元スレ武内P「凛さんの朝」
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201 = 1 :
未央「よしじゃないっ!!」
凛「!?」クルッ
未央「と、プロデューサーが申しております」ササッ
武内P「わ、私ですか?」
卯月「凛ちゃんっ!」
凛「未央、卯月……ぷ、プロデューサーまで!?」
武内P「そのトレーニングウェアは、高垣さんからもらったそうですね」
凛「…………」
武内P「お気持ちは分かりますが、あまり褒められた事ではありません」
206 = 1 :
凛「……別に褒めて欲しくてやってるんじゃない。私がやりたいだけだよ」
凛「楓さんにだって、私の方からお願いして服とか靴とか買ってもらっただけ。
他の皆だと、たぶん心配して協力するどころじゃないだろうから」
未央「当たり前だよ! 安静にしなさいって先生も、しきにゃんだって言ってたじゃん!」
卯月「凛ちゃん……凛ちゃんは、私達の事が頼りないですか?」
凛「卯月……」
卯月「大丈夫です。
凛ちゃんがいつもの調子が出せなくても、私と未央ちゃんでフォローしますから」
未央「ニュージェネのリーダーたるもの、しぶりんがちょっとやそっとミスしようが、
それをカバーするくらい造作も無いのだよ」
未央「だから、しぶりんはちゃんと休んで。寝過ぎだったけど、もう少しだけ。ねっ?」
凛「やだ」
卯月・未央「えっ」
207 = 1 :
凛「二人がどう思ってくれてるかなんて関係無い。
私が二人や皆の足手まといになるのが嫌でやってるんだから、邪魔しないで」
未央「ちょ、ちょっそんな子供みたいな事…!」
凛「子供でも何でもいい。ほら、帰らないならせめて拍数数えてよね、卯月」
卯月「え、うえぇぇっ!?」
武内P「渋谷さん、しかし…」
凛「止めてもやるよ。気に食わないなら私を除名でも何でもすれば?」
武内P「!?」
凛「悔しかったら、私の身体に異常を見つけてからにして」
凛「私の事を何でも思い通りにできると思われるの、嫌だから」
208 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月13日
報告者:P
運動機能、臓器、脳波とも異常無し。
予定通り、明日退院する見込み。
退院後は、『Bu-DOPA』の錠剤を渋谷凛に渡し、継続投与する予定。
加えて、定期的な通院と精密検査の受診が義務付けられる事となる。
以上
209 = 1 :
――――――――――――
――――――
ベテトレ「渋谷、そろそろ休憩しよう」
凛「いえ、まだ勘が掴めていません。もう一度だけ…!」
ベテトレ「本番が迫る中、無理をして体を壊しては良くない」
ベテトレ「これはお前だけじゃなく、皆にも平等に言っている事だ」
凛「…………はい」
210 = 1 :
スッ ギシッ
凛「…………」ギュッ…
ヒョコッ
志希「やっほー、りーんちゃん! にゃはっ♪」ピョインッ
凛「……志希、さん?」
志希「呼び捨てでいいよー♪ あっちではずっとファーストネームで呼び合ってたし」
凛「……そういう志希は、私の事ちゃん付けなんだね」
志希「にゃははーっ。だってキミ、かわいいんだもん」
213 = 1 :
凛「からかわないで」
志希「ありゃりゃー? なぁに凛ちゃん、ひょっとしてムズカシイお年頃?」ツンツン
凛「やめてったら!」バシッ
志希「にゃっ?」
凛「……! ご、ごめん……命の恩人なのに、私…」
志希「んーん、全然気にしなくていーよ♪ 恩人でもないしさー」
志希「なるほどー。キミは頑固で熱血でストイックで、年相応に悩める少女なんだねー」
志希「心理学上、9割の人は見た目で他人の性格を判断するそうだけど、
やっぱダメだねー、自分の物差しをアテにするのって」
凛「よく分かんないけど……志希は、悩みが無さそうでいいね。
他の皆や、トレーナー達からの評価も良いみたいだし」
志希「ギフテッドっていうんだって、あたし。天からの授かりもの、いわゆる天才」
凛「ふーん……」
志希「でもさー、難しいねーアイドルって。正解もゴールも無いんだもの」
凛「えっ?」
214 = 1 :
志希「今度あたしが歌う曲ね?
音程もリズムも覚えたし、振り付けも止まらずに踊れるようになったんだー」
志希「でも、それで完成するものじゃあないんでしょ? 音楽って。
奏者が気持ちを乗せる事で、初めて聞く人、観る人の心に響くんだって」
志希「あ、あのこわーいトレーナーさんが話してた事だけどね?」
凛「……あぁ、ベテトレさんね」
志希「で、あたしにはそういう気持ちを育む機会が無かったの。青春ってヤツ」
志希「学園生活も反抗期も、留学と飛び級で全部すっ飛ばしちゃったあたしには、
悩み苦しみながら、一つの目標に向かって頑張る気持ちってのが分からなくてさー」
志希「いつだっていち早くゴールにたどり着く事ばかり考えてた一ノ瀬志希は、
過程を丁寧に積み重ねる意志みたいなのが欠落しちゃったのかなーって自己分析?」
凛「…………」
志希「だから……本番でちゃんと気持ちを乗せられるように、
今抱えてる悩みや苦しみは、大事にしたいかなー、なんてね」
凛「……ごめん、志希。知った風な口を聞いて…」
志希「気にしないでってばー。あたしも悩み聞いてくれて嬉しかったよー」
志希「あ、ひょっとしてあたしの悩みをマジメに聞いてくれたの、キミが初めてかもー♪
にゃははーっ! メモリアル凛ちゃんハスハス!」ムギュッ!
凛「そ、そっちが勝手に話したんじゃないの!?」
215 = 1 :
ガチャッ
トレ「志希さーん、そろそろ再開しましょうか」
志希「もートレさーん。あたしの事はちゃん付けでいいってばー」スクッ
凛「呼び捨てでいいって言ってなかったっけ、さっき!?」
志希「ん、そうだっけ? にゃっはっは、志希ちゃんは猫のように気まぐれなのだー♪」
トレ「はいはい。それじゃあ志希ちゃんさん、レッスン始めますよ?」ニコッ
志希「な、なおもさん付けだとぅ!? トレさんも意外と強情だね、見た目に寄らず!」
ガチャッ バタン
凛「………………」
凛「悩み苦しみながら、一つの目標に向かって頑張る、か……」
凛「それってきっと……良い事なんだよね……?」
216 = 1 :
~夕方、シンデレラプロジェクト事務室~
ジィィ----…
未央「おはようございまぁ~~す……(小声)」
莉嘉「おはよーございまぁーす……ふっふっふー」ヒョコッ
未央「今ぁ、私達はぁ……シンデレラプロジェクトの事務室にぃ…」
未央「来ていまぁ~~~す……♪」フリフリ
未央「あ、ちえりん、カメラあっち。しぶりん写して」チョイチョイ
智絵里「あっ、はい!」クルッ ジィィ---…
凛「…………」
未央「これからぁ……しぶりんにぃ…」
未央「寝起きドッキリを、仕掛けてみまぁ~~~す……!」
莉嘉「イェーーイ……!」
凛「いや、起きてるんだけど」
卯月「楽しそうですっ」ワクワク
217 = 1 :
未央「さぁ、しぶりんはというとぉ……」
未央「おやおやぁ、グッスリと、眠っているようです……」
凛「ねぇ」
未央「そんなしぶりんにぃ……今回はぁ……」ゴソゴソ…
未央「この、ティッシュで作ったコヨリでぇ……耳をくすぐってみたいと思います…!」
莉嘉「一体、どうなってしまうのか……!」ウシシ…!
未央「ではぁ、さっそく…」スッ…
凛「……」スクッ スタスタ
未央「あ、あぁっ!? ちょっとしぶりーん、そこはノリツッコミでしょー!」
凛「悪ふざけもいい加減にしなよ、未央」
凛「一応それ、病院への報告用なんでしょ?」
未央「えー、だからこそでしょ。元気になったぞーってアピールしなきゃ!
ねぇしまむー?」
卯月「はいっ! 凛ちゃんの元気な姿、ちゃんとビデオに収めましょう!」ギュッ
凛「コヨリで耳をくすぐられるのが元気アピールになるとは思えない」
218 = 1 :
未央「よぉーし分かった! そこまで言うなら、ちえりん、しぶりんにズームイン!」
智絵里「はい!」クイッ ジィィ---…
凛「えっ?」
未央「しぶりんが考える元気アピールまで3秒前、はい3、2、1、キュー!」
凛「いや、ちょっ……」
凛「……えー、7月15日、午後17時半、晴れ。シンデレラプロジェクト事務室。
渋谷凛、特に異常ありません」
凛「……えーと、お、おしまいっ」
未央「喋りがアレだったら、今度の曲の振り付けとかは?」
凛「ここで? そんな気分になれないんだけど」
卯月「ダメです未央ちゃん、無理をさせちゃ良くないですよっ!」
凛「無理なんかじゃないよ。見てて」スッ
未央「さっすがしまむー! しぶりんを手なずけるの上手いねー」
凛「ふーん、卯月まで私の事をからかうんだ」
卯月「わ、わっ! ち、違いますってぇ!」アタフタ…!
美波「仲良いわねぇ、本当に」
219 = 1 :
未央「そういやぁさ、プロデューサー?」
武内P「? 何でしょう」カタ…
未央「しぶりんが退院した後って、例の経過報告、誰が書いてんの?」
武内P「私ですが……」
みく「それはあまり良くないと思うにゃ」
みく「Pチャンだって、いつも凛ちゃんのレッスンやお仕事に同行できる訳じゃないし、
状況に応じて誰かにお任せする事も考えるべきじゃない?」
李衣菜「おー……みくちゃんって、意外としっかり者だよね」
みく「意外とは余計にゃっ!」
莉嘉「でも、あたしそれさんせー☆ なんか楽しそーだし!」
みりあ「みりあもやるー!」ピョンッ
武内P「あ、遊びではないのですが……」
凛「それってさ、本人が書いてもいいの?」
武内P「えっ」
220 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月18日
報告者:本田 未央
運動機能、異常無し。
筆者と対象者と島村氏とでランチを食べた際、しっかり筆者のチョコパフェを
つまみ食いしていたので、臓器の異常も無し。
あと、トイレにはちゃんと行っていた。島村氏の方がトイレは近いようだ。
対象者は、しっかり筆者のボケにようしゃ無いツッコミを入れていたので、
脳波もたぶん異常無し。
むしろ筆者のワキ腹が危ない。
全ては順調に進んでいる。約束の時は近い。
もし、この文書が誰かの目にとまる事があったのなら、島村氏にこう伝えてほしい。
サマーフェス、必ず成功させなければPが断髪させられるらしい、と。
言い忘れていたが、対象者は薬はちゃんと飲んでいた。
胃の中でチョコまみれになったであろう薬に、果たして効き目はあったのだろうか。
優しさは含まれていたのだろうか。
継続的な捜査が待たれる。
以上
221 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月19日
報告者:島村 卯月
今日は、午前中は凛ちゃんと未央ちゃんと、ニュージェネの曲のレッスンをしました。
午後は、シンデレラプロジェクト皆での合同曲『Shine!!』の全体練習です。
凛ちゃんは、ブランクがあるはずなのに、しっかりこなせていてすごいです。
何でもないよって、凛ちゃんは言うんですけど、凛ちゃんが本当にすごいのは、
こっそり自主練をしている所です。それも毎日です。
無理をしていないかと、ハラハラするので、私達も一緒に付き合うようにしています。
差が縮まらないからやめて、って凛ちゃんは言いますが、そういうわけにもいきません。
誰かのために、何かをしたいという気持ちがあるのは、凛ちゃんだけではありません。
凛ちゃんには、どうかそれを分かってほしいなぁと思います。
たとえお薬を飲んでいても、体が万全とは限らないんですから、
いざって時はどうか休んでほしいです。
その分、私達が精いっぱい頑張ります!
あ、でも今のところ凛ちゃんは、前までと同じくらい元気に見えます。
異常無し、です。
P.S. 未央ちゃんへ
いい加減な事を書くのはやめてください!
222 = 1 :
――――――――――――
――――――
医師「……あのねぇ。交換日記じゃないんですよ」
武内P「申し訳ございません……」ペコリ
未央「あー、何これ!? しまむーすっごい普通じゃん!
私、プロデューサーのをマネて、ちゃんと報告書っぽい文章にしたのに!」
卯月「ええぇぇ……未央ちゃんはふざけすぎですよぉ」
ガララッ
凛「検査、終わったよ」
武内P「お疲れ様です。いかがだったでしょうか」
博士「脳波、臓器ともに異常は見られません、至って順調です。こちらを」スッ
医師「……ふむ。お若いだけあって、回復力は目覚しいものがありますな」ペラッ
博士「ん? ほう、経過報告をお仲間の皆さんで書いているのですか」
未央「へっへぇーん! どうですコレ、ばっちしでしょ!」
224 = 1 :
博士「ふむふむ……ややおちゃらけた所はともかくとして、
報告の内容としてはそう悪くないと思いますよ」
医師「えぇー、そうでしょうか?」
博士「お二方が、渋谷さんの事をとても良く観察されているのが伝わってきます。
活動の内容が詳しく示されていて、経過が分かりやすい」
未央「やったぁー! しまむータッチ!」
卯月「タッチ!」パチンッ!
凛「いや、未央はもう少しマジメに書こうよ」
未央「いやいや、むしろプロデューサーがしゃんとしなきゃだよ」
武内P「わ、私ですか?」
未央「数行だけサラサラって書いて「以上」じゃなくてさ?
博士さんが言ったように、ちゃんとしぶりんを見てあげなきゃ」
凛「えっ」
卯月「凛ちゃんがどうしていたとか、どんな事を考えていそうとか……
それに、プロデューサーさんが考えている事だって、書いていいと思います」
武内P「私の考え、ですか……ま、前向きに検討致します」ポリポリ…
229 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月24日
報告者:諸星きらり☆
にゃっほーい! きらりの番だにぃ☆
なに書こうかなー? 今日もいろんなことがあって楽しかったんだぁ。
えっとね、レッスンは午前中で終わったの。
りんちゃんは、それでも続けてやろうとしてたけど、ムリはダメー!!
こういう日は、みんなでハピハピなことするのが良いんだにぃ♪
駅前のアイス屋さんに、りんちゃんみくちゃん、うづきちゃんとりいなちゃん、
それにみりあちゃんとらんこちゃんときらりで行ったよ。
冷た~~いアイス、レッスンの後にはサイコー!
それから買い物して~、カラオケして~、太鼓のゲームして~…
ゾンビをばきゅんばきゅんするゲーム、らんこちゃんすっごく上手だったにぃ!!
キハクがすごかったぁ。
フェスの練習、大変だけど、ツライこともムズカシイことも、
みぃ~んなと一緒だから、いっぱいいっぱいがんばれるし、楽しくなれるんだよ。
きらりは、りんちゃんがみんなと一緒になってくれて、本当にうれしいのです☆
きらりももっともっとがんばゆ!!
えいえいおー!!!
231 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月27日
報告者:前川 みく
今日の凛ちゃんは、かなり機嫌が悪そうだった。
元々凛ちゃんは、そんなに感情を表に出すような子じゃない。
でも、気持ちが前に出すぎている、ってベテトレさんに言われてからの凛ちゃんは、
すっごくムスーッとしてたにゃ。
確かに、トレさんの言うことは当たってると思う。
生き急いでる、って書くと大げさだけど、なんか色々と焦ってる気がする。
みくだって、今度のフェスへの危機感はそれなりに持ってるつもりだけど、
凛ちゃんのそういう姿勢を見ると、何だかこっちもソワソワしてしまうのだ。
ああ見えて凛ちゃんは、すっごくストイックで、人一倍の熱血屋さんだ。
たぶん凛ちゃんは、、気持ちを乗せる事の何がいけないのか、って思ってる。
ライブって、ハートで伝えるもんなんだよ、って李衣菜ちゃんが言ってて、
その知ったかぶりは鼻に付くのだけど、それはまぁ、間違ってないとは思う。
でもね。凛ちゃんの、こう……
うまく文章で表現できないけど、こう……クイッと。
(↑両手を顔の横で揃えて前に突き出すポーズ。分かる?)
何が言いたいかというと、熱中しすぎて周りが見えなくなるきらいがあるのだ。
凛ちゃんのそういう所、ある意味良い所ではあるけど、あまり良くないとも思う。
サマーフェスまであと一ヶ月ちょっと。
さっき、ソワソワしてしまうと書いたのは、みく達も頑張らなきゃという気持ちと、
無理しないでね凛ちゃんという気持ちの両方である。
成功させたいのはもちろんだけど、ここまで来たら、皆で笑顔でステージに立ちたい。
どうかそれを無事に実現できますように。
232 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月28日
報告者:赤城 みりあ
夏休みまっさかり!
プールにも行きたいし、お祭りでかき氷もいいなー。
りんちゃんは、夏休み何するの?って聞いたら、
レッスンとかの日以外は店番だって。うわーまじめ!
みおちゃんにそれを言ったら、それはゆゆしきじたいだ!って言って、
すぐに遊ぶ用事を作ってくれるって!
りんちゃんのたんじょう日も8月にあるし、今からワクワクするね!
みんなで相談して、どこに行きたいとか言い合うの、とても楽しかった。
プロデューサーも、バーベキューとか、きも試しとか、海とか連れてってほしいなー。
233 = 1 :
【経過報告】
報告日:7月31日
報告者:P
依然、渋谷凛の体調は問題無し。
インターネットでの評判を見るに、渋谷凛復帰への期待感は大きい模様。
彼女の成長は目覚しく、フェスまでの仕上がりも間に合う見込み。
サマーフェスに向け、メンバーによるPR活動を明日より開始予定。
ボーカルやダンスの練度の高いユニットから順に起用。
他、薬の処方等、特記すべき事項は無し。
以上
234 = 1 :
【経過報告】
報告日:8月9日
報告者:S.I
いじょうなし! NP.
235 = 1 :
――――――――――――
――――――
コツ コツ…
武内P「さすがにもう少し、書いていただけなかったでしょうか」
志希「だって本当に何も書く事無かったんだもん。
至って健康そのもの。問題無さすぎてつまんない」
武内P「それでしたら、一緒に営業に行かれた時のご様子などは……」
志希「あれも皆で挨拶して、あたしが持ち歌歌って、凛ちゃん復活パチパチー!
でおしまいだったでしょ?」
志希「あたしがちょっと緊張したって話をしたって、凛ちゃんの報告とは関係無いしさー」
凛「志希でも緊張するんだね。ステージはすごく良かったけど」
志希「んふふー、ありがと♪」
236 = 1 :
凛「ところでさ、プロデューサー」
武内P「何でしょうか?」
凛「生意気な事、言うかも知れないけど……
私が復帰する事について、あまり大々的に宣伝しないでもらえるかな」
武内P「! ……しかし、あなたの復帰を心待ちにしていたファンもいらっしゃいます」
凛「大事なのは今までどうだったかじゃなくて、これからの私がどう活躍できるかでしょ」
凛「そもそも倒れる前の私だって、そんな威張れるほど結果を残せてないし……
ファンの人達には、色眼鏡で私の事を見てほしくない」
凛「ましてや、可哀想だなんて、絶対思われたくないから」
武内P「……なるほど。分かりました」
武内P「申し訳ございません」ペコリ
凛「いいって、そんな謝らなくて」
志希「凛ちゃんはほんっとーにストイックだねー」
志希「さ、そんな一方で事務所はどうなってるかにゃ?」
ガチャッ
237 = 1 :
みりあ「あ、やっと来た!」
莉嘉「三人とも遅いー!」
志希「ごめんごめん。あれ、ひょっとしてあたし達を待ってた?」
みく「主役がいないのに始められるワケないにゃ!」
アーニャ「ダー。さぁ、プロデューサーもこれを持ってください」
武内P「は、はい」
未央「せぇーの……」
未央「しぶりん、誕生日おめでとぉーっ!!」
一同「おめでとーーっ!!」
パンッ! パン パパンッ!
凛「ありがとう……さっきの未央の“せぇーの”って掛け声、いる?」
李衣菜「ぶっつけで合わせたから、何言うか決めてなかったしね」
杏「おめでとーだけ辛うじて揃ったから良かったけどさ」
未央「いいじゃん別に! さぁさ、フーフーしたまえよしぶりん」
卯月「一息ですよ! 凛ちゃん、頑張ってください!」
凛「まかせて」
238 = 1 :
かな子「いよいよフェスまであと三週間かぁ」
きらり「凛ちゃんが元気になってから、あーっという間だったにぃ」
美波「まだ終わっていないわよ、きらりちゃん。
ここまで来たら、ファンや私達のためにも、絶対成功させなくちゃ」
智絵里「うぅぅ、い、今から緊張が……」
蘭子「迫りくる、決戦の舞台……そして訪れる審判の日」ゴクリ…
莉嘉「ちょ、ちょっとそこの皆ー? せっかくのパーティーなんだからそんな…」
コンコン…
莉嘉「ん?」
ガチャッ
楓「あのぉ……ごめんください」スッ
239 = 1 :
卯月「え……ええぇえっ!?」
未央「か、楓さんっ!? 高垣楓さんだぁ!」
楓「高垣楓です。凛ちゃんの誕生日だと聞いて、差し入れを」
凛「楓さん、わざわざ来てくれてありがとう」
楓「凛ちゃん、お誕生日おめでとう。はい、これ」
凛「どうも……なにこれ、お酒?」
楓「凛ちゃんが生まれたのと同じ年のワイン♪」ニコッ
凛「飲めないんですけど。私どころか、この部屋にいるほとんどが」
みく「な、何で凛ちゃん、高垣楓さんと普通に話せてるん……?」ガタガタ…
李衣菜「し、知らないよ……すごい、ロックすぎるよ凛ちゃん」ブルブル…
凛「目上の人と話すのがそんなにロックかな」
凛「楓さんは、私が入院してる間、頻繁にお見舞いに来てくれてたってだけだよ」
凛「……だけ、って言い方も失礼だし、何であんなに来てくれたかは分からないけど」
凛「本当に、あの時はありがとう、楓さん」
楓「いいえ、いいのよ」
240 = 1 :
武内P「高垣さん。お忙しい中お越しくださり、ありがとうございます」ペコリ
楓「こちらこそ。ご無沙汰しています、プロデューサー。
調子はいかがですか?」
武内P「はい。今のところ、順調に進んでおります。
懸念されていた渋谷さんの健康状態も、心配すべき点は特に見当たりません」
楓「そうですか……ふふっ」
武内P「? ……何か?」
楓「いえ。やっぱり、変わらないなぁって」
武内P「はぁ……」
智絵里「あ、あわわわ……」カタカタ…
楓「……智絵里ちゃん、どうしたの?」
智絵里「ひゃ、ひゃいっ!?」ビクッ
未央「なんかちえりん、フェスの前だからって緊張してるみたいなんです」
楓「まぁ」
241 = 1 :
楓「私も、ライブやフェスの前はとっても緊張するの」
楓「どんなステージでも、必ずね」
李衣菜「そ、そうなんですか!? ちっちゃいライブでも!?」
みく「いやいや、楓さんが今時小さいライブなんてもうやるワケないにゃ~」
楓「地方のイベントでのミニライブなら、今もやっているのよ?」
みく「うえぇえっ!?」
楓「お仕事に、大きいも小さいもありません」
楓「どんなものであれ、本番が近づくにつれて緊張するという事は、
それだけ自分が真剣に向き合い、頑張ってきた証」
楓「だから、自信を持って。
一生懸命頑張ってきた皆にとって、緊張感はきっと味方になるはずですよ」
智絵里「か、楓さん……」ジィ-ーン…
楓「どんなに緊張しても、いつも通り慎重に、ねっ?」ニコッ
智絵里「はい……へっ?」
未央「……ひょ、ひょっとして今の、ダジャレ?」
242 :
すっかり正妻と化した高垣と荒ぶる人…どこで差がついたのか
243 = 1 :
凛「楓さんの良くない所だよね、それ。ダジャレさえ言わなけりゃカッコ良かったのに」
楓「ふふっ、そうかしら」
楓「でも、今言った言葉は、ある人からの受け売りなのよ」
卯月「そうなんですか?」
楓「ねっ?」ニコッ
武内P「……?」
志希「おっ、キミが昔楓さんに言ったとか? なかなかキザだねぇー♪」ツンツン
武内P「いえ。そのような事はありませんが……」
楓「……ふふ」
244 = 1 :
楓「それじゃあ、私はこれで」
かな子「えっ、もっとゆっくりされていかれないんですか? ケーキも…」
楓「これから、ちょっとだけお仕事が残っているの。ごめんなさい」
美波「いえ、そんな。本当にありがとうございます、すごく励みになりました」
みりあ「また遊ぼうねー!」ピョインッ
楓「ふふ、そうね。じゃあ、失礼します」ペコッ
武内P「お疲れ様です」ペコリ
ガチャッ バタン…
未央「……いやぁ~、楓さんが来てくれたなんてちょっとカンドーだよぉ!」
卯月「はいっ! 一緒に写真撮れば良かったです!」
きらり「きらりんパワーチョー充電完了っ!」ブルルイ
245 = 1 :
凛「……ねぇ、プロデューサー」
武内P「はい」
凛「楓さんとは、昔何かあったの?」
武内P「このプロジェクトを担当する前、彼女の担当プロデューサーでした」
凛「それだけ?」
武内P「はい。そうですが……」
凛「ふーーん……」
246 = 1 :
【経過報告】
報告日:8月24日
報告者:三村 かな子
とうとう、フェスの本番一週間前になってしまいました。
あまりの緊張で、二、三日前からお菓子がのどを通りません。
でも、レッスンやお仕事は、とても充実しています。
凛ちゃんは、宣伝するのはやめてとプロデューサーに言ったそうですが、
営業先で凛ちゃんが登場する度、ファンの人達がうわぁ~って喜ぶんです。
口では言わないけど、凛ちゃんは絶対に嬉しいはずです。
楽しみにしていた人がこんなにいたんだって、私まで嬉しくなります。
緊張は友達。
何かのマンガで見たような言葉ですが、今の私は、緊張に勇気づけられています。
フェスが終わったら、皆でいっぱいお祝いしようね!
247 = 1 :
【経過報告】
報告日:8月27日
報告者:リカ☆
もうチョー疲れた・・・
最後の追い込みだーって、さいきんすっごく大変。
家に帰っても、お姉ちゃん、本番が近づくとチョーシンケンになってこわいんだもん。
ま、カリスマギャルはこんなんでへこたれないけどね→☆
ていうかこんなにがんばってるんだから、ぜったい上手くいくもん!
りんちゃんは、あいかわらず残ってうづきちゃん達と自主練してるみたい。
リカでさえへろへろなのに、本当にすごいなぁ。
今度はリカも、いっしょにつき合ってあげなきゃ。
ダメ、ねむいのでねる。おしまい。
248 = 1 :
【経過報告】
報告日:8月30日
報告者:P
検査、特に異常無し。
言うまでもなく、渋谷凛だけでなくメンバー全員のモチベーションは高い。
渋る彼女達を早めに帰宅させ、明日のフェスに臨む。
他、特記すべき事項は無し。
以上
249 = 1 :
――――――――――――
――――――
武内P「セットリストは、このようになります。音源は、ここに記されたタイミングで…」
スタッフ「了解しましたっ」
卯月「プロデューサーさん!」
武内P「皆さん、お疲れ様です。体調はいかがですか?」
蘭子「ふっふっふ……我が心を荒らし狂う暴魔の如き雷も、今となっては歴戦の友!」バッ!
凛「調子は万全だよ。いつでもいける」
智絵里「はい……!」ギュッ
武内P「本番までは、まだ時間があります」
武内P「皆さんはそれまでの間、少し会場の様子をご覧になったり、
楽屋でリラックスされるのがよろしいかと…」
スタッフ「プロデューサーさーん! こっちの照明の配置はどうしましょーう!?」
武内P「今行きます」スッ
スタスタ…
250 = 1 :
李衣菜「あぁして見ると頼もしいよねぇ、プロデューサー」
かな子「楓さんだけじゃなくて、川島瑞樹さんや片桐早苗さんも担当してたんだって」
蘭子「マジでっ!?」
未央「らんらん、素が出てる出てる」
みく「よくよく考えたら、みく達だって全くの素人じゃないんだし…」
莉嘉「頼りになるPくんもいるし、センパイのお姉ちゃん達だって出るんだもんね☆」
志希「何だか不思議な気分―。気づいたら、あたしもすっかりアイドルになっちゃった」
きらり「えへへ、志希ちゃんアイドル楽しんでゆ?」
志希「楽しいのもそうだけど、面白い? 研究し甲斐があるよねー、にゃははーっ♪」
杏「杏、このフェスが終わったら、巨額の不労所得を得るんだ……!」
美波「…………」
アーニャ「ミナミ、どうしました?」
美波「ううん、ちょっと……何でもないの」
未央「よぉーし、それじゃあ先輩達に挨拶しに行こーう!」
一同「おぉーっ!」
みんなの評価 : ☆
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