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    元スレ京太郎「修羅場ラヴァーズ」久「もうちょっと、近づいて」

    SS+覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★★
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    451 = 1 :

    久は――すぐに、見付かった。

    部屋の隅に、布団の上で、蹲っている。


    「……」


    久は、まだ京太郎には気が付いていない。

    虚ろな目と、少し痩けた頰、小さく開いた口はしきりに何かを呟いている。

    そして、両手の指先には――全てに、包帯が巻かれていた。

    今朝、という話からして新しく巻かれたものの筈だが――全てに、赤黒い染みがついている。


    「……竹井」


    久は、酷く追い詰められている。

    京太郎は、彼女に――


    選択肢 下二
    1.近付いて、声をかける
    2.近付いて、手をとる
    3.その他

    456 = 1 :

    京太郎は、静かに久へと歩み寄った。


    「私は、相応しく……ない」


    彼女の、自分を責める声が聞こえる。

    団体戦での敗北は――深い傷となって、彼女の胸に残っていた。


    「竹井」

    「……ぁ」


    声に反応して。

    ようやく、彼女はこちらに気が付いた。


    久 判定 直下
    1~50 彼女は、呆然とした様子で呟いた
    51~80 彼女は、両掌で自分の目を覆った
    81~98 彼女は、酷く取り乱した
    ゾロ目 ???

    457 = 376 :

    そい

    458 = 1 :

    「あ」


    虚ろだった目が、徐々に開かれて。

    久の瞳が、京太郎を映した。


    「ああ……」

    「竹井、お前――」


    一歩、京太郎は久へと近寄る。

    それが、きっかけとなったのか――


    「あああああああああああぁぁぁぁっ!!」


    彼女は、酷く取り乱した。

    459 = 1 :

    手足を滅茶苦茶に振り回して、自分を傷付けて。

    赤い染みが、白いシーツの上に点々と増えていく。


    「竹井っ!」


    黙って見ているわけには、いかない。


    「話を、聞いてくれっ!」

    「……ぁ」


    身体中を、真っ赤に染めて。

    久を抱き止めるように、京太郎は彼女を取り押さえた。


    「先……せぇ?」

    460 :

    落ち着いた、と言っていいのかはわからない。

    けれど、彼女の動きが止まったのは、確かだ。


    「先生……私、私……」

    「……大丈夫。ゆっくり、落ち着いて」


    息を切らしながら、久の頭を撫でてやる。

    密着している彼女の呼吸が、徐々に緩やかなものになっていく。

    浅く乱れていたものから、深くゆっくりしたものに。


    「先生……」

    「……」

    「私……」



    「私、負けたんだ」

    461 :

    先生も負けてるよ
    ちょっと種類違うけどね!

    462 = 1 :

    「私、部長なのに」

    「……」

    「あなたみたいに、なりたくて……部長に、なったのに」

    「……」

    「でも――私、愛宕洋榎に負けた」


    白いシーツに、京太郎のシャツに、赤い雫と透明な雫が染み出していく。


    「……私、だめなの……こんなので、先生の、教え子なんて――」



    「……そんな大したものじゃないよ。俺は」

    463 = 1 :

    その言葉に、久は少しだけ驚いた顔を見せ。

    京太郎は、彼女の頭を撫でてから、短く息を吐いた。


    「嘘……だって」

    「……」

    「先生は、凄くて……。強くて、大会だって……」


    「なぁ、竹井」

    「……」

    「今のお前さ――何というか、少し似てるんだよ。昔の、俺にさ」


    思いもしない憧れの人の台詞に――久は、言葉を失った。

    京太郎は、また一つ息を深く吐いて、口を開く。


    「小鍛治プロに惨敗した試合――勿論、知ってるだろ?」

    「……うん」

    464 = 1 :

    それまで順調に勝ち星を連ねて来た彼が、酷い敗北を見せた試合。

    それから暫くの間、彼は公式戦から姿を消したが――


    「……でも、先生は……リベンジだって」

    「うん……でも、負けて暫くは、本当に酷かった」


    今まで信じてきたものは、全てが折れた。

    牌を握ることすら怖い。

    何もかもが、どうでもいい。


    「自暴自棄……っつーのかな」

    「……」

    「全部、どうでもよくなって――その時に、ある人が助けてくれたんだ」

    「……ある、人?」

    466 = 1 :

    「言っとくけど――あの時の俺は、本当に酷かったぞ?」

    「……」

    「格好は酷かったし……なんつーか、一歩間違えたら浮浪者そのものだったし」


    本当に。

    彼女の助けがなかったら、今の自分はここにいない。


    「まぁ……でも、そんな俺を助けてくれる人がいた」

    「……」

    「彼女に休ませてもらって――俺は、また強くなれたんだ」

    「彼女……ね」

    「ああ……お前にも、いるだろ? 助けてくれる友達がさ」


    必死に自分を連れて来たまこや、部屋の前で信じて待つ少女たち。

    あの時、一人になってしまった時に郁乃に救われた自分とは違って――久の周りには、まだまだたくさんの人がいる。


    「まぁ……だからさ、その……」


    今一締まらない言葉でも、京太郎は久の瞳を真っ直ぐに見て。

    思っていることを、伝えた。


    「大舞台で負けたくらいで、俺の教え子じゃないってのは絶対おかしいし」

    「……」

    「ある意味で――お前が、一番俺の教え子っぽいぜ」

    467 = 465 :

    ヒュー

    468 = 1 :

    その言葉を受けて――久は、ゆっくりと目を閉じた。

    それから、暫く二人の間に沈黙が流れる。

    時計の音や、外で待つ美穂子たちの焦燥とした様子が伝わってくる。


    「……そっか」


    目を開けて、ポツリと呟く。


    「私、先生の教え子で、いいんだ」

    「だから、そう言ってるだろ?」

    「……」


    両手の指を絡めて、久は微かに俯いた。

    何かを考えるように目を細めて、それからふと何かを思い出したかのように口を開く。


    「……ねぇ」

    「ん?」

    「その、先生を助けてくれた人って」

    「おう」


    「銀色の、イヤリングを持ってる人?」

    469 = 1 :

    一緒、彼女の言うことが理解できず怪訝な表情を浮かべてから。

    すぐに京太郎は、焦ったように目を見開いた。


    「お、お前……どこで、それを?」

    「ふふっ」


    さっきまで格好付けて決めていた人の、慌てる姿。

    それが妙におかしくって、久は吹き出すように笑った。


    「ナイショ……だけど先生、あんまり無防備すぎちゃダメよ?」

    「あー、もう……」

    「あはっ」


    最後に笑ってから、久は布団に体を任せた。

    疲れた体は、柔らかい布団によく沈んだ。

    470 :

    久、落ちついて良かった

    471 = 1 :

    「あ、竹井。寝る前に綺麗にしとかなきゃダメだぞ」


    布団も彼女の体も、血だらけで休むには適していない。

    弱った体なのだから、尚更清潔にしなくてはならない。

    そう告げると、久はイタズラっぽい笑みを浮かべた。


    「あ、そうね……じゃあ先生、あなたが体を拭いてくれる?」

    「なっ」

    「もう随分恥ずかしいところを見られちゃったし――こうなったら最後まで……ね?」


    からかうようにウィンクをすると、やれやれだと京太郎は肩を竦めて立ち上がった。


    「……福路や染谷にやってもらえ」

    「もう、つれないわね」

    「10年早いっつーの」


    軽く体を叩いて埃を払い、京太郎は部屋から出て行った。

    美穂子たちを呼びに行くためだ。

    472 = 470 :

    今の所、久は爽やかに収められたような気がする
    ひどいことにはなってたけれど

    473 = 1 :

    一人、部屋に残されて――久は、深く溜息を吐いた。

    色んな人に、迷惑をかけてしまった。


    「……ちゃんと、謝らなきゃ」


    心配してくれたみんなにも、立ち直らせてくれた恩師にも。

    そして――


    「名前も知らない……あなたにも、ね」


    あの日見つけた、イヤリングの持ち主にも。

    久保コーチかと思ったけれど、何となく違う気がする。


    「10年早い……かぁ」

    474 :

    誰を選べば一番被害が少ないか。
    いくのんが真っ先に出てくるあたりね。

    475 = 1 :

    彼に対する恋慕と憧れ。

    それが、いつからかごちゃ混ぜになって――酷いことになっていたけれど。


    「そりゃー……あなたには、勝てないわよねぇ」


    彼と私が出会う、ずっと前から。

    支えていた人がいたのなら。

    私に勝ち目なんて――最初から、あるわけがなかった。


    「初恋は実らない……か」


    心はもう、落ち着いた筈なのに。

    何故か、布団の染みはどんどん増えて。


    「ううん……大丈夫、だから」


    美穂子たちが来た頃には――もしかしたら私の顔は、先生が来る前より酷くなっていたかもしれない。

    476 = 1 :

    というわけで今夜の更新はここまでー
    イヤリングのくだりは清澄編のアレから

    それでは、お付き合いありがとうございました!

    478 = 470 :


    憧れの年上の男性への想い、失恋しちゃう久乙女で良い!
    先生篇の京太郎が久より年上設定が活かされてるな

    480 :

    おつ

    ロッカーさん正気に戻って良かった

    481 :


    1本目の綱渡りクリア?
    あと何本あるのかなー

    482 :

    次の小ネタは久が幸せなのを狙うしかない

    483 = 461 :

    先生編は処理しなきゃいけない地雷が多すぎるぜ

    484 :

    このスレ初めて読むんだけどwikiだけで追いつける?

    485 :

    なんでヒッサは報われないのか
    教師編はみんなかわいくて幸せになってほしい

    486 :

    ロッカーだけは最後まで取っておく

    487 :

    ロッカーロッカー

    489 = 474 :

    >>486
    京太郎に辿り着くまでに使い果たしそう。

    490 :

    ロッカーさんやたら失恋してる印象。タラシなのに

    491 :

    爪かむヒッサはどの世界戦でもいるのか
    先生編の救いはネリーが教え子じゃないこと 教え子だったら運命変えられてたわ

    492 :

    ふと、背中から首に回される腕。

    密着した彼女の吐息が、うなじの辺りを擽るのを感じた。


    「今日は、やけに甘えん坊ですね」

    「……ん」


    何があったのか、彼女は語らない。

    さっきまで部室のベッドで仮眠をとっていたのだから――何か、特別な夢でも見たのだろうか。


    「……ちょっとだけ」


    こうして部活が始まる前に彼女から甘えて
    のは珍しいが、悪い気はしない。

    むしろ望むところであり、京太郎は頰を緩めて彼女の頭を撫でた。


    「あったかい……」


    短い間でも、互いの温もりを味わう二人。


    肩口に残った髪の毛から、後から来た部員に妙な勘繰りをされることになるが――それはまた、別の話である。

    494 :

    ただし夢オチ

    495 :

    最近ハジけが足りない気がしてきた今日この頃
    先生編始めます


    >>484
    今やってる先生編はまとめと前スレ読んでれば追付けるのではないでしょうか
    基本的にその場のノリと勢いで書いてるので細かいことは気にしないスタイルでお願いします


    >>490
    このスレだと清澄書くときは大体京久なんですけどね

    497 :

    先生編が思ったより長持ちするな
    まだ誰も死人が出ていない

    498 :

    恋敵の頭をハジく?(難聴)

    499 = 1 :

    「失礼しまー……ってなんや、代行おらんのかいな」


    洋榎がノックの返事も待たずに開けたドアの先には、誰もいない。

    個人戦に向けての話があると郁乃に呼び出しを受けて部屋を訪れたものの、肩透かしを食らった気分になった。


    「ん、コレ……って」


    手持ち無沙汰にキョロキョロと部屋を見渡して目についたもの。

    机の上に置きっ放しのスマートフォン。

    画面が点きっぱなしでロック状態になっていないことから、たったさっきまで操作されていたのだろう。


    「……ごくり」


    色々と謎に包まれている赤阪監督代行――の、スマートフォン。

    これを機にあの人のことが色々とわかるかもしれない。

    好奇心猫を殺す――とは言うものの、今は警戒心よりも好奇心が上回る。


    「さ……さきっちょだけ、やん?」


    そして、その行為を咎める者もいない。

    洋榎は一切の躊躇いなく、机に置かれているスマートフォンに手を伸ばし――

    500 = 1 :

    判定直下
    1~33 「お待たせ~」
    34~66 「……ん? このメールの相手……」
    67~99 「え……この、写真……」
    ゾロ目 ???


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