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元スレ武内P「結婚するなら、ですか」
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美波「……ゴホン!」
美波「つまり、それぞれ一番の笑顔は違う」
武内P「はい、その通りです」
美波「それぞれが、一番の笑顔をする事が、勃起に繋がる」
武内P「……そういう事に、しておきます」
美波「ふふっ、でも、素敵な答えですね♪」
武内P「そう、でしょうか」
美波「どんな笑顔が、チンポを刺激するかわからないなんて、ワクワクします♪」ニコッ
武内P「良い、笑顔です」
武内P「が、狙いがわかっている以上素直に見られません」
美波「つまり、それぞれ一番の笑顔は違う」
武内P「はい、その通りです」
美波「それぞれが、一番の笑顔をする事が、勃起に繋がる」
武内P「……そういう事に、しておきます」
美波「ふふっ、でも、素敵な答えですね♪」
武内P「そう、でしょうか」
美波「どんな笑顔が、チンポを刺激するかわからないなんて、ワクワクします♪」ニコッ
武内P「良い、笑顔です」
武内P「が、狙いがわかっている以上素直に見られません」
・ ・ ・
専務「最近、君の様子がおかしいと噂になっている」
武内P「……そう、なのですね」
専務「なんでも、笑顔を向けてもまともに目を合わせない、と」
武内P「……」
専務「何があったのか、話してみなさい」
武内P「その……彼女達の笑顔の裏に、潜むものが……」
専務「笑顔の裏に潜むもの、だと?」
武内P「誰が一番か確かめようと、意気込んでいるのです……!」
専務「なんだ、そんな事か。くだらんな」
武内P「専務……笑顔の力に否定的だった貴女が、こんなにも頼もし――」
専務「ところで、私の笑顔はどうだ?」ニコリ
武内P「貴女もですか、専務!?」
おわり
専務「最近、君の様子がおかしいと噂になっている」
武内P「……そう、なのですね」
専務「なんでも、笑顔を向けてもまともに目を合わせない、と」
武内P「……」
専務「何があったのか、話してみなさい」
武内P「その……彼女達の笑顔の裏に、潜むものが……」
専務「笑顔の裏に潜むもの、だと?」
武内P「誰が一番か確かめようと、意気込んでいるのです……!」
専務「なんだ、そんな事か。くだらんな」
武内P「専務……笑顔の力に否定的だった貴女が、こんなにも頼もし――」
専務「ところで、私の笑顔はどうだ?」ニコリ
武内P「貴女もですか、専務!?」
おわり
>>474の続き書きます
このアイドルたちゴールデンカムイの二瓶鉄造より勃起にこだわってる……
プロデュースというものはひとたび
ひとたび ひびが入れば二度とは…二度とは
ひとたび ひびが入れば二度とは…二度とは
「緊張、していますか?」
ステージの脇の暗がり、彼が丁寧な口調で話しかけてきた。
砕けた口調でないのは、今が仕事中だから。
私は、アイドル。
彼は、プロデューサー。
「はい、少し」
何せ、本当に久しぶりのLIVEだもの。
ここまで来るのに……そうね、血の滲むような努力をしたわ。
大好きなお酒も辞めた。
だって、そうでもしないと、歌声が取り戻せなかった。
「実は、私もです」
彼が、クスリと笑いかけてきた。
この笑顔に……何度も救われてきた。
いつも辛い時、苦しい時は、黙って、ずっと傍に居てくれた。
筋力も体力も落ちていたから、一緒にジョギングもしてくれたわよね。
「一緒、ですね」
そんな彼に、私も微笑み返す。
彼は、こんなおばちゃんになった私の笑顔を見たいと、そう言ってくれた。
あの言葉が無ければ、私は今、こうしてこの場に立っていなかった。
ううん、もしかしたら……なんてね。
「はい、一緒です」
彼が、私の手を取り、言った。
私の最愛のこの人は、きっと、私と同じ想いを胸に抱いているのだろう。
だからこそ、こうして私をこのステージまで導いてくれたのだ。
ふふっ、田舎で良い仲で静かに暮すのは、もっと後で良いものね。
「一緒に――」
最高の、ステージにしよう。
「――笑顔で!」
どこまでも、空の向こうまでも届く位の、歌を歌おう。
・ ・ ・
「――皆さん、今日は、来てくれて……ありがとうございます」
彼が私のために用意したのは、あの日、あの時の会場。
皆で食卓を囲んでテレビの映像で見た、その時の会場。
「ふふっ、私、もうおばちゃんになっちゃいましたよ?」
私の愛する人は、そのために、色々な無理をしていた。
彼が今まで築いてきた、様々なコネクションを最大限に使って。
会社にも無理を言って、彼が今担当しているアイドルは、私だけに。
本当に、彼は、‘私達’のために全てを尽くしてくれたのだ。
「……本当に、色々な事がありました」
会場から、すすり泣く声が聞こえてくる。
そして、多くの、応援する声。
それにつられて泣きそうになっちゃうけれど、私は、泣かない。
だって、私は、‘私達’のために最高のLIVEをしなきゃいけないから。
「……本当に」
瞳を涙で曇らせる訳にはいかない。
私達は、真っすぐ、前を向いて進まなければいけないから。
そうでないと、あの子達に、格好いい所を見せられないものね。
泣く事無く、笑顔で。
そうでなきゃ、彼が心配してステージに入ってきちゃうかもしれないわ。
「……」
チラリと、ステージ脇の彼の方を見る。
直立不動で、真っ直ぐに私を見つめている、彼の姿を見て、落ち着く。
もう、そんなに楽しみな顔をしないでください。
貴方は、プロデューサーでしょう?
それは、ファンの笑顔ですよ。
「――聞いてください」
聞いていて。
今の私の、アイドルとしての歌声を。
「――皆さん、今日は、来てくれて……ありがとうございます」
彼が私のために用意したのは、あの日、あの時の会場。
皆で食卓を囲んでテレビの映像で見た、その時の会場。
「ふふっ、私、もうおばちゃんになっちゃいましたよ?」
私の愛する人は、そのために、色々な無理をしていた。
彼が今まで築いてきた、様々なコネクションを最大限に使って。
会社にも無理を言って、彼が今担当しているアイドルは、私だけに。
本当に、彼は、‘私達’のために全てを尽くしてくれたのだ。
「……本当に、色々な事がありました」
会場から、すすり泣く声が聞こえてくる。
そして、多くの、応援する声。
それにつられて泣きそうになっちゃうけれど、私は、泣かない。
だって、私は、‘私達’のために最高のLIVEをしなきゃいけないから。
「……本当に」
瞳を涙で曇らせる訳にはいかない。
私達は、真っすぐ、前を向いて進まなければいけないから。
そうでないと、あの子達に、格好いい所を見せられないものね。
泣く事無く、笑顔で。
そうでなきゃ、彼が心配してステージに入ってきちゃうかもしれないわ。
「……」
チラリと、ステージ脇の彼の方を見る。
直立不動で、真っ直ぐに私を見つめている、彼の姿を見て、落ち着く。
もう、そんなに楽しみな顔をしないでください。
貴方は、プロデューサーでしょう?
それは、ファンの笑顔ですよ。
「――聞いてください」
聞いていて。
今の私の、アイドルとしての歌声を。
・ ・ ・
「……」
あの、LIVEの後から、私達は少し変わった。
まだ、あの子達を失った悲しみは胸にポッカリと大きな穴を残している。
けれど、それでも二人ならば歩いていける。
あの子達の分まで、一緒に生きていこうと思えるようになった。
「……」
運転する、彼の横顔を見つめる。
黒かった髪には白髪が混じるようになっており、渋さが増したかしら。
頭の後ろでは、相変わらず寝癖が立っているし、
困った時に右手を首筋にやる癖も、昔のままだ。
変わった事もあるし、変わらない事もある。
「――何か?」
私の視線に気付いたのか、彼が声だけをこちらに寄越す。
歳を取って更に低くなった声。
この声を聞くと、私は、揺りかごに乗せられた赤ん坊の様に安心出来る。
だから、子供のように思っている事を口にする。
「愛してる」
突然の言葉。
だけど、彼は少しも驚かなかった。
ふふっ、言わなくても、わかってますものね。
私がこうやって口に出す時は、決まって、貴方にも言って欲し――
ドオオオォォォン!
大きな、大きな爆発音。
この先にあるのは、トンネル。
トンネルの中で、事故が発生したようだ。
「――まずい」
トンネルの中には、私達より先行して走っていたバスが居る。
彼が担当していたアイドル達を乗せたバスが。
「……」
あの、LIVEの後から、私達は少し変わった。
まだ、あの子達を失った悲しみは胸にポッカリと大きな穴を残している。
けれど、それでも二人ならば歩いていける。
あの子達の分まで、一緒に生きていこうと思えるようになった。
「……」
運転する、彼の横顔を見つめる。
黒かった髪には白髪が混じるようになっており、渋さが増したかしら。
頭の後ろでは、相変わらず寝癖が立っているし、
困った時に右手を首筋にやる癖も、昔のままだ。
変わった事もあるし、変わらない事もある。
「――何か?」
私の視線に気付いたのか、彼が声だけをこちらに寄越す。
歳を取って更に低くなった声。
この声を聞くと、私は、揺りかごに乗せられた赤ん坊の様に安心出来る。
だから、子供のように思っている事を口にする。
「愛してる」
突然の言葉。
だけど、彼は少しも驚かなかった。
ふふっ、言わなくても、わかってますものね。
私がこうやって口に出す時は、決まって、貴方にも言って欲し――
ドオオオォォォン!
大きな、大きな爆発音。
この先にあるのは、トンネル。
トンネルの中で、事故が発生したようだ。
「――まずい」
トンネルの中には、私達より先行して走っていたバスが居る。
彼が担当していたアイドル達を乗せたバスが。
「ここで、待っているんだ!」
彼は、車を道路の脇に停めると、シートベルトを外しながら言った。
助けに、行くつもりなのだろう。
彼は、アイドルを見捨てるような事は絶対にしない。
だって、貴方はプロデューサーだものね。
「待って!」
でも、駄目!
絶対に、行かせない!
「……危ないと思ったら、すぐ戻るよ」
彼は、穏やかに微笑み、私の頭を撫でた。
そして、反対の手で、スーツの裾を掴む私の手をほぐしていく。
本当に、不器用で……誠実な人。
その目、ちょっと危険な位だったら、無理をしてでもアイドルを助けるって目ですよ。
「でもっ……!」
どうして、貴方が行かなきゃいけないの!?
他にも、大勢人がいっぱい居るじゃないの!
それなのに、どうして!?
私には……もう、貴方しか居ないのに!
「行かな――んっ!?」
「……――行ってきます」
彼を止めようとする声を唇で塞がれた。
本当に、ズルい。
こんな強引な面があるなんて、知らなかったわ。
嗚呼……知りたくなんか、なかった。
奇蹟的に、アイドル達は全員無事だった。
この事故はマスコミも沢山取り上げ、あの子達もインタビューを受けていた。
私も、アイドル達を救ったプロデューサーの妻として、インタビューを。
――自分の命と引き換えに、少女達を救った男。
彼は、戻って来なかった。
私の隣には、もう、誰も居ない。
おわり
奥さんは楓さんだったのかな?
しかしこう事故が続くと「誰かの呪い」という線もあり得ますねぇ…
自分の不幸をお裾分けしたのか、はたまた幸運を呪いに変えたのか
しかしこう事故が続くと「誰かの呪い」という線もあり得ますねぇ…
自分の不幸をお裾分けしたのか、はたまた幸運を呪いに変えたのか
「あの女との結婚生活が破綻しますように」と星に願っていたアイドルはいたかもな
そうなると、一応願いは叶った事になるからそのアイドル的にはハッピーエンドと言えるわけだ
そうなると、一応願いは叶った事になるからそのアイドル的にはハッピーエンドと言えるわけだ
糞アニメのED曲から逃げる為にあんきらを身代わりにした呪いやろうなあ…
でもこれあくまでもこの時点でまだ帰ってきてないだけでその内新造人間PやサイボーグPやターミネーターPとかで帰ってくるんだろ?
「~♪」
鼻歌を歌いながら、茶葉が蒸れるのを待つ。
ここで焦っちゃ駄目なのよね。
早く楽しみたいと思って焦ると、美味しくなくなっちゃうの。
ティーセットは、二つ。
子供達は、ジュースの方が好きだったから。
「~♪」
最近は、とっても忙しかった。
あんなにインタビューを受けるなんて、結婚と、引退の会見の時以来。
復帰の会見の時は、そんなに記者さんも来なかったのにね。
だけど、私は一人でちゃんとやりきったわ。
「~♪」
ねえ、貴方。
皆、とっても泣いていたわよ。
綺麗な顔をクシャクシャにして、貴方の死を悲しんでいた。
貴方がその場に居たら、本当に困っちゃう位に、ね。
「~♪」
ねえ、貴方は見ていてくれたかしら。
……ううん、きっと、見ていてくれたわよね。
私、とっても頑張ったのよ。
頑張って、頑張って、頑張って……ちゃんと、アイドルでいたの。
「~♪」
だって、私の最後のプロデューサーは、貴方だったから。
貴方が最後にプロデュースしたアイドルがみっともなくちゃ、いけないと思って。
ひどく歪んでいたかもしれないけれど、笑顔で。
笑顔で、皆の前に立ったのよ。
「……」
うん……もう、良いみたい。
「~♪」
紅茶の、良い香りが鼻をくすぐる。
それまで嗜好品と言えばお酒だったけれど、
家族が増えるってわかった時、代わりになるものをって必死に探したのよね。
そして、つわりがひどい時でも平気だったのが、紅茶。
貴方も、紅茶を淹れるのが随分上手くなったけど、
私が淹れた紅茶を無言で飲みたがってたのを良く覚えてるわ。
「~♪」
可愛らしい、お揃いの花柄のティーセット。
壊れてなくて――壊してなくて、本当に良かった。
これがなかったら、貴方と一緒に紅茶を楽しむ時、困っちゃってたから。
「~♪」
……うん、賞味期限がギリギリだったけれど、とっても良い香り。
懐かしい、幸せだった時の、香り。
貴方が居て、あの子達が居て、皆、笑顔で。
笑顔で幸せだった時の、我が家の香り。
「~♪」
カップに注いだ紅茶を彼に渡――せない、から、
私の正面の、彼の定位置だった場所にそっと差し出す。
――お互いが子供の隣の方が、何か会った時すぐ対処しやすいから。
なんて、それっぽい事を言って誤魔化そうとしてたけど、気付いてたんですから。
貴方が、時たまこっちを見て、幸せそうな顔をしてた事くらい。
「~♪」
子供達の分のジュースは、買ってある。
二人共、お父さんに似て甘い物が好きだったわよね。
ふふっ、俺んちのオレンジジュース、って、今でもハッキリ覚えてるの。
私は、急なダジャレに驚いて。
貴方は、息子が‘俺’って言った事に驚いて。
「~♪」
ああ……美味しい。
こんなに落ち着いた気分で紅茶を飲んだのなんて、本当に久しぶり。
「~♪」
行儀が悪いけれど、カップをカチャリと置き、左手で頬杖をつく。
その位は良いわよね、だって、誰も見てないんですもの。
子供達の前じゃ見せられない、だらしない姿。
「~♪」
右手の人差し指で、すぐ隣、あの子の定位置だった場所のテーブルをなぞる。
ちっちゃい頃は、この指に猫みたいに反応して、
くりくりしたまあるい目を輝かせながら顔でずっと追ってたわね。
ふふっ、お兄ちゃんも、同じことをしてたのよ?
恥ずかしがるから、言わなかったけどね!
「~♪」
私もお化粧をしたい! って言われた時はビックリしちゃった。
自分が小さい頃の事は覚えてないから、私もそうだったのかしら?
あんなに子供の頃からお化粧だなんて、ねぇ。
「……」
思い出した。
――化粧がなくても可愛いから、必要無いよ。
――私は、可愛くないからお化粧が必要ですものね。
――いや、それは違……!?
なんて。
「……ふふっ!」
あの時の貴方の焦った顔と来たらなかったわ!
しどろもどろになりながら、結局、右手を首筋にやりながら黙っちゃって。
寝る前に、やっとベッドの中で「可愛いし、綺麗だ」なんて言うんですもの。
「~♪」
あの幸せが続いてたら、五人家族になってたかも、なんてね。
……やだ、私ったらごめんなさい。
こういう話は、居間でするような話じゃないわね。
「……よっこいしょ」
椅子を引き、立ち上がる。
そろそろ、ベッドに横にならなきゃ、ね。
立ち上がる時の掛け声、貴方は初めて聞いた時、目を逸らしたわよね。
あれ、気遣いに入りませんからね!
「~♪」
フラフラとする足で、ベッドルームへ向かう。
壁に手を這わせながら、一歩一歩、進んでいく。
途中の壁に落書きの痕を見つけて、懐かしくて足を止めそうになる。
将来、芸術家になったら物凄い価値が出る、だなんて、とんだ親馬鹿。
「~♪」
階段を登るのが、きつい。
昔に比べて筋力が落ちているけれど、きつい理由はそれだけじゃない。
けれど、私が寝るのはあそこ。
あそこ以外に、あり得ないから。
「~♪」
二階に、やっと辿り着いた。
途中、階段に手をつきながらになってしまったけど、ここからは、しっかり歩く。
二階には、子供部屋もあるんだもの。
絶対に有り得ないけれど、もし、もしもあの子達が出てきたら、ビックリしちゃう。
「~♪」
ベッドルームに辿り着き、ドアを開ける。
まだ、この部屋にはあの人の匂いが残っている。
それに安心して膝が落ちそうになったけれど、こらえた。
飲みすぎてベッドに辿り着く前に寝ちゃった時、もの凄く怒られたから。
「……ふうっ」
ボフンッ、とベッドの上に倒れ込む。
ちゃんと到着出来て、良かった。
「……んしょっ」
モゾモゾと、布団の中に入り込む。
寝るのは、ベッドの左側。
こうするとね、貴方の腕に抱かれて眠る時、心臓の音がよく聞こえるの。
左腕を枕にして、胸に顔をうずめると、ドクン、ドクン、って。
「~♪」
けど、今は何も聞こえない。
聞こえないから、私が鼻歌を歌ってあげる。
普通に歌うのは、ちょっと待ってね。
本当に、もう、ちょっとだから。
「~♪」
私は、とっても幸せだった。
悲しいことも、辛いこともあったけど、それでも、幸せだった。
「……♪」
……貴方と出会わなければ、こんな寂しい思いはしなかった。
けれど、あの子達にも、出会えなかった。
それは……もっと寂しい。
「……」
お説教、覚悟しておくのよ。
遅くなる時はちゃんと言う、って家族のルールを三人して破って。
だから、私からそっちに行ってやるんだから。
ふふっ、叱るのは、然るべきです。
「……」
……ああ、でも、私が逆に叱られちゃうかもしれないわね。
貴方なんか、本当に仕方のない人だ、って怖い顔で怒りそう。
そうしたら、わたしは泣いちゃって、それから……
「……」
……おはよう、って――笑顔で。
おわり
ウンコでお茶を濁す、なんてやべえ表現が飛び出すようになるとはww
昨日の俺は、今日の敵
ハッピーなので書き潰します
昨日の俺は、今日の敵
ハッピーなので書き潰します
「……!」
暗い、ホテルの一室。
背後から、眠れないのかベッドの上を転がる音が聞こえてくる。
ゴソゴソと鳴り止まないその音のせいで、正直、眠れないわ。
「……寝て下さい」
うるさいので、ゴロリと彼に背中を向けるように寝返りをうつ。
明日はとても大事な日なのよ。
ちゃんと寝ないと、途中で眠たくなったらどうするの。
「……すみません」
低い、低い神妙な声での謝罪。
気持ちはわからないでもないけど、それにしたって子供じゃないんだから。
昔は私の方が子供みたいって言われてたのに、
貴方ったら、二人っきりの時はこうなんですもの。
もう、いい大人なんだから。
「……その、眠れなくて」
わかってます。
でも、そうやってお話をしちゃったら、余計眠れなくなるわよ。
ただでさえ怖い顔だって言われてるんだから、寝不足なら余計に。
怖がられちゃって困る貴方を見るの、何度も見てきたんですから。
「……そっちに、行っても?」
……まあ、驚いた。
貴方、そこまで緊張してるの?
ふふっ、でも、こういう時じゃないと、素直に甘えてくれないものね。
良いわ、特別に許しちゃう。
「どうぞ」
だけど、寝なくちゃいけないのは、本当。
明日は、大事な大事な、結婚披露宴。
「……お邪魔します」
私と、この人の――大事な愛娘の。
「……」
寝たまま、後ろから優しく抱きしめられる。
私も背が高いけれど、この人は、もっと高い。
だから、こうやって抱きしめられると、揺りかごに入っている気分になる。
二人分の体重を受けて、ベッドがさっきよりも沈み込んでいる。
もう、こんなことになるなら、ダブルの部屋を取っておくんだった。
「……」
後ろの髪の毛が、サワサワと揺れている。
きっと、彼が鼻で揺らしながら、匂いを嗅いでるんだわ。
もう! 寝るって言ってるのに!
「愛してる」
耳元で、囁かれた。
少し体を乗り出して、ぎゅう、と強く抱きしめられる。
でもね、こんなタイミングで言わないでください。
そんな事、知ってますから。
「はい、私も愛してます」
だから、大人しく寝てちょうだい。
娘がお嫁に行って寂しいのはわかるけれど、明日は披露宴でしょ。
というか、身内だけでもう結婚式は済ませたじゃないの。
「……」
バージンロードで手を引いてる時の貴方の顔ったらなかったわ。
ものすごい顔で歩くものだから、神父さんがビックリしちゃってたし。
歩いてる途中で、無表情で泣き出しちゃうし……。
ふふっ、父親なんだから、パパっと出来ないものかしら。
「あ」
あ。
「……ちょっと?」
本当に、この人ったら!
「……申し訳、ありません」
早く寝ないとって、何度言えばわかるの、もう!
「……はぁ」
思わず、深い溜息をついた。
首を回し後ろをチラと見てみると、シュンとした顔が一つ。
その気があったわけじゃないのに、盛り上がっちゃったのね。
本当に、仕方ない人なんだから。
「……」
「ど、どこへ……?」
ゴソゴソと、彼の腕をのけて、ベッドの反対側から出る。
スリッパを履いて、ぐるりと回り込む。
目的地は、彼が寝ていた、今は空いているベッド。
「寝ますよ」
手をついたら、ベッドはまだ温かかった。
これなら、すぐに眠れそう。
スリッパを脱いで、もぞもぞとベッドに入る。
背中を向けてたら、今度は無言でこっちに来そうだから、
そうならないよう、彼の方を向いて。
「……」
元は私のベッドに寝転がり、彼がこちらを見ている。
それが、まるで捨てられた子犬のようで、笑っちゃいそうになる。
だけど、そうやって楽しくなったら、いけないの。
……眠れなく、なっちゃうから。
「我慢出来るなら、こっちに来ても良いわ」
キッパリと言い放つ。
今晩の私は、明日のために晩酌を控えてるんだから。
それなのに、その努力を貴方は無駄にする気なの?
どうなのかしら、プロデューサーさん?
「……おやすみなさい」
あっ、我慢出来そうにないのね。
枕に顔をうずめて、いじけちゃって……もう。
「はい、おやすみなさい」
その姿が可愛らしくて……とても、愛おしい。
・ ・ ・
「……」
もうすぐ、出番が来る。
娘に頼まれて、披露宴で一曲歌うことになっていたのだ。
引退したアイドルの歌声にどれだけの価値があるかわからない。
けれど……それでも私に歌って欲しいと、言ってくれた。
それに笑顔で応えられない私じゃ、無い。
「……ふぅ」
緊張、は少しだけしている。
懐かしい、LIVEの前のこの緊張感。
練習は、彼と二人で、お家で出来るだけやったつもり。
それでも、トレーナーさんについて貰っていた昔に比べると、全然。
高い音も出なくなったし、声の張りも無くなった。
「緊張、しているね」
なんて、彼が声をかけてきた。
その表情が、少しからかうような色味を帯びている。
昔の貴方だったら、精一杯緊張をほぐそうとしてくれてたと思うわよ。
それとも、昨日の夜の事を根に持ってるのかしら?
「いいえ、そんな事無いわ」
貴方にからかわれるような、私じゃありません。
そんな想いを込めて、思いっきり笑い返してあげた。
そうしたら、彼の表情がフッ、と穏やかになり、
「――良い、笑顔です」
……なんて言うものだから、思わず昔を思い出した。
ファンの方達の笑顔に支えられて、一緒に階段を登っていたあの頃を。
その、一番のファンは、私の目の前に居ると言う事を。
「頑張ってください」
とても不器用な、見る人によっては、わからない程の笑顔。
その笑顔に支えられているから、大丈夫。
この人が居れば、私はいつだってアイドルになれるのだ。
「ええ……私なりに、余裕をもって」
祝福する、歌を歌うわ。
「……」
もうすぐ、出番が来る。
娘に頼まれて、披露宴で一曲歌うことになっていたのだ。
引退したアイドルの歌声にどれだけの価値があるかわからない。
けれど……それでも私に歌って欲しいと、言ってくれた。
それに笑顔で応えられない私じゃ、無い。
「……ふぅ」
緊張、は少しだけしている。
懐かしい、LIVEの前のこの緊張感。
練習は、彼と二人で、お家で出来るだけやったつもり。
それでも、トレーナーさんについて貰っていた昔に比べると、全然。
高い音も出なくなったし、声の張りも無くなった。
「緊張、しているね」
なんて、彼が声をかけてきた。
その表情が、少しからかうような色味を帯びている。
昔の貴方だったら、精一杯緊張をほぐそうとしてくれてたと思うわよ。
それとも、昨日の夜の事を根に持ってるのかしら?
「いいえ、そんな事無いわ」
貴方にからかわれるような、私じゃありません。
そんな想いを込めて、思いっきり笑い返してあげた。
そうしたら、彼の表情がフッ、と穏やかになり、
「――良い、笑顔です」
……なんて言うものだから、思わず昔を思い出した。
ファンの方達の笑顔に支えられて、一緒に階段を登っていたあの頃を。
その、一番のファンは、私の目の前に居ると言う事を。
「頑張ってください」
とても不器用な、見る人によっては、わからない程の笑顔。
その笑顔に支えられているから、大丈夫。
この人が居れば、私はいつだってアイドルになれるのだ。
「ええ……私なりに、余裕をもって」
祝福する、歌を歌うわ。
・ ・ ・
「……」
ステージに、立つ。
ファンの方が見ているんだもの、みっともない所は見せられないわ。
それに、今まで私達に沢山の幸せをくれた、大切な私達の娘も。
そして、愛娘を……多分、私達よりも愛している彼も。
「っ……!?」
ちょ、ちょっと、ねえ!?
まだ歌ってもないのに、どうして泣いちゃってるの!?
ほら、せっかく綺麗なドレスを着てて、ああ、お化粧も……!
「……!」
前奏が始まっているのに、泣き出した娘に気を取られちゃってる。
それはきっと、私がもう引退したアイドルで、母親だからだろう。
ねえ……どうしましょう!?
なんだか、私も釣られて泣きそうになっちゃってるの!
「――あ」
そう、思って彼に目を向けると、彼は既に立ち上がり、こちらへ歩いてきていた。
その颯爽とした姿に思わず見入ってしまい……
……歌い出すのが、遅れた。
――けれど、低く、よく通る声が会場に響いた。
それは、長年連れ添ってきた、私の愛する人の声。
その歌声は、私に向けられていた。
……もう、駄目じゃないの。
こっちを――私達の、子供達の方を向いて歌わないと!
「……」
ステージに、立つ。
ファンの方が見ているんだもの、みっともない所は見せられないわ。
それに、今まで私達に沢山の幸せをくれた、大切な私達の娘も。
そして、愛娘を……多分、私達よりも愛している彼も。
「っ……!?」
ちょ、ちょっと、ねえ!?
まだ歌ってもないのに、どうして泣いちゃってるの!?
ほら、せっかく綺麗なドレスを着てて、ああ、お化粧も……!
「……!」
前奏が始まっているのに、泣き出した娘に気を取られちゃってる。
それはきっと、私がもう引退したアイドルで、母親だからだろう。
ねえ……どうしましょう!?
なんだか、私も釣られて泣きそうになっちゃってるの!
「――あ」
そう、思って彼に目を向けると、彼は既に立ち上がり、こちらへ歩いてきていた。
その颯爽とした姿に思わず見入ってしまい……
……歌い出すのが、遅れた。
――けれど、低く、よく通る声が会場に響いた。
それは、長年連れ添ってきた、私の愛する人の声。
その歌声は、私に向けられていた。
……もう、駄目じゃないの。
こっちを――私達の、子供達の方を向いて歌わないと!
・ ・ ・
「ふふっ、うふふっ!」
ホテルに帰り着いて、何をするでもなく、ベッドに飛び込んだ。
とても……とても、幸せな気分で。
「ドレスが……!」
焦る声が聞こえたけれど、聞こえない。
だって、もう大切な役目は終えたドレスだもの。
私達と一緒で、もう大きな仕事は終わったの。
お仕事に大きいも小さいもないなんて、誰かが言ってた気がするけれど。
「ふふっ、ドレスって、どれっす? うふふっ!」
とっても飲みやすい焼酎で、あれならしょっちゅう飲みたくなっちゃう。
お料理も美味しくて、栄養のバランスも、りょうり・つ、出来ていそう。
デザートは、愛する人たちと、アイスを食べて。
あとはもう、考えを練るまでもなく、寝るだけだと思うの。
「……今、着ているやつ」
彼が、呆れ顔でこちらを見ている。
もう、そうじゃないでしょう?
「よろしくお願いしまーす♪」
これは、貴方が選んだドレスでしょう!
責任をもって、脱がせるまで、しっかりやりなさい!
「……」
彼が、右手を首筋にやって、仕方ない人だ、と呟いた。
私は、それはお互い様じゃない? と返す。
「……ふふっ!」
「……くっくっ!」
二つの笑顔が、重なる。
靴は脱ぎ捨て、裸足になった。
これから、二人っきりの時間―ー
――あ、待って! 先にシャワーを浴びたい!
待ってったら! うふふっ、もうっ!
おわり
「ふふっ、うふふっ!」
ホテルに帰り着いて、何をするでもなく、ベッドに飛び込んだ。
とても……とても、幸せな気分で。
「ドレスが……!」
焦る声が聞こえたけれど、聞こえない。
だって、もう大切な役目は終えたドレスだもの。
私達と一緒で、もう大きな仕事は終わったの。
お仕事に大きいも小さいもないなんて、誰かが言ってた気がするけれど。
「ふふっ、ドレスって、どれっす? うふふっ!」
とっても飲みやすい焼酎で、あれならしょっちゅう飲みたくなっちゃう。
お料理も美味しくて、栄養のバランスも、りょうり・つ、出来ていそう。
デザートは、愛する人たちと、アイスを食べて。
あとはもう、考えを練るまでもなく、寝るだけだと思うの。
「……今、着ているやつ」
彼が、呆れ顔でこちらを見ている。
もう、そうじゃないでしょう?
「よろしくお願いしまーす♪」
これは、貴方が選んだドレスでしょう!
責任をもって、脱がせるまで、しっかりやりなさい!
「……」
彼が、右手を首筋にやって、仕方ない人だ、と呟いた。
私は、それはお互い様じゃない? と返す。
「……ふふっ!」
「……くっくっ!」
二つの笑顔が、重なる。
靴は脱ぎ捨て、裸足になった。
これから、二人っきりの時間―ー
――あ、待って! 先にシャワーを浴びたい!
待ってったら! うふふっ、もうっ!
おわり
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