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    元スレ武内P「凛さんの朝」

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    51 = 1 :

    サラサラ…


    美波「最初は、手が少し震えてるのかな、って思う程度の事でした」

    美波「ニュージェネの未央ちゃん、卯月ちゃんが、そう言っているのを聞いて……
       私達も、最初は気のせいだと思っていたのですが、言われてみればそうかもって」

    美波「凛ちゃん本人は、気にする事無いって、知らんぷりしていました。
       本番が近づいて来たりすれば、武者震いだよって」

    美波「今にして思えば……ああいうのも、誤魔化していたのかなって思います。
       私達に、要らない気を遣わせないように……」

    武内P「…………」


    美波「でも、凛ちゃんの手……ううん、手だけじゃなくて、体の震えは、
       日を追うごとに大きくなっていくようで……」

    美波「携帯のメールも、打ち間違いが多くなったり……
       レッスンも、凛ちゃんらしくないミスが多くて、よく自主練していました」


    美波「そして……昨年のサマーフェスで、凛ちゃんは、倒れました」

    美波「私達は、それまで知らなくて、凛ちゃんのご両親から聞いた事ですが…」

    美波「フェスの前日、凛ちゃんの手は……
       自分で字が書けないほど、ひどく痙攣していたそうです」

    52 = 1 :

    武内P「! あのフェスの……」


    美波「凛ちゃんの家、お花屋さんで……
       伝票を書くよう頼まれても、凛ちゃんは、頑なに拒否したんだそうです」

    美波「それで、お父さんが、無理矢理手を取って……
       鞄の中の凛ちゃんの手帳は、とても読めるような文字で書かれていなかったと」

    美波「フェスで緊張してるんだからほっといて! って……
       その日は凛ちゃん、自分の部屋に閉じこもっちゃったそうなのですが……」


    美波「その事を知った未央ちゃんと卯月ちゃんは、すごく自分を責めていました。
       何であんなに一緒にいて、気づいてあげられなかったんだろうって」

    美波「それは私達、他のメンバーも同じです。あの子の異変に、気づくべきでした」

    53 = 1 :

    美波「凛ちゃんが倒れたあの日から、メンバーの皆にも、良くない空気が流れています」

    美波「私も、年長者ですし、こうして二人の付き添いでお見舞いに来たり、
       何かできる事をしなくちゃって思うんですけど……」


    ギュッ…

    美波「私の力じゃ、どうしようもできなくて……」

    美波「未央ちゃんが言っていたように、いつでも凛ちゃんが帰って来れる場所を、
       守らなくちゃって、思っているのに……!」

    美波「どうしても、暗い雰囲気に、なっちゃって……
       皆も、何とかしようって、思っているけど、何にもならないんです……!」ジワァ…


    武内P「………………」

    美波「う、うっ……うぅ……!」ポロポロ…



    武内P「…………」

    武内P「……美城常務にお会いした事はありますか?」

    54 = 1 :

    美波「えっ……?」

    武内P「この春より新しく、我が社のアイドル部門の統括重役に就任された方です」


    武内P「346グループの附属病院に入院し、手当を受けている実情を見ると……
        渋谷さんの医療費は、346プロからも支出されているのでは?」

    美波「え、えぇ……凛ちゃんの家が負担するお金以外に、プロジェクトの経費で……」


    武内P「だとすると、今の美城常務は、遠からずその支出を打ち切ると考えられます」

    美波「!?」

    武内P「効率的な会社の運営を第一に考え、不必要と判断すれば切り捨てるものと…」

    美波「そ、そんなっ! それじゃあ凛ちゃんはどうなるんですか!!」

    武内P「つまり、渋谷さんが今後もう、医療費を支払う必要が無い……
        そういう状況にしていかなければならないと考えます」

    美波「えっ……」


    スクッ

    武内P「皆さんが、支障無く仕事やレッスンに打ち込めるようにする事が、
        プロデューサーである私の務めです」

    武内P「任命された以上、私は、その職責は全う致します」

    55 = 1 :

    ~夜、346プロ シンデレラプロジェクト事務室~

    武内P「………………」カタカタカタ カタカタ…

    武内P「…………」カチカチ…

    武内P「………………」カタカタカタ カタカタカタ…



    ガチャッ

    ちひろ「……お疲れ様です、プロデューサーさん」

    今西「邪魔するよ」


    武内P「…………ッ」ガタッ ペコリ

    今西「あぁ、いい。そのまま業務を進めてくれたまえ」

    武内P「はい」ギシッ

    カタカタカタ…



    今西「……話は、聞いているかね?」

    56 = 1 :

    武内P「……事務所に戻って早々に、常務よりお伺いしております」カタカタ…

    今西「そうか……私も、考え直すように言ったんだがねぇ」

    ちひろ「前任のプロデューサーさんも、直談判をしに来られたのですが……」

    武内P「…………」カタカタ…


    カタカタ… カタカタ…


    今西「君は、どうするのかね?」

    武内P「え……?」カタ…

    今西「快方に向かう兆しが見られない彼女を、まだプロジェクトに存続させる気が?」


    武内P「午前中の皆さんの表情、そして、新田さんのお話を聞き……
        渋谷さんあってのプロジェクトである、という事が分かりました」

    武内P「彼女の容体が、プロジェクトのメンバー全体の士気に関わっている以上、
        今やるべき事は必然的に限られてきます」カタカタ…

    カタカタカタ… カタカタ…


    ちひろ「そう……そうですよね!」

    今西「うむ」ニコッ

    57 = 1 :

    ~翌朝、346プロ シンデレラプロジェクト事務室~

    莉嘉「ええぇぇぇっ!?」

    かな子「これから当面、新しいお仕事は全然取らないんですか!? 一つも!?」

    ザワザワ…!


    武内P「今のモチベーションのまま、対外的な活動を行っても、
        良い実績をあげられる見込みは薄いと思われます」

    武内P「渋谷さんが戻られるまでの準備期間として、皆さんにはしばらくの間、
        基礎レッスンを中心に行っていただきたいと考えております」

    みく「そんなの、いくらなんでも無茶苦茶にゃ!!
       いきなりお仕事しなくなったら、みく達の業界からの信用に関わるにゃ!」

    李衣菜「そ、そうですよ!
        ただでさえお仕事少なくなってきてるのに、何もしないなんて…!」


    武内P「関係先へは、私がこれから一件ずつ赴き、ご了解をいただいてまいります」

    武内P「今度のサマーフェスで結果を出すという事を条件に、ですが」

    一同「!?」

    58 = 1 :

    みりあ「サマーフェスって、8月の、夏休みの終わりにやるヤツのことー?」

    智絵里「もうあと4ヶ月半くらいしか無いじゃないですか!」

    武内P「渋谷さんの医療費が、プロジェクトの経費で落とせなくなった今となっては、
        いずれにせよ時間が無い事に変わりはありません」

    卯月「えっ……!」


    美波「やっぱり、凛ちゃんの医療費はもう、打ち切りに……」


    武内P「渋谷さんを除名し、全く新しいプロジェクトとして再スタートを切るのなら、
        よりじっくりと時間をかけて方針を決定していく事も可能です」

    武内P「ですが、それは…」

    未央「そんなの、できっこないじゃん!!」ガタッ!


    ツカツカ…!

    未央「プロデューサー! しぶりんの病気の事、知ってるんだよね!?」ビシッ

    武内P「はい」

    未央「知っててしぶりんを取り戻すって、そう言ってるって事でいいんだよね!?」

    武内P「他に執るべき手段は無いと考えます」

    未央「だったら!!」

    59 = 1 :

    ガタッ!

    未央「しぶりんが戻って来てくれる事を信じて、私達も待とうよ!」

    未央「皆で笑って迎え入れられて、サマーフェスで一緒にガーンとぶちかませるように、
       たっくさんレッスンに打ち込もう!!」

    卯月「未央ちゃん……!」


    武内P「皆さんの合同による、新曲の手配も検討中です」

    莉嘉「ええぇぇ、ホントに!? やったねきらりちゃん!」ピョインッ!

    きらり「うっきゃー! ますますウカウカしてられないにぃ!」ガッシィ!

    みりあ「この間皆で歌えなかった分、今回は皆で歌えると良いね!」

    蘭子「束の間の隠遁……それは休息ではなく、より高く飛び立つための修練の時!」



    かな子「…………」

    李衣菜「うーん……」ポリポリ…

    60 = 1 :

    未央「あ、あれ……おーいみくにゃん達、どうしたのかなー?」

    未央「かな子ちんとちえりんも、杏ちゃんもなんか反応薄いよー?」

    「そりゃあ、だって……」


    美波「あまりにも……調子が良すぎじゃないでしょうか」


    武内P「…………」


    美波「頑張れば大丈夫って、私達を元気づけてくださろうとしているのは分かります」

    美波「でも、何事も、頑張りさえすれば済む、っていうものでもないんです」

    美波「綺麗事を言って、絶望を乗り越える事ができるんですか?
       私達、もうこれ以上何を頑張れって……!」

    美波「昨日今日来たばかりのあなたに、軽々しく何を頑張れって…!」グッ…!

    アーニャ「ニェット! ミナミ、それ以上、言ってはいけません」


    卯月「………………」

    61 = 1 :

    美波「卯月ちゃん……ごめんなさい、アーニャちゃん、皆」

    美波「私、皆の事、何も考えないで、勝手な事…」

    未央「ううん、全然! 皆不安なんだもん、しょうがないよ」

    未央「だからプロデューサーだって、私達を奮い立たせてくれてるんじゃん、ねっ?」


    武内P「……お言葉ですが、綺麗事を言っているつもりはありません」

    武内P「また、皆さんを鼓舞するために言っているのでもありません」

    一同「!?」


    武内P「事実だからです」

    武内P「渋谷さんありきのシンデレラプロジェクト。
        彼女が復帰し、共にサマーフェスを成功させる事ができるのか」

    武内P「あるいは復帰できず、346プロの仕分けの対象となるのか」


    武内P「彼女と運命を共にするのなら、私達が歩むであろう道は、二つに一つです」

    62 = 1 :

    ~ダンスレッスン室~

    莉嘉「事実だからです」キリッ

    莉嘉「だぁってぇ~。フツーそんな事言う~?
       ウソでも「きっと大丈夫です、頑張ろうね」とか言わないもんかなぁ~」

    莉嘉「アタシやみりあちゃんみたいなコドモだっているんだしさ~ぁ?」グデー


    みりあ「みりあ達、辞めさせられちゃうの……?」

    きらり「うーん、今度のプロデューサーは、ちょぉっとだけコワ~イ人かも知れないにぃ」

    きらり「でもだいじょーぶい♪ ツライのみんなみぃーんな同じ。
        だから、みんなで乗り越えちゃえばハピハピなフェスが待ってゆ☆」

    「解体してもやってけるように杏達をレッスンさせてんじゃないの?」

    きらり「杏ちゃーんっ!」ムンズッ

    「うわぁ!? は、放せぇ解放しろぉっ!」ジタバタ


    みく「はぁ~あ……でも、ぶっちゃけ杏ちゃんの言う事当ってると思うにゃ」

    きらり「みくちゃんまでぇ……!」

    63 = 1 :

    みく「いざって時が来てみく達がバラバラになっても、ちゃんと皆自立できるように、
       実力をつけさせるためのレッスンだよ、これきっと」

    李衣菜「絶対そうは言わないにしろ、本心はそっちっぽいよね。
        こう言っちゃ悪いけど、凛ちゃんの復帰を本気でアテにしているようには……」

    きらり「う、うにゅぅ~~……!」


    みりあ「皆は、プロジェクト、解散したいの?」

    みく「えっ?」


    みりあ「私、もっと皆と歌ったり、踊ったりしたいなぁ……」


    李衣菜「ち、違うよみりあちゃん! あの人がそう思ってるかもって話してるだけでさ。
        私達はちょっと不安なだけで、解散なんて嫌だよ。ねっ、莉嘉ちゃん?」

    莉嘉「当ったり前じゃん! アタシも皆の事が大好きだし、
       凛ちゃんの復帰を信じてレッスン頑張っちゃうよー☆」

    みりあ「そうだよねっ! うん、みりあも頑張るー!」ピョンッ!

    きらり「……うぇへへ、みりあちゃんイイ子イイ子~♪」ナデナデ


    「……まぁ今はそれでもいっか」

    みく「それもそうにゃ」

    ベテトレ「気持ち、落ち着いたのならレッスン再開するぞー」

    64 = 1 :

    ~ボーカルレッスン室~

    トレ「はい、それでは少し休憩しましょう」


    かな子「ひあぁぁぁ……」グデー

    智絵里「かな子ちゃん、大丈夫? 結構、ボイトレもハードだよね…」

    かな子「うぅ、凛ちゃんと一緒にステージに立つまではこれしきぃ~……!」パカッ

    未央「あ、新しいお菓子を解放した」

    蘭子「禁断の果実も、明日を繋ぐ希望」サッ

    アーニャ「カナコ、ランコにも一つあげてください」



    卯月「あ、うぅん……あ、アーアーアー♪」


    美波「卯月ちゃん」

    卯月「あっ……」

    美波「休憩しましょう?」

    65 = 1 :

    美波「はい、ドリンク。それと、かな子ちゃんのお菓子ね」スッ

    卯月「ありがとうございます」

    美波「ちょっと、何考えてるか分からないプロデューサーさんよね。ふふっ」

    卯月「え、えへへ……あの、そうですね」


    未央「おりゃあーっ!! 未央ちゃんイッキ食いー!!」モモロ-!

    かな子「あ、あぁあぁぁっ!! 何て羨ましい…!」

    アーニャ「ハラショー!」パチパチ


    美波「でも、今は信じて待つ事しか、出来ないんだと思うの」

    美波「あのプロデューサーさんと……凛ちゃんの事をね」

    卯月「…………」

    美波「だから、卯月ちゃんだけが根を詰めなくてもいいのよ。
       辛い気持ちは、お互いに分け合えるのが仲間だって思うから」


    智絵里「の、喉痛めちゃダメだよぉ。未央ちゃん、お水…」

    未央「サンキュゥーちえりん!
       うーん、口ん中パッサパサだねこりゃ! わっはっはっはー!!」


    美波「未央ちゃんも、きっと不安なのね。あんなに大声を出して……」

    66 :

    やっぱり藁ちゃんはかわいいンゴねぇ…

    67 = 1 :

    卯月「はい……未央ちゃん、すごいです」

    卯月「あんな風に、自分の気持ちを抑えて、皆を盛り上げるなんて……
       私には、とても出来ないなって、思います」

    美波「そうね、でも……」

    美波「卯月ちゃんにだって、誰かの力になれる事がきっと、あるんじゃないかしら」

    卯月「えっ?」


    未央「しまむー! みなみんもこっちに来なよー!
       かな子ちんのお菓子を何枚口に入れられるか、いざしょーぶしょーぶ!!」

    かな子「人のお菓子で遊ばないでぇ~!」

    蘭子「あんふぉふはひへんひはひほひはーほ(安息無き天使達の聖戦)」モムモム

    アーニャ「ランコ、リスみたいでプリリェースヌィ、可愛いです」


    美波「未央ちゃんにも、卯月ちゃんにも、私や皆の誰にも。ねっ?」

    卯月「美波さん……」

    美波「さぁ、皆の所に行きましょう。休憩できるか分からないけれど」ニコッ

    卯月「……えへへ。はいっ! 未央ちゃーん!」タタタッ

    未央「いよっし! かかって来るがいい、しまむー!!」

    68 = 1 :

    ~某イベント会場~

    スタッフ「う~ん……」ポリポリ…

    武内P「…………」

    スタッフ「……まぁ、急に空きが出てもウチは何とかなるんですがねぇ?
         他の事務所さんに営業かければ使ってもらえそうですから、えぇ」

    武内P「ご面倒をお掛けする事となり、誠に申し訳ございません」ペコリ

    スタッフ「あぁいえいえ、346さんにはお世話になっていますし」


    スタッフ「そちらさんも大変でしょう?
         今度就任された社長、かなりのヤリ手だって聞いてますよ」

    スタッフ「何とも緊張感のある職場になりそうですねぇ、わははは」

    武内P「…………」

    スタッフ「……あはは、冗談です」

    スタッフ「サマーフェス、期待していますよ」


    武内P「それでは、失礼致します」ペコリ

    ウィーン…



    スタッフ「ちぇっ……大手だからって好き放題しやがって」

    69 = 1 :

    ガヤガヤ… ププーッ…!



    コツ コツ…

    武内P「はい……えぇ、仰る通りです。その件につきましては……」コツコツ…


    武内P「これからも……いえ、とんでもございません。ありがとうございます」ペコッ


    武内P「はい……ご面倒をお掛けします。どうかよろしくお願い致します」ペコッ

    70 = 1 :

    ピッ!


    武内P「…………」フゥ…



    武内P「………………」



    武内P「…………」スッ


    ブロロロ… キキィッ

    ガチャッ


    武内P「美城総合病院へお願いします」

    タクシー運転手「はいよー」

    バタンッ ブロロロロ…

    71 = 1 :

    ~美城グループ附属総合病院~

    看護師「当院の医師より、こちらのネームプレートをお持ちいただければ、
        次回からはご署名いただかなくても大丈夫との事ですのでー」

    武内P「ありがとうございます」ペコリ



    コツ コツ…

    武内P「…………」コツコツ…



    ピタッ


    武内P「………………」

    ガララ…

    72 = 1 :

    武内P「…………?」



    ピッ… ピッ… ピッ…


    凛母「今年は何だか、寒暖の差が激しくてねぇ。
       仕入れに行っても、あまり良い顔をした花が手に入らないのよ」

    凛母「一日中、病院の中にいるあなたには、分からないのかも知れないけれど」


    凛母「あら……髪も、少し伸びたかしら」

    凛母「今日はお花しか持って来ていないの。
       髪は、また今度にしましょう。ごめんなさい、良い子ね」ナデナデ


    武内P「し、失礼」

    凛母「? ……え、えぇと、どちらの…」

    武内P「私は、こういう者です」スッ

    凛母「? あ、あぁ凛の事務所の方。失礼して申し訳ありません」ペコリ

    武内P「いえ、こちらこそ……近くに寄ったもので」ペコリ

    73 = 1 :

    武内P「綺麗な花ですね」

    凛母「カルミアという花なんです。
       “大きな希望”とか、“爽やかな笑顔”という花言葉が」

    武内P「笑顔……」

    凛母「この子、あまりこういう派手な花は好みじゃないのだけれど、
       こういう時くらい、そばに飾ってあげたくて」

    武内P「凛さんは、花に関心が?」

    凛母「花屋をやっているもので…」

    武内P「あ……存じ上げておりました。これは、失礼」ペコリ

    凛母「ふふっ、いいえ」


    武内P「凛さんとこうして、毎日何かお話をされているのですか?」

    凛母「本当は毎日来たいのですけれど、お店があるものですから……
       それに、この子はもう、お話をできる状態ではありませんもの」

    武内P「そう、ですね……申し訳ございません」

    凛母「いいえ、いいんですよ。そんな謝らないで」


    武内P「いえ……」

    武内P「我が社が、凛さんの医療費をお出しできなくなった事が、心苦しく……」ペコリ

    74 = 1 :

    凛母「それは仕方ないわ。いつまでも346プロさんに甘える訳にもいきませんもの」

    凛母「それに、実はもう転院、というより……退院の手続きも、進めているんです」

    武内P「退院?」


    凛母「専門治療を止めて、経管栄養だけを続けるのなら、家でも行う事ができると」

    凛母「もちろん、服の着替えやトイレ、お風呂とかの介護は、
       私と夫でしなくてはならなくなりますけれど」

    武内P「し、しかしそれは、渋谷さんの快復を諦めるという事に…」

    凛母「えぇ、そうなるでしょうね」

    武内P「それで、本当に良いのですか?」


    凛母「…………」

    武内P「……! も、申し訳ございませんっ!」ガバッ!


    凛母「……もちろん、私も夫と散々悩んだわ」

    凛母「でも……それでもこの子には、一日でも長く、生きていてほしいと思うんです」

    凛母「たとえ、一生このままであろうと、一日でも長く、そばに……」

    75 = 1 :

    武内P「…………」

    凛母「なぜ、と言ったご様子ね」

    凛母「人形のように、一切の心が消えた状態で生き長らえさせる意味があるのか、と」

    武内P「いえ……」


    凛母「失礼ですが、子供はいらっしゃいます?」

    武内P「いえ、いません」

    凛母「そう……では、愛する人や、大切な人を持った事は?」

    武内P「……分かりません」


    凛母「そういう人ができれば、きっと分かるわ」スッ

    ガララ… ストン



    ピッ… ピッ… ピッ…


    武内P「………………」

    76 = 1 :

    ~図書館~

    ペラッ…

    武内P「“非定型統合失調”……」


    ペラッ…

    武内P「“非定型転換性障害”……」


    ペラッ…

    武内P「“非定型神経障害”……」


    ペラッ…



    武内P「…………“嗜眠性脳炎”」


    武内P「“謎の眠り病” ……」

    77 = 1 :

    ~夜、346プロ シンデレラプロジェクト事務室~

    カタカタカタ カタカタ…


      ――“嗜眠性脳炎、各地で蔓延 魂の不在”

    武内P「…………」カタカタ…



      ――“忘れられた1920年代の流行病 『A型脳炎』と呼称”


      ――“後遺症研究 一ノ瀬医学博士 ドパミン投与による治療法の有用性を実証”


      ――“耐性の発現による有効性の減退 不随意運動の再発”



    武内P「………………」


    武内P「…………」カタカタ…


    ――――――

    ――――――――――――

    78 = 1 :

    ――――――――――――

    ――――――


    武内P「…………」カタカタ…

    武内P「……?」カタッ…


    李衣菜「あのー……プロデューサー?」

    武内P「……何でしょう」

    李衣菜「何というか、その……ひょっとして、ここに住んでます?」

    武内P「は?」


    卯月「私と未央ちゃんが、夜遅くにコッソリ忘れ物を取りに来た時も、
       真っ暗な部屋の中に、一人でカタカターッ、ってパソコンを叩いてたり……」

    未央「私の終電無くて、しまむーん家に泊めてもらった日だよね」


    美波「それに、以前は私が、朝この部屋の鍵を開ける当番だったんですけれど、
       最近はプロデューサーさんがずっと、朝一番に来ていらっしゃいますし」

    きらり「Pちゃん、この二週間くらいずーっとだにぃ」

    武内P「ぴ、Pちゃん……」

    79 :

    卵巣切除ってことは子供産めなくなるのか?

    80 = 1 :

    武内P「? …………」クンクン

    みく「お風呂に入ってないのを疑ってるんじゃないにゃ」

    智絵里「私達、その……何してるのかな、っていうか、心配で……」


    かな子「あの、良かったらコレ、食べてください。
        少しでもおいしいもの食べて、元気を出さないと」サッ

    武内P「ど、どうも……ただ、自宅には帰っておりますし、体調は問題ありません」

    アーニャ「そんなに、今のお仕事は大変ですか?」

    蘭子「時空をも歪ませんとする慈悲無き求道の先に、一体何が?」


    武内P「今は専ら、渋谷さんの病気を治す方法を検討中です」

    一同「!?」

    武内P「やらなければならない、というだけです。大変ではありません」


    武内P「それでは、外回りに行ってまいります」ズッシリ

    武内P「新田さん、レッスンの方はよろしくお願い致します」

    美波「あ、はい……」

    81 = 1 :

    ガチャッ バタン


    みく「……何で外回りに行くのにあんな大荷物なん?」

    李衣菜「さ、さぁ……」

    みりあ「さっき見たけど、あの袋の中、おもちゃっぽいのが入ってたよ?
        カードとかラジカセとか、ボードゲームみたいなのとか」

    「え、なに、全力で仕事をサボりに行くスタイル?」

    莉嘉「むー、怪しい……」


    卯月「でも、プロデューサーさん、すごく頑張ってます」

    一同「……!」


    卯月「プロデューサーさんの机、ちょっと見ない間に、
       色々な難しい本や、資料が、どんどん増えていくんです」

    卯月「凛ちゃんの病気を治すために、頑張っている……それだけは、分かるんです」

    美波「……えぇ、そうね」


    未央「……さぁさ! それじゃあ今日も元気にレッスン始めよーう!」ガッツ!

    一同「おーっ!!」

    82 = 1 :

    ~346プロ スタジオ~

    スタッフ「はい、オッケーでーす!」

    美嘉「ありがとうございまぁーす!」


    カメラマン「美嘉ちゃん今日も良かったよ~、相変わらずキレてるねぇ~」

    美嘉「あ、はいっ。そうでしょう? へへーん★」

    カメラマン「今度おじさんにもポージング教えてよ。こう中腰で、クイッてかい?」クイッ

    美嘉「アハハ、イイ線行ってますよ。後は性別さえ何とかなれば、かなー」

    カメラマン「ははは、努力するよ。それじゃあ今日はお疲れ様」

    美嘉「あ、はぁーい! お疲れ様でしたぁー!」ペコッ


    コツ…

    美嘉「あっ! どうもお疲れさ…」


    美城「撮影は順調に済んだようだな」

    83 = 1 :

    美嘉「あ……えぇと、どうもお疲れ様です、常務」ペコリ

    美城「これが“カリスマギャル”の現場か……スタッフとの人間関係も良好」

    美城「派手な外見に似合わず、最低限の接遇を持ち合わせていればこそ。
       ひとまずは合格点といったところか」

    美嘉「……アタシに、何か用ですか?」


    美城「用件は二つある。一つは、君の仕事の様子を見に来た事、そして……」

    美城「君の妹の事だ。より具体的に言えば、妹が所属するプロジェクト」

    美嘉「シンデレラプロジェクトの事?」

    美城「うむ……何か、最近の活動について、妹から聞いていないかと思ってな」


    美嘉「うーん……最近はレッスンばっかりでつまんないってボヤいてたなぁ」

    美城「レッスン?」

    美嘉「お仕事を全然、入れてもらえてないんですって。
       レッスンだって大事な仕事なんだから、グチグチ言うなって叱ったんですけど」


    美城「…………?」

    84 = 1 :

    美城「………………」

    美嘉「? あのー、常務、どうかしたんですか?」

    美城「ふん……なるほど」

    美嘉「え?」


    美城「オール・オア・ナッシング、という訳か……」

    美嘉「…………??」


    美城「ご苦労、邪魔をしたな」クルッ

    美城「今後の君の活躍に期待している」

    コツ コツ…



    美嘉「……なんか怖いな、あの人」

    美嘉「一応、莉嘉にメールしとこっと。美波ちゃんにも教えといた方がいいかな」

    美嘉「大丈夫かな……あの子達」

    85 = 1 :

    ~美城グループ附属総合病院 病室~

    武内P「………………」


    ピッ… ピッ… ピッ…



    武内P「……こんにちは、渋谷凛さん」

    武内P「私は、こういう者です」スッ


    ピッ… ピッ… ピッ…


    武内P「………………」

    武内P「……この春より、シンデレラプロジェクトを任される事となりました」


    武内P「あなたの病気について、知りたい事があります」

    武内P「あなたは、本当に心を失っているのか……それを、確かめさせていただきたい」

    武内P「そこで……」ゴソゴソ…


    武内P「こういったものを、ご用意させていただきました」

    86 = 1 :

    武内P「これは、アイドルの方々を写したカードです。
        346プロに限らず、他の事務所の方々のものもあります」

    武内P「今から、これをあなたに一枚ずつお見せします」

    武内P「自分の写真だと思ったら、何か、返事をし…」

    武内P「…………」


    スッ

    武内P「私の手を、握り返してみてください。よろしいでしょうか」

    武内P「では、始めましょう」

    武内P「…………」スッ


    スッ……



    スッ……

    87 = 1 :

    スッ……


    武内P「…………」スッ


    武内P「………………」



    スッ……



    スッ……



    武内P「…………少し、手法を変えてみましょうか」

    88 = 1 :

    武内P「今から、私があなたに対し、名前を呼びかけます」

    武内P「自分の名前を呼ばれたと思ったら、私の手を握り返してください」


    武内P「あなたの名前は、五十嵐響子さん」


    武内P「……如月千早さん」


    武内P「……高森藍子さん」



    武内P「…………渋谷、凛さん」



    武内P「………………」



    武内P「……北沢志保さん」

    89 = 1 :

    武内P「……我那覇響さん」


    武内P「……水谷絵理さん」


    武内P「……真壁瑞希さん」


    武内P「……渋谷凛さん」



    武内P「………………」



    武内P「…………それでは、これをやってみましょう」ゴソゴソ…

    武内P「ご覧になった事はあるでしょうか? 私も、今日初めて使います」


    武内P「これは、ウィジャボードと呼ばれるものです。
        文字が書かれた木製盤の上にポインタを置き、それに手を添えて文字を指し示す」

    武内P「コックリさんのようなもの、と解釈すると分かりやすいかと思います」

    90 = 1 :

    スッ……

    武内P「さぁ、手を添えて……まずは一文字目だけ、私が動かしてみせます」

    武内P「“しぶやりん”さんの、“し”」ズ…

    ズズ…


    武内P「そう。次は“ぶ”ですね……“ふ”に向けて動かしてみましょう」

    ズ…


    武内P「……渋谷さん、“ふ”です。動かしてみましょう」



    武内P「…………渋谷さん」


    武内P「………………」

    91 = 1 :

    武内P「次は、体を動かす必要はありません。聞いていただくだけで結構です」ゴソゴソ…


    ゴトッ

    武内P「電波を発しないものであれば、ラジカセを持ち込む許可も得ております」

    武内P「これからかける曲は、渋谷さんならきっと分かるはずです」

    パカッ カシャン


    武内P「『できたてEvo! Revo! Generation!』……」

    武内P「あなたが昨年のサマーフェスで、歌っていたはずの曲です」

    カチッ


    ~~♪

    92 = 1 :

      めーのーまえーにあーるーのーはー みちへのーとびらー♪

      きみも! ぼくも! みんなっ!

      おいでよーC’mon~!


      でーきたて エーボリュ~! レーボリュ~! ジェーネレッエッショ~ン!

      ハージーメ マシーテー! Baby my dream!

    ~~♪



    武内P「…………」


    武内P「………………」



    ピッ… ピッ… ピッ…



    武内P「………………」

    93 = 1 :

    ピッ… ピッ… ピッ…


    武内P「………………」

    武内P「……外回りに行ってまいります」スクッ


    武内P「……?」ピタッ

    武内P「…………」


      ――本当は毎日来たいのですけれど、お店があるものですから……


    武内P「……花の水を、入れ替えてきましょう」スッ

    武内P「おっと……」カタッ

    ヒラヒラ…


    パシッ


    武内P「…………!?」



    武内P「花びらを…………?」

    94 = 1 :

    武内P「…………」スッ

    つ 花びら

    武内P「………………」


    武内P「……」パッ

    ヒラヒラ…


    パシッ


    武内P「…………カルミア」

      ――“大きな希望”とか、“爽やかな笑顔”という花言葉が……



    武内P「渋谷さん……」

    武内P「その手に掴みたい……今のあなたは、そう願っている」

    武内P「そう解釈して、良いのでしょうか……」


    ピッ… ピッ… ピッ…


    ――――――

    ――――――――――――

    95 = 1 :

    ――――――――――――

    ――――――


    莉嘉「やーだー! もうレッスン飽きたー!」

    きらり「莉嘉ちゃぁん? そんな事言わないで、ねっ?」

    莉嘉「だっていつまで経ってもおんなじ事の繰り返しじゃん!
       新曲の練習ならまだいいけど、もう何のためのレッスンなのか分かんないもん!」

    アーニャ「ンー、不安になるの、分かります。でも……」


    ベテトレ「……渋谷の事、あれから何も進展が無いのか?」

    智絵里「は、はい……」

    李衣菜「プロデューサーに聞いても、「現在検討中です」としか言ってくれなくて……」

    みく「何かしら、目途とか教えてくれれば、みく達もまだ頑張る気になれるのに」

    みりあ「最近、プロデューサーと話してないなぁ……」

    「元からそんな話す人じゃないし」

    96 = 1 :

    かな子「もう、サマーフェスまで三ヶ月と少ししかないよぉ……」

    卯月「……未央ちゃん、私達…」

    未央「分かってる。私達は、プロデューサーとしぶりんを信じるしかないんだ」

    美波「でも、皆のフラストレーションも、少しずつ溜まってしまっているのも事実ね……」

    蘭子「先が見えない不安……私も、どうしたら良いんだろう、怖いなって……」

    未央「らんらん……」


    ベテトレ「プロデューサーは、今日はどこに行っているんだ?」

    美波「あ、はい、あの……外回りですが、確か講演を聞きに行くって」

    ベテトレ「こうえん?」

    美波「何だか、医療の関係の……詳しくはよく分からないのですけれど、そちらに」

    ベテトレ「……よく分からんな、確かに」


    ベテトレ「だが、私もプロデューサーからお前達の事を任されているんだ」

    ベテトレ「不安だなんだというのがレッスンをしない理由にはならんぞー!」

    一同「うええぇぇぇっ!」

    ベテトレ「うえぇじゃない、観念してさっさと配置につく! 返事は!?」

    一同「はいっ!」

    97 = 1 :

    ~某講演会場~

    の子「……んー、どうでしょ。皆さんは最近、やる気ってありますか?」

    の子「あたしはあまり無いですねー」

    ハハハハ…

    の子「なんていうのは冗談で、やる気っていうのはアドレナリンとか、
        神経伝達物質の働きによるものというのは皆さんご存知かと思いますが……」

    の子「そのアドレナリンの基となるドパミン、の前駆物質『L-DOPA』……
        通称『レボドパ』なんて、サプリメントとかに含まれるスマートドラッグです」

    の子「あ、でも麻薬とかとビミョーに似てたりするので危険っちゃ危険ですよね?
        よーするに気分をハイにしてイケイケハッピーにしちゃうので」

    の子「まぁそれは置いといて、このレボドパっていうのが、
        パーキンソン病の初期治療のスタンダードだったそうです」

    の子「ん? ねぇドクター、この先もあたしがプレゼンしていいんだっけ、代わる?」

    の子「おーぅ、りありぃ。やれって言われたので続けますねー」

    ワハハハハ…

    の子「いや~あたし薬学専攻だから、臨床医学をしたり顔で語って良いのかなーって」

    の子「ともかく、現在はプラミペキソール等のドパミン作動薬を用いるのが主流です。
        あ、パーキンソン病の治療の話ですね」

    の子「レボドパは、神経の変性そのものを止める根本的な治療薬ではなかったそうで」

    の子「今回、あたし達が国と共同して考案した薬は、A-10神経系に直接作用して……」

    98 = 1 :

    パチパチパチパチ…!


    ガヤガヤ…

    聴講者A「博士、大変楽しく有意義な講演でした。ありがとうございます」

    博士「ありがとうございます。こちらこそお招きいただきまして、えぇ」

    聴講者B「博士、ぜひ今度ウチの大学でも講義をお願いできないでしょうか?」

    博士「いえいえ、それは結構ですが、ご依頼は私のオフィスを通して……」

    聴講者C「博士、ところで彼女は一体何者ですか? 随分とお若いのにこのような研究を…」

    博士「いやぁ、彼女こそ我が大学が誇る天才ケミストでしてね?
       若干18歳ながら、先日キャンベラで開かれた国際大会に我らを代表…」

    博士「ん? あ、あれっ!?」


    の子「ふあぁぁつかれたぁー。ちょっと一旦退却~」テクテク…

    博士「お、おいどこへ行く!? 勝手にウロウロするんじゃない!」

    の子「トイレだよ。レディーに言わせる事じゃないっしょそんなのー、にゃはは♪」

    の子「というワケで、ばいばーい♪」フリフリ


    博士「ま、待ちなさい! 時間までに戻れ、必ずだからな! シキ!!」

    99 = 1 :

    テクテク…

    志希「~~♪」プラプラ

    志希「おや?」

    トトト…


    志希「ほぉぉこりゃすごい、こんなコンモリポコポコって咲くものもあるんだね~」

    志希「どれどれちょっと拝借、ハスハス」クンクン…

    志希「むむっ。ほんの少し甘いくも爽やか~な香り、結構好きかも。にゃふふ」


    志希「しかし、こんな広いラウンジにデンッて仰々しく飾られてるのに、
       誰からも見向きもされないもんなんだねーキミは」チョンンチョン

    志希「目立ちすぎるが故に目立たないとゆーのも、矛盾しているようで、
       その実論理的帰結を得ているのかにゃ?」

    志希「背景と同化するのがキミのおシゴトなら、それも納得だよねー」



    武内P「カルミアという花だそうです」

    志希「?」クルッ

    100 = 1 :

    志希「コレ? ていうかあたし?」

    武内P「はい。花言葉は…」

    志希「“笑顔”とか“希望”とかそういうのでしょ? 知ってるよ」

    武内P「……!」


    志希「知識っていうのは、それが新鮮かつ扇情的であるほど人を衒学的にさせるけど…」

    志希「キミの場合、誰彼構わず知識をひけらかしたいのとは違う目的がありそうだにゃ」

    志希「ぶっちゃけ聞くけど、ナンパ?」


    武内P「……強い否定は、できないのかも知れません」

    志希「わぉ、本当だったんだ潔いねー。そういうの嫌いじゃないよ、ちょうどいいし」

    武内P「ちょうど良い?」

    志希「ん、その前に念のためちょっと失礼、ハスハス」クンクン…

    武内P「……!?」


    志希「うん、あたしの嫌いな人じゃなさそーだから良し!
       とりあえずさ、ここからあたしを連れ出してよ。失踪させて?」

    武内P「……は?」

    志希「ていくみーあうぇいふろーむひあ、らいとなーう。おーけー? にゃははー♪」


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