元スレP「ヤンデレをプロデュースするのは大変です」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
403 :
れぅ
404 :
ほしゅだっ
405 :
ち
406 :
星
407 :
面妖な…
408 :
愛する
409 = 408 :
諦めたか…
410 :
おっきしてほ
411 = 406 :
んあー
412 :
シマウマだが起きたぞ 準備するから待っててね
414 = 412 :
第三章 雪歩の様子を見に行く編
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① ※冷静な三人称視点
P「ふぁあー。朝が来ちまったか…」
やよい「お兄ちゃんたお寝坊さんです。もうお昼近くですよ?」
そこはPの見慣れない部屋のベッドだった。
昨夜止まったラブホテルだ。しかもここは
愛知県内だから、関東から外に出たことのないPら
にとって異国の地に等しい。
やよいはにこにこ笑っている。
P「今更だがおはよう、やよい」
やよい「おはようですー」
415 = 412 :
Pが頭をなでてやると、やよいは猫のように喜んでいた。
(この子から邪気が消えて言ってるのがわかる。
俺にも妹がいたらこんな風に慣れたのかな)
Pはそう思っていた。邪気が消えたといえば彼も
そうなのかもしれないが。
P「もう旅は十分満足したかな」
やよい「え」
唐突なPの発言に戸惑うやよい。この旅の目的は現実逃避
することだった。しかし道中で星井さんや水瀬さんらと会い、
正直言って心が休まったとは言い難い旅だった。
P「でもやよいちゃんとも仲良くなれたし、まあ悪くないと思ってる」
やよい「やよいちゃんじゃ他人行儀でつまらないです。
いつもみたいにやよいって呼び捨てにしてください」
P「そ、そうか。じゃあやよい」
やよい「えへへ///」
416 = 412 :
やよいの頭をもう一度撫でてしまうPだった。
初めはあんなに嫌っていた彼女なのに、
こうして自然と分かり合えるのだから
人間とは不思議な生き物だと思った。
きっと我々には何かのきっかけが必要なのだ。
Pはそう考え、ずっと気になっていたことをやよいに訊くのだった。
P「前質問したけど、邪魔が入って聞きそびれちまった。
今度こそ萩原雪歩さんのことを教えてくれるかな?」
やよい「いいですよ。雪歩さんなら今ごろ入院してるはずです」
P「なっ……」
一時的な記憶喪失に陥っているPは、雪歩の顔すらよく
覚えていなかったほどだったが、入院という言葉に
驚きを隠せなかった。
417 = 406 :
生きててよかった!さるよけ
418 = 412 :
Pの脳裏にかすかによみがえる記憶。最後に出社した日の765事務所で、
雪歩という少女は制裁という名の暴力を振るわれていた(第一部を参照)
はっきりこの目で見たわけじゃないが、凄まじい女の悲鳴だけはよく覚えていた。
やよい「みなさんが容赦しなかったから、今頃無視の息かもしれません」
P「なんてことだ……」
Pは一方的に制裁を喰らった雪歩さんのことを想像し、涙しそうになった。
彼の手元には雪歩さんの隠し撮り写真がある。見るからに清楚なこの
女の子が、悪女たちにいじめられたなど、考えたくもなかった。
やよい「大丈夫ですか? 顔色が悪いですよ」
P「し、心配かけてごめんな。もう大丈夫だ」
Pはペットボトルの水を飲み、頭をクールダウンさせた。
屑の世界代表レベルだった彼でさえ、雪歩さんのことを
想像するとはらわたが煮えくり返るのだった。
P「雪歩はどこの病院にいるんだい?」
419 = 412 :
やよい「それが、私たちには知らされてないんです」
P「どうして?」
やよい「アイドルたちにとどめを刺されない様にって理由で、
律子さんと社長さんがどこかの大学病院に入院させたそうです。
どんな場所なのかはあずささんですら知らないと思います」
あのあずささんでも知らない病院だと?
どこか別の世界の俺もお世話になってそうな病院だな(前作)
P「じゃあどうすれば病院の所在が分かるんだ?
律子にでも直接訊いてみるか?」
やよい「それも無理だと思います。律子さんならもう姿をくらましましたから」
P「え」
やよい「あんなに頑張っていたプロデューサー業も、キチガイを相手にするのに
疲れたみたいで、しばらく放浪の旅に出るとか言ってました」
421 = 412 :
Pは驚愕したが、一方で納得もしていた。律子も自分を同じ心境に
至っていたことに、ある種の連帯感を感じていたからだ。
キチガイを相手にしてれば誰でもこうなる。
Pは、まだ露出趣味などに目覚めないだけでも冷静な方だと筆者は思う。
竜宮小町、律子が作り出したあのユニットの大ヒットから、
ナムコプロの躍進はスタートしたといってよかった。
彼女は今頃転職先でも探してるのかもしれないが、
Pはそれが無性に哀しく思った。
(ははっ。変だな。俺はまだあんなクソ事務所に未練があるってのか?)
そう思うPだが、少なくともアイドルたちには未練があるのだろう。
特に萩原雪歩さんとは恋人同士だったのだ。会いたくないわけがない。
やよい「手がかりは事務所にあるはずです。残された書類とか
PCを調べれば手がかりが手に入ると思います」
P「そ、そうだね」
やよい「まだ希望を捨てないでください。私たちはきっとまた
雪歩さんに再開できますから」
422 = 377 :
さるよけ
423 = 412 :
こんな小さな子供に励まされてるのを情けないと思うかは人の自由だ。
だが、Pはやよいのことがたまらなく好きになってしまいそうだった。
P「やよいっ。ありがとうな!! おまえのおかげで少し元気が出たよ」
やよい「うっうー。プロデューサーの元気な姿を見てるとこっちまで
うれしくなるです」
あずさ「それはよかったわね~。じゃあそろそろ出発しようかしら?」
Pは一瞬だけ戦慄を覚えたが、もう慣れっこだ。ここにいてはいけないはずの
人物がいきなり現れるなど、何度も体験してきたことだ。
あずささんはぽわぽわしてるし、敵意がないのもわかる。
この人とホームに帰れるならむしろ安心だろうと思った。
一応ここはラブホテルなのだが、突っ込むのも疲れていた。
P「おはようございます、あずささん。伊織は一緒じゃないんですか?」
あずさ「ああごめんなさい。伊織ちゃんなら昨日お仕置きしちゃいました」
424 = 377 :
さるよけ
425 = 412 :
P「ほえ?」
いきなり理解しろと言われても無理な話である。
それを分かってるあずさが補足を加える。
あずさ「やよいちゃんとプロデューサーさんに嫉妬しちゃったんでしょうね。
プロデューサーさんを家に連れ戻すとかほざいてたので私が
絞めておきました。悪い子にはお仕置きが必要ですもんね。
プロデューサーさんもそう思うでしょう?」
P「はっ。ははははっ。は、はい。全くその通りだと思います」
Pは、以前見たソ連製映画の内容を思い出していた。
たしか政治委員とかいう人たちが下級将校をこんな感じで
脅してるシーンがあった。KGBとやらも聞いたことがったような気がした。
Pは不覚にもソ連の人々の苦労を理解してしまったのだった。
やよい「とにかく出発するです。伊織ちゃんならタフだから大丈夫ですよ」
P(できれば二度と会いたくないがな)
426 = 412 :
こうして三人は再びJRの電車に揺られ、関東を目指すのであった。
行き当たりばったりの旅の前回とは違い、今度はきちんと
路線を調べていった。
乗り換えもスムーズにすみ、あっという間に都心へ戻った。
(それでも距離があったので半日近くかかったが)
ついにホームへ到着である。
あずさ「懐かしいですね。あれが私たちの第二の故郷。
765プロの事務所ですよ」
P「あの半壊してるビルらしきものがですか?
どんな劣悪な設計をしたらああなるんだ。
いつ倒壊してもおかしくないですよ」
やよい「うっうー。まるで重戦車の砲撃に耐えていたような感じです」
やよいの指摘が的を射ていた。二階部分のガラスは全て割られていて、
壁もところどころひびが入っている。もはや事務所というより
戦場跡といったほうが正しいかもしれない。
428 = 412 :
P(ホラーゲームだったら、こういうダンジョンはつねにあるな。
建物の中には化け物が出て切るんだ。そして俺たちは書類などを
読み漁り、事件のなぞ解きをしていく)
まさに現在の状況はそのような感じであった。
彼らに与えられたミッションは、雪歩の病院の所在を確かめること。
あずさ「まずは社長室に行きましょう。あの人は気がくるって
ゲイバーにめざめたらしく、今頃はお尻の穴を開拓されてる
最中でしょう」
やよい「うええ。気持ち悪い趣味です」
P「ほんと吐き気がするな。つーか社長なにやってんだよ」
俺たちはボロボロになってる階段を慎重に上り、二階の事務所を目指した。
(二階であってるよな? 間違ってたらスマン)
429 = 412 :
あずさ「ここが社長室ですね」
やよい「あたりまえですけど誰もいませんね。椅子やテーブルが
その辺に飛び散ってること以外は普通です」
社長室は少しだけ荒らされていたが、PCはまだ残っていた。
念のため電源を入れてみると、しっかりと起動してくれた。
P「これはいいぞ。何か雪歩の手がかりになるようなことはないか?」
Pが夢中になってPCを操作するが、やはり社長のPCなので
強力なパスワードロックがされていて中身が見れない。
P「くそっ!!」
苛立ったPが、その辺の棚を蹴ってしまう。
すると、棚の上から一冊のノートが落ちてきたではないか。
あずさ「あらあら。ほこりだらけになってるノートね。
いったい誰が書いたものかしら」
430 = 394 :
黒井か
431 = 377 :
さるよけ
432 = 412 :
ノートの表紙には何も書かれていなかった。
あずさが表紙をめくると、中には日記と思わしき
内容が書かれていた。
『プロデューサーさんったら、また女のことばっかり見てる。
許せない許せない許せない。どうして私ことは見てくれないの?』
『あの女がまたプロデューサーさんに色目を使っていた。
遅くまで事務所に残って営業帰りのプロデューサーさんを
待ってる。プロデューサーさんはどうしてあんな女に騙されるの?』
『ちくしょう、ユキホ。ハギワラユキホ。ユキホ。コロス。コロシテヤル』
三人はノートの内容を見て驚いていた。
所属アイドルの中でプロデューサーをさんづけする人は限られてる。
チッ チッ チッ
夕暮れの静寂の中、時計の針の音が妙に響いた。
433 = 412 :
外では何事もなく車の往来があるが、
何の気休めにもならず、Pは背筋が凍る思いをしていた。
まだ夕方なのに少し早い夜が訪れたような気分だった。
生唾を飲み込んでからあずささんに問いかける。
P「これを書いたのは春香でしょうか?」
あずさ「……その可能性は高いですね」
あずささんも真剣な顔をしていた。
いつも笑顔の彼女ですら今は真顔だ。
P(くそっ……震えが止まらない……。
俺はどうしてこんなに弱くなっちまったんだ……?)
秘められた少女たちの思いの強さ。その方向性を
失えば恐るべき狂気へと変貌する。
Pはアイドルに関わる仕事をしてこれほど恐ろしいと
思ったことはなかった。
436 :
あずささんもプロデューサーさんと呼ぶが・・・・
437 = 412 :
やよい「お兄ちゃん。そんなに怖がらないでください。
私がそばにいてあげるから大丈夫ですよ?」
やよいはPの両手を握ってくれた。柔らかくて優しい感触がした。
彼女の汚れがなさそうな笑みを見てると、自然と安心してしまう。
P「ありがとうな。やよい?」
やよい「えへへ。またナデナデされちゃいました///」
まさに仲のいい兄妹という表現が正しいだろう。
Pにとってやよいは最高の精神安定剤だった。
どうしてもっと早くやよいと仲直りしなかったのかと後悔していた。
一方のあずさはまだ真顔だ。
あずさ「このページ、まだ続きがありますよ」
P「え」
438 = 412 :
内容はこうだった。
『ああああああああ あの女あああああああああああああ。
ぜっーーーーーたい生きて返さない!!!!!』
『……jひあsh……コロス……ユkホ……』
後半の分は文字になってなかった。なぜなら用紙が
血で汚れていたからだ。
Pは推測する。たとえばこれを書いた人物が、
リストカットなどをしてたとすれば、
ノートが血で汚れるのも納得できる。
いずれにせよ狂人の日記だ。Pはやよいと繋いだ手を
離せずにいた。今は彼女のぬくもりがないと、気が狂いそうだった。
あずさ「恐らくは春香ちゃんか、あるいは他の誰かが書いたんでしょう。
脅かすよな言い方をして申し訳ないんですけど、
この子はまだPさんを狙ってるでしょうね」
439 :
どうなるんだ一体
441 = 412 :
P「そ、そんな……」
ショックを通り越して眩暈がしそうになった。
まるで自分の娘のように可愛がっていたアイドルたちだったのに。
どこで道を踏み外したらこんなことになるのか。
あずさ「落ち着いてくださいプロデューサーさん。
私もやよいちゃんもマトモですよ。探せば
他にも正常な子がいるはずです」
やよい「どうか希望を捨てないでください。お兄ちゃんは
いっつも前向きだったじゃないですか」
P「ああ。ありがとう。二人の言うとおりだな」
身近に励ましてくれる人がいるのは、本当にありがたいことだった。
Pはこの二人にいくら感謝してもしきりれないほどの恩を感じていた。
普段からおっとりした性格の二人は見てるだけでも癒されるものだ。
442 = 412 :
あずさ「この部屋には。もうめぼしきものはなさそうですね」
いちおう社長室には軍用のナイフも見つかったのだが、
そのまがまがしさに恐れをなしてしまい、触れることすらできなかった。
ようは危険そうなものはスルーである。
P「じゃあ、次は事務所ですね。あそこが一番大きな被害を受けてるのは
間違いあません。何が待ち構えてるのか分からないからより慎重に行きましょう」
Pが先頭、続いてあずさ、やよいという順で事務所に入っていく。
いつもなら元気にあいさつをしながら入っていく場所だ。
P「おーーーい!! 誰か中にいないのか!!」
扉を開けたままの状態で叫んでみた。
仮に女の子たちが潜んでいるならPの帰還を喜び、
出てくるはずだったからだ。
念のため一分くらい返答を待ったが、返事はなかった。
あずさ「中へ進みましょう。ここなら多くの手がかりが見つかるはずです」
443 = 412 :
三人は三手に分かれ、それぞれの場所を散策することにした。
もちろん事務所は散々に荒らされていて足の踏み場もない。
足元には家具やガラスの破片、そして様々な書類が散乱しており、ひどい有様だ。
P「うああああああああ!! な、なんだこれは……!!
大の男が腰を抜かしてしまうほどの衝撃とは何のか。
騒ぎを聞きつけたやよいとあずささんもそれを確認した。
百戦錬磨と思わしきあずささんですら……
あずさ「……う」
吐きそうになるのをこらえるがやっとだった。
天井には首吊り用のロープがあったのだ。
ロープは人間の血を吸っていてドス黒く染まってる。
死の塗装。そこは日常から遠く離れた魔界だった。
444 = 436 :
もはやヤンデレでもなんでもない
445 :
うおお残ってる
がんばって
446 = 377 :
765プロは地獄や…
447 = 412 :
やよい「あっちの隅に踏み台と思われるものが見つかりました。
これってもしかして……」
その次は言わなくても察することができた。
絞首刑の執行に使われる台なのだろう。
罪人を裁くために作られたものだ。
断じてアイドル事務所に置かれていていいものではない。
血の匂いもすごかった。鉄を腐らせたような異臭が漂っている。
あずささんはハンカチで鼻を押さえながら喚起しようと思ったが、
初めからガラスが割られていたので無意味だということに気が付く。
誰もが戦慄して震えそうになっていた時だった。
ドドドーーン
全員「……!?」
突然鳴った物音に心臓が飛び出そうなほど驚いた。
448 = 440 :
怖し…
449 = 412 :
何か重たいものが落ちてきた音だ。
音は女子更衣室の方から聞こえてきた。
やよい「……っ」
P「……うっ」
二人とも恐怖のあまり動けずにいた。
もはやここに来たのは間違いだったとすら思っていた。
もともとは雪歩の入院先さえ知れればよかったのだ。
アイドルという名の狂人とここで出くわせば、
命を取られてもおかしくはない。
Pは更衣室を確認しに行く勇気が出なかった。
あずさ「気持ちはわかりますよプロデューサーさん。
狙われる危険性が一番高いのがあなたです。
ここは私に任せてください」
P「ひ、一人で更衣室に行くつもりですか?」
450 = 440 :
あずさ△
みんなの評価 : ★★★
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