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    元スレ冬馬「プロデューサー、人間やめるってよ」

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    みんなの評価 : ★★
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    451 = 1 :

    Pの回想4(プロデューサー失踪約1年前)


    入社して、実際に会ったアイドル候補生12人は、写真よりもずっと可愛かった。
    無論、水瀬伊織に対して俺はターゲットを絞っていたが、他の娘達も魅力的ではあった。
    全員が個性的で、そしてそれぞれに問題も抱えていた。

    そして、最初の問題点。
    水瀬伊織の担当プロデューサーは、もう1人のプロデューサー。秋月律子に決まった。
    いや、伊織だけじゃない。
    三浦あずさ、双海亜美の2人もそうだ。

    俺は少しばかり落胆したが、それも前向きにとらえていた。
    焦る事はない。
    他のアイドルをプロデュースし、実績を積み上げていけばいい。

    そしていつか、伊織の担当をする事になれば……
    その時が、いよいよ俺の待ち望んだ時だ。

    俺は寝食を忘れ、仕事に没頭した。
    思いつく限りの手を尽くし、考え得る事は全てやった。
    失敗もあったが、それを糧にして俺は働いた。

    全ては、伊織の担当になるため。
    そして、彼女に認められる為だった。

    俺は醜い欲望を、笑顔と人当たりの良い仮面の下に隠し、プロデュースをこなした。

    だが、そうしている内に俺の周囲は少しずつ変わっていった。

    452 = 1 :

    最初は、伊織というターゲットを殺し終えたら他の娘を殺していくのも悪くない……
    そんな目で、俺は彼女達を見ていた。
    いや、夢想していた。

    だけど……少しずつ売れ出す、所属アイドル達。
    みんなの個性を引き出し、悩みを聞いて相談にのり、共に死力を尽くすうち、初めはぎこちなかった彼女達との関係は変わった。

    みんなが笑顔で、俺に接する。
    彼女達は楽しい時は笑い、悔しい時や落ち込んだ時は泣いた。

    彼女達に仕事の依頼が来ると、俺も嬉しかった。
    初めは、プロデューサーとして実力がつけば伊織に近づける。だから嬉しいんだ、そう思っていた。

    だが、気がついた。
    俺は純粋に、彼女達の成功を喜びに感じるようになっていた。
    誰も好きじゃなかったはずの俺が、彼女達全員を好ましく思い始めていた。
    俺の周囲が変わった事が、俺自身も変え始めていた。

    俺は困惑した。

    これは、目的のための手段。
    今の俺は、自分の醜さを隠すための仮面を被っているだけ。
    そう言い聞かせる俺。

    だが目的のためとはいえ、必死で被っていたその仮面は……いつか外すのが困難なものになっていた。

    そうこうする内、765プロは961プロと仕事上で何度も激しい衝突をすることになった。

    453 = 1 :

    一旦ここで、止まります。
    バースデーということで、今日はふーどふぁいとの方の真を更新しようかとも思ったのですが、結局こちらを更新してしまいました……
    すまん、真。

    455 :

    乙!
    フードファイトも風俗の人だったのか!

    456 = 439 :

    今日中に続きを投下してくれるのかな?

    とりあえず乙

    457 :

    乙。面白い。

    458 :

    乙。もう終盤かね

    459 = 443 :

    まだ中盤じゃね?

    460 :

    まだ序盤だよ

    Pが石仮面かぶってからが本番

    461 :

    いや、首だけになったPがいおりんの体を乗っとって海に沈んでからが始まりだな

    462 :

    我々はこのデコに見覚えがあるっ!

    463 :


    真相を知れば知るほど続きが読みたくなるね

    464 :

    全部、プロット組んでから書いてるんだろうけど、良くできてるよな。

    465 :

    フードファイトの人だったんか、あっちも最近更新無いと思ってたが見てるよ

    466 :

    961プロは、765プロを敵視して様々な嫌がらせを仕掛けてきた。
    これについては、黒井社長と高木社長の間に様々な確執や理想の違いがあったらしい。
    この件の話になると、小鳥さんの口調も重いものになる。

    俺たちは、961プロに立ち向かった。
    相手は、業界大手。
    でも俺たちは、一歩も引かなかった。

    こうした中で、我々は結束を強めていった。

    春香「私たちは、家族みたいなものですよ」

    春香の言葉が、俺の胸に突き刺さった。
    これが……そうなのか?
    彼女たちと過ごす、この感覚がそうなのか?

    いくら考えても、経験の無い俺には正解である自信がない。
    けれど、共通の敵と戦う内に芽生えたこの結束は、不思議と俺にも心地の良いものだった。

    仕事の上だけの関係、それでも俺はそう思っていた。

    そして相変わらず、俺の心には伊織がいた。

    467 = 1 :

    入社してすぐ、部屋の壁に俺は伊織のポスターを貼った。

    その微笑みが、俺に当初の目的を思い出させる。

    『Pは殺す』『必ず殺す』『その時はもうすぐだ』『待ちわびたその瞬間』

    俺はベタベタと、ポスターの周りに俺だけが理解る張り紙をした。

    部屋にいる時は、ポスターと張り紙を眺めて過ごした。

    伊織だけは、俺の心を虜にしたままだった。

    だが、それでも俺は変わっていった。
    彼女たちと過ごすうち、一枚……また一枚と、俺は張り紙をはがしていった。

    ただ、伊織のポスターだけははがさなかった。
    いや、はがせなかった……

    俺は、自分で自分が疑わしく思えてきた。
    本当に俺は、伊織を殺したいのだろうか?
    もう心の中に、憎しみの感情は少なかった。
    あの煮えたぎるような憎悪は、どこへ行ってしまったんだろう?
    何に消費してしまったのだろう?

    そしてその時が、やって来た。

    468 = 1 :

    高木「次の伊織君の単独ライブだがね、ひとつP君にプロデュースをやってもらおうと思うんだが……どうだね?」

    「お、俺が!? ですか……?」

    高木「おや? 不満かね?」

    「とんでもない! ですが……」

    律子「なんですか、プロデューサー。私なら別に気にしないでくださいよ。前から伊織のプロデュースをしたいって、言ってたじゃないてすか」

    「律子……」

    律子「今後ずっと、って訳じゃないんですし。私も勉強させてもらいますから」

    高木「では、頼んだよ。私も期待しているからね」

    待ち望んでいた、その時が来た。
    単独ライブのプロデュースとなれば、全てを俺が取り仕切る。

    罠でも仕掛けでも……
    俺の望むがままだ……

    「はは……」

    あれほど待ち望んでいたその瞬間。

    俺の口からは、乾いた笑いしか出てこなかった……
    それは、自嘲の笑いだった。

    469 = 1 :

    小鳥の回想4(プロデューサー失踪1ヶ月前)


    彼がプロデューサーとして働きだしてから、約一年。
    恐れていたことは、何も起きなかった。

    私たちは、互いの関係を事務所のみんなには内緒にしておくことにした。
    私としても、光源氏みたいなまねをしていたことは気恥ずかしかったし、なにより……

    彼に対する、疑念があった。
    もし彼が、伊織ちゃんに何かしようとしているなら、それは私が止めないと……

    それが私の責任だ。
    そう思っていた。

    けれど、彼はすぐに馴染んだ。
    アイドルのみんなとも打ち解け、仕事も熱心だった。
    彼はかつて知っていた少年とは、別人になっていた。

    伊織ちゃんとも、極めて普通に接していた。
    当初は、やや緊張していたようにも見えたが、すぐに他の娘と同じように会話をしていた。

    私の疑念は、少しずつ薄らいでいった。

    思い返してみれば、施設で荒んだ幼少期を過ごした彼。
    愛情を知らずに育った彼が、初めて知った感情。
    その対象が、伊織ちゃんだった……それだけの事じゃないのだろうか。

    薄らいだ疑念の代わりに、私は少しだけ……伊織ちゃんに嫉妬した。

    470 = 1 :

    そう感じてから……少しの間、私は自分を見つめ直そうと思った。

    彼のことはもう、安心していた。

    私はかねて考えていた、短期の語学留学について社長に相談した。

    高木「うむ! ティンときた!!」

    ……要するにGOサインがでた。

    律子「でも、小鳥さんいないと次のライブ……大変になるわねー」

    小鳥「あ、ライブ決まったんですね」

    律子「ええ、伊織の単独ライブ。なんとプロデューサー殿の、プロデュースですよ」

    え?

    律子「こりゃあ、私が事務方でがんばるしかないですね」

    私はそっと、彼の様子を見に行った。

    彼は、苦悩の表情をしていた。

    小鳥「嬉しく……ないんですか?」

    「小鳥さん……ああ、聞きましたよ留学」

    小鳥「……伊織ちゃんのプロデュース、やりたがってたじゃないの」

    「……嬉しい、ですよ。ただ、緊張してるだけですよ」

    私は、再び彼に疑念を持った。

    471 = 1 :

    Pの回想5(プロデューサー失踪8日前)

    伊織の、単独ライブの日がきた。

    伊織「ま、アンタの事だから心配いらないでしょうけど、抜かりは無いんでしょうね」

    「……心配するな」

    伊織「……なによ。元気ないじゃない」

    この期に及んでも、俺は躊躇っていた。
    ステージ上空のクレーン。そこに俺は細工をしていた。
    スイッチひとつで、留め金が外れて機材がステージに落下する。
    証拠は一切、残らない。

    伊織「このスーパーアイドル伊織ちゃんのライブを担当して緊張してるんでしょう」

    「ふっ……そうだな」

    伊織「なによ! その笑いは」

    「いや、あのな……伊織」

    伊織「なによ?」

    「初めての単独ライブが、俺のプロデュースで良かったのか?」

    伊織「何かと思ったら、そんな事」

    「ずっと組んできた、律子じゃなくて悪かったな」

    伊織「謝ることないわよ」

    「けどな……」

    伊織「私が、そう……希望したんだから」

    「え?」

    伊織「アンタに、やってもらいたかったのよ。私のプロデュースを」

    472 = 1 :

    あずさ「あらあら~ずいぶんと、仲良くしてるのね」

    伊織「な、仲良くなんて! き、来てくれたのねあずさ」

    あずさ「ええ。今日は、がんばってね」

    伊織「わかってるわよ。まあ、見てて」

    あずさ「わかったわ。プロデューサーさんも、がんばってくださいね」

    「……あ、ああ」

    伊織「ちょっとぉ、大丈夫でしょうね」

    「……大丈夫だ。ライブが終わったら、祝杯をあげよう」

    伊織「100%のオレンジジュースでね、楽しみにしてるわ。じゃあ、行くわよ」

    伊織とあずささんは、出ていった。

    俺は気が抜けたように、座り込んだ。

    伊織は俺を……俺にプロデュースをして欲しかった?
    なぜだ?
    なんでだ?

    473 = 1 :

    係員「Pさん、そろそろお願いします」

    「あ、ああ。今行く」

    よろよろと起きあがると、俺はヘッドカムをつけてステージ迫に行った。
    次々と指示を出す。

    時折、伊織と目があった。
    楽しそうだった。
    全幅の信頼を、俺に寄せているのがわかった。

    メインの仕掛けが成功すると、会場からは歓声があがり、伊織は俺にウインクをした。
    本来なら、ここで俺はスイッチを押すつもりだった。

    最大の仕掛け、ステージの見せ場で起こる悲劇。
    血で染まるステージと、悲鳴。
    最高の見せ物、そうなるはずだった。

    だが、俺は押さなかった。
    代わりにスイッチをポケットの中で手にして、服の上からそれを睨んでいた。

    別にあのタイミングじゃなくていい、今でもいい、押せ、押すんだ!
    心の中で、俺はそう叫んでいた。

    だけど、俺はスイッチを押さなかった。

    ライブは、終わった……

    474 = 1 :

    撤収が始まるステージで、俺はそっと仕掛けを外して隠した。

    不思議だった。
    俺は何をやっているんだろう……
    この為に、上京したんじゃなかつたのか?
    この為に、765プロで働いたんじゃなかったのか?
    この為に、俺は生きてきたんじゃなかったのか?

    わからない
    わからない……
    わからない…………
    よからない………………

    『それ、なんの仕掛けなんですか?』

    一人きりのはずの部屋で背後から声をかけられ、俺は驚いた。

    振り返るとそこに、小鳥さんがいた……

    475 = 1 :

    小鳥の回想5(プロデューサー失踪8日前)


    イギリス行きを、私はみんなに内緒で延期した。

    嫌な予感が、抑えられなかった。

    伊織ちゃんの単独ライブの日、私はこっそりと楽屋裏に忍び込んだ。
    伊織ちゃんとプロデューサーさん、そしてあずささんが談笑をしていた。
    いや、プロデューサーさんは少し塞ぎ気味だ。

    伊織ちゃんとあずささんが立ち去ると、私はプロデューサーさんに歩み寄ろうとした。
    が、そこに雪歩ちゃんがいた。
    物陰から、プロデューサーさんを見ている。
    どうやら、プロデューサーさんの様子から話しかけづらいようだ。

    イギリスに行った筈の私が、見られるわけにはいかない。
    私は、その場から隠れた。

    ライブの間、私は彼を観察した。
    何かを懊悩している様子は見て取れるが、凶行に及ぶ雰囲気は感じられなかった。

    476 = 1 :

    ライブ終了後、個室に入り何かを隠すプロデューサーさんに、私は声をかけた。

    小鳥「それ、なんの仕掛けなんですか?」

    「小鳥……さん、どうして……? ロンドンにいるはずじゃあ……」

    小鳥「P君が、心配でね」

    「その呼び方は……」

    小鳥「冷たいなあ、色々と助けてあげたじゃない」

    「……どうしたんですか? なんでここにいるんですか? なにが言いたいんですか?」

    小鳥「……心配だったのは、本当よ。P君……ううん、プロデューサーさんがね」

    「……心配?」

    小鳥「私……気づいているのよ、プロデューサーさんのこと」

    彼は、心底驚いた顔をした。

    小鳥「でも、信じてもいるわ」

    「なん……」

    小鳥「今日、ずっと見ていたわ。プロデューサーさんは、もう荒んでいないってわかった」

    「小鳥さん……」

    小鳥「だから安心して、今からロンドンに行くわ。みんなの事……お願いね」

    「……わかった。ごめん、小鳥さん……」

    小鳥「……うん」

    「それから……」

    小鳥「え?」

    「ありがとう。今も、今までも……」

    小鳥「うん」

    477 = 1 :

    「じゃあプロデューサーさんは、伊織ちゃんの命を狙って、その機会がありながら……」

    小鳥「はい。何もしなかったんです。信じてあげて下さい、彼……いいえプロデューサーさんはもう荒んでいません! 悪い人じゃなくなっています!! 変わった……んです」

    小鳥さんは、泣き出した。
    私は、天井を見上げた。

    高木「私は、彼が私の信念である『絆』の体現者であると、今も信じているよ」

    社長は言った。

    律子「そう……ね。まあ、まだ何か犯罪をおかしたわけじゃないし……」

    律子さんも、同調する。

    けれど私は……

    「……正直、私はそんな風に楽観的には考えられません」

    律子「ちょっと!? あずささん」

    「それに、肝心の失踪の直接の引き金がなんだったのか? それもわかりません」

    高木「まあ、母親と会ったというその日に、何かがあったんだろうねえ」

    「だから……」
    私は自分の考えを、みんなに伝えた。

    478 :

    一旦ここで、止まります。

    479 :

    切りやがったよコイツ……乙

    480 :

    区切りがいいとはいえ気になるところで終えるなあ 乙
    続きが気になって困っちゃうよ

    481 :


    けっきょくPは愉悦開眼には至らなかったのか

    482 :

    >>481
    いやまだわからないぞ!母親が鍵になってるし今のPは壊れてるから愉快犯になってるかもしれない!

    483 :

    愉悦はもうオナカいっぱいです。

    484 :

    フードファイトってなんぞ?
    速報で検索しても無いしググってもドラマしか無い
    この>>1の過去SS知りたい

    485 :

    検索が足りないので、頑張りましょう。

    487 :



    続き期待

    488 :

    乙。

    いおりんが天使だったばかりにPが歪み、
    いおりんが天使だったばかりに凶行をためらう…

    おれ、何書いてんだろ…
    目から汗が…

    489 = 482 :

    貴音「ふーどふぁいと?」だっけ?

    490 = 484 :

    見つけました読んできます
    ありがとう

    491 :


    Pはまだ誰も(物理的に)傷付けてないんだし…まだ戻ってこれるよな…?

    492 :

    >>1の過去SSなら、冤罪が一番オススメだと思う。
    また書いて欲しいが。

    493 :

    乙。

    冤罪いくつか、風俗、フードファイト
    他に何かあったっけ?

    494 :

    九官鳥、スマホに機種変、千早「歌でトップアイドルを目指す」 

    じゃなかったっけ

    495 :

    スマホに機種変もこの人だったのか
    電車の中で笑うのをこらえながら読ませてもらいました。

    496 :

    九官鳥もだったのか

    497 :

    この人コテつけてんだからわかるだろ

    498 :

    Pが密着取材受けるのもあったと思う。黒ちゃんがキャラ崩壊してて好きだった。
    しかし書いてるの、毛並みが違うの多いな。

    499 :

    >>497まとめサイトとかだと、気がつかないもんなんよ。
    千早が天丼するのとか、今日この人だって知った。

    500 :

    Pの回想6(プロデューサー失踪7日前)


    小鳥さんの言った言葉は、俺にとって不思議だった。

    『プロデューサーさんは、もう荒んでいないってわかった』

    自分でも、俺はかつての自分じゃない事はわかる。
    だけど、もう荒んでいない?
    だから伊織を、殺せなかったのだろうか?

    あれほど望んでいた事を、俺はやらなかった。
    いや、放棄した。

    あれはなぜだったんだろう?
    俺は、どうなってしまったんだろう?

    確かに俺は、もう伊織を……
    そしてアイドルの誰も、殺したいとは思わなくなっていた。
    でもそれは、なぜだ?

    わからない……

    悶々と考えていると、目の前に雪歩の顔があった。

    「……ん? うおわっ! ど、どうした雪歩!?」

    雪歩「ぷ、プロデューサーにお話があるんですけど、なんだか考え事をしているみたいだったから……」

    「そ、そうか。悪かったな」

    雪歩「いいえ……」

    「……はあ」

    思わず漏れるため息。


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