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    元スレ妹「兄さんって呼ばせて下さい」

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    みんなの評価 : ★★★×4
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    101 = 90 :

    まだ下準備、仕込みが終わってないんだろ察せよ

    102 = 1 :

    ──病院

    「ちょっと質問してもいいですか?」

    「ん? なに?」

    「お兄ちゃんは……お父さんの会社で働いてるんですよね?」

    「あ、うん」

    「いつぐらいから?」

    「そうだな……ぶっちゃけの話でもいいか?」

    「はい」

    「実は、今年に入ってからなんだ」

    「ええと……じゃあ、その前は」

    「んと……まあ、フリーターみたいなことをしてた」

    「じゃあ、どうしてまた急に?」

    「やっぱり、今のままじゃ駄目かなって」

    103 = 1 :

    「長い目で、将来のことも考えて……でも、そうだな」

    「自分の限界を知ったというか、ある意味、逃げてきたのかもしれない」

    「うん……そんなところだ」

    「その実は……」

    「ん?」

    「昨日、初めてお母さんに会ったんです」

    「あ、うん」

    「その、今までは記憶を失ってるわたしと会う覚悟がなくて」

    「でも、勇気を振り絞って会いにきたって、そう正直に話してくれました」

    「……そうか」

    「嬉しかったです」

    「優しそうな方で、どことなく顔立ちも自分と似てて」

    104 = 1 :

    「本当にわたしはこの方の娘なんだなって……そう実感できました」

    「それは良かった」

    「それで、その時にこれ……」

    「なんだろ? ええと……写真?」

    「はい」

    「映ってるのはお前だな。大学の入学式か?」

    「そうです。お兄ちゃんも覚えてます?」

    「……ああ」

    「お母さんは、他にもいっぱい思い出の写真を持ってきてくれたんですけど」

    「これだけは唯一、ちょっと違って」

    「どういうことだ?」

    105 = 1 :

    「……お兄ちゃんが」

    「俺が?」

    「撮ってくれたんですよね」

    「…………」

    「お母さんが言ってました」

    「『お兄ちゃんは写真家を目指してた』って」

    「……それは」

    「そう言った後、お母さんは……」

    「少し、まずいこと言ってしまったような顔をしてました」

    「……そうか」

    「目指してたんですよね、写真家」

    「うん」

    「でも、どうしてやめちゃったんですか……?」

    「…………」

    106 = 1 :

    「すみません、人の傷口をえぐるみたいな真似をして」

    「でも、その話を聞いた時に何か胸の奥で、ひっかかるものがあって」

    「きっとそれは、自分の記憶を取り戻すきっかけになるんじゃないかなって」

    「本当に、ごめんなさい……でも、無理なら」

    「……そうだな」

    「お兄ちゃん?」

    「俺は小さい頃から、写真の魅力に取り付かれてた」

    「人の一瞬、物事の一瞬」

    「その場面で一番最高な瞬間を、写真という形で後世に残す」

    「そんな仕事をする写真家に、憧れていたんだ」

    ……………。
    ………。

    107 :

    俺だったらここで少し動揺するわ
    支援

    111 :

    もう書き溜め終わったんすか…

    112 = 1 :

    親友『…………』

    『あーつまんねーな……』

    親友『そういえば、もうすぐ小学生卒業だな』

    『うん、あっという間だった』

    親友『中学生かー』

    『正直、心配だよな』

    親友『何が?』

    『ほら、お前の妹』

    親友『ああ……』

    『俺たちがいなくなっても、ちゃんとやってけるかな』

    親友『大丈夫だろ? 見てくれはいい方だしさ』

    113 = 1 :

    『どうすんだよ、逆に好きで意地悪するみたいな男子がいたら』

    親友『はは、お前、そんなこと心配してんのか』

    『……ちょっとだけね』

    親友『大丈夫。もし、そんなことがあったら』

    『どうする?』

    親友『妹が必ず、俺たちに相談してくるはずだから』

    『つまり、その時に──』

    ・親友『『そいつをボッコボッコにしてやろうっ!』』

    『ぷっ』

    親友『くっ』

    ・親友『『はははっ!』』

    114 = 1 :

    『やっぱり、お前とは気が合うよっ』

    親友『俺も今、同じこと考えてた』

    『このまま、二人で仲良くやっていければいいよな』

    親友『それこそ、妹もいれて三人でな』

    『ああ……』

    親友『なんだ? どうかしたか?』

    『いや、もしあいつが男の子だったらなって思ってさ』

    親友『ああ、そしたらもっと楽しかっただろうな』

    『うん……余計なこと考えなくても済むし』

    親友『……余計なこと?』

    『……察してくれ』

    親友『まあ、もう少ししたら俺たちからは離れていくかもな』

    115 = 1 :

    『四年違いか』

    親友『そういうこと』

    『……で、さっきからお前、何見てんだ』

    親友『これのこと?』

    『うん』

    親友『いや、世界を旅してる写真家の本』

    『そんな本見て、楽しいか?』

    親友『めっちゃ楽しい』

    『ふーん……それはよく分かんないわ、俺』

    親友『すごいんだけどなぁ……』

    116 = 1 :

    ──親友宅

    「今日は、よく来てくださいました」

    「いえ、こちらこそ……」

    「本来なら、もっと早く、お伺いすべきでした」

    「いいですよ。その辺の事情は聞いていますから」

    「申し訳ありません……」

    「どうぞ、線香をあげていって下さい」

    「きっと、あの子も」

    「長いこと、あなたに会いたがっていたはずですから」

    「…………」

    117 :

    既に感動の予感
    涙目で支援

    118 = 1 :

    「久しぶりに親友同士が対面するんですね」

    「きっと話したいこと、考えたいことがあると思いますので」

    「私はリビングの方で待っております」

    「全てが終わったら……そちらの方で、お話しましょうね」

    「ご配慮ありがとうございます」

    「気を使わず、ゆっくりとなさっていって下さい」

    「こうやって遺灰をまだお墓に入れないのも、あなたのためでしたので」

    「…………」

    「では、また」

    ガチャ……。

    120 :

    「…………」

    「…………」

    「……っ」

    「……は、はは……」

    「久しぶりに会ったと思ったら……」

    「こんな小さな壷に入っちゃうって……」

    「……何してんだよ……お前」

    「どうしてこんなことに……なっちゃったんだよ……」

    「ああ……」

    「…………」

    「……昔のこと、お前は覚えてるか?」

    「確か、あれは俺たちが中学生だった頃」

    121 = 120 :

    「漫画の巻頭グラビアにあるアイドルに俺が目を離せなくて」

    「そんで、お前にも共感して欲しくて見せたらさ」

    「いちいち、アイドルのポーズについての批判しまっくって」

    「そんなの誰も聞いてないって言うんだっ」

    「そんで、俺が言った」

    「『だったら、お前の言う最高のポーズはどれだよ』って」

    「そしたらお前、嬉しそうに鞄からどこぞの写真集持ち出してきてさ」

    「『このシーンはここが凄い』『このアングルはこの場面だから生きる』とかさ」

    「でも俺からすれば、その写真は全部、白黒だったから」

    「はっきり言って、微妙だったんだよ」

    「そしたら、そんな俺を見かねて、お前はこう言ったよな」

    122 = 120 :

    「『なら、この本の中でお前が一番好きな写真はなんだ?』ってさ」

    「…………」

    「分かったよ、もちろん、分かってる」

    「本当、お前ってやつはさ……死んでもなお、厄介な奴だ……」

    「でも……今は無理なんだよ」

    「それよりも、大切なことがある」

    「お前なら、全て成し遂げろって言うと思うけど」

    「不器用な俺は、どうやったって器用にはできないんだ」

    「結局、何かを為すためには、何かを犠牲にしなきゃいけない」

    123 = 120 :

    「だから、分かってくれ」

    「お前の気持ちは分かる……でも、それでも」

    「本当に……ごめんな……」

    「……要するに、俺は──」




    「敗者になっちまったんだよ……」



    126 = 120 :

    ──病院

    「……結局、あいつの形見を渡されちゃったな」

    「カメラ……」

    「……まだこれ、使ってたのか……」

    「…………」

    「よし、切り替えないと」

    「ふー……」

    コンコン。
    ガラガラ……。

    「あっ、お兄ちゃん」

    「よっ!」

    「今日も、来てくれたんですね」

    127 = 120 :

    「そりゃ、愛しの妹のためだからな」

    「ふふ。今日は一段と機嫌がいいみたい」

    「何か、良いことでもありました?」

    「そうだなぁ……」

    「……久しぶりに、大切な人に会えたかな」

    「……大切な人、ですか」

    「深い意味はないよ。ただ、懐かしかったんだ」

    「懐かしい?」

    「今まで、無駄に逃げ回ってたんだけど」

    「会ってみると意外と気楽に話ができた」

    「……いいですね、そういうの」

    「もっと早く、それこそな……」

    128 = 120 :

    「色々、話さなきゃいけないことがあったはずなんだ」

    「はは。俺は、やっぱり、どうしても駄目人間だよ」

    「でも、お兄ちゃん」

    「ん?」

    「これからがあるじゃないですか」

    「…………」

    「やっと、その人と仲直りできたのなら」

    「これからの関係を大切に。幾ら、過去を悔やんでも仕方ないんですから」

    「……ああ」

    「今度、また会ったら、色々話し合ってくださいね」

    「そうすれば、今までのわだかまりもきっと……」

    「いつかは時が解決してくれるはずですから」

    「…………」

    129 = 120 :

    「……そう、だな」

    「また会ってみるよ」

    「はいっ」

    「それこそ、かなり時間がかかっちゃうかもしれないけど」

    「いつか、きっと。また、会える日が来るはずだからさ」

    「……?」

    「気付かせてくれて、ありがとう」

    「……あの」

    「ん?」

    「わたし、もしかして、見当違いなこと言っちゃいました?」

    「そんなことないって」

    130 = 120 :

    「……でも」

    「それよりっ」

    「え?」

    「ほら、これ」

    「……あっ、カメラ?」

    「今から撮るぞ? 最高の表情してくれよ?」

    「え、ええとっ、そんな急に……っ」

    「ハイチーズ」

    「あっ……」

    ……………。
    ………。

    131 :

    兄さん…

    132 :

    本日の志貴スレ

    133 :

    おもしろい

    134 :

    いもスレは文化知産

    135 :

    >>1は脚本家か

    136 :

    三点リーダー見るに普段から書いてるっぽいな

    138 :

    こういう雰囲気は結構好きだ

    139 :

    ほっほー

    140 :

    おいまだか

    141 :

    妹がシャムワオで体拭いたらミイラになった

    144 :

    もう朝か

    145 :

    最後に保守して寝る
    後は任せた

    149 :

    むう


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