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    元スレ冬馬「プロデューサー、人間やめるってよ」

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    351 :

    >>350
    その通りの展開だとしたら1が泣くぞ

    352 :

    フォローする振りしてハードルを上げる>>350はどS

    353 :

    亜美「でもさ→りっちゃん大丈夫かな?」

    「? 亜美ちゃん、律子さんがどうしたの?」

    亜美「だってさ→きの→だってあんなにきん超してたのに、あまとうとあんな約束しちゃったら……」

    そんな事か。
    私は、微笑んだ。

    「大丈夫よ、亜美ちゃん」

    律子「さあ、あんた達。今日の私の指示は、無茶苦茶だからね。覚悟しなさいよ!」

    亜美「りっちゃん!」

    伊織「ふん、なかなか頼もしいじゃない」

    律子さんは、威勢よく言い切った。
    その目は真っ赤で、おそらく徹夜であることが見て取れた。
    それでもその視線に、もう迷いはない。

    354 = 1 :

    律子「曲は『SMOKY TRILL』!」

    伊織「まあ……」

    亜美「じゅんと→? だね」

    「そうね。一番、実力を発揮できそうよね」

    亜美「それで?」

    律子「亜美、あんたはダンスに意識を集中ね」

    亜美「え? うん……」

    律子「あずささんは、二人の動きを見てサポートできる所はお願いします」

    「? はい」

    律子「伊織、この曲はヴォーカルが命だからがんばってね」

    伊織「そんなの……当たり前じゃない」

    律子「以上です」

    亜美「ええっ!」

    伊織「ちょっと律子! それっていつもと同じじゃないの!!」

    「それで本当に勝てるんですか? プロデューサーさんに?」

    律子「色々と考えたけど、奇をてらってしまったら負けるのは目に見えてるわ」

    春香「センターを今日だけチェンジするとか、思ってましたけど」

    律子「あずささんの歌唱力も魅力だけどね、あずささんの艶っぽさが出ないと意味無いし」

    「ダンスをいつもと変える、とか」

    律子「付け焼き刃のダンスより、目新しさは無くても完成度の高いいつものダンスよ」

    355 = 1 :

    亜美「そ→かな→?」

    律子「そうよ。千早、プロデューサーがオーディションで一番難しい事はなんだって言ってた?」

    千早「当たり前の事を、当たり前にすることが一番難しい……」

    伊織「それは……そうね。確かに」

    律子「今日はあんた達に、この一番難しい事をやってもらうわよ。いつも通りの事を、いつも通りにやってちょうだい。ただし、最高のクオリティで」

    「付け焼き刃じゃなくて、本気の実力で勝負って事ですね」

    「でも、負けた響や春香だって……」

    「いいや! 自分、おとといは新曲だったからな」

    春香「私だって、レッスンで習得した事を出そうとして中途半端になった感じがあるよ」

    律子「ね。それに今日は3対3よ? 昨日までの1対3とは違うわよ!」

    真美「さっすがりっちゃん! 目が赤いから、通常の3倍だよ!! 3倍!!!」

    雪歩「言葉の意味はわからないけれど、とにかくすごい自信ですぅ」

    356 = 1 :

    伊織「わかったわ。新しく付け加える事がないのなら、集中を高めておくだけよ」

    やよい「うっうー! 伊織ちゃん、はい!!」

    伊織「ありがと……ん、100%オレンジジュース! さすがね、やよい」

    やよい「えへへー」

    亜美「……いいなあ。よし! 真美!!」

    真美「うっう→! 亜美、はい!!」

    亜美「ありがと→……ブーッ!! な、なにこれ!? 焼肉のタレぇ?」

    真美「亜美、好きでしょ?」

    亜美「こんなのドリンク感覚でゴクゴク飲めないよ→!!!」

    雪歩「はい。あずささんには、ジャスミンティーですぅ」

    「ありがとう! 雪歩ちゃん」
    流石に、雪歩ちゃんのお茶。いや、味からも気迫が伝わる。

    雪歩「プロデューサーを、お願いしますぅ」

    「任せて!」

    357 = 1 :

    北斗「いいのか冬馬? あんな約束して」

    冬馬「かまわねえ。北斗も、気になってるんだろ?」

    北斗「それは、まあね。けど、社長は……」

    冬馬「おっさんに怒られたら、俺のせいにしろ」

    翔太「ずいぶんと、あの人に肩入れしてるね。冬馬は」

    冬馬「俺はな! 勝てばいいって気にはなれねえんだよ」

    翔太「冬馬……」

    冬馬「あの男……なんであんな目をしてたんだよ」

    358 = 1 :

    オーディションが始まった。

    私たちは、『SMOKY TRILL』を歌い、踊った。
    歌い慣れた歌を、気持ちを込めて歌い。
    いつもレッスンしているダンスを、精一杯踊った。

    伊織「どう? 当たり前の事を、当たり前にやりきったわよ」

    亜美「つかれたけどね→どうかな、あまとう?」

    冬馬「次は俺ら、だな」

    北斗「ええと……竜宮小町は、ビジュアルイメージが高くてそこにヴォーカルアップの曲を入れてきたなら……ダンスイメージを強くアピール、とある」

    翔太「他には?」

    北斗「後は……冬馬? 聞いてるのか?」

    冬馬「あ? ああ、悪い」

    翔太「しっかりしてよ、冬馬」

    冬馬「わかってるよ」

    ジュピターも、見事にアピールを行った。
    流石の実力に、プロデューサーさんが書いたマニュアル……虎の巻の指示に従っている。
    私たちは、内心焦った。
    律子さんは、祈るように目を閉じている。

    359 = 1 :

    司会「オーディションの結果は……合格、竜宮小町! それ以外の方々は、帰って結構ですよ」

    亜美「……やった?」

    伊織「勝った……のよね?」

    「そうよ! 勝ったのよ!!」

    一同「「やったあああぁぁぁーーーっっっ!!!」

    私たちの声が、会場に響く。

    翔太「そ、そんな……」

    北斗「この虎の巻、無敵のハズじゃあ……」

    「上手く読み解けば、そうプロデューサーは言ってたよ」

    北斗「……」

    冬馬「やっぱ本人が指示を出すのとは、雲泥の差か……」

    春香「格好つけてるみたいだけど、約束! 守ってもらうからね」

    冬馬「ああ。わかってる」

    さすがに961プロの人間が、765プロに入るのは気が引ける。

    そういうわけで、オーディション会場の一室を私たちは借りた。

    そこで、天ヶ瀬冬馬君は語り始めた。

    360 = 1 :

    冬馬の回想(プロデューサー失踪4日後)

    961プロダクションの情報処理室。
    最新鋭の機器をいくつも揃えた、年中冷房の入った部屋。
    その日は、照明も薄暗い。

    社長命令でやって来たジュピターの3人も、肌寒さに震える。

    翔太「社長も、何を考えてるんだろうね。こんな所に行け、なんて」

    北斗「アイドル活動の参考になる、と言ってたな」

    冬馬「あのおっさんのやる事だ、きっと意味が……誰だ? そこにいるのは!?」

    「……」

    北斗「ん? もしかして……」

    翔太「765プロのプロデューサーだよ! なんで961プロに? もしかしてスパイとか?」

    冬馬「なんだと……おい、あんた! そこで何してる? 事と次第によっちゃあタダじゃあおかないぜ」

    「……」

    北斗「冬馬、様子がおかしいぞ」

    翔太「視線が虚ろで、なんかボーッとした感じというか……」

    冬馬「……だな。おい、765プロのプロデューサー! どうしたんだよ!!」

    ギロリ
    目だけが動き、Pは冬馬を見た。
    いや、それはまるで眺めた……そういった類の動きだった。
    なんの感情も感傷も無い、ただ目が動いて冬馬を写しただけ。

    翔太「ほ、北斗ぉ……こ、怖いよぉ……」

    北斗「どうしたんだ、一体」

    冬馬「まさかクスリでもヤってんじゃ、ねえだろうな」

    361 = 1 :

    「……鬼ヶ島か」

    冬馬「だからいい加減、俺の名前をちゃんと覚えろ! 俺は天ヶ瀬だ!! 天ヶ瀬冬馬!!!」

    「そうか……」

    黙り込むP。

    翔太「どうしちゃったのかなあ? あれ? もしかして社長がここに行けって言ったのは……」

    北斗「まさか……」

    冬馬「いや、そりゃねーだろ? こいつは765プロのプロデューサーだぜ。俺らのプロデュースなんて……」

    「俺は、もう……誰のプロデュースもしない」

    北斗「誰も? じゃあ765プロのエンジェルちゃん達は……」

    「あいつらを、危険な目には遭わせない……俺はもう、やめる……」

    冬馬「なんだと!? 765プロを辞めんのかよ! あんたが!?」

    「冬馬……俺は……俺はな……」

    362 = 1 :



    「もう、人間をやめるよ……」


    363 = 1 :

    合わない視線。
    譫言のような声。
    そしてその言葉に、ジュピターの3人は冷房以上に寒気を感じた。

    冬馬「……どういう意味だよ」

    「俺はやっぱり……最低の人間だった」

    冬馬「はあっ?」

    「でももう、人間をやめるよ……いや、もうやめているのか……それとも俺は、そもそも人間じゃなかったのか……」

    翔太「冬馬ぁ……この人、もしかして頭が……」

    北斗「どうかな。それで、どうしてここにいるんだい?」

    「ああ、ジュピターのプロデュースを頼まれたんだったな……けど、そんな気は無い」

    北斗「それはそうだろうね」

    「だが、黒井……社長の命令だ。これを持ってきてもらった。やるから好きに使え」

    Pが差し出したのは、鍵付きの日記帳のようなものだった。

    翔太「な、なんか怖いよ……」

    北斗「なんですか? これは」

    「アイドル虎の巻……俺のノウハウが書いてある。上手く読み解けるなら、オーディションでも敵無しだぞ」

    翔太「ほ、ほんと?」

    「鍵はこれだ。読み方は、今から教えてやる」

    北斗「それは、願ってもないプレゼントだけど……」

    364 = 1 :

    冬馬「なんで俺らに、そんな物を……それって背信行為ってヤツじゃないのか?」

    「倫理は人間の良心を肯定する行為だ。だが、俺は人間をやめる……もうそんなものに囚われない……」

    そこまで言って、Pはようやく人間らしい動作をみせた。
    両手で顔を覆い、そのまま突っ伏した。

    「……いや、そもそも俺は……人間じゃなかったのかもな……」

    彼はそうしたまま、1時間も黙っていた。
    冬馬は怖がる翔太をなだめつつ、ずっとつきあっていた。

    やがて起きあがったPは、妙にサバサバした表情で虎の巻の読み方、使い方を教えた。

    「ただし、黒井社長にも言ったが、ある程度以上の実力者には通じないだろうな。それにこれは現時点では有効だが、時がたてばデータが古くて役にたたなくなるだろう」

    翔太「でも、参考にさせてもらうよ。ありがとう」

    北斗「チャオ☆ さっそく、詳しく読んでみるよ」

    冬馬「……なあ、あんたは本当にそれでいいんだな」

    「ははも羅刹は義理堅いな。いい。それにこれぐらいしか黒井社長に義理立てする気は無い。使える内に使え」

    冬馬「俺は冬馬だ! ……それで? 765プロの連中に会ったら、何か伝える事とか無いのかよ」

    「……いや、いい」

    冬馬「そうか」

    365 = 1 :

    冬馬「あいつも言ってたが、想像以上の賞味期限の短さだったな。いや、お前らの成長がそれだけ早いのか」

    律子「おためごかしなんていらないわ! プロデューサーは、961プロにいるのね?」

    冬馬「ああ。たぶん、今もあそこだろうな。けどよ」

    伊織「何よ!」

    冬馬「あの部屋……いや、そもそも961プロに鍵とか付いてないぜ。つまり、出たけりゃいつだって出られる」

    「軟禁状態、そう言いたいわけね」

    冬馬「むしろ、自分の意志でいるんじゃねーのか? あいつ」

    亜美「そんなわけないよ→」

    冬馬「ともかく、約束は守ったぜ。虎の巻が功を奏しなかったからには、おっさん次はどんな手でくるかな……」

    不気味な予告ともつかない言葉を残し、冬馬君は帰った。

    366 = 1 :

    事務所に戻った我々は、疲れていた。

    珍しく亜美ちゃんと伊織ちゃんも、ソファーに座ると眠ってしまった。
    こうして見ると、二人ともまだあどけなさもある。

    私は、オーディションに勝利した事で心が浮き立っていた。
    プロデューサーさんが、帰ってくる。
    その瞬間が、近づいている気がしたのだ。

    冬馬君の話は、少し気味悪く感じたが、それでもプロデューサーさんが見つかれば、帰って来れば全てが解決するような気がしている。

    思えば色々あった。

    プロデューサーさんの失踪。
    自宅で見た事。
    ケータイと謎の人物W。
    みんなの回想。
    小豆島での事。
    プロデューサーさんの過去……

    寝ている伊織ちゃんに、貴音ちゃんが毛布をかけてあげている。
    亜美ちゃんには、雪歩ちゃんが。

    その瞬間だった。

    「あっ!!!」

    思わず叫んでいた。

    既に揃っていた様々なパーツが、カチッと音を立ててあるべき所に収まった。
    私の頭の中で、プロデューサーさん失踪にまつわる、様々な事柄がすべて集まり、ひとつの絵を完成させた。
    ついに私は、プロデューサーさんに何が起こったのかを、ぼんやりとだが理解した。

    ただ、その絵は……望んでいた美しい真相などではなく。

    ドロドロとした、悪夢のような地獄絵図だった。

    367 :

    一旦ここで、止まります。

    369 = 337 :

    乙、ぜんぜん展開が読めない

    370 :

    乙です
    こんないい所で引きだなんて・・・!

    372 = 348 :

    色々まとめて見てただのミスなのかどうか判別がつかないところもあるけど結末がどうなるのか全然わからんww
    というわけで続きを早くしろー!手遅れになっても知らんぞー!

    373 :


    あずささんはいったいどんな真相に気がついたんだ……

    374 :

    なんてとこで読み始めてしまったんだ…

    375 :


    なにもカチッと来てねえww
    そろそろ謎解き来るか…?

    376 = 374 :

    伊織の母親か…?

    377 :

    >>376
    おいなんだよ!気になるだろが!
    いやでも先は言うなよ!?

    378 :

    なんということでしょう…

    なにもわかりません

    379 :

    すげー気になる‼
    次回更新いつですか?

    380 :

    私は、崩れるようにその場にへたりこんだ。

    春香「あずささん!? どうしたんですか!?」

    千早「顔が真っ青……大丈夫ですか?」

    春香ちゃんと千早ちゃんが、私に駆け寄ってくれる。
    そしてみんなが、集まってきた。

    律子「どうしたんですか!?」

    律子さんも、まだ赤い目で私を助け起こしてくれる。

    「なんでもない……なんでもないのよ」

    絞り出すように出した私の声は、うわずったものだった。

    とうとう寝ていた伊織ちゃんと、亜美ちゃんも目を覚ました。

    伊織「どうしたのよ、あずさ」

    伊織ちゃんと目が合う。

    ああ……

    とても彼女の目を見られない。

    こんな事、伊織ちゃんに話せるわけないじゃないですか!

    いいえ、誰に話せばいいんですか。

    胸の中を、哀しみが渦巻く。
    と、同時に猛然とした怒りがわいてきた。

    ひどい。

    ひどい。

    ひどい。

    夢を誓いあったのに……

    みんなまとめてトップアイドルにする、そう言っていたくせに……

    あんなにがんばっていたのに……

    好きだったのに……

    運命の人、もしかしたらあなたが……そう思っていたのに……

    愛していたのに……

    あなたは、嘘つきです……

    ああ、今なら私もわかります。

    あなたは最低の人間です……

    私はその場で、泣き崩れた。

    381 = 1 :

    黒井「どういうことだね? 君のアイドル虎の巻、使ってもジュピターは負けたようだが?」

    画面には、今日あったオーディションの様子が写されている。

    「はは……」

    黒井「この上は……うん? 笑って……いるのか?」

    「ははははは。あはははははは……」

    黒井「気味の悪いヤツだ。まあいい、この上は嫌も応もないからな。貴様に直々にジュピターのプロデュース、やってもらうからな!」

    立ち去る、黒井社長。

    残ったPは、まだ笑い続けていた。

    382 = 1 :

    結局私は、律子さんが車で送ってくれる事になった。
    みんな心配していたが、律子さんを信用してくれてか黙って見送ってくれた。
    みんな、本当に優しい。
    その優しさを思うと、私はますます気持ちが落ち込む。

    律子「それで? 聞かせて下さい、何があったのか。いいえ、何に気づいたのか、と言うべきかしら」

    「……言えません」

    律子「はあ。ここまで、一緒に頑張ってきたじゃないですか。プロデューサーを取り返すのも、夢じゃなくなってきたってのに」

    「プロデューサーさん、帰った来た方が……いいんでしょうか……」
    私の言葉に、車体が微かに揺れた。
    律子さんは、私を横目で見ると車を停めた。

    律子「そんなに……深刻な事なんですか?」

    私は頷く。

    律子「それなら、なおさら私に話して下さい。1人で抱え込まないで」

    「でも……」

    律子「私を、信用して下さい。今日だって、きちんとやりおおせたでしょ?」

    頼もしい仲間の言葉に、私はまた涙が出てきた。
    プロデューサーさん、あなたはどうして……

    律子「私は社会でもう、けっこう揉まれてますからね。少々の事は、平気です」

    「わかりました……私の家で」

    律子さんと二人で帰宅すると、私はお茶をいれた。

    「雪歩ちゃんみたいには、いかないんですけれど」

    律子「あ、おかまいなく」

    しばらく逡巡してから、私は口を開いた。

    383 = 1 :

    「これは私と社長しか知らないんですけれど、プロデューサーさんの自宅には……伊織ちゃんの特大顔アップポスターが貼ってあったんです」

    律子「それって、ガチャポスターの? へえ」

    「プロデューサーさんの部屋は殺風景で……その中で浮いているともいえる伊織ちゃんの笑顔が、私にはなんだか不思議で……」

    律子「でも、なんとなくわかりますよ。プロデューサーは、ある意味伊織にご執心だったし」

    「え?」

    律子「しきりに伊織のプロデュースをしたい、って言ってましたね。まあ、しつこいって程ではなかったんですけど……いつかは、ってよく言ってました」

    「それでこの間の、単独ライブを……」

    律子「ええ。プロデューサー嬉しそうでしたね。まあ、伊織も上機嫌だったんですけど」

    それは、私も覚えている。

    律子「ねえ、あずささん? もしかしてあずささんがショックを受けているのは、プロデューサーが伊織の事を好き……とか、そういう?」

    ああ……
    もしそうだったら……
    それだけだったら、どんなにいいだろう。

    でも……
    違う。

    「さっき、伊織ちゃんと貴音ちゃん、それに雪歩ちゃんを同時に見た時に、気がついたんです」

    律子「?」

    384 = 1 :

    「私はWが誰なのか、あのケータイはなんなのかをずっと考えていました。結果としては、プロデューサーさんの失踪とはあまり関係なかったんですけど、プロデューサーさんは他の人に見られると困るような物には、私たちをイメージカラーのイニシャルで記していたんです」

    律子「そうでしたね。雪歩はWhiteだからW。千早はBlueだからB。私はさしずめGですか」

    「それから貴音ちゃんは、言っていました。プロデューサーさんは、脅迫されているって」

    律子「? 確か……」

    私たちは、同時に記憶の糸をたぐる。

    385 = 1 :

    貴音「いえ。ではその企画書を……これは?」

    「ん? あれ、企画書はこれ……貴音! それは見るな!!」

    貴音「『Pは殺す』『必ず殺す』『その日は近い待っていろ』『夢にまで見たPの死ももうじきだ』……どの紙にも……あなた様、これは!?」

    「た……貴音、これは……これはな」

    貴音「あなた様を殺害するという予告、いえ脅迫ではありませんか!!」

    「あ……あ、ああ。そうだ」

    386 = 1 :

    「私……ずっと貴音ちゃんが見た脅迫文は、Pつまりプロデューサーさんに対してのものだと思ってたんです」

    律子「え? 違うんですか?」

    「……雪歩ちゃんがWなら……Pは?」

    律子「え?」

    「雪歩ちゃんと、貴音ちゃんと、伊織ちゃん。3人を同時に見ていたら、気がつきました。イメージカラーの頭文字がPなのは……私と伊織ちゃん。PurpleとPinkの2人」

    律子「え? あっ!」

    「でも、私じゃないんですよね。多分、あの文章のPは……」

    律子「Pは……伊織!? 殺すと書かれていたのは伊織で……書いたのは……」

    「書いたのは……プロデューサーさん、です……」
    ショックで、言葉を失う律子さん。
    私は、また涙が止まらなくなった。

    プロデューサーさんは、ずっと伊織ちゃんを殺そうとしていた。
    その為に東京に出てきて、765プロに入り。
    そして機会を伺っていたのだ。

    もう10年も……

    387 = 1 :

    俺はP。

    765プロのプロデューサー……いや、元プロデューサー……か。

    今の鈍い思考では、なんだかすべてがもうよくわからない。

    ただ、このオーディションは傑作だ。

    久々に、笑い……などというものが漏れた。

    久々に、血が身体を巡っている。そう感じられた一瞬だ。

    流石は、律子だ。よく気がついた。

    竜宮小町も、よくやった。

    彼女たちが、総力を結集するなら、虎の巻などでは太刀打ちできないだろう。

    いや、よく見ればみんないるじゃないか。

    765プロの総力。そりゃあ、勝てない。

    鈍い頭でも、この痛快さはわかる。

    俺は笑った。

    まるで人間のように。

    そう、俺はもう……人間じゃない。

    なにがあったんだっけ?

    そうだ、あれは……10年前。
    あれからもう、10年になるのか……

    388 = 1 :

    Pの回想(プロデューサー失踪10年前)

    俺はとんでもない悪ガキだった。
    いわゆる不良がやるようなことは、小学生時分にほとんど済ませた。

    俺は憎かった。
    何もかもが憎かった。

    捨てられた、という事が憎かった。
    周りの目が憎かった。
    捨てられた者だけが集められた、環境も憎かった。
    全てが憎かった。
    ただただ、憎かった。

    孤独、孤立、周囲からの色眼鏡、劣悪といえないまでも制限の多く不自由な環境、貧困……

    俺は、自分以外の全てが憎かった。

    センセイだけは、俺に対し真剣だったが、そんなものは救いにならなかった。
    アイツは仕事だ。仕事で、俺を見ているだけだ。

    自分以外の、全てが幸せに見えた。
    自分一人が、世界で取り残されていた。

    凍てつく心を、俺は憎悪の炎でかろうじて保っていた。

    愛情なんて、本に書いてあるただの単語だ。
    そんなものを感じたことは無かった。
    一度も。

    俺は誰も好きじゃなかったし、そんな俺を好きになるヤツなんていやしなかった。

    俺はいつも、一人でいた。

    誰かを好きになった事もなければ、誰も俺を好きにならなかった。

    一人でいる俺は、有り余る憎しみをぶつける対象をいつも探していた。

    389 = 1 :

    一旦ここで、止まります。

    390 = 374 :

    おお来てた

    391 :

    そういうトリックとは・・・

    392 = 379 :

    今日中に更新するんですよね?

    393 :

    トリックにメタ混ぜたら解ける訳ねえ……

    いや、面白いけど

    394 :

    どの辺がメタなのさ

    395 = 393 :

    脅迫状の中の「P」が、
    「P」=プロデューサーを匿名にしておくためのSSのお約束 (実際には作中世界では本名が呼ばれている)
    だと思ってた。
    まさか本当に「P」と書かれていたとは思わなかった。

    作中人物に対しては何のトリックも仕掛けられていない(勝手に勘違いしただけ)ので、メタなトリックだと思えた。

    別に「こんなもんわかるわけねえだろ、ふざけんな」じゃなくて、
    「俺には解ける訳ねぇ」って意味で言ってるので勘弁してくれ


    396 :

    いおりんとPの間にはやはり孤児院時代に何かあったのだろうか

    そう考えるとあの先生全部話してないことになるよな
    にしてもあずささん名探偵になれるんじゃね?

    398 :

    動機はなんとなく想像つくが、どなんだろう。
    横溝小説にありそうなブラフだったな。

    399 = 375 :


    やよいの回想見てると救済策があってほしいね

    400 :

    ここから母親はどう絡むか


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