元スレ男「……いよいよメラが使える様になるとか末期だな俺は」
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601 = 595 :
男(コイツ、何故俺の名前を……)
男(って身構える程のもんでもないか、受付で名前を見たかもしれないし)
男「そうっすけど、なに?」
セイバー?「……あの、次来店なさってもこの事は内密にお願いします」
男「は……?」
< パサッ
店員…セイバー「流石にウチの携帯会社、こういうのに厳しくて……バレたら良くないんですよぅ……」ぺこり
男(この子いつもの携帯ショップのー!!)
セイバー「あ、ここではセイバーって呼んで下さいね? 私毎回こういうイベントに出てるんですよ~」ガシャッガシャッ
男「は、はぁ……」
セイバー「でもやっぱり野良でコスプレしてると身バレこわくて本名は明かせなくてー」
男「いやぶっちゃけヅラ取らずに言われなかったら店員さんって気づかなかったけど」
セイバー「 」
602 = 595 :
セイバー「……」
男「……」
男(なんだこの沈黙……主任の時にも流れたような)
セイバー「ま、まぁ内密にしてください」
男(顔真っ赤ですやん、このお嬢)
セイバー「で……好きなんですか?」ガシャッ
男「ん? なにが」
セイバー「型月!」
男「かたつき…?」
男「なんだそのガン=カタみたいな」
セイバー「違います」
603 = 595 :
セイバー「型月とは「有限会社ノーツ」のゲームブランド名でこれを通称「型月」。同人サークルとして1999年に発足され、その作り込まれた世界観とキャラクターなどで有名となりました。?アダルトゲームブランドでありながらもバトル・アクションシーンの熱さに定評があり、同時にはっちゃけるときには「キャラ崩壊どんとこい」というぐらい、とことんカオスを貫き通すため、羽目を外した際のギャグにも定評があり、近年では毎年エイプリルフールに何かをする企業としても関連業界では定評があるのです!!」
男「ほ、ほう…?」
セイバー「私の格好の元であるキャラはご存知ですか!」
男「ああ、まぁCMとかネットとかゲーム屋で……」
セイバー「セイバーとは、『Fate/stay night』のメインヒロインの一人及びその派生作品に登場するキャラクターで、第五次聖杯戦争において衛宮士郎に召喚されたセイバーのサーヴァントです。青いドレスに白銀の甲冑を纏い、雄々しく戦う金髪碧眼の少女剣士で、あ! 私のいま着てる衣装も全て鋼と特殊繊維で出来てるので本物並みですよぅ! で、「Fate/stay night」におけるメインヒロインの一人であり、Fateシリーズを代表する顔です! 同じく型月の『月姫』と並ぶメインキャラなんです。ちなみに第四次聖杯戦争では、士郎の育ての親である衛宮切嗣により召喚されました。?しかし切嗣の勝利至上の戦闘方針と、セイバーの騎士としての誇りは相容れることなく、結果反目し合い、当時の彼に直接声をかけられたのは3回のみしかも令呪の命令という徹底ぶり。そして第五次聖杯戦争の折、士郎の体内にある聖剣の鞘が触媒となって召喚される。士郎に剣の誓いを立て、彼とともに聖杯戦争を戦う。有名なのはやっぱりあの「問おう。あなたがわたしのマスターか」ですね!!」
男「……そ、そーなんですかぁ…」
セイバー「ちなみに型月で知ってる作品は何ですか?」
男「いや、あー……」
男(迂闊に口を開けばwikiのような事をペラペラと聴かされる……ッ! く、どうすればッ…………)
604 = 595 :
< 「うわぁああああっ!!」
セイバー「!」
男「今のっ!?」
男(尋常じゃねぇ悲鳴、まさか……!)バッ
セイバー「男さんはここに! 私が見てきます!」ガシャッガシャッ
男「いや店員さんはここで待ってろ! 俺が行く!」
セイバー「男!」
男「!?」びくっ
セイバー「セイバー、です」
ガシャッ、ドッッ!
ダダッ…! シュバッ
男(なっ…!?)
男「嘘だろ……」
605 :
まさか店員まで見える人だったのか?
606 :
カメラ男「ぎゃぁああ!! わぁああああっ!! 誰かぁぁあ……っ!!」バタバタ
レイヤー「いやだぁ……やだぁ……体を、体を虫が……っ!!」ガシガシ
警備「……」ボーッ…
男「こいつァ……ヤバいな」ザッ
無数の悲鳴が辺りを飛び交う中に辿り着いた俺の前に、大勢の人間が『異常』な姿でいた。
ある女は全身を掻き毟り、あるカメラを携えた男は先程から悲鳴をあげながら猛烈な勢いで地面を何故か走っている。
そして、そこへ駆けつけたらしき警備員の殆どが倒れる中で一人だけ虚ろな目で空を見上げたまま座っていた。
開催されてからピークの直前だったとはいえ、大勢の人々が会場のそこかしこで地獄と化していたのだ。
薬物テロの可能性が無かったわけではない、会場の入り口でドリンクを配っていたのを覚えている。
だがそれ以上に、俺にはたった一つの存在が見えていた。
『モンスター』だ。
ゴーゴンヘッド【 弱い 】
ゴーゴンヘッド【 なんと貧弱な精神力だ……こちら側の人間は呪文一つで倒れる 】
ゴーゴンヘッド【 情けない指揮官共が制圧するまでもない、この己が街ごと潰してくれる 】
ゴーゴンヘッド【 だがそれはこちら側の人間の剣士、貴様を壊してからだ 】
昼間である事すら忘れさせる黒い煙を散らして宙に浮き、深緑の蛇を無数に生やした妖しい眼球。
巨大であり、異質な空気を纏うその姿はこれまで見た中では最も『モンスター』らしい怪物と言えた。
男(『ゴーゴンヘッド』! コイツも完全な顕現ってので出てきたのか……!?)
男(いや、それよりも……)
混沌渦巻くその会場の中で俺の意識を釘付けにしたのは、かつてない強敵ではなく。
一人の、キャラクターになりきっている女だった。
607 = 606 :
セイバー「……」
ガシャッ
悠然。
頭上を飛行する怪物を目の当たりにしても、彼女はそれに臆す事なく一歩踏み進んだ。
その時、彼女の足元から何かが巻き上がっているのに俺は気づく。
視線を落とした先に俺が見たのは、黒い残滓と共に散っていくモンスター。
そこに横たわっていたのは、一体の獣だった。
男(青い体毛……ダースリカント…か?)
言葉を話すモンスター達の共通点が、一定の実力を持った上位種のモンスターなのだとすれば。
あのアニメに熱く語っていた女性、店員が倒したと思われるモンスターは間違いなく指揮官と呼ばれるその地区の最強クラスのモンスターである。
俺が彼女を追い掛けて到着したのは、恐らく彼女の十秒後しかない筈だ。
その短時間で倒したとは思えない。
であれば仲間割れだろうか……そう俺が考えを巡らせた瞬間だった。
セイバー「行くぞ怪魔」
──────────────────── ゴッッッ!!!!
609 = 595 :
男「 ────────!!?」
大気を揺るがす程の轟音、そして全身を駆ける衝撃。
初めてさまようよろいの使ってきた『兜割り』等とは比較にならない、身が竦み上がる様な砲撃だ。
だが目の前で起きたのは砲撃とは程遠い、原始的な行動。
一閃、或いは一薙ぎ。
最早その刹那に起きた事は音でしか分からず、彼女がいつの間にかその手に赤い両手剣を握っていなければ魔法だとすら思ったのだ。
そして、残滓すら残さずにあのゴーゴンヘッドが粉砕されなければ、俺は彼女に近づきもした。
男「…………」
動けない。
動けるはずがない。
ゴーゴンヘッドというモンスターの初期開発時の守備力は恐るべき120、これは上位レベルの勇者でも一撃では倒せない硬さなのだ。
仮にそうではなくリメイク版の99だとしても、あれは決して一撃で倒せるモンスターではない。
ましてや弱点である脆さを指揮官級のモンスターが対策していない筈がないのに。
空へ向けていなかったらどれほどの破壊が周囲に及んだのかも知れない、そんな一撃を放った携帯ショップの店員である女は……それをたった一瞬で消し飛ばしたのだ。
セイバー「……あ、っと…」パサッ
セイバー「あはは、カッコ悪いですね……もう…髪の毛染めちゃおうかな……無理か」ごそごそ
セイバー「…………」クルッ
そんな彼女を前に俺は動けなかった。
色々な考えが浮かんでは消えていく中で、彼女だけは平然と俺に振り向いた。
セイバー「手伝って下さい、会場の人達を助けないといけません」
男「…………」
俺は、声を出すことすら出来ずに頷いた。
610 = 595 :
< 「くけけけけけけけけけけけけけ」
< 「おかあさぁん、どこー…なにも見えないよぉ、なにも聞こえないよぉ……」
< 「わぁああああっ!! わぁああああっ!!」
< 「ひぎぃいいい!!」
セイバー「怪魔を倒したのに、未だ呪いが解けない……何故」
男「『マヌーサ』だ、幻惑の魔法で皆ひどい幻覚を見てる……だけだと思いたい」
セイバー「その魔術を解除するには?」
男「時間が立てば解ける……はず」
セイバー「曖昧な事を、本当に問題ないのだろうな」
男「ゲームじゃその程度の阻害魔法でしかないんだ、でも現実のこれも同じかは分からない」
セイバー「……ゲームだと?」
セイバー「遊んでる場合じゃないんだぞ!」
男「こっちも遊んでるつもりはないよ! ドラクエ知らないのかそんなに強くなっておいて!」
セイバー「え、ドラクエ…?」
男(あーもうやだ! この人ドラクエやってない人だ! 何が悲しくて分野の違うオタクにキレないといけないんだ!)
611 :
ドラクエ知らないで強くなった結果か
612 = 595 :
セイバー「ドラクエ……」
セイバー「……!」ハッ
セイバー「なら状態異常を回復する魔術がある筈だろう? それを使えれば……」
セイバー「エスナ!」バッ
男「違うそれはFFだ!!」
男(けどキアリーやキアリクは違う、はず……やっぱりこのまま待てば…?)
< 「ぅう……っ、ぐぅ…!」
男「?」
セイバー「様子がおかしい……これは!?」
男「痙攣…? 心臓発作か何かか……!」
セイバー「お、男さん! どうしたら……」ガシャッ
男(恐怖か何かでおかしくなってしまう事は有り得るのか……どうすりゃいい)
男(俺に、そんな都合の良いことなんて……)
『 ゆっくり、ゆっくり深呼吸して……? 』
男「……」
男「……じーさん、起きろ」ペシペシッ
613 = 605 :
まさかのビンタ
614 = 595 :
セイバー「ちょっ!? なにを……」
男「片っ端から叩き起こせ、高齢者から順に」ペシペシッ
男「じーさん、起きろー」ペシペシッ
セイバー「それで……!」
< 「ぅ……あ…?」
セイバー「……!」
男「うし、起きたな」ぐいっ
男「よくがんばったなじーさん、もう大丈夫だぞー……」ギュゥッ
男「ゆっくり深呼吸しろな、ゆっくりだぞー……」
セイバー「……」
男「…?」
男「なにしてんだ、早くしろって」
セイバー「は、はいっ」ガシャッガシャッ
セイバー「もう大丈夫です! 起きてください! 目を開けて!」ユサユサ
< 「あぁあああああ!!」
セイバー「起きて! 起きて!」
男(……)
615 = 595 :
男(これだけじゃ駄目だ、これだけだと端からおかしくなる)
男(理屈は……勘だけど分かった)
男(皆は見ているんだ)
男(『悪夢』を)
男「……すぅう…ッ」バッ
男(夢を見ている筈なんだ、これじゃ駄目かもしれない、駄目ならもう俺はこの人達を一人ずつ起こすことしか出来ない)
男(夢ならば醒める)
男(悪夢から逃がしてやればいい……その筈なんだ)ググッ
男(大丈夫だイメージしろ、今のところ作品の共通点は分からねえが……メラが使えて使えない道理はない)
男(主任は言っていた、『ギラ』の特性が違うことがある…って)
男(ならつまり…同じ魔法でも使う者によって形は変わるんだ)
男(皆を起こす……この魔法で!!)
男「 『ザメハ』 !!」
キィインッ
616 = 595 :
< 「……っ、あれ……私…何を…」
< 「すごい汗だく…なんか怖い夢見てた気がするな……」
< 「はぁ……はぁ……?」
< 「おかあさん、セイバーのお姉ちゃんが助けてくれたんだよー」
< 「あ、あれ…? さっきまで緑の触手の化け物が浮いてたような……」
─────── 「「ザワザワ……」」
セイバー「……」
男「成功、だな……」
男「……っ」ぐらっ
男「やべ…魔力持ってかれた…のか……」へたんっ…
セイバー「男さん、とりあえずここを離れます」ガシッ
男「へ…?」
セイバー「掴まっていて下さい」バッ!
男「うぉおっ!」
617 = 595 :
【路地裏】
< ガシャッ
セイバー「大丈夫ですか、男さん」
男「……魔法を使いすぎると…意識が混濁するんだ、店員も気をつけろよ…」へたっ
セイバー「魔術回路を酷使したんですね」
男「ごめん分からん…っ」
セイバー「えっ」
< カシュンッ
店員「っと」スタッ
店員「男さん、Fate知らないんですか……」
男「……服が消えた」
男(そういや剣もいつの間にか消えてる、ただのコスプレじゃなかった……のか、どういう仕組みだ…?)
男(この女……何者……)グラァ…
< ドサッ
618 :
セイバー口調おかしいような
619 = 595 :
※ セイバーは本家セイバー本人じゃありません、店員が素の話し方になってるのです
──────────・・・
男「ぅ……ん……」
店員「起きましたか」ひょこっ
男「…っ、ツゥ……頭が…」ズキッ
店員「エクスカリバーに聞きました、魔力切れを起こすとそうなるらしいです」コトッ
店員「紅茶どうぞ」
男「……ありがとう」
< ズズ……
男「……はぁ」
店員「ハーゲンダッツもありますよ、ストロベリーですけど」
男「……いや、いい」
店員「男さんも私と同じくサーヴァントに選ばれた方なんですか?」
男「サーヴァント……?」
店員「はい、闇の怪魔達と戦う『ゾーマ派』という異世界から召喚された英霊達の……」
男「ごめんマジやめてちょっと考えさせて……!」
店員「え、あ、はい」
620 = 618 :
ああ、ですます口調は店員としての演技で、本当は~だっていう口調なのか
セイバーになりきってるにしては喋り方違うと思った
621 = 611 :
いやですますが素でしょ
622 = 595 :
※ >>620そこに加えて『店員』としての仕事柄も彼女の口調に落ち着きを与えておらず、バラバラになりがちですね。~だ、が彼女の素の口調ではありませんがセイバーの口調とは違う『崩した敬語』は彼女の素となります。
(ちなみにFate/staynight&Zeroでのセイバーというキャラクターの口調は基本は敬語となります。)
気になる方の為に一応減るものでもないので説明しておきました。
Fateシリーズに興味を持たれた方は是非とも原作或いはアニメをお買い上げ下さい。
623 = 595 :
男(……この子に説明させるにしても常時自分の世界に入ってる感じだ、結構気になるポイント多いがこれは…)
男「……エクスカリバー、って?」
セイバー「私の宝具です」パサッ
男「いやヅラ着けなくていいからいいから」
店員「むぅ……ちぇー」パサッ
店員「エクスカリバー、出てきて下さい」
< スゥゥ……
赤い剣…?「大丈夫なの、この人間」
男(うををぉおい喋ってるよこの剣んんんん)真顔
店員「問題ないと思いますよー? 彼、あんなに沢山の人を助けてくれましたし」
赤い剣…?「ふぅん」
赤い剣…?「他の二人は呼ばなくていいわ、私が話すから」
店員「分かりました」
ブラッドソード「初めまして人間、私は『ブラッドソード』」
ブラッドソード「こちら側とは異なる世界から来た、モンスターよ」
男「……」
男「ゾーマに言われて……味方になったモンスターか」
ブラッドソード「グッド、凄いじゃないセイバーこいつ当たりよ」
店員「ふぇ?」
624 = 618 :
>セイバー「曖昧な事を、本当に問題ないのだろうな」
>セイバー「……ゲームだと?」
>セイバー「遊んでる場合じゃないんだぞ!」
ここらへんどの媒体のセイバーとも違うなーって思ったからさ
625 :
まさかドラクエのssでセイバーの指摘が入る日が来るとは
626 = 595 :
──────────・・・
< ガチャッ
男「ただいまー」
店員「お、お邪魔しますー……」
主任「男さん、その方がさっき電話してきた時に話した……例の?」
男「奇跡ってあると俺は本気で思いました」
主任「……目の下にクマが出来てません?」
男「ここに来るまでのタクシーの中で物凄い話をされて……」
主任「はぁ」
店員「あ、これどうぞ私の友人のサークルで作ってるアホ毛モナカです」
主任「え? はいありがとう」
店員「ちなみにこのアホ毛はFate/EXTRAのセイバーをモチーフにしていまして……」
男「ストーップ、マジでやめてその人俺の元上司だからやめて!」
主任「セイバーのアホ毛って別に作品ごとの違いなんてないと思いますけど」
男「主任!?」
627 = 605 :
まあ10年位人気なゲームだからね。
ファンがいても不思議ではない。
628 :
赤セイバーはちょっと長いんだよな。
629 = 595 :
< スゥゥ……
ブラッドソード「こんな短期間で仲間を見つけるとは思わなかったわ、だいぶ希望が見えてきたじゃない」
地獄の鎧「……ブラッドソード、か」
ベホマスライム【ホヨヨ…】キッ
ブラッドソード「大丈夫よそこのスライムさん、私もまた貴方達と同じくゾーマ様にお声をかけられた者なのだから」
地獄の鎧「フム、だが他の二匹は何者だ」
ブラッドソード「分かるの?」
地獄の鎧「『レムオル』ではないな、恐らくはエレメント系のモンスターか……物理的に姿を消そうと気配は漏れているぞ」
ブラッドソード「あら怖い、思ったより血の気が多いのね」
地獄の鎧「……」
ブラッドソード「でも安心して、私達はセイバーが戦う意思を見せない限りは危害は加えないから」
地獄の鎧「ゾーマ様に誓ってか」
ブラッドソード「我等が王に誓って、よ」
男(……男です、この3日で胃がマッハで穴が出来そうです)
主任(男さんの顔色悪いですね……大丈夫かな)
店員(あの鎧完全にランスロットだよぉ……うわぁ、写メ撮ってもらお……)
630 = 595 :
ブラッドソード「元々、私達とセイバーは一ヶ月前に出会ったのよ」
ブラッドソード「それもセイバーの実家、北海道でね」
男(……たった一ヶ月?)
ブラッドソード「私達がゾーマに言われたのは一つだけ、彼女に付き従い戦う事」
ブラッドソード「じごくのよろいみたいに漠然とは言われてないわねー」
ブラッドソード「でも、これでやっと今こちら側で起きてる事が分かったわ……元指揮官級のモンスターと合流出来たのは奇跡よ」
地獄の鎧「同感だ、一体どれほど前からどれだけの数がゾーマ様の配下になったかは知らないが高い確率ではあるまい」
ベホマスライム【……】キッ
店員「…?」
主任「ベホマスライムさん、どうかしましたか」
ベホマスライム【……ホヨヨ】フルフル
主任「?」
ブラッドソード「さて、それじゃ互いの知らないことの情報交換と行きましょうか」
631 = 595 :
地獄の鎧「うむ……分かった事としては、『北海道の指揮官級は全て撃破されている』」
地獄の鎧「そしてそれをやったのはそこの店員という女一人」
店員「です!」
地獄の鎧(……私と同レベル帯、恐るべき成長速度だ……いやそれ以前にこの人間はどれだけ戦えばそこまで到達できるのか)
地獄の鎧「一時的に里帰りしていた店員と会った貴様ら三匹は共に東京都へ戻ってきた」
地獄の鎧「そこから幾つかの指揮官級を撃破、今日たまたま男と遭遇し更に指揮官級二体を撃破……」
地獄の鎧「……そして都内の大型森林公園で『渦』の出現、か」
男「前半の話が凄すぎて気持ち悪い嘘に聴こえる」
主任「普通に嘘なんじゃないですか」
店員「ほ、本当ですよー……」
ブラッドソード「まー北海道の指揮官の最後の一体は私達が彼女と消したから嘘っちゃ嘘ね」
632 :
ブラッドソード「それにしても厄介な話ねー……ここの所、やけに敵がしぶとく感じると思ったら依り代を手に入れてたなんて」
ブラッドソード「おまけにそっちでも人間の味方は少ないし、例の『こちら側に来ている人間達』の影も掴めてない」
主任「それらしき人に助けられてはいますよ」
ブラッドソード「確証がないわね、私達みたいなエレメント系のモンスターが味方になっていたのかもしれない」
地獄の鎧「同感だ、この状況になっても接触がない時点で我々の世界の人間とは考え難い」
主任「なるほど……」
男「ってか、ヤバくないか? 都内にあの黒い渦……つまりこっちへ来るための旅の扉みたいなのが開いてんだろ?」
男「そろそろ来るのか…? もっとヤバい奴等が」
ブラッドソード「分からない、通常はこちら側へ来る瞬間に開くものが何故か数日開いたままなの」
ブラッドソード「警察という機関がその公園を封鎖してる、けど特別何か出来るわけじゃないみたいね」
地獄の鎧「……通常はと言ったな」
ブラッドソード「ええ」
地獄の鎧「私もあの渦に関してはそういった事象しか知らぬ、何かあるのか」
ブラッドソード「仲間の、姿を消してる奴の片方だけど……そいつが私達とこちら側へ来る時に渦が開いたままで2日経った事があるの」
ブラッドソード「元指揮官級でもわからないならそこまでだけど、どう?」
地獄の鎧「そこにいるんだろう、出てきて話したらどうなのだ」
< 「……」
店員「…!」
店員「分からないそうです」
地獄の鎧「ほう」
633 = 632 :
地獄の鎧「余程その姿を見せるのが嫌らしいな」
< 「……」
店員「恥ずかしがりやさんですよきっとー」
ブラッドソード「多分セイバーのせいよ」ボソッ
店員「え?」
男「とりあえず行ってみるか、今夜」
主任「その公園にですか」
男「ああ、このメンツで行けば何が相手でも負けはしないと思うぜ」
ベホマスライム【ホヨヨ】ブンブンッ
地獄の鎧「我等は今夜は駄目だ」
男「なぜ?」
地獄の鎧「主任との訓練で消耗している、魔力を回復させなければ指揮官級との戦いで不利になる」
ブラッドソード「なら明日の夜、またこの家に集合でいいかしら」
店員「あれ、私達だけでも行かないんですか?」
ブラッドソード「セイバーを寝かせないといけないからね」
店員「え、大丈夫ですよそんなー」
ブラッドソード「駄目よ、もう8日も寝てないわアナタ」
男「なっ……8日!?」
主任「それは……確かに寝たほうが良いですね」
店員「えー、せっかく同盟組んだのにー……カッコ悪い」
634 :
恥ずかしい、セイバーのせい…あっ(察し)
後わざわざ同盟って言ってるところとか細かいな
635 :
成りきり思い込みで強くなるタイプか
丁度、力の引き出し方と相性良かったんだな
636 :
>>624
おたくって怖い
637 :
店員は戦闘の天才かなんかかな
久しぶりにぶっ通しで読んじゃったよ
639 :
< 「それでは男さん! また明日~!」
< 「夜なんだから大声出したら駄目よセイバー」
< バタンッ
男「……だぁー、なんか疲れた」
主任「そうですね……モナカ美味しかったですが」モグモグ
男「食っとる……」
地獄の鎧「ところで男よ」ギシッ
男「ん?」
地獄の鎧「貴様、何故にその『いべんと』とやらに遊びに行っていたのだ……?」ギシッ
男「……」
地獄の鎧「……」
男「ハハッ」
地獄の鎧【シィィッ!!】
640 = 639 :
< ギャースッ
< ガッシャーンッ ドゴォッ
主任「それにしても、こんな偶然が連日続くなんて……どれだけの確率なのか」
ベホマスライム【……】
主任「……ずっと黙っていましたね、それも先ほどの店員さんを見ていた」
主任「何かあるんですか?」
ベホマスライム【ホヨ…】フルフル
主任「そうですか、でも何かあれば教えてくださいね」
ベホマスライム【ホヨ…】コクン
ベホマスライム【(……じごくのよろいは気づいてないみたいだったけれど、あの人間から只ならない気配を感じた……)】
ベホマスライム【(恐らくは魔王級、或いはその眷属に類する者から漂う魔力のせい……)】
ベホマスライム【(私とじごくのよろいが二人でかかっても勝てない、そんなモンスターが店員という人間の味方をしている)】
ベホマスライム【(ゾーマ様は、一体何を考えてそんな怪物を……? いいえ、そもそも……)】
ベホマスライム【……】
男「ぐほぉおおおおおっっ!?」ドサァアッ
ベホマスライム【ホヨー】つ ベホマ
男「……ありがと」
641 :
━━━━━━━━ 【夢】
……その日はいつも通りの朝。
……私は壁に貼ってある ━━ザザッ━━ を眺めて、少し気持ちを上げてから寒い外に出る。
……私の住む ━━ザザッ━━はとても寒くて、特に近くに町らしい建物すら見えないくらいの田舎だから、少し寂しい。
……けど私は好き、この白い雪が。
……いつかは都会に出てこの雪を見れなくなると思うと、ちょっと残念だけど。
……でも、それはそれ。
……私はこのまま頑張れば来年にはきっと ━━ザザッ━━で ━━ザザッ━━になって……
…………一度、満足が行ったら私はまた別の事に挑戦する。
……だって私は多分、出来ない事なんてないから。
……私はきっとそんな毎日を送れると思う、それできっと私は……
━━━ザザッ━━ ザザァーッ ━━━━━━
━━━━━━━━━━━━ザザザッ ━━━━━━━━
642 = 641 :
男「……」
男「今の……夢…?」むくっ
男(体が妙に重い、夢の中で軽かったからか)
男(変な夢だ、何だって雪景色の似合うJKなんぞの夢を見にゃならんのだ……溜まってんのに)
男(……)
男「たまには一発……」ぬぎっ
主任「起きてますか? 男さん」ガチャッ
男「 」
息子『(・∀・)ノ』
主任「……」
主任「ヒャダr…
男「待ってやめろぉおおおお!!」ダッ
息子『(/\)< キャッ \(^o^)/< キャッ』ブルンッ
主任「いやぁああああ!!?」
643 = 641 :
男「……昼間でも戦える場所?」
主任「そんな所があるんですか?」
セイバー「はい、東京都内とその周辺で数少ない、いわば『狩り場』とも呼べる場を見つけています」
セイバー「昨夜の話から察するに昼間は余りそういった活動をしない様ですし、共にどうかと」
男「お供のブラッドソードとかは?」
セイバー「彼等は私の近くに居ますが、今日は手出しをしません」
セイバー「私以外の事情を知る者を見るのは初めてです、この機会に互いの実力を見せ合うのが良いと思いましたので」
主任「なるほど、それはいいと思いますが……店員さんのお仕事は?」
セイバー「セイバーです、それと仕事は今朝辞める連絡をしました」
男「……次々と無職が集まる家」ぼそっ
主任「……何かに取り憑かれてそうですね」
644 = 641 :
────────── ・・・
男(…………ここは……)
主任「……」
男「おい、封鎖されてるぞ」
セイバー「今となっては誰も近づいてませんよ、問題ありません」
セイバー「警察もどうやら他の事で手が回らないらしく、この『マンション』を昼間訪れる事が無いのを確認済みです」
男(……)
男(主任の住んでいたマンション……じゃねぇか、ここ)
男「主任……」
主任「行きましょう、男さん」ザッ
男「!」
主任「魔物は殺さなきゃ、ですよ」
男「……」コクン
645 :
< カツンッ……カツンッ……
セイバー「死者は数十人、約43世帯が皆殺しにされた事でここはずっと電力も止められています……点検に踏み入る事すら危険ですからね」
男「43世帯……っ」
セイバー「だからここでは思う存分に暴れても気にすることはありませんよ、見つかっても全力で逃げれば誰も私達に追いつけません」
男「俺が言うのも何だが不謹慎だぜそれ」
セイバー「大勢の死者が出た場所です、それが当たり前でしょう」
< ピタッ
セイバー「……けど私達が戦わなければもっと大勢の死者が出るのは目に見えています、違いますか?」
主任「ヒャド」ヒュッ
< バキィンッッ
セイバー「……」
男「主任! 今のは……ッ」
セイバー「ナイスショット!」バッ
男「っ!?」
650 :
< ダダッ!
セイバー「ふ……ッ」
───────── ゴッッ!!
【「ぐぁ……ッ!?」】ゴシャァッ!!
< ポワァ……ンッ
男「!?」
主任「姿が見えませんが、モンスターに囲まれているのは確かですね」スッ
男「主任、見えてたんすか…?」
主任「見えないと言った通り、見えてませんよ……ただ」
主任(少しあの子を黙らせようとしただけです)
< ビュッ!
男「っ!」バッ
< ガギィンッ!! ギチギチッ……
男(シャドー…か? 或いはゆうれいとかその辺りのモンスター!)キィンッ
男「メラッ!」
< ボンッ!!
セイバー「お見事」ヒュッ
───────── ゴッッ!!
【「~っ!!?」】ゴシャァッ!!
< ポワァ……ンッ
みんなの評価 : ☆
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