神「あの子のカルト、どうせ叩けば埃なんて沢山でてくるでしょう」

男「お前神なのにそんな事言っちゃうなよ……」

神「崇拝の組織化が生み出した限界であり必然よ。
　　そこを切り口にしてカルトをぶっ潰しちゃう。
　　あの子が本当に神の存在を信じてるなら、それでいいけど、
　　たんにカルトという場に依存してるだけじゃあ、結局変わらないけどね」

男「場？」

神「宗教ってのを神様ファンクラブだと考えると、
　　中心のアイドルが居なくなってもファンクラブとして機能しちゃう
　　馴れ合いの場であったら、もうアウト。手遅れ」

男「…………」

神「信仰を奪い合う人間の気持ちなんて、私にはさっぱりだけどね」

（ちゅちゅんちゅんちゅんどようび！）

神「まあ、別に昨日に話した作戦は大げさだったけどさ。
　　カルトの暗い部分をあの子に話して、それでもあの子が脱退しないようなら
　　諦めた方が吉とでてるね。私の占いではさ」

男「ランダムを操れる神様に占いなんてねえ」

神「マクロな領域じゃあ完全なランダムなんて無いからさ、多少は信じなよ」

男「何で決めたんだよ」

神「あみだくじ」

女「まったー？　ごめーん」

男「あ、おはよう」

女「さて、行こうか」

男「……う、うん」

（なんだかんだで事務所に行く二人と一柱）

信者「あ、女ちゃん。彼がその……入信したいって言う」

女「はい！」

男「言ってねえよ……てか情報はええ」

神「これぞコミュのなせる業！って感じだね」

女「えっとね、男君、この人がここの支部の部長さん。
　　三年前にガンに罹ったんだけどうんぬんかんぬんで……」

神「ほーら始まった」

男「あの、この写真は……」

女「あ！　芸能人の○○さん。この人もうんぬんかんぬん……」

神「都市型信仰宗教そのまんまだねえ」

それから？

男「お前、神なんだろ？　なんで宗教なんてもんをデザインしたんだ。
　　どう考えてもインテリジェントデザインに反するだろこれ……」

神「君の価値観でそれ決めちゃあ駄目だね。
　　必要としてる人がどこかにやっぱ居るんだよ。あの子みたいに」

信者「えっと、男君は初めてだったね。儀式、見てみるかい？」

男「は？　ぎ……儀式っすか」

信者「今日は子宮ガンを患った女性なんだけど……」

神「プラセボ心霊治療かなんかだね」

男「詐欺なんじゃねえの」

神「病は気からって言うしね。
　　信仰が病気を治すのを神の恩恵っていうのは違和感あるけど、
　　プラセボってのが存在するってことは、
　　誰かがそれを必要として、それでデザインされたわけだし。
　　結局は遠まわしに神様の恩恵あずかってるわけだからね」

信者「では、向こうの畳のひいてある方へ……」

嫌な予感がしてきたｗｗｗ

　畳の間（便宜上こう呼ぶ事にした）は20畳ほどのスペースで、
　真ん中には信者と思しき人と、患者であろう女性が向かい合って座っている。
　信者が呪詛らしきものを唱えると、患者はそれに答えるように体を揺する。
　「守護霊が男性なら体を縦に振れ」だとか、
　「何かうらみがあってこの患者に病気を煩わせたのか、有るなら横に振れ」だとか。

神「良く出来た誘導尋問って感じだね。いいもん見学させてもらったじゃん。
　　ってか私が居なけりゃあんたも集団催眠の餌食だったかもね。
　　まあストーリーで裏打ちされりゃあプラセボも現実味を持つしね」

男「神様が現実味を語るとは」

神「カルトなんてそんなもんよ」

　患者の女性は急に火が付いたように泣き出し、
　信者は意味の分からない呪詛で彼女を宥めていた。

神「自己完結で悲観的なストーリーはヒロイズムに繋がるからね。
　　選民思想と良く似てると思わない？」

男「さあね」

信者「どうでしたか。凄いでしょう」

男「はい……まあ」

…

信者「わたしもあの三ヵ月後にはガンも萎縮して来て……」

女「ね！凄かったでしょう！男君なら何かスピリチュアルな物を感じてくれたと思うんだ」

神「すぴりてゅある（笑）」

男「噛んでる噛んでる。超噛んでる」

女「私もね、一時……これ信者じゃない人に言うの初めて何だけどさ……
　　私中学生のころ、リストカッターだったんだ……。
　　でもね！　ここの神様が助けてくれたの！」

神「あちゃー！　元から痛い子だったねー！」

女「だからね！　男君も最近悩んでる事があったら……」

神「悩んでることってｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗｗ
　　その悩みはお前だっつのｗｗｗｗｗｗｗｗｗ」

男「自重しろ。お前も結構悩みばら撒いてるから」

女「そんなわけで、来週もきてくれるかな！？」

男「え……」

女「ね！　私、男君の事……嫌いじゃないし……」

男「あ……うん、俺も別に嫌いなわけじゃ……」

女「ありがとう！！　じゃあまた月曜日、学校でね！！」

神「……どうすんのさ、あんな返事しちゃって」

男「いや……だって……」

神「女々しい奴ですにゃー。宗教嫌い？」

男「……宗教の元凶を嫌いに成りそうだよ」

神「私を嫌ってもどうようもないね。どうせなら恨みな。
　　恨みと祈りは表裏一体、どちらも信仰の賜物だからね」

男「酷いいい方するな」

神「所詮神様なんてシステムだからね。世界を効率よく回すための」

男「女がカルトに傾倒したのも？」

神「システムってのは遊びがどっかにあるからね」

男「俺の根本的な部分は修正できたのに？」

神「それはバグ、あの子のは計算された遊び、そういうこと」

男「納得いかない」

神「しろよ。でも良かったじゃない。これで彼女と親密になれる」

神「君はあの宗教を利用して彼女に近づいた。
　　あの宗教の不祥事で……例えば高エネルギー水っていうあの
　　すげー怪しかった水、あれがただの真水だって教えてさ」

男「ちょｗｗｗ初耳ｗｗｗあれただの水だったのかｗｗｗ」

神「うん。で、その話を彼女の耳にいれてやってさ」

男「でもそれって俺が逆にそのカルトを利用してるだけっていうか……」

神「神様の居る出会い系サイトと思えばいいじゃない」

男「でも……あいつ、本気であの宗教信じてた」

神「信仰に本気も糞もあってたまるか」

男「もう寝る」

神「明日どうすんの？」

男「丸々休む！」

神「ふーん」

男「本当、泣きてえよ」

神「母なる自然は性悪女だ……ってね」

男「うわっ　なんだよ急に抱きしめて……」

神「母性本能だしてやってんのよ」

男「性悪女の癖に」

神「素直じゃないね。そんなんだから彼女出来ないんだ」

wktk

ganbare

>>65
神キター

神「…………」

男「…………」

神「寝ちゃったのかな」

男「…………起きてるよ」

神「……宗教ってのは本来、アニミズムで有るべきだと思うの。
　　太陽神から始まって……、土地や火や水や木や土、
　　そういうもの全て。
　　コミューンとして形成されたカルトは、それに逆説してると思わない？」

男「……何言ってんの」

神「独り言よ」

男「寝ろ」

神「独り言ってのは単なるモノローグのアウトプットだと思う？
　　もしそうならば、内外に関わらないアウトプット。
　　でも私にとっては、神にとってはそれが逆だと思うの。
　　神様に外なんてありえない」

男「…………夜のお悩み相談会か？」

神「神様だって暇に殺されるのよ。そんな悩みよ。たった一柱の。おやすみ」

>>65
萌え死にました。


先の展開も考えずに書いちゃったので長引きました。
死ぬほど眠いので寝ます。

五時間後、スレが残っていたら第二部を。

乙

エー

保守

保守なんかしねーぞ

ほ

保守

しないってば

ほ

サルーインどこー？

？

>>78
今エロールの相手で忙しい

>>80
・・・森に帰ります

>>81
……クローディア乙

>>1はあの人か？
お札の新ジャンル「幽霊」

なんか良いな

>>65
りすとかったー(笑)は
手首の隠れる長袖しか着ない
ってばっちゃが言ってた

保守

☆

わーい残ってた

>>83　違うよ

（そんな感じで月曜日）

女「おはよう、男君」

男「あ、うん……おはよう」

神「なんだよ。もっと嬉しそうにしろよ」

男「何かやっぱり気まずくね……」

女「何ぼそぼそ言ってるの。ほら、早く行かないと！」

男「わっ！　ちょ、いきなり手引くなっ」

神「よかったじゃん。手ぇ握られて」

男「ん……ま、まあそうなんだけどさ」

来てたー！

女「ほらっ、ちゃんと走ってよ」

男「あ、ごめん……」

女「……男君、やっぱり様子変だよ」

男「そう？」

女「やっぱり私の所為？　宗教とか……ごめんね。やっぱり関わり辛いよね。
　　でもさ、あのとき、男君が神様信じるって言った時、男君なら私の事理解してくれるかなって
　　……ごめんね、自分勝手なんだけど、そう思っちゃったんだ」

男「…………」

女「入信しろとは言わないけどさ。ああやって中まで見せたのはそういうわけなの。
　　あまり隠し事とかしたくなかったし、
　　……私は確かに、あの神様のお陰で今の生活を手に居れる事が出来たから」

神「重症だね。自覚があるだけマシだけど」

男「神様がそんな事言うなよ」

（そんなわけでおひるやすみ！）

神「別にこの子にやましい思いなんてないよ。宗教的な意味合いでね。
　　君を信者にするために、君の事を好きに成ったわけじゃないだろうし、
　　どちらかと言えば、君と信じる物を共有できそうだから、君を好きに成ったんだろうね。
　　どっちかって言うと、君が好きだから、君をカルトに入れようとする」

男「分かってるんだけどさ……」

神「もし君があの子に告白でもして付き合う事になったとしよう。
　　でも、いくら付き合ったって、結婚しようが、子供も作ろうが、
　　結局はあの子は他人なんだ。深く関わっちゃいけないね」

女「あ、男君ここに居たんだ」

男「ん」

神「あらま。見つかっちゃったか」

女「なんで今日は一人でお昼食べてるの？
　　前は教室でみんなと食べてたのに……」

男「いや、ちょっとね」

女「悩み事？」

男「別にそんなンじゃないけどさ……」

女「ふーん」

女「……私ね、最初神様の存在なんて信じてなかったんだ。
　　前にも言ったけどさ、私中学生の時色々と悩んでてさ。
　　受験とか、人間関係とか。その所為でリストカットしてたんだ。
　　……でもね、あの宗教で見て貰った結果ね、それは全部、悪い霊の所為だったんだって。
　　だよね！　だって神様が世界を作ったなら、私みたいな出来損ないは作らないだろうし、
　　だとすると何者かが私を駄目にしてたって事になるもんね。
　　……お陰で、今こうして男君と同じ高校に通えてるわけだし……
　　それに小学校の時から一緒なのってこの学校で男君だけだし……」

男「でも俺、お前がリスカしてたなんてしらんかった」

女「勿論隠してたよ。あまり人に見せるもんじゃないでしょ。
　　……でもそうやって外面だけ明るく繕って無理してただけかも。
　　でも今は違うんだよ！　だって……神様は居たんだから！！！」

神「まあここに居るけどね」

女「当時私はさ、あの高エネルギー水とかいうのがぶがぶ飲んでてさ。
　　本当、びっくりした。今まで飲んだどんな薬よりも効いたし、
　　あれを飲めば風邪だって治せた。
　　……あ、そうだ！　こんど男君にも飲ませてあげる」

男「あ、……ありがとう……」

女「あ、じゃあ私は戻るね！　男君も早く戻らないと、授業遅れちゃうよ」


男「………………、面倒な事になってしまった」

神「……あの子は自分の腹の内全部吐いちゃったのにね。
　　後戻りできなくなったね。もしかしたらあの子から君に告白って事もあるかも」

男「……その時は、」

神「その時はどうするつもりなの。
　　あの子にその気が無いうちは、君はいつでも身を引けるけど……」

男「うん……」

神「あの水の事、なんで言わなかったの」

男「……可愛そうだと思ってしまった」

神「どう？」

男「信じてる物を奪うってのが」

神「何も奪うわけじゃないんだけどね」

wktk

（放課後）

先輩「……あれ？　男君」

男「あ、先輩」

神「誰？　このメガネっ子。美人じゃないかひゅーひゅー」

男「先輩。因みに……オカ研」

神「なんで君の周りってこう、変な人ばっかり集まるかねえ」

男「お前が一番変だけどな」

先輩「ねーねー、さっきの女の子と何話してたの？」

男「いや、特に何も」

先輩「んふふ、分かってるんだよ。あの子が某新興宗教に傾倒してるって事も」

神「なんかあれだな。歩く辞書ならぬ、歩くムーって感じだな」

おおー、残ってた保守

先輩「で、あの子は帰っちゃったみたいだけど……定時集会かなんか？」

男「そういう詮索はやめましょう先輩。人の宗教をとやかく言いたくは……」

先輩「ひっどいねー。文化学的見地からの知的好奇心だよ」

男「実情は切実ですよ」

先輩「だから一歩離れてるのさ」

男「ならそういうことで僕は帰りますんで……」

先輩「だから待ってよ！　ほら、なんていうかさ……」


男「……お前、ゴッドパワーであの電波ちゃん追っ払える？」

神「えー。なんでそんな事を」

男「神様的にああいうのどうよ」

神「宗教学者ってのは嫌いじゃないけど……あの先輩個人は嫌いだね」

男「ならやってやれ」

男「先輩先輩、一つ賭けしましょう。賭け」

先輩「何を賭けるのよ」

男「もし先輩が勝ったら、あの子の事を僕が知りえる限り教えます。
　　でももしこっちが勝ったら、先輩はあの子の詮索をやめる」

先輩「おｋ。で、何すんの」

男「ちょっとしたスペクタクルですよ」

先輩「？」

男「あ、いやなんでもないです。とりあえず先輩が先攻で。
　　コイン十回なげて表が多いほうを勝ちとしましょう」

先輩「把握。じゃあいくよー」