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    元スレ妹「兄さんって呼ばせて下さい」

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    351 = 293 :

    「だからこそ、今のような自分になったんだと思います」

    「……それは」

    「お兄ちゃんのような、強い意志」

    「躊躇わず、今を生きようとするその覚悟」

    「…………」

    「わたしに、その時が来ても」

    「どうか、授かっていますように」

    「……妹」

    「もし、それでも──」

    352 = 293 :

    「わたし一人じゃ、どうにもならない程のものだったとしたら」

    「お兄ちゃん……」

    「……ああ」

    「わたしの側にいて……」

    「一緒に、背負ってくれますか? 助けてくれますか?」

    「…………」

    「……もちろん」



    「──そのつもりだよ」



    ……………。
    ………。

    356 = 260 :

    しえん

    357 = 293 :

    『今度こそ、負けないからなっ』

    親友『倒せるもんなら倒してみろよ』

    『ちっ、いい気になりやがって』

    親友『そりゃ、今まで全勝だから、いい気分ではあるね』

    『くそっ……絶対に倒してやる』

    『頑張れーっ!』

    親友『……おい』

    『もぐもぐ……ん? わたし?』

    親友『菓子食ってばかりいる、そこのお前だよ』

    『なによ、お兄ちゃん』

    親友『そうだ、お前は俺の妹だろ?』

    『だから?』

    358 = 293 :

    親友『応援するのは、俺にしろって』

    『んー……』

    『やっぱ、兄さんを応援する』

    親友『なっ……』

    『残念だったな。この子は優しい『兄さん』がいいみたいだ』

    なでなで。

    『ふふっ』

    親友『ちっ……今に見てろよ』

    『はは、燃えてきたじゃねぇかっ』

    ……………。

    359 = 293 :

    『よっしゃーっ!』

    『やったね! 兄さんっ!』

    親友『……まぐれだ……絶対、まぐれだ……』

    『うおおおっ! 勝利の雄叫びっ!』

    『ひゃあほおおおっ!』

    ぎゅっ。

    『この可愛いやつめっ!』

    『うわっ、に、兄さん……』

    『あ……ご、ごめん』

    『……え、ええと』

    『その……感極まってさ……本当に悪い……』

    『い、いや、別に……』

    360 = 293 :

    親友『…………』

    親友『おーい、そこのお二人さん』

    『は、はいっ!?』

    親友『キリもいいし、そろそろゲームを止めよう』

    『ん? いいのか、俺の勝ちで終わりで』

    親友『ふんっ、たかが一勝で何言ってんだよ』

    『……まあ、そうりゃそうだけど』

    『良かったね、兄さん。勝ち逃げだよ』

    『お、おう』

    親友『そんなことより──』

    親友『じゃーん、これはなんでしょう?』

    『ん? ビデオ?』

    『あっ!』

    361 = 293 :

    親友『実は、こないだ借りてきた映画があるんだ』

    『……それは……』

    『?』

    親友『他の奴は全部二人で見たんだが』

    親友『この一本だけは、未だに見る事ができない』

    『お兄ちゃん……やめようよ……』

    『どういうことだ?』

    親友『見てみろ』

    『……ん……』

    『……ホラー映画か?』

    親友『正解』

    『……うぅ……』

    『ああ、だから嫌がってたわけか』

    362 = 293 :

    親友『そこで、今日こそは、これを見ようと思う』

    『お兄ちゃん……やめようよ……』

    親友『何だよ、お前、約束しただろ?』

    親友『『兄さんも入れて、三人なら見る』ってさ』

    『言ったけど……』

    『…………』

    親友『てなわけで、鑑賞タイムだ』

    親友『部屋も暗くして、雰囲気も出そう』

    ……………。

    363 = 293 :

    ──ぎゃあああああああっ!

    『きゃああああああっ!』

    ぎゅっ!

    『……あっ……』

    『やだやだっ! もういやっ!』

    親友『うわぁ……想像以上にグロいな……』

    『兄さん兄さんっ』

    『……な、なんだよ』

    『もう……怖いシーン終わった?』

    親友『終わったぞ』

    ──うぎゃあああああああっ!

    『嘘つきっ!』

    親友『はははっ、騙されるほうが悪いんだぞ』

    364 = 293 :

    『もうやだよぉ……やめようよぉ……』

    ぎゅっ!!

    『……お、おう』

    親友『本当に、妹は怖い系、苦手だよなぁ』

    親友『あー、部屋からカメラもってくれば良かった』

    親友『今なら妹のベストショット撮れたのになぁ』

    『おい、タチが悪いぞ』

    『そうだよ、お兄ちゃんっ!』

    親友『分かってるって。撮らないからさ』

    『……兄さん、終わった?』

    『……うん、大丈夫』

    365 = 293 :

    『はぁ……やっと見れるよ……』

    『…………』

    『ねぇ、兄さん』

    『ん?』

    『終わるまで、手握っててもいい?』

    『……え』

    『だ、駄目かな?』

    『……い、いいよ』

    『ありがと、兄さん』

    『…………』

    369 :

    心がざわざわする
    だが、④

    370 = 293 :

    ──会社

    「……あの」

    上司「ああ、来てくれたか」

    「その、何か、ミスでもしましたでしょうか?」

    上司「いや……お前は、ここ最近、よくやってくれている」

    「そうですか……でも、何の用件で?」

    上司「聞いたぞ」

    「……は?」

    上司「なぜ、もっと早く言わなかった」

    「すみません……その何の話か……」

    上司「なかなか、隙を見せない奴だな」

    上司「……いや、流石といったところか」

    「……はい?」

    371 = 293 :

    上司「お前、社長の息子なんだろ?」

    「……え」

    上司「さきほど呼び出されたよ」

    上司「『いままで黙っていたが、実は……』とな」

    「社長からですか……?」

    上司「ああ、全く気がつかなかった」

    「……その」

    上司「別に隠していたことを怒っている訳じゃない」

    上司「ただ、そんな重大なことに気づけなかった自分を恥じると同時に」

    上司「驕りや高慢な態度をとらないお前を凄いなと思ってな」

    「……いや」

    上司「正直に言おうか」

    上司「ただただ、感心したよ。降参だ」

    372 = 293 :

    「……いや、そんなことは全くありません」

    上司「それだっ!」

    「へ?」

    上司「その低姿勢が君の魅力なんだ」

    上司「身分が判明したというのに」

    上司「まだ続けようとする、根っからの素直さ」

    「…………」

    上司「今まで、なぜかと疑問に思っていたんだが」

    上司「やっとしっくりとくる理由が分かった」

    「……疑問ですか?」

    上司「ほら、そのだな、初めのうちは君に厳しく当たっただろ?」

    「いえ、それは僕に必要なことでした」

    373 = 293 :

    上司「君はそう言ってくれるが、やはり私怨がなかったとは言い切れない」

    上司「かわいがっていた部下が飛ばされて、確かに、君へ当たった」

    「そんなことは──」

    上司「いや、そこは謝らせて欲しい。申し訳なかった」

    「そんな、頭を上げて下さい……」

    上司「けれどだ。君をいつの間にか、慕っている自分に気がついた」

    上司「初めは無能な部下……いや、これまた、すまん」

    上司「その、新入りを俺が鍛えてやろうという気持ちだと思っていたんだが」

    上司「無駄に、私の仕事に連れて行きたくなり」

    上司「多少のミスも何故だか、自然と許せるようになっていた」

    「……そうだったんですか?」

    上司「それが、君の魅力だよ」

    374 = 293 :

    上司「上の身分の者が醸し出す、独特な高圧感が君にはない」

    「……はぁ」

    上司「本当に、今まで、その才能を持っていたというのに」

    上司「どこで胡座をかいていたというんだ」

    「……その」

    上司「……まあ、そんなことはどうでもいい」

    上司「ただ、少しだけ忠告をしておこうと思ってな」

    「忠告ですか?」

    上司「というより、だてに長く生きていない年配者の知恵というか、だな」

    上司「それを君に授けたい」

    「あ、ありがとうございます……?」

    上司「どうせ私は後数年経ったら、定年の身分だ」

    上司「出世が遅くてね。もうこれ以上、上にはいけないだろう」

    「いや、そんなことは……」

    375 = 293 :

    上司「でも、君は違う」

    「…………」

    上司「創業者である社長の息子だ」

    上司「今しばらくは下っ端で経験させているだろうが」

    上司「もう少し経てば、自ずと上の役に就くだろう」

    「……それは」

    上司「今ではもう若くない社長も」

    上司「ゆくゆくは、会社を息子に継がせたいと思っているはずだ」

    上司「君が今後、幾ら無能だったとしても」

    上司「自然と重役となり、ひいては、社の長となるだろう」

    「…………」

    上司「だが、それでは、部下はついてこないぞ?」

    上司「馬鹿な上司だと思われて、身内は敵ばかりとなる」

    「……はい」

    376 = 293 :

    上司「だからこそ、今の君の魅力を将来にも生かすんだ」

    上司「加えて、実績も出せば、誰一人文句を言わないはずだ」

    上司「例えそれが、コネでのし上がった若者であっても、な」

    「……あ」

    上司「分かっただろ?」

    上司「少しでも私の想いが伝わればいいと思っている」

    上司「しかし、本当に、君は恵まれているな」

    「……そうでしょうか?」

    上司「何を言ってるんだ。もっと親に感謝しなさい」

    「親に……」

    上司「君をこの世界に誕生させ、ここまで育ててくれたんだ」

    上司「その魅力ある性格も加えてだ」

    「……そう、ですね」

    上司「ああ」

    377 = 293 :

    「そうだ……」

    「……そうだよ……」

    上司「ん?」

    「今の自分がいるのは……親のおかげ……」

    「だからこそ、俺は……」

    上司「お、おい、どうした?」

    「なんで、こんな大事なこと……」

    「……でも」

    「どうすればいい……?」

    「俺は……一体……」

    「…………」

    「やっぱり……駄目だ」

    「……この世界からは、もう抜け出せない……」

    「母さん……」

    「……ごめんね……」

    378 = 266 :

    良いなぁ
    この感じ好きだわ

    379 :

    いいな、支援

    381 :

    紫煙

    383 = 269 :

    しえん

    384 = 293 :

    ──車内

    「わたしに、月に一度の検査って、なんか不思議ですよね」

    「どうしてだ?」

    「だって、病院に行ったところで、記憶が戻るわけないじゃないですか」

    「それはそうだが……」

    「家に戻ってから数ヶ月」

    「けれど、一向に過去を思い出す気配もないんですから」

    「……それでも」

    「やっぱり、お医者さんに見てもらうのは大事だよ」

    「……分かってはいるんですが」

    「どうも駄目ですね。最近、ネガティブな思考ばっかりです」

    「…………」

    385 = 293 :

    「お兄ちゃんはなんでだと思いますか?」

    「ん?」

    「わたしの記憶が未だに戻らない理由」

    「それは……」

    「お兄ちゃんが、どう考えているのか、聞きたいです」

    「……いや、俺は専門家じゃないから分からないよ」

    「お願いします」

    「…………」

    「…………」

    「……はぁ」

    「こんなことは言いたくないんだが……」

    「昔の生活をなぞっているのに、過去を思い出せないってことは」

    「それが今の日々に必要ないってことなんじゃないか」

    386 = 293 :

    「……必要ない?」

    「もしかしたら、記憶があること自体、問題なのかもしれない」

    「思い出すことによって、今に支障をきたすからこそ」

    「身体が無意識のうちにそうさせているんだと思う」

    「……自殺未遂するほどですからね」

    「もう、やめよう……」

    「これが建設的な会話だとは、俺には思えない」

    「でも、お兄ちゃんの意見はすごく参考になりました」

    「何となく、わたしもそんな気がします」

    「…………」

    「最近、わたし、思うんです」

    「……さっきの話の続きか?」

    「はい」

    388 = 293 :

    「なら、今は聞きたくないな」

    「病院に着いて、検査を受け終わってからにしよう」

    「……これで最後にします」

    「……ふぅ」

    「分かったよ……」

    「……ありがとう」

    「…………」

    「その、わたしが記憶が戻らないのには多分大きな訳があるんです」

    「……どうして、そう思う?」

    「調べたんですが、大抵の記憶喪失はすぐに治るみたいです」

    「それは今までの生活をなぞったりすれば、次第に気づくから」

    「……ああ、だから、今もそうしてるだろ?」

    389 = 293 :

    「本当ですか?」

    「どういうことだ……?」

    「なにか、欠けてるんじゃないんですか?」

    「……は?」

    「実のところ、わたしも全く思い出せないという訳じゃないんです」

    「……そ、それは本当に?」

    「はい。誰にも言いませんでしたけど、事実です」

    「いや、待てっ。それは、かなり重要なことなんじゃないか?」

    「でも、結果的に駄目なんですから意味はないですよ」

    「それでも……」

    「問題は、思い出そうとする瞬間」

    「何かが、わたしの記憶が蘇るのを遮ることです」

    390 = 293 :

    「……遮る?」

    「それが何なのか、前までは分からなかったんですけど」

    「最近、違和感が」

    「……なんだ?」

    「昔通りと言っている生活に、何か、不自然さを感じるんです」

    「……それは」

    「昔のように、大学に行ってなかったりするからだろ?」

    「そんな些細なことじゃなくて、もっと根本的な……」

    「前提をひっくり返すような、そんな感覚です」

    「…………」

    「お兄ちゃんは、見当つかないですか?」

    「……いや」

    391 = 293 :

    「俺には、分からないよ」

    「……そうですか」

    「すまん……」

    「いや、お兄ちゃんがそう言ってるなら、わたしの勘違いなんでしょうね……」

    「でも……何かが、おかしいんですよ……」

    「…………」

    「……少し、焦りが出てきてるみたいだな」

    「え?」

    「過去を取り戻せない自分に、憤りを感じているんだろ?」

    「…………」

    「よし、そうだ。今度、時間を作って、どこか──」

    392 = 293 :

    「『前に進みたい』」

    「……え?」

    「わたしも、前に進みたいんです」

    「…………」

    「今のままじゃなくて、わたしもお兄ちゃんみたいに」

    「辛い過去を乗り切って、今を生きたい」

    「……それは……」

    「ねぇ、お兄ちゃん」

    「……ん?」

    「最近、見るからにお兄ちゃん、疲れてますよ?」

    「俺が?」

    「顔も窶れてるし、最近はふざけるのも少なくなりました」

    394 = 293 :

    「は、はは……それは、構って欲しいのか?」

    「はぐらかさないで」

    「…………」

    「一体、どうしたんですか?」

    「……別に、なんでもないよ」

    「仕事のこと?」

    「…………」

    「それとも、人間関係がうまくいってない?」

    「…………」

    「或いは……」

    「わたしのことで……」

    395 = 293 :

    「――違う」

    「それは、本当に断言できますか……?」

    「違う、お前のことじゃない」

    「……でも、なら」

    「…………」

    「あまり、人には話したくはないことだ」

    「…………」

    「でも、強いて言うなら……」

    「自分自身の存在意義に、疑問を感じてる……ってとこだ」

    ……………。
    ………。

    399 = 293 :

    担任『よし、配り終わったな』

    担任『では、志望先を記入しておいてくれよ』

    担任『書き終わったら、委員長に渡すか』

    担任『それが嫌なら、職員室の私のところまで自分で持ってくるように』

    キーンコーンカーンコーン。

    担任『……チャイムが鳴ったな』

    担任『くれぐれも、適当に書くことはないように』

    担任『分かったな?』

    担任『では、また明日』

    ……………。

    400 = 293 :

    『んー』

    親友『どうした? もう書けたか?』

    『今のところ、普通に進学するつもりなんだけど』

    『どこの高校にしようかなって思ってさ』

    親友『何だよ、俺と一緒じゃないのか?』

    『だって、お前、頭いいだろ? 俺は入れそうもないよ』

    親友『何言ってんだ。今まで通り二人三脚で助けるぞ?』

    『それはありがたいが……』

    『いつまでも、お前の足を引っ張ってばかりじゃなあ……』

    親友『そんなこと言わず、これからも仲良くやろうぜ』

    親友『俺はお前と同じ高校いけるなら、少しぐらい苦労構わないさ』

    『……本当か?』

    親友『もちろん』


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