馬鹿ではないか。


    ほむら(…時間を止め、空間を操る…うーん…)

    32 :

    華麗に轢死フラグを回避したなww

    33 = 12 :

    魔法少女とは希望を振り撒く存在。

    ひとつの願いを叶えるかわりに、死ぬまで魔女と戦い続ける存在だ。


    ほむら「私は何を願い、この力を手に入れたのだろう」


    家族は近くにいない。

    友人はわからない。

    過去の私と、今の私を繋ぐものが、何もない。


    魔法少女はひとつの願いのために戦い続けなくてはならない。

    私の願いは?希望は?

    全てを忘れた私は一体何のために、何を依り代に戦い続けなくてはならないのだ。



    ほむら「…暁美ほむら、くだらない事に願いを使うくらいなら、せめて自分の病気を治せばよかったものを」


    入学の日は近い。

    34 = 12 :


    机の上に新たなグリーフシードが3つ並んだ時。

    私はカレンダーの来る日が明日に迫る事に気付いた。

    見滝原中学に転入する、暁美ほむらの晴れ舞台だ。


    入院患者と魔女狩りの二重生活からおさらばできる祝うべき日だが、今までの生活も嫌いではなかった。

    ただ魔女を狩るだけの生活といえばオシマイだが、私の唯一の楽しみが魔女狩りそれだったからだ。


    暁美ほむらという根暗眼鏡が何を願い、華やかな魔法少女になったのか。それはわからない。

    だが今の私は、見滝原に住む人々の命を守るために魔女を倒している。


    見滝原の人に対する思い入れなんて造花の根っこほどもないが、人を守る正義のヒーローになりきれる。

    それだけでやりがいのある時間だった。

    35 = 12 :


    制服を着る。スカートの丈が短い。

    暁美ほむらには似合わない派手さだ。


    下ろした髪をブラシで整え、黒いカチューシャで適当に前髪を留める。

    赤縁の眼鏡は必要ないが、暁美ほむらの品だ。

    何かのきっかけになるかもしれない。鞄に詰める。


    ほむら「さて、準備万端かな?」


    忘れ物は無さそうだ。

    …いや、記憶か?

    まぁいい。ここに私の記憶はない。

    さっさと立ち去り、見滝原中学で新たな一歩を踏み出そう。

    後ろの足跡が見えなければ歩いて作るしかない。



    ガララララ


    ピシャッ

    36 = 12 :

    ガララララ


    ほむら「グリーフシードを忘れてどうするつもりだ、私は」

    誰に言ってるのだか。



    ガララララ

    ピシャッ

    37 = 12 :

    黒い色が紛らわしいグリーフシードが4つ。

    黒っぽいグリーフシードが1つ。

    かなり黒っぽくなったグリーフシードが3つある。


    鞄の中にしまってはいるが、グリーフシードの収納はこれで良かったのだろうか。

    多分良くない…気がする。

    グリーフシードを眺めていると、私の頭の中で警鐘が鳴り続けるのだ。

    これはまずい。なんとかしなくては、と。



    「──どっちでもよろしい!」


    少し体が驚いた。

    どうやら、私の担任となる女性が荒れているようだ。


    しかも教鞭が折られている。

    私はこれからイジメにでもあうのだろうか。

    38 :

    学校にとんでもない危険物をww

    39 = 12 :

    「どうぞ、入ってください」


    ほぼガラス張りの戸越しに満を持しても仕方がないが、呼ばれたタイミングで入るのは手筈通り。


    ほむら「……」


    戸を開き、教壇まで歩く。

    そわそわうるさいクラスメート達にはまだ目線をやらない。


    「…えっと、名前、書く?」

    ほむら「そうする」


    担任からペンを受け取り、ボードに文字を走らせる。

    見てる生徒も、教師も、私すら馴染みの無い名前を。



    ほむら「暁美ほむら、よろしく」



    クラスを見渡すと、険しい顔で驚いてるトロそうな女の子がいた。

    担任といい変なクラスだ。

    40 = 12 :

    「えっと、暁美さんは長い間入院生活を送っていたので…」

    ほむら「ん?」

    「えっ?な、何か可笑しかったかしら」

    ほむら「…いや、なんでもない」



    さやか「無愛想だけど、すっげー美人」

    まどか「…うん…」

    さやか「どうしたまどか~、まさか転校生のミステリアスな雰囲気に惚れちゃったかぁ~?」

    まどか「えっ!?そそ、そんなんじゃないよぉ」


    まどか(ただ、夢の中で逢った、ような…?)


    ほむら(何であの子だけ表情が険しいんだろう、保健室行けばいいのに)

    41 :

    面白い

    43 :

    期待
    あと何故かスペースほむらを思い出した

    44 :

    いつも軽口ばっかり言うコブラとは、性格は大違いなのにな。
    名前の発音が微妙に似てるのと、銃を使うこと以外、全然 共通点がないはずなのに、
    なぜか混ぜたくなってしまう。

    45 :

    「暁美さん、前はどんな学校に言ってたの?」

    ほむら「普通の学校、あんまり覚えに無いくらい普通だったかな」

    「綺麗な髪~、何使ってるの?」

    ほむら「ふ、何だと思う?」

    「暁美さんってかっこいいねー」


    内心では余裕がないんだ、そろそろ取り巻くのをやめてくれないか。


    「部活は何してたの?」


    くそ、想定外だった。

    転校したらその前の事について聞かれるのは当然だというのに…。


    ほむら「あ~……」


    限界だ。嘘は八百も出ない。


    ほむら「…すまない、どうも気分が優れなくて…保健室はどこかな?」


    逃げよう。

    46 :

    こんな喋り方する中学生が実際にいたらヤダなwww

    47 = 45 :

    まどか「あ、保健室はこっちだよ、ついてきて」

    ほむら「すまないね、わざわざ」

    まどか「ううん、ごめんね?クラスのみんな、転校生なんて珍しいから、はしゃいじゃって」


    広い廊下を保健係の彼女に連れられて歩く。

    私の体が弱いのは事実なので、保健室の場所を覚えておいて損はないだろう。


    まどか「暁美さんってかっこいい名前だよね、なんていうか…燃え上がれ~って感じで」

    ほむら「は?」

    まどか「あっ、ご、ごめんね変な事言っちゃって」


    燃え上がれ……か。

    …?

    “良く言われる”…?

    そんなはずはない。


    ほむら「…確かに、カッコいいかも」

    まどか「!」

    ほむら「名前負けしないように、かっこよくなりたいもんだな…」


    彼女の横に並び、微笑みかける。

    彼女も笑った。

    保健係はトロそうだが良い子らしい。

    48 :

    何だろう……このほむほむ、斎藤千和で脳内再生できないww

    49 :

    このほむほむはURYYYYYYYY!とか言っちゃうお方?

    50 = 45 :

    午前中の授業は、教師がこぞって私の学力を試しにきた。

    私はその度に不安を感じたが、どの問題にも即座に対応できた。

    さすがは眼鏡、長い入院でも勉強はできるらしい。


    ほむら「……それなりに達筆だな」

    教師「?」


    字も上手い。

    まさか魔法の力で学力を望んだわけではあるまい。

    だとすれば独力か。大した努力家だったのだろう。


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