私的良スレ書庫
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元スレいろは「わたし、葉山先輩のことが…」葉山「…俺は彼の代わりにはなれない」
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生徒会と委員会の連携により、イベントの準備は滞りなく進み、当日
あれから奉仕部がすることは特になく、当日を待つのみの暇な時間だった。
一色からも特にコンタクトはなかった。
今は協力してもらう人物を集め、最終確認を行っている最中だ。
ちなみに、今日の俺の仕事は見回りである。
簡単なようだが各ポイントを監視している人たちよりも行動範囲が広く、
運動不足の俺にとっては、なかなか辛い。
あと、なんかあの人ついてくるーみたいに思われて辛い。
や、まだ始まってないんだけどね。
雪ノ下はいたって平静だったが、由比ヶ浜はどことなく緊張しているように思える。
「おい、あんま気張るなよ。おまえが失敗したらうちの学校に傷がつくだけだ。
なんにも心配する必要はない」
「う、うんそうだよね……。ってダメだよ!?励ますの下手くない!?」
「いつからおまえを励ましていると錯覚していた?」
「なんかうざい!あと中二っぽかった」
おいやめろ。
「えへへ、でもありがとヒッキー。ちょっと気が楽になったよ」
由比ヶ浜は自分の頭のお団子をくしくしと触ると、顔を引き締める。
こいつはもう大丈夫だろ。
「雪ノ下は大丈夫か」
「あら、あなたに心配をされるなんて、屈辱だわ」
「大丈夫そうだな。まあわかってたけど」
一色に目をやる。こういうイベントごとには強いのか、緊張している様子は見えない。
ふと、目が合うがすばやく逸らされる。
いや、多分あの出来事のせいなんだろうけど。あれからどことなく距離をとられているように感じる。
どことなく、ではなく明らかなのだが。
……そのことは今は置いとくとしよう。それよりも今日のイベントを成功させることが先決だ。
「―――と、いうことです。みなさん大丈夫ですか?」
一色が今一度確認を取る。みんな大丈夫なようでこくりと頷く
「それではみなさん、今日はお願いします。楽しんでいきましょう!」
その掛け声におー!という声が上がり、各自の持ち場へと移動を始める。
持ち場に行く前に、運動部男子の目玉となる戸塚がこちらへ寄ってくる
「八幡!今日は小町ちゃんのためにもがんばろうね!」
「ああ。頼むな戸塚」
「うん!じゃあいくね」
戸塚を手を振りその場を立ち去る。由比ヶ浜たちは先にいったようだ
……一応一色に声かけとくか。
「あー、一色」
「はい。て、せ、せんぱい…!ど、どうしました?」
一色はあわあわと居心地悪そうに身をよじる
やっぱこの間のこと引きずってるよな……。
「いや、このあいだはすまなかったなと思ってな。そんだけだ。じゃ頑張ってくれよ」
「あ、あ、せんぱい……その」
何を言ってよいのか分からないといった感じできょろきょろ視線を動かす
「えと、がんばりましょうね」
「……おう」
どこかぎごちないが、笑みをみせる。それを確認して俺も持ち場に向かう。
持ち場とか学校全体みたいなもんですけどね。
――――――――――
あああああ、キョドってしまいました……。
変に思われてないですかね。って、普通変だと思いますよね。
でも無理です無理。顔合わせられません。
あの掌の感触を思い出し、かぁ、と頬が染まる
あの時から先輩との接し方がわからなくなり、自然と避けるようになってしまいました。
これじゃ意味無いのに、意外と奥手なわたしにびっくりです。
「先輩が悪いんです。急にあんなことするから」
ぶぅーと唇を突出しむくれる
……とりあえずやるべきことをやってしまいましょう。
わたしは、受験生が集う体育館へと足を運ぶ
道中葉山先輩を見つけたので声をかけてみる
「葉山先輩!」
「ああ、いろはか……。どうした?」
にこっ、と爽やかな笑みを浮かべる。自分に向けられた優しい笑みに何人の女性が勘違いしてきただろう。
そんな笑顔にも、今はなにも思わない。
「わざわざすみません、協力してもらって」
「いや、いいんだ。こういうの好きだしね。戸部たちもノリノリだったよ」
「そういわれると救われます」
あはは、と笑う
葉山先輩はなにか言いたそうにしているようなので、こちらから話をふってみますかね。
「一応なにか聞いておきたいこととかありますか?」
「自分の仕事については大丈夫だよ。……ただ、ひとつ聞きたい……いや、やめとこう」
「………葉山先輩には感謝してます」
「……俺はなにもしてないさ」
「いえいえ。おかけで気づけたんですから。まあ、今行き詰ってるんですけどねー、いろいろ」
「はは。君なら大丈夫さ……きっと」
「そうですかね……。それではよろしくお願いしますね!」
葉山先輩の返事を聞いたあと、早足で立ち去る
うん、大丈夫。
自分に自信をつけるためにも、まずは目の前のことをやりきってみせる。
―――――――
HQ HQ こちら八幡 異常はなかった これより帰還する
いや、帰れないんだけどさ。
現在外で待機中。めちゃくちゃ寒い。
部活見学&体験が始まりそれに合わせ適当に見回る。
他にも監視している人物はおり、時折無線で連絡を取る。
今のところなにも問題はない。
が、これからなにか起こるかもしれない。自分の性分が嫌になる。
先ほどから悪い想像がぽんぽん出てくる。
いろいろ対策は取っているが、それでも無茶な企画だ。
どこで破綻するかわからない。
なにも起きなければいいのだが、こういうときの悪い予感というのは当たるものだ。
無線に入る報告を漏らさず聴き、いざという時に備える。
しばらくして、不穏な報告が耳に入る。
……やっぱきたか。
どうやら運動部のほうを回っている最中に問題が起きたらしい。
場所は体育館。バスケやバレーボールなんかの部活がいるところだろう。
急ぎその場所へと向かう
* * *
武道館に着くと、なにやら怒号が聞こえてくる
「つーか、あんた1年なんだろ?そんなやつが考えたモノが上出来だとでも思ったのかよ!」
「そ、それは、ですから……」
責められている相手は一色のようだ。
どういう状況なのか把握するため、近くにいた委員会の腕章をつけているやつに話を聞く。
どうやらバスケの体験をしていたようなのだが試合をしたいというものが現れたらしい。
本来、怪我などのトラブルを極力避けるため、部活体験で出来ることは抑制してある。
バスケなどの球技はシュートやパス程度のことなのだが、そのことについて不満があったとのことだ。
一色はそれを許可できない理由を説明したのだが、それが逆効果だったようで、
じゃあそもそもこんな企画やるんじゃねー的な展開だった。
それに対しうまく言い返せないところを、一方的に攻め立てられてしまったらしい。
……こいつはまずいな。彼は受験勉強に必死だったのだろう。
自分のしたいことを抑えるほどに。
こんなイベントを出されれば、なんで自分が必死こいて勉強してるのを
邪魔するんだ、ということになるだろう。
迂闊だったとしかいえない。
息抜きやモチベ向上には最適かもしれないが、それはある程度の余裕がある者だけだ。
ぎりぎりまで、一時の休みを許さないほどの追い込みをしている人の存在を考えていなかった。
そんなこと考えなくてもわかるじゃないか。なぜ見落としていた。
いや、違う。そうじゃない。見逃したかったのだ。
一色が生徒会長として、学校を盛り上げたい。だれかの役に立ちたいという願いを優先してしまった。
本来ならやるべきではなかったのだ。時期が悪すぎる。
なぜ、一色の願いを優先した?……いや、今考えるのはそこではない。
しかし、そんなことを言ってもどうしようもないし、考えるだけ無駄だ。
今は目の前の不祥事を解決せねば。
とりあえず涙目になっている一色を下げる、といきたいところではあるが、
それでは焼け石に水だろう。
どうする、考えろ。
と、そこで救世主になるかもしれない人物が現れる
「なにごとかしら」
雪ノ下雪乃はこの状況でも凛とした姿勢を崩さないでいた
彼女たち誘導班には無線をもたせていないのだが、異常を察知した監視員が報告を入れたのだろう。
その美しい容姿と冷たい声音に、周囲は静寂に包まれる
が、それも一瞬。次の瞬間には怒りの矛先が雪ノ下に向けられる
「なにごとかじゃねーよ!こっちは必死こいて勉強してんのに、
こんな遊びみたいなことやらされてんのに黙ってられるかよ!」
「……比企谷くん。彼は何をほざいてるのかしら?」
「いや、聞いたまんまだろ。何煽ってんだ。つか、自分の持ち場はどうした」
「あちらは由比ヶ浜さんに任せたわ。向こうは温厚な子が多いから彼女一人でも大丈夫でしょう」
その雪ノ下の余裕な態度に相手の怒りは増していく
「おい!無視してんじゃねーよ!」
「口のきき方がなっていないわね。年上に対する敬意を知らないのかしら」
その喧嘩腰の雪ノ下に小声で注意する
「おい雪ノ下、あまり相手を刺激するな。不利なのはこっちだ」
雪ノ下はわかってるわ、と一言。ほんとにわかってんのかよこいつ……。
「はぁ?そっちこそそんな態度でいいのかよ。
俺があんたらのやってることに文句言ったら困るのはそっちじゃないのか?」
少年はニヤニヤと勝ち誇った笑みを浮かべる。
「……好きにすればいいじゃない」
「んな!?」
おいおいまじかよ雪ノ下さん。さすがにまずいぞ。
雪ノ下は俺の方を見たあと、一色の方に目をやる
……ああ、そういうことか。
俺は呆れたように息を吐き、一色の方へ向かう
「大丈夫か」
「は、はい。でも、雪ノ下さん、あれまずいですよね?」
「……いや、多分大丈夫だ。それよりもあれを治めるにはお前の一言が必要だ。いいか――」
「―――――はい、わかりました」
その間にも言い争いは続く
「は、はぁ?あんたおかしいんじゃねーの?意味わかってーねーだろ」
「わかっているわ。そのうえであなたに言ったつもりなのだけれど。
もしかして理解できなかったかしら。好きにしなさいと言ったのよ」
正直ものすごくヒヤヒヤするやり取りだ。
しかし、その動じない雪ノ下の態度に相手は焦りを見せる。
彼女は当然、その焦りを見逃すはずがない。その隙を逃さず一気に攻めたてる。
「あなたの言うとおり、私たちのやっていることは随分と無謀だと言えるわ。
あなた一人の言葉でこの学校は悲惨なものになるわね。
在校生はもちろん、ここを受験しようとしている人たちも、ね」
「……な」
最後の一言に、我関せずでいた他の受験生たちもざわめきだす。
彼らは本気でここに入学をすることを目指し頑張ってきた。
しかし、それが一人の発言により周囲から責められるような問題校になってしまう。
ここでの学校生活を夢見た者達からしたらたまったものではないだろう。
「……は、おどしのつもりかよ」
そういう少年の顔は、先ほどのような余裕は無く、周囲の視線を気にしだす
「ええ、そうよ。あなたの行動ひとつでここにいる彼らの人生も決まってしまうのよ?
……どうすればいいかわからないあなたに選択肢をあげるわ。
一つ、一時のテンションに身を任せ、周りを、挙句自分すらも壊すもの
二つ、怒りを抑え、その感情を別の労力に使うことでこれからの道を形成すること」
少年の目はこれでもかというくらいに泳いでいる。
雪ノ下はそんな少年に、これまでの冷めた表情から一転、優しいものになり諭すように言う。
「利口なあなたならわかるはずよね。あなたのストレスはもっともだわ。
でも、それであなたのこれまでの努力を無駄にするのは愚かだわ」
それはもう洗脳と言ってもよかった。
彼からはもう反論する気配はない。ここでもうひと押しだ。
一色が前にでて頭を下げる。
「こちらの配慮が足りず、不快な思いをさせてごめんなさい。
許してもらえるなら……諦めずにここを目指してください
わたしにできたんです。あなたにできないわけがありません」
最後のは一見、挑発のようにも思えるかもしれない。
だが、これでいい。
こいつは周りの人間からの攻撃を恐れ、見下した相手からも劣るわけにはいかない。
こういう輩には、妙なプライドがある。
ならばここで投げるようなことはしないはず。
正直酷い賭けだ。こいつがこの件を問題にしないとは限らない。
しかし、そうはならないという確信があった。だから雪ノ下はこの方法を取った。
「………いえ、こちらこそ迷惑かけてすみません」
というと彼は俯いたまま、皆の輪に戻る
この周囲の人間がこいつを縛る枷となる。
そもそも総武の学力は高いほうで、仮にもここを目指すような人間が自分をも貶めかねないことなんてしないはず。
なんて考えだろうが正直苦しいな。
……人の心なんざいつだって変わる可能性はある。
運が良かった……とでも思っとくか。
俺は雪ノ下に近寄り小声で声をかける
「よくあんなこと思いついたな」
「別に……あなたの真似をしただけよ。正直いい気はしないわね」
「そりゃそうだろ」
恐らく体育祭の会議でのことを言っているのだろう。
真似と言っても、あの時に限っては直接手を出したわけではないのだが。
「あなたならすぐこの方法に出ると思っていたのだけれど、柄にもなく焦っていたようね」
「……別に。たまたま出てこなかっただけだ」
雪ノ下は、そう、と呟くと再度動き出した集団についていく
「私もこちらにつくわ。また問題を起こされても面倒だし」
「ああ、頼む」
「………それと、彼女のケアは任せるわ。あなた以上に適任はいないでしょうし」
一言任せろとだけ言って俺もその後を追う
* * *
以降の見学では少し空気が悪かったがテニス部の体験をするころには皆笑顔に戻っていた。
さすが戸塚パワーだ。だがそれ以上近づくことは俺が許さん。
そのあとも特に問題は起きず最終段階までいき、
うぇーい集団のおかげもあってか全体的に雰囲気はよかった。
お調子者の戸部とアホの由比ヶ浜がなかなかいい盛り上げ方をしてくれ、
その馬鹿っぷりをみて安心した奴も少なくないだろう。二人には感謝している。
あと、おまえらほんとにどうやって入学したの?
総武校七不思議のひとつに認定されるまである。
他には、そこにいるのにいない人とか。あ、俺か。
中学生たちは帰り際に絶対受かってみせます!と意気込んでいる奴らもちらほらいた。
そのなかに小町や、川崎大志っす!が口癖の川なんとかさん弟がいた。……まさか一緒に来たなんてことないよな?
依然落ち込んでいる様子の一色であったが、その言葉にはいくらか救われただろう。
イベントのあとには当然片付けやらなんやらの後処理がある。
とはいえ、文化祭のようなゴミが大量に出るものでもないので、机やイスを運ぶ程度だ。
だらだらとイスを運んでいるところに、一人の男が近づいてきた。
「やあ」
そいつは爽やかな笑みを貼り付け、馴れ馴れしく声をかけてくる。
葉山隼人。一色いろはの想い人である。
「よぉ……」
なにか用があるのだろうが、なにも言わず隣を歩く
なんだ、なんだよ、なんですかァ?言いたいことあるならさっさと言えっての。
「おい、なんか用があったんじゃないのか?」
「はは。用がなければ共に行動しちゃダメなのか?まあ用はあるんだけどね」
少しイラッときたが、ここは大人しく聞いてやろう。でもムカつくからちょっと小言いってやろ。
「そりゃだめだろ。俺とお前はそんな仲じゃないからな。んで?なんだよ」
「相変わらずキツイな。………今回のことだよ。いろはがこんなことしたのには君が一枚絡んでるんだろう?」
「まるで俺があいつをけしかけたみたいな言い方だな。確かに協力はしたが、提案したのはあいつだ」
「そうか。でも君がいなければ彼女はあんなことしなかった」
その言い方に俺の目は鋭く、攻撃的な声になっていた
「……なにがいいたい」
「ははは、そう睨まないでくれ。別に誰が悪いとかいう話をしに来たわけじゃないよ。
むしろあの変化はいいものだと思ってるよ。結果がどうあれ……ね」
「は、どうだか。最終的な結果としちゃあながち失敗でもねーだろ」
強がりだ、わかっている。今回は完全に失敗だ。10人中10人が満足しなければ意味のないような企画だった。
葉山はまるで見透かした風に笑い、話を続ける。
「雪ノ下さんは気づいてたんじゃないかな。今回の結末について」
「…かもな。実際問題が起きたときの行動も早かったし、対策も早かった。まぁ穴だらけの策だが」
「……さっきいった彼女という言葉。雪ノ下さんも含まれてたんだけど……気づいたかな」
「………さあな」
話している間に気付けば片付けは終わっていた
これ以上こいつといるといらんことを言いそうだし、さっさと退散するとしよう
「君は、すごいな。羨ましくて……妬ましいよ」
その言葉に足を止める。
「は?俺に羨む要素なんかどこにある。ただの卑屈なぼっちだ」
「……俺にはできないことをやってのけるところだよ」
そんなもの過大評価だ。
……そういえば俺を褒めるのは自分のためだとかいってたな。
俺は無意識のうちに、前から思っていた疑問をぶつけようとしていた。
「お前、前好きな奴がいるって言ってたが……あれは―――」
葉山はただ哀しそうに笑い、告げる
「……俺にそんな感情を抱く資格はないよ。……君がどんな選択をして、
誰を選ぶかはわからないけど、それがいいものであることを祈っているよ」
最後に意味深で、理解不能な言葉を残し、その場を去っていく。
つーかあいつは監視者かなんかなの?もしかして俺の秘められた力がうんちゃらかんちゃら。
「選択……か」
そんなもの、俺にあるのだろうか。
そもそもなんの選択をするというのだ。
「……とりあえず、一色のケアを頼まれたからな」
誰に言い訳するでもなくそう口にすると、目的の人物を捜すために歩き出す。
* * *
生徒会室に足を運ぶと、そこに一色いろははいた。
既にほかの役員たちはおらず一色一人のようだ。
「あ、先輩……」
俺の姿を確認すると、顔を俯かせる。
少しだけ近づくと、うなだれたまま口を開く。
「……あははー、なんかダメダメでしたねーわたし」
「……よくやってたと思うぞ」
「全然だめですよ。やっぱり無茶でした。
みなさんに負担もかけてしまいましたし、雪ノ下さんまで……」
その声は震えていて、必死に涙を堪えているようだった。
「仕事なんだ。誰にだって負担はかかる」
「そういうことじゃないです!……わたしは!」
「お前は悪くないだろ。今回のことは俺に責任がある」
「……なんでそうなるんですか。先輩は悪くありません。わたし、が」
「おおまかな提案をしたのは俺だ。もっとうまくやる方法だってあった。完全に俺のミスだ」
一色はあはは、と力なく笑う。
「先輩慰めるの下手ですね~。気を遣ってるのバレバレですよ。
……むしろはっきり言ってもらった方が、ひらき、なおれ」
最後まで言葉にできず、小さな嗚咽が聞こえる。
俺は無意識に、自然に、彼女を慰めるべく、その頭に手をやる。
「頑張ってたよ、お前は。確かに失敗だったかもな。時期は最悪だったし、やったこともむちゃくちゃだ。
でも、おれも共犯だ。むしろ戦犯まである。お前だけがしょい込む必要はない。
この学校を盛り上げようとしたお前は……立派だったぞ」
「ぜん……ぱい゛」
一色は俺にしがみつくかのように抱き着いてくる。
少し驚いたが、ここで引きはがすのもさすがに可哀想だ。
それに………嫌ってわけでもない。
なおも泣き続ける一色の頭を撫で続ける。
なぜだろうか。
自分の今までの行動を振り返り、よく考える。
以前、雪ノ下に甘やかすなと言われたことがある。
俺は一色のことを甘やかしすぎたのだろうか。
では、なぜ甘やかした。
小町に通ずるとこがあったからか。
それもあるだろう。だが、すべてじゃない。
……まだ、よくわからない。
少なくとも、こいつのことは……嫌いじゃない。
「……もう、落ち着いたか」
「……もう少し、こうしてたいです」
既に嗚咽は鳴り止み、落ち着いてはいるのだろう。
この気恥ずかしい状態は続いたままだが、すでに十分恥ずかしいので1秒も1分も変わらない。
「先輩。なんでわたしによくしてくれるんですか?わたしみたいな人、苦手そうなのに……」
「さあな。慣れたんじゃねーの」
言われて気づく。
こいつを、一色いろはを初めて認識したときどう感じた。
柔道部からの依頼の時に初めて知った。俺は確か危険な奴だと称した。
こういった人間は苦手ではなかったか。
「えへへ……。やっぱり年下好きなんですね先輩って」
「別にそういうわけじゃないだろ……。お前のことはなんも思ってないしな」
「えー!?ここまでやっといてそれは酷いですよせんぱーい!」
「おい、誤解を招く発言をするな。つーかそろそろ離れろ。誰かに見られて葉山の耳にでも入っても知らんぞ」
「へ?なんで葉山先輩がでてく……あー、そうですねはい」
一色は、ふっふっふーと謎の笑みを浮かべると、こちらに目を向ける。
「あ?なんだよ」
「いえいえ。名残惜しいですが、今日は充分堪能しましたし離してあげましょう」
あざといなー。俺じゃなかったら、え?こいつ俺のこと好きなん?って勘違いするところだぞ。
「あ、わたし葉山先輩狙うのやめましたんで」
「は?なんで急に…」
「別に急じゃないですよ?それよりも難易度高い人を落としたくなったんですよ先輩」
「葉山より難易度高いとかそれもう無理だろ。つーか葉山ですらダメなのにそいつはいけんのかよ」
「ぐっはぁ、先輩なかなかストレートに抉ってきますね……。でも、なんかいけそうな気がします!」
「ほーん。まーがんばれよ」
「はい!というわけで覚悟してくださいよ?せーんぱい?」
「は?」
可愛らしい笑みを浮かべると荷物をまとめ颯爽とこの場から立ち去っていく。
なんか嵐みたいな奴だな。
つーか個々の鍵どうすんだよ……。俺にかたしに行けってか。
はぁー、と溜息をこぼし部屋に鍵をかけ、その鍵を返すべく職員室へと向かう
選択。
ギャルゲーなんかでいえば、ヒロインの選択だろうか。
1 雪ノ下
2 由比ヶ浜
3 一色
4 小町
5 戸塚
みたいな。……なにこの妄想恥ずかしい!
安易に知り合いをたとえ話に用いるのはやめておこう。
つか、小町とかおかしいだろ。戸塚?それは別におかしくない。
だが、それは物語の中のお話。
セーブ前に戻って選択を変えることはできない。
そもそも俺に選択肢なんてあるのだろうか。
仮にあったとして、俺が選ぶルートなんか決まっている。
実質的には一本道だ。
BAD ENDやHAPPY ENDなんてものがあるが、それは本人からしたらだ。
誰かにとってハッピーでも、別の人からしたらバッド。逆もまた然り。
そんな選択を迫られたとき、俺はどうするだろう。
ま、そんな経験ないし、これからもするとは思えないんだけどな。
ふと外をみるとだいぶ暗い。
もう小町は家についてるだろう。飯が出来ているかもしれない。
「さっさと帰るか」
今日はいろいろ考えすぎて疲れたしな。はやく自室でゆっくりしたい。
鍵を返し、駐輪場へ向かう。
その頭の片隅にあるのは、可愛らしい後輩の笑顔だった。
***
おつ!!
おいお前ゆきのんが好きなのかよ
これが終わったらゆきのんのSSを書いてくださいオナシャス
おいお前ゆきのんが好きなのかよ
これが終わったらゆきのんのSSを書いてくださいオナシャス
平塚先生は選択肢を30番台くらいまでいけば出てくるよ三十路的に
選択肢増えて平塚先生出てきたなら静たんを選ぶ
静たん出てこないうちに選ぶならガハマさん
静ちゃんも含め、ラブコメなラノベにはかなりの確率で嫁き遅れの女教師(総じて美人で人柄もよく結婚できないのが不思議)が出てくるので幸せ
選択肢増えて平塚先生出てきたなら静たんを選ぶ
静たん出てこないうちに選ぶならガハマさん
静ちゃんも含め、ラブコメなラノベにはかなりの確率で嫁き遅れの女教師(総じて美人で人柄もよく結婚できないのが不思議)が出てくるので幸せ
いつからいろは、こういうイベントごとに強いって原作と逆の設定が定着したん?
アイテムの7番目にカーソルを合わせてセレクトボタンをうんぬんかんぬんしないと平塚先生は出ないから
ここの一色は時々目にハートマーク浮かんでそう
ここの一色は時々目にハートマーク浮かんでそう
イベント内容もめちゃくちゃ、解決方法もめちゃくちゃ、雪ノ下もめちゃくちゃ
色恋沙汰以外書く必要なくね?まともに書けてないんだし
色恋沙汰以外書く必要なくね?まともに書けてないんだし
SSなんだしそこまでの完成度求めてどうすんのさ
おかしかったら「ハハ、クオリティ低ww」って流せばいいのに
おかしかったら「ハハ、クオリティ低ww」って流せばいいのに
>>242
低知能の読者様にそれを求めるのは酷
低知能の読者様にそれを求めるのは酷
ハハ、クオリティ低wwwwwwwwww
ハハハハハッッハッハハハハハハwwwwwwww
低っwwwwwwwwwwwwハハハハ、クオリティあははハハハハ低wwwwwwwwwwwwww
ハハハハハッッハッハハハハハハwwwwwwww
低っwwwwwwwwwwwwハハハハ、クオリティあははハハハハ低wwwwwwwwwwwwww
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