私的良スレ書庫
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元スレ美琴「ちょっとアンタ!」 禁書「なぁに?」
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日曜日の昼下がりに似つかわしい穏やかな会話をしている内に、目的地の地下街に到着した。
この地下街には服屋や飯屋、地下街のみに店舗を構える有名スイーツ店など色々な店があり、言うなれば現代版の商店街のようになっている。
少し前、何者かの襲撃により大パニックに見舞われたこの地下街だが、今は見る影も無い。
美琴「そういやさ、」
禁書「ん?」
美琴「インデックスと初めて会ったのって、ここだっけ?」
禁書「そうだよ。みことが走ってきたんだよね」
美琴「そうそう。………っていうかさ、アンタあの時初対面のアタシに『品の無い女』って言わなかったっけ?」
禁書「………………」
美琴「ねぇ」
禁書「………い、言ってないんだよ」
美琴「見上げた『バレ無きゃいい』の精神ね」
禁書「お、覚えてるなら聞かないで欲しいかも!」
美琴「あんなの忘れろって言われても忘れられないわよ」
禁書「もう……」
美琴「ふふ……」
美琴(あの時、アイツのことでちょっとした口論になったっけ)
美琴(………はぁ、時間の流れってのは人を変えるのね)
美琴(あの時はアイツのことが大好きで………いや、今も好きだけど……って何言ってんだアタシ///)
美琴(まったくもう、落ち着けアタシ)
美琴(あの時はアイツだけ。そして今は………)
禁書「? わたしの顔になにか付いてる?」
美琴「ひえっ!? いや、な、なにも!///」
美琴(インデックスのことも、大好きなんだもんねぇ)
禁書「変なみこと」フフフッ
美琴「わ、笑わないでよ///」
禁書「あ、あそこだ!あそこだよみこと!」
美琴「はいはい、はしゃがないの」
禁書「は、はしゃいでないもん」
美琴「よちよち。そーでちゅねー」ナデナデ
禁書「あー!また子供あつか………」
美琴「………あれ? 『子供扱いしないでー!』って言わないの?」
禁書「プリンの一件があるからね」
美琴「そんなに心配しなくても もうしないわよ」
禁書「…………ホントかなぁ?」
美琴「信じなさいよ。仮にも聖職者でしょ?」
禁書「悪魔の囁きは聞いちゃダメなんだよ」
美琴「悪魔ってか。アタシは悪魔ってか」ムニーッ
禁書「ひゃめへー!いはいんはよ!」ムニーッ
美琴「こいつめ。この柔らかほっぺめ」ムニーッ
禁書「うぅ………もうお嫁にいけない………」
美琴「そこまでやってないわよ」
禁書「責任とってもらうからね!」
美琴「そりゃもうよろこんで」
禁書「ん?」
美琴「ううん。なんでもない」
美琴(ひゃー、危なかったわ。つい……)
禁書「まぁいっか」
美琴「何したい?」
禁書「うーん………じゃあ、ぬいぐるみのやつ」
美琴「オッケー。じゃ、両替してくるからちょっと待っててね」
禁書「はーい」
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美琴(ぬいぐるみのやつ………ってユーフォーキャッチャーよね? だったら1000円ちょいで足りるかな)ジャラジャラジャラジャラ!
美琴(よし……っと。………あれ? なんか人だかりが………)
女学生A「ねぇねぇそれさ~コスプレでしょ~?後で貸して?」
禁書「ち、違うよ!これは『歩く協会』っていう防御結界で…」
女学生B「アルクキョーカイって何?新しいブランド?」
女学生A「ブランドでもなんでもいいからさぁ、貸してよ」
禁書「これはわたしのものなんだよ!自前なんだよ!」
女学生B「いやいやいや、そんな私服持ってるやつ見たことねぇから」アヒャヒャヒャヒャ
美琴「………なんか頭の悪そうなのに絡まれてるわね…」
女学生B「あひゃひゃひゃひゃ」
美琴「ちょっとごめんねー」
女学生A「なにあんた?」
禁書「みことー!助けてー!」
女学生B「保護者?その歳で保護者?」アヒャヒャヒャヒャ
美琴「この子の着てる服ね、修道服なの。だから貸せないんだ。ごめんなさい」
女学生A「へー、シュードーフクって初めて見た」
女学生B「え?なに?この子マジモンのシスター?」
美琴「うん。まだ見習いらしいけどね」
女学生A「じゃあそう言ってくれればいいのに。悪かったわね。じゃ」
女学生B「さよーならー」アヒャヒャヒャヒャ
美琴「ふぅ………」
禁書「………」ギュー
美琴「ほら、アンタもいつまで後ろに隠れてんのよ。服が伸びるから手離しなさい」
禁書「う、ううぅ……うううう~」ポロポロ
美琴「うおっ! なに泣いてんのよ!」
禁書「ヒグッ………身ぐるみ………剥がれる、かと………グスッ思っ………てズズッ………」ポロポロ
美琴「それ何時代よ。もう大丈夫だから、泣き止みなさい」ナデナデ
禁書「ううぅ……」グスグス
美琴「………はぁ。たとえ剥がれそうになっても、アタシが守ってあげるから」
禁書「ホント……に?」
美琴「ホントよ。だから泣き止んで。ね?」
禁書「………うん。約束ね」グスッ
美琴「うん。約束」
美琴・禁書「ゆーびきーりげーんまーん………」
>>708
一方さんバカにすんな
一方さんバカにすんな
>>708
そうだぞ。実際に身ぐるみ剥いだ一方さんと同列にするなよw
そうだぞ。実際に身ぐるみ剥いだ一方さんと同列にするなよw
>>708
番外通行「いい度胸た」
番外通行「いい度胸た」
ザワザワ……
ヒソヒソ………
美琴「?」
そういえばこの騒動に気づいた時私は、何かに群がる『人だかり』を見たのだ。
そしてその人だかりはインデックスと彼女に大声で絡む女学生2人を取り囲むヤジウマたちによるもので、私はインデックスを救出するためにその輪の中に入って行った。
その後すぐに女学生2人どこかへ行き、私たち2人がその場に残された。
『ヤジウマたちの輪の中』に。
美琴「………!」
そこまで思考すると、多くの視線が背中、いや、私たちに突き刺さっているのが感じられた。
汗腺が開き、ひやりとした感覚が全身に波及する。
眼前にはインデックスの顔。
目線を合わせるためにかがめた私のからだ。
銀髪を撫でる手が、汗でだんだんとじっとりと濡れてくる。
美琴「ッ!」バッ!
かがめた体を跳ね起こし、辺りを見回す。
すると、
人数にして20人くらいのヤジウマたちが、
「カワイー何あれー」
「ひゅーひゅーもっとやれー」
「百合でござる!百合百合でござるぅぅ!」
「きゃははは、はずかしー」
「いいぞーもっといちゃつけー」
ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ………
美琴「うわぁぁぁぁぁぁ!/////」ダッ!
禁書「ふぇ!?どうしたのみこと、置いてかないでー!」タタタッ
ニヤニヤと私たちのセカイをのぞいていた。
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美琴「はぁはぁはぁ………」グデー
禁書「ぜぇ………ぜぇ………」グッタリ
禁書「み、…………み、こと」ゼェゼェ
美琴「な、に?」ハァハァ
禁書「なぜに………走ったの………かな?」ゼェゼェ
美琴「ああ、なんか、恥ずかし、かった、から」フゥーフゥー
禁書「ひさし、ぶりの………全力、疾走、は、……つら、いんだよ」ゼェゼェ
美琴「ふぅ。情けないわねー。体力不足よ?」フー
禁書「みことは、足、速い、もん。それに、なにが、恥ずかしい、の?」ハァハァ
美琴「えぅえ!?そ、それは………///」
『もっといちゃつけー!』ハハハハハ
美琴「…………な、なんでもない///」
禁書「そんなこと……どうでも……いい……」ハァハァ
美琴「自分から聞いてきて『どうでもいい』って酸欠なの?酸欠で錯乱してるの?」
禁書「どこかで……休みたい……かも」ハァハァ
美琴「うーん……休めるところはー………あっ!」
美琴「インデックス、あそこは?」
禁書「この、際どこで、もいい、よぅ」ハァハァ
美琴「じゃあ決まりね!」フフフ
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御坂美琴の手の中には、2枚の中学生用入場券が握られている。
一枚は近くのソファでへばっているインデックスの分で、もう一枚は自分の分。
2人分の学生証の提示を求められたが、『常盤台』の『超電磁砲』というインパクト大の肩書きに加え、『公共のソファで寝そべるどう見ても14歳以下の少女』見せられた店員は「じゃあいいですよ、もう」と、なんだか投げやり気味に学生証の掲示を無しにしてくれた。
久々に「レベル5になって良かった」と思った。
さぁ、ポップコーンのSとL、ドリンクのSとLをエサにし、寝そべっているシスターを釣りに行こう。
美琴「おーい、起きなさい」
禁書「もう今日はいい………」
美琴「ポップコーンあるわよ」
禁書「いい日だね今日は!」ガバッ
美琴「あっ!まだだーめ!映画が始まってから」ヒョイッ
禁書「むぅ……。で、何を見るの?」
美琴「上映時間が一番早いのを買ったから、内容わかんない」
禁書「いいかげんだね」
美琴「誰かさんが突然休みたいって言ったんでしょうが」
禁書「私のせいじゃないんだよ」
美琴「じゃあ誰のせいなのよー?」
禁書「この世界は神に導かれているんだよ」
美琴「サラッと神様になすりつけてんじゃないわよ」
禁書「細かいことは気にしちゃ損なんだよ」
美琴「高田純次もそんなこと言ってた気がするわ」
禁書「たかだじゅんじ?」
美琴「日本一いいかげんなコメディアンよ」
禁書「そんなのと一緒にしないでほしいかも」
美琴「一緒よ。アンタも半ニート生活してるじゃない」
禁書「………………え、映画はいつはじまるのかな?」
美琴「話題の転換が下手くそね」
禁書「い、いいから!後どれくらい!?」
美琴「えっと、………うおっ!後4分!急げっ!」タタタッ
禁書「えぇぇ、また走るの~?もうやだ~」
ごめんなさい眠いです。今日は途中で切ります。
映画→夜→次の日という流れの予定ですが、バイトが本格的に忙しくなってきたので、今度の投稿は土曜日~日曜日に掛けてのこの時間帯になります。
映画→夜→次の日という流れの予定ですが、バイトが本格的に忙しくなってきたので、今度の投稿は土曜日~日曜日に掛けてのこの時間帯になります。
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ビル街の裏手に『ペガスス座』と書かれた板が掛かった、古びた建物がひっそりとたたずんでいる。
そこに、絹旗最愛はいた。
がらんとした劇場内でところどころ破れ繕われた座席に身をゆだね、どこかくたびれたスクリーンに映るハリウッド産の新作CG映画を眺めながら、あくびを一つ。
(いやぁ、なんといいますか、)
欧米人俳優の「キャメハメハァーン!」という波動砲発射時のセリフを聞きながら、
(この超クソさがたまりませんね)
一人、悦に浸っていた。
ある者は舌打ちを、ある者はブツブツと不満をこぼしながら、エンドロールの流れるスクリーンを背にぞろぞろと劇場を後にする。
彼女一人を残して。
「いや~これはホントに金の超無駄ですね~」
この産業廃棄物並みの作品に視聴料を支払い笑っていられる人間は、おそらく彼女一人だろう。
彼女一人が残った場内が、それを暗に肯定していた。
「あのハリウッドが産み出した、何億という金を使って産み出した作品という超事実………」
「それに加えてこのクソさ!これは超ポイント高いです!」
古びた建物の暗闇で「くぉぉぉぉ!」と悶える小さな影。
言うなればその姿は、『世界変質者協会のエリート候補生』である。
「ふぅ。さて、次は………」
ペガスス座の『一日視聴券』を購入時に付いてきたポップコーン(L)とジュース(L)を隣の席に置き、『上映スケジュール』をガサガサと開く。
上映後のオレンジ色の薄明かりが灯った場内はどこか近代的な趣きがあり気に入ってはいるのだが、文字が見えにくいのが玉に傷だ。
「えーっと………『火熾おばさんの2人のこども』………か。超聞いたことありませんねぇ!」
「オラ、なんだかわくわくしてきたぞ!」と先程見た映画のセリフを口走ってしまう程、B級、いや、C級臭のただようタイトルに、彼女のテンションは本日最高値を記録した。
後方でドアが乱暴に開けられる音を聞いた。
それとほぼ同時に、場内は闇に暮れた。
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美琴「ほら、こっちこっち!早く!もう始まっちゃう!」ヒソヒソ
禁書「ちょっ、ちょっと待って欲しいかも!」ヒソヒソ
美琴「えーっと、B-29は……ここか」
禁書「じゃあわたしは隣だね」
美琴「違うわよ。アンタはあっちでしょ」
禁書「えー。こんなに閑散としてるんだから、どこに座ろうと一緒なんだよ」
美琴「うーん、まぁ、そうなのかなぁ?」
禁書「それに………その、」
美琴「なに?」
禁書「映画………初めてだから、ちょっと怖くって…………///」
美琴「うん。全力でいいわよ。ていうかもう全力でここにいなさい。いや、むしろいるべきだわ」
禁書「うん………?」
禁書(これが現代の日本語なのかな?)
<上映中、携帯電話でのご撮影は………>
美琴「お、きたきた」
禁書「え?これ、映画の本編なの?」
美琴「もしそうだったとしたら制作会社はクレーム地獄に堕ちることになるわね」
美琴「これは映画を見るにあたっての諸注意とか、他の映画の宣伝とかをしてるのよ」
禁書「へぇーそうなんだ」パカッ ピッピッ
美琴「なんでケータイ開いたのよ。人差し指で一生懸命なにしてんのよ」
禁書「いや、『押すなよ』=『おしてくれ』っていうのがジャパニーズカルチャーで………」
美琴「どこで知ったのよそれ。今の小学生知らないわよ」
禁書「『撮るな』=『撮れ』ってことで………」
美琴「そのカルチャーはあの人たちが一身に受け止めてくれてるから、アタシたちはアマノジャクしなくてもいいのよ」
禁書「おぉ!現代に生きるジーザス=クライストなんだね!贖罪的な感じなんだね!」
美琴「まったく違うからキリスト様に謝ろっか。ってかなんでカメラじゃなくてメモ帳開いてんのよ」
禁書「機械は苦手なんだよ」
美琴「もはや死活問題レベルね」
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大きな画面、大きなスピーカー、大きな音。
その全てが体を揺らす。
びりびりと響く音の波が、高鳴る鼓動とリンクするような感覚。
この感覚に魅了されたのが、映画館通いのきっかけだった。
(なんか………超のどかですね)
スクリーンには火熾おばさんが料理をしているシーンが流れている。
前半のあらすじはこうだ。
『時は第二次世界大戦後。
戦争未亡人の火熾おばさんとその子供A子のところに、戦災孤児であるB子が養子としてやってくる。
心を閉ざしたB子は、A子との触れ合いで徐々に心を開いていく、ハートフル戦後ドラマ。』
というものだ。
(なんで超戦後間も無い時に養子として迎えようとするんでしょう………超作りが粗いですね)
などと心の中で批判しながら、B級C級判定を進める。
ハートフルドラマ。
ほのぼの系の王道とも言えるジャンルだ。
しかし、絹旗最愛は知っている。
「たまには、こういうほのぼのもいいもんだ」などという思考は大概、物語の進行と共に崩れ去ることになるということを。
(さ、どんな展開が超待っているんでしょうか)
わくわくとスクリーンに釘付けになりながら、ポップコーンをむしゃむしゃと頬張る。
Lサイズは、まだまだ無くなりそうにない。
『
A子「B子ちゃん!今日はなにする?」
B子「えっ」
A子「もぉ~~~、ちゃんと聞いてたぁ?」
B子「ごめん!聞いてなかった!」
…………』
「………制作者の意図が読めないわ…」
御坂美琴はうんざりしていた。
かれこれ40分にも及ぶハートフル人生劇。
『日常を写実的に再現した』と言えば聞こえはいいが、それはイコール『平坦でつまらない』というものだ。
この映画に、期待はもう無い。
今の楽しみといえば、隣で鼻をフンフン鳴らしながら始めての映画体験をしているインデックスをながめることくらいだ。
手を胸の前でグーにし、身を乗り出し、興奮している。
何がそんなに楽しいのか。
(…………なんか、ぎゅ~~~~ってしたくなるわね)
そんなことを考えたあと、「おっといけない」と頭を横に振り、暗闇に理性が飲まれないよう警戒する。
そうこうしていると、
「…………?」
館内が、シンとした。
どうやら状況が変わるようだ。
『
A子「ねぇ………B子ちゃん、」
B子「なぁに?」
A子「『キス』って知ってる?」
B子「うん。おさかな」
A子「魚類じゃないよ!ちゅーだよ!」
B子「知らなかったー」
…………』
「ほぉ、テーマは超『性への目覚め』ですか」
完全に読めた。
ここから好きな男子に告白し、フられる。
そして友達に励ましてもらい、立ち直る。
『人生にはこんなこともあるんだよ』を教訓とする、ハートフルC級映画。
「ま、そんなトコでしょうね」
「ふぅ」とため息をつき、就寝体勢に入る。
これ以上観る価値は無いだろう。
『
A子「おっくれてるぅ~」
B子「遅れてないもん!」
A子「いいや、遅れてるわ」
B子「じゃあA子ちゃんはやったことあるの!?」
A子「い、いや、ないけど………」
B子「ほーらね、A子ちゃんも遅れてる」
A子「B子ちゃんだってないじゃない!」
B子「むむ」
A子「ねぇ」
B子「なによ」
A子「あのね…………ちゅー………」
B子「?」
A子「B子ちゃんと、ちゅーしてみたいな………って」
B子「なんだ。そんなことか。いいよ」
…………』
「えっ………」
どんどんと落ちていく意識は、聴覚によってサルベージされた。
『
A子「んんっ………んっ」チュッ
B子「んっ………」チュッ
B子「ぷはぁ。こんなんなんだ。キス」
A子「…………B子、ちゃぁん」
B子「ん?」
A子「私ね、本当はね、」
「B子ちゃんのこと、好きなんだ」
』
「………ッ」
絹旗最愛は奥歯を噛み締めた。
意識と共に、こみ上げるものが一つ。
金色の髪、碧眼と共に、こみ上げるものが、一つ。
彼女の名前はフレンダ。
『アイテム』を売った、裏切り者だ。
そうだ。
あいつは死んで当然のことをしたんだ。
よく二人で買い物をして、よく二人で遊びまわり、よく二人で映画を見て、よく二人で缶詰めを探し、よく二人で風呂に入り、よく二人で眠ったあいつは。
(…………………フレンダ………)
友達として、姉として、仲間として。
裏切り者は私にやわらかく接してくれた。
一度、お姉ちゃんと呼んでみたかった。
一度、ありがとうって言いたかった。
一度、おもいっきり甘えてみたかった。
一度…………、一度だけでも、
「フレンダ………」
大好きって、言いたかった。
「……フレンダぁ……………」
もやがかかるスクリーン。
届かぬ声は、音響にかき消され、暗闇に投げ出された。
『
おばさん「何やってるのあなたたち!」
A子「ち、ちがうの!これは………」
B子「チューしてるだけだよ?」
おばさん「な………なんですって?」
…………』
御坂美琴は、A子の恋路を応援していた。
抱いてはいけない感情。
抱いてしまった者の苦悩。
それがわかるから、応援していた。
『
A子「どうして!?どうしてダメなの!?」
B子「A子ちゃん」アセアセ
A子「私は好きなの!B子が好きなの!」
…………』
これだけ、これだけ素直になれたら、私も変われるだろうか?
主張することは大事だ。
芸術しかり小説しかり、自分の見解を伝えることは、自分の内面をリアルの世界に反映させる唯一の手段だからだ。
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