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元スレ紳士「お暇でしたら保健室の先生になってみませんか?」
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黒髪「ここまで……ですね」
栗毛「こ、これ……」
ツインテ「す、すごい、なあ……」
日記の節々に、涙のあとがあった
引っかいたようなあとも見える
日記からは、“本来の私”の苦悩が、痛さを覚えさせるほどに滲み出ていた
眼鏡「せ、先生……」
ひし、と眼鏡の少女は俺の服の裾を掴み、顔を伏せる
男「入り浸っていた……、そういう、ことか」
今の自分がやっている保健室の先生とは、余りにかけはなれた姿
……いや、謹慎によって、保健室がリセットされた、と考えるべきだった
もとより入り浸っていた生徒は、謹慎により保健室から離れた
結果、普通の子達が入れるようになり、今ここに居る子たちが、保健室へとやってきた
男「リセット……。そうか、このタイミングで、俺が入れ替わっているのか」
紳士「……然様」
男「……」
栗毛「こ、これ……」
ツインテ「す、すごい、なあ……」
日記の節々に、涙のあとがあった
引っかいたようなあとも見える
日記からは、“本来の私”の苦悩が、痛さを覚えさせるほどに滲み出ていた
眼鏡「せ、先生……」
ひし、と眼鏡の少女は俺の服の裾を掴み、顔を伏せる
男「入り浸っていた……、そういう、ことか」
今の自分がやっている保健室の先生とは、余りにかけはなれた姿
……いや、謹慎によって、保健室がリセットされた、と考えるべきだった
もとより入り浸っていた生徒は、謹慎により保健室から離れた
結果、普通の子達が入れるようになり、今ここに居る子たちが、保健室へとやってきた
男「リセット……。そうか、このタイミングで、俺が入れ替わっているのか」
紳士「……然様」
男「……」
男「まさか……」
“本来の私”はどこへ行った
嫌な予感が頭をよぎる
“俺”がどこへ行ったかの答えを、思い出す
男「……おい、どういう、ことだ」
紳士「……さあ」
男「……これ、は……」
男「い、いや、だが死んではいない、はずだ」
男(女)「ここに体が、ある。……彼女としての生活も、続けられている」
紳士「……」
金髪「……本来の中身は、いったい……」
男(女)「……っ」
男(女)「……気は引けるが……、他のページも、読んでみるしかない」
どこかに、手がかりが、あれば
“本来の私”はどこへ行った
嫌な予感が頭をよぎる
“俺”がどこへ行ったかの答えを、思い出す
男「……おい、どういう、ことだ」
紳士「……さあ」
男「……これ、は……」
男「い、いや、だが死んではいない、はずだ」
男(女)「ここに体が、ある。……彼女としての生活も、続けられている」
紳士「……」
金髪「……本来の中身は、いったい……」
男(女)「……っ」
男(女)「……気は引けるが……、他のページも、読んでみるしかない」
どこかに、手がかりが、あれば
後ろのページから、段々と前へ前へと、時間を遡る
九月はほとんど、十月とかわらない生徒への呪詛ばかり
男(女)「……ん」
9/19
彼のように自殺をする、というのも手かもしれない
男(女)「彼……?」
ところどころに、自殺とセットのようにして彼、というのが出てきていた
男(女)「……これか……!」
9/4
休日だから、勇気を出して、あの人の家を尋ねてみた
だけど、追い返されてしまった
そのときに聴いた言葉が頭から離れない
……彼は、自殺をしてしまったらしい
いつ? どこで? それもわからない
彼にまた会いたいと思って、もう十七年もたっただろうか
私のことを忘れていてもいいから、会いたかったのに
ひどいよ
九月はほとんど、十月とかわらない生徒への呪詛ばかり
男(女)「……ん」
9/19
彼のように自殺をする、というのも手かもしれない
男(女)「彼……?」
ところどころに、自殺とセットのようにして彼、というのが出てきていた
男(女)「……これか……!」
9/4
休日だから、勇気を出して、あの人の家を尋ねてみた
だけど、追い返されてしまった
そのときに聴いた言葉が頭から離れない
……彼は、自殺をしてしまったらしい
いつ? どこで? それもわからない
彼にまた会いたいと思って、もう十七年もたっただろうか
私のことを忘れていてもいいから、会いたかったのに
ひどいよ
金髪「……貴方の事、ですね」
男(女)「……ああ」
金髪「一七年前……。貴方が小学生の頃ではありませんか」
男(女)「…………ああ」
覚えていない
全く、覚えていない
男(女)「君は誰、なんだ……」
まるで思い出そうとすると、そこだけ隠されているような感覚
紳士「……」
紳士はなぜか、少しさめた顔をしていた
男(女)「続きを、読むぞ」
日記を、めくっていく
男(女)「……ああ」
金髪「一七年前……。貴方が小学生の頃ではありませんか」
男(女)「…………ああ」
覚えていない
全く、覚えていない
男(女)「君は誰、なんだ……」
まるで思い出そうとすると、そこだけ隠されているような感覚
紳士「……」
紳士はなぜか、少しさめた顔をしていた
男(女)「続きを、読むぞ」
日記を、めくっていく
八月は夏休みだったからだろうか
呪詛は見当たらない
それよりも、一般的な日常の生活が、たくさん書かれていた
知り合いと遊びにいったとか、研修が大変だったとか
でも、保健室の事には、ふれていなかった
男(女)「……こ、れは……」
8/14
お盆休み、実家に帰る前に、私は昔遊んだ土地へと行ってみた
山がきれいな所で、昔とあまりかわっていなかった
いつも書いている彼とは、ここで出会ったのだけど、
四年生の頃に私が引っ越してしまってから、会えていない
そうそう、タイムカプセルを彼と埋めた
たしか彼は「これはタイムマシンだよ」なんていっていたっけ
今度一緒に開けようと言っていたのに、結局開けずじまい
今日は小さな宿にとまる
8/15
好奇心に負けて、一人でタイムマシンを掘り返してみた
そしたら、あとから入れたような缶の中に、手紙がはいっていた!
住所が書かれていて、もし見る事があったら連絡をください、って書いてあった!
いつ入れたものだろう、きっとずっと昔だと思うのだけど……
でも今日は、恥かしくて、尋ねることができなかった
近いうちに今度、勇気をだしていってみよう
呪詛は見当たらない
それよりも、一般的な日常の生活が、たくさん書かれていた
知り合いと遊びにいったとか、研修が大変だったとか
でも、保健室の事には、ふれていなかった
男(女)「……こ、れは……」
8/14
お盆休み、実家に帰る前に、私は昔遊んだ土地へと行ってみた
山がきれいな所で、昔とあまりかわっていなかった
いつも書いている彼とは、ここで出会ったのだけど、
四年生の頃に私が引っ越してしまってから、会えていない
そうそう、タイムカプセルを彼と埋めた
たしか彼は「これはタイムマシンだよ」なんていっていたっけ
今度一緒に開けようと言っていたのに、結局開けずじまい
今日は小さな宿にとまる
8/15
好奇心に負けて、一人でタイムマシンを掘り返してみた
そしたら、あとから入れたような缶の中に、手紙がはいっていた!
住所が書かれていて、もし見る事があったら連絡をください、って書いてあった!
いつ入れたものだろう、きっとずっと昔だと思うのだけど……
でも今日は、恥かしくて、尋ねることができなかった
近いうちに今度、勇気をだしていってみよう
男(女)「俺があとから、手紙を入れた……?」
金髪「なるほど……、これならば、貴方が言っていた中学生以上高校生以下の時代という範囲から、すり抜けられる」
男(女)「……全然、覚えていない」
紳士「……」
男(女)「なんでだ、まるっきり、まるっきり覚えてない……」
男(女)「どういうことなんだ……?」
金髪「まるっきり、ですか」
男(女)「……」
ページをまた、捲っていく
七月は後半は比較的落ち着いていたが、前半はつらそうだった
それでも、罵る言葉は見当たらない
六月後半もまた、少し辛い文章がみえたが、時間を遡るにつれて、明るい姿になっていた
生徒達に手を焼いている先生、といったような文面
五月はすべて、明るい
不良の生徒の話は、ほとんどでてこない
頑張っているのが、よくわかった
金髪「なるほど……、これならば、貴方が言っていた中学生以上高校生以下の時代という範囲から、すり抜けられる」
男(女)「……全然、覚えていない」
紳士「……」
男(女)「なんでだ、まるっきり、まるっきり覚えてない……」
男(女)「どういうことなんだ……?」
金髪「まるっきり、ですか」
男(女)「……」
ページをまた、捲っていく
七月は後半は比較的落ち着いていたが、前半はつらそうだった
それでも、罵る言葉は見当たらない
六月後半もまた、少し辛い文章がみえたが、時間を遡るにつれて、明るい姿になっていた
生徒達に手を焼いている先生、といったような文面
五月はすべて、明るい
不良の生徒の話は、ほとんどでてこない
頑張っているのが、よくわかった
これはどの月も同じであったが、ちょくちょく“彼”がでてきた
八月の文面からさっするに俺の事をさしているのだろう
俺の住所を発見するまでは、連絡先がわからなかったらしい
とはいえ、書かれた昔の事を読んでも、俺は全くピンとこなかった
四月は一日も欠かさず日記が記されていた
4/28
保健室の先生の仕事は、今日も大変
でも、夢が叶って嬉しい
私は何か気づくたびに「保健室の先生お仕事ノート」に書き込んでいる
研修の時につくって、それからずっと使っている
本当は「先生あのねを目指すために」っていう名前にしようとしていたけれど
人に見られるかもしれないと思うと恥かしくて、やめてしまった
ただちょっとわるあがき
裏表紙に、あとをつけてやった
男(女)「……夢が叶って嬉しい、か……」
九月や十月の日記を読んだあとでは、その言葉がとても、つらい
男(女)「……」
たまらず、ぐっと拳を握る
八月の文面からさっするに俺の事をさしているのだろう
俺の住所を発見するまでは、連絡先がわからなかったらしい
とはいえ、書かれた昔の事を読んでも、俺は全くピンとこなかった
四月は一日も欠かさず日記が記されていた
4/28
保健室の先生の仕事は、今日も大変
でも、夢が叶って嬉しい
私は何か気づくたびに「保健室の先生お仕事ノート」に書き込んでいる
研修の時につくって、それからずっと使っている
本当は「先生あのねを目指すために」っていう名前にしようとしていたけれど
人に見られるかもしれないと思うと恥かしくて、やめてしまった
ただちょっとわるあがき
裏表紙に、あとをつけてやった
男(女)「……夢が叶って嬉しい、か……」
九月や十月の日記を読んだあとでは、その言葉がとても、つらい
男(女)「……」
たまらず、ぐっと拳を握る
日記を読み進めたことで、彼女の事をなんとなく、わかってきた
思ったとおり、心優しい人間のようだ
しかし彼女自身を見つけるための手がかりは、やはり何も、ない
男(女)「四月は、これでおわりか」
もう日記をじっくりと読んでいるのは、俺と、ブロンドの少女だけであった
結構な時間がたっている、すでに深夜だ
男(女)「あ、お、お前ら家に連絡は」
黒髪「大丈夫よ。知り合いの家に泊まってくるって言っといた」
黒髪「ここで寝てる二人も、ね」
黒い紙の少女を中心に、眼鏡の娘はよりかかり
元気な娘は、膝枕をされていた
金髪「私もメールで連絡していますし、この子も」
机に伏せて寝ている栗毛の少年の頭を、ブロンドの少女はそっと撫でる
男(女)「いつのまに」
黒髪「貴方が日記に集中している間に。結局一番よんでるじゃない」
男(女)「す、すまん、どうにも気になってな」
思ったとおり、心優しい人間のようだ
しかし彼女自身を見つけるための手がかりは、やはり何も、ない
男(女)「四月は、これでおわりか」
もう日記をじっくりと読んでいるのは、俺と、ブロンドの少女だけであった
結構な時間がたっている、すでに深夜だ
男(女)「あ、お、お前ら家に連絡は」
黒髪「大丈夫よ。知り合いの家に泊まってくるって言っといた」
黒髪「ここで寝てる二人も、ね」
黒い紙の少女を中心に、眼鏡の娘はよりかかり
元気な娘は、膝枕をされていた
金髪「私もメールで連絡していますし、この子も」
机に伏せて寝ている栗毛の少年の頭を、ブロンドの少女はそっと撫でる
男(女)「いつのまに」
黒髪「貴方が日記に集中している間に。結局一番よんでるじゃない」
男(女)「す、すまん、どうにも気になってな」
三月に入った
どうやら、学校始まる前は引継ぎ作業をしていたようだ
3/28
もうすぐ四月
早く生徒が登校してこないかな
とってもたのしみだ!
3/26
養護教諭は、狭き門
実家からはちょっととおいけど、やっと採用してもらった職場だ
がんばって、立派な先生になろう
あのねっていわれてやる
3/24
こちらに引っ越してきた事で、学校に行くのが楽になった
研修のために毎朝5時おきは、ちょっとつらかった
今日からは7時起きです
男(女)「……なるほど、な」
男(女)「さて、これで最後か」
一番最初のページへ、たどり着く
男(女)「――ッ!?」
俺は目を、疑った
どうやら、学校始まる前は引継ぎ作業をしていたようだ
3/28
もうすぐ四月
早く生徒が登校してこないかな
とってもたのしみだ!
3/26
養護教諭は、狭き門
実家からはちょっととおいけど、やっと採用してもらった職場だ
がんばって、立派な先生になろう
あのねっていわれてやる
3/24
こちらに引っ越してきた事で、学校に行くのが楽になった
研修のために毎朝5時おきは、ちょっとつらかった
今日からは7時起きです
男(女)「……なるほど、な」
男(女)「さて、これで最後か」
一番最初のページへ、たどり着く
男(女)「――ッ!?」
俺は目を、疑った
3/23
今日から、日記をつけます
やっと勤務先近くのマンションに引越しをできた
業者の手続きに不備があったらしく、なんだかギリギリ
ダブルブッキングだったらしい
でも、相手の人が断ってくれたみたい
ありがたいけど、なんだか申し訳が無い
念願の角部屋だけど、相手も角がよかったのだろうか
なら、私は204号室でも良かったかもしれない
学校に近いし、家賃も高くないし、間取りは好きだし
角じゃなくても十分いい部屋だ
あ、そうそう鍵はいつもどおり、鉢植えの中に隠しました
なくすと、いけないからね
男(女)「……な……ッ!?」
金髪「どうなされました」
男(女)「そんな……、ありえ、ない、ありえない……ッ」
金髪「……?」
>住んでいるのは、三階建てのマンションだ
>俺が住んでいるのは205号室
>しかし204号室や104号室は存在しない
>四や九はよく縁起が悪いとかで抜け番にされるが、まさにそれ
今日から、日記をつけます
やっと勤務先近くのマンションに引越しをできた
業者の手続きに不備があったらしく、なんだかギリギリ
ダブルブッキングだったらしい
でも、相手の人が断ってくれたみたい
ありがたいけど、なんだか申し訳が無い
念願の角部屋だけど、相手も角がよかったのだろうか
なら、私は204号室でも良かったかもしれない
学校に近いし、家賃も高くないし、間取りは好きだし
角じゃなくても十分いい部屋だ
あ、そうそう鍵はいつもどおり、鉢植えの中に隠しました
なくすと、いけないからね
男(女)「……な……ッ!?」
金髪「どうなされました」
男(女)「そんな……、ありえ、ない、ありえない……ッ」
金髪「……?」
>住んでいるのは、三階建てのマンションだ
>俺が住んでいるのは205号室
>しかし204号室や104号室は存在しない
>四や九はよく縁起が悪いとかで抜け番にされるが、まさにそれ
男(女)「あ、あるわけがない……」
男(女)「204号室は……存在しない……ッ!」
金髪「ど、どうしたのです」
俺は頭を抱える
なんだ、なんだ、それはなんなんだ
男(女)「ないんだよ……、ないんだ……」
男(女)「203号室の次は、205号……ッ!」
金髪「204号室が、ない……?」
男(女)「こ、これは、なんだ!? この日記は、なんだ!?」
これは誰の日記だ?
205号室は“どこの205号室”だ!?
どういうことだ……? 何故存在しないはずの204号室でもいいと、書かれている!?
男(女)「これを書いたのは……誰だ……!?」
205号室に住んでいる“本来の私”だと思って、この日記をよんできた
幼い頃に知り合ったが、俺の忘れてしまった誰か
でもこのマンションに、204号室は
存在しない……ッ!!!!!
男(女)「204号室は……存在しない……ッ!」
金髪「ど、どうしたのです」
俺は頭を抱える
なんだ、なんだ、それはなんなんだ
男(女)「ないんだよ……、ないんだ……」
男(女)「203号室の次は、205号……ッ!」
金髪「204号室が、ない……?」
男(女)「こ、これは、なんだ!? この日記は、なんだ!?」
これは誰の日記だ?
205号室は“どこの205号室”だ!?
どういうことだ……? 何故存在しないはずの204号室でもいいと、書かれている!?
男(女)「これを書いたのは……誰だ……!?」
205号室に住んでいる“本来の私”だと思って、この日記をよんできた
幼い頃に知り合ったが、俺の忘れてしまった誰か
でもこのマンションに、204号室は
存在しない……ッ!!!!!
紳士「……」
黒髪「ど、どうしたの?」
金髪「204号室がないと、仰られて……」
黒髪「え……?」
おかしい、おかしい
204号室はないんだ、そんなもの見たこともない
俺は立ち上がる
紳士「……」
男(女)「答えろ……、この部屋は……、どこの、205号室だ……!」
紳士「……さて、どうか」
男(女)「のらりくらりとかわすつもりなら……、白か黒か、つけさせてやる……!」
男(女)「俺はこの日記から答えを読み解いた……」
男(女)「……この部屋、世界Aにおける“本来の私”の部屋、205号室は……」
男(女)「世界Bにおいて“俺”が住んでいた205号室とは、別物だ!」
男(女)「当たっているな!?」
紳士「……」
黒髪「ど、どうしたの?」
金髪「204号室がないと、仰られて……」
黒髪「え……?」
おかしい、おかしい
204号室はないんだ、そんなもの見たこともない
俺は立ち上がる
紳士「……」
男(女)「答えろ……、この部屋は……、どこの、205号室だ……!」
紳士「……さて、どうか」
男(女)「のらりくらりとかわすつもりなら……、白か黒か、つけさせてやる……!」
男(女)「俺はこの日記から答えを読み解いた……」
男(女)「……この部屋、世界Aにおける“本来の私”の部屋、205号室は……」
男(女)「世界Bにおいて“俺”が住んでいた205号室とは、別物だ!」
男(女)「当たっているな!?」
紳士「……」
紳士「……別物。ええ、そうですよ。世界が違うのですから、別物でしょうな」
紳士「前にも確認したはずですが」
男(女)「……、ち、違う、そうじゃない……」
男(女)「そ、そうだ……」
男(女)「この日記の書き手が住んでいるのは、このマンションとは別の場所にあるどこかだ……!」
男(女)「世界Aと世界Bで、同じ場所にはないどこか別の場所の、間取りが全く同じの、違う部屋だ……!」
紳士「……」
この205号室で、もう半年は過ごしていている
その俺だから、分かる
204号室はこのマンションに存在しない
紳士「その勢いに、久しぶりでいいですね」
紳士「そうでなくては、私も○や×をつけるのに、やる気がでません」
紳士はしかし、前のような含みのある笑いはしなかった
乾いた、苦笑い
紳士「あなたのその解答は――」
紳士「――不正解です」
紳士「前にも確認したはずですが」
男(女)「……、ち、違う、そうじゃない……」
男(女)「そ、そうだ……」
男(女)「この日記の書き手が住んでいるのは、このマンションとは別の場所にあるどこかだ……!」
男(女)「世界Aと世界Bで、同じ場所にはないどこか別の場所の、間取りが全く同じの、違う部屋だ……!」
紳士「……」
この205号室で、もう半年は過ごしていている
その俺だから、分かる
204号室はこのマンションに存在しない
紳士「その勢いに、久しぶりでいいですね」
紳士「そうでなくては、私も○や×をつけるのに、やる気がでません」
紳士はしかし、前のような含みのある笑いはしなかった
乾いた、苦笑い
紳士「あなたのその解答は――」
紳士「――不正解です」
紳士「……正解していた答えを、何故わざわざ間違ったものにしたのか」
紳士「教えてほしいものですな」
男(女)「……っ」
そう、分かっていた
既に俺はこの二つの部屋が同一のものだと言っていて、もちろん正解ももらっている
男(女)「でも、おかしいだろ……!?」
男(女)「204号室は存在しない。でもこの日記では存在が示唆されている」
男(女)「そ、そうか、日記の書き間違いだな……?」
金髪「先生……」
す、と少女の手が背中に置かれる
俺は口だけ動かしながら、すでに机で、頭を抱えていた
金髪「落ち着いてください」
男(女)「で、でも……」
眼鏡「んん……、どうしたの……?」
男(女)「……」
眼鏡「先生……?」
紳士「教えてほしいものですな」
男(女)「……っ」
そう、分かっていた
既に俺はこの二つの部屋が同一のものだと言っていて、もちろん正解ももらっている
男(女)「でも、おかしいだろ……!?」
男(女)「204号室は存在しない。でもこの日記では存在が示唆されている」
男(女)「そ、そうか、日記の書き間違いだな……?」
金髪「先生……」
す、と少女の手が背中に置かれる
俺は口だけ動かしながら、すでに机で、頭を抱えていた
金髪「落ち着いてください」
男(女)「で、でも……」
眼鏡「んん……、どうしたの……?」
男(女)「……」
眼鏡「先生……?」
紳士はただ、いつものように姿勢正しく立っていて
そして俺を、じっと見つめる
男(女)「どういう……ことだ……」
答えは分かっていた
でも、そんなはずが無いとおもっていた
男(女)「……20、4号室は……、存在……、しな……」
黒髪「先生」
ごつん
ツインテ「いてっ!」
膝枕をしていた少女が立ち上がったので、されていた少女の頭が落ちる
黒髪「204号室は――」
金髪「ま、待ちなさい。先生が、落ち着いてからで……」
黒髪「……でもどうせ、すぐ分かることでしょ」
黒髪「先生、204号室は」
黒髪「……この部屋の隣に、ありますよ」
そして俺を、じっと見つめる
男(女)「どういう……ことだ……」
答えは分かっていた
でも、そんなはずが無いとおもっていた
男(女)「……20、4号室は……、存在……、しな……」
黒髪「先生」
ごつん
ツインテ「いてっ!」
膝枕をしていた少女が立ち上がったので、されていた少女の頭が落ちる
黒髪「204号室は――」
金髪「ま、待ちなさい。先生が、落ち着いてからで……」
黒髪「……でもどうせ、すぐ分かることでしょ」
黒髪「先生、204号室は」
黒髪「……この部屋の隣に、ありますよ」
男(女)「そんな……、馬鹿な……」
男(女)「お、おい、冗談、だろ……?」
金髪「……」
男(女)「……、見て、くる……」
俺はゆっくりと立ち上がると、ふらりふらりと玄関へと向かう
金髪「付き添います」
靴はかかとを踏んではいた
がちゃりと扉を開けて、部屋からでる
真夜中だ
空にはいつかのように、月が冴えている
男(女)「……これ、は……」
隣の部屋をみて、言葉を失う
男(女)「あ……った……?」
204号室が、そこにあった
男(女)「お、おい、冗談、だろ……?」
金髪「……」
男(女)「……、見て、くる……」
俺はゆっくりと立ち上がると、ふらりふらりと玄関へと向かう
金髪「付き添います」
靴はかかとを踏んではいた
がちゃりと扉を開けて、部屋からでる
真夜中だ
空にはいつかのように、月が冴えている
男(女)「……これ、は……」
隣の部屋をみて、言葉を失う
男(女)「あ……った……?」
204号室が、そこにあった
男(女)「……ぐ、う……」
頭が、痛い
なんだ、なんだ、204号室は、なんだ
金髪「せ、先生」
男(女)「だ、大丈夫……」
部屋へと、戻る
男(女)「何で、だ……?」
何故俺は無いと、思い込んでいた?
黒髪「204号室に……何かあるわね」
男(女)「そう、なのか……?」
紳士「……ご自分で、確認なされたらどうですか」
男(女)「だ、だが、入れない……」
鍵などもっているわけがな――
男(女)「……まさ、か……」
>あ、そうそう鍵はいつもどおり、鉢植えの中に隠しました
>なくすと、いけないからね
頭が、痛い
なんだ、なんだ、204号室は、なんだ
金髪「せ、先生」
男(女)「だ、大丈夫……」
部屋へと、戻る
男(女)「何で、だ……?」
何故俺は無いと、思い込んでいた?
黒髪「204号室に……何かあるわね」
男(女)「そう、なのか……?」
紳士「……ご自分で、確認なされたらどうですか」
男(女)「だ、だが、入れない……」
鍵などもっているわけがな――
男(女)「……まさ、か……」
>あ、そうそう鍵はいつもどおり、鉢植えの中に隠しました
>なくすと、いけないからね
俺は窓をあけ、ベランダへとでる
そこには、鉢植え二つ置いてあった
そこで育っていたはずの植物は、かれていた
もう何だったのかもわからない
世話などしていなかった、というかあったこともしらなかったのだから仕方ない
男(女)「……」
俺はそれを、適当に掘り返してみる
男(女)「……あ、った……」
しかしそれは、見慣れた鍵
男(女)「205号室の……鍵じゃないか」
隣、204号室のベランダをみるが、何も無い
眼鏡「あ、あの、先生」
眼鏡「もしかして……、貴方の世界で、という意味ではないでしょうか……」
眼鏡「日記を読みました」
眼鏡「204号室に何かがある可能性は……、貴方が、この部屋を借りた場合に、生じるのではないでしょうか……」
男(女)「……そう、だよな」
そこには、鉢植え二つ置いてあった
そこで育っていたはずの植物は、かれていた
もう何だったのかもわからない
世話などしていなかった、というかあったこともしらなかったのだから仕方ない
男(女)「……」
俺はそれを、適当に掘り返してみる
男(女)「……あ、った……」
しかしそれは、見慣れた鍵
男(女)「205号室の……鍵じゃないか」
隣、204号室のベランダをみるが、何も無い
眼鏡「あ、あの、先生」
眼鏡「もしかして……、貴方の世界で、という意味ではないでしょうか……」
眼鏡「日記を読みました」
眼鏡「204号室に何かがある可能性は……、貴方が、この部屋を借りた場合に、生じるのではないでしょうか……」
男(女)「……そう、だよな」
“本来の私”は角の部屋、つまり205号室を望んだ
しかし、相手が角の部屋を望むなら、204号室にする、と書いてあった
世界Aでは、彼女は205号室を手に入れた
では、世界B、俺が205号室を手に入れていた場合は――
一度部屋に戻る
男(女)「……」
男「こっちで、か」
眼鏡「わ、私も一緒にっ」
紳士「いいえ、それはいけません」
眼鏡「え……?」
紳士「貴方は、世界Aの人間でしょう」
紳士「彼が出る窓の外は、世界B。貴方は、いけません」
男「……外にでられるのは、その世界の人間だけ、ということだな……」
紳士「然様」
男「……わかった。一人で、いってくるよ」
しかし、相手が角の部屋を望むなら、204号室にする、と書いてあった
世界Aでは、彼女は205号室を手に入れた
では、世界B、俺が205号室を手に入れていた場合は――
一度部屋に戻る
男(女)「……」
男「こっちで、か」
眼鏡「わ、私も一緒にっ」
紳士「いいえ、それはいけません」
眼鏡「え……?」
紳士「貴方は、世界Aの人間でしょう」
紳士「彼が出る窓の外は、世界B。貴方は、いけません」
男「……外にでられるのは、その世界の人間だけ、ということだな……」
紳士「然様」
男「……わかった。一人で、いってくるよ」
紳士「ああお嬢様方」
紳士「彼が窓から出る時、そちらは見てはいけません」
紳士「外を視認するだけでも、それは別の世界にはいった事になってしまいます」
紳士「それは、危険だ」
金髪「見送る事もできませんか……」
紳士「はい」
栗毛「ふ、ふえ、何が起こって……?」
金髪「あら、いま起きましたの。では一緒に、向こうを向いていましょうね」
栗毛「え? う、うん」
黒髪「私達も、玄関の方を向きましょう」
眼鏡「……気をつけて」
男「大丈夫だよ」
ツインテ「んー、寝てて状況がよくわからんけど、頑張ってきてくーださいっ」
男「はいよ」
紳士「彼が窓から出る時、そちらは見てはいけません」
紳士「外を視認するだけでも、それは別の世界にはいった事になってしまいます」
紳士「それは、危険だ」
金髪「見送る事もできませんか……」
紳士「はい」
栗毛「ふ、ふえ、何が起こって……?」
金髪「あら、いま起きましたの。では一緒に、向こうを向いていましょうね」
栗毛「え? う、うん」
黒髪「私達も、玄関の方を向きましょう」
眼鏡「……気をつけて」
男「大丈夫だよ」
ツインテ「んー、寝てて状況がよくわからんけど、頑張ってきてくーださいっ」
男「はいよ」
思うんだがこのssをまとめて小説化したら
普通に売れるレベルだろ
普通に売れるレベルだろ
俺は窓を開けて、外へ出る
男「……」
今度は、205号室のベランダに、植木鉢はなかった
変わりに
男「204号室には、あるんだな」
俺はベランダの柵を登る
男「よっ」
そして飛び越えた
204号室の、ベランダへと、危なげに着地する
男「こいつ、だな」
枯れた花の植木鉢を、掘り起こす
男「……鍵、だ」
それは少し、俺の部屋のものと違う
204号室の、鍵だろう
男「……」
今度は、205号室のベランダに、植木鉢はなかった
変わりに
男「204号室には、あるんだな」
俺はベランダの柵を登る
男「よっ」
そして飛び越えた
204号室の、ベランダへと、危なげに着地する
男「こいつ、だな」
枯れた花の植木鉢を、掘り起こす
男「……鍵、だ」
それは少し、俺の部屋のものと違う
204号室の、鍵だろう
男「あれ……?」
205号室のベランダにもどると、窓にはカーテンが引かれていた
男「……あかない」
窓には鍵がかかっているのか、中に入る事ができない
電気もいつのまにか消えているようで、中は見えなかった
男「……今は戻るな、ってことか」
俺はベランダ用のサンダルのまま、柵に手をかける
男「せーの」
ふっと、体が宙に浮く
どすっ
男「いてえ」
駐車場へと、着地する
男「えーと、あっちか」
俺はマンションの入り口へと向かった
205号室のベランダにもどると、窓にはカーテンが引かれていた
男「……あかない」
窓には鍵がかかっているのか、中に入る事ができない
電気もいつのまにか消えているようで、中は見えなかった
男「……今は戻るな、ってことか」
俺はベランダ用のサンダルのまま、柵に手をかける
男「せーの」
ふっと、体が宙に浮く
どすっ
男「いてえ」
駐車場へと、着地する
男「えーと、あっちか」
俺はマンションの入り口へと向かった
うーん、男の部屋の状態でも男(女)は外にでてたんじゃなかったっけ?それはオッケーなの?
見慣れた道筋をたどって、二階
204号室の前
目の前にしても、やはり目を疑う
俺はこの部屋を、ずっとないものだと思っていたのだから
男「……ふう」
三度、深呼吸
俺は震える手で、鍵を差し込んだ
かちゃり
男「あいた……」
あっけない
俺はドアノブに手をかける
がちゃり
男「……いくぞ」
そして、中へと入った
204号室の前
目の前にしても、やはり目を疑う
俺はこの部屋を、ずっとないものだと思っていたのだから
男「……ふう」
三度、深呼吸
俺は震える手で、鍵を差し込んだ
かちゃり
男「あいた……」
あっけない
俺はドアノブに手をかける
がちゃり
男「……いくぞ」
そして、中へと入った
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