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元スレ美琴「とある幸福の上条当麻、始めるわよ!」上条「マジで!?」
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※ご注意
前スレの>>1を参照
加えて上琴要素が強いので拒否反応が出るかたは戻る推奨です
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1373729989
学園都市 某所――
アウ「第七学区駅前にて、左方のテッラと超電磁砲が交戦状態に入ったようだ」
禁書「単純な戦闘力は短髪に軍配があがるかも」
アウ「当然、しかし相手は神の右席の一角、開示されている情報など皆無だ。逆に超電磁砲は有名すぎるせいで手の内を読まれ易いだろう」
禁書「それでも短髪の有利は動かないよ。学園都市で戦う限り、フィールドの全てが短髪の味方をするからね」
アウ「間然、まるで戦った経験があるような口ぶりだが……」
禁書「あるよ、何度も何度も……その度にとうまが邪魔をして……ッ!」ドドドドドド
アウ「そ、騒然!? い、以前より頼まれていたオービット・ポータル社との交渉について報告が」ガクブル
禁書「レディリー=タングルロードは首を縦に振った?」
アウ「条件付きで」
禁書「全部飲むと伝えて。ただしアリサには決して手出ししないよう圧力をかけて欲しいんだよ」
アウ「……(徹底している……。そこまでする価値が、あの少女にあるというのか?)」
禁書「当然の疑問だよね」クスッ
アウ「!?」
禁書「フフ、怯えなくていいよ。アリサはね、とうまと同様に私を打倒しうる可能性の一つなんだよ」
アウ「唖然……君を倒し得ると?」
禁書「理論上はね。アリサの奇跡にとうまの実力が合わされば、私を傷つける事が可能になるんだよ」
アウ「なんと! ならば早急に排除するべきだ」
禁書「それこそ杞憂かも。とうまが本気で私と敵対するなんてあり得ないもん。それより根拠地を手に入れるよ」
アウ「では?」
禁書「あなたは手筈通りに動いて。私は敵を殲滅するんだよ」ニッコリ
アウ「……(学園都市に血の雨が降る……!)」ゾクッ
CASE 16 Dead on Arrival 中編
学園都市 第七学区 駅前――
テッラ「学園都市に到着早々、レベル5と遭遇戦とは幸先がいいですねー」
美琴「先行き不安の間違いじゃないかしら? 魔術師か何か知らないけど、レベル5を舐めんな!」
ビリビリッ!!
テッラ「優先する。――人体を上位に、電流を下位に」
美琴「ッ、無効化された!?」
テッラ「神の右席は人間が使うような普通の魔術を使えませんからねー。少しは楽しませていただきたいものですが」
美琴「神の右席……?」
テッラ「異教のサルに説明しても馬耳東風でしょう」
美琴「ああそう、なら軽く捻って借金返済の足しにさせてもらうわ!」
テッラ「…………」ヤレヤレ
美琴「な、なによ、その呆れ果てたって顔はーっ!」プンスカ
テッラ「いえ、見た目に違わぬチャラい小娘に失笑しただけです。その若さで借金を抱えるとは、学園都市の風紀はどうなってるんですかねー」
アリサ「美琴ちゃん、借金はよくないよ……」フルフル
美琴「ぐぬぬ、余計なお世話だっての!」ガァァ
テッラ「学園都市は歪だ。世界の歪みを正し、調和をもたらすのが我が使命。やはりあなたはここで死ぬ運命のようですねー」
美琴「好き勝手言ってんじゃないわよ!」
ビリビリッ!!
テッラ「無駄です」
美琴「……やっぱ電撃は効かないか」
テッラ「次はこちらの番ですねー。優先する――刃の動きを上位に、人体を下位に」
ヒュン!
美琴「くッ」ヒラリ
テッラ「上手く避けましたか。ですが何時まで続きますかねー」ブンッ
ガキンッ!!
テッラ「むっ」
美琴「清掃ロボって学園都市のいたるトコに居んのよね。金属製だし、あんたのショボイ武器じゃ壊せないみたいね」ニヤリ
テッラ「磁力で引き寄せて盾に……!」
美琴「盾だけじゃないわ」バチバチッ
アリサ「美琴ちゃんの周りにたくさんの清掃ロボが集まってきてる!?」
美琴「こうやってブン投げれば立派な凶器よ!」ビリッ
ビューン!!
テッラ「ッ、優先する。――人体を上位に、金属を下位に」ガキン!
美琴「こいつはおまけよ!!」
ビリビリッ!!
テッラ「優先す…ぐあああああッ!?!?」シビビビ
美琴「あれ? 電撃が効いた……?」ハテ?
テッラ「…………」プスプス
美琴「ま、いっか。木原さんに連絡して早いトコ引き取ってもらお。……なんかキモイし」
アリサ「美琴ちゃん!」
美琴「ケガはない?」
アリサ「それはこっちの台詞だよ! 美琴ちゃんこそ大丈夫?」
美琴「平気へーき。神の右席とか言ってたけど、全然見かけ倒しだったみたい」
アリサ「……私が目的だって」
美琴「その辺りも問い詰めなきゃね。だから一先ずは安心して」
アリサ「…………」
美琴「アリサさん?」ハテ?
アリサ「ううん、何でもない……。それより、守ってくれてありがとう」ニコッ
美琴「どーいたしまして」クスッ
アリサ「あはは……」カタカタ
美琴「……(震えてる……。ワケ分かんないのに狙われたんだし無理も無いか。だったら――)」
第七学区 グループアジト――
美琴「たっだいまー」
アリサ「お、おじゃまします」オズオズ
浜面「お、御坂がこんな時間に来るなんて珍しい……って、どちらさん?」
打ち止め「わぁーい、お姉さまだー♪ ってミサカはミサカは大はしゃぎ!」イエーイ
美琴「色々あったのよ。ともかく順を追って説明するわ。あと打ち止めはお休みの時間よ?」
打ち止め「ぶぅーぶぅー! ってミサカはミサカは融通の利かないお姉さまを野次ってみたりー」
美琴「ったく、しょうがないわねぇ」ヤレヤレ
◇ ◇ ◇ ◇
美琴「――それでアイツの病室で一緒になって、帰る途中に魔じゅ……変な格好の男に襲われたのよ」
アリサ「……ッ」
浜面「そりゃ災難だな。けど御坂が一緒だったのは不幸中の幸いだったな」
アリサ「はい……」
美琴「緊張しなくても大丈夫よ。ここはアイツや私の妹の家だから遠慮しないで?」
アリサ「う、うん……ええっ、当麻くんち!?」ガビーン
浜面「俺と打ち止めも住んでるけどな」
打ち止め「…………」ジー
アリサ「えっと……美琴ちゃんの妹ちゃん?」
打ち止め「うん、打ち止めだよ、ってミサカはミサカは自己紹介してみる」
アリサ「私は鳴護アリサだよ。よろしくね、打ち止めちゃん」ニコッ
打ち止め「うんっ!」
浜面「……(打ち止めの名前につっこまないなんて……こりゃ天然か)」
打ち止め「むっ、むむむ!」
アリサ「どうしたの?」
打ち止め「なんだか埃っぽいよ、ってミサカはミサカは指摘してみたり」
アリサ「え……あっ、ホントだ」
美琴「あー、ドタバタしちゃったから。お風呂沸いてる?」
浜面「とっくに沸かしてる。なのに打ち止めが入りたがらなくて困ってたんだ」ヤレヤレ
美琴「なら丁度よかった。打ち止め、アリサさんをお風呂に案内して?」
打ち止め「はぁーい! こっちだよ、ってミサカはミサカはお客さまの手を引き案内してみたりー♪」グイグイ
アリサ「わわっ、引っ張らないでーっ!?」
◇ ◇ ◇ ◇
美琴「やれやれ、小さな子供ってわけじゃないんだし、お風呂くらい一人で入れるようにならないとね」
浜面「ハハ、大将と御坂妹が甘やかすから当分無理かもな」ケラケラ
美琴「む……」
浜面「なんだぁ? まさか打ち止めに嫉妬してんのか?」
美琴「し、してないわよ!///」ガァァ
浜面「心配しなくても大将は御坂一筋だろ。つーか御坂が素直になりさえすれば…」
美琴「そそ、そんな事より妹はどーしたのよ!?///」ワタワタ
浜面「ん、ああ、御坂妹なら木原のオッサンとこ。なんかスゲー秘密兵器を調整中だってよ」
美琴「ひ、秘密へーき……?」
浜面「っと、ここからは真面目な話だ。鳴護を襲った男……魔術師だったろ?」
美琴「!?」
浜面「グループの総力をもって鳴護アリサを守り抜け。統括理事長直々のご用命だとよ」
美琴「どういうこと? 言い方は悪いけどアリサさんは無能力者よ?」
浜面「わかんねえ、ただこの命令の優先度はかなり高いみたいだ」
美琴「アリサさんには統括理事会……いいえ、学園都市にとって重要な何かがあるってことか」
浜面「パッと見た感じ、何処にでもいる普通の女の子っぽいのにな」
美琴「……襲撃者は神の右席と名乗ったわ。狙いはアリサさんだった」
浜面「神の右席、ねえ。組織の名前か、それとも個人の異名なのか判断がつかねえな」
美琴「感じる威圧感のわりに、呆気なく倒せたのよねぇ。運が良かったのかしら……?」
浜面「おいおい、御坂は第三位じゃねーか。相手が凄腕の魔術師だったとして、御坂より強いなんて事のほうが稀だろ」
美琴「それはそうだけど、う~ん……」
浜面「ま、大将なら何か知ってるかもな。魔術に精通してるみたいだし」
美琴「そうね。ところでアリサさんの事だけど」
浜面「しばらくはここで匿うべきだろうな。襲撃者が一人なんて楽観はあり得ねえ」
美琴「じゃあ私も泊らせてもらうわね」
浜面「そうしてもらえると助かる。正直、打ち止めだけでも持て余してたんだ」
美琴「任せて。あと確認だけど、アリサさんに護衛の件を話すの?」
浜面「……酷だと思うが話すさ。護衛対象に狙われてるっていう意識がなけりゃ仕事になんねーからな」
美琴「あっはは、すっかり警備員が板についてるし」ケラケラ
浜面「うっせ!」
浴室――
アリサ「はふぅ……いい湯だねー」
打ち止め「ほへぇー……ってミサカはミサカは完全に同意してみたりー」
アリサ「普段は一人で入ってるの?」
打ち止め「ううん、いつもはヒーローさんと一緒だよ、ってミサカはミサカは報告してみる」
アリサ「ヒーローさんって当麻くんのこと?」
打ち止め「そうだよ。あの人はミサカたちにとって、世界で一番頼りになるヒーローだよ、ってミサカはミサカは事実をそのまま伝えてみたり」
アリサ「ふふ、頼れるお兄さんなんだね」クスッ
打ち止め「違うよー、あの人はミサカのお父さんなのだー! ってミサカはミサカは大暴露!」デデン
アリサ「そっかー、お父さんなんだー…………え゛!?」
打ち止め「ミサカのお願いなら何でも叶えてくれて、とっても優しくて強くて…」
アリサ「ちょ、ちょっと待って! え、当麻くんがお父さん!?」
打ち止め「そうだよ?」ハテ?
アリサ「じゃ、じゃあお母さんは……?」
打ち止め「う~んとね……お姉さまかな? ってミサカはミサカはフィーリングで答えてみたり」
アリサ「美琴ちゃんが!? てゆーかお姉さまなのにお母さんって!?」アウアウ
打ち止め「ではでは肩まで浸かって100数えて上がりましょ、ってミサカはミサカはカウントスタート! いーち、にーい、さーん」
アリサ「付き合ってもいないのにお父さんお母さん!? ええっ、中学生の美琴ちゃんに何してるの当麻くーん!?」アウアウ
テッテレー
鳴護アリサは大混乱におちいった!!
第七学区 グループアジト――
アリサ「美琴ちゃん!」ガァァ
美琴「おー、妹のパジャマ、ぴったりみたいね」
アリサ「うん、着替えを貸してくれてありがとう……じゃなくて!」
美琴「もう遅いから、今日は泊っていって?」
アリサ「あ、終電過ぎてる!? 助かるよー……でもなくて!」
美琴「それと打ち止めをお風呂に入れてくれてありがとね」
アリサ「お礼なんていいよ。私も楽しかったし……うわーん! 私の話を聞いてーっ!!」
美琴「なーに?」ハテ?
アリサ「友達にこんな事言いたくないけど……み、美琴ちゃんは破廉恥だよ!」
美琴「は、はあーーっ!?」ガビーン
アリサ「ああでもなんだかインスピレーションが!? 美琴ちゃん、何か書くもの貸して!」
美琴「あ、うん」スッ
アリサ「美琴ちゃんと当麻くんの不潔ーーーっ!!!」カリカリカリカリ
美琴「ちょっ!?」
浜面「……そうか、病室であんな事こんな事いっぱいやっちまったのか。オメデトウ大将」
美琴「あ、あれはアイツがして欲しいっていうから……///」カァァ ※あーん的なアレ
浜面「あれねぇ……。まあなんだ、俺は二人を応援してっからよ」ニカッ ※あは~ん的なアレ
美琴「応援とかいらないから! そんな良い笑顔でサムズアップすんなーーっ!?///」テレテレ
アリサ「道ならぬ恋! 一夜の過ち! 授かったのは生命の息吹ーーっ!?」カリカリカリカリ
テッテレー
グループ内部で素晴らしき誤解が発生した!!
学園都市 とある研究所――
木原「ガキどもが良い仕事してくれるぜ」
テッラ「…………」
木原「お前さんは何処の何者だ? 何の目的で学園都市に侵入した?」
テッラ「…………」
木原「だんまりかよ。素直に喋ってくんねーかなぁ、面倒な薬なんざ使いたくねーんだわ」
テッラ「……以前、学園都市に捕らえられた同胞は無事なんですか?」
木原「あ? ……あー、あのシスター共と骨董品みてえな騎士サマたちか」
テッラ「…………」
木原「シスターたちなら生きてるよ。この施設の別の部屋で元気にしてるはずだ」
テッラ「…………」
木原「騎士サマたちはカミサマんとこに旅立ったぜ。あいつら非協力的っつーか、殺せ殺せうるさかったからよ」ニタァァ
テッラ「そう、ですか……」
木原「ま、そう深刻になる必要はねえ。こっちが望む情報を吐いてくれりゃあ悪いようにはしねえって」
テッラ「…………」
木原「本格的な尋問は明日からだ。今晩は精々休んでおくこった」スタスタスタ
ガチャ バタン
テッラ「……ここまでは予定どおりですねー。優先する――人肌を上位に、金属を下位に」カランカラン
テッラ「手錠など何の役にも立ちません。では戦力の現地調達に向かいますかねー」ニヤリ
とある研究所 アニェーゼの部屋――
ルチア「…………」プルプル
アンジェレネ「シスター・アニェーゼ見てください!」スッ
アニェーゼ「このハイソな箱は! ついに手に入れたんですか!?」
アンジェレネ「予約できないから朝一に並んで買ったんです。もうどれだけ苦労した事か!」
アニェーゼ「と、当然 私らの分も確保したんでしょうね!?」
アンジェレネ「それは……」
アニェーゼ「なっ、まさか自分の分だけッ!?」
アンジェレネ「なーんて冗談ですよー♪ みんなの分もちゃんと買ってきました」ニッコリ
アニェーゼ「あ、慌てさせないでくださいよ。取り乱しちまったじゃないですか」
アンジェレネ「冷蔵庫にしまってたんで良く冷えてます。ささ、みんなでいただきましょう」
シスターたち「「「「「はーい♪」」」」」
ルチア「あなたたち! 呑気に黒蜜堂のエクレアを食べている場合ですかッ!!」プンスカ
アンジェレネ「シスター・ルチアは何を怒ってるんですか?」ハテ?
アニェーゼ「さあ?」
ルチア「シスター・アニェーゼ! 指揮官である貴女まで腑抜けてどうするんです!!」
アニェーゼ「おおっ! パイ生地とカスタードクリームの間にナッツが! これは絶妙といっても過言じゃねーです!」モグモグ
アンジェレネ「ふおおーー!? 程良い甘さのチョコが、サクサクのパイ生地と合わさって感動の三重奏が!?」モグモグ
シスターたち「「「「「うまうま♪」」」」」モグモグ
ルチア「~~~~~~~ッッ!!!」
◇ ◇ ◇ ◇
テッラ「なるほど、懐柔工作を受けていましたか。ですがまだやり様はありそうですねー」
とある研究所 廊下――
ルチア「まったく誰もかれも堕落して……! 半月も経たずに科学に毒されるなんて情けない!」プンスカ
??「本当に嘆かわしいことですねー」
ルチア「誰ですか!」
テッラ「おっと、勘違いしないでください。私はあなたの味方ですよ」
ルチア「……緑のエリマキトカゲ」
テッラ「失敬な。私は左方のテッラ、神の右席に属する者です。ローマ正教徒の端くれなら噂に聞いたことくらいあるのでは?」
ルチア「…………」カチッ
テッラ「安心しなさい。あなた達が学園都市に囚われたと聞いて、こうして救出に赴いたわけです」
ルチア「……そうですか」
テッラ「まあ私にも所用があるので、あなた達の戦力を当てにしたい。つまり持ちつ持たれつですよ」
ルチア「所用?」
テッラ「ええ、あなたもご存じありませんか。『幻想殺し』と『禁書目録』……私はとりわけ幻想殺しに強い関心があるんですよ」
ルチア「……ッ」
テッラ「おや? 顔色が変わりましたねー。何か知っているのですか?」
ルチア「昨日、かみ…………幻想殺しが第七学区の病院に入院したそうですが」
テッラ「それは僥倖ですねー。存外簡単に会えそうです」
ルチア「……ところで、私たちはどのように動けばいいのでしょうか」
テッラ「なに、簡単な陽動ですよ」
ルチア「…………」ニヤリ
◇ ◇ ◇ ◇
第二十三学区 エンデュミオン傍の慰霊碑――
フィアンマ「テッラめ、面倒くさい真似を……。それにしてもエンデュミオンといったか……フン、目障りだな」
フィアンマ「忌々しいバベルの塔の模造とは。どれ、破壊して開戦の狼煙にしてやろう」
第七学区 グループアジト――
アリサ「えっ、私に護衛……?」
美琴「うん、私たちの上司が念のためにってね」
浜面「窮屈だろうが我慢してくれ」
美琴「警備は私たちが担当する事になったの。アリサさんには指一本触れさせないから安心して」
アリサ「う、うん……」
浜面「そんなに堅くならなくていいって。護衛っつっても基本、御坂と行動を共にして貰うだけだからさ」
美琴「そうそう、テキトーにしてれば大丈夫だから。さすがに学校とかはお休みしてもらうけどね」
浜面「テキトー言うな。大将が居ない分、御坂に頼る場面が増えるんだぞ」
美琴「これでも第三位の超電磁砲よ。大船に乗ったつもりで任せてよ」フフン
アリサ「ふふっ」クスッ
浜面「ん、どうしたんだ?」
美琴「浜面さんの顔を見て噴いちゃったのよ、きっと」
浜面「噴くほど愉快なツラじゃねーよ!! ……え、ないよね!?」
アリサ「あはは、違うよ。美琴ちゃんが当麻くんと同じ事を言うもんだから、つい」クスクス
美琴「た、たまたまよ!///」
浜面「その程度で動揺するなよ。大将が絡むとホント駄目っつーか、なんつーか」ヤレヤレ
美琴「そんなことな…」
ゴゴゴゴゴゴッッ!!!!
美琴「ッ、地震っ!?」
浜面「テーブルの下に隠れろ! 俺は打ち止めを見てくる!」
アリサ「うう……(なにか、何か嫌な予感がする……当麻くん、インデックスちゃん)」
とある研究所 管制室――
木原「第二十三学区と第七学区で謎の爆発が発生? おいおいおい、好き勝手暴れてやがんなぁ」
アレイ☆『彼らの狙いは陽動だろう。複数の地点で戦闘を発生させ、こちらの戦力を分散させる意図が見える』
木原「そのドタバタに乗じて鳴護アリサを確保する……。てこたぁ、後詰めが居るな」
アレイ☆『そうとも限らない。確かに鳴護アリサには希少価値がある、だが不安定で必ずしも有用とは言い難い』
木原「他の目的ねぇ」
アレイ☆『それが何であれ、彼らは学園都市に仕掛けてきたのだ。相応の返礼をせねばなるまい』
木原「二十三学区にはグループを差し向け、もう片方はこっちで処理っとくってことで」
アレイ☆『…………』
木原「何か問題でも?」
アレイ☆『問題ない、適当に対処するように(滞空回線でも白い悪魔の所在が掴めないのが気がかりだが……)』
◇ ◇ ◇ ◇
グループアジト――
浜面「さっきの地震の原因は第十三学区に現れた侵入者らしい」
美琴「ったく、やりたい放題ね」
浜面「木原さんから迎撃に出ろって命令が来てるんだが、御坂はどう思う?」
美琴「アリサさんを狙う連中……神の右席の仕業と考えるのが妥当じゃないかしら」
浜面「つーことは鳴護を一人にするのは危険だな」
美琴「現場には私が向かうわ。アリサさんの護衛は…」
浜面「任せてくれ、御坂妹と合流して迎撃できるよう態勢を整えておく。そっちも無理すんなよ」
美琴「りょーかい!」
アリサ「あの、美琴ちゃん」オズオズ
美琴「うん?」
アリサ「一人で行かないほうがいいと思う。嫌な予感がするの……」
美琴「多少の危険は承知の上よ。それに私には負けられない理由があるから」ニコッ
アリサ「うん……でも無茶はしないで」
浜面「……(嫌な予感ねえ。普段なら一笑に付すような与太話だが、鳴護の予感か……)」
第二十三学区 エンデュミオン――
エンデュミオン「」テッテレー ムキズ
フィアンマ「俺様の一撃で倒れんだと? まさか聖ピエトロ大聖堂以上の防御結界が敷かれているとも思えんが……誰だ?」
テッラ「私ですよ」ヌッ
フィアンマ「前触れ無く現れるな。夜中にお前の姿は、ちょっとしたホラーだぞ」
テッラ「酷いですねー。そちらこそ『聖なる右』を使うとは何事です?」
フィアンマ「なに、この不遜な建築物をなぎ倒してやろうと思ってな」
テッラ「その割に傷一つありませんねー」
フィアンマ「出力を絞り過ぎたかな?」
テッラ「私たちの術式は制御が極端に難しいですからねー。アックアのような安定性は望むべくもありませんよ」
フィアンマ「一緒にするな、何だあの無様な姿は。たかが小娘一人に遅れをとる馬鹿がいるか」
テッラ「そこを突かれると弱いですねー。適当に負けたふりをするつもりが、本当に瞬殺されるとは思いませんでした」ヤレヤレ
フィアンマ「『光の処刑』に頼り過ぎなんだよ。少しは俺様を見習い、他の術式も扱えるようにしておけ」
テッラ「では試してみましょうかねー」
フィアンマ「ん?」
テッラ「――我 久遠の絆断たんと欲すれば 言の葉は降魔の剣と化し汝を討つだろう」ゴゴゴゴゴ
フィアンマ「なっ、血迷ったかテッラ!?」
テッラ「ファイナルチェリオ!」
力ある言葉と共に空が裂け、そこから三十メートルはある巨大な魔槍が現出、そのまま猛然とフィアンマ目がけて落下する。
フィアンマ「くッ、舐めるなあああああああああああああ!!!」
魔槍が届く刹那、フィアンマの体からまばゆい光が解き放たれる。
光と大地の震動が収束したあと、そこには悠然と佇むテッラと、右肩辺りで歪な第三の腕というべき『聖なる右』を空中分解させているフィアンマがいた。
テッラ「咄嗟に相殺するとは。不完全ながら流石は『聖なる右』といったところですねー」
フィアンマ「貴様……!」
テッラ「ハハハ、その目……実にイイですねー。怒りと憎しみが程良くブレンドされてますよ」
フィアンマ「俺様に背いたんだ。覚悟は出来てるだろうな?」
テッラ「覚悟? フフフ、今、覚悟と言いましたか?」
フィアンマ「何がおかしい!」
テッラ「そりゃおかしいですねー。私の覚悟はとっくに決まっています」
フィアンマ「なんだと?」
テッラ「神上を目指す我々神の右席ですが、四人は多すぎるんですよ」
フィアンマ「…………」
テッラ「天は常に一つであるべきです。故に、邪魔なあなた方を粛清し私が唯一の存在になるのです」
フィアンマ「ハッ、分際を弁えろよ。『神の薬(ラファエル)』風情が俺様の『神の如き者(ミカエル)』に届くと本気で思っているのか?」
テッラ「ええ、思っていますとも。ここで貴方を下す、そして私は前後左右、中央のテッラとなり世界に調和をもたらします」ニッコリ
フィアンマ「大言壮語を吐くじゃないか。いいだろう、叩き潰してやる」
突然の謀反も意に介さず、フィアンマはテッラの処断を決めた。
宇宙エレベーター『エンデュミオン』を背景に、神の右席同士の戦いが始まる。
といったところで今回は終了
新スレの初投下なのに主人公の影すら見当たらんとはー
新スレの初投下なのに主人公の影すら見当たらんとはー
おっつーん。
テッラの謀反と姿の見えないインさん。嫌な予感しかしねぇぜ。
テッラの謀反と姿の見えないインさん。嫌な予感しかしねぇぜ。
あれ、打ち止め(外見年齢10)が美琴(14)の実子ってことは
ビリビリが打ち止めを孕んだのは……
ちょっとこのウニ捻じり殺してくる
ビリビリが打ち止めを孕んだのは……
ちょっとこのウニ捻じり殺してくる
いきなり急展開だな!
チラホラと伏線も垣間見えるし、これは面白いわ
チラホラと伏線も垣間見えるし、これは面白いわ
>>1マダー
天突く巨塔の麓で、炎の嵐が吹き荒れ、氷雪が瀑布の如く乱れ舞う。
テッラ「――汝、美の祝福賜わらば 我その至宝 紫苑の鎖に繋ぎ止めん」
フィアンマ「何故だ、『神の薬』は大地を司るはず。だというのに何故そのような高等氷雪系魔術を行使できる!?」
テッラ「さあ? 格の違いじゃないですかねー。――アブソリュートゼロ!」
フィアンマ「ちッ、――炎の嵐よ! 全てを飲み込めっ!!」
人間が持つ原罪を限りなく希釈し、天使の魔術を行使可能としたのが神の右席である。
強大な熾天使の力の一端を行使できる反面、人間用の魔術を一切使えなくなるデメリットを併せ持つ。
最高位である右方を司るフィアンマは、例外的に人間用の魔術も扱える。
だが左方のテッラはそうではない。正しくは、そのような隠し玉があるなどフィアンマは知らなかった。
テッラ「素晴らしい! 五行相克の理を超えて私の魔術を食い破るとは」
フィアンマ「フン、疑問は尽きんが遊びは終わりだ。これは絶対に防げん、貴様の戦力は既に把握しているのでな」
テッラ「相対した相手により適切な出力を導き出す『聖なる右』ですか。果たして私に通用しますかねー」
フィアンマ「ほざけ、俺様と敵対する愚を思い知れ!」
激昂するフィアンマの背後から光の奔流が迸る。
己以外は一切認めんとばかりに、周囲を眩い白一色へと染め上げながら破壊を撒き散らす。
その圧倒的暴力を振りかざすフィアンマの顔に、勝利を確信した笑みが浮かぶ。
フィアンマ「俗物が。俺様の道を阻もうなんて傲慢が許されると思…」
勝利宣言の途中、フィアンマの表情が凍りついた。
石畳がめくれ上がり、周囲に立ち込める土煙。その破壊の爪痕を踏みならしながら飄々とした声が聞こえてくる。
テッラ「こんなものですか? 『光を掲げる者』を斬り倒したと謳われる『聖なる右』の性能とやらは」
声の主は左方のテッラ。修道服に纏わりつく砂埃を払いながら、無傷の怪人が不敵にフィアンマを嘲笑していた。
CASE 17 Dead on Arrival 後編
第七学区 木原くんの研究室――
浜面「おっさん! すぐに迎撃の準備を……って居ないのかよ!?」
アリサ「…………」ソワソワ
浜面「肝心な時に使えねえな。仕方ない、こうなったら…」
アリサ「あ、あの!」
浜面「どうした?」
アリサ「やっぱり美琴ちゃんを助けに行かなきゃ!」
浜面「助けるっつっても、御坂は一人で軍隊を相手取るほどつえーし、仮に追い詰められたとして何か名案でもあるのか?」
アリサ「そんなのないけど……役に立たないかもしれないけど、でもっ! それでも何かするべきだと思う」
浜面「あのなぁ、誰も行かないとは言ってねぇだろ」
アリサ「……え」
浜面「能力だけが俺たちの全てじゃねえ。適材適所ってのが重要なんだよ。――なあ? 御坂妹」
御坂妹「同僚の言うとおりです、とミサカは新兵器を手に出撃準備の完了を報告します」
天井「浜面仕上、例のカスタム機はいつでも起動できる。完熟訓練も無しのぶっつけ本番であるが……いけるのか?」
浜面「大将ならこう言うだろうぜ。出来る出来ないは関係ねぇ。やるんだよ、ってな!」ニッ
第二十三学区――
夜の眠りについたビル群。その間を磁力でもって高速移動し、美琴は駆け抜ける。
その速さたるや車両の比ではなく、あっという間に第二十三学区に到着した。
そんな非凡な美琴をして、非常識としか言い様のない光景が繰り広げられていた。
美琴「なによ……あれ……」
緑の怪人が何事かを唱えるたびに、地は裂け、炎が奔り、水が舞い、風が刃となって踊る。
一方
赤い服の男が腕の一振りだけで、それら全ての超常現象をキャンセルしていく。
その現象の一つ一つが美琴の理解の範疇を逸脱していた。
かつて対峙した幻想猛獣のデュアルスキルに酷似している、だがレベルが違いすぎた。
大地の鳴動が、底の見えない地割れを引き起こし
荒れ狂う炎の渦が、街灯や石畳を蒸発させ
水の巨槌が、空を覆わんばかりに膨れ上がり
真空の刃が、空間ごと全てを斬り刻む
そして、その全てを理解不能な力で対処する赤い服の男。
美琴「馬鹿げてる……あの攻撃の一つ一つが最低でもレベル5級って……こ、こんなの私の能力でどうにか出来るわけない」
知らず歯を鳴らしながら後ずさる。しかし誰が臆病と謗れようか、美琴の眼前で展開されているのは神話の再現ともいえる程の戦いなのだ。
立ち竦む美琴の心情などお構いなしに、互角に見えた戦いの天秤が大きく傾く事になる。
フィアンマ「ハァ、ハァ、がはっ!?」ガクッ
テッラ「おやおや、もう限界ですかねー」
フィアンマ「な、何故だ……。『聖なる右』は正しく発動しているのに、何故 貴様は立っていられる……?」フラフラ
テッラ「フ、フフフ、ハハハハハッ!!」
フィアンマ「ッ!」ギリッ
テッラ「これは失礼。ですが、フフフ、あなたは自分の力がどの様なものか、まるで理解していないのですね」
フィアンマ「……どういう事だ」
テッラ「どんな相手も一撃で下す『聖なる右』とは即ち『神の如き者(ミカエル)』の力の顕現に他なりません」
フィアンマ「…………」
テッラ「一見無敵のようですが、実はそうじゃない。限界があるんですよ」
フィアンマ「それはそうだ。俺様が人間のカラダに収まっている限り、本来の性能を発揮できんのは自明だ」
テッラ「いいえ、仮にあなたが神上へ至ったとしても、私には絶対に届きません」
フィアンマ「貴様……」
テッラ「よもや『神の如き者』が至高の存在だと思っているんですかねー? だとすれば、残念ですがあなたはここまでです」ニッコリ
フィアンマ「至高……ッ、ま、まさか……テッラ、貴様!」ハッ
テッラ「そのまさかですよ。フフ、感謝してほしいですねー。今、あなたが生きているのは、私の慈悲なのですから」
フィアンマ「神上に至ったというのか。何時の間に……だが待て、そもそも至るための手段がない」ワナワナ
テッラ「おやおや、戦意喪失とは興醒めですねー。ダメダメです、今のあなたには殺す価値すらない」
フィアンマ「……俺様を見逃すのか。後悔しても知らんぞ」
テッラ「ええ、是非後悔させてください。負け犬に可能とは思えませんが、期待しないで待ってますよ」プークスクス
フィアンマ「フン……」
テッラ「フィアンマは素直に退きましたか。ここまでは計画どおり……さて、次は泥棒猫の始末ですねー」ギロリ
美琴「!?ッ」ビクッ
テッラ「フフフ、隠れていれば気付かれないと思っていましたか?」シュン!
美琴「くッ、この……!」
ビリビリッ!!
テッラ「んー? 今なにかしましたか?」
美琴「うそっ!? 確実に撃ち抜いた手応えがあったのに……」
テッラ「確かに命中しましたが、いかんせん威力不足ですねー。いい機会です、私がひとつ教えてあげましょう」
美琴「アンタに教えて貰うことなんて無いわよ!」
テッラ「遠慮はいりません。しっかり堪能しなさい、本物の電撃というものを」
テッラ「――天の風琴が奏で流れ落ちるその旋律 凄惨にして 蒼古なる雷」
朗々と詠唱するテッラの周囲に紫電が奔る。
ただの電気ではない、最強の電撃使い(エレクトロマスター)である美琴は恐怖と共に直感する。
美琴(ヤバイ……ッ! よく分かんないけど、あの魔術の発動を許せば……死ぬ!?)
結論が出た時には、既にコインを弾いていた。
美琴「させるかああああああああああああ!!!」
超電磁砲(レールガン)。一筋のオレンジが凶悪な威力でもって、テッラを射抜かんと発射された。
その破壊力は凄まじく、人間一人スクラップに変えて余りある。だがそれが届く前にテッラの魔術が完成した。
テッラの表情が醜く歪むのを美琴は見た。
テッラ「開け冥界の霊柩、すぐにこの雌猫を送呈してやろう。――ブルーティッシュボル、へぶッ!?!?」
魔術が発動する直前、誰が放ったのか、テッラの頭部に不可視の一撃が直撃した。
テッラ「な、何事……ぬ、ぬわあああーーーーーーーーーーーーーーーー!?!?!?」
大きく体勢を崩されたテッラは超電磁砲に撃ち抜かれ、ゴミのように吹き飛んでいった。
美琴「うっわー、派手に飛んでったわねぇ」
??「腑抜けている場合か。あれしきで倒れるような相手ではないだろう」スタッ
美琴「もしかして魔術を妨害してくれたのは……」
闇咲「そうだ。私は闇咲逢魔、上条当麻への義により助太刀する」
美琴「へ?」キョトン
闇咲「あの少年には返しきれない恩義があるのでな。……無駄話はここまでのようだ」
テッラ「不意打ちとはやってくれますねー。服が汚れたじゃありませんか」
美琴「ええっ、無傷!?」ガビーン
闇咲「直撃の寸前に防御結界を張ったのだろう。信じがたいレベルの使い手のようだ」
テッラ「残酷ですねー。私の不意を突けるだけ力量があるなら、この絶望的な戦力差を理解しているでしょうに」ニヤァ
闇咲「それがどうした」
美琴「そうよ! あんたがどれ程のものか知らないけどね、私はアリサさんを守るって決めたんだか…」
闇咲「敵わずとも娘ひとり連れて離脱する程度なら問題ない」ヒョイ
美琴「え、ちょっ、逃げんの!? てゆーか私担がれてる!?」ガビーン
闇咲「飛ぶぞ、舌をかまぬよう歯を食いしばれ。――風魔の弦」ビューン!!
テッラ「ふむ、これは予想外の展開ですねー」
美琴を肩に担いだ闇咲が、夜の第二十三学区を縦横無尽に疾駆する。
美琴「は、放して! 自力で逃げますから!!」
闇咲「…………」
美琴「ちょっと聞いてまひゃあ!?」
あまりの扱いに猛抗議する美琴の顔先数センチを、光の帯が文字通り光速で迸った。
闇咲「もう捕捉されたか。隠行魔術を使っているのだが、効果なしとは」
美琴「言ってる場合か!?」
闇咲「私は逃げに徹する。お前は攻撃なり防御なり好きに援護しろ」
美琴「ッ、言われなくても、ってぎゃあああ!?」
気を取り直して反撃を試みようと顔を上げた先に、緑の怪人がちびっ子号泣必死の面貌で迫って来ていた。
テッラ「人様の顔を見るなり悲鳴をあげるとは、失礼な小娘ですねー」
普段でさえ独創的な面構えだというのに、高速移動しているため、風圧で唇がめくれ剥き出しになった歯ぐき。
その状態でニヤけるものだから始末に負えない。
美琴「一遍鏡を見なさいよ! うわっ、キモっ、こわっ、夢に出るレベル!?」
闇咲「なるほど、精神攻撃とは考えたものだ」
美琴「あっちいけっ!! あっちいけーっ!!!」
恐怖のあまり半狂乱になりつつも、美琴は目につくものを手当たり次第磁力でテッラに投げ飛ばす。
しかし、その悉くをクネクネと避けるテッラ。不気味極まる。
美琴「もっと急いで! 追いつかれちゃう!?」
闇咲「すでに全速力だ。――風魔の弦」ビューン!
テッラ「フフフ……」ビュビューン!!
美琴「向こうも加速した!」ギャース
闇咲「ぬぅ……」
テッラ「追いつきましたよ。散々貶めてくれた礼をしませんとねー」ニッコリ
ガシッ
美琴「にょわっ!? 掴まれたーっ!?」
その瞬間ッ、恐慌状態にあった美琴の脳内を大切な人の声が電流の如く駆け廻ったッ!!
――右へ避けてください、とミサカはお姉さまに電波を送ってみます
美琴「ッ、右に避けて!!」
闇咲「承知っ! ――風魔の弦」
テッラ「無駄な足掻きを……むっ、な、なにィィィーーーー!?」ブチッ!!
闇咲が魔術で急制動をかけ、進路を右へきった次の瞬間、前方の彼方より飛来した何かが美琴を掴んでいたテッラの右腕を撃ち貫いた。
第二十三学区 上空――
学園都市の制空権を守るために開発された戦闘ヘリが、闇夜を縫うように飛翔する。
浜面「いやっほーぅ!! 騎兵隊のお出ましってかぁ!」
天井「普通に飛んでいる……。本当にヘリの操縦経験はないのか?」
浜面「あるわけねーだろ。こういうのはカンで何とかなるもんだ」フフン
天井「……有人機にカスタマイズしたこの『六枚羽』を、こうも容易く扱うとは。才能とは空恐ろしいのだ」ゴクリ
浜面「細かい制御は全部オートでやってくれるから楽勝だ。よし、御坂を発見! 前方距離2000!」
天井「追われているようだ」
浜面「御坂妹っ!! 御坂の撤退支援、いけるか!?」
御坂妹「何時でもいけます、とミサカは秘密兵器のお披露目に胸を高鳴らせます」ワクワク
アリサ「い、妹ちゃん? その物々しい機械は一体……」
御坂妹「妹達専用レールガン、通称『てんこ盛りミサカ』です。では少し離れてください、これよりミサカは狙撃体勢に移行します」ジャキ
アリサ「う、うん」
御坂妹「バレル展開、バイパスを背部ジェネレーターに直結、フルドライブ。出力70……80……90……イグニッション」ギュンギュンギュン
アリサ「…………」ドキドキ
御坂妹「ファイアリングロック解除、射線確保、照準補正…………邪魔です右へ避けてください、とミサカはお姉さまに電波を送ってみます」
アリサ「そんな適当でいいの!?」ガビーン
御坂妹「ふぁいあ」カチッ
ズオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!!!!
アリサ「きゃああーーー!! なにこれレーザービーム!?」ギャース
御坂妹「目標の右腕に直撃。第二射いきます。次弾装填、照準……」ガシャコン!
アリサ「無理だよ! 反動で揺れてる、めっちゃ揺れてるよぉーー!?」アウアウ
浜面「御坂が苦戦する相手だ。こっちも準備不足だし無理せず撤退するぞ!」
天井「慣性制御に難あり、か。しかし良いデータが取れた。これで一層研究が捗るというものだ」ホクホク
浜面「御坂妹はレールガンを仕舞って…」
御坂妹「追撃します、ふぁいあ」カチッ
ズオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッ!!!!!!!!
浜面アリサ「「反動で機体がああああああーーーーー!?!?」」ギャース
テッラ「う、腕がッ!? わたしの腕があああァァァーーーー!!!!」ブシャーー!
美琴「ひいィィ!?」
闇咲「勝機! ――衝打の弦」
ゴウッ!!
テッラ「ごッ、があああああああああああああああああああああああああッ!?!?」ズドーン!!
闇咲「……やったか?」
美琴「ぎゃあーー!! 千切れた腕が肩を掴んでるぅぅーーー!?」ギャース
闇咲「追い打ちをかけ確実に葬るか。それとも安全を優先し撤退するべきか」フム
美琴「取って!? ねぇ取ってよぉ!!」
闇咲「騒がしい娘だな。よく見てみろ、腕など何処にもありはしない」ヤレヤレ
美琴「ふぇ? ……あ、あれー?」
◇ ◇ ◇ ◇
第二十三学区 エンデュミオン内部――
レディリー「すごい……ローマ正教最強から無傷でエンデュミオンを守るなんて」
アウレオルス「必然、我が君にかかれば造作も無いこと」
レディリー「じゃ、じゃあ本当に私が望むものを与えてくれるというの?」
アウレオルス「当然、大いなる父の愛が無限なように、我が君の愛もまた無限。寸分の狂いなく願いは叶うだろう」
レディリー「あ……」
アウレオルス「不安など全て捨て、聖女インデックスを信じろ。それこそが、君が安息を得る唯一の道なのだから」
レディリー「ありがとう……ううっ、ほんとに……ありがとう」ポロポロ
第七学区 グループアジト――
美琴「たっだいまー、ってあれ?」
浜面「もうダメ……トイレに間に合わなオエーーーーーッ!!!」オロロロ
御坂妹「うぷっ!? ミ、ミサカは貰いゲロを必死に堪え、うぷぷっ!? も、もう限界がそこまで……」
アリサ「はい、洗面器。吐いちゃったほうが楽になるよ」
闇咲「……大惨事だな」
美琴「うぷっ!? わ、私までキモチ悪くなってきた……」
◇ ◇ ◇ ◇
浜面「いや参ったぜ。御坂妹が考えなしに二発もレールガンをぶっ放したもんだから、ヘリが揺れる揺れる」
アリサ「墜落するかと思ったよ……」
御坂妹「……お姉さまを助けたい一心だった、とミサカは小さな声で主張します」
浜面「にしたって一発で十分だったじゃねーか」
御坂妹「……反省してます」ションボリ
美琴「そんなに責めないでよ。この子もしっかり反省してるみたいだし」
御坂妹「お姉さま……」
美琴「アンタがあの魔術師を撃ち抜いたんでしょ? お陰で私は無事に帰ってこれた」ヨシヨシ
御坂妹「ミサカはお姉さまの……グループの仲間としてお役に立ちましたか? とミサカは問いかけます」
美琴「ええ、アンタが居てくれてホントに助かったわ」
御坂妹「ではご褒美を……31のトリプルで手を打ちます、とミサカは優しい姉にご褒美をねだります」シレッ
美琴「…………ガリガリ君で許して。今月もうピンチなの」
御坂妹「間をとってハーゲンダックで妥協します、とミサカは寛大な心を見せつけます」
美琴「どこが寛大よ! 私の懐事情を知ってて言ってんの!?」
闇咲「仲の良い双子だな」ウン
アリサ「だね」ホッコリ
浜面「確かに……てかオッサン誰?」ハテ?
テッテレー
グループは左方のテッラ?を撃退した!
浜面仕上は『六枚羽カスタム』を使用可能になった!!
御坂妹(9982号)は『てんこ盛りミサカ』へ換装可能になった!!※劇場版参照
ミコっちゃんはあんまし活躍できなかった!!
同日 深夜
第七学区――
ルチア「こちらアニェーゼ部隊のルチア、イントルーダーを所定の地区へ追い込みました」
木原『おう、ごくろーさん。あとはこっちで始末をつけっから今日はもう上がっていいぞ』
ルチア「承知しました」pi
アニェーゼ「報告は終わったようですね」
ルチア「はい、滞りなく」
アンジェレネ「ほ、ほんとに裏切っちゃいました……」オロオロ
アニェーゼ「そんなの今更ってなもんです。どの道、あのままローマ正教に居ても、遠くない未来に使い潰されてましたよ」
アンジェレネ「で、でも……」
ルチア「落ち着きなさいシスター・アンジェレネ」
アンジェレネ「シスター・ルチア……」
ルチア「任務を失敗した時点で、私たちは帰る場所を失いました。ですが神は我らを見捨てなかったではありませんか」
アニェーゼ「上条当麻ですか?」
アンジェレネ「あの人は神というか堕天使なんじゃ……」
ルチア「いいえ、あの方が堕天使なんて嘘です! ローマ正教の教えこそが誤りに違いありません!!」クワッ
アンジェレネ「部隊一の信仰心を持つシスター・ルチアはどこへ行ってしまったんでしょう……」ゲンナリ
アニェーゼ「どーでもいいです。衣食住を保証してくれて、学校にまで通わせてくれるってんですから学園都市様々ですよ」
◇ ◇ ◇ ◇
学園都市 外壁部――
木原「アイツらいい仕事するねえ。これじゃあ猟犬部隊はゴミ以下じゃねーか」
猟犬部隊A「……(酷い言われようだ)」
木原「幻想殺しが説得したいっつった時は半信半疑だったが、こんなに優秀ならあの皮かぶり野郎も引き抜くんだったなぁ」
猟犬部隊B「……(ああ、隊長が散々嬲りものにした挙句、アイテムとかいう小組織に売り渡された少年か)」
猟犬部隊C「隊長、嗅覚センサーに感あり。イントルーダー来ます!」
テッラ「まさか完全に異教のサル共に降っていたとは。忌々しい、実に忌々しいですねー」タッタッタ
木原「よお、さっきぶり」
テッラ「!」
木原「シスターの嬢ちゃんたちを捨て駒に、ゲリラ戦を仕掛けようって腹積もりだったんだろうが、まあ残念だったな」
テッラ「大人しく道を開けなさい。今はあなた達に構っている暇はありませんので」スタスタ
木原「そうしたいのは山々だけどなぁ。こっちもサラリーマンだからよ、給料分は働かねえといけないんだわ」
テッラ「金銭のために命を散らすとは、異教のサルは本当に愚かですねー」
木原「こいつムカつくわー。ただでさえ残業でイラついてんのに、ハァ……今すぐ殺してぇ」
テッラ「付き合いきれませんね。優先する、――刃の動きを上位に、人肌を下位に」ビュン!
ズバッッ!!
木原「うおっ!?」ヒラリ
猟犬部隊A「ぎゃあああああああああああ!!!」ブシューー!!!
猟犬部隊B「クソッ、黙ってやられるか!!」ジャキ!
タタタタタタタタタタタタタタッッ!!!!
テッラ「優先する。――人体を上位に、銃弾を下位に」
猟犬部隊B「銃が効かない!?」
木原「バーカ落ち着け。いいか、全員が異なる性質の武器で一斉攻撃しろ。ライフルに火炎放射機、ロケットランチャー、あとスタングレネードも持ってきてたよな」
猟犬部隊C「了解っ!!」
テッラ「……(なるほど、『光の処刑』の弱点を見切られていますねー。癪ですが大人しく撤退するべきですか)」
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