元スレ白望 「二者択一……?」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
151 = 142 :
トシ 「シロ、どうしたんだい?」
笑顔。
塞 「私たちが、変?」
笑顔。
胡桃 「今日はシロのほうが変だよ」
笑顔。
豊音 「麻雀続けようよー」
笑顔。
エイスリン 「マージャン、タノシクナイ?」
笑顔。
張り付いた笑顔。
渦巻いていた違和感が深まる。
152 = 142 :
白望 「私は、現実を知るためにここにきた」
私の一言で、部室はうって変わったように静まり返った。
笑顔だった五人は、一瞬で無表情に変わる。
塞 「なんのために?」
白望 「……この空間から抜け出すために」
正すような、詰問。
胡桃 「辛い現実を知る必要があるのかな?」
白望 「……もう、私はそれを選んだ」
試される、覚悟。
トシ 「その先に、シロの大事な人たちがいない可能性があってもかい?」
白望 「……っ」
揺れる、心。
153 = 146 :
もうBADは確定ですか・・・
154 :
まだだ…まだ分からんよ…
155 = 142 :
エイスリン 「イママデドオリ……ソレガイチバン!」
今まで通りってなんだろう。
朝起きて、学校へ行って、部活をして、家に帰って寝る。
塞がイジられて、胡桃が注意して、豊音がはしゃいで、エイスリンが絵を描く。
変わらない日常があって、みんながいれば、今まで通りなのだろうか?
胡桃 「まあ、シロが知りたいなら話すしかないんじゃないかな」
塞 「そうだね。知った上で、また考えることもできるわけだし」
豊音 「じゃあ、麻雀続けながら話そうか。サイコロ、回すよー」
豊音がサイコロを回した。
流されるままに、私は山から引いた牌を揃えていく。
しかし、とてもじゃないが麻雀に集中できる状況では無かった。
トシ 「さて、どこから話せばいいものかね……」
打牌の音が響く中、熊倉先生が話を切り出す。
視線を河と手牌に移しながらも、聴覚は自然と研ぎ澄まされる。
157 = 142 :
白望 「そもそも、この空間はなに……?」
トシ 「この空間は、あくまでイメージだよ」
白望 「イメージ……?」
豊音 「簡単に言えば、現実ではないっていうこと」
それと同時に、豊音が「ポン」と発生する。
手元から二枚牌を晒すと、塞が捨てた牌を引き入れた。
白望 「じゃあ、ここにいるみんなは偽者……」
塞 「んー、それはちょっと違うかな」
塞 「現実にいる私たちが本物で、ここにいる私たちが偽者かどうかは」
塞 「気にする必要の無い概念だね」
158 = 146 :
猿よけ
159 = 142 :
胡桃 「気にする必要があるのは……」
胡桃がツモ牌を引き入れ、手元から河に牌を捨てる。
綺麗に並ぶ捨て牌は、彼女の几帳面な性格を如実を示している。
しかし、私の頭は河から情報を拾おうとはしない。
トシ 「どこで生きていくか」
エイスリン 「トシサン、セイカイ!」
どこで生きていくか。
生きる場所が本物になる。現実か、否かは関係ない。
つまり、この空間で生きることもできるということか。
白望 (でも、ここで生きていくことを選択したら……)
白望 「現実の私はどうなる……?」
気づけば、上家の塞からリーチがかかっていた。
対面の豊音も四副露し、裸単騎で待ち構えている。
私は少し迷った末、二人の現物を河に捨てた。
胡桃 「現実のシロは、死ぬよね」
胡桃は、山から牌をツモろうとしなかった。
160 :
ふんふむ
161 = 156 :
しえん
162 = 144 :
振り込むのは痛そうだな
163 = 142 :
胡桃 「――ロン。5200」
胡桃が手牌を倒す。
タンヤオ、ドラ2。私らしくない振込みだ。
胡桃はいつもリーチをかけない。
だからこそ、聴牌気配と捨て牌には気を配らないといけない。
迷彩をかけつつ、出和了りを誘うために他家の安牌に待ちを寄せてくる。
そんなことは、当然わかっていたはずだ。
白望 「……はい」
胡桃に点棒を渡す。これで、私の一人沈みだ。
豊音が三三〇〇〇点。胡桃が二六二〇〇点。
塞が二三〇〇〇点。私が一七八〇〇点。
それほど、冷静でいられていないということだろう。
そして、塞の一言がそんな私に追い討ちをかけた。
塞 「……まあ、現実の私たちは、死の淵をさ迷っているんだけどね」
164 :
追いついた
面白い
165 = 142 :
白望 「……え?」
自然と口から言葉が漏れる。
視界が揺れる。動悸が激しくなる。呼吸が苦しくなる。
それでも、意志が折れないようにと、無理やり言葉を捻り出す。
白望 「それは、どういうこと……?」
胡桃 「シロは、この世界に来るまでの記憶はどこまである?」
この世界に来るまでの記憶……。
全国大会の二回戦、私たちは清澄と姫松の前に敗退した。
翌日はオフを利用して、みんなと東京を巡り遊んだ。
そして、遊びつかれた私たちはホテルに戻り、それぞれの部屋で寝た。
記憶にあるのは、ここまでだ。
白望 「……ホテルに戻って眠りに就いたところまで」
胡桃 「そっかー、そうだよね……」
胡桃が俯く。僅かに窺うことのできる瞳は、濡れているように見えた。
が、それも束の間。胡桃が顔を上げ、キッと強気な視線を私に向けた。
胡桃 「私たちはね、大規模なホテル火災に巻き込まれたんだよ」
166 :
リトバスか
167 = 144 :
他作品は出さないほうがいい
168 = 142 :
白望 「……ホテル火災?」
塞 「そう、今私たちは病院に運ばれて、処置を受けているの」
塞 「有毒なガスを吸い込んだり、火傷もひどいみたいで……」
塞 「シロ、あなたも意識不明の重体なんだ」
火災?火傷?
意識不明の重体?
唐突に事実を突きつけられ、頭が混乱する。
豊音 「ちょー熱かったねー……」
豊音 「この空間に来てからも、思い当たる節は無かった?」
白望 「思い当たる節……?」
169 = 144 :
いや、○○っぽいって書くのはあれかなーと思っただけ
170 = 164 :
豊音の一言が怖い
171 = 142 :
豊音に言われて、この空間に来てからのことを思い返してみる。
火事……。火傷……。熱い……。
そこまで考えて、ハッと息を飲む。
水。
この空間に来てから、嫌に喉が渇いたことを思い出す。
水を求めて森をさ迷い、屋敷にたどり着いた。
そこで初めて提示された二者択一……水を飲むか。否か。
火。
屋敷の火鉢には、まだ火が生きていた。
墨が徐々に赤みを増していく様を見て、汗が流れ落ちた。
熱いからではない。それは、恐怖からくる冷や汗だった。
そして、赤ドラの拒否。
これも恐らく、精神的なものが関係しているのだろう。
火を連想させる赤。これが、恐怖の対象として、無意識に脳に刷り込まれたのか。
他にも、いくつか思い当たる節があった。
172 :
なるほど
173 :
書き溜めはあるのかないのか
174 = 166 :
リトバスの内容も同じようなものだからリトバスかっていっただけ他意はない
175 = 142 :
胡桃 「火災が起きた時刻は、夜中だったみたい」
胡桃 「火元は2階。私たちの部屋があった3階のすぐ下だね」
胡桃 「遊びつかれた私たちは熟睡してて、火事に気づくのに遅れた」
胡桃 「煙はもちろん、火も3階に達した」
胡桃 「シロは煙を吸い込んで気を失った」
胡桃 「だから、シロの記憶は眠りに落ちたところで止まっているのかな?」
胡桃 「本当に知らないのか、それとも記憶にしまいこんだのか……」
胡桃はゆっくりと言葉を紡いでいく。
子どもに言い聞かせる母親の如く、優しい笑顔を私に向ける。
176 :
>>174
ネタバレすんなカス
177 = 142 :
エイスリン 「ツライ、ゲンジツ……」
エイスリン 「シラナクテ、イイコトモアル」
エイスリン 「シロ、ソウオモウヨネ?」
白望 「……」
エイスリンの質問に、私は答えることができなかった。
辛い現実。
意識不明の私たちが、全員揃って目を覚ますことがあるのか。
仮に全員で生きることができたとして、体には大きな火傷を負っている。
後遺症もあるかもしれない。女性として生きていくには辛い身体になっているかもしれない。
何より、一番考えたくないこと。
私が生きていても、誰かが、みんなが、死んでいるかもしれない。
そんな現実を、生きていかなければいけないということ。
178 = 142 :
トシ 「誰もあなたを責めたりはしないわ」
熊倉先生が、諭すように言う。
トシ 「辛い現実を選ばないことは、逃げることじゃない」
トシ 「誰もがそんなに強い人間じゃないのよ」
白望 「ちょい……タンマ……」
出てきたのは、酷くかすれた声だった。
私の選択は間違っていたのだろうか。
そう思えるほど、私は動揺し、心は深く傷ついていた。
塞 「まだ考える時間はあるから……続けよっか」
両手で頭を抱え、思考が整理されない私を他所に、
塞がボタンに手を伸ばしてサイコロを回した。
180 = 142 :
さーせん、明朝から用事があるんで今日はここで終わりにします
続きは明日の昼ごろから、スレが残っていればここに投下します
支援、さる回避等ありがとうございました
>>173
ある
>>174
ええんやで、なんかすまんな
183 = 156 :
乙、俺も寝る
184 = 164 :
保守タイムか…
途中までなら任せろ
186 = 172 :
とりあえず乙
187 :
っす
190 :
191 :
乙
ほ
195 :
ひどいネタバレを見た気がする
196 :
犯人はヤス
198 :
寝る
200 = 164 :
最後の保守
あとは頼んだ
みんなの評価 : ★★★
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