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元スレ上条「バイトでもしようかな……」

みんなの評価 : ★★★×5
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おはようございます
保守してくれたみなさんありがとうございました
投下します
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アイスクリームをすくおうとした小さなスプーンの動きを止めてそちらを見ると、
何だかガラの悪そうな少年が立っていた。右手には、機械で出来た怪しげな装飾をつけている。
初春「はぁ。どちら様ですが」
「垣根帝督。人を捜しているんだけど」
言いながら、垣根と名乗った少年は一枚の写真を取り出す。
垣根「こう言う子がどこへ行ったか、知らないかな。『最終信号(ラストオーダー)』って呼ばれているんだけど」
初春「……」
初春は数秒間、じっと写真の中の少女に注目した。
垣根と写真を何度か交互に見比べ、それから首を横に振った。
初春「いいえ。残念ですけど、見ていないですね」
垣根「そうか」
初春「どうしても見つけられないなら『警備員(アンチスキル)』の
詰めどころに届け出を出した方が良いと思いますけど」
垣根「そうだね。その前にもう少し自分で捜してみる。ありがとう」
何だかガラの悪そうな少年が立っていた。右手には、機械で出来た怪しげな装飾をつけている。
初春「はぁ。どちら様ですが」
「垣根帝督。人を捜しているんだけど」
言いながら、垣根と名乗った少年は一枚の写真を取り出す。
垣根「こう言う子がどこへ行ったか、知らないかな。『最終信号(ラストオーダー)』って呼ばれているんだけど」
初春「……」
初春は数秒間、じっと写真の中の少女に注目した。
垣根と写真を何度か交互に見比べ、それから首を横に振った。
初春「いいえ。残念ですけど、見ていないですね」
垣根「そうか」
初春「どうしても見つけられないなら『警備員(アンチスキル)』の
詰めどころに届け出を出した方が良いと思いますけど」
垣根「そうだね。その前にもう少し自分で捜してみる。ありがとう」
にっこりと垣根は言って、そこから立ち去った。
初春は細いスプーンを大型甘味パフェに突き刺して、
再びアイスクリームゾーンへ突入しようとしかけたが、
垣根「ああそうだ、お嬢さん。言い忘れていたことがあるけど」
初春「はい?」
初春が顔をあげようとする前に次の言葉が出た。
垣根「テメェが『最終信号(ラストオーダー)』と一緒にいたことは分かってんだよ、クソボケ」
殴られた、と気づく前にすでに初春は椅子から転げ落ちてしまった。
ろくに食べていない大型甘味パフェが地面に落ち、あちこちに散らばった。
周囲から通行人の悲鳴が響く。
何が起きたか初春はわからなかった。とにかく起き上がろうとするが、
仰向けに倒れている初春の右肩に、垣根は靴底を思い切り踏みつけた。
垣根「だから俺はこう尋ねたんだぜ。『こう言う子を知りませんか』じゃなくて、
『こういう子がどこへ行ったかわかりませんか?』ってな」
垣根は足に体重をかける。少女の右肩を砕くために。
ダゴギッ!!
という鈍い音と共に、骨と骨をこすりあうわせるような激痛が走り抜けた。関節が外れてしまったのだ。
初春は、あまりの痛みにのたうち回りたくなるが、垣根の鉄柱のように動かない足がそうはさせてくれない。
初春の絶叫が響いたが、垣根の表情は少しも変わらなかった。
垣根「テメェが俺の動きに気付いて『最終信号(ラストオーダー)』を
『逃した』ってわけじゃねえことは予想できる。
俺は外道のクソ野郎だが、それでも極力一般人を巻き込むつもりはねえんだよ。
だから協力してくれりゃ、暴力を振るおうと思わねえ」
周囲にはたくさんの人々が往来している。
しかし、彼らは一斉にその場から距離を取っただけで、
初春のもとへ駆けつけようとする人は一人もいなかった。
無理もない。
初春は、風紀委員の腕章をつけている。
実際に風紀委員は校内の揉め事に対処する組織である。
しかし、その風紀委員の中にもエリートや落ちこぼれがいるのだが、
何も事情を知らない一般の人々から見たら、
『腕章をつけている人は治安維持の人間だ』
ぐらいにしか思えない。
その治安維持を行う人が、いとも簡単にねじ伏せられているのを見て、
それを助けようとなどと考えることはないだろう。
孤立無援の中、垣根の靴底が関節の外れた肩にさらに押し込まれる。
垣根「……ただな、俺は自分の敵には決して容赦はしねえ。
何も知らずに『最終信号(ラストオーダー)』に付き合わされてたのならともかく、
テメェの意思で『最終信号(ラストオーダー)』を庇うってのなら話は別だ」
垣根の足にさらに力が加わっていく。
垣根「頼むぜーお嬢さん。この俺に殺させるんじゃねえよ」
グギギガギゴギガリ!!
鈍い音と強烈な痛みが連続する。堪えようと思ったがすでに初春の瞳から涙があふれていた。
負の感情がグチャグチャに混ざり合い、巨大な重圧となって初春の人格を内側から圧迫する。
垣根「『最終信号(ラストオーダー)』はどこだ?
それだけを教えれば、テメェを解放してやる」
提示された、たった一つの逃げ道。
どこを見回してもゴールが見えない出口に、たった一つ設けられたゴール。
『痛みから解放される』というゴール。
初春の唇がゆっくりと動く。
涙を流しながら、その口が動く。
自分の無様さに歯噛みしながら、初春は最後の言葉を告げる。
初春「――すよ……」
垣根「……なに……?」
初春「聞こえなかったんですか?
『あの子は、あなたが絶対に見つからない場所にいる』って言ったんですよ。
嘘をついた覚えは……ありません」
できるだけ垣根を馬鹿にしたように舌まで出して彼女は言った。
垣根帝督はしばらく無言だった。
垣根「……いいだろう」
溜め息をして初春の方から足をどけた。
しかし、その足は地面には戻らず今度は初春の頭を狙ってピッタリと止まった。
垣根「俺は一般人には手を出さねえが、自分の敵には容赦しねえって言ったはずだぜ。
それを理解したうえで、協力を拒むってんなら、それはもう仕方ねえよな」
垣根は振りあげた足に力を込める。
まるで、空き缶を潰す要領で足を動かす。
垣根「だからここでお別れだ」
ブオ!!
という風圧に初春は涙をためた目をつぶった。
今の彼女にはそれくらいしかできなかった。
「待ってください!!」
垣根の足がピタリと止まる。声がした方へ垣根は首だけ向ける。
そこにはセミロングの黒髪に白梅の花を模した髪飾りをつけた少女がいた。
下にいる風紀委員と一緒の制服なので、友達かなんかかと垣根は思う。
「う、初春を放してください!!」
その少女は声を震わせながらも、悪者である垣根に叫びかける。
初春「だ、ダメです佐天さん!! 逃げてください!!」
初春は残り少ない体力を使って声を出す。
なぜこんなところにいたのか知らないが、
とりあえずこの親友に、この男の毒牙が向かないように。
佐天「で、でも初春……」
初春「いいから早く!!」
戸惑う佐天を早く逃がそうと一生懸命声を荒げる初春。
そんな二人を見て垣根は、
垣根「はあ。泣けてくるねー。親友のために危険を冒してまで助けに来る……」
垣根は足を地面につけ、佐天の方向に身体を向ける。
そして鋭い眼光が、佐天を睨みつける。
垣根「ならテメェも俺の敵ってことだ。なら容赦はしねえよ。
初春「に、逃げてっ!!」
佐天「ひっ!!」
垣根の周りにまがまがしい何かを感じる。
周りの人たちは思っただろう。彼女たちは死んだな、と。
垣根が何かをおこなおうとした瞬間、彼の体が店内に吹っ飛んだ。
「なあに一般人とじゃれてんのよ第二位。私と遊んでちょうだいよ♪」
垣根はゆっくり立ち上がり、その声主の方へ視線を向ける。
そしてダルそうな声で、
垣根「またお前か第四位、麦野沈利さんよお。
見逃してやったのにわざわざ死にに来てんじゃねえよ」
麦野「ほざけ第二位が。今すぐその不似合いな順位から引きずりおろしてやるわよ」
第二位と第四位。
『未元物質(ダークマター)』と『原子崩し(メルトダウナー)』
超能力者(レベル5)という二人の化け物が再び相見える。
――――――
――――――
携帯電話の着信音が鳴り響く。
ここは第七学区のとあるコンビニである。
現代的な杖をついている白い超能力者(レベル5)『一方通行(アクセラレータ)』は、
仕事を終えてすることもないので、適当なコンビニに入って、
左手に持つ籠の中に大量のコーヒーを放り込んでいる最中である。
籠を地面に置いた後、ポケットの中にある携帯電話を取り出して、
ディスプレイに表示されている『登録3』という文字を見る。
実際に電話に出ると、彼が思っていた人物とは別の人物の声がした。
『お疲れ様です、一方通行。ひとまず『ブロック』による
統括理事長暗殺未遂事件は終結しました。これも全てあなたがた『グループ』おかげですよ』
この電話の声に対して一方通行は不機嫌そうな声で、
一方通行「オマエか」
と答える。
先ほどの電話の声から出た、『ブロック』と『グループ』というのは、
『アイテム』や『スクール』らと同等の機密で扱われる暗部組織である。
『有能な部下を持って私も幸せです……』
一方通行「よっぽど殺して欲しいようだなァ」
『いえいえ。私も今回は本当に感謝しているんですよ。
ところで現在『アイテム』と『スクール』が交戦しているのはご存知ですか?』
一方通行は溜め息をつく。呆れながら一方通行は、
一方通行「仕事の感謝の言葉を並べた途端次の仕事の話か?」
『仕事ではありませんが……この情報を聞いてどうするかはあなた次第ですけど……』
一方通行「情報だァ?」
『感謝の気持ちみたいなものですよ。通常の規定報酬のほかに、個人的な謝礼として有用な情報ををお持ちいたしました』
一方通行「……言ってみろ」
『はい。検体番号(シリアルナンバー)20001号『最終信号(ラストオーダー)』の命の危機に関する情報です
――――――
――――――
麦野は一度、粒子工学研究所で垣根と戦っている。
今でも彼の能力を理解することはできない。
しかし、どうせ殺してしまえば一緒だろうと麦野は深くは考えてはいなかった。
麦野「おい、クソガキ共!! 邪魔だからとっととどきなさい!!」
麦野は、明らかに邪魔くさい初春たちを睨みながら怒鳴る。
佐天が初春を連れて行くために、彼女の所へ近づく。
佐天「大丈夫? 初春」
初春「だ、大丈夫です……あいたた!!」
右肩を押さえながら初春は立ち上がろうとする。
それを心配そうに見る佐天の後ろに垣根が立っていた。
初春「さ、佐天さん後ろ!!」
佐天「へっ!?」
初春の声はむなしく、垣根はすでに攻撃の準備を終えていた。
垣根「とりあえず死んどけよ」
麦野「チッ!!」
麦野は電子線を初春たちのいる付近の地面に発射する。
着弾した地面が爆発を起こし、初春たちが10メートルほど転がってゆく。
垣根「へー。ずいぶんと甘くなったもんだな第四位」
麦野「なんのことやら」
その言葉と同時に複数の電子線を垣根に向かって飛ばす。
麦野の能力は『原子崩し(メルトダウナー)』。正式名称粒機波形高速砲。
波も粒子も使わずに電子を操る麦野が発射する電子線は、
どんな障害物も無視し、そのまま貫く強力な能力だ。
しかし、垣根は避けようともしない。
直撃したように見えたが、当たる直前に電子線が消え去っていた。
麦野(ここまであのときと一緒ね……さてどうしたもんか)
第四位の脳をフル回転させる麦野。考えをまとめる暇もなく、
垣根「どうした、もうお終いか? 次はこっちから行くぞ」
そう言って垣根は左腕を振りかざす。その動作と同時に衝撃波が発生して麦野を襲う。
麦野は舌打ちをし、目の前に電子線で出来た障壁を張る。
その障壁は敵の衝撃波を払いのける。
垣根「ほうやるな。だがこれならどうだ?」
再度左腕を横に振る垣根。先ほどと変わりない衝撃波が発生する。
麦野(あァ? なに考えてやが――)
考え終わる前に麦野の体が真後ろに吹っ飛んだ。
麦野「がッ!?」
なぜ? と麦野は思う。目の前には先ほどから障壁が張られていた。
別に障壁をよけて、側面から来たわけではない。
そもそもその場合は体の側面に衝撃が来るはずだ。
それ以前に障壁は直径2,3メートルくらいの巨大なものである。
しかしその衝撃波は正面から堂々と障壁を超えて飛んできた。
麦野「テメェ、いったい何をしやがった?」
垣根「簡単なことだ」
垣根はそう答えた後、突然背中に白い翼が生えた。
垣根「俺の『未元物質(ダークマター)』に常識は通用しねえ。ただそれだけだ」
そう不気味な笑みを浮かべながら宙に浮く垣根。
その姿はまるで天使のようだった。
麦野「チッ!! 似合わねんだよクソメルヘン野郎が」
垣根「心配するな。自覚はある」
早くも超能力者(レベル5)同士の戦いに、差が見え始めてきた。
第二位と第四位という、膨大な差が。
――――――
――――――
麦野以外の『アイテム』のメンバーは、付近に停めてあるボックスカーに乗っていた。
麦野に『私一人で決着つけてくるからあんたら待機ね』
と言われたので四人は待機していた。
待機と言うのは、垣根以外の『スクール』のメンバーが現れたときに、
麦野の邪魔をさせないために対応するという事である。
浜面「ところで麦野は大丈夫なのだろうか……?」
おそらく麦野たちの戦いを眺めてる野次馬の群れを、
フロントガラス越しに見て浜面はそう言った。
このスピードは猿さんになるぞ
もう少しスピード音した方が良いかも
もう少しスピード音した方が良いかも
みんなの評価 : ★★★×5
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