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    元スレ憧「吹き抜ける風」

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    51 = 1 :

    (最高めでダブル役満もある……鳴いてこの手は終わらせられない)

    これが間違い二つ目。この直後、Bが東を切った。が、四暗刻を目指してこれを鳴かない。咲も合わせ打つ。

    「……東」

    (ぐっ……俺のスッタンが……)

    しかし、悪男は次順で6ピンを引きツモり四暗を聴牌する。

    (よし……何とか聴牌……しかし、東はカラ。6ピンも一枚見えている……上がり目はたったの一枚、いや対面か王牌に殺されてるかもしれん……)

    悪男は一旦聴牌を見送った。東を切り、他の待ちを得ようとする。が……

    (くそ……裏目っ……)

    ツモ6ピン

    (不味い……純カラの東でスッタン受けには出来ない!発も二枚見えているから地獄単騎になるが……)

    52 = 1 :

    やむなし、発に受ける悪男。これが、男の犯すことが出来た最後の過ちとなった。

    B(くそっ……ピンズとソウズ、字牌を絞ってたら手がズタズタだ……!)

    本来ならタンピン三色も有り得た手を崩したBが泣く。

    (な、なんなの……さっきから男達の麻雀が噛み合ってない……)

    「クスッ……」

    そして……

    「1ピン、暗カン」

    A(なっ……高めが全滅した!?)

    Aの表情が凍り付く。新ドラを捲った瞬間、今度は悪男の表情が死んだ。

    新ドラ 発

    「は、はははは発ぅ!?」

    (つまり、この待ちも純カラ……名ばかりのスッタン……!)

    次順、

    (駄目だ……西もフリテン地獄単騎……)打西

    「も一個、カン」北カン

    「嶺上……ツモりました。500オールお願いします」

    ・馬鹿(お、俺達の最高手があんなゴミ手にぃ……!)

    (ヤバい……何だか解らないけどこの流れはヤバい……これは)

    「来る……!」

    53 = 1 :

    二本場

    悪男

    23m12468p5899s中中
    (くっ……お前ら中持ってないか!?)ミミカキカキ

    AB(持ってません……!)プギャーワロスワロス

    (くそっ!早く首を……!)

    「リーチ」

    牌を横に曲げる咲。男が中を鳴けずに右往左往している間のことだった。

    (速すぎる!まだ四巡目……!)

    咲 捨て牌
    西9ピン1ワン5ピン

    (す、筋だ……)

    打 8ピン

    「ロン、一本場で19500」

    123789m79p78999s

    「か、カンチャン待ち!?」

    AB(ま、不味いですよ!全員の首が切れてるから……)

    (この一回の負けでさっきまでの勝ちが消える!)

    三本場

    (こうなったら贅沢言ってられん!ABのどちらかでも首を……)

    「カン……嶺上ツモ、6000オール。悪男さんの跳びで終了ですね?」

    54 = 1 :

    「と、トビラスだと!?ふざけるな、次だ次!」

    (馬鹿……今はその子の流れ……無理に続行すれば全て持って行かれる……)



    4回戦

    「嶺上ツモ。12000の責任払いです」

    「ロン、8000」

    「嶺上ツモ、6000オール。皆さんの首が切れて終了ですね?」

    五回戦

    「リーチ」

    (このままじゃ……)打6ワン

    (あ……)

    AB(駄目だ、振りたくねえ……!)合わせ打ち

    「……」フッ

    「カン、カン……カン、ツモ。嶺上開花、8000オール」


    11789p
    カン2222m
    カン2222p
    カン2222s


    「ばばばば馬鹿か!?」

    AB「そんな高目安目無い手で見逃し!?」

    「……」フッ




    「生きた……ツモ頂きました」

    55 = 1 :

    悪男AB・ギャラリー「ひっ……」ゾッ

    「一本場です」カタリ…


    A(アニキ、これを鳴いて下さい!)

    「ぽ、ポン」
    A「2ソウ!」

    「チー!」
    何とか聴牌しようともがく男達。しかし、仕上がった咲には何をしても無駄だった。

    「リーチ」

    悪AB(また!?)

    「お、降りだ……」

    「くそっ……こっちはタンヤオドラ3だ!引けるか!」打6s

    「……」

    発声は無い。

    「と、通ったのか……?」

    (よ、よし……後はBが差し込めば……)
    B(よし……行きますよ)

    打5ワン。

    「ロンだ!タンヤオドラ3!首が繋がったぜ!」


    2255m555s
    チー234p
    ポン222s
    この鳴きを見て、私は漸く気付いた。

    (この人…下手だ……)

    56 = 1 :

    (聴牌形が全部上がれるだけ……ツモどころか差込前提の麻雀……)ハッ

    (そう言えば、一回戦の時もこんな形でのアガりがあったっけ。あの時、咲は頭跳ねを見逃したけど……)

    「失礼、頭跳ねです」


    1112345666888m

    B「ひっひぃ!?」

    「Bさんの跳びで終了です」
    咲の声に、泣きながら札を出していく男達。

    (そうか……最初の頭跳ね見逃しはレートを上げるための罠……多分、この子は最初の東1で見抜いていたんだ、悪男の底を……)

    57 = 1 :


    …………。
    ……。
    「240万不足ですが、そちらの方の負け金240万……全て合わせてぴったりですね」

    「……」

    「600万、合わせて頂きました。では……」

    「ま、待ってくれ!それは組の金で……」

    「……」

    「頼む!それが無いと俺は……」

    黒服「見つけましたよ、悪男さん……」
    「ひっ!?」

    黒服「組長から申し使っていまして。その勝負に勝ったなら組の金を持ち出したことは見逃すようにと……」

    黒服「アナタは負けた……解っていますね?」

    「い、嫌だ……」

    黒服「連れていけ」
    部下「はっ」

    「や、ヤメロ!死にたくないっシニタクナイ!」

    黒服「……」

    黒服「……失礼しました」テクテク



    シニタクナーイ!

    58 = 1 :

    「あ……ああ……」ヘナ

    「そ、そっか……漸く解った……」アハハ…


    私の麻雀は汚れている。


    「だから咲は見せたくなかったんだ……」

    (きっと咲は私の前で麻雀をするつもりなんて無かったに決まってる……あの麻雀、あの打ち方で……)

    「一体、幾つの破滅を見てきたっていうのよ……」

    「あ、憧!大丈夫!?」

    (確かに咲は凄い……あんなの、幾つもの修羅場を潜り抜けないと手に出来ない……でも……)

    (咲にあんな麻雀打って欲しくない……!)


    59 = 1 :

    繁華街

    (ああ……まただ……またやってしまった……)


    ヤメロー!シニタクナーイ!


    (私の麻雀でまた一人……)

    「新子さん……折角友達になれると思ったのに……」フラフラ

    おばさんA「ちょ……見て、あの子……」ヒソヒソ

    おばさんB「大丈夫なのかしら、あんな足取りで……」ヒソヒソ

    「どうしよう……このお金……返せばあの人は助かるかな……」

    黒服「いえ、それはありません」サッ

    「さっきの……」
    黒服「上は『勝ったら』見逃すと言っておりました。金銭の問題ではありません……」

    「……」

    黒服「あなたと出会った。その時点であの男の運も尽きた、それだけです」

    「……要りません、こんなお金」スッ

    「黒服さん達にお返しします……」

    黒服「……」

    黒服「よろしいのですか?」

    60 = 1 :

    「……」

    黒服「本当に宜しいのですか?」

    「……はい」

    黒服「……その年での一人暮らしなど楽ではないでしょうに」

    「な、なんで……」

    黒服「最後に自宅で食事をされたのはいつですか?」

    「……っ」

    黒服「ガス、電気を止められてから何日経ちましたか?」

    「……三週間です」

    黒服「健気なものですね。その気になれば引く手数多の裏プロに成れますのに」

    黒服「外道とでも言いますか、さっきの男みたいなのだけを相手にする……そのお金も使うに使えない」

    黒服「大変ですねー一体幾つバイトを掛け持ちしてます?」
    「……」

    黒服「おまけに奨学金を得るためにトップの成績も維持しないといけない……」
    「……さい」

    61 :

    界さんはどうしたんだろ

    62 = 1 :

    黒服「はい?」

    「もうやめてください……」

    黒服「勘違いしないで下さい。私は誉めているのですよ」

    黒服「確かに幾らかは麻雀の勝ちで生計はたてているようですが、概ねあなたの使ってきたお金は綺麗だ」

    黒服「文字通り、自分の力だけで生きてきた訳です。あなたの事を上に話したら組長も大変感心していましたよ」

    「……」

    黒服「……。そのお金は、組長からの気持ちです。私の一存では受け取れません」ズイ

    黒服「では」



    「……私の力?」

    「私だけで生きてきた……?」

    「……そっか。私だけ……私だけしかいなかったんだ……」

    『咲、一緒にお昼食べよ!』

    『咲、隣空いてる?』

    『咲、今日は暇?今日は部活が無いんだけど……』

    『咲、麻雀部に入らない?』

    「……」ジワッ

    「ごめんね……そっちには行けそうにないかな」

    63 = 1 :

    本日は以上になります。支援して下さった方、ありがとうございます。界さんはまた日を改めて書きます。
    尚、一部咲さんが人鬼さんと被るようなシーンが在りましたが、それは私の文章力の無さによるものです。

    67 :

    乙 想像以上に面白いな

    68 :

    おつー
    アコチャー咲ちゃんを救ってやってくれぇ!

    69 :

    乙ー

    >>52で気になったんだけど暗カンが一回でも入ってたら
    500オールは有り得ないよ

    70 :

    汚れた咲…咲さんはきたない?(飛躍)

    72 :

    咲さんは非処女だったのか

    73 = 1 :

    待って下さった方、ありがとうございます。

    諸用で遅れますので開始は9時半からになります。

    75 = 1 :

    >>69
    チュンチャンパイの明カンと暗カン、副底合わせて70符の1200オールでした。ありがとうございます。

    76 :

    楽しみ
    しかし黒服さんは何者なんだろう

    77 = 1 :

    翌朝、漸く眠れない夜が終わった。

    「一睡も出来なかった……」ゲッソリ

    (でも……お陰で考える時間だけはたくさんあった……私がやるべきこと、それは……)




    「麻雀をするわよ。チーム名はリトルバスターz」

    穏乃「朝っぱらから何やってんだよ」

    「何か問題でも?」←徹夜のテンション

    穏乃「大有りだよ」

    「……。話を戻すわよ」

    穏乃「戻すも何もまだ始まってすらなかったんだけど」

    …………。そんな事実は認めない。

    「喜びなさい、新入部員候補が一人見つかったわ」

    穏乃「……!ほ、本当か!?」アセアセ

    「ええ、勿論。しかも即戦力レベルの逸材よ、強くて可愛くて可愛くて、あと凄く可愛いんだから!」

    穏乃「それ可愛いだけじゃ……いや、憧がいいならそれで良いけどさ……」

    「見てなさい、咲!絶対に麻雀部に入って貰うからね!」
    穏乃(サキ……もしかしてA組の宮永さんのことかな?)

    78 = 1 :

    「見てなさい、咲!絶対に麻雀部に入って貰うからね!」
    穏乃(サキ……もしかしてA組の宮永さんのことかな?)

    79 = 1 :

    しかし思うに任せられないもので、その日咲は学校を休んだ。

    教師「じゃ、出席とるぞ……なんだ宮永は休みか……」

    「……!」

    (って…そりゃそうよね……あんな事があった後だもの……)

    (よし……)

    (でもこっちは咲が学校に出てくるのを悠長に待ってはいられないのよ……)


    休み時間

    「先生」

    教師「ん、新子か。何か用事か?」

    「いえ、今日休んだ宮永さんのお見舞いに行きたいんですけど、宮永さんの住所教えてくれませんか?」

    教師「お見舞いか……友達想いなのは感心だが教師が生徒の情報をみだりに教えるのは……」

    「……あ」ソウダ

    「実は昨日宮永さんから古典のノートを貸してもらったんですけど、早く返さないと課題をするときに大変かなって……」

    教師「宮永のノートか?あれはいい物だ……先生もよくお世話になる」シミジミ

    「……」ジト…

    教師「……はっ!?」

    教師「よ、よし解った。教えてやる、教えてやるからな、な?」

    80 = 1 :

    こうして首尾良く咲の家を聞き出した私は、静かに放課後を待った。

    「あ、憧ちゃん!今日って暇?」

    「ごめん!今から咲のお見舞いに行くのよ」

    「え……宮永さんの……?」

    「だからゴメン。また誘って」

    「じゃ、じゃあ明日は……」

    「明日からは部活で忙しくなるけど……」

    「そ、そうなんだ……」

    「それじゃあ、また明日」

    「うん…また明日……」

    ……。

    「……新子さん、宮永さんのことばっかり……」

    そのとき、廊下の曲がり角から何やら声が聞こえてきた。

    「あれって……」

    81 = 1 :

    「麻雀愛好会、会員募集中でーす!」

    「興味ある人……へっくしゅ!」サムイ

    「お、お姉ちゃん!」

    「だ、大丈夫だよ、玄ちゃん……少しだけ寒いだけだから……」

    「もうやめるのです!新しく部員が入ってもお姉ちゃんが風邪引いちゃ……」

    「だ、大丈夫だから……私はまだ、ここにいる……から……部員、を……」ガックリ

    「お、お姉ちゃん?」ユサユサ

    「お姉ちゃん……?目を……目を開けるのです……」

    「……」

    「い、いやああああ!」アイズ!

    合唱部「同じ所をぐるぐる回って……疲れきってしまっても~」bgm

    「誰か!誰か麻雀愛好会に入ってくれる人はいませんか!?」

    「早くしないとお姉ちゃんが……そこの人!」

    通りすがり「へ?」

    「お願いです、入会して下さい!」

    合唱部「穏やかな風が吹く~この夏を~♪」

    通りすがり「いいですけど……」

    「……!」

    「やったのです、お姉ちゃん!」

    通りすがり「私、演劇初めてですよ?」

    「……」

    「……麻雀部なのです」

    82 = 1 :

    通りすがり「……」

    通りすがり「はい?」

    「麻雀部です……」

    通りすがり「……」

    「……」

    合唱部「だんごだんごだんごだんご大家族だん」

    「あ、もういいです」

    合唱部「……」ササッ

    通りすがり「あの、なんかすいませんでした……」

    「いえ……こちらこそ……」

    通りすがり「……。じゃ、じゃあ私はこれで」スタコラサッサ

    「……」

    「……」

    「失敗だね、泣き落とし作戦……」

    「失敗しちゃったね……」

    83 = 1 :

    ポスター「最近悪質な部活動勧誘が多発しています。被害に遭われた方はその場で署名せず、すぐに生徒会まで報告して下さい」

    (悪質だ!極めて悪質だ……!報告しないと……)ガタガタ

    (そう言えば、確か新子さんって……そうだ!)

    「あの?」

    「……何なのです?うちは演劇部じゃ無いけど……」

    「麻雀って……初心者でも出来ます?」

    「……」パアッ

    「も、勿論!」

    84 :

    小ネタがひたすら寒い

    85 = 1 :


    「ここが咲のアパートか……」

    アパート「おんぼろ……」オボロボロボロ

    (築40年は経ってそうね……家賃は安そうだけど……)

    階段を登る。錆び付いた鉄の悲鳴が聞こえた。

    (安全性とかどうなってるのよ……?)

    咲のアパートは三階の一番奥の部屋だった。西日が当たるその一角は、そこだけ時間に置いて行かれたような気がした。310の部屋をノックする。

    「咲ー?いるー?」

    果たして、30秒後。

    「……はい」

    目を真っ赤に晴らした咲が出てきた。

    86 = 1 :

    「風邪って聞いたけど大丈夫なの?」

    「あ、うん……少し立ち眩みがしただけだったから……」

    「……上がって良い?」

    「……!だ、ダメ……!今散らかってるから……」

    「……昨日の事で、少しだけ話がしたいんだけど……」

    「……」

    (電気もガスも止められてるなんて知られたくない……けど……)

    「少し待ってて……外で話そ」

    87 = 1 :

    公園

    「それで……話って?」

    「遅くなっちゃったけど……昨日は助けてくれてありがと……」

    「……うん」

    「念の為に言うけど、お金は私に払わないでね……何の為に打ったのか解らなくなるから」

    「……」

    (やっぱりだ……やっぱり咲は優しい……昨日の咲だけを見たら誤解しちゃうかもしれないけど……)

    (いつまで咲にこんな顔させるつもりなのよ……間違ってる……!咲には笑っていて欲しい……)
    意を決する。息を吸い、呼吸を整える。
    「咲……麻雀部に入って」

    「……?」

    何を言われたのか解んないと言いたげな顔。私はもう一度、咲に言った。

    「麻雀部に入って」

    「……昨日新子さんは何を見てたの?」

    「私の麻雀どういうモノかも、私の麻雀が人を破滅させる瞬間も見たはずだよ」

    「そうね」

    「じゃあ解るでしょ。私は、何人もの人の人生を壊した……新子さん達とは一緒にはいられないよ」

    こんな時だと言うのに、咲の声は落ち着いていた。でも、知らず知らずのうちに私の声に怒りが滲み始めていた。

    「汚れてる?咲が?」

    「最初からそう言ってるよ」

    88 = 1 :

    「私やお姉ちゃんを助けてくれた咲が……?」

    「……」

    「次口にしたら本気で怒るわよ……」

    「……!?」ビクッ

    「咲が自分で、自分のことをどう思おうと……咲は綺麗で優しい……少なくとも私はそう思ってる」

    「だから、咲を悪く言う奴は絶対に許さない……咲、アンタもよ」

    「っ……」

    「……麻雀部に入ろ」

    「大丈夫だから。咲は大丈夫……私がいる、私がそばにいる」

    「っ……」

    「咲の居場所はここにある。咲が入ればそこが居場所になる……私は、待ってる」

    「そんなの……私じゃなくても--」

    「咲がいい」

    声が、反響することなく消えていった。陳腐なセリフも後に残らなければ恥ずかしくなかった。

    89 = 1 :

    「私が咲じゃないと嫌だって言ってるの……麻雀部五人目は、咲がいい……」

    気が付けば、咲の顔は真っ赤になっていた……やったか?

    「きっとシズや玄、宥姉も歓迎してくれる」

    「そんなの…解んないよ……」

    「……。これ、渡しておく」

    「紙……?」

    「入部届け……返事は明日聞くから。忘れないで、麻雀部は咲が入って初めて完成することを……」

    そして私は公園を後にした。

    「……」テクテク

    「誰も居ないわよね……?」キョロキョロ

    「……」

    「ノオオオオ!恥ずかしい恥ずかしい!」

    90 = 1 :

    翌日


    「なんだか一昨日昨日で一生分の勇気を使った気がする……」アクビ

    「……」

    「あ、おはよ」ヒラヒラ

    「考えてくれた?」

    「……」スッ

    入部届け・宮永咲

    「さ、咲……!」

    「信じて、良いんだよね……?」

    「勿論よ!」

    「アルバイトがあるから木曜日と土曜日しか出れないよ?」

    「大丈夫、その分みっちり練習するから!」

    「……」ニコ

    「よろしくお願いします」ペコリ

    91 = 1 :

    こうして私は咲を麻雀部に入部させることに成功した。その時はそう思っていた。

    浮かれすぎたことに罰が当たったのだろうか。咲の事をよく知りもせずに、知ろうともしなかったことの報いなのだろうか。

    軽率な言葉の報いは、最悪な形で咲に跳ね返った。

    92 = 1 :

    「~♪」

    「ご機嫌だね、新子さん」

    「当たり前でしょ!これでようやく五人揃ったんだから」

    「それとさん付け禁止」

    「ふぇ?」

    「何だかよそよそしくて嫌なのよ。もっとこうフレンドリーにこう……」


    憧ォ!


    「ひっ!?」

    「ど、どうしたの?」

    「いや、なんか背中を逆撫でる得も言われない不快な声が……」

    「……憧ちゃん。これでいい?」

    「そ、そうね……。……。なんかやっぱりくすぐったい。憧で呼び捨てで--」

    「それは勘弁して……」

    93 = 1 :

    部室前。

    部室の中からは賑やかな声が聞こえてきた。玄や宥姉の声が暖かい。

    「まったく……大会予選まであんまり時間が無いのに……」

    扉を開ける。そこにいたのは玄と宥姉、シズ……女だった。

    「遅れてごめん。なんか良いことでもあったの?」

    穏乃「あ、憧……その……」

    歯に物が詰まったように喋るシズ。対称的に、玄と宥姉はとても嬉しそうな顔をしていた。

    「あ、憧ちゃん!やったのです!遂に五人目が揃ったのです!」

    「玄ちゃんとの渾身の演技が功を奏したんだよ」

    その時の私は、どうして単純な考えしか出てこなかったのだろう。

    「あれ?咲のこともう知ってるの?」

    94 = 1 :

    「むふー……じゃじゃーん!」

    私に一枚の紙を見せる玄。それは、麻雀愛好会を正式な部として認めるという認可証だった。そこで漸く、何かがおかしいと気付き始めた。

    (な、なんで……!)

    心臓の鼓動が早くなる。

    「待って……認可は五人分の署名が無いと降りない筈じゃ……」

    入部希望届けはまだ咲の手の中にある。
    そこでやっと、私は気付いてしまった。女がここにいる訳を……


    私は遅かった、間に合わなかったんだ……

    「紹介します!新しく麻雀部に入った一年生の女ちゃんです!」

    どこかで、紙が握りつぶされる音が聞こえた。

    95 = 1 :

    今日はここまでです。書き溜めも底をついたので寝ます。出来るだけ早く次も上げますので。

    96 = 74 :

    おつですー
    女め...

    97 :

    乙 次回も楽しみにしてる

    98 :

    乙です
    まだレギュラーが決まったわけじゃないから…(震え声)

    99 :

    おつ
    言った後で照れるアコチャー可愛い

    100 :


    女には咲さんから麻雀の楽しさを知ってもらうしかないな…


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