元スレ冬馬「プロデューサー、人間やめるってよ」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
101 = 1 :
本日は、一旦ここで止まります。
104 = 92 :
乙乙
105 :
社長が黒幕?
106 :
予想はよそう
107 :
乙
伏線回収謎解きがすごく楽しみだね
110 :
乙
地元だw
111 :
>>110
なん…だと…今そこにイるのなら逃げるンだ!
112 :
ジョジョかとおもた
113 :
>>110
P探しにいってくれないか?(迫真
あずささんか小鳥さんか
どっちなんだろうな。
114 :
スレタイじわじわ来るな
115 :
>>113
>この中で成人しているのは私だけ
今あるヒントはこれくらいかな
スケジュール云々言ってるし、あずささんの可能性が高いかも
116 :
>>115
多分そうだと思うんだけど、まだ裏があるような気がして怖いんですよ、猿渡さん!
117 :
律子が方向音痴なあずささんを引率役にするとは思いづらいがな
118 :
>>41 訂正
×先日、プロデューサーさんの部屋から持ち帰ったのは、二つ折りのケータイだった。
○先日、プロデューサーさんの部屋から持ち帰ったのは、スライド式のケータイだった。
>>95 訂正
レスの頭に『やよいの回想(プロデューサー失踪5日前)』を追加。
119 = 1 :
引率、それはこういう意味だっただろうか?
手元には辞書がないため、帰ったらひこう。
うん。
ともあれ私は、右手を千早ちゃん。左手をやよいちゃんに握られ、空港を歩く羽目になる。
伊織「迷子になられちゃ、困るものね。にししっ」
先頭を行く伊織ちゃんは、そう言いながら笑う。
失礼な。私はそんなにまでは、方向音痴ではない。
けれどまあ、これはレクリエーションのようなものだ。
事実、みんなの表情は明るい。
もしかしたらプロデューサーさんに、会えるかも知れない。
そんな仄かな期待が、私たち全員の胸にあった。
高松空港からフェリーに乗ると、やよいちゃんがはしゃいだ。
やよい「うっうー! 私、フェリーに乗るのって初めてですー」
伊織「フェリーに乗ると、映画の『甘い生活』を思い出すわね」
千早「ふうん。どんな映画なの?」
伊織「千早は観ない方がいいかもよ、にししっ」
千早「?」
やよいちゃんと千早ちゃんは、荷物を置くと甲板へと上がっていく。
やよい「伊織ちゃんもおいでよー!!」
伊織「……わ、私はちょっと喉がかわいたから後で行くわ」
千早「そう? じゃあ上で待ってるわね」
見ていると、伊織ちゃんはバッグから何かを取り出し、一生懸命読み始めた。
私はそっと伊織ちゃんの後ろに回ると、声をかけた。
120 = 1 :
「伊織ちゃん?」
伊織「! な、ななな、なに?」スッ
「今、後ろに何を隠したのかな?」
伊織「な、なんでもないわよ!」
「……そう。ところでね、伊織ちゃんに聞きたいんだけど、いい?」
伊織「なんなの?」
「伊織ちゃん……小豆島へ行ったことあるのよね? もしかしてその時に、プロデューサーに会っていた、とか……」
伊織「……」
「ほ、ほら、よくあるじゃない? 幼い頃に二人は運命的な出会いを……」
伊織「……みんなには、言わないで欲しいんだけど」
珍しく、伊織ちゃんが懇願口調で言う。
その表情は、なんだか申し訳なさそうだ。
伊織「確かに私、小豆島へは行った事あるわ。水瀬の別荘があったから……」
別荘!
さすが、財閥令嬢……
ん?
『あった』?
もしかして過去形?
121 = 1 :
伊織「行ったのは一度だけ、それも10年も前の事なの……」
10年前なら、伊織ちゃんは5歳。
物心はついているだろうが、記憶は曖昧かも知れない。
伊織「正直、行った事は覚えてないの。だからもしもその10年前に、アイツに島で会っていても私は全然……」
そう言うと伊織ちゃんは、隠していた本を私に見せる。
小豆島の観光ガイドや、地図だった。
責任感の強い伊織ちゃんの事だ。
行った事があると言ったが為に、島の事を何も知らないとは言えなかったのだろう。
伊織「私……アイツに会っていたのかな? 10年前に……」
私は、プロデューサーさんの部屋にあった伊織ちゃんのポスターを思い出す。
あれはなんだろう?
どういう意味があるんだろう?
殺風景なあの部屋で、プロデューサーさんは何を考えて伊織ちゃんのポスターを見ていたんだろうか?
プロデューサーさんの部屋のポスター。
疑問はまだ、残っているが。
その事はまだ、伊織ちゃんには話さないでおく事にした。
責任感の強い、伊織ちゃんだ。
プロデューサーさん失踪の原因を、自分だと思って自責の念にかられるかも知れない。
まだ15歳の少女に、そんな重荷を今は背負わせる訳にはいかない。
全ては、真相が明らかになってからだ。
122 = 1 :
「そうね……もしかしたら伊織ちゃんは覚えていない10年前、プロデューサーさんは伊織ちゃんに一目惚れして……それで伊織ちゃんに会いたくて島から出たのかもね……」
伊織「な、ば、そ、そんなわけ……」
「伊織ちゃん、ソロライブの時にプロデューサーと随分楽しそうにしてたものねえ……」
私はわざと、話題を変えるために大袈裟に言う。
伊織「始めてアイツのプロデュースでの、単独ライブだったから、色々と打ち合わせてただけよ!」
真っ赤になる、伊織ちゃん。
そしてその顔を見て、昨夜のやよいちゃんを思い出す。
なぜか真っ赤になりながら、話していたやよいちゃん。
きっと、やよいちゃんが話してくれたその日。
まだ話していない、何かがあったのだ。
今度は彼女に、それを聞いてみよう。
「私、先に行くわね……」
伊織「あ……ええ」
伊織ちゃんは再びガイドブックに目を落とす。
私は甲板に上がり、やよいちゃんに声をかけた。
123 = 1 :
やよい「しおかぜが、とっても気持ちいいですねー」
楽しそうな、やよいちゃん。
多少、気が引けるが……
やはり私は、プロデューサーさんとの事を聞いてみることにした。
「やよいちゃん、怒らないで聞いて欲しいんだけど……」
やよい「はい? 私、おこったりなんかしませんよ」
「うん。昨日、やよいちゃんが話してくれた事だけど……あれで終わりじゃないのよね?」
みるみるやよいちやんの顔が、赤くなる。
「あの後、なにがあったのか教えて欲しいの」
やよい「……はい」
やよいちゃんは、真っ赤な顔のまま語りだした。
それは、ある意味で驚きの内容だった。
124 = 1 :
やよいの回想2(プロデューサー失踪5日前)
P「やよいの家に来るとさ、家族がたくさんいて……みんな仲が良くて羨ましくなるよ」
やよい「プロデューサーは、家族がいないんですね」
P「育った施設でも、俺は嫌われ者だったしな……正直、家族とか仲間とかよくわからなかった」
やよい「かわいそう……」
P「そう……だな。今、思えばそうだ。俺は嫌われるべくして嫌われていた。センセイがいつも、言ってた通りだったな……」
やよい「なんて言ってたんですか? そのセンセイは?」
P「『人に信じられたければ、人を信じろ。人に愛されたければ、人を愛せ』……」
やよい「すてきな言葉ですねー」
P「……俺は、そう思えなかった。だから反発していた」
やよい「……」
P「馬鹿だったな。自分の生い立ち、環境、人間関係、そういったものを全部全部、憎んでた……」
やよい「プロデューサー……」
P「仕舞いには、センセイをひどい言葉で傷つけた」
やよい「もういいです、プロデューサー」
P「俺は、最低の人間だった……」
やよい「もうやめてくださいプロデューサー。自分をせめないでください……」
しばらく黙り込むと、不意にPは言った。
P「長介達は、もう寝たのか?」
125 :
>>117このレスがあって加筆されたかな?ww
126 = 1 :
やよい「え? は、はい」
P「今は、2人だけか……」
やよい「そうですけど?」
P「じゃあ……泣いてもいいか?」
やよい「え?」
P「俺は憎しみに駆られ、とんでもない過ちを犯す所だった……」
やよい「そ、そうなんですか?」
P「正直なんで今、やよいにこんな事を話しているのか、自分でもわからない」
やよい「……」
P「俺は……最低の人間なんだ……」
やよい「……いいですよ」
P「え?」
P「泣いてもいいですよ。つらい時は、泣くと楽になれますよ」
自然にPの目から、涙が落ちた。
実際の所、なぜ、なにを泣いているのかはやよいにはわからなかった。
だが、不意に目の前のPがとても可愛そうに。
そして愛おしく感じた。
127 = 1 :
一粒の涙をきっかけに、Pは泣きじゃくった。
やよいは、そんなPの頭を撫でた。
やよい「よーしよし」
可笑しい。
やよいはそう思う。
まだ子供だという自覚のある自分が、大人であるPをあやしている。
可笑しいと思いながら、やよいはPがどんどん愛おしくなった。
この人は、きっと何かを反省している。
それが苦しくて、泣いているのだ。
可哀想だ。
だけど、愛おしい。
やよいは気がつくと、Pの頭を抱えるように抱きしめていた。
Pもやよいの腰を抱きしめ、泣き続けた。
128 = 1 :
しばらくして、Pはばつが悪そうにやよいから離れた。
P「……醜態を晒したな」
やよい「しゅーたい? ですか?」
P「みっともない所を、見せたな」
やよい「ぜんぜん、だいじょうぶですよ。大人だって苦しい時や、泣きたい時だってあるんじゃないですか?」
P「……かも知れないが、俺は初めてあんな風に泣いた。きっとやよいだからだな」
そうだ。
自分はこの人を、抱きしめて慰めたのだった。
なぜだかはわからないが、すごく心が安らいだ。
そして今まで以上に、Pの事が好きになっていた。
P「……ありがとう、やよい」
やよい「……はい」
P「明日から、俺は変わる。もう……馬鹿な事は考えない」
やよい「? ……はい」
129 = 1 :
一旦ここで、止まります。
131 :
おつおつ!
>>110
地元の名前SSで見るとは思わないよなww
これで土庄とかだったら俺歓喜だわww
132 :
小豆島ってあれだよな、二十四の瞳とかオリーブで有名なところだよな
…間違ってないよね?
133 :
>>132
合ってる
あとビッグダディとか
134 :
ビッグダディ小豆島だったのか
知らなんだ
135 :
一瞬「ビッグダディ小豆島」でひと単語に見えて何がなんだかわからなくなったぜ
136 :
ビッグなダディ(意味深)と小さなお豆(意味深)
137 :
小豆島はオリーブの産地だな。
138 :
>>136
ヤバいな(意味深)ビッグな半身(意味深)と小さなお豆さん(意味深)とか
139 :
おつー
>「そうね……もしかしたら伊織ちゃんは覚えていない10年前、プロデューサーさんは伊織ちゃんに一目惚れして……それで伊織ちゃんに会いたくて島から出たのかもね……」
筋金入りの「好きな子がたまたま幼女でした」だな
140 :
小豆島でバイオショックと聞いて
141 :
訂正
>>42
×高木「ま、そうなるかかな。多少、首をかしげる点もあるが」
○高木「ま、そうなるのかな。多少、首を傾げる点もあるが」
142 = 1 :
「そんな事が、あったんだ……」
やよい「あの夜の事を思い出すと、なんだか私……恥ずかしいような、うれしいような、ふしぎな気持ちになってー……」
相変わらずやよいちゃんは、真っ赤になりながら答えてくれる。
幼いながらも、長女として大家族を切り盛りするやよいちゃん。
その彼女の母性が、きっとその夜のプロデューサーさんを救い、自分自身も彼を愛おしく思わせているのだろう。
「すごいわね、やよいちゃんは……」
やよい「そんな、わたしなんて……」
やよいちゃんは、本当に可愛い。
さて、その日何があったのかはわかった。
それ以前のそう遠くない日時、恐らくプロデューサーさんはそれまでの人生を後悔する、なんらかの出来事があったのだ。
そして、やよいちゃんのお陰で本当に改心をした。
143 = 1 :
それから気になるのは、あの脅迫文。
あれは誰が書いた物なのか。
まだある、登録先が1件だけのケータイ。
あの登録者『W』とは、誰なのか?
まだまだ、わからない事が多すぎる。
小豆島に行けば、プロデューサーさんは見つかるのか?
これらの謎は解けるのか?
正直、自信はない。
それでもやるしかない。
さて、私は最後となった旅の同行者、千早ちゃんに話を聞くとしよう。
私は、どうしても気になっている事がある。
どうして千早ちゃんは、プロデューサーさんが天涯孤独の身の上だと知っていたのか?
144 = 1 :
千早「♪ 追いかけて~逃げるふりをして~♪」
「珍しいわね、千早ちゃんが春香ちゃんの歌なんて……」
デッキで歌う千早ちゃんに、私は声をかけた。
千早「あら、そうでもないですよ。私は春香の歌、好きですし」
「仲、いいものね」
千早「はい。それに……元気になれる歌が多いですから」
「プロデューサーさんを、追いかけるのに相応しい歌かもね」
千早「ええ」
暫く沈黙が続いた後、私は意を決して千早ちゃんに言った。
「千早ちゃん? 千早ちゃんは、やよいちゃんの話を聞く前から、プロデューサーさんが天涯孤独だって知っていたのよね?」
千早「……どうしてですか?」
別段、動揺もせずに千早ちゃんは言う。
彼女の長い髪が、風になびく。
「やよいちゃんがその事を言った時、千早ちゃんだけ驚いていなかったわよね?
千早「……」
「私には、動揺していないように見えたのよ」
千早「……まるで、名探偵ですね」
「じゃあそれは自白、ととって構わないのかしら?」
千早「はい。私は、プロデューサーさんが親御さんがいなくて、施設で 育った事を知っていました。高槻さんと違って、どこの施設かは知りませんでしたけど」
やっぱり。
千早ちゃんは、知っていた。
プロデューサーさんの過去の、一端を。
145 = 1 :
「いつ知ったの? その事を」
千早「あれは……プロデューサーがいなくなる、2日前の事でした」
「その時の事、聞かせてくれる?」
千早「はい。ですけど……」
「?」
なに?
なんだろう?
千早「もし……もしもですよ、小豆島でプロデューサーが見つかったとして、プロデューサーが765プロにはもう帰りたくない、そう言ったらどうしますか?」
「それは……」
予想外の質問だ。
そう、私はプロデューサーさんがいなくなってから、不可解な事が多すぎて肝心な事に思い至っていなかった。
プロデューサーさんが、自発的に765プロからいなくなったとしたら?
事件などではなく、自らの意志で失踪したのだとしたら?
ポスターは、たまたま。
ケータイは、本当に彼女とのホットライン。
履歴書は、出自が知られるのがいやだっただけ。
脅迫も、ありがちな嫌がらせの域。
千早「私はプロデューサーに、プロデュースをして欲しいです。トップアイドルにしてくれる、世界へ連れて行ってくれる、そう約束もしました」
「そうだったわね」
千早ちゃんは、他のアイドルよりも仕事面でのプロデューサーさんへの信頼と、ある意味の依存が強い。
146 = 1 :
千早「私には、歌う事しかできません。渡り鳥は飛び方は知っていても、飛ぶ方向を示す星がなければ目的地には辿り着けません」
なんとも、千早ちゃんらしい例えだ。
千早「でも、プロデューサーが自分の幸せのために、プロデュースを止めるのなら……私は、それでも私のプロデュースをして下さいとは言えません」
「わかったわ。確かにそういう事態は、想定していなかった」
千早「こんなはっきりとしない、不安の残るお別れは嫌です。でも、もしも島でプロデューサーが幸せならば、それで私は安心して帰ります」
「うん」
千早「私がそう思うのは、単なる憶測ではないんです」
そう言うと千早ちゃんは、プロデューサーさんとの事を話し始めた。
147 = 1 :
千早の回想(プロデューサー失踪2日前)
P「ああ、帰ったらいつものように連絡する。心配しないでくれ……いつも、ありがとう。え? へ、変かな? ははは」
千早「……プロデューサー」
P「あ、ああ千早。悪いな、待たせて。なんだ?」
千早「プライベートを、職場に持ち込まないで下さい。今は、次のライブの打ち合わせのはずです」
P「あー、まあこれも仕事の一環と言えなくも無いんだが……」
千早「えっ?」
P「いや、まあいい。悪かった千早! 後でなんか奢るよ」
千早「プロデューサー……何か、あったんですか?」
P「えっ?」
千早「何か妙に、浮かれていますよ。もしかしてさっきの電話ですか?」
P「いや、あれは違う」
千早「春香も、言っていました。なんだか親密そうな電話をしている、って」
P「はあ、相変わらず千早と春香はツーカーの仲だな。じゃあ昨日、春香が俺に言った事も知っているのか?」
千早「? いいえ」
P「そ、そうか。いや、そうだよな。はは」
148 = 1 :
千早「何を言ったんですか? 春香が」
P「……それより千早、俺の相談にのってくれないか?」
千早「ごまかさないでください」
P「いや、違う違う。俺にとってはそっの方が、重要な事なんだ」
千早「本当ですか?」
P「ああ。あの、な……最近、お母さんとはどうだ?」
千早「……この間、電話をしました」
P「すごい進歩だな。それで?」
千早「たまには帰ってきて欲しい、と言われました」
P「……」
千早「私のプライベートよりも、プロデューサーの相談というのを聞かせて下さい」
P「母親ってさ、やっぱ子供に会いたがるもんかな?」
千早「それはまあ……」
P「会うと……嬉しいのかな?」
千早「そうみたいですね」
149 = 1 :
P「二十数年ぶりぐらいに会うとしても、そうだと思うか?」
千早「プロデューサー? ……もしかしてプロデューサーの事ですか?」
P「俺は、児童養護施設で育った。親の事は、何も知らない」
千早「! そうだったんですか」
P「ああいう施設で育った子ってさ、いつも想像してるのさ。自分がここにいるのは何かの間違いだ、いつかお母さんが迎えに来てくれる、泣きながら自分に詫びながら……」
千早「……わかります」
P「来客があるとな、みんなソワソワしだすんだ。自分を親が迎えに来てくれたんじゃないか、ってな」
千早「そうなんですか」
P「だけど、現実は甘くない」
千早「……」
P「そしてそうやって、夢を見ている子を逃避だ卑怯だと決めつけて非難し、来客時にソワソワしている子達を指さして笑ったりするヤツもいる」
千早「ひどい!」
P「それが、俺だ」
千早「えっ!?」
P「ひどいガキだったな……今思い返すと、恥ずかしくて泣きそうになる」
千早「そんな……きっと、寂しかったんですよね。プロデューサーも」
P「ああ。自分だって、夢にみるクセにな。お母さんが、迎えに来てくれる夢を……それなのに強がって、意地を張って、周りを憎んで……」
千早「子供だったんです。仕方ないと、私はおもいます」
P「そんなひどいヤツなのに、夢が叶った」
千早「え?」
150 = 1 :
P「この仕事してて、時々ふっと思ったりはしたよ。みんなが売れっ子になったら、もしかして俺の名前も有名になって、ひょっとしたら母親が名乗り出てくれるんじゃないか、って。そんなこと思う自分を自嘲してきたが」
千早「もしかして……見つかったんですか!? プロデューサーのお母さんが!!」
P「会いたい、そういう連絡があった」
千早「良かったですね、プロデューサー!」
P「会う、べきかな……?」
千早「えっ? 何を言っているんですか! 会わないとだめですよ」
P「こんな俺が、会ってもいいのかな……」
千早「プロデューサーは立派です。私の自慢のプロデューサーです!」
言ってから、千早は赤くなった。
いや、今はそういう話ではない。
千早「会わないと後悔しますよ。それなら、会って後悔してもいいじゃないですか」
P「……そうか?」
千早「そうです!」
P「そうか」
千早「はい!」
プロデューサーは、ようやく笑った。
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