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元スレ武内P「結婚するなら、ですか」
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今西部長「君もそろそろいい歳だ。考えても良い時期じゃないかね?」
武内P「そう……ですね」
部長「どうした? 歯切れが悪いじゃないか」
武内P「今は、仕事が恋人ですから」
部長「そう考えると、君はとても恋人思いな男だねぇ」
武内P「……」
部長「まま、飲み給え。今日は私の奢りだ」
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1510232193
武内P「そう……ですね」
部長「どうした? 歯切れが悪いじゃないか」
武内P「今は、仕事が恋人ですから」
部長「そう考えると、君はとても恋人思いな男だねぇ」
武内P「……」
部長「まま、飲み給え。今日は私の奢りだ」
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1510232193
部長「しかし、いつまでも仕事だけが恋人という訳にもいくまい」
武内P「それは……はい、そうですね」
部長「誰かお相手はいないのかい?」
武内P「出会いも有りませんし、その、私は‘こう’ですから」
部長「アイドルに囲まれていながら女性に縁が無いとは……」
武内P「……」
部長「世の男達からしたら、君はよっぽど女性に縁があると思うんだがねぇ」
武内P「それは……はい、そうですね」
部長「誰かお相手はいないのかい?」
武内P「出会いも有りませんし、その、私は‘こう’ですから」
部長「アイドルに囲まれていながら女性に縁が無いとは……」
武内P「……」
部長「世の男達からしたら、君はよっぽど女性に縁があると思うんだがねぇ」
武内P「そうは言いましても……」
部長「何なら、ウチのアイドル達はお相手としてどうかな?」
武内P「いえ、それは有り得ません」
部長「? 何故だね?」
武内P「プロデューサーが、アイドルに手を出す等あってはなりませんから」
部長「ハハハ! そう難しく考えるものではないさ!」
武内P「しかし……」
部長「仮にだよ。仮に」
武内P「……」
部長「何なら、ウチのアイドル達はお相手としてどうかな?」
武内P「いえ、それは有り得ません」
部長「? 何故だね?」
武内P「プロデューサーが、アイドルに手を出す等あってはなりませんから」
部長「ハハハ! そう難しく考えるものではないさ!」
武内P「しかし……」
部長「仮にだよ。仮に」
武内P「……」
部長「もしも仮に、君がただの男で」
武内P「……」
部長「アイドルの彼女達が、ただの女だったら」
武内P「……」
部長「そう考えた時、君は誰を選ぶのか」
武内P「それは……考えた事も有りませんでした」
部長「そうかい? 私は興味があるよ」
武内P「興味、ですか?」
部長「そう。一人の男として、君が誰を選ぶのかが」
武内P「……」
武内P「……」
部長「アイドルの彼女達が、ただの女だったら」
武内P「……」
部長「そう考えた時、君は誰を選ぶのか」
武内P「それは……考えた事も有りませんでした」
部長「そうかい? 私は興味があるよ」
武内P「興味、ですか?」
部長「そう。一人の男として、君が誰を選ぶのかが」
武内P「……」
部長「なあに、酒の席の話だ。気楽にいこうじゃないか」
武内P「……」
部長「まずは、そうだね。君の受け持っている子達はどうだい?」
武内P「と、言うと……CPの彼女達ですか?」
カタンッ
部長「? 今音がしたが」
武内P「隣から聞こえましたね」
部長「隣は盛り上がっているようだねぇ」
武内P「……」
部長「まずは、そうだね。君の受け持っている子達はどうだい?」
武内P「と、言うと……CPの彼女達ですか?」
カタンッ
部長「? 今音がしたが」
武内P「隣から聞こえましたね」
部長「隣は盛り上がっているようだねぇ」
部長「まあ良い。話を戻そうか」
武内P「……はぁ」
部長「彼女達はどうなんだい?」
武内P「担当のアイドルを女性として見たことは一度もありません」
部長「君ならそう言うと思ったよ」
武内P「……」
部長「しかし、ここで今一度考えてみてみようか」
武内P「彼女達を結婚相手として考えた場合……ですか」
部長「その通り」
武内P「……」
武内P「……はぁ」
部長「彼女達はどうなんだい?」
武内P「担当のアイドルを女性として見たことは一度もありません」
部長「君ならそう言うと思ったよ」
武内P「……」
部長「しかし、ここで今一度考えてみてみようか」
武内P「彼女達を結婚相手として考えた場合……ですか」
部長「その通り」
武内P「……」
武内P「……」
部長「ふむ、困っているようなので聞き方を変えようか」
武内P「?」
部長「CPの中で、結婚するとしたら誰かな?」
カタンッ
部長「……隣は随分盛り上がっているみたいだねぇ」
武内P「そう、ですね」
部長「いやいや、私も君のそんな顔を肴に飲めて楽しいよ」
武内P「……」
部長「ふむ、困っているようなので聞き方を変えようか」
武内P「?」
部長「CPの中で、結婚するとしたら誰かな?」
カタンッ
部長「……隣は随分盛り上がっているみたいだねぇ」
武内P「そう、ですね」
部長「いやいや、私も君のそんな顔を肴に飲めて楽しいよ」
武内P「……」
部長「そろそろ考えはまとまったかな?」
武内P「……はい、一応、ですが」
部長「では、CPの中で、君が一番結婚したいと思う子は?」
武内P「新田さんです」
カタタンッ
部長「……いや、隣は本当に盛り上がっているね」
武内P「……そのようですね」
武内P「……はい、一応、ですが」
部長「では、CPの中で、君が一番結婚したいと思う子は?」
武内P「新田さんです」
カタタンッ
部長「……いや、隣は本当に盛り上がっているね」
武内P「……そのようですね」
部長「ちなみに、何故、新田くんなのかな?」
武内P「……」
部長「ハハハッ! 恥ずかしがる事もあるまい!」
武内P「……はぁ」
部長「それとも、酒が足りないかな? ん?」
武内P「あ、いえ、そんな事は」
部長「まだ時間は早い、まだたっぷりと時間はある」
武内P「……」
武内P「……」
部長「ハハハッ! 恥ずかしがる事もあるまい!」
武内P「……はぁ」
部長「それとも、酒が足りないかな? ん?」
武内P「あ、いえ、そんな事は」
部長「まだ時間は早い、まだたっぷりと時間はある」
武内P「……」
武内P「新田さんを選んだ理由は……年齢ですね」
部長「ふむ。続け給え」
武内P「CPは、年齢的に若いアイドルの方達が多いです」
部長「確かにそうだね」
武内P「なので、候補として考えられるのが、その……」
部長「新田美波くんだけだった、という訳か」
武内P「……はい」
部長「まあ、年齢が離れすぎているとね、厳しいものがある」
カタンッ
武内P・部長「……」
部長「ふむ。続け給え」
武内P「CPは、年齢的に若いアイドルの方達が多いです」
部長「確かにそうだね」
武内P「なので、候補として考えられるのが、その……」
部長「新田美波くんだけだった、という訳か」
武内P「……はい」
部長「まあ、年齢が離れすぎているとね、厳しいものがある」
カタンッ
武内P・部長「……」
部長「優等生な回答だ、とても、君らしい」
武内P「……」
部長「だが、それで私が満足すると思ったかい?」
武内P「……と、言いますと」
部長「プロジェクト外のアイドルでは、どうかな?」
カタンッ
部長「……今度は、反対の部屋か」
武内P「そのようですね」
部長「まだこんな時間なのに、盛り上がっているねぇ」
武内P「……」
部長「だが、それで私が満足すると思ったかい?」
武内P「……と、言いますと」
部長「プロジェクト外のアイドルでは、どうかな?」
カタンッ
部長「……今度は、反対の部屋か」
武内P「そのようですね」
部長「まだこんな時間なのに、盛り上がっているねぇ」
武内P「しかし……プロジェクト外のアイドルで、ですか」
部長「うんうん。それなら、君も年齢を理由にする事もないだろう?」
武内P「……」
部長「ハッハッハ! 君は、中々可愛げがある!」
武内P「……はぁ」
部長「難しく考える事は無いさ。ただの世間話のようなものさ」
武内P「しかし……私には難しい問題です」
部長「簡単な問題など、解いていていてもつまらんだろう?」
武内P「……」
部長「うんうん。それなら、君も年齢を理由にする事もないだろう?」
武内P「……」
部長「ハッハッハ! 君は、中々可愛げがある!」
武内P「……はぁ」
部長「難しく考える事は無いさ。ただの世間話のようなものさ」
武内P「しかし……私には難しい問題です」
部長「簡単な問題など、解いていていてもつまらんだろう?」
武内P「……」
部長「それに君、考えてもみたまえ」
武内P「?」
部長「CPの彼女達が、異性関係の問題でスッパ抜かれたとしてだ」
武内P「待ってください! 彼女達に限ってそれは!」
部長「まあまあ、仮にだよ、仮に」
武内P「……」
部長「彼女達の年齢なら、それこそスキャンダルだ」
武内P「そう……ですね」
部長「しかし、熱愛報道で片付けられそうな年齢のアイドルもウチにはいるだろう?」
カタンッ
武内P・部長「……」
武内P「?」
部長「CPの彼女達が、異性関係の問題でスッパ抜かれたとしてだ」
武内P「待ってください! 彼女達に限ってそれは!」
部長「まあまあ、仮にだよ、仮に」
武内P「……」
部長「彼女達の年齢なら、それこそスキャンダルだ」
武内P「そう……ですね」
部長「しかし、熱愛報道で片付けられそうな年齢のアイドルもウチにはいるだろう?」
カタンッ
武内P・部長「……」
武内P「しかし……そうは言っても、人数が多いので」
部長「ふむ、それもそうか」
武内P「……」
部長「では、高垣楓くん、川島瑞樹くん、片桐早苗くんの三人の中なら?」
カタタンッ
武内P・部長「……」
武内P「……その、何故その三人なのでしょうか?」
部長「以前談話スペースで三人で居るのを見かけてね、なんとなくだよ、なんとなく」
部長「ふむ、それもそうか」
武内P「……」
部長「では、高垣楓くん、川島瑞樹くん、片桐早苗くんの三人の中なら?」
カタタンッ
武内P・部長「……」
武内P「……その、何故その三人なのでしょうか?」
部長「以前談話スペースで三人で居るのを見かけてね、なんとなくだよ、なんとなく」
武内P「……そう、ですね」
部長「彼女達は、それぞれ違った良さがあるねぇ」
武内P「はい。アイドルとしても、とても素晴らしいですが……」
部長「ふむ?」
武内P「女性としても魅力的で、その……とても可愛らしい方達だと思います」
ガタンッ
武内P・部長「……」
部長「しかしそうか……ハハハ、可愛らしいか!」
武内P「……はい、私はそう思います」
部長「彼女達は、それぞれ違った良さがあるねぇ」
武内P「はい。アイドルとしても、とても素晴らしいですが……」
部長「ふむ?」
武内P「女性としても魅力的で、その……とても可愛らしい方達だと思います」
ガタンッ
武内P・部長「……」
部長「しかしそうか……ハハハ、可愛らしいか!」
武内P「……はい、私はそう思います」
部長「しかし、だ」
武内P「部長?」
部長「確かに君の言う通り、彼女達は可愛い女性かもしれない」
武内P「……」
部長「だが、結婚相手として考えた時も、君は同じことが言えるのかね?」
武内P「……」
部長「付き合うだけなら良いだろう。可愛い、大いに結構だ」
武内P「……」
部長「しかし、結婚と考えると話はまた変わってくるのではないかね?」
武内P「……」
武内P「部長?」
部長「確かに君の言う通り、彼女達は可愛い女性かもしれない」
武内P「……」
部長「だが、結婚相手として考えた時も、君は同じことが言えるのかね?」
武内P「……」
部長「付き合うだけなら良いだろう。可愛い、大いに結構だ」
武内P「……」
部長「しかし、結婚と考えると話はまた変わってくるのではないかね?」
武内P「……」
武内P「……いえ、私の答えは変わりません」
部長「ほう?」
部長「駄洒落まみれの毎日が、冗談ではないと思わないのかい?」
武内P「駄洒落が冗談ではない……ブフッ!」
部長「10年後、隣に居る女性がピッチピチのボディコンを着ていても構わないと?」
武内P「……せめて、5年後まででお願いします」
部長「それでも、君の答えは変わらないのかね?」
武内P「……はい」
武内P「彼女達三人は、とても可愛らしい女性です」
部長「わかるわ」
武内P・部長「……」
武内P・部長「ハッハッハ!」
ガタタンっ!
武内P・部長「!?」
部長「ほう?」
部長「駄洒落まみれの毎日が、冗談ではないと思わないのかい?」
武内P「駄洒落が冗談ではない……ブフッ!」
部長「10年後、隣に居る女性がピッチピチのボディコンを着ていても構わないと?」
武内P「……せめて、5年後まででお願いします」
部長「それでも、君の答えは変わらないのかね?」
武内P「……はい」
武内P「彼女達三人は、とても可愛らしい女性です」
部長「わかるわ」
武内P・部長「……」
武内P・部長「ハッハッハ!」
ガタタンっ!
武内P・部長「!?」
部長「……両隣はとても盛り上がっているねぇ」
武内P「その……ようですね」
部長「よし! 二軒目に行こう、二軒目に!」
武内P「そうですね。落ち着いた所に行きましょうか」
部長「何を言ってるんだね君は!」
武内P「? 部長?」
部長「まだこんな時間だよ? 次は、お姉ちゃん達がいっぱい居る店に決まっている」
武内P「あの、それは……!」
部長「プロの女性達に囲まれるのも悪くないだろう? 私の奢りだよ」
武内P「……」
武内P「その……ようですね」
部長「よし! 二軒目に行こう、二軒目に!」
武内P「そうですね。落ち着いた所に行きましょうか」
部長「何を言ってるんだね君は!」
武内P「? 部長?」
部長「まだこんな時間だよ? 次は、お姉ちゃん達がいっぱい居る店に決まっている」
武内P「あの、それは……!」
部長「プロの女性達に囲まれるのも悪くないだろう? 私の奢りだよ」
武内P「……」
部長「それでは、会計をしてしまおうか」
武内P「そうですね。確か、この店は伝票が部屋に入口に……」
部長「いやー、楽しみだねぇ!」
武内P「……」
部長「? どうしたね、伝票を見て固まって」
武内P「……」
部長「たかが二人分だろう? どれ、見せてみなさい」
武内P「……」
部長「……」
武内P「……」
部長「……これは……何人分だろうねぇ」
武内P「そうですね。確か、この店は伝票が部屋に入口に……」
部長「いやー、楽しみだねぇ!」
武内P「……」
部長「? どうしたね、伝票を見て固まって」
武内P「……」
部長「たかが二人分だろう? どれ、見せてみなさい」
武内P「……」
部長「……」
武内P「……」
部長「……これは……何人分だろうねぇ」
部長「いやはや、こんなに高価な伝票は初めて見たよ」
武内P「……そうですね。私もです」
部長「見給え、ほうら、裏にこんなにギッシリとサインが」
武内P「……すっかり酔いが覚めてしまいましたね」
部長「安心しなさい、私もだよ」
武内P「……部長、携帯が鳴っていますよ」
部長「君のも、だろう」
武内P・部長「……」
武内P「……そうですね。私もです」
部長「見給え、ほうら、裏にこんなにギッシリとサインが」
武内P「……すっかり酔いが覚めてしまいましたね」
部長「安心しなさい、私もだよ」
武内P「……部長、携帯が鳴っていますよ」
部長「君のも、だろう」
武内P・部長「……」
武内P「……外に、居ますかね」
部長「……居るだろうねぇ、まず、間違いなく」
武内P「二軒目は……はい、確かにプロの女性達に囲まれますね」
部長「私ももう歳だ。後は、君に任せても大丈夫だろう」
武内P「!? 待ってください!」
部長「冗談だよ。結婚の話も、二軒目の話も私が言い出したことだ」
武内P「……それを聞いて安心しました」
部長「しかし、結婚は人生の墓場とは良く言ったものだね」
武内P「墓穴を……掘ってしまいましたね」
部長「……よし、そろそろ穴を増やしに行こうか」
武内P「お供します」
武内P・部長「穴が空くほど謝らないと」
おわり
部長「……居るだろうねぇ、まず、間違いなく」
武内P「二軒目は……はい、確かにプロの女性達に囲まれますね」
部長「私ももう歳だ。後は、君に任せても大丈夫だろう」
武内P「!? 待ってください!」
部長「冗談だよ。結婚の話も、二軒目の話も私が言い出したことだ」
武内P「……それを聞いて安心しました」
部長「しかし、結婚は人生の墓場とは良く言ったものだね」
武内P「墓穴を……掘ってしまいましたね」
部長「……よし、そろそろ穴を増やしに行こうか」
武内P「お供します」
武内P・部長「穴が空くほど謝らないと」
おわり
あんた毎回オチがうまいなオチを考えてそこにゴールしようと作ってんのか?前に即興といってたが
――かえでちゃんって、めのいろかわってるね。
「っ……!」
飛び起き、はしないけれど、布団の中で少し体が跳ねた。
乱れそうになる呼吸を正すため、ゆっくりと、吸いて、吐いて。
右手で顔の上――両瞼の上から、目を抑える。
差し込んでくる朝日も完全に遮る、深い闇。
「……ふぅ」
なんとか、落ち着くことが出来た。
とっても昔の事なのに、まだ気にしているだなんて。
今はそんな事は無いと思っていたはずなのに、自分でも驚く。
「変わってる、か」
あの言葉を私に放った子は、悪気があった訳ではない。
子供特有の無邪気さが、他の人とは違う、私の瞳について疑問を持っただけ。
そう……右と左で色の違う、私の瞳に。
「……」
ベッドに寝転がりながら、ぼうっと白い天井を見つめる。
その白さが、私の瞳の色を吸い上げて、どちらの色も無くしてしまえば良いのに。
「なんて、ね」
ごろりと体を横にして、枕の感触を楽しむ。
枕に顔を押し付けようとしたら、額にフワリとした感触。
「……前髪、少し伸びたかしら」
整えに行かなくちゃいけないな、と考え、すぐに思考をやめた。
今は、ちょっとだけ何も考えたくないわ。
・ ・ ・
子供というのは、純真で――残酷だ。
無邪気さというものが、必ずしも良い事だとは限らない。
小さい頃に、瞳の色を指摘された時……私は恐怖した。
それまでも、父や母、祖父母には「綺麗だ」と褒められる事はあったのに、だ。
お友達と言っても、やっぱり、他人。
家族は私を無条件に受け入れてくれると、そう思うだけの愛情を向けてくれていた。
けれど、他の皆は?
私の瞳の色が左右で違う事によって、私は集団から排斥されてしまうのでは。
幼心に、私はそんな風に思ったのだ。
だから、小さい頃は瞳が隠れるように、前髪を伸ばしていた。
他人と明らかに違う、異質な、この左右で違う色を放つ瞳を隠すために。
幸い、それの効果かはわからないけれど、幼少時代は平穏に過ごす事が出来た。
そして、大きくなっていくにつれて、瞳の色を気にする事はなくなっていった。
私は、とても恵まれていたのだろう。
それには今でも感謝しているし、今もまた、周囲の人たちには恵まれている。
「……」
だけど、たまに……やっぱり、ちょっと怖くなっちゃう。
モデルとしてやってきた経験もあり、容姿にはそれなりに自信がある。
モデルを辞めて、アイドルとして活動している今も、それに変わりは無い。
「……」
洗面台に立ち、目の前の鏡のジイッと見つめる。
鏡の向こうから見つめ返してくる二つの瞳の色は、やっぱり左右で色が違う。
これも個性だ、と言ってしまえばそれまでの話なのに。
昔の夢を見たせいか、今は、その違いがとても気になった。
「……ふぅ」
しかし、今はそんな事を気にしている場合ではないと、息を吐いた。
ゆっくりしすぎたせいで、急がないとお仕事に遅れちゃうもの。
冷たい水で顔を洗って、切り替えよう。
「……」
私は瞼を閉じ、見つめてくる鏡の中の私から強引に逃げ出した。
子供というのは、純真で――残酷だ。
無邪気さというものが、必ずしも良い事だとは限らない。
小さい頃に、瞳の色を指摘された時……私は恐怖した。
それまでも、父や母、祖父母には「綺麗だ」と褒められる事はあったのに、だ。
お友達と言っても、やっぱり、他人。
家族は私を無条件に受け入れてくれると、そう思うだけの愛情を向けてくれていた。
けれど、他の皆は?
私の瞳の色が左右で違う事によって、私は集団から排斥されてしまうのでは。
幼心に、私はそんな風に思ったのだ。
だから、小さい頃は瞳が隠れるように、前髪を伸ばしていた。
他人と明らかに違う、異質な、この左右で違う色を放つ瞳を隠すために。
幸い、それの効果かはわからないけれど、幼少時代は平穏に過ごす事が出来た。
そして、大きくなっていくにつれて、瞳の色を気にする事はなくなっていった。
私は、とても恵まれていたのだろう。
それには今でも感謝しているし、今もまた、周囲の人たちには恵まれている。
「……」
だけど、たまに……やっぱり、ちょっと怖くなっちゃう。
モデルとしてやってきた経験もあり、容姿にはそれなりに自信がある。
モデルを辞めて、アイドルとして活動している今も、それに変わりは無い。
「……」
洗面台に立ち、目の前の鏡のジイッと見つめる。
鏡の向こうから見つめ返してくる二つの瞳の色は、やっぱり左右で色が違う。
これも個性だ、と言ってしまえばそれまでの話なのに。
昔の夢を見たせいか、今は、その違いがとても気になった。
「……ふぅ」
しかし、今はそんな事を気にしている場合ではないと、息を吐いた。
ゆっくりしすぎたせいで、急がないとお仕事に遅れちゃうもの。
冷たい水で顔を洗って、切り替えよう。
「……」
私は瞼を閉じ、見つめてくる鏡の中の私から強引に逃げ出した。
・ ・ ・
「……」
お仕事の打ち合わせも終わり、あとはお家に帰るだけ。
だけど、本当になんとなく、ブラブラとプロダクションの中を歩き回っていた。
こういう事をたまにするから、皆に子供みたいと言われちゃうのかしら。
でも、今日はちょっと不思議な気持ち。
「……」
誰にも会わず、一人で居たい気もする。
誰かと一緒に……誰がが隣に居て欲しい気もする。
どちらが正解かわからないから、私は今、歩いている。
それで答えが見つかるとは思っていないけれど、私はこれで行動的なの。
なんとなく、アイドルになっちゃう位には、ね。
「……」
けれど、珍しい事に今日は誰にも会わない。
いつもは年少組の子達が楽しそうにして――
「……」
――……今日は、もう帰ろう。
あの可愛い後輩達は、私の瞳を見てどう思うか、だなんて。
そんな事を考えてしまう程度には、今日の私はおかしいみたい。
あの子達だったら、きっと綺麗だと褒めてくれる、受け入れてくれる。
だけどそれは、私の瞳の色が左右で違うという、異質さを褒めるのだ。
貴女は、他人とは違う。
普通とは違うのだ、と。
「――高垣さん?」
そんな時、とても低い声がかけられた。
「……」
お仕事の打ち合わせも終わり、あとはお家に帰るだけ。
だけど、本当になんとなく、ブラブラとプロダクションの中を歩き回っていた。
こういう事をたまにするから、皆に子供みたいと言われちゃうのかしら。
でも、今日はちょっと不思議な気持ち。
「……」
誰にも会わず、一人で居たい気もする。
誰かと一緒に……誰がが隣に居て欲しい気もする。
どちらが正解かわからないから、私は今、歩いている。
それで答えが見つかるとは思っていないけれど、私はこれで行動的なの。
なんとなく、アイドルになっちゃう位には、ね。
「……」
けれど、珍しい事に今日は誰にも会わない。
いつもは年少組の子達が楽しそうにして――
「……」
――……今日は、もう帰ろう。
あの可愛い後輩達は、私の瞳を見てどう思うか、だなんて。
そんな事を考えてしまう程度には、今日の私はおかしいみたい。
あの子達だったら、きっと綺麗だと褒めてくれる、受け入れてくれる。
だけどそれは、私の瞳の色が左右で違うという、異質さを褒めるのだ。
貴女は、他人とは違う。
普通とは違うのだ、と。
「――高垣さん?」
そんな時、とても低い声がかけられた。
「……――おはようございます」
帰ろうと思ったタイミングで現れるなんて、何て間の悪い人なのかしら。
失礼だとは思いながらも、出会ってしまったのなら、挨拶をしなきゃ。
両手を前で組み、深々とお辞儀をする。
ちょっぴり抗議するように、いつもより、ことさら丁寧に。
「おはようございます」
対する彼は、いつも通りの挨拶。
顔を上げて視線を向けると、やはりいつも通りの無表情がそこにあった。
とても大柄なこの人と視線を合わせるためには、少し上を向かなくてはいけない。
だけど、今は、誰かと視線を合わせる気にはなれない。
「あの……」
いつもは目と目を合わせているが、今日はそれをしない。
その事を不審に思ったのか、彼はおずおずと、話を切り出してきた。
珍しい。
些細な変化だというのに、この人は今日の私が変だと気付いたのかしら。
そういう事が出来る程、器用な人だとは思わなかった。
「何か……御用でしょうか?」
けれど、彼が発した言葉は私が予想していないものだった。
御用? 貴方から先に声をかけてきたんじゃありませんか。
それなのに、私に尋ねるのは違うと思います。
「いえ……」
駄目。
今の私は、本当に駄目。
変に口を開いたら、目の前のこの人に八つ当たりをしてしまいそう。
「……兎に角、中へどうぞ」
無言で立ち尽くす私に、彼は、私の横にある扉を指し示し言った。
何てことはない。
ブラブラと歩く内に、私がシンデレラプロジェクトの、
プロジェクトルームの前に辿り着いていたから、この人は声をかけてきたのだ。
・ ・ ・
「……」
彼に促されるまま、私はプロジェクトルームのソファーに座っていた。
何か飲み物をと言われたが、それはさすがに遠慮。
だって、元々此処に来るつもりは無かったし、本当に目的が無い。
それに、彼もお仕事中だし、邪魔するのは悪いもの。
……もう、お邪魔をしてしまっているけど。
「高垣さん。何か、ありましたか?」
彼は、自分のデスクに座ることなく、私の正面のソファーに腰掛けていた。
そんな位置に座られたら、嫌でも目を合わせなきゃいけないじゃない。
そうしなきゃ、とても不自然な感じになってしまうから。
「どうして、そう思うんですか?」
私は、元々あまり表情が豊かな方ではない。
感情もあまり表に出す方では無かったし、
そういう意味では私と彼は似ている部分もあるのだろう。
だけど、私はアイドル、高垣楓。
笑顔をするのは、お仕事の内。
「笑顔です」
なのに、この人はそんな私の笑顔に、平気で踏み込んできた。
上手に出来ていたと思ったのに……。
何故? どうして、私の笑顔を見て、何かあったと思うんですか?
「……」
なんて、そんな事はわかっている。
この人はプロデューサー……アイドルを見るのが、お仕事。
わかっているけれど、悔しい。
そんな事はないのに、まるで、私の仕事に不備があると責めている様に感じてしまうから。
「……」
彼に促されるまま、私はプロジェクトルームのソファーに座っていた。
何か飲み物をと言われたが、それはさすがに遠慮。
だって、元々此処に来るつもりは無かったし、本当に目的が無い。
それに、彼もお仕事中だし、邪魔するのは悪いもの。
……もう、お邪魔をしてしまっているけど。
「高垣さん。何か、ありましたか?」
彼は、自分のデスクに座ることなく、私の正面のソファーに腰掛けていた。
そんな位置に座られたら、嫌でも目を合わせなきゃいけないじゃない。
そうしなきゃ、とても不自然な感じになってしまうから。
「どうして、そう思うんですか?」
私は、元々あまり表情が豊かな方ではない。
感情もあまり表に出す方では無かったし、
そういう意味では私と彼は似ている部分もあるのだろう。
だけど、私はアイドル、高垣楓。
笑顔をするのは、お仕事の内。
「笑顔です」
なのに、この人はそんな私の笑顔に、平気で踏み込んできた。
上手に出来ていたと思ったのに……。
何故? どうして、私の笑顔を見て、何かあったと思うんですか?
「……」
なんて、そんな事はわかっている。
この人はプロデューサー……アイドルを見るのが、お仕事。
わかっているけれど、悔しい。
そんな事はないのに、まるで、私の仕事に不備があると責めている様に感じてしまうから。
「……」
真っすぐ見つめてくる彼の視線から逃げるように、顔を俯ける。
前髪がフワリと、視線を遮るカーテンの役割を果たしてくれる。
けれど、それに何の意味もない事もわかる。
「……」
この人は、私が何か言うのを待っているのだろう。
本当に、ひどい人。
彼は、私が何か言葉を発するまで、そこから動かない。
目は口程に物を言うとは言うけど、「笑顔です」と言った時の彼の目は、
『話してください!』
って、まるで大声で叫んでいるかのようだったから。
無口だなんて、とんでもないわ。
あんなにも視線で語りかけてくるなんて、とんだお喋りさんじゃないの。
「……」
だけど……話したく、無い。
小さい時の、勝手な思い込みで悩むだなんて、そんな弱い姿は見せたくない。
私にも、意地というものがあるんですよ。
女の意地じゃない――アイドルとしての意地が。
「……」
だから、私は顔を上げて、真っ直ぐに彼の視線を正面から受け止めた。
瞳の色が違うだなんて、そんな事は気にしていられない。
他のことに気を取られていたら、この真っすぐな、誠実な瞳に負けてしまうから。
『話したくありません!』
『話してください!』
男と女の情熱的な見つめ合い?
いいえ……これは、アイドルとプロデューサーの、意地と意地のぶつかり合い。
頑張れ、高垣さん
リクエストですが、自分とこの女性Pに武Pへの恋の相談をする他部署アイドルとかどうでしょう。
体は男心は女のプロデューサーもすごく相談にのってくれそうです
リクエストですが、自分とこの女性Pに武Pへの恋の相談をする他部署アイドルとかどうでしょう。
体は男心は女のプロデューサーもすごく相談にのってくれそうです
「……」
お違い無言で、言い合う。
負けるわけにはいかないわ。
私の――アイドル高垣楓の後ろには、ファンの方達がついてくださっているから。
こんな、デリカシーの無い人に、負けてなんていられない。
「……」
どれほど視線を交わしていたのだろうか、わからない。
だけど、勝敗はついた。
「……!」
勝ったのは――私。
アイドルとしての意地が、この人のプロデューサーとしての意地に勝った。
ふふっ、勝敗がついて、たしょうハイになっちゃうわ!
どうだ、と視線に乗せて彼を見ると、
「……」
さっきまでの雄弁さは、どこかへ行ってしまったのかしら。
その表情は、無表情というより、ただ、ボウっとしているといった風。
心ここにあらず、とでも言えばいいのか……とにかく、ちょっと変。
「あの……?」
これは、不思議に思ったから声をかけただけ。
それに、先に声を出した方が負けだなんてルールじゃなかったですから。
「っ!? あ、いえ……申し訳、ありません」
私が声をかけると、彼は驚いて体をビクリと震わせた。
「その……高垣さんの瞳に……はい、見惚れて、しまっていました」
彼が右手を首筋にやりながら放った言葉は、見事に私を貫いた。
「……私の瞳に、ですか?」
本当に……本当に、悔しいけれど、一勝一敗。
勝ったと思ったら、急に、そんな事を言うだなんて。
本当に、ずるい。
「はい」
プロデューサーのお仕事は、アイドルを見る事ですよ。
それなのに、見惚れてしまっていただなんて……。
それじゃあ、まるで貴方は私のファンみたいじゃないですか。
ファンなのだとしたら……そんな、後ろから急に押されたら――
「……私、左右で瞳の色が違うでしょう?」
――前に、踏み出しちゃうじゃないですか。
「それで、普通とは違うから、そう感じるだけだと思います」
でも、これじゃあ……踏み出す所じゃないわ。
「……私は、それも高垣さんの――」
「――個性の内、ですね。確かに、その通りだと思います」
どこに足を踏み出せばいいのかわからず、たたらを踏んでいる。
「だけど……違うんです」
私は、また俯いた。
ソファーに座っている、私の脚は地面についているのに、どこに居るか分からない。
考えもまとまらず、自分でも何を言っているのか、何が言いたいか分からない。
「……」
嗚呼、本当に……消えてしまいたい。
「その、私は……!」
彼が、とても困っているのがわかる。
他人が、身体的特徴について悩んでいると、告げてくる。
そういう時にどう答えるかの正解なんて、有りはしない。
……こうなりたくなかったから、一人で居たかったのね。
「瞳の色が違うのは……です、ね……!」
瞳の色が違っても、綺麗。
どちらの瞳の色も、綺麗。
色なんか、関係がない。
――全部、言われてきた。
「……」
きっと、彼もこの内のどれかを言ってくれるのだろう。
それによって、私のグチャグチャな感情は整えられる。
普段通りになった私は、笑顔で彼にお礼を言って、一安心。
それで、おしまい。
「……」
本当に、嫌な女だ。
「私は、おっ……」
焦る彼を冷静に見続け、慰めの言葉を待っているだけだなんて。
なんて――
「お得だと、そう、思います……!」
――……なんて?
「お得……ですか?」
言うに事欠いて……お得?
「……申し訳、ありません」
今の言葉は失敗だったと思ったのだろう。
彼は、右手を首筋にやって、さっきまでとは別の困った感情を瞳に浮かべた。
「お得……」
普通、そんな事言います?
「お得って……――ふふっ!」
悩んでいる人間に対して!
「ふふっ……うふふっ! お得って……ふふふっ!」
……本当に、ずるい人。
不器用で、無口で……そして、とっても誠実で。
そんな貴方の発する言葉だからこそ、それで良いのだと思えてしまう。
「……」
笑いだした私を見て、また困った顔をする彼。
それがまたおかしくて、大声で笑ってしまう。
今この場に居るのは私達だけだから、気にする必要はありませんよね?
「ああ、おかしい!」
私の左右の瞳の色が違うのは、お得なのね。
うふふっ、そんな風に考えるだなんて、思ってもみなかったわ!
さっきまでとはうって変わって笑い転げる私に、
「良い笑顔です」
と、彼は真っすぐ、言った。
彼の目の色が変わっていたが、その目はプロデューサーとしてか、ファンとしてか。
はたまたそれ以外の何だったかは、私にはわからなかった。
おわり
青い目はクールビューティーな高垣さん
緑の目はお茶目な25歳児楓さん
緑の目はお茶目な25歳児楓さん
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