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元スレ上条「二人で一緒に逃げよう」 美琴「………うん」
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上条「それ着てな。パジャマのままだと寒いだろうし」
美琴「これ……あんたの上着……」
上条「ああ。それ、実は父さんのお下がりでさ。何でも外国で買ってきたもんで、これ着てるだけで不幸が逃げるんだと」
美琴「…………へぇ…」
上条「ま、実際はそんな効果あるのかどうか胡散臭いし、譲ってもらってからも別に不幸じゃなくなったわけでもないけど、父さんからもらった時は嬉しくてさ。だからお気に入りでよく着用してたんだ」
美琴「………そうなんだ」
上条「だからさ、それ、俺にとったら宝物みたいなもんだから。そう簡単に手放したくないんだ。だから、ちょっと俺が街に行ってる間、預かっといてくれよ」
美琴「…………………」
美琴は上条の顔を見つめる。上条はそんな彼女にウインクを返してみた。
上条「な?」
実際は、上条は記憶喪失なため、その上着を父親から譲り受けた時の記憶はない。今の話は全て、記憶喪失後に会った父から口頭で聞かされた話であった。だが、その話を聞いた時、上条が嬉しく思ったのは事実であるし、またそれがお気に入りの上着であることは嘘ではなかった。
美琴「……………ふふ」
上条「?」
美琴「……………あんたにもそういうエピソードあるんだ」
口元に手を添え、美琴は笑みを零した。
上条「当ったり前だろ?」
美琴「………分かった。ちゃんと大人しくここで待ってる」
美琴「これ……あんたの上着……」
上条「ああ。それ、実は父さんのお下がりでさ。何でも外国で買ってきたもんで、これ着てるだけで不幸が逃げるんだと」
美琴「…………へぇ…」
上条「ま、実際はそんな効果あるのかどうか胡散臭いし、譲ってもらってからも別に不幸じゃなくなったわけでもないけど、父さんからもらった時は嬉しくてさ。だからお気に入りでよく着用してたんだ」
美琴「………そうなんだ」
上条「だからさ、それ、俺にとったら宝物みたいなもんだから。そう簡単に手放したくないんだ。だから、ちょっと俺が街に行ってる間、預かっといてくれよ」
美琴「…………………」
美琴は上条の顔を見つめる。上条はそんな彼女にウインクを返してみた。
上条「な?」
実際は、上条は記憶喪失なため、その上着を父親から譲り受けた時の記憶はない。今の話は全て、記憶喪失後に会った父から口頭で聞かされた話であった。だが、その話を聞いた時、上条が嬉しく思ったのは事実であるし、またそれがお気に入りの上着であることは嘘ではなかった。
美琴「……………ふふ」
上条「?」
美琴「……………あんたにもそういうエピソードあるんだ」
口元に手を添え、美琴は笑みを零した。
上条「当ったり前だろ?」
美琴「………分かった。ちゃんと大人しくここで待ってる」
美琴は上条を見上げる。
美琴「その代わり、出来るだけ早く戻ってくるのよ?」
上条「へいへい、分かりましたよ美琴お嬢さま」
美琴「へいじゃなくてはい」
上条「はいはい」
美琴「もーう」
上条「………フッ」
美琴「………クスッ」
2人は、笑みを浮かべ合った。
上条「じゃ、行ってくるから。待っててくれ」
美琴「はーい」
それだけ言い、上条は倉庫を出て行った。
美琴「………………」
扉が閉められるまで、上条の姿を目で追っていた美琴。彼が出て行ったのを確認すると、背中に掛けられた上着を深く背負い直し、その温もりに身を浸らせた。
美琴「………暖かい……」
久しぶりに感じた人の熱はとても心地良かった。
美琴「その代わり、出来るだけ早く戻ってくるのよ?」
上条「へいへい、分かりましたよ美琴お嬢さま」
美琴「へいじゃなくてはい」
上条「はいはい」
美琴「もーう」
上条「………フッ」
美琴「………クスッ」
2人は、笑みを浮かべ合った。
上条「じゃ、行ってくるから。待っててくれ」
美琴「はーい」
それだけ言い、上条は倉庫を出て行った。
美琴「………………」
扉が閉められるまで、上条の姿を目で追っていた美琴。彼が出て行ったのを確認すると、背中に掛けられた上着を深く背負い直し、その温もりに身を浸らせた。
美琴「………暖かい……」
久しぶりに感じた人の熱はとても心地良かった。
1時間もしないうちに、上条は戻ってきていた。両手にコンビニの袋を提げながら。
上条「ほら、買ってきたぞ色々と。ご飯は何を食べる?」
床に腰掛けると、上条はコンビニ袋の口を広げた。
上条「取り敢えずこの弁当は温かいうちに食え」
上条は、温められたばかりのコンビニ弁当とペットボトルの緑茶を美琴に渡す。他にも袋の中にはパンやお菓子などがあったが、上条自身は小さなおにぎりを選ぶことにした。
美琴「…………ありがとう」
礼を言うと、空腹感に勝てなかったのか、美琴は早速コンビニ弁当を食べ始めた。
上条「飯食ったら怪我してるとこ、消毒して絆創膏貼ってやる。だけど今はゆっくり食べな」
美琴「…………うん」
お嬢さまらしい作法で食べてはいるが、よっぽどお腹が空いていたのか、どこかがっついている感があった。上条はそんな彼女を見て口元を緩めると、自身もおにぎりをモグモグと食べ始めた。
上条「さっきさ、コンビニ行った時、近くに洋服店見かけたんだ」
美琴「うん?」
上条「今はもう閉まってたけど、明日、朝になったら行って服買ってきてやるよ。さすがにパジャマだけでは動けないだろ?」
美琴「……お金はどうするの?」
上条「街でお前を探してる間に口座から下ろせるだけ下ろしておいた。つっても、元々預けてた金額も大したもんじゃないから、あまり期待は出来ないけどよ」
美琴「………そっか、ありがとう」
2人は今、小さな蝋燭の灯りを頼りにお互いの顔を視認している。蝋燭は上条が倉庫で見つけたものを、美琴が火花を散らして火をつけたものだった。
小さな灯りだったが、今の美琴には、上条の顔を見れるだけで十分ありがたかったし、そして何よりとても安心だった。
上条「とにかく今は食え」
美琴「うん……」
2人の顔を、蝋燭の淡い灯りがユラユラと照らしていた。
上条「ほら、買ってきたぞ色々と。ご飯は何を食べる?」
床に腰掛けると、上条はコンビニ袋の口を広げた。
上条「取り敢えずこの弁当は温かいうちに食え」
上条は、温められたばかりのコンビニ弁当とペットボトルの緑茶を美琴に渡す。他にも袋の中にはパンやお菓子などがあったが、上条自身は小さなおにぎりを選ぶことにした。
美琴「…………ありがとう」
礼を言うと、空腹感に勝てなかったのか、美琴は早速コンビニ弁当を食べ始めた。
上条「飯食ったら怪我してるとこ、消毒して絆創膏貼ってやる。だけど今はゆっくり食べな」
美琴「…………うん」
お嬢さまらしい作法で食べてはいるが、よっぽどお腹が空いていたのか、どこかがっついている感があった。上条はそんな彼女を見て口元を緩めると、自身もおにぎりをモグモグと食べ始めた。
上条「さっきさ、コンビニ行った時、近くに洋服店見かけたんだ」
美琴「うん?」
上条「今はもう閉まってたけど、明日、朝になったら行って服買ってきてやるよ。さすがにパジャマだけでは動けないだろ?」
美琴「……お金はどうするの?」
上条「街でお前を探してる間に口座から下ろせるだけ下ろしておいた。つっても、元々預けてた金額も大したもんじゃないから、あまり期待は出来ないけどよ」
美琴「………そっか、ありがとう」
2人は今、小さな蝋燭の灯りを頼りにお互いの顔を視認している。蝋燭は上条が倉庫で見つけたものを、美琴が火花を散らして火をつけたものだった。
小さな灯りだったが、今の美琴には、上条の顔を見れるだけで十分ありがたかったし、そして何よりとても安心だった。
上条「とにかく今は食え」
美琴「うん……」
2人の顔を、蝋燭の淡い灯りがユラユラと照らしていた。
その頃・イギリス――。
片田舎にある、とある死んだ魔術師が住んでいたアジト。
そこで、インデックスたち『必要悪の教会(ネセサリウス)』のメンバーは今も捜査を続けていた。
インデックス「やっぱり、魔術を消す方法は無いんだよ……」
暗い顔で、インデックスがそう言った。そんな彼女を見て、共に捜査していたステイルたちは無言になった。
彼らは今、アジトの前に止めてあった、死んだ魔術師の車の前に集合していた。
神裂「どうやら、そっちの方面については諦めたほうが得策のようですね……」
顔を曇らせ神裂が言う。
ステイル「元々僕らは、国内の多くの魔術結社が不穏な動きを察知して地域毎に手分けして捜査することになったんだ。結局、僕たちのグループは小物を掴まされた形になったが……」
神裂「その小物というのが厄介でしたね」
ステイル「ああ。どちらにしろ、死んだ魔術師についてはまだ調べる必要がある。国内の大手の魔術結社と繋がってる可能性も無いとも言えないからね。ま、ここまで捜査して有力な手掛かりが見つかっていない以上、その線は低いとは思うが」
神裂「とにかく、あの魔術師が何故、件の少女を狙ったのか。その理由だけでも知っておかないと、気が気でなりません」
神裂の言葉に頷くと、ステイルは車体に背中を預けている土御門の方を向いた。
ステイル「で、あいつはどうだ?」
土御門「どうと言われてもな。ここ数時間、まるっきり連絡が無い」
土御門は肩をすくめる。
土御門「そもそもカミやんは今、携帯電話を修理に出してるんだ。だから迅速に連絡を取れる手段が無い。一応こちらの連絡先を何個か教えておいたが、公衆電話ぐらいでしか連絡を取れない現状だと、リアルタイムの情報を得られないことになるな」
ステイル「チッ、煩わしい」
神裂「ともかく、彼と繋がりがない以上、今我々に出来ることは限られてきます」
ステイル「ああ、どうやってあいつとその少女を助け出すか、だね」
煙草の煙を吐きつつ、ステイルは確認する。
神裂「この魔術はその性質から『世界最凶』と称されるものです。世界を滅ぼすようなものでなくても、困ってる誰かがいる以上、放ってはおけません」
インデックス「うん、その通りなんだよ……」
相変わらずインデックスは暗い顔で言った。
その場にいる4人の間に、軽い絶望感が漂っているのは気のせいではなかった。
土御門「(………カミやん、もう頼れるのはカミやんしかいないぜよ……)」
片田舎にある、とある死んだ魔術師が住んでいたアジト。
そこで、インデックスたち『必要悪の教会(ネセサリウス)』のメンバーは今も捜査を続けていた。
インデックス「やっぱり、魔術を消す方法は無いんだよ……」
暗い顔で、インデックスがそう言った。そんな彼女を見て、共に捜査していたステイルたちは無言になった。
彼らは今、アジトの前に止めてあった、死んだ魔術師の車の前に集合していた。
神裂「どうやら、そっちの方面については諦めたほうが得策のようですね……」
顔を曇らせ神裂が言う。
ステイル「元々僕らは、国内の多くの魔術結社が不穏な動きを察知して地域毎に手分けして捜査することになったんだ。結局、僕たちのグループは小物を掴まされた形になったが……」
神裂「その小物というのが厄介でしたね」
ステイル「ああ。どちらにしろ、死んだ魔術師についてはまだ調べる必要がある。国内の大手の魔術結社と繋がってる可能性も無いとも言えないからね。ま、ここまで捜査して有力な手掛かりが見つかっていない以上、その線は低いとは思うが」
神裂「とにかく、あの魔術師が何故、件の少女を狙ったのか。その理由だけでも知っておかないと、気が気でなりません」
神裂の言葉に頷くと、ステイルは車体に背中を預けている土御門の方を向いた。
ステイル「で、あいつはどうだ?」
土御門「どうと言われてもな。ここ数時間、まるっきり連絡が無い」
土御門は肩をすくめる。
土御門「そもそもカミやんは今、携帯電話を修理に出してるんだ。だから迅速に連絡を取れる手段が無い。一応こちらの連絡先を何個か教えておいたが、公衆電話ぐらいでしか連絡を取れない現状だと、リアルタイムの情報を得られないことになるな」
ステイル「チッ、煩わしい」
神裂「ともかく、彼と繋がりがない以上、今我々に出来ることは限られてきます」
ステイル「ああ、どうやってあいつとその少女を助け出すか、だね」
煙草の煙を吐きつつ、ステイルは確認する。
神裂「この魔術はその性質から『世界最凶』と称されるものです。世界を滅ぼすようなものでなくても、困ってる誰かがいる以上、放ってはおけません」
インデックス「うん、その通りなんだよ……」
相変わらずインデックスは暗い顔で言った。
その場にいる4人の間に、軽い絶望感が漂っているのは気のせいではなかった。
土御門「(………カミやん、もう頼れるのはカミやんしかいないぜよ……)」
上条「単刀直入に言う。御坂、今お前の身に起こっているそれは、とある『魔術』が引き起こしてるんだ」
美琴「……まじゅつ?」
学園都市。取り敢えずの食事と傷の応急処置を終えて、上条は美琴に現在起こっていることについて話すことにした。
上条が口に出した「魔術」という単語。美琴はその言葉にキョトンとする。
上条「………あまり驚かないんだな」
美琴の反応を見て上条は少し不思議そうな顔をした。
美琴「………うん、何だろ? さっき既にあんたから、これは超能力とはまた違った異能の力が原因って聞かされてたから……。それに私実はさ、ロシアに行った時、それっぽいの見てるんだ」
上条「そうだったのか……」
美琴「そりゃ『魔術』だなんていきなり言われても何のことかサッパリ分からないし、そんな知識も無いけど……現状が現状だから。信じるしかないじゃない?」
上条「………………」
平静を装っているが、美琴の表情はどこか辛そうだった。自分には理解不能な現象が自らの身に降りかかっていると聞かされれば、当然のことと言えた。
美琴「……それで、その『魔術』とやらはいつ効果が消えるの?」
上条「…………っ」
多少期待を込めた表情で美琴は訊ねる。上条はそんな彼女の顔を見て思わず目を逸らしてしまう。
美琴「? どうしたの?」
だが、このまま黙っているわけにはいかなかった。
上条「ごめん御坂……」
美琴「え?」
上条「効果は消えない」
美琴「……………え」
1度、躊躇いを見せたが上条は言い切った。
上条「もう、元の状況には戻らない。ずっと、お前はこのままなんだ……っ」
美琴「……まじゅつ?」
学園都市。取り敢えずの食事と傷の応急処置を終えて、上条は美琴に現在起こっていることについて話すことにした。
上条が口に出した「魔術」という単語。美琴はその言葉にキョトンとする。
上条「………あまり驚かないんだな」
美琴の反応を見て上条は少し不思議そうな顔をした。
美琴「………うん、何だろ? さっき既にあんたから、これは超能力とはまた違った異能の力が原因って聞かされてたから……。それに私実はさ、ロシアに行った時、それっぽいの見てるんだ」
上条「そうだったのか……」
美琴「そりゃ『魔術』だなんていきなり言われても何のことかサッパリ分からないし、そんな知識も無いけど……現状が現状だから。信じるしかないじゃない?」
上条「………………」
平静を装っているが、美琴の表情はどこか辛そうだった。自分には理解不能な現象が自らの身に降りかかっていると聞かされれば、当然のことと言えた。
美琴「……それで、その『魔術』とやらはいつ効果が消えるの?」
上条「…………っ」
多少期待を込めた表情で美琴は訊ねる。上条はそんな彼女の顔を見て思わず目を逸らしてしまう。
美琴「? どうしたの?」
だが、このまま黙っているわけにはいかなかった。
上条「ごめん御坂……」
美琴「え?」
上条「効果は消えない」
美琴「……………え」
1度、躊躇いを見せたが上条は言い切った。
上条「もう、元の状況には戻らない。ずっと、お前はこのままなんだ……っ」
>>401
上条△
上条△
美琴「……………………」
上条の言葉を耳にし、美琴は1秒前の表情のまま、口を閉じた。
上条「……………………」
身体をワナワナと震わせる上条。美琴はそんな彼から視線を外し、静かに呟いた。
美琴「…………そっか」
上条「………?」
美琴「はは、そうなんだ……」
だが、彼女は大してショックを受けたような感じではなかった。ただし、あくまで表面上はだが。
美琴「へー………」
上条は素っ気無い反応を見せた美琴に顔を向ける。横顔になった彼女の瞳が、僅かにだが潤んでいた。
上条「…………っ」
瞬間、上条は叫んでいた。
上条「ごめん!!」
美琴「え?」
上条「ごめん御坂!!」
上条の言葉を耳にし、美琴は1秒前の表情のまま、口を閉じた。
上条「……………………」
身体をワナワナと震わせる上条。美琴はそんな彼から視線を外し、静かに呟いた。
美琴「…………そっか」
上条「………?」
美琴「はは、そうなんだ……」
だが、彼女は大してショックを受けたような感じではなかった。ただし、あくまで表面上はだが。
美琴「へー………」
上条は素っ気無い反応を見せた美琴に顔を向ける。横顔になった彼女の瞳が、僅かにだが潤んでいた。
上条「…………っ」
瞬間、上条は叫んでいた。
上条「ごめん!!」
美琴「え?」
上条「ごめん御坂!!」
美琴「? ……どうしてあんたが謝るの?」
頭を下げる上条を見て美琴は不思議がる。
上条「だってっ……! 俺、何も出来なかったから……」
美琴「ちょっと待って……。別にあんたのせいじゃないんでしょ?」
上条「そうだけど……でも俺、御坂が逃げ回ってる間、御坂に何が起こっているのか気付くことも出来ずにいた……。インデックスや土御門が教えてくれたから気付けたけど……あいつらから電話がなかったら、御坂のこと知らないままだった……」
美琴「……そんなの…あんたに関係ないじゃない……」
上条「この右手があるのに……お前を元の状態に戻すことも出来ない……。何が『幻想殺し(イマジンブレイカー)』だよって思うんだ」
悔しそうに上条は言う。
美琴「やめてよ……」
上条「お前1人助けられないなら、いっそのことこんな右手いらないって……」
美琴「やめて!!!」
上条「!!!!」
頭を下げる上条を見て美琴は不思議がる。
上条「だってっ……! 俺、何も出来なかったから……」
美琴「ちょっと待って……。別にあんたのせいじゃないんでしょ?」
上条「そうだけど……でも俺、御坂が逃げ回ってる間、御坂に何が起こっているのか気付くことも出来ずにいた……。インデックスや土御門が教えてくれたから気付けたけど……あいつらから電話がなかったら、御坂のこと知らないままだった……」
美琴「……そんなの…あんたに関係ないじゃない……」
上条「この右手があるのに……お前を元の状態に戻すことも出来ない……。何が『幻想殺し(イマジンブレイカー)』だよって思うんだ」
悔しそうに上条は言う。
美琴「やめてよ……」
上条「お前1人助けられないなら、いっそのことこんな右手いらないって……」
美琴「やめて!!!」
上条「!!!!」
上条が顔を上げる。
美琴「やめてよ……。あんたのせいじゃない……」
上条「でも……」
美琴「違う! あんたのせいじゃない。むしろ、私あんたに感謝してる」
上条「御坂……」
美琴「お願い。自分を責めるのはやめて」
美琴は上条を見つめる。
上条「…………分かった。ごめん取り乱して。悪かった……」
美琴「いいの。だから、私に何が起こったのか。それだけ教えてほしい」
蝋燭の寂しげな灯りを間にして、2人は面しあう。
上条「後悔……しないか?」
美琴「……本当は……怖いけど……」
上条「そっか」
美琴「…………うん」
複雑な表情を浮かべた美琴を見、上条は1拍置くと続きを話し始めた。
美琴「やめてよ……。あんたのせいじゃない……」
上条「でも……」
美琴「違う! あんたのせいじゃない。むしろ、私あんたに感謝してる」
上条「御坂……」
美琴「お願い。自分を責めるのはやめて」
美琴は上条を見つめる。
上条「…………分かった。ごめん取り乱して。悪かった……」
美琴「いいの。だから、私に何が起こったのか。それだけ教えてほしい」
蝋燭の寂しげな灯りを間にして、2人は面しあう。
上条「後悔……しないか?」
美琴「……本当は……怖いけど……」
上条「そっか」
美琴「…………うん」
複雑な表情を浮かべた美琴を見、上条は1拍置くと続きを話し始めた。
えええぇぇ!?!?!?!?!?!?!?!?
それはねーよ・・・乙・・・グスン
それはねーよ・・・乙・・・グスン
今スキマスイッチのアイスクリームシンドロームをききながらこのスレを見てるけど
あれ?
俺の視力こんなに悪かったっけ?
あれ?
俺の視力こんなに悪かったっけ?
乙!
上条さんが右手で美琴に触れている時だけ周囲の人間が殺意を持って美琴に接してこないみたいな感じになって欲しいなー
上条さんが右手で美琴に触れている時だけ周囲の人間が殺意を持って美琴に接してこないみたいな感じになって欲しいなー
>>1乙!超絶乙!
あーロシア編後なのか。
このSSみたいな展開はともかく
原作の美琴も魔術サイドから狙われる伏線はあるんだよな
このSSみたいな展開はともかく
原作の美琴も魔術サイドから狙われる伏線はあるんだよな
美琴の身に今降りかかっている凶事とその発端である、とある魔術。それを説明すべく、上条は続きを話し始めた。
上条「俺も詳しいことは分からないし、イギリスでいち早くお前に発動された魔術の存在に気付いた奴らも大したことは分かっていない。だが、これだけは確かだ。お前を対象に発動された魔術。その名前は……」
美琴「………………」
上条「『 孤 絶 術 式 』」
美琴「こぜつ……じゅつしき?」
美琴は眉をひそめる。初めて聞いた言葉だったが、耳にする限りあまり良い印象は受けなかった。
上条「インデックスって知ってるだろ?」
美琴「ああ……シスターのあの子」
上条「実はあいつも魔術のエキスパートでさ、古今東西様々な魔術の知識があいつの頭の中に入ってる」
美琴「そうだったんだ……。すごいね。全然知らなかった……」
普通ならその衝撃の事実に驚いてもいいはずだが、状況が状況だけに美琴はそうはならなかった。
上条「まあ、インデックスのことはまた別の機会に話すけど、とにかくそのインデックスが言うには、今お前を対象に発動されている魔術の名は『孤絶術式』であることは間違いないらしい」
美琴「…………『孤絶術式』ね」
美琴は自分で確かめるようにその名を反芻する。
上条「肝心なその中身だが……インデックスが言うには、この魔術は、任意の人物を1人だけ、まるで別世界に迷い込んだように今までの人間関係を全て破壊してしまうんだ」
美琴「…………………」
上条「家族、友人といった間柄をな。そして『弧絶術式』の発動を受けた対象の人物は、周りの人間からまるで史上最悪の残虐非道な犯罪を犯した凶悪犯のように見られてしまうというわけだ」
美琴「………へぇ」
美琴は上条の説明に対して、さっきからあまり大した反応を見せていない。だがそれは、負けず嫌いな彼女なりの現状に対する小さな抵抗だったのかもしれない。普通だったら誰であれ、上条の話を聞けば、泣き出すだけでは済まないはずである。
上条「インデックスたちがイギリスで調査した結果、その発動範囲はこの学園都市全域であることが分かった」
美琴「……この学園都市全域……」
上条「俺も詳しいことは分からないし、イギリスでいち早くお前に発動された魔術の存在に気付いた奴らも大したことは分かっていない。だが、これだけは確かだ。お前を対象に発動された魔術。その名前は……」
美琴「………………」
上条「『 孤 絶 術 式 』」
美琴「こぜつ……じゅつしき?」
美琴は眉をひそめる。初めて聞いた言葉だったが、耳にする限りあまり良い印象は受けなかった。
上条「インデックスって知ってるだろ?」
美琴「ああ……シスターのあの子」
上条「実はあいつも魔術のエキスパートでさ、古今東西様々な魔術の知識があいつの頭の中に入ってる」
美琴「そうだったんだ……。すごいね。全然知らなかった……」
普通ならその衝撃の事実に驚いてもいいはずだが、状況が状況だけに美琴はそうはならなかった。
上条「まあ、インデックスのことはまた別の機会に話すけど、とにかくそのインデックスが言うには、今お前を対象に発動されている魔術の名は『孤絶術式』であることは間違いないらしい」
美琴「…………『孤絶術式』ね」
美琴は自分で確かめるようにその名を反芻する。
上条「肝心なその中身だが……インデックスが言うには、この魔術は、任意の人物を1人だけ、まるで別世界に迷い込んだように今までの人間関係を全て破壊してしまうんだ」
美琴「…………………」
上条「家族、友人といった間柄をな。そして『弧絶術式』の発動を受けた対象の人物は、周りの人間からまるで史上最悪の残虐非道な犯罪を犯した凶悪犯のように見られてしまうというわけだ」
美琴「………へぇ」
美琴は上条の説明に対して、さっきからあまり大した反応を見せていない。だがそれは、負けず嫌いな彼女なりの現状に対する小さな抵抗だったのかもしれない。普通だったら誰であれ、上条の話を聞けば、泣き出すだけでは済まないはずである。
上条「インデックスたちがイギリスで調査した結果、その発動範囲はこの学園都市全域であることが分かった」
美琴「……この学園都市全域……」
上条「ああ。単刀直入に言う。御坂……現在、この学園都市にお前の味方は誰一人いない」
美琴「…………、」
上条「俺を除いてな」
美琴「…………………」
上条「お前は……この学園都市にいる限り、幸せにはなれない。たとえレベル5の超能力者だったとしても、ここにいる以上お前に待ち受けているのは、“最悪な結末”だけだ」
はっきりと、上条は言った。
美琴「…………………」
美琴はただ、顔を背けて無表情で黙っているだけだった。
そんな彼女の様子に、一瞬目を伏せた上条は声を掛けようとする。
上条「みさ……」
美琴「あのさ!」
上条「!」
が、その前に遮られてしまった。
上条「な、何だ?」
美琴「うん、あんたの説明のお陰で私に何が起こってるのか大体理解した。でー……その魔術とやらは解決する方法とか無いの?」
明るく努めて美琴は訊ねる。まるで自分はほとんどショックなど受けていないと言いたげに。
本音なら、上条はもうこれ以上、彼女が絶望を味わうような事実は教えたくなかった。だが、隠したところで逆に彼女を苦しめることになるかもしれない。よって、上条は知っている限りのことは全て教えようと判断した。
上条「………魔術にも色々あってな。絶対に解く方法が無いってわけでもない」
美琴「そ、そうなんだ」
僅かに美琴の顔に期待の色が浮かんだ。
上条「だけど今回だけは無理なんだ」
美琴「…………え?」
一瞬、美琴の顔が曇った。
美琴「…………、」
上条「俺を除いてな」
美琴「…………………」
上条「お前は……この学園都市にいる限り、幸せにはなれない。たとえレベル5の超能力者だったとしても、ここにいる以上お前に待ち受けているのは、“最悪な結末”だけだ」
はっきりと、上条は言った。
美琴「…………………」
美琴はただ、顔を背けて無表情で黙っているだけだった。
そんな彼女の様子に、一瞬目を伏せた上条は声を掛けようとする。
上条「みさ……」
美琴「あのさ!」
上条「!」
が、その前に遮られてしまった。
上条「な、何だ?」
美琴「うん、あんたの説明のお陰で私に何が起こってるのか大体理解した。でー……その魔術とやらは解決する方法とか無いの?」
明るく努めて美琴は訊ねる。まるで自分はほとんどショックなど受けていないと言いたげに。
本音なら、上条はもうこれ以上、彼女が絶望を味わうような事実は教えたくなかった。だが、隠したところで逆に彼女を苦しめることになるかもしれない。よって、上条は知っている限りのことは全て教えようと判断した。
上条「………魔術にも色々あってな。絶対に解く方法が無いってわけでもない」
美琴「そ、そうなんだ」
僅かに美琴の顔に期待の色が浮かんだ。
上条「だけど今回だけは無理なんだ」
美琴「…………え?」
一瞬、美琴の顔が曇った。
上条「この『弧絶術式』は数ある魔術の中でもかなり特殊なものでな……解除方法が無いんだよ」
美琴「……………え」
上条「『弧絶術式』は術者が自らの身体に術式を描き、自らの体内にあるエネルギーを使って精製される。聞いた限りだと、何のことはない普通の魔術に見えるけど……実は、長い歴史の中でこの魔術を使う人間はほとんどいなかったんだよ」
美琴「………何で?」
呆然とした表情のまま、美琴は無意識に訊ねる。
上条「この魔術の発動条件には、術者本人の『死』が必要不可欠だからだ」
美琴「?」
そう言われても美琴には何が何だか分からない。
上条「つまり、自らの身体に術式を描いて莫大なエネルギーを体内から直接得るため、術者本人はその発動時における桁外れのパワーで死んじまうんだよ」
美琴「………………」
上条「発動された以上、術者本人が死んじまうんだから、術者が魔術を止めることは当然出来ない。そんなリスクがあるのに、発動される魔術の効果は、人間1人殺すことも不可能。せいぜい対象の人物の人間関係を『最悪』という形で破壊させるだけ。……まあそれでも、その人物にとったら冗談で済まないんだがな……。そんな性質からか、この『弧絶術式』は別名として『自殺術式』とも呼ばれてるんだ」
静かに、上条は説明し終えた。
美琴「…………………」
美琴は何も返さない。ただ、無言でいるだけだ。
上条は彼女の顔を直視出来なかったため俯いていたが、その沈黙は彼にとって耐え切れられるものではなかった。
上条「……………っ」
美琴「……で、でもさ」
と、そこで美琴は再び上条に訊ねてきた。
上条「……ん?」
美琴「ほ、ほら、あんたにはそれがあるじゃない」
美琴が指差した先には、上条の右手があった。
美琴「その……あんたの右手は異能の力なら何でも打ち消しちゃうんでしょ? 現に、あんただけ私を見ても普段通りでいられるんだし」
上条「…………ああ」
美琴「………だったら…あんたがイギリス…だっけ? そこまで行って術者の死体に描かれてる術式に触れればいいんじゃない?」
魔術のことは知らないとはいえ、美琴は飲み込みが早かった。それか、上条の説明の節々から、少しでも解決策を見つけようとしていたのかもしれない。
美琴「……………え」
上条「『弧絶術式』は術者が自らの身体に術式を描き、自らの体内にあるエネルギーを使って精製される。聞いた限りだと、何のことはない普通の魔術に見えるけど……実は、長い歴史の中でこの魔術を使う人間はほとんどいなかったんだよ」
美琴「………何で?」
呆然とした表情のまま、美琴は無意識に訊ねる。
上条「この魔術の発動条件には、術者本人の『死』が必要不可欠だからだ」
美琴「?」
そう言われても美琴には何が何だか分からない。
上条「つまり、自らの身体に術式を描いて莫大なエネルギーを体内から直接得るため、術者本人はその発動時における桁外れのパワーで死んじまうんだよ」
美琴「………………」
上条「発動された以上、術者本人が死んじまうんだから、術者が魔術を止めることは当然出来ない。そんなリスクがあるのに、発動される魔術の効果は、人間1人殺すことも不可能。せいぜい対象の人物の人間関係を『最悪』という形で破壊させるだけ。……まあそれでも、その人物にとったら冗談で済まないんだがな……。そんな性質からか、この『弧絶術式』は別名として『自殺術式』とも呼ばれてるんだ」
静かに、上条は説明し終えた。
美琴「…………………」
美琴は何も返さない。ただ、無言でいるだけだ。
上条は彼女の顔を直視出来なかったため俯いていたが、その沈黙は彼にとって耐え切れられるものではなかった。
上条「……………っ」
美琴「……で、でもさ」
と、そこで美琴は再び上条に訊ねてきた。
上条「……ん?」
美琴「ほ、ほら、あんたにはそれがあるじゃない」
美琴が指差した先には、上条の右手があった。
美琴「その……あんたの右手は異能の力なら何でも打ち消しちゃうんでしょ? 現に、あんただけ私を見ても普段通りでいられるんだし」
上条「…………ああ」
美琴「………だったら…あんたがイギリス…だっけ? そこまで行って術者の死体に描かれてる術式に触れればいいんじゃない?」
魔術のことは知らないとはいえ、美琴は飲み込みが早かった。それか、上条の説明の節々から、少しでも解決策を見つけようとしていたのかもしれない。
美琴「……いえ、そんなことしなくても、時間掛かってでも学園都市の住人の頭とか身体とか触ってったら、何となるんじゃない?」
上条「無理だ」
美琴「!!!!!!」
少しきつい言い方になると思ったが、美琴の目を見据えて上条は断言した。
美琴「…………っ」
上条「『弧絶術式』は大元を何とかしない限り解くことは出来ない。大元、ってのはつまり術者本人か術式のこと」
美琴「だ、だからさ、その死んだ術者の身体に描かれた術式にあんたが右手で触れれば……」
上条「術式は消えてる」
美琴「え?」
上条「術者が死んだと同時、術式は消滅してるんだ……」
どこか辛そうな表情を見せ上条は言う。
上条「『弧絶術式』は発動と共に術者が死んで術式が消える。発動されれば永遠にその効果は消えない。だから術者はもう、ただの死体になってるだけで、仮に俺がイギリスまで行ってその死体に右手で触れたところで何も変わらない。……そう……変わらないんだよ………」
ググッと握った右拳を震わせる上条。
自分の無力さを噛み締めているのか、彼はどこか悔しそうだった。
上条「無理だ」
美琴「!!!!!!」
少しきつい言い方になると思ったが、美琴の目を見据えて上条は断言した。
美琴「…………っ」
上条「『弧絶術式』は大元を何とかしない限り解くことは出来ない。大元、ってのはつまり術者本人か術式のこと」
美琴「だ、だからさ、その死んだ術者の身体に描かれた術式にあんたが右手で触れれば……」
上条「術式は消えてる」
美琴「え?」
上条「術者が死んだと同時、術式は消滅してるんだ……」
どこか辛そうな表情を見せ上条は言う。
上条「『弧絶術式』は発動と共に術者が死んで術式が消える。発動されれば永遠にその効果は消えない。だから術者はもう、ただの死体になってるだけで、仮に俺がイギリスまで行ってその死体に右手で触れたところで何も変わらない。……そう……変わらないんだよ………」
ググッと握った右拳を震わせる上条。
自分の無力さを噛み締めているのか、彼はどこか悔しそうだった。
美琴「…………………」
美琴は悟る。今、目の前にいる少年は、本当に自分を助けようとしていたことを。そしてそのためなら、何でもする覚悟であったろうことも。
だが、彼の自慢の右手でも、今美琴を苦しめている原因を取り除くことは出来なかった。それが、強い信念を持つ彼にとってどれだけ耐えられないことか。美琴には痛すぎるほど分かっていた。
上条「ごめん……御坂……」
美琴「…………………」
それでも彼は嫌になって諦めたりもせず、自らの身を危険に晒してでもここまで来てくれた。ただ、美琴を助けるために。それだけのために。学園都市という巨大な街を敵に回してでも。
上条「ごめんな……」
そう呟く上条の右手はまだ震えていた。
そんな彼を見ると、美琴はこれ以上、彼の口から謝罪の言葉なんて聞きたくなかった。言わせたくなかった。
美琴「…………………」スッ…
上条「!」
だから美琴は、そんな上条の右手にそっと自分の左手を置いた。
同時、彼の右手の震えが止まった。
上条「御坂………」
上条が顔を上げる。そこには、蝋燭の淡い灯りで照らされた美琴の優しい顔があった。
美琴「ありがとう……」
上条「………え?」
美琴は悟る。今、目の前にいる少年は、本当に自分を助けようとしていたことを。そしてそのためなら、何でもする覚悟であったろうことも。
だが、彼の自慢の右手でも、今美琴を苦しめている原因を取り除くことは出来なかった。それが、強い信念を持つ彼にとってどれだけ耐えられないことか。美琴には痛すぎるほど分かっていた。
上条「ごめん……御坂……」
美琴「…………………」
それでも彼は嫌になって諦めたりもせず、自らの身を危険に晒してでもここまで来てくれた。ただ、美琴を助けるために。それだけのために。学園都市という巨大な街を敵に回してでも。
上条「ごめんな……」
そう呟く上条の右手はまだ震えていた。
そんな彼を見ると、美琴はこれ以上、彼の口から謝罪の言葉なんて聞きたくなかった。言わせたくなかった。
美琴「…………………」スッ…
上条「!」
だから美琴は、そんな上条の右手にそっと自分の左手を置いた。
同時、彼の右手の震えが止まった。
上条「御坂………」
上条が顔を上げる。そこには、蝋燭の淡い灯りで照らされた美琴の優しい顔があった。
美琴「ありがとう……」
上条「………え?」
美琴「私、とても嬉しいの。あんたがそこまでして助けにきてくれたことが……」
上条「でも俺は……」
美琴は首を横に振る。
美琴「十分だから。ここまで助けにきてくれたことだけで十分だから……。だから、もう自分を責めないで……お願い……」
本当ならとても泣きたいはずなのに、それどころか美琴はただ、微笑み、上条の怒りを、悔しさを癒そうとしている。
上条「………御坂………」
美琴「ありがとう、当麻」
ニコッと美琴は微笑む。
上条「………………」
その微笑みを見て上条は思う。もう自分を責めるのはやめようと。そして彼女を助けるために全力を注ごうと。
美琴「………でもね」
上条「………ん?」
と、そんな上条に美琴は頼んでいた。
美琴「1つだけ、お願いがあるの……」
上条「でも俺は……」
美琴は首を横に振る。
美琴「十分だから。ここまで助けにきてくれたことだけで十分だから……。だから、もう自分を責めないで……お願い……」
本当ならとても泣きたいはずなのに、それどころか美琴はただ、微笑み、上条の怒りを、悔しさを癒そうとしている。
上条「………御坂………」
美琴「ありがとう、当麻」
ニコッと美琴は微笑む。
上条「………………」
その微笑みを見て上条は思う。もう自分を責めるのはやめようと。そして彼女を助けるために全力を注ごうと。
美琴「………でもね」
上条「………ん?」
と、そんな上条に美琴は頼んでいた。
美琴「1つだけ、お願いがあるの……」
暗く、がらんどうな倉庫を、1つの小さな蝋燭の火が寂しげに照らす。
そんな中、上条は蝋燭が揺れる様をずっと眺めていた。自分の左肩に、美琴の頭を乗せながら。
上条「…………………」
上条は横目で美琴を見る。彼女は今、静かな寝息を立てて心地良さそうに眠っていた。
上条「(御坂………)」
上条から全ての事情を聞き終え、美琴が彼に求めた願いはたった1つ。今日は離れずに、一緒に眠ってほしいということだった。
何故そんなことを頼んできたのか。美琴は理由を述べなかったし、上条もまた聞こうとしなかった。上条はただ、「分かった」と言って彼女の願いを聞き入れてあげた。
美琴「スー……スー……」
歳相応の寝顔を浮かべながら、美琴は上条に身体を預け寝息を立てている。
この2日間、ろくに寝ていなかったのかもしれない。上条の肩という絶対安全・絶対安心な枕を見つけて、彼女はすやすやと熟睡していた。
上条「…………………」
そんな彼女を見て上条は思う。自分はもう、戻れないところまで来てしまったのだと。
彼女を助けようと決心した限り、上条は学園都市を敵に回すことになる。そしてもう彼女を1人ぼっちにすることも出来ない。否、初めから見捨てる気など更々無かったが、どの道この状況は上条にとっても軽いものではなかった。何せ、今まで住んできた学園都市と決別しなければならないのだから。
上条「(覚悟、決める時だな)」
もう、寮には戻れない。学校にも戻れない。美琴と共に逃げる以上、親友や教師たちとも二度と会えないだろう。記憶を1度失っているとはいえ、今まで築いてきたものを捨てるのは上条にとっても勇気のいることだったが、美琴のことを思うと、それも1つの選択と言えた。
上条「(この先どうなるかは正直分からない。だが……)」
上条は美琴の寝顔を見る。
上条「(安心しろ御坂。俺が側についている以上、絶対にお前を死なせない)」
彼は、固く決心する。
美琴「……ん……当麻……」
上条「!」
寝言だった。
美琴「あり……がと……う……」
上条「……………………」
上条は改めて心に誓う。彼女を絶対に死なせはしないと。命に代えてでも、彼女を絶対に守ってみせると。
そんな中、上条は蝋燭が揺れる様をずっと眺めていた。自分の左肩に、美琴の頭を乗せながら。
上条「…………………」
上条は横目で美琴を見る。彼女は今、静かな寝息を立てて心地良さそうに眠っていた。
上条「(御坂………)」
上条から全ての事情を聞き終え、美琴が彼に求めた願いはたった1つ。今日は離れずに、一緒に眠ってほしいということだった。
何故そんなことを頼んできたのか。美琴は理由を述べなかったし、上条もまた聞こうとしなかった。上条はただ、「分かった」と言って彼女の願いを聞き入れてあげた。
美琴「スー……スー……」
歳相応の寝顔を浮かべながら、美琴は上条に身体を預け寝息を立てている。
この2日間、ろくに寝ていなかったのかもしれない。上条の肩という絶対安全・絶対安心な枕を見つけて、彼女はすやすやと熟睡していた。
上条「…………………」
そんな彼女を見て上条は思う。自分はもう、戻れないところまで来てしまったのだと。
彼女を助けようと決心した限り、上条は学園都市を敵に回すことになる。そしてもう彼女を1人ぼっちにすることも出来ない。否、初めから見捨てる気など更々無かったが、どの道この状況は上条にとっても軽いものではなかった。何せ、今まで住んできた学園都市と決別しなければならないのだから。
上条「(覚悟、決める時だな)」
もう、寮には戻れない。学校にも戻れない。美琴と共に逃げる以上、親友や教師たちとも二度と会えないだろう。記憶を1度失っているとはいえ、今まで築いてきたものを捨てるのは上条にとっても勇気のいることだったが、美琴のことを思うと、それも1つの選択と言えた。
上条「(この先どうなるかは正直分からない。だが……)」
上条は美琴の寝顔を見る。
上条「(安心しろ御坂。俺が側についている以上、絶対にお前を死なせない)」
彼は、固く決心する。
美琴「……ん……当麻……」
上条「!」
寝言だった。
美琴「あり……がと……う……」
上条「……………………」
上条は改めて心に誓う。彼女を絶対に死なせはしないと。命に代えてでも、彼女を絶対に守ってみせると。
今日はこれで終わり。
最近投下が少なくて進むの遅くてごめん。
取り敢えずまだまだストックは残ってるけど、猛烈に
書き溜めしてるとこです。
ではまた明日。
最近投下が少なくて進むの遅くてごめん。
取り敢えずまだまだストックは残ってるけど、猛烈に
書き溜めしてるとこです。
ではまた明日。
・・・
・・・乙・・・グスッ
『また明日』だね?待ってるから・・・!絶対来て下さい
・・・乙・・・グスッ
『また明日』だね?待ってるから・・・!絶対来て下さい
>>445
そ れ だ !
そ れ だ !
>>447
死んだ人間は生き返らせられないんじゃなかったっけ?
死んだ人間は生き返らせられないんじゃなかったっけ?
■■「悪意を向けられて。この名前欄が変わるなら。孤絶術式バッチこい。本当に苦しいのは。気付かれないこと……」
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