私的良スレ書庫
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元スレ八幡「そして冬休みになった……」 雪乃「……」
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雪ノ下は持っていた傘を開くが、じっと立ったままだ。
「どうした、雪ノ下。やっぱり俺を家に上げるのが嫌になったか。無理しなくてもいいぞ。
今日の続きはいつ……」
雪ノ下は俺の右隣に立つと、俺の上に傘をかざしてきた。
「濡れるわよ。お入りなさい──」
× × ×
雪ノ下の家に上がるのはこれが2度目だ。
何とも落ち着かない。
雪ノ下のことは何とも思っていないが、絶世の美少女と2人きりというのはアレだな。
何ていうか生きた心地がしないな。
ましてやその美少女が氷の女王と来たものだ。
粗相一つで死に直結しかねない。
冗談はさておき、本当に落ち着かない部屋だ。
軽く20畳はあるリビングは生活感が感じられず殺風景だ。
中央に置かれた応接ソファー付近にだけ離れ小島のようにカーペットが敷かれている。
あとは、壁際に必要最低限にも満たないばかりの調度品と大型テレビがあるのみ。
ここには長門有希でも住んでんのか?
寒々としたという言葉はこの部屋のためにあるような気がしてならない。
俺はソファーに腰掛け雪ノ下の淹れてくれた紅茶を啜っている。
フルーティーな味わいの中に上品な香りがするこの紅茶。
いかにも若い女性が好みそうな風合いだ。
雪ノ下も一応、女の子なんだなと思ってしまう。
離れたところにあるキッチンからはカレーを温める雪ノ下の鼻歌がかすかに聞こえる。
雪ノ下雪乃の素顔の一端を垣間見た気がした。
「比企谷くん、お待たせ」
カレー皿をトレイに乗せて甲斐甲斐しくやって来る。
こいつ普段もこうしていれば、好感度は格段に違うのにな。
目の前の小さなガラステーブルの上にシーフードカレーが饗される。
あれっ……、皿が2つ……。
「ゆ、雪ノ下、お前晩飯喰ってなかったのか……?」
てっきり雪ノ下は晩飯を喰ったもんだと思っていた。
黙っていないで言ってくれてたら、俺も遠慮なく喫茶店で何か喰ってたのに。
「え、ええ……」
雪ノ下は何とも歯切れが悪い。
「何でまた?」
「そ、その、ひ、比企谷くんも食べてないから悪いと思って……」
何照れるんだお前。
お前、そんなキャラじゃないだろ。
もしかして、精神崩壊するほど実家でいじめられてきたのか?
雪ノ下雪乃よりも手強い雪ノ下陽乃、さらに雪ノ下陽乃をして手強いと言わしめる
その母親……。
こいつはそんな魑魅魍魎が跋扈する虎の穴で冬休みの大半を過ごしていたのか。
それ何ていうアウェーなの…… ゴクリ……。
こんな家に婿養子に入る奴は絶対に半月もたたないうちに壊れるな。
あなおそろしや。
庶民に生まれてよかったとつくづく思った所存だ。
あまりにも怖いのでもうこれ以上考えるのはやめよう。
「せっかくうまそうなカレーを出してもらったし、これ以上ほったらかしにしとくと
罰が当たるな」
「ええ、そうよ。だって、この私が作ったカレーだもの」
うぜー。
文字に起こしたら「フフン~♪」なんてついてしまいそうなほど上機嫌の雪ノ下。
でも、こいつが作ったからハズレは無い。
今までに喰ったクッキーや茶請けの菓子、パエリアが雄弁と物語っている。
ここまで空腹に耐えてきたご褒美として喰おう。
「いただきます」
「いただきます」
空腹すぎてあまり腹に入らないかと思っていたが、なかなか食が進む。
「そんなにがっつかなくても、おかわりならまだまだあるわ」
雪ノ下は呆れたように言う。
「悪いな、おかわり貰えるか」
さすが雪ノ下。
こいつの作るものは本当にうまい。
がっつくなと言われてもやめられない、止まらないこのうまさ。
「ええ、もちろんよ。ところで、味の方はどうかしら」
「普通にうまい……と言いたいところだが、おふくろの味といってもいいかもな」
「そう。あなたに褒められると素直に嬉し……、いえ、悪い気はしないわ」
「何言い直してるんだよ。この俺が絶賛するのはそうそうないことだぞ」
いつだがの嫁度対決の時に肉じゃがを作った小町にあの愛する小町にすら「チョイスが
あぞとい」と跳ねつけたんだぞ。
だから、素直に喜んだっていいだろ。
まぁ、もっともカレーを再加熱した時に2日目のカレーに味が近づいただけだと思うが、
そこを含めてうまいことは確かだ。
「そうね。パエリアを作ったときにあまりにも比企谷くんの反応が薄いから、今度は唸らせて
みせようと思ったことは確かね」
本当に負けず嫌いな奴だ。
そんな雪ノ下を家から飛び出させるような雪ノ下姉と雪ノ下母はどんだけ猛者なんだよ。
怖いって、マジで怖すぎる。
ゆきのんがシーフードカレー出すので八幡とゆきのんがカレーにジャガイモ入れるか入れないかでバトルするSS思い出した
× × ×
「本当にあなたって呆れるくらい食べたわね」
額に手を当てながら雪ノ下雪乃は溜息交じりに呟いた。
「それって、ただ呆れているだけだろ。傷つくからやめてくんねーか」
「まぁ、いいわ。それよりも食後の紅茶はどうかしら」
「ああ、頼む」
気づけばもうすぐ12時だ。
カレーをごちそうになった後、一緒に洗い物をして、それからくつろいでしまった。
俺は何しにここに来ているんだ?
雪ノ下が先ほどのうまい紅茶をまた饗してくれた。
熱いうちに飲むとこれがさらにまたうまい。
すっかり病みつきになってしまい、息をフーフーしながらつい飲んでしまう。
「雪ノ下、そういえば話の続きを全然していないが、どうする?」
さっきから全然話をする雰囲気になっていない。
このままなんとなく時間を過ごして終わってしまいそうな気がしてならない。
いや、むしろそれだけでも十分だ。
だって、こいつは見てくれだけはいいからな。
それに今日はやたらと笑顔が多い。
いくら訓練されたぼっちの俺だって、こんなにも長時間ふたりきりでいると血迷って
しまうかもしれない。
いや、そんなことはないか……。
だって、こいつのことだぜ。
俺が血迷った瞬間に血みどろの返り討ちに遭うことは必至だ。
そんなくだらないことをぼんやりと考えていた。
雪ノ下は思い出したようにエプロンと髪につけたシュシュを外す。
エプロンは由比ヶ浜の誕生日プレゼントを買いに行ったついでに購入した猫のワンポイントが付いたものだ。
その動作が艶めかしくてぐっと息をのんでしまった。
一瞬血迷いそうになったが、血みどろのイメージがすっかり出来上がっていたので事なきを得た。
やはり俺のぼっちスキルはしっかりと訓練されている。
「そうね、あっという間にこんな時間になってしまったわね。あなたは家に帰らなくて大丈夫なの?」
エプロンを畳みながら雪ノ下が訊ねてきた。
「大丈夫といえば大丈夫だが、お前だってこれ以上俺に居座られても迷惑だろう」
「ええ、そうね。誠に遺憾だわ」
真顔で答えやがる。
「じゃあ、今日はこれでお開きってことで決まりだな」
とりあえず今日はもう帰ろう。
俺はすくっと立ち上がる。
雪ノ下とは携帯の番号とメアドの交換をした。
明日にでもメールしとくか。
「ま、待ちなさい、比企谷くん」
何焦ってんだこいつ。
俺が気を悪くしたとでも思ってんのか。
「どうした。別にムッとしたわけじゃねーよ。このままいたら、本当に夜を明かしてしまうかもしれないぞ」
肝心な話をおろそかにしてすっかり無為な時間を過ごしてしまった。
これ以上、ここにいても互いに人生の無駄遣いにしかならんだろう。
「でも、早くこの件は片付けてしまいたいわ。それはあなたも同じでしょ」
困ったことにその通りである。
そのために、朝と晩にこうして雪ノ下と会っているのだ。
じゃあ、今回の件の最後にして最大の山場へといよいよ踏み入れるとするか。
「ああ、そうだな。悪いが、もう少しだけ付き合ってくれ」
「ええ」
ふたりともソファーには腰かけず、カーペットの上で小さなガラステーブルを挟んで対峙した。
「さて、いよいよ核心部分だな」
雪ノ下は言葉で返さず首肯する。
「雪ノ下が立候補すると聞き、俺は次の手立てを考えた。一色いろはを心変わりさせて会長にさせようと思った」
雪ノ下は余計なことは言うまいと思ったのか、再び首肯で答えて来る。
早速しくった…… orz
>>237修正版
「さて、いよいよ核心部分だな」
雪ノ下は言葉で返さず首肯する。
「雪ノ下が立候補すると聞き、俺は次の手立てを考えた。一色いろはを心変わりさせて会長にさせようと思った」
雪ノ下は余計なことは言うまいと思ったのか、再び首肯にて答える。
>>237修正版
「さて、いよいよ核心部分だな」
雪ノ下は言葉で返さず首肯する。
「雪ノ下が立候補すると聞き、俺は次の手立てを考えた。一色いろはを心変わりさせて会長にさせようと思った」
雪ノ下は余計なことは言うまいと思ったのか、再び首肯にて答える。
「決して褒められる方法ではないが、俺は秘策を思いついた。ツイッターで偽の応援アカウントを立ち上げて
あいつの推薦人を400人ほど集めた。そうなれば、さすがに一色も断りにくくなる。そして、俺の狙い通りに
あいつはやる気になった」
雪ノ下は急に忌むべき物を見ているような不快な表情になった。
そして、何かを口にしようとした。
しかし、ここでまだ雪ノ下にしゃべらせる訳にはいかない。
せっかく落ち着いて話をしてきたのに喧嘩別れで終わってしまう。
それだけは避けたい。
勢いで雪ノ下の口を封殺する。
「しかし、ここで大失態を犯してしまった」
俺があっさりと認めたことで溜飲が下がったのだろうか。
テーブルに手をつき、身を乗り出しかけていた雪ノ下は一先ず堪えた。
「俺はお前の事、いや、雪ノ下雪乃の事を全く理解していなかった……」
「……」
雪ノ下は肯定も否定もしない。
ただ黙っている。
黙って俺の目だけを的確にとらえて見つめている。
それは、まるで俺を量っているかのようだった。
俺がその後、一体どれだけ雪ノ下雪乃のことを理解しようとしていたのかを量っているかのようだった。
「なぁ、雪ノ下……」
俺の口がだんだんと重くなってきた。
ここまで来たらもう引き返すことはできない……。
雪ノ下は変わらず何も語らない。
ただ俺の目だけをじっと見つめていた。
「……お前、本当は生徒会長になりたかったんじゃないのか」
雪ノ下はなおも押し黙っている。
雪ノ下の表情は何一つ変わらない。
俺は残像でも見ているのだろうか……。
そんな錯覚にとらわれてしまう。
「お前と会って2日目にこんなことを言っていたよな……。『人ごと、この世界を変える』って……。
お前はその理想に向かって動き出そうとしたんだろ。違うか?」
「……」
やはり雪ノ下は表情一つ変えずに黙ったままだ。
加えて、瞬き一つしないどころか、微動だにしない。
改めて雪ノ下雪乃という人間の意志の強さを感じた。
「平塚先生に俺との勝負について訊ねていたよな。本当は俺と一緒に……、いや、俺と由比ヶ浜と一緒に
生徒会をやりたかったんじゃないのか?」
俺との勝負に勝利していたのならば、自身の生徒会活動の補佐を命じようとしていたのだろう。
もっとも俺が立候補をしたところで落選するのは火を見るよりも明らかである。
そこで、めぐり先輩が言うように庶務だとか雑務だとかのポストを宛がおうと考えていたのかも知れない。
雪ノ下の表情が急に変わった。
「ええ、そうだったわ……」
それは儚い夢に破れた者が見せるような表情だった。
弱々しく吐き出される言葉には力がない。
「……そうか、やはりそうだったのか……」
雪ノ下はため息交じりに頷いた。
そして、何かを語り始めようとするが、再び機先を制して口を封じることにした。
雪ノ下、すまない……。
雪ノ下……、お前をもう一度地の底へと落とさなければならない……。
それは雪ノ下雪乃に対してあまりにも冷淡かつ苛烈な言葉だっただろう。
それは雪ノ下雪乃にとっては自身を全否定されたと感じる言葉だっただろう。
しかし、俺はためらうことなく言った。
「でもな、あの時、例えお前の想いに気付いていたとしても、やはり俺はお前のやり方を認めなかった」と。
どもです
>>244修正版
「……そうか、やはりそうだったのか……」
雪ノ下はため息交じりに頷いた。
そして、何かを語り始めようとするが、再び機先を制して口を封じることにした。
雪ノ下、すまない……。
雪ノ下……、お前をもう一度地の底へと落とさなければならない……。
それは雪ノ下雪乃に対してあまりにも冷淡かつ苛烈な言葉だっただろう。
それは雪ノ下雪乃にとっては自身を全否定されたと感じる言葉だっただろう。
しかし、俺はためらうことなく言った。
「でもな、あの時、たとえお前の生徒会長への想いに気付いていたとしても、やはり俺はお前のやり方を認めなかった」と。
>>244修正版
「……そうか、やはりそうだったのか……」
雪ノ下はため息交じりに頷いた。
そして、何かを語り始めようとするが、再び機先を制して口を封じることにした。
雪ノ下、すまない……。
雪ノ下……、お前をもう一度地の底へと落とさなければならない……。
それは雪ノ下雪乃に対してあまりにも冷淡かつ苛烈な言葉だっただろう。
それは雪ノ下雪乃にとっては自身を全否定されたと感じる言葉だっただろう。
しかし、俺はためらうことなく言った。
「でもな、あの時、たとえお前の生徒会長への想いに気付いていたとしても、やはり俺はお前のやり方を認めなかった」と。
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