元スレ白望 「二者択一……?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
301 = 216 :
ごくり
303 = 142 :
断ち切らなければならない。
足を前に進めなければいけない。
それでも。それでも、最後に。
白望 「みんな……ありがとう」
誰にも聞こえないように。
誰にも気づかれないように、私は一筋の涙を流した。
さようなら。
さようなら、私のイメージの中のみんな。
必ず、現実で一緒に生きていこう。
扉を見据える。
取っ手に手を掛ける。手が、震える。
この扉の向こうには、きっと辛い現実が待っているだろう。
白望 「それでも……」
扉に全体重をかけた。心なしか、今までの扉より重く感じる。
ゆっくり、ゆっくり扉が開いていく。
白望 「私は、現実の世界を生きる」
そして、私は金色の光に包まれた――。
304 = 160 :
がんばれシロ
306 = 142 :
見知らぬ、白い天井。
焦点は定まらず、頭はぼんやりとしている。
白望 (……生きてる、のかな)
生の実感が無い。
意識が朦朧としていると、空間もあやふやだ。
本当に、帰ってきたのだろうか。
手を動かしてみる。問題なし。
膝を曲げてみる。こちらも問題なし。
首を傾けてみる。
左。何やらよくわからない機器だらけだ。
右。右……。
胡桃 「シロ……」
大泣きした胡桃が抱きついてきたのは、その直後だった。
307 = 216 :
胡桃生きてたー
308 = 142 :
どうやら、私は約一週間も意識を失っていたらしい。
体は少し痩せていたが、幸いにも目立つ火傷は無かった。
唯一、退院を許されている熊倉先生から現状を聞いた。
熊倉先生は軽傷で済んだらしい。
火と煙が充満するホテルから助け出され、担架で運ばれている最中には意識がはっきりしていたとのこと。
病院で軽い手当を受け、翌日には病院を出たとか。
まず、塞が二日目に目を覚ました。
右足に火傷が残っているが、塞は「まあ、ラクショーってことで」と笑顔だったらしい。
心配をかけさせまいとする、彼女らしい気遣いだと思った。
次に、目を覚ましたのは胡桃。
丸三日間、意識不明だったそうだ。私たちの中では比較的、体は健康に近いらしい。
目を覚まさない私たちと、まだ歩けない塞の病室を行ったりきたりしていたとのこと。
さらに、豊音が昨日、目を覚ました。
豊音は外傷がひどく、背中に大きな火傷を負った。
床にまで届きそうな長い黒髪も焼け焦げ、肩口程度の長さまで短くなっているらしい。
まだ起き上がることはできないが、笑顔を見ることができたとか。
309 = 206 :
エイちゃん…?
310 = 156 :
うう…
311 = 164 :
姉帯さん…
312 = 142 :
そして、エイスリンは……。
トシ 「……エイスリンは、昨日の夜亡くなったよ」
白望 「え……?」
動きが止まる。体が冷気に包まれる。
……エイスリンが、死んだ?
トシ 「あの子も昨日まで意識不明だったんだけど……」
胡桃 「エイちゃん、昨日の夜目を覚ましたの」
胡桃 「シロ、シロって言いながら……」
熊倉先生の隣に座っていた胡桃が言葉を引き継ぐ。
目に涙を浮かべた胡桃が、手に持っていたホワイトボードを差し出す。
そこにはこう書かれていた。
『ごめんなさい ありがとう』
313 = 230 :
なんだと
314 = 216 :
ちゃんエイ……
315 = 142 :
それを見た瞬間、私は全てを理解した。
長い孤独の間に考えていた、『ナニカ』に関する違和感が溶かされていく。
もう一つ気になっていたこと、それは『ナニカ』の正体。
白望 (塞との会話を選んだ二者択一……)
あの二者択一に、私は大きな違和感を感じていた。
それまでの生理的欲求に関わる二者択一とは、明らかに異質だ。
白望 (熊倉トシと臼沢塞、という固有名詞……)
扉の文字には二人の名前があった。
だが、私は「誰かと話をしたい」と願いはしたが、名前を口にした覚えはない。
『ナニカ』が私の思考を読めるという説も立ててはいた。
だが、私はどうしても……二人の名前を、私たち宮守女子麻雀部を、
その『ナニカ』が初めから知っていた、という考えを忘れることができなかった。
『ナニカ』の二者択一は、私に対してあまりに優しすぎた。
ただ、一つの二者択一を除いて。
全身に鳥肌が立つ。
景色が、エイスリンのメッセージが霞んでいく。
316 = 142 :
胡桃 「シロ。エイちゃんは最後、笑顔だったよ」
胡桃 「目を閉じた後も、綺麗な顔だった」
胡桃が何かを言っている。
だが、言葉は頭に入ってこない。
聴覚が、視覚が、五感が正常な機能を失っていく。
胡桃 「シロ、私たちはずっと友達だから……」
誰かの、咽び泣く音が聞こえる。ひどく耳障りだ。
死の淵をさ迷っていたときに、あの空間にいたのは私だけではなかった。
確かにいたのだ。いるかどうかわからなかった『ナニカ』が。
エイスリン。
どうして、どうしてあのとき――。
エイスリンに言いたいこと、聞きたいことが溢れ出しそうになる。
けれど、白い病室には延々と嗚咽の音が漏れ続けるだけだった。
白望 「二者択一……?」 おわり
317 = 216 :
乙乙。エイちゃんええ子やった……
318 = 148 :
乙乙乙乙
地の文うまかった
319 :
なるほど
エイスリンだけなんか違うと思ったがそういうことか
乙
320 = 236 :
>>1乙
昨日から待った甲斐があった
321 = 154 :
乙、久しぶりに見入ったわ
322 = 225 :
乙
全俺が泣いた
323 = 160 :
おつおつ
エイちゃん…
324 = 156 :
『かくらくるみがしぬ』
『えいすりんうぃっしゅあーとがしぬ』
どういうことでしょうかね…(震え声)
325 :
よかった乙
326 = 206 :
お疲れ様サマです…
327 = 142 :
支援・保守・乙、ありゃたーす
長らく付き合っていただいて、感謝です
バイトから帰ってきたら、エイちゃん視点のepisode of side-Aを、
このスレが残ってれば、ここに投下します
もし付き合ってくださる人がいれば、またよろしくお願いします
じゃあぼちぼちバイト行ってきます
328 :
待ってるぞー
329 = 156 :
おいおいそんなの見ない手はないぞ!
いつ頃帰るか教えてくれ
330 = 142 :
>>329
混み具合によるんで、早ければ夜の10時くらい
遅くてすまんな
331 :
>>330
保守しないから落ちたら別スレたててね
332 = 160 :
保守、任されました
333 = 156 :
俺もバイトだから保守できないわ
残ってたらいいなー
334 = 206 :
保守班任せた
336 = 164 :
乙
力になれなくてすまない
保守班頼んだ
337 = 156 :
6時までは保守する
338 :
乙です
339 :
おつおつ
340 :
ぞくぞくした
342 :
ほ
343 = 156 :
ほ
346 = 342 :
ほ
347 = 156 :
ほ
349 = 342 :
ほ
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