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    元スレ武内P「凛さんの朝」

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    301 = 1 :

    「昔のプロデューサーを、取り戻してほしかったんです」

    武内P「えっ?」


    「今日のライブが終わる頃には、思い出してもらえると良いなぁって」

    「だから、シンデレラプロジェクトの子達を……凛ちゃん達を呼んだんです」

    「プロデューサーにも、来てほしかったから」


    武内P「…………」

    「ちょっと、大人げなかったですよね」



    スタッフ「高垣楓さーんっ! そろそろうちわの配布をお願いします!」

    「分かりました」


    「それじゃあ、またライブで」ペコッ

    スタスタ…



    武内P「…………ここは……」

    302 = 1 :

    ~物販スペース~

    同僚P「とまぁ、俺が知ってんのはそんなところだ」

    卯月「ほえぇ~……意外、です。楓さん、そこまでシンデレラプロジェクトに…」

    未央「チッチッチッ、しまむーは本当にお子ちゃまだねぇ」

    卯月「えっ?」


    ズイッ

    未央「楓さん、プロデューサーにゾッコンのデレッデレなのだよ。分かんない?」

    卯月「!? え、ええぇぇぇっ!!? そ、そんな私は…!」アタフタ…!

    「何で卯月がうろたえてんの」


    同僚P「俺もそう思ったけどよぉ。
        アイツはマジで仕事が恋人だから、本気でくっつけようとするならホネだぞ?」

    未央「なぁにを弱腰になる必要があるのさ!
       世話になったプロデューサーのため、一肌でも二肌でも脱ごうじゃん!」ガバッ

    卯月「未央ちゃんっ! 私も頑張りますっ!」ギュッ


    スタスタ…

    「お疲れ様ですー」

    303 = 1 :

    未央「ちゃああぁぁぁっす!!」ペコーッ! (←90°)

    「!?」ビクッ!

    卯月「楓さん、一緒に頑張りましょうっ!!」ギュッ!

    「え、えぇ、そうね?」


    同僚P「それでは、これから高垣楓のサイン入りうちわを配布しまーす!
        焦らずゆっくりと、こちらから一列にお並びくださーい!」



    「……ねぇ、楓さん」

    「なぁに、凛ちゃん?」


    「私のお見舞いに足しげく来てくれていたのも、プロデューサーに会うため?」



    「きっと、それもあったでしょうね」

    304 = 1 :

    ~ライブ会場~

    ワアァァァァァァァァ…!! パチパチパチ…


    タタタ…!

    未央「プロデューサー! どう、バッチリだったでしょ!?」

    武内P「はい。いつも以上に、気迫を感じられる、良いステージでした」

    卯月「持てる力を振り絞って、一生懸命頑張りましたっ!」ブイッ!


    未央「さぁ、お次は楓さんの番だね! しまむー、ペンライト!」

    卯月「はいっ!」ササッ

    武内P「はっ?」


    未央「しまむー、しぶりん!! いざ出陣じゃあっ!!」ダッ!

    卯月「ムード盛り上げ楽団、ニュージェネレーションズの出番ですっ!!」ダッ!

    武内P「あ、あの! あまり目立つような行いは…」

    タタタ…!

    305 = 1 :

    武内P「一体、何を……?」

    「楓さんのステージを最高に盛り上げてやるんだ、ってさ」

    武内P「現役のアイドルが、表立って客席で目立つような事をするのはまずいかと…」

    「分かってる。ちゃんと後ろの方にいるよう、私が二人を抑えておくから」

    武内P「お願いします」

    「じゃあ、私も行ってくるね」ポロッ

    武内P「あっ」

    ポトッ コロコロ…


    武内P「……ペンライト、落としました」スッ

    「あ……ごめん、ありがとう。それじゃあ」

    タタタ…


    武内P「………………」



    ワアァァァァァァァァァァァァァ!! パチパチパチパチパチパチ…!!


    「今日は、本当にありがとうございます」

    306 = 1 :

    「楓ちゃーーんっ!!」「こっち向いてー!」「綺麗だよーーっ!!」

    未央「楓ちゃぁーん、俺だーーっ!! 結婚してくれぇーーっ!!(重低音)」ブンブン!

    卯月「キャーーッ!! 楓様ぁーーーっ!!(怪鳥音)」ブンブン!

    「……ッ!!」ポカッ! ポカッ!

    未央・卯月「痛いっ!」


    「……」クスッ



    「あの日、あの時と同じ……このステージを、覚えてくれている人はいますか?」


    武内P「…………!」


    「覚えてるよーーっ!!」ワァァァッ!!


    「ありがとうございます」



    「ここは、私がデビューして初めて立ったステージです」

    307 = 1 :

    「心細くて、不安でした。でも……」

    「そんな私を応援して、共に笑ってくださる皆さんと出会いました」

    「そんな大事な場所で、こうしてまたライブをできることが、何より嬉しいです」

    「楽しんでいってください……」スッ


    ワアァァァァァァァァァァァ…!!


    ~~♪



    武内P「………………」

    308 = 1 :

      ――歯車にさえなれば、仮面の下に隠れた君という個人が傷つく事は無い。


      ――私達は、あなたのお人形なんかじゃないっ!!



      ――あの、ぷ、プロデューサー……私、ダメかも知れません……

      ――こんな、小さい会場なのに、緊張でこ、声が……声だけじゃなくて、体も……!


      ――えっ? …………仕事に、大きいも小さいも無い……

      ――緊張は、味方……いつも通り、慎重に……?

      ――ぷっ……ふふ、あははっ。ダジャレだなんて……あははは!



      ――プロデューサーの言葉のおかげで、私、とても楽しむ事ができたんです。


      ――本当に……ありがとうございます、プロデューサー。

    309 = 1 :

    ~~♪

    「~~~~♪」

    「~~~~~~ッ!!♪」


    武内P「………………」



    ワアアアアァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!! パチパチパチパチパチパチ…!!


    未央「うわあぁぁぁん……楓さぁ~ん、結婚してぇ~~~……!!」ボロボロ…

    卯月「ひっぐ、えぐっ! か、楓さん、凄すぎますぅ~~……!」ボロボロ…



    「…………」パチパチパチ…!

    310 = 1 :

    ガヤガヤ…


    未央「……はぁ~~泣いた泣いた。良いモノ見せてもらったよぉ」

    卯月「楓さん、綺麗でカッコ良くて、素敵でした」



    武内P「本日はどうも、お疲れ様でございました」ペコリ

    同僚P「よ、よせよ仰々しい。こっちの立場からすりゃ、お前はご依頼人様なんだしさ」

    武内P「しかし、相変わらずお元気そうで何よりです」

    同僚P「そう言われんのも腹立つな。左遷だって分かって言ってんだろ?」


    同僚P「ま、どのみちお前には頭が上がらねぇや。あの子達の事、しっかり頼むぜ」ポンッ

    武内P「はい」

    311 = 1 :

    武内P「それと……高垣さんは、どちらに?」

    同僚P「あん? あぁ、そういやお前、あまり彼女の現場に行った事無かったっけか」

    同僚P「3階のラウンジじゃねぇか?
        あそこ、人が少なくてゆっくりできるから、彼女のお気に入りみたいでよ」

    武内P「分かりました。ありがとうございます」スッ

    コツコツ…



    コソコソ…

    未央「ウッシッシッシ……!」

    卯月「本当に良いのでしょうか?」

    「良い訳ないと思うけど……」

    同僚P「心配だから俺もついてく」

    312 = 1 :

    コツ コツ…

    武内P「…………」コツ…


    「あ、プロデューサー」


    「ホットコーヒーで、一緒にホッとしましょう?」

    「……イマイチ、ですね」


    武内P「高垣さん。どうも、お疲れ様でした」ペコリ

    「ふふっ。ひょっとして、まだ思い出されていないんですか?」

    武内P「いいえ……ハッキリと、思い出しました」


    武内P「私はどうやら、心の奥底に過去のトラウマを隠し、鍵を掛けていたようです」

    武内P「そして、その鍵も気づかぬうちに、どこかへ失くしてしまっていた……」


    「先輩の方々が一斉に辞めてしまわれて、体調不良でしばらく休職された後……」

    「プロデューサー、私と再会しても何も反応が無かったのは、
      結構ショックだったんですよ?」

    武内P「それは、その……申し訳ございません……」ペコリ

    「いいんです。昔と違って、私も大人ですから」

    313 = 1 :

    「早苗さんや瑞樹さんと一緒に、私も担当としていただけるよう、
      今西部長に頼んだりもしました」

    武内P「そうでしたか」


    「でも、結局……私は、プロデューサーの心を開く鍵に、なれなかったんですね」

    武内P「? ……いいえ、そんな事はありません。あなたは…」

    「ううん」フリフリ


    「直接のきっかけとなってくれたのは……鍵になったのは、凛ちゃんです」

    「彼女の治療に真摯に向き合う事で、きっとプロデューサーは、
      情熱に溢れていたあの頃を思い出せたんだと思います」

    「私は、ただ背中を押しただけに過ぎません」

    武内P「…………」


    「ふふっ、でも……まだもうちょっと、ですね?」

    武内P「えっ……?」

    「昔のプロデューサーは、私の事を下の名前で呼んでくださっていたんですよ?」

    314 = 1 :

    武内P「!? い、いや、そんなはずは…!」

    「ふふふっ」ニコニコ



    ヒョコッ ヒョコッ

    卯月「何やらとっても、良い雰囲気です……!」ワクワク…

    未央「いけっ、そこだ……ガッとやれ、チュッと吸ってしまえー……!!」ソワソワ…!

    同僚P「発想がおっさんじゃねぇか……」

    「…………」

    315 = 1 :

    「もう少し、心が開き切るには、時間が必要みたいですね」

    「でも、今日は本当に良かったです」


    武内P「お招きいただき、ありがとうございました」

    「こちらこそ。また、一緒にお仕事したいですね」

    武内P「ご要望があれば、ぜひまた当プロジェクトのメンバーをお呼びください」

    「その時は、プロデューサーも?」

    武内P「善処します」

    「ふふっ……はい」スッ

    316 = 1 :

    未央「あ、あれ……?」

    同僚P「まずい、こっち来るぞ、隠れろ!」コソコソ…

    卯月「隠れる所無いですよぉ……!」コソコソ…

    「マネキンが……」


    「それじゃあ、失礼します」ペコッ

    武内P「はい」

    スタスタ…



    卯月・凛「…………」 ←マネキンのポーズ

    未央・同僚P「…………ッ」プルプル…! ←水魚のポーズ


    スタスタ…

    317 = 1 :

    同僚P「…………行ったか?」

    卯月「はい……」

    未央「だっはぁー! はぁ、はぁ……危なかった、被り物が無かったら即死だった」

    「無理な体勢でいるからだよ」

    未央「でも惜しかったなぁ。せっかくプロデューサーと楓さんが良いカンジに…」

    武内P「…………」

    未央「あとちょっとで、むっちゅ~~って出来たかも知れないのにさー。
       ねぇプロデュ…」

    未央「うわあああああああっ!!」ガタガタ-ッ!



    武内P「あまり大人をからかうものではありません」

    未央・卯月「はい……」シュン…

    武内P「あなたも、彼女達の元保護者として、節度ある振る舞いをお願いします」

    同僚P「ごめんなさい……」シュン…


    武内P「それでは、駅までお送りします」

    318 = 1 :

    ブロロロロ… キキィッ

    ガチャッ


    武内P「私はこのまま、諸星さん達の現場へ行って彼女達を拾い、事務所に戻ります」

    卯月「今日も一日、お疲れ様でしたぁっ!」ペコリ

    未央「楓さんとの馴れ初め話、今度じっくり聞…」

    武内P「本田さん」

    未央「う、ウソウソ冗談! アハ、アハハ……」ブンブン


    武内P「それでは、お疲れ様でした」

    バタン  ブロロロロ…



    「ふぅ……さて、帰ろうか」

    卯月「そうですね」

    319 = 1 :

    テクテク…

    未央「うぅーーん……やっぱり諦めきれない」

    「まだ言ってるの?」

    未央「だってさ、どう見ても相思相愛じゃん! お似合いじゃんっ!」

    卯月「お二人がとても楽しそうにお話されている様子、すごく素敵でした」


    「それはそうかもだけど……アイドルとプロデューサーだよ?」

    「大体、私達アイドルって恋愛がご法度なのは、業界の常識だと思うけど」

    未央「む、むぐぐ……!」


    未央「……あぁーーー分かったっ!!」

    「?」

    未央「しぶりんもプロデューサーの事が好きなんだーーっ!!」ビシ-ッ!

    「!? ……はぁっ!?」

    320 = 1 :

    未央「だから楓さんとプロデューサーがくっつくのが面白くないんだぁーっ!!」

    卯月「うええぇぇぇぇっ!? り、凛ちゃん…!」

    「ちょ、ちょっと馬鹿言わないでよ! そんな訳ない!!」


    未央「そりゃそうだよねー、覚めない眠りから救ってくれた、
       しぶりんにとってはまさしくシンデレラの王子様だよねー」ウンウン

    卯月「未央ちゃん、それを言うなら白雪姫とか眠り姫ですよ」

    未央「あそっか。でもそういう事だよねーそりゃあ好きになるのはしょうがないよねー」

    「いい加減にして!! 確かにプロデューサーには感謝してもしきれないけど、
      そういうのとコレとは別だからっ!!」

    未央「本当に?」

    「ほ、本当だよ」

    未央「なら楓さんとプロデューサーがラブラブになっても別に気にしないよね?」

    「当たり前でしょ! 勝手にすれば!?」


    未央「じゃあさ! 今から買い物に行こーっ!!」ガッツ!

    「えっ?」

    未央「名付けて!
       『楓さんのハートを鷲掴み! Pから送るプレゼントをプレゼント』大作戦~!」

    卯月「わぁーーいっ!!」バンザーイ!

    323 = 1 :

    ~美城グループ附属総合病院 医務室~

    志希「…………」


    医師「これを……」

    博士「うむ…………」



    博士「だが…………止むを得ませんな」

    医師「えぇ……」


    博士「……シキ。君の意見も聞かせてもらえないだろうか」



    志希「………………」

    324 = 1 :

    ~駅前のデパート ホール~

    未央「さぁさぁやってまいりました、高垣楓のハートを掴みとれ!
       Pと楓のキューピットプレゼント大作戦の火蓋が切って落とされます!」

    卯月「はいっ! 楓さん好みの贈り物、バッチリ当てちゃいますっ!」フンスッ

    「名前変わってる」


    未央「ルールは簡単!
       プロデューサーから楓さんに渡す用に一番良いプレゼントを見つけた人の勝ち!」

    未央「制限時間は30分!
       予算は私達三人で出し合うとして、イチゴー(1万5千円)くらいでどう?」

    卯月「一人5千円ですか」

    「予算は別に制限つけなくて良くない?
      良い物があったら、それが私達で買えるものかどうか、皆で相談すればさ」

    未央「おっ、良い事言うねー! 意外とノリノリか渋谷ぁ?」ウリウリ

    「…………」ハァ…

    325 = 1 :

    未央「じゃあ30分後にまたココでっ! じゃ、スタートぉ!」ダッ!

    タタタ…!


    卯月「未央ちゃん、楽しそうですね」

    「プロデューサーと楓さんをネタにふざけているだけにしか見えないけど」

    卯月「ううん、未央ちゃんは、皆で楽しくなるのが大好きなんです」

    卯月「凛ちゃんが倒れていた時も、ずっと未央ちゃん、私達の事を……」

    「…………」

    卯月「だから、たとえ悪ふざけでも、こうして凛ちゃんとまた一緒に楽しくできるのが、
       すごく嬉しいんだと思うんです」


    クルッ

    卯月「ありがとうは、最後になりそうだから言わないって、凛ちゃん言ったけど……」

    卯月「私は、今この瞬間どうしても言いたいし、この先も何度だって言おうと思います」


    卯月「元気になってくれて、本当にありがとうございます、凛ちゃん」

    326 = 1 :

    「……時間、気にしなくていいの?」

    卯月「あ、えっ!? そ、そうだ私も早く探さないと…!」

    卯月「じゃあ、凛ちゃんも頑張りましょうね! 負けませんよっ!」ギュッ!

    タタタ…



    「頑張りましょう、負けませんって……どっちなの」クスッ

    「それに、ありがとうございますなんて……」

    「……感謝しなきゃいけないの、こっちなのに」

    327 = 1 :

    テクテク…

    「…………」プラプラ…



    【季節の贈り物 『秋』ギフトキャンペーン!】

    【お世話になった方への感謝の気持ち 喜ばれる秋の味覚プレゼントコーナー】



    「ふーん…………」



    「プレゼント、何か買おうかな……卯月と未央用に」


    「花……お菓子、いや……うーん」

    328 = 1 :

    「ねぇ、これなんかどう?」


    「……?」クルッ


    「うーん……俺は、こっちの方がお前らしいと思う。それは少し派手すぎないか?」

    「そうかなぁ。特別な時にしか付けないんだし、ちょっとくらい派手でも良くない?」

    「それもそうか」

    店員「よろしければ、ご試着されてみますか?」

    「あ、はい。じゃあ、これを……」



    「……アクセサリー、か」



    テクテク…


    店員「いらっしゃいませ」

    329 :

    ああああああああああああああアルジャーノンルートおおおおおおおおおおお…

    330 = 1 :

    「…………」ジィーーッ…


    「…………うーん」


    店員「何か、お探しでしょうか?」


    「あ……あの、ちょっと、友達へのプレゼント用に、何か良いのないかなって」

    店員「ご友人の方へのプレゼント用ですね? ちなみにご予算は…?」

    「えっと、特には決めてなくて……」

    店員「かしこまりました」


    店員「そうしますと、イヤリングなどはいかがでしょう?」

    「イヤリング……」


    店員「今、お客様がお召しになられているピアスとペアになるようなものですと……」スッ

    店員「例えば、こちらのアイオライトをあしらった小さいお花型のものであれば、
       派手な印象は与えませんし、可愛らしさもアピールできますよ」

    「アイオライト?」

    店員「“誠実”とか“初めての愛”“癒し”などといった石言葉がございます」

    331 = 1 :

    店員「お値段も比較的控えめですので、当店の人気商品となっております。
       あっ、失礼ですがご友人の方は女性、それとも男性で…?」

    「あ、いえ女! 女二人、です」

    店員「かしこまりました。それであれば、ご友人の方々にも気軽にお付けいただ…」

    「あ、いや……三人、いや……?」

    店員「?」


    「薬を作ってくれた志希……あとプロデューサー……は付けないか」

    「他の皆にも、何もしない訳には……」ブツブツ…

    「でも、全員に買ったらお金が……かと言って、差別するのも……」ブツブツ…


    「……~~~~ッ!!」ワシャワシャーッ!

    店員「あ、あの……よろしければ、ご試着されてみてはいかがでしょう?」

    「えっ? あ……そうですね」

    332 = 1 :

    店員「はい、ではこちらになります」スッ

    「ありがとうございます」

    「…………」スッ 

    スチャッ

    「…………ふーん」チラッ

    店員「大変、良くお似合いですよ」


    店員「ちなみにご友人の方は、他にお好きなアクセサリー等はございますか?」

    「いえ、何も……でも、これならたぶん、そんなに抵抗無く付けてもらえそうかな」

    店員「ありがとうございます」


    「じゃあ、これを。とりあえず、自分用も含めて、三つください」 

    店員「かしこまりました。ありがとうございます」

    店員「お支払は、現金になさいますか?」

    「あ、はい……あっ」ゴソゴソ…

    333 = 1 :

    店員「?」

    「あ、あの……お金をおろしてなかったから、やっぱり今日は…」

    店員「あぁ、構いませんよ。それでは、またの機会にお待ちしていますね」

    「すみません、ありがとうございます。あ、イヤリング返します」スチャッ

    「あっ」ポロッ

    カチャンッ!

    「あっ、す、すみません!」

    店員「あぁいえ、大丈夫ですか? ……うーんと」フキフキ…

    「あっあの、やっぱりそれ、買います。一つだけ」

    店員「あぁいえいえ、大丈夫ですよ。特に傷は付いてませんし、お気になさらないで…」

    「いえ、どうせ自分用ので買いますから。それ、自分用にください」

    店員「か、かしこまりました。それでは、今お包みしますので少々お待ちください」スッ

    スタスタ…


    「やっぱ、貯金確認しとこう……」

    334 = 1 :

    「はぁ……」


    奈緒「おーい、りーんっ!」

    「……?」クルッ


    加蓮「奇遇ね。こんな所で会えるなんて思わなかった」

    「奈緒、加蓮。何か買い物に来てたの?」

    奈緒「あたしは興味無いって言ったのに、加蓮がネイルやらせるってうるさくてさぁ」

    加蓮「いいじゃない。何だかんだで、奈緒も最後の方はノリノリに見えたけど?」

    奈緒「の、ノリノリっていうか! あそこまで勧められたら普通断れないだろ」


    奈緒「で、あたしらの話は置いといて……へぇー、凛はこういうのに興味あるのか?」

    「うん、ちょっとね」

    加蓮「ひょっとして、誰か気になる人でもいるの?」

    「お生憎様。自分用だよ」

    加蓮「なぁんだ、つまんないの」

    奈緒「加蓮、お前なぁ……」


    加蓮「それより、凛……ちょっとこの後、時間ある?」

    335 = 1 :

    ~ホール~

    未央「遅いなぁ、しぶりん」

    卯月「きっと、悩んでいるんですね。凛ちゃん、仲間思いですから」

    未央「それは私達だって同じだよぅ、しまむー」


    未央「まぁそれはそれとして、しまむーは何を選んだの?」

    卯月「はいっ。私はコレです!」つ 写メ


    卯月「じゃじゃーん! ちょっと高級アロマディフューザー!(税込16,200円)」

    未央「おぉー、ちょっと何これオシャレ!」

    卯月「えへへ、でしょっ!? 綺麗な楓さんのイメージにもピッタリかなって」

    卯月「それに、ミストがこう、ポワポワッてちょっとずつ出てくるのがかわいくて!」

    未央「うんうん、確かにコレいいかもー! デザインも楓さんっぽいね!」


    未央「あ、でも一つ思ったんだけど……これ、既に楓さん持ってそうじゃない?」

    卯月「えっ……」

    卯月「あ、た、確かに……すごくしっくり来ます」

    336 = 1 :

    未央「ふっふーん、しまむーはちょーっとその辺、詰めが甘かったかな~?」

    卯月「ま、まだ持ってるって決まった訳じゃありません!
       そういう未央ちゃんは、何を選んだんですか!?」

    未央「よくぞ聞いてくれた! この未央ちゃんが選んだのは……コレだぁ!」つ 写メ


    未央「えーと……金の井酒造『綿屋』純米大吟醸~(税込11,340円)」

    卯月「うえぇぇぇぇっ!? お、お酒ー!?」

    未央「日本酒党との噂に名高い楓さんに送る、料理と響きあう銘酒、綿屋。
       柔らかく丸みのある芳醇な香りと、東北のお酒らしいキレの良い後味が奏でる…」

    卯月「だ、ダメですよ未央ちゃん! 私達未成年だから買えないんじゃ…」

    未央「チッチッチッ、やっぱしまむーはお子ちゃまだねぇ。
       そんなの、学校の先生へのプレゼントですー、とか言っとけば問題無いっしょ!」

    卯月「あ、なるほどーっ!」ポンッ


    卯月「で、でもこれ、女の人へ渡すプレゼントとしては、どうなんでしょう……?」

    未央「あ……こ、このお酒を、今夜貴女と共に飲み交わしたいのです、的な?」

    卯月「ムードが……女の人って、意中の男性に酒飲みだって思われたがるものかなぁ」


    卯月・未央「う~~~ん……」

    337 = 1 :

    「卯月、未央」

    卯月「あ、凛ちゃん!」

    未央「遅いよしぶりん! 一体何をそんなに悩ん……?」


    奈緒「おー、お疲れー二人とも」

    卯月「奈緒ちゃん! 加蓮ちゃんも、ここに来てたんですね」

    加蓮「ごめんね。私達がちょっと、時間を取らせちゃって」

    「ううん、そんな事無いよ、私が元々遅れてただけ」

    未央「えへへー、なるほどぉ。
       二人がしぶりんのプレゼント選びを手伝ってくれてたんだね?」


    奈緒「いや、うーんとさ……そうじゃないんだよな、コレが」ポリポリ…

    卯月「えっ?」


    加蓮「ちょうど良かった、って言ったら失礼かも知れないけど……
       二人にも、聞いてもらいたい話があるんだ」

    加蓮「この後、もし良かったら駅前のどこかのお店にでも、一緒に来てくれる?」

    「…………」コクン

    未央「……?」

    338 :

    ちょっ!
    不吉…
    ハッピーエンドでお願いだよ…

    339 = 1 :

    ~駅前のファーストフード店~

    卯月「賛成ですっ!」

    加蓮・奈緒「えっ!?」


    未央「なぁーんだ、プロデューサーが言ってた例のユニットがっちゃんこの話かぁー。
       心配して損したよー」

    卯月「凛ちゃんと一緒にユニットを組んでくれる人って、お二人だったんですね。
       常務に選ばれるなんて、凄いです!」


    奈緒「で、でもお前達三人の活動が減っちゃうかも知れないんだぞ?
       あたし達、悪いかなぁって思ってたのに、そんな簡単に受け入れてくれるのか?」

    卯月「それは、確かに寂しくないって言ったらウソになりますけど……」

    卯月「でも、それ以上に、凛ちゃんがもっと活躍してくれる嬉しさの方が大きいんです。
       ね、未央ちゃん?」

    未央「しまむーの言う通り!」ウンウン


    加蓮「…………」

    未央「にっひっひ、ひょっとして私達が、
       「しぶりんはお前達にやらん!」って言うと思った? 腕とか組んじゃってさ」

    加蓮「う、うーん……まぁ、ね」ポリポリ…

    340 = 1 :

    加蓮「でも、そんなに自信満々に送り出してくれるって事は、
       それだけニュージェネの絆の強さを信じてるって事だよね」

    未央「そうとも! 浮気の一つや二つ、許してやれない未央ちゃんじゃないのだよ」

    奈緒「ほー、さすがニュージェネのリーダー! 器がデカいなー」

    卯月「未央ちゃん、カッコいいです!」


    加蓮「……ちょっと、うらやましいな」

    加蓮「でも、逆に燃えてきた」

    奈緒「加蓮?」


    加蓮「逆に私達の方が、もっともっと凛と強い絆を作って、見返してやろうよ」

    加蓮「どうせ最後はニュージェネに戻るんだ、なんていうその態度、面白くないしさ。
       どっちがメインかを、これから思い知らせてやるのも楽しそうかなって」

    奈緒「お、おい加蓮! そんなケンカ売るような事言っちゃダメだろ…!」

    未央「ホッホッホ、高見の見物といったところかのぉ」ニヤニヤ

    卯月「み、未央ちゃんも挑発しないでぇ!」オロオロ…

    加蓮「ふふふ」ニヤリ



    「……皆、ちょっといいかな?」

    341 = 1 :

    奈緒「ん?」

    卯月「?」


    「あの……まだ私、ちょっと悩んでるんだ」

    未央「えっ、そうなの?」


    「ニュージェネの二人と離れ離れになりたくない、っていう気持ちが無い訳じゃない」

    「でも、そういうのより……
      あちこち、色々な事に手を付けて、どれも中途半端になると嫌だな、って思ってさ」

    「やるからには、ニュージェネも加蓮達とも、全力でやりたい。でも、だから……」

    「それが許される実力が、自分でちゃんと付いたっていう自信ができるまで、
      加蓮と奈緒には、もう少し待っていてもらいたいんだ」


    卯月「凛ちゃん……」

    未央「ブレないねーしぶりんは」


    加蓮「……分かった。凛自身がそういう思いなら、仕方がないよね」

    奈緒「美城常務には、あたし達の方から言っておくよ。
       ていうか、凛の気持ちも聞かないで好き勝手言いすぎだよな。ごめん」ペコッ

    「ううん、私こそ」

    342 = 1 :

    ~駅~

    ガヤガヤ…  プルルルルル…!

    奈緒「じゃああたし、こっちの線だから」

    卯月「加蓮ちゃんと未央ちゃんは同じ方向ですね。どこまで行くんでしたっけ?」

    加蓮「私は秋葉原まで出て、そこから日比谷線かな」

    未央「じゃあそこまで一緒に帰ろっか! じゃ、今日は皆ありがとー!」フリフリ

    奈緒「うん、またなー!」フリフリ

    テクテク…


    卯月「さてと……じゃあ私、こっちなので。また明日からも頑張りましょうねっ」

    「うん」


    「あ、あのさ、卯月」

    卯月「はい?」

    343 = 1 :

    「もしも、だけどさ……」

    「仮にだけど……私のせいで、ニュージェネが中途半端になっちゃうとしたら、
      その時は……」

    「………………」


    「ごめん……やっぱこんな事言うの、どうかしてるよね。気にしないで…」

    卯月「凛ちゃんは、私の親友です」

    「……!」


    卯月「ニュージェネの仲間である以上に、私達の親友なんです」

    卯月「どんな結果になろうと……もし、ニュージェネが大変な事になっちゃうとしても、
       私と未央ちゃんは、いつだって凛ちゃんの味方です」

    卯月「それだけは、忘れないでくださいね?」ニコッ

    「卯月……」


    卯月「えへへ、それじゃあ、今日はお疲れ様でした。バイバイ、凛ちゃん!」フリフリ

    「うん……!」フリフリ

    タタタ…



    「えへへ……」

    344 = 1 :

    【経過報告】
     報告日:10月15日
     報告者:Анастасия

      プロジェクトクローネという企画が、本格的に始まろうとしています。

      私と志希と凛は、一緒に美城常務から、プロジェクトの説明を受けました。

      私はソロで、凛はトリオ、志希はなんと、5人組み。クインテットだそうです。

      少し不安ですが、美波が勇気づけてくれるので、私は参加しようと思います。

      志希も、興味があるようで、たぶん参加することになりそうです。

      凛は、悩んでいます。

      本人の意思が大事なので、これは凛の気持ち次第です。

      でも、未央も卯月も、もちろん他の皆も、凛の事を応援しています。

      Не беспокойся! Всё будет хорошо!

      きっと、全てうまくいきます。心配しないでください。

    345 = 1 :

    【経過報告】
     報告日:10月16日
     報告者:神崎 蘭子

      不安に揺らめく 乙女子が
      神秘の衣を 纏う時
      非情の大地を 照らし出し
      世界をあまねく 救い出さん

      来たれ希望の 燈火よ
      驟雨の如き 憂心を
      光明一閃 切り裂かん
      広がる未来に 事は無し


      ~ (天使みたいなものが、空を舞っている絵) ~



      薬はちゃんと飲んでいました。
      レッスンも受けていたけど、今日は少しミスが多かったかも・・・
      でも、凛ちゃんは元気です。

    346 = 1 :

    ――――――――――――

    ――――――


    「あっ……!」ドンッ

    卯月「うわぁっ!?」グラァ

    ドテッ!

    「う、卯月ごめん! 大丈夫!?」

    卯月「えへへへ、だ、大丈夫です……凛ちゃんは平気ですか?」

    「私は、何も……」


    ベテトレ「渋谷っ」

    「は、はいっ!」

    ベテトレ「今日はもう上がれ」

    「えっ……」


    ベテトレ「上の空の状態でレッスンしても意味が無い。少し頭を冷やしてこい」

    ベテトレ「本田、島村、お前達もだ。プロデューサーともよく話してみたらどうだ?」

    ベテトレ「半端な気持ちじゃ、掛け持ちなんていつまで経ってもできないぞ」

    347 = 1 :

    トボトボ…

    「…………」

    未央「し、しーぶりん? ほら、カントリーマアムだよ~。チョコ味だよ~」チラチラッ

    卯月「元気出してください、凛ちゃん。あれくらい、よくある事ですから、ねっ?」ヒョコッ


    「……ごめん、二人とも」

    「ちょっと、一人にさせてもらえるかな」

    「本当に、ごめん……」


    未央・卯月「…………」



    ダダダダ…!

    卯月「……あれ?」


    志希「凛ちゃんの後ろからーー……!」ダダダ…!

    志希「がばぁーっ♪ にゃははーっ!!」ガシィーッ!

    「!?」ビクッ

    348 = 1 :

    未央「し、しきにゃんっ!?」


    志希「にゃーはっはっはっ! 凛ちゃんの匂い、何だかご無沙汰かもー♪」スリスリ

    「ちょ、ちょっと志希……!?」

    志希「ふむふむ、この感じ。ひょっとして、凛ちゃん何かお悩み事かにゃー?」クンクン…

    卯月「えっ、に、匂い嗅いだだけで分かるんですか!?」

    志希「大体ねー。悩んでもしかたない、ま、そんな時もあるさ あしたは違うさー♪」


    志希「そうやって悩みを抱えてウジウジしてちゃ、一度きりの人生、もったいないよ?」

    志希「だから、パァーッと人生エンジョイしちゃお♪ 何でもいいからさー!」

    志希「目一杯楽しんで、幸せになんなくちゃっ! ねっ? にゃははーっ!」ガシィッ!


    「志希、どうしたの? 何か今日変じゃない?」

    志希「変なのは元から~、何故ならギフテッドだから~♪」スリスリ

    未央「相変わらずブッ飛んでるねー! しきにゃんのそういうトコ好きよー♪」

    志希「ふははは、志希ちゃんギフテッドであるぞー!
       ヒトというスペクトルの極限であるぞー! 良くない意味でー!」

    卯月「よ、良くない意味でっ!?」

    志希「にゃはははーっ!」

    349 = 1 :

    志希「で、悩みって?」ケロッ

    「早いな切り替えが……別に、何でもないよ」

    卯月「ちょっと、美城常務のプロジェクトの事が、気になってるみたいで…」

    「卯月、余計な事言わなくていいから!」

    志希「おーアレね、別にどうなったっていいじゃん、やってみなきゃ分かんないし」

    「うん、そうだよね。だから私悩んでないから、気にしないで」


    未央「いやー、実はしぶりん、最近恋の悩みがねぇ~?」

    「未央っ!!」

    志希「おっ? おぉーー恋っ! 恋かぁいいねー!!」

    志希「まさしく幸福感を司る最大の因子、これを活かさない手はなぁいっ!」


    「あのさ志希、ちょっと待って…」

    志希「お相手は誰? あぁ言わなくていいや、あたしの知ってる人?」

    未央「モチのロンだよ、しきにゃん!」

    志希「ふふーん、だとすると十中八九プロデューサー…」


    志希「あ、いやいやいや……ひょっとして、ソッチ?」

    「……え゛っ」

    350 = 1 :

    未央「そ、そっち……!?」ワナワナ…!

    志希「女子校男子校とか、ここも同じようなものだと思うけど、
       同性が集まるコミュニティであればそういう人達も多いとゆー」

    志希「もちろん、今日日セクマイを引け目に感じる必要は全然無い訳でさ?」

    卯月「せ、せく……!」カァァ…!


    志希「あたしは別にソッチじゃないつもりだけど、
       フツーの人よりかは多少アブノーマルだってのも自覚はあるし…」

    志希「ほれっ、凛ちゃんの本命の人のためなら、いくらでもこの志希ちゃん、
       クラスチェンジして練習台となる事もうぇるかむだよー! かもーん!!」バーン!

    未央「そ、それは暴言でございましょう!!」


    「悪いけど、付き合ってられないよ」スタスタ…

    未央「あ、ちょっとしぶりーん!」



    卯月「あー、行っちゃいましたねー」

    志希「…………」

    未央「ちょ、ちょーっとしぶりんには、刺激が強すぎたかなぁなんて? アハハ……」


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