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    元スレ八幡「ブラコンめ」沙希「シスコンめ」

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    451 = 429 :

    「小町、手伝ってくれる?」
    「モチのロンですともー」

    まぁさほど広い部屋というわけではないので、3人でやってしまえばパパっと終わる。

    「それじゃ窓開けて、小町はゴミを纏めちゃって。あたしは脱ぎ散らかしの服畳んじゃうから、八幡はマンガとか参考書とかちゃんと仕舞って」
    「うーっす」
    「了解でーす、それじゃゴミ袋取ってきますねー」

    452 = 429 :

    一旦部屋を出て、キッチンの奥からゴミ袋を持ってくる。

    「にゃーご」

    そこに居たのは餌を食べ終わったカーくん。

    「おっとそうだったそうだった!」


    お兄ちゃんの部屋に戻る前に、カーくんを連れて小町の部屋へ。
    うぅ・・・やっぱカーくんちょっと重いよぉ~。

    「カーくん、今日は小町のベッド使っていいから、おとなしくしててね☆」

    ベッドにカーくんを下ろす。

    『おう、お前の兄貴のためだもんな。わぁーってるよ』

    などと思ってるのかどうかは知らないが、おもむろに腹を上にしてゴロゴロし始めた。
    不満は特にないらしい。


    453 = 429 :

    お兄ちゃんの部屋へ戻ってくる。
    部屋は半分以上片付いていた。手際いいなー。

    なんだかんだでお兄ちゃんも一度行動を始めればちゃんとやってくれるみたいだし。
    お姉ちゃんはそんなお兄ちゃんにちゃんと行動させるし。



    ゴミを袋に移しながら、様子を見てると、ふと思いつく。

    「やっぱ2人は息合ってるって感じだなぁ~もう何か夫婦!って感じ☆」

    ここはいっちょ爆弾投下!さぁどうなる・・・?

    454 = 429 :

    「あーそうね。このまま相手居なかったらあたしが貰われてやるよ」

    ほぁ!?

    「まじかー、サンキュー沙希ぃー、愛してるぜー」

    ほあぁぁ!?

    「はいはい、あたしもー」

    ・・・ほぁ?

    「でも専業主夫はダメだかんね」
    「まじかー、カーチャンそりゃないんじゃないのー」



    「うわー・・・なーんかテキトーだなぁ・・・」

    小町とお兄ちゃんとの会話と同じテンションだった。
    お兄ちゃんは遠慮が要らない相手だと、とことん遠慮しないんだよなぁ。

    455 = 429 :






    「ほへー、これが元古着とはー」

    掃除を終え、リビングに戻ったところでお姉ちゃんは鞄から服を取り出した。
    この前の2人のデートは、裁縫道具の新調とお兄ちゃんの服の材料を買ったようだ。


    「衣服に手を入れるのはあんまり経験がなくてね。けど興味はあったし丁度良かったんだ」
    「大志くんの服も何か手を入れてたりするんですか?」
    「いや、私服に手を出すのは初めてかな。だから試作」

    456 = 429 :

    ふむふむ、古着特有の古ぼけた部分をしっかり補強してるし、腰元あたりはスッと引き締めて強調してる。
    派手に改造するわけではなく、あくまで自然に。

    「お兄ちゃん、早速着てみてよ!」
    「はいはい・・・言っとくけど今日は出かけないからなー?着るだけだぞ」

    お兄ちゃんは洗面所へ向かって行った。

    457 = 429 :

    「上手くいくようになったら、小町の分も何か作ってみるよ」
    「あ、でもでもー、そうであれば小町も一緒に作りたいですー」
    「ハハ、そうだったね。じゃあ受験が終わって時間がいっぱいある春休みになったら一緒に作ろうか」
    「是非に!うっわー、楽しみだなー」

    その為にもちゃんと合格しなきゃね。

    458 = 429 :

    「戻ったどー」

    お兄ちゃんがリビングに戻ってくる。

    「おぉ!お兄ちゃんイメージ変わるぅ~」

    スラリと引き締められた上半身がバランスよく、姿勢も心なしか良く見えるようになってる。
    視線を上げていくと・・・あぁ、やっぱり相変わらず腐った目。

    459 = 429 :

    「ふーん・・・うん、試作にしちゃ我ながら上出来だね。あんたを最初にしといて良かったよ」
    「おー、そいつはどうもー。文化祭での経験が活きたわけだ」
    「ハハ、あん時はどうもね」

    お姉ちゃんは文化祭の時、衣装担当をしたそうな。
    その時は自分から名乗り出れなかったんだけど、お兄ちゃんがこっそり助け舟を出してくれたって。
    そんな事を以前、ちょっとだけ嬉しそうに教えてくれた。

    460 = 429 :

    「お兄ちゃん、明日の服は決まったね!」
    「え、マジか。これ着て行くの?」

    そりゃそーでしょ!全くゴミぃちゃんめ!

    「何言ってんだ、その為に今日持ってきたんだろ?」
    「お前試作って言ってただろ・・・どんだけ自信満々なんだよ・・・」


    お姉ちゃんも自分が手を入れた服を着てもらえるのが嬉しいのかな。






    さーて、小町は明日何着て行こうかな。

    461 = 429 :

    次はクリスマスパーティですかね
    それでは失礼します

    462 :

    グフぅ。

    463 :

    うぼぁ

    464 :

    なぁ・・・なんで俺の高校生活はこうならなかったんだ?
    環境や状況、性格がほぼ一致してると言うのに・・・
    ただ唯一違うのは奉仕部に居なかったことか・・・

    465 :

    乙です
    八幡と沙希さんの会話が完全に夫婦漫才なんですが……
    沙希さんのデレを>>267-268以降見かけない

    467 :

    いいな。

    468 :

    乙!
    小町視点やっぱかわいい!パーソナルゾーンの変化を表現するには小町視点がぴったり。

    469 = 429 :

    こんばんわー
    続き書いてきます

    470 = 429 :

    12月24日


    「うぃーっす」
    「みなさーん、お待たせしましたー」

    昼過ぎ、駅前。
    "クリスマスパーティー"などという超絶リア充イベントに俺は足を踏み入れる事になる。

    「やっはろー!ヒッキー!」
    「おう、待たせちまったか?」

    「そんな事ないよ、僕も丁度さっき来たんだ」
    「そ、そうか。遅刻しないでよかったぜ」

    彩加ぁ!お前ってヤツはどこでそんな高等待ち合わせテクニックを!
    まさしく夢と憧れのやり取りだよコレ!もういい!男でもいい!

    471 = 429 :

    「こんにちは比企谷くん。まさかよりにもよってこの日に顔を合わせる事になるなんてね」
    「コンニチワ雪ノ下サン。そう思うなら誘った由比ヶ浜に文句を言うか、お前が来ないって選択を取って下さいよ」
    「あら?あなたが来るのは確定だったのかしら?」
    「うっせぇ・・・」

    「もう2人とも、すぐそんな事言い出すんだから。今日は楽しくやろ。ね?」

    由比ヶ浜が雪ノ下に抱き着きながら言う。

    「ま、まぁ・・・善処するわよ・・・」
    「うん!」

    相変わらず由比ヶ浜に対してコイツは甘々だ。


    「ヒッキーも!クリスマスパーティー来てくれてありがとうね!」
    「あいよ」

    472 = 429 :

    そりゃさ、確かに『どれか1つにしろ』って言った時点でこーなる事は容易に想像できたわけだよ。

    年末行事の中ではぶっちぎりに強いヤツ。とびっきりの最強。12月24日がやらねば誰がやる。
    しかも何?今日は"クリスマスイブ"で明日が"クリスマス"だぁ?いい加減にしろよ双子かよ。

    冬という季節を象徴した氷のロマンスと、熱く火照った体を象徴する炎のロマンスで一夜越しのシンメトリカルドッキングですかぁ?コノヤロー!
    俺の下の方の竜がザ・パワーってか!?そのまま光になれぇ!浄化されろ!身も心も浄化されて坊主になりやがれ!あっちの方も坊主になりやがれ!

    とかなんとか思いながら布団に包まりひたすら朝が来るのを待つ。それが"クリスマスイブ"と"クリスマス"という悪夢の2日間。
    ぼっちにとっては1年で、どんな学校行事よりも難易度の高いナイトメアモード。参加権すら通常ありえない。マストダイ。

    473 = 429 :

    しかしそれはぼっちの話、今の俺には何の問題もない。
    と、友達、い、居るもんね!居るもんね!
    ただちょっと初参加だから立ち振る舞いが判らないだけで、き、緊張とかそういうんじゃないんだからねっ!


    そ、それにぃ?友達が居る場合でも男の場合は、こんなイベントに参加するというのも結構難易度が高いんだ!

    友達居た状態でクリスマス迎えた経験なかったから不確定要素ではあるが、男女混合のクリスマスパーティーなんてよほどの幸運の持ち主だ。
    女同士ならまだ考えられるが、男同士でクリスマスを共に過ごすなんて大参事だけは誰もが避ける。

    474 = 429 :

    つまりだ、今この場において俺は超リア充、超幸運、超高校生級の幸運の持ち主!
    裁判で超幸運を駆使して切り抜けてズタボロの屍になるまである。って俺ゲームオーバーじゃん!?



    「ごめん、お待たせ。あたしが最後かな」
    「こんにちはッス」

    なんて無駄な考えをしていると沙希と大志がやってくる。

    475 = 429 :

    「あ、沙希ちゃん、大志くん」
    「やっはろー!今日は来てくれてありがと、沙希」
    「う、うん、こちらこそ・・・ありがと」


    ・・・考えてみたらこいつ、女友達がいねぇんだよな。
    小町はどっちかっつーと大志と同じ位置に居るし、忘れそうになるけど彩加は男だし。
    いや、沙希はちゃんと彩加の事を男として認めてるはず。

    476 = 429 :

    なのでこうして遊び目的で同じ女子と会話するのは新鮮なのだろう。所謂"デレ"だ。
    最近では俺に対してはめっきり遠慮が無くなってきており、かといって彩加、小町に対しても普通に接してしまっている。
    大志はもっての外。

    なので俺の視界に入るこいつの"デレ"は早々無くなってしまった。
    寂しいものである。

    477 = 429 :

    「お久しぶりッス。今日はお招きいただきどうもッス」
    「あ、大志くんも、やっはろー!」
    「こんにちは、お元気そうで何よりだわ」

    近い未来の後輩(予定)の登場におもむろに先輩面。
    いや、奉仕部は2年の俺らだけだし、なんだかんだで関連のある後輩ができるのは、こいつらでも嬉しいのかもしれない。

    478 = 429 :



    「よ、待たせちまったかい?」

    沙希が俺に声を掛ける。

    「いんや、俺もついさっき着いたところだ」

    言ってやる。

    「う、うん・・・フフ・・・上出来だよ・・・」

    あぁ・・・俺もやっと言えたよ・・・




    って、だーもうなんだこれ恥ずかしすぎるだろ!次からは絶対俺が遅れてきてやる!

    479 = 429 :

    カラオケ店


    場所は以前由比ヶ浜の誕生日を祝ったところと同じ。
    何なの?定番化させるつもりか?

    「まぁどうせここだとは思ってた」
    「パーティールームは広いし、時間も長く居れるからね。僕もここだと思ってた」

    マジで!?彩加と思いが重なっちゃった!62秒でケリを付ける!

    480 = 429 :

    「まぁね、これだけの人数だと誰かの家でってのも流石に無理があるし」

    由比ヶ浜も手慣れた様子だ。流石パーティー企画と進行には定評がある。

    「そうだなー・・・ってかあの時は誕生日ケーキ持ち込みだったけど、クリスマスもオッケーなの?」

    見ると雪ノ下はケーキを持ってきている。
    以前のケーキのサイズはそこまで明確に覚えてないが、多分それより大きいだろう。

    481 = 429 :

    「うん、今回は事前に聞いてオッケー貰ったよ」
    「基本的にこの店は、お祝い事に関しては結構許容してくれるそうよ」
    「うむ!やはりそれくらいの懐の広さを持ち合わせてなければ、我が愛刀の置き所にも困ると言うものよ!」

    482 = 429 :

    「あ、俺カラオケって久しぶりッス!」
    「ん?そうなんか大志。ってまぁ中学生だとそこまで頻繁に来れる財力も難しいか」
    「むふぅん!そうであろうそうであろう!か弱き後輩の面倒を見るのも、将軍の務めであろう!」

    483 = 429 :

    「と言ってもー、歌うとは限らないよ。ほら、前も小町が言い出さなかったら多分歌ってなかったし」
    「そ、そうなのか?まぁあたしはこーゆーのあんま・・・慣れてないし・・・」
    「無理しなくていいよ沙希ちゃん。今度僕と八幡と一緒に来よ?その時慣れればいいよ」

    「なっはっはっは!我も八幡あるところ我もありだぞぉ!」
    「ごちゃごちゃうるせぇー!」

    すっげぇムカつく図体を蹴り飛ばす。

    「たわっばぁ!」


    スっ転んだ豚を横目に、ふんっ!と鼻息を鳴らす。

    484 = 429 :

    「で、何でいるの?誰かに呼ばれたの?お前を呼んでいるのは調理場のコックだぞ」

    俺の目は今まさしく『養豚場の豚を見る目』だろう。


    「な、なんスかこの人。初めて見るんスけど・・・」

    見ろ、大志が怯えてるじゃねぇか。激しくどうでもいいな。

    「なんだこいつ、どっかで見た事あるんだが・・・なんだっけ?心霊写真か何かで見たような・・・」
    「あぁほら、豚の妖怪だよ。天竺目指して旅してたら、他のメンバーに食われそうになったんで逃げてきたんだよ」
    「ブヒッwwwwwwww」

    485 = 429 :

    「まぁまぁ、ちゃんと入れてあげるから。でも中二ってヒッキーの来るところになんだかんだで突然現れるよね。ストーカー?」
    「なるほど、俺は警察に通報すればよかったんだな」

    失念してたぜ。まさかこんな簡単に解決できる方法があるとは・・・

    「え、ちょ、ちょっとぉ?はちまーん!?」
    「あら、警察に不審人物として捕まりそうなのは比企谷くんの方じゃない?通報自体が分の悪い賭けよ」
    「電話越しでもダメなのかよ!?」


    ま、しゃーない。なんだかんだで由比ヶ浜の誕生会にも、文化祭の打ち上げにもこいつ居たし・・・ほんと何で居たんだろう。
    こいつは一人で移動イスに座らせるという事で手を打とう。

    ・・・・・
    ・・・・
    ・・・
    ・・

    486 = 429 :

    「「「メリークリスマース!」」」


    カチン!と乾杯の音が鳴る。


    各々が飲み物を一通り飲んだところでようやく腰を下ろせる。
    まったくなんで乾杯まで立ってやるんだよ。

    おっとその前にコート脱がないと。


    大き目なパーティールームは収納スペースが配置されていたりする。
    多人数の上着や荷物などを置いておくスペースだ。

    487 = 429 :

    沙希も彩加もその手の上着は着てきていない。

    彩加はちょっとダボダボ気味のパーカー。うん、それ八幡的にポイント高いわ。
    沙希は妙にカッコいい短めのジャケット。スタイルの良さが際立っている。

    小町と大志は部屋に入った時にさっさと仕舞ったようだ。

    材木座はあれ脱いだらキャラぶれるんで放っておこう。THE・木材とかになってしまう。

    んじゃ残るヤツは・・・と

    488 = 429 :

    「雪ノ下ー、由比ヶ浜ー。コート仕舞うぞ、ほれ」
    「えぇ、お願いするわ」
    「えへへー、ヒッキーありがとう!・・・ってあれ?」

    コートを脱いでハンガーに掛けてる俺を由比ヶ浜が観察している。



    「んん?ヒッキーなんか服の感じ変わった?」

    むむ・・・流石上位カーストに食いこんでいるだけはあるな。
    変化に、特に衣服の変化に気付くのが早い。

    「あら、そういえば・・・あなたは服に関しては無頓着だと思っていたけれど・・・」

    いやまー、たしかにそーなんだけどさ・・・。

    489 = 429 :

    チラリ、と沙希を見る

    沙希は平静を保とうとしているが、口元がわずかに緩んでいるのが見て取れる。
    カッコよくキメてきたワリにコップ両手で持ってもじもじしおってからに・・・
    ククク・・・そーゆーのが見たかったんだよ。


    「んふふふふぅ~その服はですねぇ~・・・ふふふふ」
    「あら小町さん、あなたの見立て?」

    乱入者現る!
    まぁ気づかれたなら仕方ないさ、俺も白状しよう。

    「いえいえ、そうではないんですよ。この服はですね・・・」
    「沙希が作ってくれたんだ。古着に手を加えてな」



    「・・・なっ!?」
    「ええええええ!?ホントに!?」

    「う・・・その・・・うん・・・」

    490 = 429 :

    「へぇー沙希ちゃんやっぱり上手だなぁー。」
    「はははははは八幡のよよよ鎧が、カスタマイズ聖衣だとぉぉぉ!?」

    んだよ鎧って、冥界に行けってか。

    「いやその・・・あたしだってその・・・私服に手を出すのは初めてというか・・・その・・・」
    「おい、お前らその辺しとけ。沙希がいっぱいいっぱいだ」

    今の沙希にはここらが限界だろう。
    ったく家で話してた時と全然態度が違うじゃねぇか。あの自信満々な態度はどこ行ったんだよ。

    491 = 429 :

    「む~・・・んー、でもやっぱり沙希っぽいな。デザインそのものはあんまり変えてないけど、所々強調されてる」
    「そうね・・・元々は古着だって話だけれど、それ自体も比企谷くんの姿勢に噛み合ってる・・・これも川崎さんが選んだのかしら」

    ジロジロとみられる俺。まるで動物園のパンダ。
    あ、いやどっちかっつーとナマケモノか。あぁ・・・怠けてぇ・・・

    「そっかぁ、姉ちゃん遂に私服も弄るようになったのかぁ」
    「えへへへへ~、小町も~、受験が終わったらお姉ちゃんに裁縫教わる約束なんですよぉ~」

    小町が沙希に抱き着く。
    おい沙希、そこは俺の場所だ!俺の位置だ!

    492 = 429 :

    「えぇ~!いいないいな~!あたしにも教えてよ沙希ぃ~」
    「お前は料理を覚えるのが先だろ?」
    「ぐ・・・」

    「はぁ、そう焦るなって小町。ちゃんと教えてやるからさ」
    「うぉう!?へ、へへへへ~」

    沙希が小町をちょっとだけ引き寄せるように頭に手を乗せる。
    あ~ん小町ちゃんったらもうヘヴン状態!

    493 = 429 :

    「おい、お前もその辺にしとけよ沙希。これ以上俺の妹に変な道を教えるな」
    「変な道って何よ。ならあんたも大志で同じことやりなよ」
    「できるか!」

    俺の胸に飛び込んでいい男は彩加だけだ。

    「姉ちゃん・・・流石に俺もお兄さんに対してそれはちょっと・・・」
    「当たり前だ!そこはもっと強く否定しろ!」

    ただでさえうちのクラスでは、そのような軽率な行動は死者がでかねないんだぞ。

    494 = 429 :

    「ま、やったらやったで、手首が逆向きになる事くらいは覚悟するんだね」
    「自分で言っておいて結局そこに行きつくのかよ・・・いいからそろそろ離れろ」

    小町のおでこをグッと押し込んで離してやる。

    「ほんっと過保護だねぇあんた・・・別にちょっかい出そうってわけじゃないんだよ」
    「過保護はお互い様だろーが・・・お前のは判りやすすぎるんだよ」

    小町を押した手を掴まれる。

    「あ・・・この流れは・・・」
    「?どうかしたの由比ヶ浜さん」

    「おい、あたしのどこが判りやすいって?あんたに呆れながら合わせてるだけでしょーが!?」
    「なーに言ってんのぉ?男の思春期にあれこれちょっかい出したり押し付けたりするもんじゃねーよ!」

    掴まれた腕を払い、世界一嬉しくない恋人繋ぎへ移行。

    「そろそろおとなしくなりなシスコンめ!」
    「引き下がるのはそっちだよブラコンめ!」

    495 = 429 :

    「かんぱーい」

    彩加が俺たちのグラスを持ち、俺たちの目の前でチンッと合わせて・・・

    「「!?」」

    反動でグラスは俺たちの口へ。
    そのままちょっとだけ傾ける。

    「・・・」
    「・・・」

    グラスが離される。

    「・・・っぷぁ!わ、悪い彩加!」
    「・・・っぷぁ!またやっちまうとこだったぜ!サンキュー彩加!」


    「アハハ、変わらないなぁ2人とも」


    最強の笑顔で、いつも通りに微笑みかけてくれた。

    496 = 429 :



    「おぉ・・・さいちゃん凄い・・・」
    「お見事だわ・・・」

    「まー、この3人の中で誰が一番頂点に居るかと言えば彩加さんですからねー」
    「そうッス。あの状況になった2人を一瞬で止められるのは彩加さんだけッス」



    ふぅ・・・危ない危ない・・・
    彩加が居ないときはある程度自制したり、止めるタイミングをお互いに理解してたりするが・・・
    居ると居るで安心しきって気が緩んじゃうんだよな・・・

    497 = 429 :

    「ふむん・・・あの魔女との激闘を見続けるのも戦士の血がうずいて悪くなかったのだがな・・・」

    材木座が小声で話しかけてくる。ウゼェ。
    移動イスに座らせたのが間違いだったかもしれん・・・動ける[ピザ]は厄介だ。

    「おい魔女って言うな、あいつは物理アタッカーだぞ。普段はモンクで、スイッチが入るとバーサーカーだぞ」

    こんなこと聞こえる声じゃ絶対に言えないな。
    カラオケルームというのはなんだかんだでBGMが常に流れているのが逆に助かる。

    「ところで兄様?聖衣を新調なさったみたいですが、妹君は普段どんな服なのでございまするか?」
    「・・・白い特攻服だコノヤロー。お前をミンチにする為のなぁ」

    俺の目は再びダークサイドに染まった。

    498 = 429 :



    ・・・・・
    ・・・・
    ・・・
    ・・



    「あ、美味し・・・」

    俺たちは雪ノ下の持ってきたケーキを食っている。
    相変わらずうめぇ。流石に菓子作りはそこまでレパートリーは無いしな、俺。

    「雪ノ下はこうゆうのも作れるんだな」

    沙希が関心したように言う。

    「あら、料理の技量に関しては、あなたも相当なものだと聞いているけど?」
    「あ、でもあたし普通の料理は作るんだけど、お菓子とかはあんまり作ってないんだ・・・」

    まぁ菓子は菓子だしな。
    料理スキルに必須ってわけじゃない。

    499 = 429 :

    「ふふ・・・あなたのそうゆう部分をお話しできるとは思ってなかったわ、川崎さん。ちょっと変わったのかしら」
    「うぇ!?そ、そんなわけじゃ・・・」
    「おいおい、沙希は最初の依頼の頃とあんまし変わっちゃいねーぞ。元からこーゆーヤツだ」

    そう、ただ単に人付き合いに慣れていなかっただけで、こいつは元からこんなヤツだ。
    根っこの部分は早々変わるもんじゃない。

    「ふーん・・・ヒッキーよく判ってるね」
    「当たり前だ、ぼっちは互いに干渉し合わないのがぼっちだが、見捨てるのとは訳が違う」

    ぼっちはぼっちでそれぞれのカテゴライズがあるのだ。
    そしてぼっちはそれを人一倍敏感に察知するのだ。

    500 = 429 :

    しかし相変わらず誰も歌おうとはしない。

    いや、俺としては全然構わないんだが、よくこれで時間持つなぁとは思う。
    既に数時間経過してるが会話が途切れる気配は今の所無い。
    それどころか様子を見る限り、フリータイムの最後までトークで終わる勢いだ。

    受験の話、高校生活の話、中学時代はどうだった、ケーキの作り方がどーのこーの、弁当の作り方がどーのこーの・・・

    マイク拗ねてるよ?


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