元スレ苗木「ゲームをしようよ。闇のゲームをね……」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
101 :
投下します。
今回は相手が相手なので、グロテスクな表現を含みます。ご注意を。
102 = 101 :
ーNIGHT TIMEー
苗木「ね、ねえ腐川さん…や、やめようよ、こんな事……」
苗木誠は後ろ手に縛られていた。
腐川冬子の部屋のベッドの上で。
はたから見れば、特殊な性的嗜好のカップルに見えなくはないかもしれない。
だが、苗木にとってそれは、死活問題だった。
腐川?「だぁーかぁーらぁー、アタシはそんなダッセェ名前じゃねぇっつーの」
ドンッ☆
ジェノ「笑顔が素敵な殺人鬼、ジェノサイダー翔とはアタシの事よんっ」
103 = 101 :
ジェノ「あぁん言っちゃった!まーくんに秘密バラしちゃったー!」
苗木(ジェノサイダー翔!?あの新聞やテレビで話題の…!?腐川さんがそんな秘密を持っていたなんて……!)
ジェノ「その顔はアタシの事を知っててくれたって顔~?嬉しいわぁ…お礼にまーくんを……」
ジェノ「切り刻んで切り刻んで切り刻んであげちゃうぅ!!」
苗木「ひ、ひぃ!」
ジェノ「大丈夫、痛くしないからぁ…だってまーくんの初めてだもん(はぁと)」
苗木「嘘だ!絶対嘘だ!」
苗木(どうして、こんな事になっちゃったんだろう……)
苗木(やっぱりボクは……"超高校級の不運"だ……)
話は数時間前に遡る。
104 = 101 :
ーNOON TIMEー
腐川?「ね、ねぇ苗木君…」
苗木「腐川さん?何か用?」
腐川?「あ、後で部屋に来て欲しいの……」
苗木「部屋に?何か悩みでもあるの?ボクでよければ相談に乗るけど」
苗木(誰かを部屋に入れるどころか、朝食会の時以外は外にも出ようとしない腐川さんからのお誘いだなんて、何だろう?)
苗木(……十神クンの事かな?腐川さん、ずっと目で追ってるし……)
苗木(そうして、ボクは腐川さんの部屋の前まで来て、インターホンを鳴らしたんだけど…)
ピンポーン
腐川?「あぁーら待ってたわぁ、な・え・ぎ・く・ん!」
苗木(背後におぞましいほどの殺気を感じたのを最後に……ボクの意識は途切れてしまった……)
105 :
ヘルカイザー亮は関係無いだr……って全く関係なかったわ
106 = 101 :
ーNIGHT TIMEー
苗木(そして、今に至るってわけだけど……)
ジェノ「腐腐腐…イイ!萌えるわぁ…その捨てられた子犬のような、哀れで怯え切ったまーくんの顔……」
ジェノ「じゅるり……もぉ我慢できなぁい……いただきまーす!」
苗木「う、うわあ!来ないでっ!」
絶体絶命。苗木の脳裏に走馬灯すら過ろうとしたその瞬間……!
ドンッ☆
苗木「汚い手でボクに触らないでよ……垢が付くからさ」
ジェノ「!?」
107 = 101 :
苗木「そんなにボクを切り刻みたいならさ…ゲームをしようよ」
苗木「闇のゲームをね……」
ゾクッ
ジェノ(ナニコレ……ドSなまーくんもちょー萌えるんですけど!)
108 = 101 :
苗木「ルールは簡単さ。ここに100枚の紙が入った封筒がある。これを掌の上に置いて……」
苗木「ハサミを……振り下ろす!」
ジェノ「ってアタシのマイハサミ!いつの間に……!?」
ザクッ
苗木「そして貫通した紙は、取り出して自分のポイントとする」
ジェノ「なぁるほどねー!多く取れた方が勝ちってワケ!おもしろそー!」
苗木「飲み込みが早くて助かるよ。どうだい?キミが勝てたらボクを好きにするといいよ……切り刻むなり切り刻むなり切り刻むなりね……」
109 = 101 :
苗木「ただし、キミが負けたら……その時は"罰ゲーム"を受けてもらう!」
ゾクゾクッ
ジェノ(あぁん…"罰ゲーム"だなんて……勝っても負けてもイイコトしかないじゃなぁい…)
ジェノ「いいわぁ…ヤってあげる。そのゲーム…」
苗木「ふふふ…なら、ゲームを始めようか。キミの番だ」
110 = 101 :
ジェノ「オッケー、こちとらプロの殺人鬼やってんだ…このマイハサミで串刺しにする事くらい朝飯前どころか…前の日の晩飯前よッ」
ザクッ!
ジェノ「ほぅら…こんなにいっぱい取れちゃったぁ…」
苗木「…!へえ…すごいね……さすがは"超高校級の殺人鬼"さんだ」
苗木「でもボクも、負けちゃいないよ!?」
ザクッ!
遠慮なしにハサミを振り下ろす苗木。
まるで封筒の下に、掌なんてないかのように、加減という物を一切知らない一振りだ。
111 = 101 :
苗木「ふぅ……少しヒヤっとしたけど、これでボクの逆転だね」
ジェノ「へぇー、もやしっ子のまーくんのくせに度胸あんじゃん!でもでもアタシに比べたら、まだまだまだまだなんデスけどねぇ!!」
ザクッ!!
一進一退。両者の実力はほぼ互角といっていいだろう。
決死の攻防が続き……封筒に残る紙は、残り10枚を切ろうとしていた……!
112 = 101 :
苗木「ここまで来ると…さすがに慎重にならざるを得ないね……さあ、ジェノサイダー翔、キミの番だ」
ジェノ「ふふふ…この一投でキメるわぁ…」
ジェノ(このまま、掌に突き刺さるのを覚悟してマイハサミを降り下ろせば…アタシの勝ち…)
ジェノ(それはそれで悪くはないんだろーけどさぁ…)
ジェノ(でもでもでも!こんなにも萌えるまーくんなのになんでだろうなぁ…)
ジェノ(一回切り刻んじゃったらそれでオシマイ、なんて…なんか少し勿体無い気もするのよねぇ…)
113 :
初心を思い出すかのように急にやった黒サイコロと白サイコロ使ったゲームって面白そうだった覚えがある
114 = 101 :
ジェノ「ハッ!もしかして、これって…"恋"?」
苗木「それは違うよぉ…"超高校級の殺人鬼"であるキミが、ボクみたいな何の取り柄もない平凡な人間を、好きになるわけないじゃないか」
苗木「……キミは心のどこかで、恐れてるんだよ……自分の身体が傷付く事をね……」
ジェノ「んなッ!?……まーくん、言っていい事とダメな事があるって習わなかったかしらぁ……」
ジェノ「……切り刻むぞ」
怒りをあらわにするジェノサイダー翔に、苗木は一歩も引かない。
115 = 101 :
苗木「ふふふ……なら証明してみせてよ。キミが臆病者なんかじゃないって事をさ……!ボクに見せてよ……キミの"希望"を……!」
爛々と目を輝かせる苗木。
ゾクゾクッ
そんな彼に得体のしれない恐怖感を感じたジェノサイダー翔は…
ジェノ「だぁらっしゃい!」
本能的に、苗木誠にハサミを向けていた!
ザクッ!
それは、一瞬の出来事だった。
苗木は咄嗟に封筒を手にし、ハサミを受け止める!
116 = 101 :
ジェノ「!?」
苗木「ふふふ……あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
苗木「あーあ、キミの"希望"はその程度なの?……正直、ガッカリだよ」
ゾクゾクゾクゾクッ
ジェノ(ナニコレ……こんなにアブない雰囲気のまーくんなんて……濡れる!)
117 = 101 :
苗木「ルールを破ったキミの負けだ……ジェノサイダー翔!」
ジェノ「ルールなんてもうどーでもいいわぁ!もう我慢できなぁい!…ねぇねぇ早く切らせて切らせて!むしろ切る!今切るすぐ切る切り刻むッ!」
ジェノ「ゲラゲラゲラゲラゲラッ!」
長い舌を延ばし、ハサミを両手に苗木に迫るジェノサイダー翔!
しかし、苗木は妖しく微笑み……"罰ゲーム"を宣告する!
苗木「やれやれ……聞き分けの悪い子には、"おしおき"が必要だね?」
眼(ウジャト)の光が現れる。
そしてそれが、ジェノサイダー翔が見た、最後の景色となった……
118 = 101 :
ジェノ「……んっ、アレ?まーくんは……?」
目覚めたジェノサイダー翔は、周囲を見渡そうとした。
が、不思議な力が働いているのかなぜか身体が動かない。
そうして、自分の身体がハリツケにされている事に気がつく。
苗木「"ここ"さ…」
ジェノ「ッ!?」
耳元で、すぐ側で、苗木は囁いた。
驚くのも無理はない。
彼女からすれば、苗木が突然現れたように見えているのだ。
119 = 101 :
苗木「さぁて……"罰ゲーム"を始めようか」
屈託のない笑顔、そのはずなのに、どこかこの世のものとは思えぬ妖気を、苗木は放っていた。
スチャ☆
いつの間に奪ったのか、苗木はジェノサイダー愛用のハサミを手にする。
苗木「ここで問題、ボクはこのハサミで今から何をするでしょう?」
ジェノ「……悪趣味ね」
誰よりも、彼女には"正解"が解っていた。自分が今までやってきた事…いや、むしろ自分の存在意義そのものなのだから、当然だ。
120 = 101 :
苗木「キミにだけは、言われたくない…なっ!」
ブスリ☆
ジェノサイダー翔の身体が跳ねる。
しかし、身体は押さえつけられているので、その場からは動く事はできず、悶絶する他ない。
ジェノ「ーッ!ーーッ!?」
言葉にならない悲鳴。
しかし、そんな事はお構いなしに、苗木は次々とハサミを突き刺していく!
121 = 101 :
苗木「ふふふ…どんな気分だい?身体を切り刻まれるご感想は……?」
ジェノ「……サイコー…………まーくんに切り刻まれるなんて……あはっ……サイアクで……サイコー……」
苗木「……そうかい」
つまらなさそうに、苗木はそう呟くと、静かに最後のハサミを突き立てた。
……ジェノサイダー翔の心臓に。
122 = 101 :
苗木「なんだか、喜ばせちゃっただけだし、"罰ゲーム"になってないような気がするなあ……」
苗木「まぁいいや、それも"希望"の形の一つ……だよね?」
苗木「ふふふ…あっはははははははははははははははははははははははははははははははははははは!」
苗木誠は、笑い続けた。
絶望と希望がグチャグチャに混ざり合ったような瞳で。
それを見つめるのは、亡骸となったジェノサイダー翔だけだった。
GAME OVER!!
123 = 101 :
ーMORNING TIMEー
苗木(ふぁーあ……なんか酷い夢を見たなぁ…)
苗木(腐川さんが、あのジェノサイダー翔でボクを殺そうとする夢なんて…)
苗木(これから彼女に会った時、どんな顔をすればいいんだろう……)
苗木「みんな、おはよう!」
大神「苗木か、おはよう」
葉隠「おう苗木っち、おはよう!」
山田「おはようですぞ、苗木誠殿!」
苗木(今日も、ボクらは平和だ。モノクマがどんな手を使って来ようが、ボクらは負けない、絶対に!)
124 = 101 :
ーNOON TIMEー
腐川「な、苗木…」
苗木「ふ、腐川さん?どうしたの?」
苗木(あれ、この光景……なんか見覚えがあるような……)
腐川「昨日の事なんだけど……あんた、何か覚えてる?」
苗木「えっ?」
苗木(もしかして、昨日のあれって夢じゃなかったのかな……?)
苗木「な、何の事?」
腐川「……し、知らないならいいわ……」
125 :
黒幕よりクロマグロしてる
126 = 101 :
苗木「……そっか、じゃあボクは行くね」
腐川「引き止めて悪かったわね……」
苗木「ううん、気にしないで。それじゃまた!」
腐川「ええ…またね……まーくん☆」
苗木「えっ?」
振り返る苗木。
しかし、既に部屋に戻ったのか、腐川冬子の姿はない。
昨日の出来事が、夢だったのか現(うつつ)だったのか……それを知る術を苗木は持ち合わせてはいなかった。
ただ、背後から感じた刺し貫くような殺気だけは……身体が覚えていたに違いない。
…To be continued?
127 :
あれ?腐川とジェノサイダーって、記憶を共有できないんじゃなかったっけ?
128 :
腐川のふりしたジェノだったみたいな感じじゃない?
乙
129 :
翔ちゃんが演技してた説
130 :
まぁそこは闇のゲームの影響とかじゃないの
それか最後のは腐川じゃなく翔だったとか
もちろん>>1がど忘れしてる場合もあるだろうけど
131 = 101 :
わかりにくくてすみません。
最後のは、腐川のフリをした翔ちゃんです。
132 = 127 :
>>131
そうだったのか、失敬
133 :
>>58
霧切さんとの宝探しゲーム対決がみたい
少ない手がかりを頼りに学園のどこかに隠された宝物をどちらかが早く見つける勝負
宝物の正体は霧切さんの小さい頃の家族の思い出の品とか
134 :
これ面白いわ
期待期待
135 :
投下します。
自分でも納得のいくものにしたくて、少し悩みましたが、まだまだかな、といった感じです。
それでは、お楽しみいただければ幸いです。
136 = 135 :
―NOON TIME―
苗木(…今度は3階が開放された。)
苗木(よくわからないけど、モノクマが言うには、「監視してるボクとしても、何も起こらないのはツマラナイ」から、らしい)
苗木(理由はどうあれ、新しく行ける場所が増えたのは喜ばしい事だった)
苗木(そして、みんなで手分けして脱出への新たな手掛かりを探していたはずなんだけど……)
セレス「うふふ…これはいいカードを引きましたわ。レイズですわ」
苗木「えっ…また…!?」
苗木(なぜかボクは今、セレスさんとポーカーで勝負をしていた)
137 = 135 :
苗木(確かにこの娯楽室は、そういう雰囲気にピッタリな場所だけど…こんな事してていいのかな?)
セレス「あら、わたくしのヒマを潰させて差し上げているのに、よそ見とはいい度胸ですわね?」
苗木「ゴ、ゴメン……ボクは降りるよ。ツーペアすらできないや……」
セレス「はぁ……まったく、張り合いがありませんわね。"超高校級の幸運"が聞いて呆れますわ」
苗木「アハハ……抽選で選ばれたってだけだからね……"超高校級の幸運"じゃなくて"超高校級の不運"の方が、ボクにはお似合いだよ」
セレス「それにしたって、もう少しゲームに集中して欲しいですわ。これでは暇つぶしにもなりませんわよ?」
138 = 135 :
セレス「……大方、ここから脱出する為の手掛かりも探さずに、わたくしとゲームに興じていて良いのか……そんな事を考えていたんでしょうけど」
苗木「ど、どうしてそれを!?」
セレス「顔に書いてありましたわ」
苗木「えっ!嘘!?」
セレス「嘘ですわ」
苗木「もう、からかわないでよ!」
セレス「うふふふふ……」
苗木「あ、あはははは……」
139 = 135 :
苗木(でもまあ、たまにはこういうのもいいかな。……思えば、ここでの生活が始まってからは、こうやってゲームを楽しむ余裕すらなかったし……)
苗木(うん、今だけは楽しんじゃっても……いいよね?)
苗木「よし、それじゃ本気で行かせてもらうよ!」
セレス「うふふ…よろしいですわよ。粉砕して差し上げますわ!」
苗木(…結果はもちろん、ボクの玉砕、セレスさんに大喝采だ。けれど、セレスさんとの対戦は、時間を忘れるほど楽しかった!)
モノクマ『オマエラ!またまた体育館に集合だよ!迷わずいけよ、行けばわかるさ!』
苗木("あいつ"が、モノクマが水を差すまでは……)
140 = 135 :
モノクマ「ジャジャーン!ひゃっくおっくえん!もしクロが現れたら、ここにある現金をプレゼントしちゃうよ!先着一名様限定だから、お早めにね!」
十神「フン、一桁足りんぞ。俺はデイトレードでその数十倍は稼いでいるからな」
セレス「わたくしも、裏のギャンブルで稼いだ資産が数十億はありますし、お金には不自由してませんわ」
葉隠「ひゃ、ひゃくおく……示談金払って借金返しても余裕でお釣りがくるべ……」
朝日奈「百億円って、ドーナツ何個買えるかな?」
大神「朝日奈よ……モノクマの言う事を本気にするでない……」
141 = 135 :
苗木「正直、百億円もあっても使い道に困っちゃうよね……」
桑田「苗木さんの言うとおりッス!こんな事でモノクマの思い通りになっちゃダメッスよ!」
石丸「その通りだ!こんな事で仲間を殺す者がいるとは思えないが、くれぐれも変な気は起こさないでくれたまえ!」
大和田「さすが兄弟!」
モノクマ「な、なんだよぉ……人が、いやクマがせっかく用意したのに、オマエラつれないなぁ……これだからシラケ世代はさ……ぶつぶつ」
苗木(こうして、モノクマが用意して来た新たな"動機"は、葉隠クンを除いたボクらには無意味のようにも思われた……)
苗木(そうしていつものように、夜時間を迎え、ボクはまた眠りについたんだ……)
142 = 135 :
―NIGHT TIME―
葉隠「そろそろ、このメモにあった時間だべ……ホントに出口なんてあるんだべか……?」
山田「ふひひひひひひひ、隙ありですぞ!」
ガバッ
葉隠「!?……zzz」
セレス「やはり、簡単に引っかかってくれましたわね……」
山田「ええ、後は石丸のヤツを呼び出して……!」
苗木「……呼び出して、どうするのかな?」
ドンッ☆
143 = 135 :
「「!?」」
山田「苗木誠殿!?……クッ、見られたからには……覚悟!」
山田の巨体が苗木に迫る。
しかし、苗木はあっさりと攻撃を躱し、逆に一撃を加え、山田を気絶させた。
苗木「ふふふ……今の会話から察するに、大方キミ達は、石丸クンを殺してその罪を葉隠クンに着せようとしていたんでしょ?」
セレス「…………」
セレスは答えない。
構わず苗木は独白を続ける。
144 = 135 :
苗木「けれど、ここから出られるのは人を殺したクロ一人だけ……共犯者にはメリットなんて何もない」
苗木「このままだと山田クンとセレスさん、キミ達二人のどちらかしか生きて出られない」
苗木「…… あくまでもこれはボクの想像だけど、セレスさん、キミは山田クンを裏切って殺すつもりだった……どうかな?」
セレス「!?」
苗木「……したたかなキミの事だ。共犯関係にある人間を生かしておくなんてリスク、そのままにしておくわけがないからね」
セレス「うふふ、たいした想像力ですこと……ですが苗木君、あなたの推理には証拠が何一つありませんわ」
セレス「それどころか、まだ事件は起きてすらいないのですから」
145 = 135 :
苗木「……それもそうだね。それじゃあさ、ボクに協力させてくれないかな?」
苗木「ボクみたいな人間でも、そこで寝ている役立たずの山田クンよりは、余程キミの"希望"の踏み台になれると思うんだけど……」
ゾクッ
セレス(苗木君?まるで人が変わったようですわ……)
セレス「……どういう意味ですの?」
苗木「今言った通りさ。キミの"希望"が輝く為なら、ボクは喜んで死を受け入れるよ……!」
苗木「ただし、キミが"闇のゲーム"で勝てたら、だけどね……」
146 = 135 :
昼間と同じように、テーブル越しに苗木とセレスは向かい合う。
苗木「ルールは簡単だ。勝負はキミもよく知っている、ポーカーで行う」
苗木「ただし、賭けるのはただのチップじゃあない……"命"さ!」
セレス("命"!?)
苗木は説明を続ける。
形式はごく一般的なワイルドカードなしのクローズド・ポーカー。
ディーラーは交代制で、ノー・リミット……つまり、一度のベットで賭ける額に制限はない。
ただし、アンティとしてディーラーが指定した枚数分、チップを最初に賭ける必要がある。
147 = 135 :
まずは、ルールの確認をかねて、最低額のアンティとベットで1勝負が行われた。
苗木「…ショー・ダウンだ」
苗木の手は"Q"のワンペア。
対するセレスは"2"と"10"のツーペア。
セレス「うふふ、まずはわたくしの1勝ですわね」
場に出されたチップを、セレスが自分の側へ引き寄せると…
148 = 135 :
セレス「!?」
苗木の身体が、黒いもやのような物に包まれる。
そして、もやが消えると……腕の一部が消失していた!
まるで最初からそこには腕なんてなかったかのように、存在そのものが消えていたのだ。
度肝を抜かれるセレスをよそに、苗木は楽しげにカードを切る。
149 = 135 :
苗木「驚いているようだね……チップはギャンブラーの命。それが失われる度に、闇が身体を喰らっていく。どうだい?これが闇のゲームさ」
セレス「…………」
苗木「ふふふ、怖気づいちゃったかな?」
セレス「面白い……面白いですわ。やはりギャンブルはこうでなくては!」
久々に行う命がけのゲームに、セレスは昂(たかぶ)る。
苗木「気に入って貰えると思っていたよ。……OK、ゲーム続行だ」
150 = 135 :
そうして、何度か対戦が行われ、牽制を挟みつつ、一進一退が繰り返される。
セレス「……ショー・ダウンですわ」
苗木はKのスリーカード。
セレスはAと7のフルハウス。
苗木「あれ、またボクの負けか。うーん、今回は結構自信あったのにな……」
セレス「うふふ、残念でしたわね」
だが、二人の実力差は歴然だ。
最初の対決に比べれば、苗木は確かに健闘はしているものの、徐々に手持ちのチップの差は開きつつあった。
そして、重要な局面がやって来た。
ディーラーはセレス。そして、一度目のベットでかなりの数のチップを彼女は賭ける。
ハンドに相当な自信があるのか、あるいはハッタリで苗木を降りさせようというのか。
みんなの評価 : ☆
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