元スレ白望 「二者択一……?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
651 = 620 :
>>643
交換ずついなくなるやつだっけ?
652 :
保守する奴って何かに取り憑かれてるよな
お前らっていつ寝てんの?
653 = 472 :
俺が寝ても代わりはいるもの
659 = 624 :
何かに取り憑かれたかのように保守
660 = 471 :
ほ
661 = 471 :
ほ
663 = 471 :
ほ
664 :
寝ながら保守
665 = 473 :
おはようございます、保守あざす
残り約30レス 投下していきます
666 = 482 :
よし来た
667 = 472 :
待ってた!
668 = 484 :
ktkr
最後くらいさるかからないように支援するぜ
669 = 471 :
来た!すばら!
670 = 473 :
本音を言えば、みんなと一緒に卓を囲んでいたかった。
シロの後ろに立つ。輪に入ることができない私の、唯一の贅沢だった。
それから、私はみんなに併せて道化を演じ続けた。
エイスリン 「ソレデイイトオモイマス!」
エイスリン 「シロ、ガンバッテ!」
シロが、こっちの世界から抜け出せなくするために。
現実から目を背けさせ、私と一緒に過ごすことを選ばせるために。
エイスリン 「シロ! ツヅケヨ!」
エイスリン 「マージャン、タノシクナイ?」
ひどい無理をしていた私は、きっと上手く笑えていなかっただろう。
そのような状況下でも、シロは私たちの画策を跳ね除けてきた。
671 :
おお
672 :
しえん
673 = 473 :
白望 「私は、現実を知るためにここにきた」
シロの一言で、この空間はうって変わったように静まり返った。
無理やり笑顔の仮面を被っていた私たちは、一瞬で無表情に変わる。
エイスリン (シロ……。ヤッパリ、ワタシ、オシエルッ……!)
塞 「なんのために?」
白望 「……この空間から抜け出すために」
胡桃 「辛い現実を知る必要があるのかな?」
白望 「……もう、私はそれを選んだ」
トシ 「その先に、シロの大事な人たちがいない可能性があってもかい?」
白望 「……っ」
三人の詰問に対して、シロは黙り込んでしまう。
弱さを露呈するシロを見ると、現実を伝えることに手が控える。
彼女に深い傷を負わせてしまうのではないかと怯えてしまう。
エイスリン 「イママデドオリ……ソレガイチバン!」
口から出た言葉は、虚飾なのか、本心なのか。
私自身にもわからなかった。
677 = 473 :
結局、彼女らは現実をシロに伝えても構わないと判断したようだ。
対局は続けつつも、シロの疑問を解消するように言葉を発していく。
トシ 「この空間は、あくまでイメージだよ」
エイスリン (ワタシガツクッタ、イメージノセカイ)
白望 「じゃあ、ここにいるみんなは偽者……」
エイスリン (チガウ、ワタシダケハ、ニセモノジャナイ)
白望 「現実の私はどうなる……?」
エイスリン (ゲンジツノ、シロハ……)
ここまで強く前に進んできたシロも、動揺しているようだ。
彼女がらしくない振込みをしたのは、その直後のことだった。
胡桃 「現実のシロは、死ぬよね」
胡桃 「――ロン。5200」
678 = 654 :
待っとったで
679 = 672 :
しえん
681 = 473 :
そして、とうとうシロは辛い現実を知る。
私たちがホテル火災に巻き込まれたこと。
私たちが意識不明の重体であること。
知るたびに、シロの顔は悲壮に満ちていった。
そんな彼女に、追い討ちをかけることが、どうしてできただろう。
気づくと私は、彼女を傷つけたくない気持ちでいっぱいだった。
エイスリン 「ツライ、ゲンジツ……」
エイスリン 「シラナクテ、イイコトモアル」
エイスリン 「シロ、ソウオモウヨネ?」
白望 「……」
私の質問に、シロが答えることはなかった。
綺麗な瞳が揺れる。彼女の意思が、薄弱なものへと変化したことがうかがえた。
682 = 672 :
しえん
684 = 635 :
しえーん
685 = 473 :
トシ 「誰もあなたを責めたりはしないわ」
トシ 「辛い現実を選ばないことは、逃げることじゃない」
トシ 「誰もがそんなに強い人間じゃないのよ」
センセイが諭すように言う。
この言葉は、シロの精神に大きな影響を与えたようだった。
白望 「ちょい……タンマ……」
擦れ出た声。
まるで、彼女の弱い部分が露わになっているようだった。
きっともう、現実に生きることを否定し始めているのだろう。
そんなシロの様子を確認すると、塞がサイコロを回した。
第一段階、現実の拒否。次にやることは、決まっている。
688 = 473 :
豊音 「今のこの時間は楽しまないと損だよー?」
そう、第二段階は、この空間への執着。
みんなと麻雀をする。
変わらない安心を感じさせることで、ここで生きることを考えさせる。
トシ 「シロは気を張りすぎよねぇ」
塞 「いつもは、ダルい……、ばかりでユルユルなのにね」
胡桃 「え? 塞、今のシロの真似のつもり?」
エイスリン 「ニテナイ!」
塞 「え……」
豊音 「でもでも、ちょーかわいかったよー」
普段と変わらないやり取りをする。
一見、微笑ましい光景だが、本質は酷い戯曲だ。
それでも、シロはその光景を見て微笑んでいた。
689 = 672 :
しえん
690 = 473 :
それからは、ただただ麻雀をする時間だった。
当初は手が控えていたシロも、流れを掴んで初めて和了った。
白望 「ツモ、2900オール」
シロの微笑が、更に深くなる。心から楽しんでいるようだ。
表情に乏しい彼女だが、私達はその変化を見逃さない。
胡桃 「シロが笑ってるー」
塞 「本当だ。やっぱり、こうやってみんなと打つのは楽しいよね」
豊音 「私もちょー楽しいよー」
シロは、私達の罠にかかった。
恐らく、この世界で生きていたいと、思わせることに成功した。
シロが私を手招きする。
来た。明らかになる、彼女の意志が。
横に立つと、私の耳元に口を寄せた。鼓動が高鳴る。
大好きなシロの息がかかる。頬が紅潮するのを感じる。
シロ、この世界でワタシと――。
私は、幸福の絶頂に達しようとしていた。
692 = 672 :
しえん
693 = 473 :
白望 「みんなで、ずっとここに居てもいいかもね……」
エイスリン (――エ?)
彼女は今なんて言った?
みんなで? ワタシとではなく、みんなで……。
一気に転落する。悲しみが私の体中を覆う。
浮かれたいた自分に、ひどく腹が立つ。
普通に考えれば、当たり前のことだった。
みんなとの日常を過ごすことで、シロに現実への未練を断ち切らせる。
その先にシロが望むのは、宮守女子麻雀部のみんなと過ごす時間なのだ。
この後、シロが現実での死を選択したとして、
死の世界に住まうことになったとき、私しか居なかったらどう思うだろう。
それは、完全なる裏切りだ。
695 = 473 :
エイスリン (シロ……)
きっと、私だけの力で、この空間でシロの傷を癒しても、
さきほどの耳打ちのような言葉は、きっと出てこなかっただろう。
みんながいる場所にいたい。
それが、シロの選択なのだろう。
そうだとすれば……この空間に留まらせることは、
最終的に、シロの望まない選択をさせたことになってしまう。
エイスリン (シロ)
私は何故、ここにきた。今一度、思い出せ。
エイスリン (シロ、ワタシハ、アナタノチカラニナリタイ)
エイスリン (アナタヲ、ササアエテアゲタイ)
エイスリン (アナタニ、シアワセニ、ナッテホシイ!)
697 = 473 :
大好きな人に、二度と会えなくなる。
それはとても辛い。その苦しみに、耐えられる自信が無い。
だが。
大好きな人が、不幸になる。
それは、会えなくなることより辛い。
だから私は――。
白望 「……エイスリン?」
シロが困惑した表情で私を見ていた。
大丈夫。ボードを使わずとも、私があなたの「迷い」を産み出してあげる。
エイスリン 「シロ……」
孤独に苛まれた、シロの今まで。そして、辛い現実が待つであろう、シロのこれから。
私はシロのことを想いながら、一筋の涙を流した。
エイスリン 「ホントニ、ソレデイイノ……?」
白望 「え……?」
エイスリン 「ズット、ココニイル。シロ、コウカイシナイ?」
699 = 671 :
しえんですよー
700 = 473 :
シロは返事をしなかった。
だが、挙動に、空気に、些細な変化が現れる。
胡桃 「……」
塞 「……」
豊音 「……」
三人の視線が私を貫く。だが、そんなことは関係ない。
私はシロに選択肢を与えただけなのだから。
最後に決定するのは、シロ自身だ。
胡桃 「シロ、なにを迷ってるの?」
塞 「ここで、ずっと過ごせばいいじゃん」
豊音 「私たちもずっと一緒だよー」
トシ 「今までと変わらない、誰も傷つくことが無い世界でいいじゃないか」
弱い私たちの、必死の誘惑。
沼の奥地に引きずり込まんとする、泥に塗れた罠。
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