元スレ新ジャンル「強がりな寂しがり屋」
新ジャンル覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
551 :
移動先で携帯から様子見よ言うとしたけど電波悪杉;
スマソ、ただいま;
大学編乙だぜ^^ 続き投下~
(二日後 昼前)
男「母さん、おかえり」
母「ただいま、元気でやってた?」
男「うん。荷物持つよ……タバコ、止めた方が良いよ?」
母「居間までお願いしようかな……タバコくらい見逃して」
男「……お昼まだだよね、すぐ食べる?」
母「そうしようかなー……わー、スパゲッティーだ」
男「お母さんが好きなものを作ってみたんだ」
母「そーなんだー。うんうん、いい息子を持って私は幸せだよ」
妹「私もー」
母「うんうん、妹ちゃんもよく頑張ったー」
男「ねえ、母さん、晩ご飯食べるよね?」
母「外食してもいいんじゃない? ホテルの展望レストラン、予約とろうか?」
男「いや、いいよ……もう材料用意してあるから、うちで食べようよ」
母「あら、そうなの? じゃあ、そうしようかな」
男「あのさ、知り合いも誘っても大丈夫?」
母「いいよー、10人でも20人でもよんじゃになさい♪」
男「……クラス全員呼ぼうか?」
母「床抜けるから駄目―」
552 = 14 :
(夕方)
女「お、お邪魔します……」
母「……」
女「あ、あの……?」
男「母さん、女っていって、一緒のクラスなんだ」
母「はぁ……」
男「……えと……あげてもいいんだよね?」
母「……スリッパとってくるね」ポロ ←タバコ落とした
男「わっ!? !! あつぅ!? せっかく掃除したのに!?」
母「……彼女なの?」
男「まあ……」
母「……いつから?」
男「本当に最近だよ……知り合ったのはもう少し前からだけど」
母「ふーん……うふふふふふ……男がねー、うふふふふふふ」
女「よ、よろしくおねがいします……」
母「愚息はふつつか者ですがよろしくー」
男「……なんか悔しいな……」
女(このひとが『お母さん』か……良いわね)
553 = 14 :
母「ねえ、男」
男「ん?」
母「女ちゃんとはどこか行ったの?」
男「……いや、どこへも……」
母「ふーん……へーぇ……」
男「……何?」
母「私らは高校の時、北海道まで行ったけどねー」
男「……高校違うんじゃなかったっけ?」
母「まぁねー……女ちゃんは行きたいと思うよね?」
女「え? あ、その……私は……」
女(すごく行きたい……)
母「あ、でも一応親御さんに連絡はしないとね」
女「……はい」
母「……あれ? どうしたの?」
男「まあ、ちょっと……」
母「あ、夜が怖い?」
女「!!!?」
男「か、母さん何を――」
母「大丈夫、男はそんな度胸ないって、今どきエロ本もエロDVDも持ってないんだから」
男「何の関係があるの!?」
女「そうなの?」
男「ないけど……その憐れむような視線は凶器だね……」
妹「ないんだー」
男(……生活費が心配で余裕ないんだよね……ははは……)
554 = 14 :
(食卓)
男「お待たせー、ゴルゴンゾーラとトマトのリゾット(もどき)でーす」
母「おー……なんか、ヨーロピアンな」
女「こっちも(なんちゃって)ミネストローネできました……重いわね」
男「手伝うよ」
母「あらあら、オシドリ夫婦」
男「か、母さん……」
妹「お兄ちゃん、トマトサラダもって行っても良ーい?」
男「うん、気をつけてね」
妹「はぁーい――」
母「ちょっとストップ、ねえ男」
男「え?」
母「なに、このトマトの大群は……」
男「今日は店長の気まぐれセールとかで、夏野菜が格安だったから、
女と妹と一緒にお一人様5個まで買って、大量に買ってきたんだ、お得でしょ?」
母「なるほどー(トマト好きじゃないんだよね)」
555 = 14 :
母「でも二人とも仲良いよね」
男「なんで?」
母「だって、料理してる時後ろから眺めてて、何だか新婚みたいだったんだもん。
昔を思い出しちゃった」
女「し、新婚……」
男「女が困ってるじゃないか……」
女(ふふふふ……新婚、いいわね……お父さんもお母さんも、こんな風だったのかな……)
母「あはははは、ごめんごめん」
男「もう……食べたならお皿下げちゃうよ」
女「あ、私も手伝うわ」
母「……本当に仲良いね、結婚しちゃえー」
男「母さん!」
母「あはははははは」
女(これは、義母さんの公認を得たということでいいのかしら……)
556 = 14 :
男「母さんも夏休み?」
母「そうだねー」
男「父さんの所へはいつ行くの?」
母「お盆ころかなー……切符格安で手配してもらったから、ゆっくりできるしねー」
男「そうなんだ、じゃあ準備とかしておかないとね」
女「あの、お母さん……あ!?」
母「へ? 私?」
女「あ、その、おばさん……」カーッ
母「あはははは、もうお母さんって読んじゃえー」
男「母さん……どうしたの、女?」
女「え? あ、リンゴ剥けました……」
母「おー、気がきくねー……じゃあ、代償として男について何か情報を提供しよう」
男「なっ、何言ってんの!?」
女「むー……」
男「女も迷わないで……」
女「あ、ごめんなさい……」
女(お母さんと随分と会ってないから、つい『お母さん』なんて……恥ずかしいわね……)
557 = 14 :
(男部屋)
男「講習も終わって、一段落だね」
女「ええ、そうね。
……ねえ、どこかへ行ってみない?」
男「……旅行ってこと? 女、どこか行きたいところある?」
女「どうかしら」
男「外国とか、飛行機使うところは無理だけど……
海でも山でも、行ってみたいところ、ない?」
女「……どこへでも行きたいわ。
私は、県境を越えたことがあるのは、修学旅行くらいだから……」
女「……だけど、どこが楽しいのか、よく知らない……。
男が行きたいところへ行きたいわ」
男「探してみようか?」
女「できるの?」
男「旅行代理店もあるし、インターネットでも見られるよ」
女「お願いしようかしら」
男「うん」
558 = 14 :
(翌朝)
母「クー……クー……」
男「ブランデー半分飲んでつぶれちゃってる……」
男「二日酔いするかもしれないから、何か用意しておくか」
男「……じゃこ唐辛子かな」
男「二日酔いの原因はアルコールを分解した後のアルデヒドらしくて、
唐辛子とかハバネロで血行を良くしてやれば安らぐらしい、
昔みの○んたさんが言ってた」
男「あとで旅行先調べてみよう」
男「……」カチ
男「一泊32,500円か……バス代往復21,000も厳しいね……やっぱり遠出は無理かな……」
男「……女も美味しいもの食べたいよね」
男「……」
……
男「……こういうところの料理って、美味しそうだな……」
……
男「足攣った……」
……
(女宅)
女「……一緒に旅行……♪」
女『女友ちゃんは、夏休みどこかへ行くの?(^^』
559 = 14 :
男「買い忘れたもの買うついでに、旅行会社のパンフレットも見てみるか……」
男「……まだスーパーは開いてないか……先にご飯食べよう……」
……
男「キャンプとか、釣りは興味ないんだよね……。
この辺りかな……」
男「ついでだから、何か食材買って行こう……あ、今日は一人卵98円だ……。
妹連れてくれば良かったかな……」
女「あら、男……」
男「あ、おはよう。朝から買い物なんだ」
女「ええ……講習の間、忙しくてほとんど買い物に言ってなかったから、
冷蔵庫の中がすかすかよ」
男「そうだったんだ。
あ、そうだ……お昼食べるついでに、うちで旅行先探そうよ」
女「いいわね、そうするわ」
男「じゃあ、買い物だけ先に済ませようよ」
女「ええ」
560 = 14 :
男「素麺も買っておこう」
女「お昼、何か食べたいものあるかしら? 私が作るわよ」
男「そう? 頼んじゃおうかな」
女「ええ。何が良い?」
男「うーん……あっさりめで何かできないかな?」
女「そうね……春雨サラダはどうかしら?」
男「じゃあ、春雨買って行こうよ」
女「ええ」
男「……女って、変わったよね?」
女「そうかしら?」
男「だって、初め教室の前であったときは、あまり笑ってなくて、
俺は女に嫌われてると思ったもん」
女「そんなことないわよ……今笑ってるのは……たぶん、嬉しいからよ」
男「……かわいい」
女「え?」
男「さ、さーて、フルーツゼリーがあれば妹喜ぶかなー!?」
561 = 14 :
(男宅 昼食後)
女「あ、男、これは?」
男「おー、安いし、風景がきれいだ、ご飯もおいしそう」
男(……山と麓を一望できる温泉郷、って……女って渋いな……)
女「夕方に温泉に行くとして、昼までに途中の観光スポットがあれば時間が潰せるわね」
男「そうだね」
男(渋い、渋すぎる……もっとほら、遊園地とか、ショッピングモールとか、ないの?)
男「あのさ――」
女「この時期の遊園地は混んでて楽しめそうにないものね。
一緒に居るなら、ゆったりと過ごしたいわ」
男「ははは……さいですか」
女「?」
男「いや、何でもないよ、気にしないで。
値段も――」
女「一泊8,500円、なんとかできそうね」
男「だね」
562 = 14 :
男「……じゃなくて」
女「え?」
男「ごめん、何だって?」
女「え? なんとかできそうってこと? 内職と節約で浮いたお金でなんとかって――」
男「じゃなくてじゃなくて、『一泊』?」
女「……? ……!? あ、違う、他意はないのよ!?」
男「いやいやいや、ないのは分かるけども、一応ほら、まだ学生だしね……」
……。
女「……あ、この部屋暑いわね、窓あけるわよ」
男「うん……」
男(日帰りを想定してたんだけどな……)
563 = 14 :
男(泊まりかー……悪くはないんだけどね。
男友とか、他の人はどうなんだろう……気にしてないのかな)
男『男友は夏休みどこか行った?
それとも、これから行くの?』
(ブーブーブー)
男友『俺は今海に居るぞ、嫁と』
男『いやいや、海って……日帰り?』
(ブーブーブー)
男友『いや、2泊目で明日帰る予定だぞ』
男(あ、そう……仲のよろしいことで……
てことは、泊まりを前提に話したのも、女友さんから事情聞いてたな……)
男(泊まりかー……まあ、やましい気持ちがあるわけでもないんだ……。
恋人同士、思い出作りってことでいいのかな……)
カチ・・・カチ・・・カチ・・・
男「あー、なんか、日帰りのコースはないみたいなんだけど、どう、女?」
女「まあ、いいんじゃない……?
旅行は楽しそうだし、ご飯もおいしそうだし……」
女「男と居られるならそれはそれで嬉しいわけだから」ボソボソ
男「なんて?」
女「何でもないわ……早く申し込みましょう」
男「うん」
男(……母さんにはなんて説明しよう……)
564 = 14 :
男「……え?」
母『切符の手配間違えたみたいで……
二人分しかなかったの、妹ちゃんを独りにはできないでしょ?』
男「じゃあ、帰省ラッシュ終わるころに俺も切符買って父さんの所へ行くよ……」
母『それがね、お父さんは夏休み明けたらドイツへ出張なんだって』
男「さいですか」
母『だから、今回はお父さんの所へ行くのはやめて、
冬休みに会おうってことになったんだけど――』
男「……母さん、相談なんだけどさ――」
母『ああ、なるほど……
そういうことなら許可するけど、女ちゃんの方の親御さんには連絡入れるようにね?』
男「うん」
男「計画通り……いや、運が良かっただけだけど……」
男「父さんも母さんも、会ってないのは苦痛だよね……
最近女を見てて思ったんだけど」
男「女はどうかな?」
男『親の許可は得たよ、女は大丈夫?』
(ブーブーブー)
女『忙しくて連絡とれないみたい(ToT
いつものことだから、たぶん大丈夫だと思う
せっかくだから、思いっきり楽しもう(^o^*』
男「……いいのかな……」
565 = 14 :
(旅行当日)
母「じゃあ、行ってくるね」
妹「ばいばい、お兄ちゃん」
男「うん」
母「あ、そうだ……男、信用はしてるけど……くれぐれも変なことはしないように」
男「うん(むしろ母さんの信用しすぎなところが問題なんじゃないかな、と……)」
(バス停)
男「高速バスなんて初めてだけど……」
女「特急とか、新幹線と変わりはないでしょう?」
男「乗ったことある?」
女「……新幹線に一度だけ……」
男「まあ、なんとかなるよ、きっと……ほら、あれだ」
男「窓側座ってよ」
女「ええ、ありがとう」
男「……」
女「……」
男「近いね?」
女「嫌?」
男「いや、全然……」
女「ふふふ……」
566 = 14 :
男「女、もう着くよ」ユサユサ
女「――。あ、寝てたみたい……ごめんなさい」
男「ううん、ほら、準備しよう?」
男(寝言で呼ばれた時は焦ったよ……後ろから笑われてるし……)
男(……まあ、寝顔は……うん、眼福、眼福……)
女「ここからはどう行くの?」
男「ローカルでバスを乗り継ぐみたいだけど……」
女「時間はあるの?」
男「まあね」
女「……じゃあ、旅館まで歩きましょう」
男「そうだろうと思ったよ、うん、そうしよう」
さて、どういうところを歩かせようか……
注文ありますか?
イメージは静かな温泉旅館なので、でかい観光名所とかは無理だけど、
そういう場所でイメージ合えば参考にしたいと思う;
567 :
険しい山でお願いします
568 = 33 :
乙だぜ
和みがあればよし
てか俺のID、FAXだった
569 :
乙
ゲーセンとかは?
570 = 547 :
公園がいいな
もしくわ風景のいい寺でお参りとか
571 :
>>570
夏の公園はホームレスのたまり場だぞ
572 :
ならお寺で恋愛成就のお参りだな
573 :
>>571
恋愛成就なら神社でも良いね
温泉郷なら普通に店あると思うぜ
雰囲気が田舎?なんでひまわり畑とかあるとロマンチックかなとか
まあ>>1に従うさ
エロなしで!!
574 = 571 :
夏休みなら花火やんなきゃ
575 = 573 :
ごめん、安価ミスった
>>572ね
逆パターンキボン
576 :
>>572に全面的に合意
577 :
続き投下~
鈍足ですまんよ;
ただVIPだと早すぎてモチベーション保てないんだ、スマソ;
男「さすが温泉郷だな……」
女「家族連れが多いみたいね」
男「夏休みってのもあるんだろうなー……」
女「とりあえず、コインロッカー借りて、荷物を置いてから行かない?」
男「そうだね」
男「俺は92番、女は91番だね?」
女「ええ」
男「人が多いから、はぐれないようにしないとね」
女「そうね」
男「……言ったそばからはぐれてしまった……」
578 = 14 :
女「男、待ってよ――」
他人「はい?」
女「え?」
他人「……どうも」
女「す、すいません、まちがえました……」
女「男ー、どこー?」
女「……いい年して迷子とは……」
女「……」
幼「ママー、どこー?」
女「!」
幼「ママー……グスッ」
女「どうしたの? お母さんとはぐれちゃったの?」
幼「……うん……」
579 = 14 :
男「いい年して迷子とは……まいったな……」
男「あ、女……おーい、女」
女「あ、男」
幼「だぁれ?」
女「私の……か、彼氏……」
幼「かれし?」
男「どうしたの、その子?」
女「迷子みたいで……」
男「ふーん……一緒に探そうか?」
女「そうね」
580 = 14 :
(無事、親を見つけることができました)
男「見つかってよかったねー」
女「そうね、見知らぬ場所で独りぼっちなのは辛いのよ?」
男「……今は辛いの?」
女「……全然」
男「よかった」
女「……だけど――」
男「ん?」
女「……」
女(さっきは、心細かったわね……)
男「……?」
女「男、クレープ食べましょう」
男「ん? うん、買ってくるよ、何が良い?」
女「……バカ」
男「……???」
女(何で一緒に行こうって言ってくれないのよ……バカ、バカ、バカ!)
男「……クレープ半分あげるから、怒ってるなら許してくれると……嬉しい」
女「……そうね」
女(……半分こ……ふふふっ……)
581 = 14 :
女「後でこの先の公園に行ってみない?」
男「公園なんてあるんだ?」
女「ええ、さっきの子のお母さんが教えてくれたわ。
一面ひまわり畑で、綺麗らしいわよ」
男「そうなんだ、うん、行こうか」
女「ええ」
男「家族連れ、本当に多いよね」
女「そうね……良いわね――」
男「……」
男「将来、また家族と来れたらいいよね――」
女「あのリンゴ飴、一度食べてみたかったのよねー……何か言ったかしら?」
男「いやー、リンゴ飴だよねー、よーし買ってこよう! 女は待っててね!!」
女「……バカ……」
582 = 14 :
男「本当に一面ひまわりだらけだね……」
女「ええ」
男「ひまわりで迷路なんて作ってるんだ」
女「面白そうね」
男「やってみる?」
女「そうね」
男「どっちが早くゴールできるか競争しようよ」
女「え?」
男「よーいドン」
女「……男ー……」
583 = 14 :
男「調子に乗りすぎた……」
男「本当は家族連れが羨ましくて、ついうっかり女と家族のことを考えて……」
男「その照れかくしだったんだよね……」
男「絶対怒ってるよね……」
男「迷ってないで、捜しに行かないと……」
女「……鞍井ちゃんに、男をシめてもらうように頼もうかしら……」
女「……肩車、羨ましいわね」
女「肩車したら、ひまわり畑を泳いでるように見えるのかもしれないわね」
女「……フフフッ、まあ相手がいなければ肩車どころか、
おんぶに抱っこもあったもんじゃないですけどねー……」
子「おかーさん、あの人――」
子母「しっ、早く行くわよ……」
男「……早くしないとマズい気がする……」
584 = 14 :
女「……」
男「本当にゴメンナサイ……」
女「別に怒ってないわよー、放置なんてよくあったものねー?」
男「返す言葉もございません……」
女「あー、周りのカップルが羨ましいこと……」
男「……ブラック……」
~かれこれ15分ほど~
女「まあ、いいわ、どうせ嫌がらせでやったわけじゃないんでしょう?」
男「まあ……(照れかくしです、ゴメンナサイ)」
女「……ねえ、男」
男「うん?」
女「肩車して」
男「……え?」
女「!? そんなに重くはないわよ!! ××kg、普通よ!!(プライバシー保護のため、伏字にしております)」
男「あの、声大きいよ……?」
女「!?」
585 = 14 :
女「……は、早く旅館に行きましょうか?」
男「……ほら」
女「え? あ、ちょ、ちょっと待っ――」
男「いい? せーの――」
女「だ、駄目――」
男「……どう?」
女「……すごく、綺麗な景色」
男「そうなんだ」
男(たぶん……5分ともたない……)
女「……重くはないかしら?」
男「全然、重労働には慣れてるから」
女「……重労働で悪かったわね……」
男「そういう意味じゃなくて――」
女「ありがとう」
男「え?」
女「……お父さんに肩車してもらうの、憧れてたのよ……」
男「そうなんだ」
女「……」
586 = 14 :
女「あと30分くらいこうしていようかしら」
男「鬼ですか」
女「駄目よ、罰ゲーム」
男「……了解」
男(そうじゃなくて、周りの目がそろそろ恥ずかしいんだよね……)
男(女って意外と子どもだな……)
女「♪~♪♪~♪~(美女と野獣のテーマとか、そのあたりの曲を鼻歌)」
男「……」
子「おとーさん、僕も肩車やってー」
子父「こら、あまり見るんじゃない」
子母「うふふふ、昔を思い出すわね?」
男(助けてください……)
587 = 14 :
――寸劇その3。
男「そろそろいいでしょ?」
女「そうね」サスサス
男「……怒ってる?」
女「むしろ、私は謝る方よね、ごめんなさい」サスサス
男「……」
カップル女「さっきの二人、すごく転んでたでしょー?」
カップル男「はははっ、残念だなー、ワロスワロス」
カップル女「できないから僻んじゃってー」
カップル男「う、うるせーよ」
588 = 14 :
男「他にどこかみたい?」
女「そうね、特にはないわね……あ」ジー ←看板を見ている
男「じゃあ、チェックインしようか?」
女「そうね、神社に寄ってから行きましょうか」
男「そうだね――って、神社?」
女「ええ、途中にあるみたい」
男「……まあ、ちょっとだけなら時間はあるし……」
589 = 14 :
女「さっきのひまわり畑、よく見えるわね」
男「そうだね」グビッ ←水を飲んでる
女「柄杓、次貸してね」
男「うん、はい」
女「ありがとう……」コク、コクン
男「あ」
女「え?」
男「……間接キス」
女「!!?」
男「気にしないでもいいのに……」
女「……えいっ」
男「わっ、冷たっ!!」
女「ほーら、ほーら」
男「長寿の水をそんなにかけたら、将来[ピーーー]なくなるって!!」
女「……私より先に[ピーーー]ないようにしてあげるわ、寂しいもの」
男「大人げないって! 一応ちらほらと人いるから抑えようよ? ね?」
女(キスなら、直接の方が――ゴニョゴニョ)
590 = 14 :
巫女「おみくじはいかがですか?」
男「女、一回引いてみようか?」
女「そうね」
男「すいません、一回ずつお願いします」
巫女「どうぞー」
男「中吉だ……失物、すぐにはでない、争事、相手が女なら不利、
待人、――」
女「吉……恋愛、愛情を信じなさい、出産、安産、産後も順育、縁談――」
男「ちょっとちょっと、ストップ……」
女「何よ?」
男「……恥ずかしい……」
女「……!! あ、それはほら、その――」
巫女「仲が良いんですね、ふふっ」
男「……ま、まあ」カーッ
女「……」カーッ
591 = 14 :
女「あ」
男「どうしたの?」
女「病気、心悪くし身を滅ぼす、用心せよ……不吉ね……」
男「俺も、あんまりよくないな……」
巫女「ご神木に、利き手とは反対の手で結ぶと厄払いできますよ」
男「あ、そうですか」
女「行きましょう、男、不安で仕方ないわ……」
男「そうだね」
女「利き手と反対……こ、う……かしら?」
男(……俺のおみくじのすぐ真横に付けてる……かわいいなぁ……)
女「~~~!! 難しい……」
592 = 14 :
男「あ、神社も色々売ってるんだ……」
男「……『やまい』が駄目だったんだっけ……?」
男「……すいません、これとこれください」
巫女「はい、500円になります」
男「あ、袋はいらないです」
女「やっと結べたけど、肩が攣りそうね……」
男「お疲れ様」
女「あ、男……」
男「はい、これ」
女「え? なに、これ?」
男「病気にならないように、お守り、というか……」
女「かわいい、ウサギがモチーフなのね……」
男「動物、好きだったでしょ?」
女「ええ……いくらだったの?」
男「いいよ、俺からの贈り物、うけとって」
女「……じゃあ、明日……私も何か買うわ」
男「うん」
巫女「……私も早くあんな彼氏ができたらなぁ」
巫女>2「……仕事しなさい」ギロッ
巫女「は、はいっ!?」
593 = 14 :
男「じゃあ、そろそろ旅館へ行こうか」
女「そうね」
男「帰りは下りだから、少し楽だよね」
女「ええ」
男「……女が嫌じゃなかったらでいいんだけどさ」
女「え?」
男「……手、繋ごうよ」
女「……」
男「駄目かな――」
女「……」ギュッ
男「……女?」
女「は、早く……行くわよ……」
男「……うん」
594 = 14 :
(旅館)
管理人(以下『管』)「若いのに旅行かい、いいことだね」
男「夏休みですしね」
管「私も昔は妻とよく旅行に行ったものだよ」
男「そうなんですか」
管「少女、君は可愛いね」
女「え? あ、ありがとうございます」
管「大事にしてやりなさいよ」
男「はい」
~時間間隔が分からないくらい、妻ののろけを聞かされた~
管「温泉は23時半以降と、翌朝の5時半までは利用できないのでご了承ください」
男「はい……」
管「では、ごゆっくり」
男(なんか、疲れた……)
595 = 14 :
男「7時半から食事だって、それまで温泉に行ってようよ」
女「ええ」
男「216号室だって」
女「何階かしら?」
男「……100の位が階数だよ」
女「へー、そうなの、面白いわね」
男(知らないの、って聞いたら……
きっと旅行にはあまり言ってないとか返されちゃうんだよね……)
女「……男、聞きたいんだけど……」
男「ん?」
女「ここって混浴かしら?」
男「いや、別々……安心してよ」
女「安心できないわよ、知らない人となんて……不安要素よ」
男(申し込み前に気づこうよ……てか、混浴だったら俺のそばでもよかったわけ?)
596 = 14 :
(女湯)
女「……男性が居ないとは言え、服を脱ぐのは恥ずかしいわね……」
女「それよりも、一人の方が不安だわ……」
女「……ラビちゃん、一緒にお風呂入ろうね」←ブレスレットのウサギに話しかけてる
女「……」←……虚しくなった
女「……なれると不安でもないわね……」ザバー
女客「隣良いですかー?」
女「ええ」
女客「ふー……ここ、景色ええですねー」
女「そうですね」
女客「私、関西から来たんですけど、長旅で疲れて……」
女「大変でしたね」
……
女「そうなんですか」
女客「旦那のクジ運、悪すぎなんですよー、大凶なんて初めて見ましたよー」
……
女客「あははははは」
女「ふふふふっ」 ←なんだかんだ言って見知らぬ人との会話を楽しんでいる
男「……」 ←そして、むしろこっちが寂しかったり
597 = 14 :
男「はい、牛乳」
女「あら、ありがとう……」
男「……女」
女「何?」
男「……帯、結び方間違ってるよ」
女「嘘!?」
男「あとでやってあげる」
女「……ありがとう」
女客「こんばんはー」
女「あ、こんばんは」
女客「部屋となりやったんですねー」
女「ですね」
女客「よかったら、あしたも朝風呂行きませんかー?」
女「ええ」
男「知り合いなの?」
女「ええ、まあ」
598 = 14 :
女「ちょっと、横になるわ」
男「歩き疲れたんでしょ?」
女「そうかもしれないわね」
男「膝枕してあげようか?」
女「……膝が、固そう……」
男「……さいですか……」
女「クー……クー……」
男「……」
女「んふっ……クー……」
男「……夜風に当たってこよう……」
599 = 14 :
(外)
男「缶コーヒーなんて、めったに買ったことないや……」
男「……ふーっ……」
管「おや、少年、夜に出歩くなんて不良だな」
男「管理人さん」
男(またのろけられるのかな……)
管「少女はどうした?」
男「寝てますよ、たくさん歩いたから、疲れたんだと思います」
管「そうか、かわいい子じゃないか」
管「少年、あの子を幸せにできてるか?」
男「……え?」
管「はははっ、難しい質問だったな」
男「……?」
管「ちょっと、私と話でもしないかな?」
男「……ええ、いいですよ」
男(一人でいても何もやることないからね……)
600 = 14 :
管「この宿も、この夏で閉めようと思ってる……」
男「どうしてですか、こんなにいいところなのに……」
管「……妻が、一人きりになってしまうからね」
男「?」
管「7年前に、妻を亡くしてね」
男「そうなんですか」
管「宿の管理がずっとずっと忙しくてね、
年が増すごとに、妻のことを考える時間が少なくなっていったんだ」
管「妻は、今でも家に一人なんだ、私がそばに居てやらなければならないのに」
男「……」
管「もう世間では定年で、職を引退した老いぼれと言われている年齢にもなるのに、
妻の笑顔よりも、君たちみたいな若い男女の笑顔に惚れてしまっていた」
管「妻を、おいてけぼりにしてしまっていたんだ……」
男「……」
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