元スレエルフ「く、鎖をはずしてください」
SS覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★★
451 = 441 :
再開wktk
452 = 420 :
男「・・・・・・・・・」
男「・・・くっ」
男「くっくっく。どこまで腑抜ければ気が済むんだ・・・」
男「つくづく私は、駄目な男だ」
男「・・・・・・・・・」
男「・・・なぁ」
男「浮かばれんだろうな。すまん」
男「決意は簡単に揺らいでしまう。私は本当に弱い人間だ」
男「・・・せめて、死ぬことが出来れば、私も」
男「私も、お前に・・・」
―――キィ・・・
男「・・・・・・・・・」
・・・バタン
453 = 420 :
男「・・・な」
男「・・・何故、だ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・何故、ここに、居る・・・?」
エルフ「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・さぁ、何故でしょうか」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・良い森ですね。料理に使えそうなハーブも、薬草も豊富です」
エルフ「動物もたくさん居ました。のんびり暮らしています。ここは良い森です」
男「・・・それが、どうした」
エルフ「特に意味はありません」
男「からかっているのか」
エルフ「そうかも、知れません」
455 = 420 :
エルフ「・・・私の所有者は、あなたなのでしょう?」
男「・・・そうだ」
エルフ「所有者のあなたは、私に向かって、『自由にしろ』といいました」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・それだけです」
エルフ「私は、自由にしました」
男「・・・・・・・・・」
男「・・・なるほど」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・好きに、しろ。いつでも逃げればいいし、いつでも私を殺すといい」
エルフ「・・・そのつもりで、ナイフを一本頂戴しました」
男「はっ。なかなか大した小娘だな。いいだろう、いつでも刺すといい」
エルフ「言われなくても、そうします」
456 :
俺はお前を待っていた
457 = 420 :
男「・・・君がここに居る理由は、無いんだぞ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・理由は、自分で探すといい。私は君に、なにも言わない」
エルフ「分かりました」
男「・・・さて、腹が減ったな。君も食べるか?」
エルフ「もう、食べました」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・あなたの分もあります」
男「・・・はっ」
エルフ「食べますか?」
男「いただくとしようか」
―――こうして、私を買った人間との生活が始まった。
458 = 420 :
男「エルフは本を嗜むのか」
エルフ「ええ。文字さえ読めれば」
男「読めない文字があるのか?」
エルフ「人間の文字は、ほとんど読めます」
男「・・・なるほど。なら、読むといい」
エルフ「面白いですか?」
男「はっ。教えるわけがないだろう」
男「自分で確かめなさい」
エルフ「・・・分かりました」
男「書庫の本は好き勝手に読むといい」
エルフ「はい」
男「だが忘れるな、私は綺麗好きなんだ」
エルフ「・・・・・・・・・」
459 = 254 :
しえん
460 = 420 :
男「エルフは音楽を嗜むのか」
エルフ「音楽、ですか?」
男「知らないのか?どれ・・・、蓄音機だ」
エルフ「・・・歌、ですか」
男「歌は知っているのに、音楽は知らないのか?」
エルフ「こんな代物、ありませんから」
エルフ「しかしエルフは、歌を歌いますよ」
男「なるほど、それは興味深い」
エルフ「聴きたいのですか?」
男「勝手にしろ。私は強要はしない」
エルフ「・・・ならば、あなたは私の歌を聴くことは無いでしょうね」
男「下手なのか?」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「下手なのか?」
エルフ「・・・そんなこと、ありません」
462 = 420 :
男「エルフは酒を嗜むのか」
エルフ「ぶどう酒なら、作ります」
男「君も飲むのか?」
エルフ「多少は」
男「なるほど。・・・ならば、飲んでみるか」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「どうした、飲まないのか?飲めないのか?」
エルフ「・・・奴隷と、酒を飲むのはどうなのですか」
男「どうでもない。ただの余興だと思えば良い」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「君は、そんなに奴隷扱いして欲しいのか?」
エルフ「あなたの性格を疑っているだけです」
男「はっ。ならば、疑うだけ無駄だと言っておこう。・・・どうした、飲まないのか?」
エルフ「・・・頂きます」
463 :
ツンデレvsツンデレ
464 = 456 :
エルフ先にデレろ
465 = 420 :
男「エルフは煙草を嗜むのか」
エルフ「そういう仲間も居ます」
男「君は」
エルフ「私は嫌いです」
男「なるほど。奇遇だな、私も嫌いだ」
エルフ「そうですか」
男「煙管も、葉巻も、嫌いだ。旨いとは思えん」
エルフ「・・・私が、煙草を吸いたいと言ったら、どうしたのですか?」
男「どうもしないさ。吸うといい」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「私の居ないところでな」
エルフ「・・・・・・・・・」
―――なんてことは無い、ただの会話だ。
食べて、寝て、本を読んで、そして会話をする。それしかやることが無い。
それだけの日々が、しばらく続いた。
私は一度も、ナイフを握らなかった。
466 = 420 :
―――2週間後
男「・・・君は」
エルフ「なんですか」
男「ナイフは、持って居ないのか」
エルフ「・・・持っていますが」
男「一度も使おうとしないんだな」
エルフ「いつ使おうが、私の勝手です」
男「・・・なるほど」
エルフ「使って欲しいのですか」
男「ああ、そうだな。使って欲しいのかもしれない」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・なに、一応聞いただけだ」
男「今までどおり、いつでも刺しに来るといい」
エルフ「・・・そうします」
男「はっ。本当に肝の座った小娘だ・・・」
468 :
どうも私です、さるりました
469 :
会話は殺伐としているのにニヨニヨが止まらない支援
470 = 468 :
どうすんだこれ…
471 = 420 :
エルフ「・・・食事ですが」
男「そうだったな。いただくとしよう・・・、ごほっ」
エルフ「・・・?」
男「・・・ごほっ、ごほごほ、ごほッ・・・」
エルフ「・・・背中、さすりますか」スッ
男「・・・必要、ない・・・。喉の調子が、悪い、だけ・・・」ゼェゼェ
エルフ「しかし・・・」
男「・・・・・・・・・」ツー・・・
エルフ「・・・っ。血が・・・!」
男「・・・なる、ほど。そろそろ、か」
エルフ「どういう・・・」
男「・・・部屋に戻る、君は食事を・・・っと」ガクン
エルフ「・・・!」ダキッ
男「・・・すまない、肩を貸してくれないか。無理にとは、言わないが」
エルフ「・・・分かりました」
472 = 456 :
うわあああ………
男が…
473 = 420 :
―――部屋
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・ご気分は」
男「最悪に、決まっている・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・もう、下がって、いいぞ・・・」
エルフ「そういうわけには・・・」
男「いいんだ・・・、決まっていることだ・・・ごほっ」ゼェゼェ
男「・・・私は、あまり、体の丈夫なほうでは、ない・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・そうだな。もう、死ぬ、だろう・・・」
エルフ「・・・っ」
男「・・・どう、した。喜べ。君の嫌いな、人間が、死ぬぞ」
エルフ「・・・・・・・・・」
474 = 262 :
続けて続けて
475 = 282 :
つ①①①①
476 = 420 :
男「嬉しい、だろう・・・?」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・君を、捕ま、え、虐げてきた、人間の一人が、死ぬ、ぞ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「君を金で、買った人間が、死ぬ、ぞ・・・。ごほっ」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・それとも、なにか」
男「君は、人間が、嫌いでは、ないのか・・・?」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・私の家族は、人間に殺されました」
エルフ「村は焼かれ、私はこうして、売られました」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・私は、人間が、嫌いです」
478 = 420 :
男「・・・だろう、な」
エルフ「それは、変わりません」
男「・・・なるほど」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・君が、自分の話を、したなら」
男「私も、自分の話を、しようか・・・。ごほっ・・・」
エルフ「・・・え?」
男「・・・私は、エルフが嫌い、なのだ・・・」
男「君たち、エルフが、な・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・私の、妹は・・・」
男「・・・君たちエルフに、殺された」
エルフ「・・・っ」
479 = 431 :
481 = 420 :
男「エルフと人間の、間で、大きな戦争があった」ゼェゼェ
エルフ「・・・知っています」
男「・・・確かに、人間は、勝った」
男「だが、私の妹は、私の家族は殺されたのだ・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・私には、この屋敷と、両親が残した、大金だけが残った・・・」
男「・・・それだけの、話だ。君よりもずっと、幸せな、話・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・それでも」
男「・・・それでも、私は、エルフが憎かった・・・。ごほっ」ゼェゼェ
男「何年も、何年も・・・、廃人のように、暮らし・・・」
男「そして・・・、君を・・・、買った・・・」
484 = 420 :
男「・・・家族を殺され、自分すら、売られた君から、すれば・・・」
男「・・・なにを、馬鹿な話をと、思うだろう・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「だが、残念なことに、私には・・・、金があった」ゼェゼェ
男「・・・だから、エルフを・・・、殺したく、なったのだ」
エルフ「・・・私を」
男「そうだ。妹を、殺された、私は・・・」
男「君を、殺さねば、気が狂いそう、だった・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
エルフ(あの絵も、この、服も・・・)
エルフ(すべて、あなたの・・・)
486 = 420 :
男「・・・手首は」
エルフ「え・・・?」
男「手首は、治った、のか・・・?」ゼェゼェ
エルフ「・・・ええ。もう、動かせます」
男「・・・そう、か」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・妹は、な。髪を自分で、乾かすのが、苦手だった」
エルフ「・・・あ」
男「私が、よく、拭いてやったものだ・・・。歳も、離れていた、からな・・・」
エルフ「・・・あなたは・・・」
男「・・・君を、風呂に入れなければ、良かったと、後悔、したよ・・・」ゼェゼェ
男「・・・お陰で私は、エルフを・・・。君を」
エルフ「・・・っ」
男「・・・君を、殺せなく、なってしまったではないか・・・」
487 = 420 :
男「・・・ああ。私は、なんて愚か、なんだ」
男「妹の、復讐も、できず・・・」
男「こうして、君と、話して、いる・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・せめて、君が私を殺してくれれば、救われると、思っていた」
男「だが君は、そこまで、甘くは無かったのだ、な」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・それでも」
男「・・・それでも、これで、死ねる・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・部屋から、出て行っては、くれない、だろうか」
男「エルフに、見取られたくは、ない、のだ・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
489 = 420 :
男「・・・悪かった、な。最後まで・・・」
エルフ「・・・いえ」
男「・・・償いのつもり、ではないが・・・」
男「ここにあるもの、すべてを、譲ろう・・・」
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・自由に、生きると、いい」
男「・・・このくらい、で、償える、とは、思えないが・・・」ゼェゼェ
男「・・・それでも、使ってくれる、と、嬉しい」
エルフ「・・・分かり、ました」
男「・・・すまない・・・、ごほっ」ゼェゼェ
エルフ「・・・失礼します」
・・・バタン
491 = 420 :
男「―――ごほっ、ごほごほ」
男「っはぁ。はぁ、はぁ」
男(・・・これでやっと、死ねるのか)
男(果たすことも果たせずに、死ぬなんて)
男(・・・なんて謝ればいいのか・・・)
男「・・・ごほっ」
男(・・・彼女にも、申し訳ないことをした)
男(・・・せめて、最後は)
男(せめて最後は、目一杯、苦しむから・・・)
男(君の嫌いな人間は、苦しんで、死ぬから・・・)
男「ごほ、ごほごほッ!」
男(・・・それで、許しては貰えないだろうか)
男「ごほごほごほッ!ごほッ!!ごっ・・・」
男(・・・許しては、貰えないだ、ろう、か・・・)
492 :
おいやめろ
泣いちゃうだろが
493 = 420 :
・・・キィ
バタン。
男「・・・?」
エルフ「・・・私が、嫌いな人間の言うことを聞くと、思っているのですか」
男「・・・!・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・もう、口も利けないのですか」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「随分、苦しんでらっしゃるようですが」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・あなたは私に、『殺して欲しい』といいました」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・あなたを殺すのは、私だと思うのです」
495 :
496 = 420 :
男「・・・?」ゼェゼェ
男(なにを、言っている・・・?)
エルフ「・・・私は」
エルフ「私は、人間が嫌いです」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「私の両親は人間に殺され・・・」
エルフ「私の村は人間に焼かれ・・・」
エルフ「私は人間に連れ去られて・・・」
エルフ「私は人間に、買われました」
男「・・・・・・・・・」ゼェゼェ
エルフ「・・・私は、人間が嫌いです」
エルフ「・・・なのに」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・なのに、なぜあなたのことを、とても愛しく思うのでしょう・・・?」ポロポロ
497 = 420 :
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
エルフ「・・・あなたがどう思おうが、知りません」ポロポロ
男「・・・・・・・・・」
エルフ「私は人間が嫌いなのです。どう思われようと、知ったことではない」グスッ
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
エルフ「・・・毒を、持ってきました」スッ
エルフ「これを飲めば、苦しまずに、死ねるでしょう」
男「・・・!」ゼェ、ゼェ
エルフ「・・・どうせ、苦しんで死にたいとでも、思っているのでしょう・・・?」
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
エルフ「させませんよ。あなたのしたいことなど、何一つ、させない」
エルフ「・・・口を開けてください」
エルフ「もう、自力で何かを飲むことも出来ないのでしょう?」
498 :
あらあら
499 :
男「・・・・・・・・・」ゼェ、ゼェ
男(・・・これが、君の復讐だとでも言うのか)
男(私を苦しませないことが、復讐だとでも)
エルフ「・・・口を」
男「・・・・・・・・・」
エルフ「・・・ん」クイッ
男「・・・!」
・・・チュ
エルフ「・・・んふ・・・」トロッ
男「・・・ん・・・ぐ」ゴク、ゴク
エルフ「・・・・・・・・・」
男「・・・・・・・・・」ゴク、ゴクゴク・・・
エルフ「・・・ふは。・・・飲めましたね」
男「・・・・・・・・・」
男(・・・君は、本当に、馬鹿な―――)
みんなの評価 : ★★★
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