私的良スレ書庫
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元スレ美琴「ちょっとアンタ!」 禁書「なぁに?」
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その刹那、ふわりと背中があたたかくなった。
禁書「みこと…」
美琴「…うん」
禁書「大丈夫?」
美琴「…うん」
禁書「どこも痛くない?」
美琴「…うん」
安心感から、すうっと涙が引いていく。
気がつくと私は、
禁書「みこと」
美琴「うん?」
禁書「…落ち着いた?」
美琴「………うん」
逆に抱きしめられていた。
禁書「よかった…」ギュッ
美琴「ありがと。ゴメンね、心配かけて」
禁書「いいんだよ。…で、どうしたの?」
美琴「………ちょっと…」
禁書「うん」
美琴「………怖い夢を見ただけよ」
美琴「それだけ」
今日一日が、ゆっくりとはじまった。
------------
禁書「おなかへった…」グデー
小さなテーブルでぐでっとうなだれる銀髪。
寒さもあってか、完全に電池切れしている。
禁書「誰だよぅ、『冬はつとめて(キリッ)』とか言ったおバカはぁ…」
枕草子の冬の一節を全力で否定する欧米人。
清少納言もさぞかしビックリしているだろう。
美琴「しょうがないわよ。あいつらブルジョアなんだし」
平安のブルジョア、貴族たちは、早朝の寒さに対して趣があるといったのではない。
クソ寒い中、せわしなく動き回るメイドさんに趣を感じているのだ。
などという説明しながら、カレーをインデックスの前に置く。
禁書「うわぁ!いただきまーす!」
水を得た魚のように生き返る少女。
ちなみに本人は気付いていないが、私が動き回り、インデックスが毛布にくるまって朝食を待ち焦がれる光景は、まがうことなき冬の一節だった。
美琴「てか、よく知ってたわね、『枕草子』。」
禁書「うん。とうまの教科書に書いてあったんだよ」モグモグ
美琴「…え?読めるの?」
禁書「バカにしないで欲しいかも」モグモグ
美琴「はぁー…外国人なのに、スゴイわね」
禁書「それくらい当然なんだよ」フフン
無い胸を張って誇らしげにする少女。
口の端には白米がついている。
美琴(……いとをかし)
『いとらうたし』でもいいかなと考えたが、話の流れからして『をかし』の方がいいだろう。
ナイトスクープが終わった頃からはじめます
だいたい0時ちょいくらいです
だいたい0時ちょいくらいです
>>363
ちょっと何言ってるかわか(ry
ちょっと何言ってるかわか(ry
>>364
言わせんなよバカ///
言わせんなよバカ///
禁書「わたしは古文でも漢文でもアラビア文字なんでも読めるんだよ」フフン
美琴「ふぅん、そりゃすごいや」
禁書「……なんかバカにされてる気がするかも」
美琴「いやいやめっそうもない」
禁書「…………ホントは?」
美琴「教科書の注釈見たのかな~と」
禁書「むぅぅぅ!やっぱり信じてないかも!本当に読めるんだよ!」ブンブン
美琴「わかったわかった。だからスプーン振り回すのやめなさい」
禁書「むぅぅぅぅ」プクー
美琴「ほら、ふくれないの」グイッ
禁書「ひゃあ!ほっへたひっはららいへぇ!」バタバタ
おそらく、『ほっぺた引っ張らないで』と言いたいのだろう。
いやぁそれにしても…
美琴(かわいいなぁ…)ギュー
禁書「にゃがい!みひょと、にゃがい!(長い!みこと、長い!)」バタバタ
美琴「あっ、ごめん!」パッ
禁書「う~…じんじんするんだよ…」
美琴「いやぁちょっと考え事してて」
禁書「ひゃあ!ほっへたひっはららいへぇ!」バタバタ
おそらく、『ほっぺた引っ張らないで』と言いたいのだろう。
いやぁそれにしても…
美琴(かわいいなぁ…)ギュー
禁書「にゃがい!みひょと、にゃがい!(長い!みこと、長い!)」バタバタ
美琴「あっ、ごめん!」パッ
禁書「う~…じんじんするんだよ…」
美琴「いやぁちょっと考え事してて」
禁書「ふんだ!みことなんか嫌いなんだよ!」プイッ
美琴「え……えっ?」
禁書「えっ?」
美琴「えっ…………うえぇ…」グス
禁書「えっ!?えええええっ!?」
美琴「うぇ……ふぇぇぇ」グスグス
禁書「え!?ちょっとなんで泣いちゃうの!?冗談なんだよ!会話の流れの中の虚構なんだよ!」
美琴「………ほんと?」グスッ
禁書「当たり前なんだよ」
美琴「じゃあ……」
禁書「そりゃあもちろん………」
禁書(………ん?)
インデックスは考える。
このまま『好きだよ!』って言ってしまってもいいものか、と。
なにか、なにかが心にひっかかる。
禁書(わたしの気のせいかな?なんだかニュアンスがおかしかったような……)
美琴「答えてよぅぅ」グスッ
やばい、また泣く。
美琴「う、うぅぅ」グスグス
-ー-ちゃんと考えろよ!
まずスプーンを置け!
カレーなんて食ってる場合じゃねえ!
カレーなんてものにうつつをぬかしてる間にも目の前の女の子は泣き続けちまうんだろ!?
だったらもっと考えろよ!
お前だって望んでるんだろ!?
目の前のカレーよりもスパイスの効いた最高のレスポンスを!
含まれている可能性のあるニュアンスすべてに対応できる至極の返答を!
いいかげん言っちまおうぜ!
シスター!
禁書「み、みことはっ!」ガタン!
美琴「ふえっ?」
禁書「わたしの…」
美琴「わたしの…?」
禁書「……………た、」
美琴「た?」
禁書「大切な人なんだよっ!!」
美琴「ふえっ?」
禁書「わたしの…」
美琴「わたしの…?」
禁書「……………た、」
美琴「た?」
禁書「大切な人なんだよっ!!」
美琴「…………」
禁書「…………」
美琴「……………えへ」
禁書「!」
美琴「えへへへ、そっか、『大切な人』か、えへへへへ」
ありがとう、脳内とうま!
やってやったんだよ、最高のレスポンスを!
ミッションコンプリートなんだよ!
美琴「えへへへへ」テレテレ
禁書「………ふぅ」
なんだか、ドッと疲れた。
----------
禁書「ごちそうさま!」
美琴「………」
禁書「みこと?」
美琴「へっ?あ、あぁ、うん、おそまつさまでした」
禁書「お水にお皿浸けてくるね」カチャカチャ
美琴「はーい……」
…言われてしまった。
美琴「『大切な人』…か」
美琴「~~~ッ」カァァァ
胸が苦しくて、身悶えする。
体の芯が、とてつもなく熱い。
美琴(『大切な人』って、『大切な人なんだよっ!!』って、~~~きゃー!)クネクネ
その様子をキッチンの陰から覗くインデックスは、
禁書「………」
禁書(一回、病院とかに連れて行こうかな……)
美琴の頭のほうを心配していた。
美琴「ふぅ…」
禁書(なんだか晴れやかな顔をしているんだよ…)
美琴「さっ!洗い物しちゃお!」ガタッ
禁書(うわっ!こっちにきたかも!)ビクッ
美琴「あれ?インデックス、まだいたの?」
禁書「あ、ええと、その…て、手伝おうと思って!」
美琴「いいのよぉぅ別に~、テレビでもみてなさい☆」キャピッ
なんだろう。
この得体の知れないハイテンションは。
なんだか気持ち悪い。
とにかく、今は離れよう。
なんだかこわい。
禁書「あ…わ、わかったんだよ」タタタッ
美琴「ふふん♪ふふふーふふふふーん♪」
キッチンからは、終始鼻歌が聞こえていた。
休憩
あらぬ方向にむかいだして自分でもビックリしてる
きぬはた荘見てきます
あらぬ方向にむかいだして自分でもビックリしてる
きぬはた荘見てきます
----------
キュッ
静かなキッチンに、蛇口を閉める音が響いた。
カウンター越しに見えるインデックスは、ぼーっとした目でテレビを見ている。
おじさんが名目上『国民のため』の政治論を建築し、その他のおじさんたちがそれを取り壊す番組。
勧善懲悪もなければ正解不正解もない、そんな無味乾燥な番組。
そんな番組がつまらないのか、少女は大あくびをしている。
そんな光景を見た後、私はそっと外へ出た。
音もたてずにドアを閉める。
冷たい外気に抱きしめられると、私が私になっていくような、そんな感じがする。
美琴「……」
眼下に広がるのは無人の駐輪場。
一直線の廊下にも、人の姿は見えない。
私一人の空間。
目新しいものなんて無い、私を中心にまわる世界。
そんな何もない世界にいると、人はいつもより自分自身を客観視することができる。
冬の空は、私にノスタルジーに似たものをを運んできた。
ここに来て3日目だが、いろいろなことがあった。
私が知らない自分。
わがままな私。
いじっぱりな私。
意外と料理ができる私。
ちょっと寂しがりやな私。
そして、甘えん坊な私。
美琴「………」
甘えん坊な私…
甘えん坊な…
『アタシのこと…………スキ?』
美琴「…………」
『インデックスぅ、アタシのこと…………スキぃ?』
美琴「………………」
『ねぇ~ん、アタシのことぉ………………スキ?』(笑)
美琴(うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!やっちゃったぁぁぁぁぁぁ!!)ガバッ
寒空の下、男子寮の廊下で、女の子が一人。
美琴(うわぁぁぁぁぁぁどうしよぉぉぉぉぉ)
頭を抱え、懊悩している。
まるでどこかの原住民に捕らえられたイモムシのように、うねうねうねうねうねう
??「…………御坂?」
美琴「へあっ!?」ビクッ!
見られてしまった。
わたくし御坂美琴の人生でも最もドス黒く輝き続けるであろう歴史の片鱗を。
??「あー………」
美琴「えーと、えーと………………ね?」
何言ってんだ私。
脳みそフル回転で導き出した言葉が『ね?』って。
??「…………とりあえず、入るかー?」
美琴「…おじゃまします」クスン
間違いない。
今日は厄日だ。
舞夏「兄貴は仕事でいないから、ゆっくりしていけー」コトッ
美琴「アリガトウゴザイマス…」ズズッ
市販のものとは比べ物にならないほどおいしいカプチーノ。
だが今はそんなシロモノでさえも無味に感じる。
たくさんのトレーニング器具といかがわしいメイド系雑誌であふれかえっている部屋。
その部屋の中央のテーブル、私の対面に座るメイド少女、土御門舞夏は…
舞夏「ニヤニヤ」
二ヤケ顔で、私を見ている。
舞夏「で?」ニヤニヤ
美琴「…なにが」
舞夏「なんで部屋の前でうねうねしてたんだー?」
美琴「……直球で聞くわね」
舞夏「あんなの変質者くらいしかしないからなー。気になる」
美琴「はーい黙秘権ー。プライバシーの権利ー」
舞夏「あっ、こらー!耳をふさぐなー!」
美琴「…なにが」
舞夏「なんで部屋の前でうねうねしてたんだー?」
美琴「……直球で聞くわね」
舞夏「あんなの変質者くらいしかしないからなー。気になる」
美琴「はーい黙秘権ー。プライバシーの権利ー」
舞夏「あっ、こらー!耳をふさぐなー!」
美琴「答えなきゃ……だめ?」
舞夏「『だめ』って言ったらー?」
美琴「刺し違えてでも…」
舞夏「落ち着けー、変質者。」
美琴「変質者言うな!」
『姦しい』という言葉は女性が三人集まるとぎゃあぎゃあと騒がしいというのが由来らしいが、二人でも十分騒がしい。
間延びした声が、優秀なペースメーカーとしての役割りをしているのだろうか?
舞夏「で?」
美琴「今度は何よ…」
舞夏「なんで3日前から隣に住んでるんだー?」
美琴「あれ?よく3日前からってわかったわね?」
舞夏「実はそこに穴が空いているのですー」
美琴「それホント?本当なら今粛清しちゃうけど」バチバチィ!
舞夏「キレやすい若者はダメだぞー。冗談に決まってるだろー?」
美琴「じゃあなんで知ってるのよ?」
舞夏「だってお前ら、うるさいからー」
美琴「…そんなにうるさい?」
舞夏「うるさいぞー。うるさすぎて兄貴と
イチャつけないんだぞー」
美琴「えっ」
舞夏「ん?」
美琴「いや、アンタの兄貴って確かアイツと同い年じゃ…」
舞夏「そんなことより、」
美琴「露骨だけどすごくキレイなスルーね」
舞夏「御坂ー、なんか悩んでないかー?」
美琴「………え?」
舞夏「どうなんだー?」
美琴「……いや、悩みなんて何も…」
舞夏「あーウソついたー」
美琴「ホ、ホントよ!ウソじゃないもん!」
舞夏「………メイドさんはなー、」
美琴「ん?」
舞夏「ご主人様の身のまわりのお世話だけじゃ無くて、表情から気分や体調、その他もろもろを察せなきゃいけないんだぞー?」
美琴「………」カチャ‥
冷えたカプチーノを口に含む。
空気を介して侵入してくるマイルドな香り。
食道を通過した冷たい液体が、噴門を通り、するりと胃に落ちる。
舞夏「で、御坂自身はどうありたいんだー?」
すべてを見透かしたような目を向ける少女。
このまま、すべてを話してしまおうか。
シスターではなく、メイドに。
ぶちまけるように、懺悔してしまおうか。
美琴「アタシは…」
無意識に、ギュッと服を握りしめる。
私は、インデックスのことが好きだ。大好きだ。
あの子を見るたび話すたび、好きな気持ちが膨らんで、張り裂けそうで、苦しくて。
でも、私は、私はまだ、
上条当麻のことも、大好きだ。
今朝の情緒不安定な行動。
それは優柔不断な情けない私が、心の奥から這い上がってきたものなのではないだろうか。
そもそも、アイツとインデックスを同じ天秤に乗せる勇気が、私にあるのだろうか。
私は、『どうありたい』のだろうか。
美琴「アタシは…」
美琴「アタシは…」
臆病で優柔不断な私の、小さな決断はまだ、
美琴「姫で、いたい」
秘めていたい。
舞夏「…そうかー」
舞夏「じゃ、これ以上は詮索しないわー」
美琴「………あの」
舞夏「んー?」
美琴「今日は……ありがとね」
舞夏「どういたしましてー」
心の奥に、想いの炎をそっと隠した。
優柔不断なお姫様の、ささやかな秘めごと。
私は、上条当麻が大好きだ。
でも、
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