元スレ新ジャンル「強がりな寂しがり屋」
新ジャンル覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
251 = 14 :
(男宅)
女「男、そろそろ時間よ」
男「え?」
女「悪いわね、勝手に上がらせてもらったわよ」
男「あ、ごめん……ありがとう」
女「身支度、早く済ませたほうが良いわよ」
男「うん……あ、しまった、弁当!」
女「あの、勝手に台所借りて作ってみたんだけど」
男「あ、そうなの……ありがとう……」
女「……ええ、早く支度した方が良いわ」
男「うん」
252 = 14 :
(学校 視聴覚室)
男「……」
女「……」
英語教師「良いですかー、ここの『that』の用法に注意してくださいねー」
男(おー、女さん……女に教えてもらった通りだ)
女「……」
男友「……えっと……女友、今何行目?」
女友「……その2ページ前……」
男友「うおっ!? さんきゅ!」
英語教師「そこー、静かにしてくださいー!」
男友「す、すみません!」
253 = 14 :
(昼休み)
男「ごめんね、女さ、女……おいしそう」
女「ええ、もっと慣れ親しんでくれればうれしいのだけど」
男「セーフってことにしてほしいなー……お昼、ありがとう」
女「ええ」
男友「良いな……女友、一つ提案なんだけどな――」
女友「男友くんは雛鳥ですか、とことん可愛がってあげようか? うん?」
男友「いやー、昼に食べるミ☆ドーナツは格別ですな! 中佐もいかがですか!?」
女友「んもう、しょうがないなー……はい、即席で作ったピラフだけど、つついていいよ」
男友「中佐に敬礼っ!」
女友(んもうっ、みんな見てる~……この席嫌だなぁ~……)
254 = 14 :
(夏期講習三日目終了 放課後)
男「女さん、スーパーによっていかない? 食糧買い足したいんだ」
女「もー……ええ、いいわよ……私も丁度買おうと思っていたところよ」
男「あと、今日妹が帰ってくるんだ、何か作ってあげないと」
女「……そうね……」
男「どうしたの?」
女「何でもないわよ、行きましょう」
男「うん……」
255 = 14 :
(男宅)
男「今日、少しご飯食べて行ったら? 妹も喜ぶよ」
女「……今日は大丈夫なの?」
男「うん、昨日よりかはだいぶ楽だよ、ありがとう」
女「それじゃあ、おじゃまするわ……」
男「うん」
男「適当にくつろいでくれてもいいよ」
女「……妹ちゃんが居ないからって、すこし家事サボったわね?」
男「いや……面目ない……」
女「手伝うわ、何か言ってくれてもいいわよ」
男「えっと……洗い物、頼んでもいい? スポンジと洗剤はそこにあるやつ使って」
女「ええ」
256 = 14 :
妹「ただいまー」
男「おかえり、ちゃんと手を洗っておいで」
妹「はぁーい……あ、女お姉さんだ」
女「お帰り、妹ちゃん」
妹「今日もお泊まり? お部屋貸そうか?」
女「今日はご飯食べに来ただけよ」
男(今日『も』って……そんなに泊まってないよ、妹)
男「鍋で作ったけど、親子丼出来上がり」
妹「わー……♪」
女「お玉ですくって取ればいいのかしら?」
男「うん……親子鍋は作業中に冷めちゃうからね、家ではこんな感じなんだ」
女「こんな作り方があるのね……参考にするわ」
男「女さんに言われると照れるね」
女「もー……」
男「あ……」
257 = 14 :
女「それじゃあ、男、今日も早く寝て体調整えるのよ」
男「うん、心配かけてごめんね」
女「……早く治ったら、もっと気兼ねなく遊べるじゃない?」
男「すまんです……送ろうか?」
女「大丈夫よ、すぐ着くわ」
男「そう?」
女「それよりも、早く寝て、早く体治す! そうしたら送り迎えも許可するわ」
男「はい……」
妹「……恐妻家?」
男・女「違う」
一回切ります。
できたらもう少し載せたいところ……;
259 :
ちょっとだけ進めます。
(翌日)
妹「あ、女お姉さん! おはようございます」
女「おはよう、妹ちゃん。男、寝てるかしら?」
妹「和室で寝てるよー。今日も学校?」
女「そうよ、夏期講習。妹ちゃんも来る?」
妹「うーん……まだいい、かなー……」
女「その方が良いわ。上がってもいいかしら?」
妹「うん」
260 = 14 :
男「……グー……グー……」
女「アルバイトでも始めたのかしら……今日もお弁当は作ってないみたいね……」
女「……よし!」
……
女「卵焼きは調理過程で鰹節を入れるとおいしくなるのよ……」
女「……誰にしゃべったのかしら、私……」
……
女「あとは……冷やご飯があるから、チャーハンにしようかしら……。
あ、卵が被るわね……」
……
男「うん……8時半か……今日はパン屋で昼ごはん買おうかな……」
女「私のお弁当、食べたくないかしら?」
男「え? あ、女――、うん、いただくよ」
女「ぎりぎりセーフね。もうお弁当箱に入れたから、覚めるのを待つだけね」
男「うん、ありがとう……毎朝ごめんね」
女「何が大変なのかは知らないけど、体は壊さないでね?」
男「……うん」
261 = 14 :
(学校 視聴覚室)
英語教師「じゃあ今日は最後なのでー……抜き打ち確認テストなんてしちゃおっかなー」
一同 どよどよっ
英語教師「静かにっ! はいはい、静かにねー」
男友「きったねー!」
女「狡いわね……」
……
英語教師「はい、終了ー。一番後ろの人は回答用紙を集めて前に持ってきてくださいねー」
女「男、できたかしら?」
男「うん、調子はよかったみたい。
女、のおかげだね」
女「……セーフ」
男「気をつけます……」
女「……別に、『女』という呼び方にこだわってるわけじゃないのよ?」
男「え?」
女「……何でもないわ」
262 = 14 :
(夏期講習最終日 放課後)
男「終わったー……来週から数学と理科科目だけど……」
女「次は……火曜日からね。午前中は数学で、午後から生物」
男「パン屋で買い食いでもしていこうか?」
女「今日は大丈夫なの?」
男「うん、昨日はよく寝たからね」
女「……そうみたいね、舟漕いでなかったみたいだもの」
男「……見てたんだ」
女「隣だもの」
男「……パン屋、行こうか?」
女「ええ」
263 = 14 :
女「あ、美味しい……男も食べてみる?」
男「うん」
男「あー、チョコチップメロンパンはよく見るけど、これは当たりだね」
女「男のはどうなの?」
男「昔懐かしきな粉揚げパン。これも当たりだね」
女「んー……ええ、美味しいわね、給食で食べたことがある味だわ」
男「戦後間もないころ、カロリーを取れるように考えられてできたらしいよ」
女「そうなの……あ、面白い話、久し振りに聞いた気がするわ」
男「そうかな……あれ、それだといつも俺の話、つまらない?」
女「そういう意味じゃないわよ、もう……」
264 = 14 :
(男宅)
男「ただいま」
女「お邪魔します」
男「妹ー? あれ、居ないのかな? あ、居た……寝てるや……」
女「あら本当……」
男「……部屋で寝かせるか――」
女「タオルケット持ってきてあげたら? 起こしたら、可哀そうじゃない?」
男「……風邪、ひかない?」
女「大丈夫よ、今日はとても暑かったから……プールで泳ぎすぎたのかしらね?」
男「そうかな……?」
女「……子どもみたいで、いいわね……?」
男「……妹は確かに子どもだと思うけど……?」
女「……はぁ……」
男「え!? 俺、何か変なこと言った?」
女「……知らないわ、もう……ご飯作りましょうか?」
男「……怒ってる?」
女「怒ってないわよ」
265 = 14 :
妹「じゃあね、女お姉さん!」
女「ええ、またね、妹ちゃん」
男「ちょっと送ってくるよ」
女「良いわよ、最近疲れてるんでしょう?」
男「毎日そういうわけにもいかないよ」
女「寝なさい」
男「断る」
女「ねーなーさーいー!」
男「だーんーこーこーとーわーるー!」
女「……はぁ……じゃあ、お願いするわ」
男「うん」
妹「……夫婦喧嘩?」
男・女「違うって」
266 = 14 :
女「……最近、どうして忙しいの?」
男「え? ……気になる?」
女「……無理には聞かないわ」
男「ちょっと、今はまだ言いづらい、かな」
女「そう」
男「……来週の火曜日、講習の終わりに、スーパー寄ろうか?」
女「あ、クレープの日ね」
男「最近、ずっと忙しくて迷惑かけちゃってるから、ご馳走するよ?」
女「……そうさせてもらおうかしら?」
男「うん」
267 = 14 :
女「送ってくれて、ありがとう」
男「ううん、きにしないで。久しぶりに来た気がするよ」
女「そういえば、そうね」
男「……また時間があったら、よってもいいかな?」
女「ええ」
男「……じゃあ、またね」
女「ねえ、男……月曜日、遊びに行ってもいいかしら?」
男「……もちろん、紅茶とお菓子用意して待ってるよ」
女「ふふっ、ありがとう」
今回はここまでです、そろそろ寝ます、お休みなさい。
268 :
おつかれさまー
269 :
乙ー
毎度楽しませてもらってるよー
270 :
元祖は料理得意なの?
271 = 14 :
>>270
得意ではない。
料理のサイト見て、家庭科のバランスを考えた料理をなんとなく組み合わせてるだけで、
同じ料理はほぼ作ったことがないもの……;
いくつか自己流あるけど
272 :
ちょっととか言ってガッツリ投下するのが元祖クオリティか
274 :
まずい、遅れをとった
@翌朝、スーパーさいや
男「玉葱はまだあったな……人参、笹身、あと適当に冷凍食品買っておくか」
男「よし、今晩はカレーだ……お?あれは女か……?」
女「焼酎……日本酒……ワイン……どれにしよう」
男「よう」
女「!!お、男……」
男「女のおかげで、何か料理が楽しいぜ」
女「そうなんだ」
男「晩酌、お供しようか?」
女「え?飲んだことあるの?」
男「いや、まだ……まあ、少しなら大丈夫だろ」
女「うーん……まあ、構わないけど」
男「今日も何か教えてくれよ、そしたら夜は酒だぜ?」
女「え?良いの?」
男「おう」
女「えへへ、そうしようかな」
275 = 33 :
@男アパート
女「お邪魔しまーす」
男「おう、ゆっくりしてくれ」
男「……」
男(あれ?俺、この間、オカズどこにしまったっけ?)
女「天気良いのに布団干さないの?」
男「あ、そうだな――」
男(ロフトの上に開きっぱなしじゃねーか!!)
女「私、やろうか?」
男「まあまあ待て待て、物事には順番があってだな」
女「?」
男「うん、女には昼飯作ってもらおうか」
女「……そう?」
男「おう、無茶苦茶うまいの頼む」
女「何か隠してる?」
男「いや、何も」
男(やっべー……よし、どこに隠す……?)
意表をついて本棚に堂々と……? オーソドックスに収納ボックス……? 絨毯の下ならばれないんじゃね?
男(……よし)
276 = 33 :
@昼食
女「はい、できたよ」
男「おう……」
女「もう掛け布団はいらないと思うよ」
男「だな……片付けるか、ちょうど掃除機かけるとこだったしな」
女「……布団干すのに、少し変なことしてた気がするんだけど」
男「そうか?」
女「……気のせいかな?」
男「これは炒飯か、うまそうだな!」
女「え?あ、うん……お米はあしが早いからね、すぐに食べないと」
男「へー……」
女「卵もサル……ほら、菌が怖いよ?」
男「……サルモネラ菌?」
女「そう、それ」
男(シビア……)
女「さあ、食べて食べて」
男「おう」
男(バレてないぜ……)
277 = 33 :
@昼食後
女「あ、男、バトレボあるの?」
男「まあな、実家と友……他学科なんだけどな、よくやるんだ」
女「私も持ってるよ、やらない?」
男「え?てか今まさにここにあるんだ」
女「えいっ」
男「あ、なんだこれ……って、まずい、同じ技しか出せねぇ!」
女「ふふん」
女「わっ、ついてない……」
男「まだまだだぜ」
男「あー、完敗だわ、うん」
女「えへへ……」
278 = 33 :
@晩飯
女「肉じゃができたよ」
男「良いにおいだな」
女「今日の肉じゃがは上出来だよ」
男「いつも失敗するのか?」
女「張り切っちゃった」
男「ふーん……まあ、良いけど」
女「いただきまーす」
男「おお、うまいな」
晩酌編直前でいったん切るぜ
280 :
毎回待たせてしまってすまんです;
続けますね。
(月曜日)
女「お邪魔するわ」
男「うん」
女「妹ちゃんはお友達の家かしら?」
男「そうだよ、宿題今日中に終わらせて、夏休みは遊ぶんだって」
女「計画的なのね」
男「俺も時間があったら遊びたいよ」
女「……あの――」
男「あ、そうだ、明日からの数学、ちょっと教えてもらってもいい?」
女「ええ、いいけど……」
男「代わりに、化学全範囲、俺が考えるよ」
女「……ええ……」
男「どうかした?」
女「……何でもないわ、はじめましょう?」
男「……?」
281 = 14 :
男「――気体1molは、体積22.4l=22.4×10の3乗、
分子数は6.0×10の23乗、分子量をMとすると、Mgとして考えると良いよ」
女「……こうかしら?」
男「そうそう、だから分子量はこれを解いたら出てくるよ」
女「なるほど」
男「休憩しようか?」
女「そうね……」
女「……ねえ、男」
男「うん?」
女「夏期講習終わってから、時間は取れるの?」
男「そうするつもり」
女「そう……よかったら、どこかへ遊びに行かない?」
男「うん……行けたら行こうか?」
女「……ええ……」
男(……あれ? おこらせちゃったかな?)
282 = 14 :
(居間)
男「ちょっと待っててね、紅茶淹れてくるよ」
女「手伝うわよ」
男「大丈夫、簡単なことばかりだから、適当にくつろいでてよ」
女「そう?」
女「あ、新聞……広告も……畳んでおきましょうか」
女「あ、洗剤……この間よりも5円高いわね、得したわ」
女「プラズマテレビ……一、十、百、千、万……特価じゃないわね」
女「あら、これは……」
男「お待たせ……あ、ごめん、散らかってたね。何見てたの?」
女「何も見てないわよ?」
男「そう? あ、貴金属……」
女「あら、本当」
男「女さんはそういうの好きなの?
妹も、よくダイヤモンドとかルビーの指輪見てるけど」
女「……結婚した後くらいにしか、興味ないと思うわ」
男「……そう?」
283 = 14 :
(夕方)
女「そろそろ帰るわ」
男「今日はありがとう、予習終わらせることができたよ」
女「……日頃、しっかり起きていてくれれば、休み時間にも教えてあげられるわよ」
男「う……すいません」
女「休み時間に教えてもらうこともできるわね」
男「……善処します」
女「冗談よ……」
女「……ねえ、男」
男「ん?」
女「講習明けの話、考えておいてね」
男「え? あ、うん」
女「じゃあね、また明日」
284 = 14 :
(翌日)
女「お邪魔するわよ」
男「おはよう」
女「あら、今日は起きてるのね」
男「起こしてもらってばかりだと、悪いからね」
女「ちょっと残念だわ」
男「え?」
女「何でもないわよ、もう……」
男「時間、ちょっとあるから、ゲームでもする?」
女「やったことないわよ」
男「そう……えっと、何かあったかな……」
285 = 14 :
男「……ダウト」
女「残念、はい全部どうぞ」
男「えー……一気に20枚近く増えた……」
女「そういうこともあるわよ」
男「……結局、トランプしか思いつかなかった……」
女「バッティングセンターの方が良かったかしら?」
男「朝から汗を流したくないなぁ……」
女「じゃあ、つぎは豚のしっぽでもやりましょうか?」
男「手持ちが増えるゲームばっかじゃないか……」
女「そうかしら?」
男「しかも何気なく強い」
女「一人でトランプやってたら、何となくカンが着くのよ」
男「……しばらくトランプ付き合うよ」
女「どうしたの?」
男「いや」
男(なんか憐れんでしまう……一人でトランプって……)
286 = 14 :
(夏期講習数学・化学一日目)
担任「こういう解き方で解けば解けるなー。
ほれそこ、ガム噛んでただろ、ペナルティーだ、(23)解けー」
男「先生、あれで教えるの上手だよね」
担任「はい正解ー。そうだな、境界は塗ったらダメだぞ。
キリが良いから5分休憩しようか」
女「分からないところ、あった?」
男「いや、女さんのおかげで随分と簡単にできるようになったよ」
女「それはよかったわ」
男「対策ノートそのままだったからね」
女「そう、それはよかっ――わたし、見せた覚えはないんだけど?」
男「あ、いや、俺の、ね。女さんに見せてもらったのをまとめたんだ」
女「そう……」
男(よかった、免れた)
女「……あと、『さん』じゃなくていいわよ……もっと、フランクになれないの?」
男「あ、ごめん……結構フランクだと思うけどね」
287 = 14 :
(放課後)
男「今日はスーパー寄るんだよね? 大丈夫?」
女「ええ、おごりだって言うことも忘れないでね」
男「もちろんだよ」
……
男「あれ?」
女「臨時休業? ついてないわね」
男「……買い物して帰ろうか?」
女「そうね」
男「デザートコーナーもあるし、プリンでもアイスでもいいよ」
女「……今度の機会にクレープを取っておくわ」
男「あ、さいですか……」
女「クレープの方が、豪華だしね」
男「まあね」
女「……本当に、体調は崩さないでよ」
男「うん……」
288 = 14 :
――結局、2日目も寝坊して、また女さんに弁当を作ってもらった。
その日の終わりも、すぐに帰らされて、予習をしてすぐに寝て、今日になった。
今日は配達する件数が30件ほど増えたため、いつにもまして疲れていて、
休み時間に入るとすぐに机に突っ伏していた。
(夏期講習三日目 休み時間)
女「男――あら……」
男「……クー……クー……」
女友「よっぽど疲れてるのかな? 男君が寝ちゃうなんて」
女「そうね……」
女友「女さんが教えたところはしっかりと覚えてくるんだもん、驚いちゃった」
女「ええ、そうね……」
女友「……あれ、寂しい?」
女「……そうね……って、違うわよ、ここのところずっとこんな調子だから……
なんとなく、心配してるだけよ」
女友「ふふふふ、んもう、照れちゃってー」
女「もう、女友ちゃんは……お手洗い行ってくるわ」
女友「照れ隠し、照れ隠し。行ってらっしゃい」
女「……もー……」
289 = 14 :
男友「そういや、今日男を見かけたな」
女友「どこで?」
男友「俺の家の前で。
こっそり――あ、いや……男によく似た別人だったんだけどな」
女友「……はぁ?」
男友「うん、何でもない、忘れてくれ、どろたぼう」
女友「どろ……た、何て?」
男友「お、女も帰ってきたな。
てか、もうそろそろ授業始まるな」
女友「ねー、何てー?」
女「男、授業始まるわよ」
男「むー……本当だ……ごめん、ありがとう」
女「大丈夫なの? 体調悪かったら、病院行くわよ?」
男「大丈夫、本当に最近、ただ疲れてるだけだから」
女「なら良いけど……」
男友「……」
女友「んもう、男友くんなんか知らない」
290 = 14 :
(昼休み)
女「今日はササミとチーズでカツを作ってみたわ」
男「おー……充電完了」
女「ふふっ、なぁに、それ」
男「あれ、そんなに面白かった?」
女「ずっと疲れてばかりだったから、コミカルさが面白かっただけよ……」
男「そうかな……」
……
男「……スー……スー……」
女「男、起きなさい」
男「……え?」
化学教師「男、難問解いてもらおうか」
男「え? あれ!?」
化学教師「解けたら免罪、解けなかったら……この教室、掃除してもらおうかな、一人で」
男「え? そんな……」
男「……と、思ったけど」
化学教師「……よく解けたな、正解だ」チッ
男「……先生……舌打ち」
291 = 14 :
(夏期講習 数学・化学三日目 放課後)
女「今日も早く寝るのよ」
男「そうしよう……」
女「もう、授業中に寝るほどの用事って……それってそんなに大事なの?」
男「うん……」
女「……私が用事を任せたとしたら、どっちの方が大事?」
男「え? ……うーん……比べることなんてできないよ……」
女「……そう、困らせて悪かったわ……」
男「いや、困ってはないけど」
男(女さんのためのバイトなんだから、女さんの用事と比べるなんて無理じゃないか……)
女「……解けないで居残りしてればよかったのに」
男「……怒ってる?」
女「違うわよ、バカね……一緒に居られると思ったのに……」ボソボソ
男「?」
292 = 14 :
(男宅)
男「メール来てたんだ……男友からだ」
男友『バイトもほどほどにな』
男「あの時間でよく気づかれたな……」
男『知ってたんだ……女さんには内緒でお願いします』
(ブーブーブー)
男友『女にだけか?』
男『いや、他の人にも。バイト禁止だから;』
(ブーブーブー)
男友『何のためにバイト始めたのかは、なんとなく想像がつくけどな
でもおまえは心配かけすぎだと思うぞ』
男『うん……きをつけるよ、ありがとう』
男「男友、寝ちゃったのかな?
まあ、いいか……俺も寝よう」
293 = 14 :
(翌週 火曜日 夏期講習生物/物理一日目)
女友「男友くんは物理、私は自習、二人は生物だよね?」
女「ええ」
男「男友は新棟の方にもう行ってるんじゃないかな?」
女友「んもう、通い妻じゃないんだからっ」
男「あ、そう……」
女友「休みはまた二人で勉強でもしてたのかな?」
男「あ、その……俺の方が忙しくて、勉強できなかったんだ……」
女友「ふーん……ほどほどにね、嫁さん心配してるぞ」
女「女友ちゃん……」
男「き、気をつけるよ……」
294 = 14 :
(生物実習室)
生物教師「このように、目の構造は実際にモノを反転させて情報化しているのが分かる」
男「……」うつらうつら
生物教師「男ー、眠いだろうが、ちょうど目の話だ、しっかり見とけよ」
男「は、はい」
女「もう……」
……
(放課後)
男「さあ、帰ろうか」
女「お手洗い行ってくるわ」
男「うん、どうする――」
生物教師「ああ、男……荷物職員室に持っていくの手伝ってくれないか?」
男「あ、はい……」チラッ
女「あとでメールでもするわ……」
男「そう? ありがとう」
女「仕方がないことだわ」
295 = 14 :
(ちょうどそのころ 渡り廊下)
男友「おーす、久女ー。笛持ってサボタージュかー?」
久女「フルート! 男友君と女友さんか、仲の良いことで」
女友「久米ちゃんも、早くいい人見つけなよー」
久女「会社の同僚ですか……今、恋愛中だけど叶わないんだよー」
女友「そうなんだ……見せつけちゃおうかなー」
久女「グルルルルルルル、なんてね」
女友「冗談、冗談……理想の人とか居るの?」
久女「クリスマスとかバレンタインは一緒に過ごしたいよねー。
あとあと、一緒に旅行に行ったり、某黒ネズミの遊園地に行ったりしたいねー」
男友「夢見すぎだな……」
久女「あとさ……誕生日は、絶対に祝ってほしいよね。
誕生日忘れられちゃうのは、ちょっと辛いかなー」
296 = 14 :
男友「そこまで仲が良いのは俺らか男らか、どっちかの組だな」
女友「んもう、男友くんは……」
久女「……そうかな」
男友「は?」
久女「何か、男君ってさ――
最近女さんほったらかしだし、それでいながら、一緒に居るし……」
男友「本当に付き合ってるのか、ってか?」
久女「そんなところかもね」
女友「悪い関係ではないと思うんだけどな……」
久女「……男君ってさ、女さんをどう思ってるんだろうね……。
意外と一人でいて大人しそうだから狙ったとかだったりして」
女友「く、久女ちゃん……」
久女「何考えてるのか、よく分からないよ……ひどいと思わないの?」
男友「男はそんなにひどい奴じゃない、俺が保証してやる。
だからさっさと笛持って練習しやがれ、笛部部長」
久女「ブラスバンド! 言われなくてももう部屋に帰るよー!」
女「……」
女「……『どう、思ってる』……かしら……?」
297 = 14 :
(駐輪場)
女友「女ちゃん、お疲れ様」
女「ええ」
女友「あの、女ちゃん……」
女「何?」
女友「……あの、男くん待ち?」
女「……ええ」
女友「……」
男友「おーい、ぬらりひょん、早く支度しろー」
女友「あ……」
女「呼んでるわよ? ちょうど男も来たみたいね」
女友「……うん、またね」
女「ええ」
男「待っててくれたんだ、ごめん……先に行っててもらってもよかったのに」
女「ちょっとだけ、帰る時間が延びただけよ、大したことじゃないわ」
男「そう?」
298 = 14 :
女「夏期講習、どんな感じかしら?」
男「良い感じだと思うよ、教え方もうまいし、予習もはかどってるし……。
……ありがとう」
女「それは、よかったわ……今日も忙しいのかしら?」
男「うん、もうすぐで時間取れるようになるけどね」
女「……ねえ、男」
男「ん?」
女「私のこと、どう思ってる?」
男「え?」
女「……答えて」
男「……女さんはやっぱり、すごい人だと思うよ……あ、ごめん……『女』は……」
女「無理に言わなくてもいいわ……」
男「そう……? ごめんね?」
女「……」
299 = 14 :
女「男……」
男「うん?」
女「……しばらく、独りにしてほしいの……」
男「……え?」
女「……」
男「……そう、か……」
女「悪いわね、夏休み明けに向けて、勉強も資格も取っておきたいの……。
何もすることがないなら、有意義に過ごしたいじゃない?」
男「……そうだね」
女「……また、夏休み明けに会いましょう」
男「……うん……」
300 = 14 :
(男宅)
男「……」
男「……だよね……女さんのために頑張ってはいたけど、ずっと相手してなかったもんね」
男「なのに、朝は起こしてくれて、ご飯も作ってくれて……」
男「……謝ったほうが良いのかな……そっとしておいた方が良いのかな……」
男「勉強も資格も、きっと建て前なんだよね……」
男「……」
男「…………」
男「あ、給料日だ……給金、何に使おう……
いっそ、妹とちょっといいレストランへ食べに行こうかな」
男「……」
男「……誕生日、きっと独りだよね……」
男「……目が、熱いや……」
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