私的良スレ書庫
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元スレ晴人「宙に舞う牙」
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キマイラもドラゴンもウィザード終盤になると大分好感度が高くなってるからな
ほとんど味方みたいなもん
ほとんど味方みたいなもん
ビーストはサーベルを振るってパズズに斬りかかる。
しかし切っ先はパズズの体に届かなかった。パズズは持ち前の脚を活かして既にビーストの横に回り込んでいたからだ。ビーストの肩に容赦なく拳が叩き込まれる。
痛みに耐えながらビーストはサーベルを横に薙いで反撃を試みようとしたが遅い。パズズは背後にいた。背中に激しい衝撃が走った。
「仁藤くん! そいつは見てからでは遅い! 動きを読みなさい!」
メデューサと剣を鍔競り合わせながらイクサはアドバイスを飛ばした。
確かに今のままではパズズのスピードに翻弄されて一方的にやられるだけだ。それはビーストも理解していた。
(何か……何かねえか)
思案するビーストを他所にパズズは全身に力を込めると一瞬で姿を消した。高速移動するパズズを目で追うことは不可能だった。
イクサの様にスーパーテクノロジーの塊であればセンサーなどが補助に入ってくれるだろうがビーストにはそういった機能は一切ない。魔法で強化された身一つで戦わなえればならなかった。
それでもビーストは勝つために考えた。
古の魔法使いビースト。その力は名前の示す通り、獣の力を具現させることだ。
相手を見つける。そんな都合のいい力をもった動物が……
「あった!」
ビーストは閃いた。
「あったぜ! 敵の位置がしっかり分かるのがよぉっ!」
ビーストは右中指に紫色の指輪をはめてソケットにはめ込む。
ドルフィン! ゴー! ドッ! ドッ! ドッ! ドルフィン!
ビーストに紫色のマントとイルカの像が出現した。
「見えなくたって消えた訳じゃねえんだ。だったら」
右肩のイルカの像を正面にして構えをとるビースト。
「キュイーッ!」
鳴き声が響くとイルカの像からは魔力の込められた音波が放射された。ビーストの耳には自分だけ聞こえる音波の反響音が静かに響いた。反響音に耳を傾けて、獲物の位置を把握する。暗い海の中にいるような気分だった。
体を僅かに動かしていきながら別の場所に音波を飛ばして反響音を拾っていく。
敵の位置さへ分かれば怖いことはない。だが見つからなければ意味がない。もしパズズに自分のやっていることがただの警戒ではなく、索敵だとバレてしまえば勝負を決めにこられてしまう。ビーストの鼓動が緊張で早くなった。
方向、距離、大きさ、形。目にはけして見えないが反響音は極めて正確なパズズの情報をビーストに優しく囁いて教えてくれる。
(まだだ。まだ遠い。もう少し……)
獲物が近づいてくる。
(溜めて……)
ギリギリまで引きつける。
(ここだ!)
確信を持ってビーストは跳ねた。狙うは一点。こちらに突っ込んでくるパズズだ。
「キュイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
雄叫びをあげながらビーストはサーベルを突き刺すように力いっぱい前に出した。
次の瞬間、まるでサーベルの切っ先に吸い寄せられるようにパズズの腹部が深く刺さった。奇しくも以前イクサとの戦いでやられた箇所と同じだった。
ビーストはここぞとばかりに攻め立てる。サーベルのダイスをロールし、指輪を装填させてセイバーストライクを発動させる。
サーベルを引き抜くと同時に三匹のイルカがパズズを襲った。防御をする間もなくパズズはイルカの魔法弾をくらい地面に転がった。
「メインディッシュだ!」
ビーストが指輪をドライバーのソケットにはめ込むと詠唱が始まった。
キックストライク! ゴー! ドルフィン! ミックス!
詠唱と同時にビーストの足に黄金のイルカの頭が具現した。黄金のイルカは一度鳴くと泳ぐように優雅に地面を滑り出した。
「キュイーーーーーー!」
イルカが跳ねると同時にストライクビースト・ドルフィンミックスが炸裂した。
パズズに渾身の一撃を叩き込んだビーストは蹴りの反動を利用して宙に舞った。
体を何度もひねりながら舞う姿は水族館のイルカショーの締め括りを飾る派手な大ジャンプの様だった。
着地するとビーストはパズズを見据えた。パズズの姿が人間のものへと変わった。
しかし切っ先はパズズの体に届かなかった。パズズは持ち前の脚を活かして既にビーストの横に回り込んでいたからだ。ビーストの肩に容赦なく拳が叩き込まれる。
痛みに耐えながらビーストはサーベルを横に薙いで反撃を試みようとしたが遅い。パズズは背後にいた。背中に激しい衝撃が走った。
「仁藤くん! そいつは見てからでは遅い! 動きを読みなさい!」
メデューサと剣を鍔競り合わせながらイクサはアドバイスを飛ばした。
確かに今のままではパズズのスピードに翻弄されて一方的にやられるだけだ。それはビーストも理解していた。
(何か……何かねえか)
思案するビーストを他所にパズズは全身に力を込めると一瞬で姿を消した。高速移動するパズズを目で追うことは不可能だった。
イクサの様にスーパーテクノロジーの塊であればセンサーなどが補助に入ってくれるだろうがビーストにはそういった機能は一切ない。魔法で強化された身一つで戦わなえればならなかった。
それでもビーストは勝つために考えた。
古の魔法使いビースト。その力は名前の示す通り、獣の力を具現させることだ。
相手を見つける。そんな都合のいい力をもった動物が……
「あった!」
ビーストは閃いた。
「あったぜ! 敵の位置がしっかり分かるのがよぉっ!」
ビーストは右中指に紫色の指輪をはめてソケットにはめ込む。
ドルフィン! ゴー! ドッ! ドッ! ドッ! ドルフィン!
ビーストに紫色のマントとイルカの像が出現した。
「見えなくたって消えた訳じゃねえんだ。だったら」
右肩のイルカの像を正面にして構えをとるビースト。
「キュイーッ!」
鳴き声が響くとイルカの像からは魔力の込められた音波が放射された。ビーストの耳には自分だけ聞こえる音波の反響音が静かに響いた。反響音に耳を傾けて、獲物の位置を把握する。暗い海の中にいるような気分だった。
体を僅かに動かしていきながら別の場所に音波を飛ばして反響音を拾っていく。
敵の位置さへ分かれば怖いことはない。だが見つからなければ意味がない。もしパズズに自分のやっていることがただの警戒ではなく、索敵だとバレてしまえば勝負を決めにこられてしまう。ビーストの鼓動が緊張で早くなった。
方向、距離、大きさ、形。目にはけして見えないが反響音は極めて正確なパズズの情報をビーストに優しく囁いて教えてくれる。
(まだだ。まだ遠い。もう少し……)
獲物が近づいてくる。
(溜めて……)
ギリギリまで引きつける。
(ここだ!)
確信を持ってビーストは跳ねた。狙うは一点。こちらに突っ込んでくるパズズだ。
「キュイイイイイイイイイイイイイイイッ!」
雄叫びをあげながらビーストはサーベルを突き刺すように力いっぱい前に出した。
次の瞬間、まるでサーベルの切っ先に吸い寄せられるようにパズズの腹部が深く刺さった。奇しくも以前イクサとの戦いでやられた箇所と同じだった。
ビーストはここぞとばかりに攻め立てる。サーベルのダイスをロールし、指輪を装填させてセイバーストライクを発動させる。
サーベルを引き抜くと同時に三匹のイルカがパズズを襲った。防御をする間もなくパズズはイルカの魔法弾をくらい地面に転がった。
「メインディッシュだ!」
ビーストが指輪をドライバーのソケットにはめ込むと詠唱が始まった。
キックストライク! ゴー! ドルフィン! ミックス!
詠唱と同時にビーストの足に黄金のイルカの頭が具現した。黄金のイルカは一度鳴くと泳ぐように優雅に地面を滑り出した。
「キュイーーーーーー!」
イルカが跳ねると同時にストライクビースト・ドルフィンミックスが炸裂した。
パズズに渾身の一撃を叩き込んだビーストは蹴りの反動を利用して宙に舞った。
体を何度もひねりながら舞う姿は水族館のイルカショーの締め括りを飾る派手な大ジャンプの様だった。
着地するとビーストはパズズを見据えた。パズズの姿が人間のものへと変わった。
パズズ――望は立っていることも出来ずよろよろと力なく膝から落ちた。自分の体から魔力が消えていくのを感じる。
何が起きているか理解が追いつかない。分からない
望は過去の記憶を探った。こんな経験をした時、どうすればいいか答えがあるかもしれない。だが幾ら探しても記憶の引き出しからは何も出てこなかった。
どうやらゲートはこんな経験をしたことが無いようだ。
両手を覗き込むと金色の砂が煙のようにたっていた。砂は一筋の道を描きながら今さっき自分と戦っていた古の魔法使いのベルトへと運ばれていた。
望は理解した。
そうか。俺は死ぬのか。
死というの初めての経験に望はどうすればいいか分からなかった。望はもう一度記憶を探った。生まれることと死ぬことは人にとって生涯一度きりの経験。見つかるはずが無かった。
しかし望には一度死んだ過去があった。望は記憶を振り返る。
どことも分からない小島。集められた見知らぬ人々。突然の日食。不気味に輝く地面。叫びと共に人がファントムへと変わっていく有様。
望――パズズが産まれた日の光景だった。
記憶の中で望は絶望に飲み込まれていた。体中に亀裂が走り、もう間もなく自分が誕生しそうだった。すると望の口が動いた。
ね、え…………さ、ん。
次の瞬間、望の全身が弾けとんだ。代わってバッタのファントムの姿をした自分が立っていた。
望は理解した。
そうか。死ぬ時は姉さんの事を考えればいいのか。
望は記憶の引き出しにある希と過ごした日々を漁りだした。朝起こす時や一緒に食事をとる時、大学での他愛ない話をする時、ソファーに並んでテレビを見る時、おやすみの時にゆっくりとベッドに連れていく時、毎日が似たようなことの繰り返しで特別なことは何も無かった。
それでも記憶の中にいる希は自分と一緒にいて嬉しそうに笑っていた。希の笑顔を見ている望もまた笑顔だった。姉弟は幸せな毎日を送っていた。
体が軽く感じる。もう自分は死ぬのだ。それでも望は自分の死に絶望することはなかった。
今この胸にあるのは姉と過ごした日々への喜びだけだった。
姉さん――希…………ありがとう。
やがて望の体全てが金色の砂になってビーストのベルトへ消えた。
何が起きているか理解が追いつかない。分からない
望は過去の記憶を探った。こんな経験をした時、どうすればいいか答えがあるかもしれない。だが幾ら探しても記憶の引き出しからは何も出てこなかった。
どうやらゲートはこんな経験をしたことが無いようだ。
両手を覗き込むと金色の砂が煙のようにたっていた。砂は一筋の道を描きながら今さっき自分と戦っていた古の魔法使いのベルトへと運ばれていた。
望は理解した。
そうか。俺は死ぬのか。
死というの初めての経験に望はどうすればいいか分からなかった。望はもう一度記憶を探った。生まれることと死ぬことは人にとって生涯一度きりの経験。見つかるはずが無かった。
しかし望には一度死んだ過去があった。望は記憶を振り返る。
どことも分からない小島。集められた見知らぬ人々。突然の日食。不気味に輝く地面。叫びと共に人がファントムへと変わっていく有様。
望――パズズが産まれた日の光景だった。
記憶の中で望は絶望に飲み込まれていた。体中に亀裂が走り、もう間もなく自分が誕生しそうだった。すると望の口が動いた。
ね、え…………さ、ん。
次の瞬間、望の全身が弾けとんだ。代わってバッタのファントムの姿をした自分が立っていた。
望は理解した。
そうか。死ぬ時は姉さんの事を考えればいいのか。
望は記憶の引き出しにある希と過ごした日々を漁りだした。朝起こす時や一緒に食事をとる時、大学での他愛ない話をする時、ソファーに並んでテレビを見る時、おやすみの時にゆっくりとベッドに連れていく時、毎日が似たようなことの繰り返しで特別なことは何も無かった。
それでも記憶の中にいる希は自分と一緒にいて嬉しそうに笑っていた。希の笑顔を見ている望もまた笑顔だった。姉弟は幸せな毎日を送っていた。
体が軽く感じる。もう自分は死ぬのだ。それでも望は自分の死に絶望することはなかった。
今この胸にあるのは姉と過ごした日々への喜びだけだった。
姉さん――希…………ありがとう。
やがて望の体全てが金色の砂になってビーストのベルトへ消えた。
このSSまだ続いてたのか(困惑)
全く上げられないから気付かなかったンゴ……
定期的に上げた方が良くない?
全く上げられないから気付かなかったンゴ……
定期的に上げた方が良くない?
仮面ライダーアマゾンズが出たね。
制限なしで、昭和当時のままで思いっきりやってくれると嬉しいなぁ
保守
制限なしで、昭和当時のままで思いっきりやってくれると嬉しいなぁ
保守
>>826
グロ
グロ
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