私的良スレ書庫
不明な単語は2ch用語を / 要望・削除依頼は掲示板へ。不適切な画像報告もこちらへどうぞ。 / 管理情報はtwitterでログインするとレス評価できます。 登録ユーザには一部の画像が表示されますので、問題のある画像や記述を含むレスに「禁」ボタンを押してください。
VIP以外のSS書庫はSS+をご利用ください。
元スレ上条「バイトでもしようかな……」
SS スレッド一覧へ / SS とは? / 携帯版 / dat(gz)で取得 / トップメニューみんなの評価 : ★★★×5
レスフィルター : (試験中)
垣根がこちらに気付いたようで、浜面がいる方向に目を向ける。
ビクッ!!っと身体が震える。
さっきまでの戦いが怖くなかった、と言えばウソとなるが、
今まさしく、本当の恐怖が自分を襲っている。
垣根「ああ、テメェ生きてたのか……」
よくよく垣根の姿を見てみると、
さっきまで消え去っていた左腕はいつのまにかもとに戻っていた。
おそらく能力かなんかで腕を新しく生やしたのだろう。
浜面「テメェ。いったい何をしやがったんだ」
震える身体を押さえながら、垣根に問いかける。
垣根「あ? ああ。これは俺も予想外だ」
浜面「は? ふざけんな!! テメェは滝壺に能力が暴走させられて、能力がまともに使えなかったんじゃなかったのかよ!?」
垣根「ああそうだな」
軽かった。あまりにもあっさりとした返答だった。
垣根「その滝壺とかいうやつに代わりに礼を言っといてくれよ。
『お前のおかげで俺は、第一位になった』ってな。こりゃ一方通行なんて余裕だな。
オイオイこれってもしかして俺、『絶対能力者(レベル6)』になっちまったんじゃねえのか?」
聞いたことのない単語を聞いた。
『絶対能力者(レベル6)』。
学園都市は、
無能力者(レベル0)、低能力者(レベル1)、異能力者(レベル2)、
強能力者(レベル3)、大能力者(レベル4)、そして超能力者(レベル5)。
これらの6段階で査定されるはずだ。
そんな常識浜面でも知っている。
能力者の頂上である超能力者(レベル5)。
その上に立つ『絶対能力者(レベル6)』。
そんなものが本当にあるのだろうか?
浜面「……ふざけんなよ。常識的に考えて『絶対能力者(レベル6)』なんてもんあるかよ!!」
垣根「おいおい。言わなかったけなあ……いや、そのときお前はいなかったか?」
垣根はやれやれ、と額に手を当てる動作をして、
不気味な笑顔を浮かべながら口を開けた。
垣根「俺の『未元物質(ダークマター)』に常識は通用しねえんだよ!!」
浜面は全身の力が抜けたのか、尻もちをつき腕をダラッと下げた。
これは安心して気が抜けたのではない。
もう全てがどうでもよくなったのだ。
「ふ……ざけんじゃ……ないわ……よ……」
どこからか声が聞こえた。
その声の持ち主は左腕を失った麦野である。
血だらけの身体を震わせながら、
麦野は垣根を睨みつける。
垣根「よお第四位。いい夢見れたか?」
麦野「テメェなんかが……『絶対能力者(レベル6)』なん……かが、なれるわけ……ねえだろうが」
垣根「まあそうだろうな。こう簡単に『絶対能力者(レベル6)』になれれば苦労はねえよな。まあひとつだけわかったことがある」
垣根は麦野に近づきながらそう喋る。
そして麦野の目の前に立ち、目を大きく見開いた。
垣根「超能力者(テメェら)はもうクズってことがな!!」
垣根は麦野の頭を軽く蹴り飛ばす。
それだけで麦野の身体は5メートルほど浮いた。
麦野「が……は……」
頭を無視して脳みそに直接衝撃を与えられている、そんなようなダメージだった。
意識が飛びそうだった。しかしかろうじて意識はある。
麦「……クソ……が……」
浜面「麦野ッ!!」
垣根「すっげえなおい。軽く蹴飛ばしてこれかよ」
垣根は浜面を無視して歩いていく。
もはや浜面などなんとも思っていないのだろう。
ピピピピピピピ
いきなり何かの音が鳴った。
その瞬間垣根の足元が爆発した。
垣根は足元が爆破したにもかかわらず、
どうでもよさそうに足元を見ている。
「結局、逃がしは……しないって訳よ」
その足元にあったものを操作していたのは、
頭から血が流れているフレンダだった。
浜面「フレンダ!! よかった生きてたのか」
「私も超無事ですよ」
浜面「絹旗、お前もか」
二人はボロボロの体にムチを打って立ったのだろう。
しかし、この状況で立つことは間違いだろうと、浜面は思っていた。
垣根「あーなんつうか。テメェらそんなに殺して欲しいの?」
垣根の表情は変わらない。
あいかわらずどうでもよさそうだ。
絹旗「死ぬつもりもありませんし、お前を逃がすつもりも超ありません」
フレンダ「なんつうか、ここで逃がしたら麦野に真っ二つにされそうで怖いのよね」
垣根「はあ。せっかく生かしてやろうと思ったのによお。なんだ? この善意を踏みにじられた気分は」
垣根は身体をこちらに向ける。
そして、敵意というより殺意をこちらに向ける。
垣根「そんなに死にてえなら、勝手に死んじまえよ」
絹旗とフレンダは身構える。
垣根のほぼ一撃必殺と思われる攻撃をよけるためだ。
だが化け物はつっ立ったままである。
あくまでつっ立ったままである。
次の瞬間、フレンダたちは体中が切り裂かれた。
距離、装備、能力。
すべてを無視して彼女たちの皮膚を引き裂く。
そしてすべてが倒れ伏す。
反応できなかった。というよりいつ攻撃されたかも、
そもそも攻撃されたかどうかも分からなかった。
それはそのシーンを見ていた浜面もである。
浜面(み、みんな殺される……)
浜面は目の前の光景を見てそう思った。
そう思うしかなかった。
それくらい垣根帝督という化け物は、圧倒的だった。
フレンダ(な……んで?)
不思議と痛みは感じない。
ただただもう自分は死ぬのだろうかと感じるだけだった。
フレンダ(死にたくない……)
指一本動かせない状態で、フレンダは思った。
もはやどうしようもないというのことは分かっている。
これは運命といっても過言ではないだろう。
足音が近づいてくる。おそらく垣根帝督だろう。
その足音が地獄へのカウントダウンに聞こえる。
自分の十数年の人生を振り返った。
『暗部』なんかに入って、ろくな人生ではなかった気がする。
学園都市の闇の住人になってから、こうなることは分かっていたはずだ。
フレンダはふと見上げる。
純白の巨大な翼を広げる垣根が目の前に立っていた。
周りの人から見れば、『天使』などと口から発するだろうが、
フレンダからはどうみても『悪魔』にしか見えなかった。
それを見てフレンダはただただ思うだけだった。
垣根は足を上げる。次にその足の着地地点はフレンダの脳天だ。
フレンダはなぜかあの少年が脳裏に浮かんだ。
自分が過ちを犯そうとしたところに、さっそうと現れて自分を救ってくれた少年が。
今ごろ、絹旗の手刀を食らって隠れ家で寝ているだろう少年が。
自分にとって『ヒーロー』に見えた少年が。
フレンダ(……最後に……もう一度上条に会っておきたかったな)
今下ろされよう足を見て、フレンダは目をつむる。
涙があふれる。
今度こそ死んだと思った。
フレンダ(……死にたくない―――!!!)
しかし足は振りおろされなかった。
目を開けると垣根はいない。
その代わりに別の人物が立っていた。
本当に会えるとは思わなかった。
もし神様がいるのなら、感謝してもしきれないと思った。
彼女の目の前に『上条当麻(ヒーロー)』が立っていた。
――――――
――――――
浜面はその一部始終を見ていた。
フレンダが踏みつけられそうになるところから、『垣根帝督(化け物)』が上条にブッ飛ばされるところまで。
浜面「あ、ありえねえ……」
浜面は驚愕した。
麦野「ほんとバカよね……わざわざバイト代をテーブルの上に置いといてあげたのに」
麦野はあきれる。
絹旗「ふう。私としたことが超浅かったってことですね」
絹旗は自分のミスを笑う。
フレンダ「あ……ああ……」
『ヒーロー』の参上に安堵したフレンダは
涙を流しながらその名を呼ぶ。
「かみ……じょう……」
上条「はは、よかった。無事だったかフレンダ」
隠れ家からここまで走ってきたのか、
上条は息が荒く、顔に汗が目に見えるほど流れていた。
上条「あとはゆっくり休んでな。後は俺が片をつける」
フレンダ「わ……わかった……」
フレンダは安心したのか、ゆっくりと瞳を閉じていった。
類似してるかもしれないスレッド
- 上条「俺って実はモテるんじゃ……」 (268) - [57%] - 2013/10/31 10:30 ○
- 上条「美琴ってMだよな……」 (154) - [56%] - 2010/3/9 7:30 ★★★×4
- 美希「ハニーが浮気してるの……」 (994) - [56%] - 2012/3/12 3:15 ★★★×7
- 女「揉めば大きくなるのかな……」 (574) - [56%] - 2011/12/4 6:30 ★★
- 上条「女の子と仲良くなりたい……」 (1001) - [55%] - 2010/4/3 8:01 ★★★×7
- 雪歩「うまい棒おいしいですぅ……」 (218) - [55%] - 2011/11/21 10:15 ★
- 義妹「こ、こちらこそよろしく……」 (134) - [55%] - 2012/3/30 18:30 ☆
- 岡部「まゆりがグレてしまった……」 (165) - [55%] - 2011/11/7 9:15 ★
- 鳴上「バレンタインデーか……」 (397) - [54%] - 2012/1/16 3:45 ★★★×5
トップメニューへ / →のくす牧場書庫について