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元スレ上条「バイトでもしようかな……」
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垣根の右手には機械製のグローブがつけられていて、
人差し指と中指の二本には透明な爪が装着されている。
それが『ピンセット』である。
肉眼では確認できないが、爪の中には大気中から採取されたシリコンの塊が収まっているはずだった。
もっとも、塊と言っても70ナノメートル、電子顕微鏡を使わないと確認できないようなものである。
この『ピンセット』が彼ら『スクール』が粒子工学研究所を襲った目的である。
垣根「いつも疑問に思ってた」
垣根は爪をカキカキ鳴らしながら呟いた。
垣根「アレイスターのクソ野郎は、俺たちの動向を知り過ぎているってな。
防犯カメラや警備ロボット、衛星か何かの監視だけじゃねえ。
いったいどうやって情報を集めてるのか不思議なもんだったが」
心理定規「…………」
垣根「正体はなんてことはない。
町中に見えない機械を5000万ほどバラまいて情報収集してたんだ。
そりゃあ隅々まで知り尽くしてても当然だな」
『滞空回線(アンダーライン)』。
その形状は球体上のボディの側面から針金状の繊毛が左右に三対六本飛び出しているものだ。
移動方法は地上を歩くのではなく空気中を漂うといった感覚に近いだろう。
この極小の機械は空気の対流を受けて自家発電を行い、半永久的に情報を収集して、
体内で生産した量子信号を直進型電子ビームを使って『滞空回線(アンダーライン)』間でやり取りし、一種のネットワークを形成している。
『滞空回線(アンダーライン)』は『窓のないビル』と直結する唯一の情報玄関口であり、当然ながら、この中には世界を揺るがすほどの『最暗部』の情報がいくつも隠されているはずである。
垣根「ただ、『滞空回線(アンダーライン)』の存在を知ったところで、電子顕微鏡サイズの機械を見つけることは困難だし、仮に捕まえられたとしても情報を取り出す手段がないんだよな。何しろナノサイズの機体をこじ開けて、端子にコードを接続しなくちゃならないからな」
さらに『滞空回線(アンダーライン)』体内に収められた量子信号は、
外部から不用意に『観察』されるとその情報を変質させてしまうという問題もあった。
そこで必要とされたのが『ピンセット』というわけである。
ナノデバイスがどれだけ小さかろうが、
素粒子そのものを掴むために開発された『ピンセット』なら問題はない。
これなら『滞空回線(アンダーライン)』から情報を抜きとることも十分に可能となる。
ドレスの少女は垣根を見ながらこう言った。
心理定規「解析結果の方は?」
垣根は溜め息をつき、諦めたような顔をして、
垣根「予想通りだよ。ダメだな。
たしかに『滞空回線(アンダーライン)』荷は結構なデータが収められているが、
これだけでアレイスターと対等にやりあえる立場に立てると思えねえ。
このデータにプラスしてもうひと押しする必要がある」
心理定規「なら、やっぱりやるのね」
垣根「……ああ。学園都市の第一位、『一方通行(アクセラレータ)』を殺す」
学園都市第一位の『一方通行(アクセラレータ)』はアレイスターから見て、
『第一候補(メインプラン)』の核になっていて、
第二位の垣根帝督は、『第二候補(サブプラン)』となっている。
なので第一位を殺すことによって、自分が『第一候補(メインプラン)』になることが、
直接交渉権を得るのに近道であると垣根はみている。
垣根「『一方通行』か……」
垣根帝督は『ピンセット』を眺めながら、ゆったりと笑った。
――――――
――――――
上条たちはアイテムの隠れ家に到着していた。
麦野「遅いよー二人とも」
麦野沈利がのんびりした調子で言った。
フレンダ「ご、ごめん麦野」
ボロボロのフレンダが返答する。
ここは第三学区にある高層ビルの一角である。
スポーツジムやプールなど、屋内レジャーだけを集めた施設であって、利用者のグレードはかなり高い。
建物に入るだけで会員証の提示を求められ、
そこから各施設を利用する際、会員証のランクを調べられたりする。
いわゆる上級階級と呼ばれる人々が、ステータスとしてまず手に入れたいものがここの会員証らしい。
上条たちはアイテムの隠れ家に到着していた。
麦野「遅いよー二人とも」
麦野沈利がのんびりした調子で言った。
フレンダ「ご、ごめん麦野」
ボロボロのフレンダが返答する。
ここは第三学区にある高層ビルの一角である。
スポーツジムやプールなど、屋内レジャーだけを集めた施設であって、利用者のグレードはかなり高い。
建物に入るだけで会員証の提示を求められ、
そこから各施設を利用する際、会員証のランクを調べられたりする。
いわゆる上級階級と呼ばれる人々が、ステータスとしてまず手に入れたいものがここの会員証らしい。
上条たちが今いるのはVIP用のサロンである。
年間契約貸し切り個室で、
『二つ星』以上の会員証ランクがなければ借りる資格さえ与えられないという。
まさに最高級な感じの部屋であって、上条には一生縁がないと思ってもいい場所である。
個室と言っても3LDKを超える広さの空間で、麦野はソファに身を沈めていた。
上条がある少女を見て、声を出した。
上条「絹旗。よかった、無事だったのか。」
絹旗「はい。フレンダが『スクール』の主力を超引きつけてくれたおかげで、比較的楽に逃げ切れました。」
フレンダ「まったく、おかげで『スクール』の超能力者(レベル5)に殺されかけたんだから」
フレンダは軽く起こりながら言う。
擬音で言うなら、プンスカだろうか。
麦野「はいはい、わかったから。いい加減そのムカつく第二位をブチ殺しに行きたいんだけど?」
麦野は軽い感じでそう言い滝壺の方を向く。
麦野「滝壺。お願い。」
麦野がそう言うと滝壺は無言でうなずき、ポケットから透明なケースを取り出す。
絹旗は不思議そうな目で透明なケースを見ている。
絹旗「滝壺さんも超難儀していますよね。『体晶』がないと能力を発動できないなんて」
滝壺「別に。私にとっては、こっちの方が普通だったから」
そう答え、そして麦野の方へ向く。
滝壺「検索対象は『未元物質(ダークマター)』でいい?」
麦野「いいから、とっととやっちゃいなさい」
滝壺は白い粉末をほんの少しだけ舐めた。彼女の目が光る。
まるでそちらの方が正常であるかのように、背筋を伸ばして滝壺理后はたたずんでいる。
滝壺理后は、『能力追跡(AIMストーカー)』のという能力を持つ、大能力者(レベル4)である。
一度記憶したAIM拡散力場の持ち主を補足し、たとえ太陽系の外まで逃れても居場所を探知できる能力である。
滝壺「AIM拡散力場による検索を開始。
近似・類似するAIM拡散力場のピックアップは中止。
該当する単一のAIM拡散力場のみを結果報告するものとする。
検索終了まで五秒」
機械のように放たれる声。
そして、正確な答えはやってきた。
滝壺「結果。『未元物質(ダークマター)』は、第七学区にいる」
浜面「第七学区って、結構広いぜ?」
滝壺「大体この位置は喫茶店や、オープンカフェが並ぶところ。
今も絶えず、移動を繰り返している」
麦野「よし、だいたいわかったわ。」
ソファから立ち上がった麦野は軽く背伸びしてから、
麦野「『アイテム』、『スクール』のクソどもをブチ殺しに行くわよ。
浜面。先に行って、車ですぐ出られるようにしてて」
わかった、と軽く返事をし、浜面は入口から出て行った。
麦野「じゃ、頼むわよ。絹旗」
絹旗「了解です」
そう言うと、絹旗は上条の背後に回る。
「なんだよ?」と聞く前に上条の首元に手刀を食らわせる。
ガッ!!
上条「なっ――!?」
上条は地べたに倒れこんでしまう。
意識が遠のき、だんだんと視界がぼやけていく。
浜面「第七学区って、結構広いぜ?」
滝壺「大体この位置は喫茶店や、オープンカフェが並ぶところ。
今も絶えず、移動を繰り返している」
麦野「よし、だいたいわかったわ。」
ソファから立ち上がった麦野は軽く背伸びしてから、
麦野「『アイテム』、『スクール』のクソどもをブチ殺しに行くわよ。
浜面。先に行って、車ですぐ出られるようにしてて」
わかった、と軽く返事をし、浜面は入口から出て行った。
麦野「じゃ、頼むわよ。絹旗」
絹旗「了解です」
そう言うと、絹旗は上条の背後に回る。
「なんだよ?」と聞く前に上条の首元に手刀を食らわせる。
ガッ!!
上条「なっ――!?」
上条は地べたに倒れこんでしまう。
意識が遠のき、だんだんと視界がぼやけていく。
麦野「悪いけどここでお別れね。あんたはこれ以上『暗部』にかかわらない方が良いわ」
フレンド「ど、どういう事なの麦野?」
フレンダは心底あせっているのが見て分かる。
麦野「言葉の通りだよ。この『善人』をこれ以上、この道に踏み込ませる訳にはいかないよ」
上条「ふ……ざけん……」
麦野「ああ大丈夫よ。バイト代ならここ置いとくから」
麦野は茶色い封筒をガラステーブルの上に置いた。
おそらくこの中に一万円札が二枚入っているのだろう。
麦野「あんたはこれ以上。ここにはかかわらない方が良いわ」
上条はここまで聞いて、意識が消え去ってしまった。
麦野「フレンダ。あんたもここにいても良いんだよ?
身体もボロボロだし、武器の残りも少ないんでしょ?」
フレンダ「結局、心配ご無用な訳よ! 腐っても『アイテム』だし」
麦野「せいぜい死なないことね」
軽く笑って返答する麦野。
そんな会話をしつつ『アイテム』は、『スクール』のリーダー、
超能力者(レベル5)第二位、垣根帝督の下へ向かう。
『アイテム』と『スクール』の最終決戦の火蓋が切って落とされる。
――――――
――――――
第七学区のとあるオープンカフェの席に、二人の少女が座っていた。
頭に花の髪飾りをしている彼女は『初春飾利』という。彼女は『風紀委員(ジャッジメント)』である。その証拠に風紀委員の証である腕章をつけている。
その目の前で机に突っ伏している、肩まである茶色い髪に、同色の瞳。
空色のキャミソールの上から男物のワイシャツに腕を通して羽織っている、
見た目10歳前後の少女は『打ち止め(ラストオーダー)』という。
なぜこの二人が一緒にいるのかと言うと、
「迷子を捜す!」と息巻いている打ち止めに初春が付き合うかたちで一緒に行動していた。
そして歩きまわっているうちに、歩き疲れたから休もうと言ってこの状況にある。
ちなみに現在初春は大型甘味パフェに挑戦中だ。
初春「ところで迷子はどうなったんですか?
アホ毛のビビっと反応はもう無くなっちゃったんですか?」
打ち止め「……ミサカはアホ毛じゃないもん、ってミサカはミサカは萎れながら答えてみたり」
しかしそうは言っても10歳前後の少女の頭頂部から一部だけ飛び出した髪の毛が、
秋の風を受けてそよそよと左右に揺れている。どこに出しても恥ずかしくない天下無敵のアホ毛だ。
打ち止め「うーん……さっきまで確かにこの辺りをウロウロしていると感じたんだけど、
何だかいつの間にかどっか言っちゃったみたい、ってミサカはミサカはあまりの徒労っぷりにげんなりしてみる。」
と、グニャグニャしていた打ち止めがいきなり顔をあげた。
迷子が見つかったのかな? と初春が思ったのだが、どうも違うらしい。
打ち止めは通りすがりの女子高生たちが持っていた、
チェーン系の喫茶店のセットについてくるキーホルダーを凝視している。
打ち止め「み、ミサカもあれが欲しい、ってミサカはミサカはお財布を持ってないので、
初春のお姉ちゃんの方にキラキラした瞳を向けてみたり!!」
初春「あーもう、迷子を捜すんじゃなかったんですか?」
打ち止め「むむっ! あっちの喫茶店から迷子の反応をミサカは感じ――ッ!!」
初春「真顔で嘘をついちゃダメですよ。
大体、私の大型甘味パフェはまだ序章の生クリームゾーンを終えたばかりであって、
ここで席を立つことなんてありえないんです」
打ち止め「何でそんなのんびりしてるのーっ! ってミサカはミサカはテーブルをバンバン叩いて駄々をこねてみたり!!」
初春「……そういえば、タクシーのお釣りを一杯もらってませんでしたっけ?」
打ち止め「ハッ!! 言われてみれば、ってミサカはミサカはポケットに突っ込んで札を握りしめて手近な喫茶店にダッシュしてみたり!!」
言い終える前に走り出す打ち止め。初春はハンカチを振りながら、
初春「ちゃんと戻ってくるんですよー」
とひとまず忠告だけはしておく。
よし、ここからが本番だ、と意気込んで。
大型甘味パフェのアイスクリームゾーンへ突入した初春だったが、
「失礼、お嬢さん」
不意に横からそんなことを言われた。
上条さん見ていつも思うけど
やっぱヒーローってのは強いだけじゃ駄目なんだな
誰かのピンチに駆けつけてこそヒーロー
流石上条さん
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誰かのピンチに駆けつけてこそヒーロー
流石上条さん
>>130
説明不足だったな、悪い
説明不足だったな、悪い
>>133
wktk
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みんなの評価 : ★★★×5
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