私的良スレ書庫
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元スレ美琴「初めまして、御坂美琴です」一方通行「……あァ?」
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ほのぼのって>>1に書いたじゃないですかーー!
時々シリアスな話が入っても良いじゃないか。
>>1乙
>>1乙
どうもです
唐突な展開で驚かせてしまったようで…
でも一方さんのトラウマ描写は自分の中でどうしても必要だったのです。どうかお許しを!
では投下します!
唐突な展開で驚かせてしまったようで…
でも一方さんのトラウマ描写は自分の中でどうしても必要だったのです。どうかお許しを!
では投下します!
――――――――――
午後4時をまわる頃、美琴は当初走っていた足はサンダルのストラップが擦れて赤い擦り傷をつくっていた。
そして今、研究所内の大体の廊下を制覇した彼女はとぼとぼと目的地も分からずに歩き続けた。
いや目的地は一方通行のいる場所なのだが、まだ彼の居場所を特定出来ていないのが問題なのだ。
「食堂にもいなかったし……どこに……」
美琴はとにかく手当たり次第彼を捜した。
研究所の中だけではなく、研究所の外も捜しにいった。
真夏のガーデンスペースに彼がいるはずもないと心のどこかで分かってはいたが捜さずにはいられなかった。
ついさっきは能力測定の時にお世話になった食堂のおばさんにも彼の行方を聞いた。
『あらあなた! いつもはもっと早く来るのに、今日は遅いのねぇ?……ってどうしたの!?』
『あのッ……一方通行見ませんでしたか……!?』
走り回っているせいで汗びっしょりで息も絶え絶えになっている美琴をみておばさんはギョッとしながらも質問に答えてくれた。
『えっと、今はここにはいないわよ?
今日は……朝食は食べにきたけど、あまり食べなかったわねぇ。かなり残してたわ。
……そういえば!昼食時には来なかったわねぇ……珍しいわ、あの子が昼食を抜くなんて……』
『……そうですか、ありがとうございましたッ!』
『ってちょ、ちょっと!!大丈夫~?あなた汗びっしょりよぉ~~~??』
汗で髪の毛が濡れた頭をペコリと下げ走り去る美琴を心配する声を背にして彼女は走り出していた。
だがその足も少しばかり限界に近づいていた。
集中力が途切れてしまうと途端に体の痛みに神経がいってしまうものだ。
「あとは……ゲコ太先生の所……かな」
芳川の言葉では病気や怪我はしていないとのことだった。
だから医務室には行かなかったが、もしかしたら―――――
思い立ったら即行動がモットーの美琴は足の痛みも忘れて医務室へ走り始めていた。
「一方通行?彼は今日ここへは来てないよ?」
「ふぇ……ソウデスカ……」
息をきらしながら訪れたは良いものの肝心の一方通行は居なかった。
「ふわぁぁ~~……」
「おい、君!……大丈夫かね?」
医務室へ入ったばかりの美琴の体は足下から崩れ落ちるようにフラフラと床に座り込んでしまった。
どうやら希望を打ち砕かれた思考と体は一旦機能を停止する措置をとったようだ。
「……君、少し休んで行きなさい。汗もこんなにかいているじゃないか」
「あぁ……これはさっき外を走ってたからで別に……」
「ならば尚更だ。こんな炎天下の中走っていたら熱中症になってしまってもおかしくないんだよ?」
「大丈夫ですよぉ……」
「……これは医者としての命令だ。少し休んで行きなさい。いいね?」
「…………はい」
少し不貞腐れながらもしぶしぶ冥土帰しの言うことをきく彼女は誰からみても疲れていた。
冥土帰しは医務室に備え付けの冷蔵庫から500mlのペットボトルに入ったミネラルウォーターと冷えたタオルを出す。
「さぁ、まずは汗を引かせないとね?それと水分も補給しなさい」
「すみません……ありがとうございます」
美琴は冥土帰しから受け取ったミネラルウォーターをゴクゴクッと喉を鳴らして飲む。
捜している最中は気付かなかったが、自分の体はかなり水分を求めていたようだ。気付けばペットボトルの半分の量を飲み干していた。
「彼を、一方通行を捜していたのかね?」
「……はい。いつもは待ち合わせの場所に来てくれるのに……今日は来なかったから」
「そうか……」
「でも……どこ捜してもいないんです……」
冥土帰しは美琴の言葉を聞きながら頭はある思いが巡っていた。
(そろそろ彼が、色々考えはじめる頃だと思ってはいたが……)
一方通行は今、美琴を避けている。そう思った。
ここ最近美琴と一方通行が2人連れ立って遊んでいるのをよく見かけた。
美琴は笑顔で彼に話しかけ一方通行は無愛想ながらも彼女の相手をしている図。それは研究所の人間の間でも少々話題になった。
その人間の大体は微笑ましくその2人を見つめ、半数は一方通行が誰かと一緒にいることに驚く……といった反応をした。
だが自分の思いはそのどちらでもないように思える。
自分は彼がこれまでどんな経験をしてきたか知っている。非人道的な研究の犠牲となり能力を手に入れた少年の過去。
そして彼がこれからどうなりたいか……それも透けて見えるように分かった。それが分かったのはきっと自分もそれなりに地獄を見てきたからだろう。
だからこそ―――――彼は美琴と出会ったことで苦悩するだろうと思った。
最初こそ戸惑いや混乱に身を任せて彼女と接していれば、自分の過去や『これから』から目を背けていられる。
ただ彼女への感情の置き場を定めようとしたときにそれは目前にやってきて彼に判断を迫るだろう。
「どうするんだ」「このままでいいのか」と。
だから彼は苦悩している。
それは彼女を『どうでもいい存在と思っていない』からこそ。
当てが外れシュンとした表情をする美琴を見ればと彼女が一方通行のことを大切に思っていることは歴然だ。
彼女の優しい思いを素直に受け取ることすら出来ないほど、一方通行の傷はあまりにも深い。
そんな傷をあんな子供に背負わせた学園都市の闇を冥土帰しは心底呪った。
そんなことを思いながら冥土帰しは美琴を見つめる。
美琴は額に当てていたタオルとペットボトルをギュッと握りしめ、絞り出すように言葉を発した。
「先生……」
「なんだね?」
「一方通行は……その……、私に…………会いたくないのかな……?」
「……どうしてそう思うんだい?」
「だ、だってだって!いつも迎えにきてくれるのに来ないし!ど、どこにもいないし!!」
「……」
「だから……私……」
「……もしかしたらそうなのかもしれないね」
「!! や、やっぱり」
「だけど、そうじゃないのかもしれない」
「え……?」
「それは彼にしか分からないことだよ。僕や君が決めつけるのは良くないだろう?」
「そうですよね……」
「彼のことだ、何か理由があるんだろう。そう思わないかい?」
「はい……」
彼女に彼が今『苦悩』しているであろうことを言うべきか一瞬躊躇った。
だがそれも憶測である以上彼女に自分がどうこう言うのは事を混乱させるだけだと思い留まった。
「この間も……ヘンだったから」
「どういうことだい?」
「一方通行です。なんか……落ち込んでるっていうか」
「……そうかい」
「だから心配で……でもそのときも何も言ってくれなかったし」
「……」
「私、頼りないのかなぁって……」
「悩みを人に話すのが苦手な人もいるものだよ」
「うん……でも……」
「……君はとても一方通行を大切に思ってるんだね?」
「えぇ!? え、えぇっと……あの……その………はぃ」
顔を真っ赤にしながらも小声で正直に答える彼女は非常に子供らしくて可愛らしい。
笑みをもらしながら冥土帰しは言葉を続ける。
「なら待ってあげるといい。彼が君に話すまで」
「待つ?」
「あぁ。人はそれぞれに気持ちのタイミングを持っているんだよ。心の準備ともいうかな?
今彼を悩ませていることは、その心の準備が出来ていないと話せない話なのかもしれないよ?」
「……!」
「だから待ってあげるんだ、彼の心の準備が出来るまで。もし彼がそれを打ち明けたとき、それを君は真剣に聞いてあげるといい」
「……はい!」
そのとき冥土帰しは希望的観測で美琴に話していた。
だが美琴と話しているとそうなるのではないかと思えてくるから不思議なものだ。
そんな話をしている内に時計は4時半を指していた。
初夏の陽がそろそろ落ちていく時間だ。
「あっ そろそろ行きます!捜さないと……」
「そうか。気をつけるんだよ?」
「はいっ!ありがとうございました!」
さっきまでの疲れが嘘のようにパッと立ち上がる彼女はまだ彼を捜す気満々のようだ。
ペコリとお辞儀をすると手を振りながら美琴は医務室から去っていった。
冥土帰しはやれやれと言いながら楽しげな表情のまま彼女を見送った。
・・・・・・
・・・・
・・
「さてと……あとはどこを捜せばいいのかなぁ~ あと捜してない所っていうと入っちゃいけない場所ぐらいしか……」
何時間も研究所内を捜索した美琴にとって、入るのを断られた研究室くらいしかもう捜していない場所はなかった。
腕を組みながらう~んと唸り声をあげて美琴はテクテクと廊下を歩き進める。
「ん~……ってあれ?ここどこ??」
気付けば自分が知らない内に廊下の真ん中にある暗い階段の前に来ている事に気が付いた。
上への階段が続くその場所には『立ち入り禁止』のプラカードとチェーンで入ってはいけませんオーラを存分に醸し出していた。
(うぇ~……なんか恐いし戻ろ~)
振り返り来た道を戻ろうとしてピタッと足を止める。
そして時間を巻き戻すように思考と足をさっきまで居た場所へ戻らせる。
(……入っちゃいけない場所………もしかして!)
そう思った途端、美琴の足はすでにハードルのように連なるチェーンをくぐり抜けて階段を駆け上っていた。
短いですが以上です。
次回は土曜の夜に投下できると思います。
ではまた~ ノシ
次回は土曜の夜に投下できると思います。
ではまた~ ノシ
(……ここなら誰も来ねェだろ)
一方通行は辺りを見回して人が来ないことを確認する。
彼がいる場所。
そこは立ち入り禁止場所でもある研究所の端の端に存在するさびれた廊下の一角だった。
過去に能力開発研究の際に問題を起こし閉鎖に追い込まれた研究室が並ぶ場所。この廊下はその研究室に面している。
そしてその廊下の一番端にある場所は休憩所だったようで、古びたソファーが幾つか並んでいる。
そのソファーに腰を掛け一方通行はフッと息を吐く。
薄汚れた窓から陽指しが床に反射する。
外は7月の午後に相応しく既に真夏日と変わらない気温を叩き出しているようだ。
時の経過は太陽の色を変えて夕日に近い光が人の肌を焦がそうと必死になっている。
そんな外の気候などこの研究所では関係無い。冷暖房完備で24時間快適空間が保たれている。
だがこの場所は違った。
使われていない事もあって空調管理も行き届いていないし電気だって通っているか分からない。
現に今、照明は点いておらず外からの光だけでこの場を照らしている。そして生暖かい空気が淀んでいる。
一方通行はこの場所が好きだった。
誰も近づかないこの空間になにか安心するものを感じていた。
だからこの場所を見つけて以来、心を落ち着けたい時や何かを決める時にはいつもここへ来た。
名前を変えることを決めたときもここへ来てそれを決めたのだ。
一方通行はソファーに背中と頭を預けて天井に顔を向ける。
その顔はひどく疲れていた。
(アー……だりィ……)
起きてからずっと体が怠く重い。
暑くもないのに首や額からじんわりと汗が滲んでくる。顔色も目に見えて悪い。
きっと今朝見た【夢】のせいなのだろう。あれを見てから身体的にも精神的にも調子が悪い。
過去のトラウマをあんな形で見せられたら動揺した結果がこの体調不良。
能力面ではレベル5を誇っているのに身体面の弱さがこうでは格好がつかないなと自分を笑う。
(……アイツはもォ帰っただろ)
確か今は午後4時半をとっくに過ぎている筈だ。流石に3時間以上も待ちぼうけを食らえば帰るだろう。
怒って、呆れて、嫌いになって、もうここへ来なければいい。
そして忘れてくれれば。そうなればいい。
そうなれば―――――
目を瞑り思考を泳がせていた一方通行はどこからか聞こえた音に目を開ける。
だが廊下には誰もいない。気のせいだったのだろうか。
そう思いソファーへ寝転がろうとすると―――――
タンタンタンタン
床を叩く音、いやこの研究所の階段を走る音が聞こえてきた。
その音はどんどんこちらに近づいてくるような気がする。
タンタンタンタン
研究者か用務員か?それとも清掃員か??
……だがその足音は明らかに大人のものよりも軽い音。子供だ。
顔を上げ音のする方向を凝視する。
すると、
「――――ァクセラレータ!!」
「…………ハ?」
自分の名を呼ぶ声が聞こえた。
聞き間違いで無ければその声を自分は知っている。
次の瞬間、廊下の中央に位置する階段から勢い良く少女が飛び出してきた。
美琴だ。
「ハァ……ハァ……」
肩で息をしながら周りをキョロキョロと見回しているうちに一方通行と目が合ってしまった。
その途端美琴は口をあんぐり開けて驚きと喜びが混ざった顔をした。
「やっと見つけたあぁぁ~~……」
「なンでオマエここに……」
パタパタと早足でこちらに向かってくる美琴に一方通行は慌てた。
まさか自分の所に来るとは思ってもいなかったのだ。
そんな彼の気持ちを全く知らない美琴は顔をほころばせながら近づいてくる。
「一方通行~!!」
自分の目の前に来た美琴は額の汗が前髪を濡らしていた。
露出した肩や首周りにも汗を光らせている。冷房の効いた研究所内ではこうはならないはずだ。
スカートから覗くサンダルを履いた足は転んだのか靴擦れなのか所々赤く擦り剥けている。
さっきの言葉を聞く限り、彼女は自分を探していたようだった。
ということは自分を捜す為に走り回ってたということだろうか?足を傷つけてまで??
一方通行はますます混乱した。
「はぁ……よかった見つかって……」
「オマエ……」
「もう!なんでこんな所にいるの!?そりゃ見つかんないよ!!」
「ハ?」
「待っても待っても迎えにこないから心配したじゃない!!」
息を整えながら美琴は一斉に捲し立てる。
「研究所の中も外もありったけ走り回って探してもいないし、芳川さんから部屋にはいないって言われるし……
研究所の殆どを見たけど一方通行いないから……あとはどこかなーって思ったの」
「……」
「なら『入っちゃいけない場所』しかない!って思ってたらそこの立ち入り禁止の看板見つけて。
入ってみたらビンゴ!いるんだもん!」
「……」
「はぁ~……良かったぁ」
そう言いながら美琴は一方通行の隣に座り、手でパタパタと扇の代わりに顔を仰いでいる。
「芳川さんに連絡しなきゃ。あ!あと……」
ゴソゴソと肩にかけたポシェットの中に手を入れ何かを探し始めた。
喜ぶ美琴の隣で一方通行は己の考えに打ちのめされていた。
(なにやってンだ……なにやってンだ俺はッ!!)
美琴が来たことで分かってしまった。
結局自分は逃げていたのだ。
彼女に直接今後会わないことを告げるのを恐れていた。
自分に悪意を持たない希有な存在である美琴にどんな顔をさせてしまうか。
どんな反応をされるのか、何と言われるか、それを知るのを恐れていたのだ。
だから事をなあなあにしてこの関係が自然消滅するのを望んでいた。
他人を傷つけたくないと言いながら結局は自分が傷つきたくなかっただけ。
美琴が目の前に現れて動揺したのがその証拠だ。
(クソ…………ッッ)
己の甘さを知った一方通行は怒りで脳が沸騰状態になっていた。
自分に腹が立ってしかたない。
「え~っと……あっ!あったあった!!」
ソファーからおりて再び一方通行の前に立つ美琴は何かを握りしめている。
得意げな笑みを浮かべながら両手の拳を彼の目前に突き出す。
「ジャッジャジャ~~ン♪ ゲコ太とピョン子の激カワキーホルダーで~す!!」
「……」
「あれ?やっぱリアクション薄いなぁ……まぁいいか。
これね、この間ガチャガチャで見つけたの!んでね何と8回でこのゲコ太とピョン子をゲット出来たの!
一方通行がこれの可愛さが分かんないって言うから、実物を見せてあげようと思って。どう?可愛いでしょ??」
一方通行が見つかった安心感からかハイテンションになりながら話す美琴は彼の変化に気付いていなかった。
掌に置いたキーホルダーを突き出しながらさらに言葉をかける。
「そんでもってこっちのゲコ太を一方通行にあげる!私はピョン子を貰うから。はい!」
「…………らねェよ」
「え?」
「…………いらねェよ」
「あぁ~……別に使わなくても良いから貰って!もうあげるって決めてきたから」
「……いらねェって言ってンだろォがァッッ!!!」
パキンッッッ
いきなりの怒号と共に掌にあったキーホルダーは一方通行の手によって床に叩き付けられた。
ゲコ太とピョン子は床に落ちると同時にプラスティックの欠ける音が響いた。
「ちょ……ちょっと! なにすん」
「うるせェンだよ!!」
落ちたキーホルダーを拾いながら体をビクッと震わせる美琴を見ずに一方通行は言葉を続ける。
「馴れ馴れしく話しかけてンな! ……ウゼェ」
「……え? な、なに言っ」
「ウゼェって言ってンだ!!聞こえねェのか!?」
「ちょっとま」
「大体今日だって会いたくねェから行かなかったって、オマエ分かンねェのか」
「え、え」
「友達ゴッコに付き合ってやったからって何勘違いしてンだ?」
「なっ!」
「テメェの相手するのもいい加減ウンザリなンだよ……とっとと帰れ」
「………」
美琴が自分の顔を見つめているのが分かる。
一体自分はどんな顔をしているんろうか。そして美琴はどんな顔をしているんだろう。
「馴れ馴れしく話しかけてくンな! ……ウゼェ」
「……え? な、なに言っ」
「ウゼェって言ってンだ!!聞こえねェのか!?」
「ちょっとま」
「大体今日だって会いたくねェから行かなかったって、オマエ分かンねェのかァ?」
「え、え」
「友達ゴッコに付き合ってやったからって……何勘違いしてンだ」
「なっ!」
「テメェの相手するのもいい加減ウンザリなンだよ……とっとと帰れ」
「………」
美琴が自分の顔を見つめているのが分かる。
一体自分はどんな顔をしているんろうか。そして美琴はどんな顔をしているんだろう。
「……」
美琴は何も言わない。
一方通行の首や額にジワリと汗が流れる。
――――タッ
突然足音がした。しばらくすると人がいなくなる気配を感じ顔を上げる。
すると目の前にいた美琴は姿を消していた。
「プハァ……ッ」
まるでずっと息を止めていたかのように呼吸をし始める一方通行の顔色は優れない。
美琴に投げかけた言葉はどれも本心の言葉ではなかった。でもこれで良かったのだ、そう自分に言い聞かせる。
(ハッ……前に戻っただけじゃねェか)
目を閉じ一方通行はそう呟く。
これで良かった はずなのに。
なのに
どうしてこんなに悲しいのだろう。
どうしてこんなに苦しいのだろう。
―――――ヒヤッ
「ッッ!!??」
突然顔に冷たいものを感じて、驚いた拍子に勢いよく背中をソファーに思いきりぶつけてしまった。
驚きすぎて目の焦点を合わせるのに時間がかかった。
「だ、大丈夫?」
見るとそこには濡れたハンカチを持った美琴が立っていた。
またも一方通行の頭は混乱状態に陥った。美琴の方は心配そうに彼を見つめている。
「オ、オマエ……な」
「だって……さっきすごい顔色悪かったし、汗もすごいかいてるし」
「だっ……なン……ッ」
「だから下の階に行ってハンカチ水で濡らしてきたの。冷たくて気持ちいいでしょ?」
「……そォじゃなくて」
「ここ少し暑いし、涼しい場所に行った方が良いんじゃない?まだ顔色悪いし……」
「聞けよッ!!!」
「へ?」
美琴の顔を見ると心配そうな顔をしている以外いつもと変わらない。
まるでさっきの出来事が無かったかのように。
(コイツなに考えてンだァ?あンなこと言われた後に……)
ますます混乱する頭は一方通行の口を馬鹿正直にさせるだけの力があった。
「……オマエなにやってンだ」
「なにって……ハンカチ持ってる」
「そォじゃなくて……さっき俺が言ったこと聞いてなかったのか」
「え?聞いてたけど」
「ハアァァッ!??」
「……あれって具合悪いのに私がいっぱい喋りかけたから怒ったんでしょ?その……ごめんね?」
(全然ちげェよ……)
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