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    元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」

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    タグ : - 美樹さやか + - 覚醒さやかちゃん + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    401 :

    誰やこのかっこいい娘・・・

    402 :

    このさやかちゃんは、砂漠で落とした米粒一粒を見つけられるぐらいの確立でできるレベル

    つまり、超アタリ。この期を逃したら二度と見れないレベル

    403 :



    致命傷を2つも与えた。

    が、それでも魔女はまだ、動きを見せる。


    ずぶりと嫌な音を立てて刃はモニターへと戻り。

    再び別の場所から、刃はこちらへ伸びてくるのだ。


    さやか「くどい」


    同じくハンドガードで逸らし、返しの刃を残った腕にくれてやる。

    魔女の両翼だか両腕だかは二本共に切断された。

    もはやただの旧型テレビ。叩いて直らない分、それよりも脆いのかもしれない。


    が、再び飛び出した刃はモニターの中へと引っ込む。

    まだ何かを仕掛けるつもりか?と私は疑ったが、その前にやっと、違和感に気付いた。



    刃を突き出したモニターには、穴が開いている。

    内側から破壊したような穴が、2つも。



    「あらよっとぉ」

    さやか「!」


    モニターが上下に分裂した。いいや語弊も良いところだ。

    “上下に切り裂かれた”のだ。


    真っ二つに切られたモニターの中からは、先ほど突き出してきた刃を携える人影が。


    「ニュー・チャレンジャーは向こう側から、ってなぁ!」


    その詳細な姿を認識する前に、単純なモニター越しの攻撃など“メ”ではない連打が、私に襲い掛かる。



    最初の2発の攻撃を剣で逸らして、その相手が紅い装束のシスターであることに気付いた。


    「ほー、やるじゃん」


    次の6発の攻撃を剣とハンドガードでなんとか受けきった時、そこでようやく、敵の使う武器が“槍”であることに気付いた。

    404 = 403 :


    槍と剣の空中戦は一方的だった。


    メタメタに斬り崩されたモニターの魔女の落下と並んで、私と紅いシスターの攻防戦は繰り広げられる。

    だが重力的な“上”を取るそいつのリーチは長く、こちらは短い。

    単純な長さの優劣で、私は地上へと押し込まれつつあった。



    さやか(一瞬たりとも気を抜けない……!)


    唸るように振るわれ続ける刃つきの槍は、私に宙を蹴らせる暇など与えない。

    周囲に張り巡らせたマミさんのリボンすら器用に断ち切り、周囲のものを利用させようともしない。

    このまま愚直に逃げようと単調な動きを見せれば、その瞬間に餌食になることは明らかだった。


    かといって、近づいて斬りつけることが叶うかといえば、それも有り得ない。

    今の間合いは完全に“槍”の間合いだ。

    私の剣は近づくことはおろか、完全に捌ききることすらできていなかった。


    だから私は、あえて距離を取ることを選んだ。


    さやか「ふッ!」

    「!」



    まっすぐこちらに押し込んできた槍の切っ先を利用する。

    相手の動きを読んで、こちらも同時にサーベルの先を突き出すのだ。私は相手のその動きを待っていた。


    反撃手段の一切無い相手への攻撃に、自身の心配をする必要は無い。だからこそ油断し、大振りの一撃を繰り出してしまう。

    それ自体、危険に直結する悪手などではないだけに、敵も“しまった”と思っただろう。


    私だってなかなか、相手がこんなことをしてくるなんて想像できない。


    そう、鋭い刃と刃の先端を衝突させるように、カウンター仕掛けてくるなど。


    「やりやがる、いいじゃねえかオイ」



    刃の先端を衝突させた私の身体は、大きく敵から距離を取る。

    剣と槍の最大リーチの分だけ、私は紅いシスターから逃げることに成功したのだ。


    もはや槍も届かなくなった間合いを空けての自由落下は体感時間も早く、着地後は素早く後転し、剣を構えなおした。

    405 = 403 :


    槍が深々と床に突き刺さり、その柄の上に、紅いシスターは着地した。

    口元から覗ける八重歯が白く輝いている。


    「落下中でも、剣を投げてりゃ届いたぜ?」

    さやか「武器を手放す馬鹿がどこにいるのさ」

    「武器って考え方に凝り固まりすぎなんだ……よッ」


    シスターは槍の柄を思いっきり蹴り飛ばし、槍は高速で回転しながら私へ襲い掛かってきた。


    上から襲い掛かる回転。上段での防御をしてもよかった。

    だが相手は“マトモ”じゃない。



    さやか「らぁッ!」

    「!」


    剣での防御はしない。姿勢を低くして“下段から近づく”シスターに、私も同じようにして剣を投擲した。


    二人の間で交錯する槍と剣。


    2つは交わらず、お互いの持ち主の敵へと襲い掛かる。



    さやか「ほっ」

    「ふん」


    そして二人とも、投げられた武器を叩き落とす。

    掴み、利用することなどはしない。

    敵の武器は、“武器”ではないと知っているからだ。


    さやか(こいつ……)

    (この野郎……)


    私の直感が囁いている。

    こいつは私に“似てる”。

    406 = 403 :


    シスターはしばらく私を睨んでいたが、その後ろに面白いものでも見つけたのか、「くは」と笑った。


    「……構えてから結局、一発も撃ててねえじゃねえか、なあ、マミ」


    紅いシスターの視線の先には、マスケット銃を構えるマミさんがいた。

    いつからそうして構えていたのか、私にはわからない。


    このシスターが……おそらくは魔法少女が、マミさんとどのような関わりがあるのかということも。



    マミ「……どうしてここにいるの、答えて……佐倉さん」

    「どうして?そうだなぁ……“強い奴がいるらしいから”じゃダメか?」

    マミ「!」

    「引き金を引けないアンタは“強くない”……だから甘っちょろいんだ」


    黙ったマミさんは歯噛みし、佐倉と呼ばれたシスターから視線を外す。


    敵から目を離すことは、戦う意志を放棄するに等しい。

    であると同時に、その様子を見て何ら興味を示さないシスターの女にも、マミさんと戦う意志はないらしかった。


    つまり、今も奴がぴりぴりと向けている闘志は、ただ一人私へのものだった。



    「私の名は“杏子”だ、あんたは」

    さやか「“さやか”」


    名前だけには名前だけを。


    杏子「さやか、ね……面白い……」


    シスターはヴェールの裾を左手で払い、その手に一本の槍を握った。

    両手で振り回し、こちらに刃を構える。



    杏子「来な、構えるまではフェアでいてやる」

    さやか「構えたら?卑怯な手でも使うつもり?」


    私は警戒も何もせずに、黙って手の中に新たなサーベルを出現させた。

    同時にシスター魔法少女、杏子は飛び掛る。


    杏子「“一方的な戦いが始まる”ってことだよ!シロートがァ!」

    408 :


    煤子さんそっちにも出張してたのかしら

    410 :

    あんこちゃんの魔法少女姿ってあんまりシスター連想しないデザインな気が……
    煤子さんひょっとして過去に色々暗躍してる?
    どうせならマミさんにも英才教育してあげればよかったのにww

    411 :

    乙です。
    切っ先をぶつけ合うってすごいな。

    412 :

    あんこちゃんと渡り合えるとは

    413 :

    さやかちゃんかっこいい!

    414 :



    切っ先ぶつけ合うのは本編のさかやでもできるんだよな。
    打ち負けたけど

    415 = 403 :


    さやか(やばい!)


    勢いに任せたチンピラとも戦ったことが私にはある。

    がしかし、目の前でさながら弱い悪党の如く飛び掛ってくる魔法少女には、それと同じガラガラの“隙”が無い!


    杏子「らァ!」

    さやか「くっ」



    相手は槍のリーチの力をよくわかっている。そう、確実に相手の刃が先に届くのだ。

    こちらは絶対に“受け”に回るしかない。


    嵐のような槍の軌道に、私の剣は相手の滞空時間だけで5回弾かれた。

    それだけでも私の手は痺れたが、その次に来る攻撃こそ最も恐ろしいものだった。


    杏子「―――」

    さやか「!」


    ヴェールの奥の眼差しが途端に冷めたのを感じた。

    地に着いたシスターのブーツに嫌な予感を覚える。


    私は咄嗟に剣を自分の正眼へ戻し、“いつもの”体制へと切り替えた。


    それは私の自然体。守りに徹するわけではないが、あらゆる状況に応じる準備があるこれを防御の構えとでも呼ぼう。

    中学の頃の剣道でさえ一度も咄嗟に作ろうとはしなかったが、本能的に取ったそれは正解だった。



    剣の流れは、言葉で考えるのではない。言葉にすれば負けるから。

    培ってきた感覚か、数字で表すのだ。


    感覚は同じタイプの相手と戦うことでパターンとして無意識に覚えることができ、無意識に対処できる。しかし違うパターンは?

    私はそれを記号で覚えた。

    位置、高さ、方向、振り方、全てが記号になる。全てを記号とすることで、動きへ繋ぐ言葉の指令を最短のものへと変える。

    数学でも算数でも応用できないこの記号の概念は、私にしかない暗号だ。


    杏子「!」



    空中の時には5発だった槍の攻撃の嵐も、地面に脚をつけたときには一気に手数が倍に膨れ上がっていた。油断をすれば初撃だけでも胴体に風穴が2つは空くほどの加速だった。

    けれど早くなったのは同じ。私は正面から降り注ぐ攻撃を、全て剣で受けきっていた。

    敵の攻撃の変化と共に、私の動きも変化させたから。


    その成果は私の願いのおかげでもあるかもしれない。けど、それだけではない。

    “あの時”があったからこそ今の防御が成り立っている。深くそう思うのだ。


    そして防御を成功させるたびに増してゆく過去への感謝が……“煤子さんへの感謝”が、柄を握る手へと込められてゆく。

    416 :

    感謝の素振り1万回

    417 = 403 :


    1・1・2。

    一対一の戦場に、一本の道を作る動きだと、煤子さんは言った。

    何故一本の道を作るのか。

    戦場がたとえ広い空間だとしても。


    この動きを受けきるには、横道逸れる暇などないのだ。



    杏子「っ!?」


    しかし私は驚いた。

    中学の剣道では勢いに耐えかねて迷わず横へと逃げる人が続出したこの足運びの攻撃を、正面から防ごうとしている事に。

    彼女の足運びの妙に。


    さやか(こいつやっぱり……!)



    攻撃の最中でも私は飛びのいて、距離を取った。

    相手はそこで、あえて詰めようとしなかった。


    私と同じ表情をしていたのだ。



    杏子「テメェ……」


    忌々しげに私を睨む。そう、顔には出していないだろうが、私もそんな心持ちだった。

    何故魔法少女が私たちを攻撃するのか?


    何よりも何故、煤子さんと同じような、私と同じような動きをしてみせるのか!?



    ほむら「そこまでよ」


    どこまでも冷淡な声と、二丁拳銃の銃口が私達二人の動きを完璧に止めた。


    杏子「……!」


    拳銃を向けられた彼女の、恐怖とは違った感情を孕んだ顔を、私は忘れることは無いだろう。

    419 :


    マミさんと接触しなかったのはマミさんを変えたら他に影響に大きく変化してしまうと煤子が判断したと思われる
    かずみの事もあるしね(煤子が知っているかは疑問だが…)

    420 :



    今一番更新を楽しみにしているssです

    次回も楽しみにしてます

    422 :

    >>419
    妄想吐き出すのはカコワルイ

    423 :



    脊髄反射もカコワルイ

    424 :

    さやかちゃんはかわいい

    425 :

    あんこちゃんもかわいい

    426 :

    ほむらちゃんが一番かわいい

    427 :

    つまりその3人に何かしら影響を与えているマミさんが一番かわいい

    428 :


    ほむら「私はさやかと巴マミ、貴女たちと同盟を結んだ」

    ほむら「だからこそ私はここで、抑止のために銃口を向ける」



    銃口の一つは私に向いている。

    手は震えてもいない。撃とうと思えばいつでも撃てる。

    抑止として成り立つ、ハッタリではない脅威だった。



    杏子「……」


    だが杏子の表情はどう見ても、舌打ち一つで“ここはひとまず退散してやる”と去ってくれるようなものではなかった。

    本来ならば3人の魔法少女を相手にしてはそうなろうもの、けれど彼女はそうしない。


    ただ杏子は、ほむらを睨んでいた。



    杏子「……おい」

    ほむら「何かしら」

    杏子「……名前、なんつーんだ」

    ほむら「私は“ほむら”よ」

    杏子「ほう、ほむら……ねぇ」


    杏子は笑い、銃など知るかとでも言いたげに槍を構えた。

    だが同時に、甲高い金属音が槍を弾く。


    杏子「!」


    ほんの一瞬も目を離していなかったはずなのに、杏子が構えた槍は、いつの間にやら発射された銃弾によって吹き飛ばされていた。

    ぼんやりと手元を見る杏子に、ほむらはあくまでも冷静に言ってみせる。



    ほむら「私は冷静な人の味方で、馬鹿の敵よ」

    ほむら「貴女はどっちなの?佐倉杏子」

    429 = 428 :


    杏子「っは!」

    ほむら「!」


    吐き捨てるような笑いに、冷静さの片鱗は無い。杏子へ向けた銃のトリガーに、深く指が掛かるのを見た。


    杏子「ほむらだっけアンタ!?いいねえ、面白いじゃんか!」

    さやか(――!)


    杏子の頭の髪留めが、小さくゆらゆらと燃えている。

    何かから燃え移ったとも思えない、一見すると危ないその現象に、私は目で見える範囲での常識を全て捨て去った際に残る“漠然とした嫌な予感”を拾い上げ、身体を動かした。


    さやか「ほむら、駄目ェ!」


    銃弾が放たれる音はした。

    銃口はまっすぐ杏子に向けられてはいたが、銃弾が杏子の足を狙ったことは、撃つ前からなんとなくわかっていた。

    ほむらの撃つ弾は、おかしな軌道で放たれるのだ。おかしな軌道で放たれ、必ず目的のそこへと当たるのだ。


    杏子「――ハ」


    だが、普通なら全く予想もできない……。

    “撃つだろうな”とはわかっていても決して避けられない、正確無比で無慈悲なほど速い銃弾の攻撃を、杏子は確かに“かわした”。


    床に空いた穴を見るに足の甲。膝下。腿の3箇所を狙ったであろう銃弾その全てを、有り得ないほど早い動きで杏子は、避けてみせたのだ!

    それは薬室が炸裂する音と、杏子の動きにより空気が弾けるような音を同時に立てた、一瞬の出来事だった。


    ほむら「――」


    ほむらはその一瞬の“敗北の結果”に気付いていない。彼女は“かわされるとは思っていない”からだ。


    だから私が咄嗟に動いた。

    ほむらの肩を押しのけ、剣を前へ。


    相手の槍がこちらを貫くよりも、先に、前へ!

    430 = 428 :


    空中戦の動きの何倍も速い地上戦。

    その地上戦より何倍も速い槍の一突きが、不完全な防御体制の私を容赦なく貫いた。


    さやか「がぁッ!」

    ほむら「きゃ……!」


    槍の柄にロケットブースターでも仕込んでいるのかと疑いたくなるほど重い一撃。

    すんでの所で剣を盾にした私と、その後ろのほむらを押しのけ、結界の端まで吹き飛ばした。


    槍に押された。そうに違いない。それなのに、宙をふわりと飛ぶ私たちの身体はいつまでも落下することがない。

    ついに“どごん”、と嫌な音を立てて、結界の壁は破壊された。


    さやか「……!」

    ほむら「うぐ……!」


    背中に走る強烈な痛みはなるほど、抑えられてはいるのだろうけど、魔法少女にならないと味わうことがないのだろうなと、ぼんやり思った。



    杏子「ははは!やっぱりな、いいねぇ今の!良い戦いだった!」


    髪飾りを燃やす魔法少女がケタケタと笑いながらこちらへ近づいてくる。


    杏子「まさか今の私にもまだ“炎”が見れるなんてね!思ってもいなかったよ!」

    さやか「アンタ……」

    杏子「怒ったか?来いよ!いくらでも相手してやる!そっちのほむらって奴もな!」



    こいつは、グリーフシードだとか、縄張りだとは、そういうもののために今、戦っているわけではない。

    わかった。私はこいつの存在の一端を理解した。


    こいつは間違いない。私たちと戦うために、ここにいるのだ。

    431 = 428 :


    マミ「美樹さん!暁美さん!」

    まどか「さやかちゃん!」


    耳は正常らしい。目もしっかりと、こちらへ近づく杏子を映している。

    背中を打ち付けて、少し呼吸が乱れているだけだ。


    ほむらも……意識はある。杏子を睨む元気があるようで、こっちも元気になれそう。


    さやか「……知り合い?ごほっ」

    ほむら「かと思ったけど、銃弾を見てから避けるような超常生物は知らないわ……」

    さやか「魔法少女の時点で……今はいいや、なんとかしよう」


    大きくへこんだ壁に背をつけ、私たちは小声でぼそりぼそりと、かつ素早く話した。


    ほむら「さっきは油断したけど、今度は大丈夫、私が時間を稼ぐ」

    さやか「いや、私がやる、ほむらはまどかを逃がして」

    ほむら「良いのね」

    さやか「うん」

    ほむら「無事でいて」


    私は咳をひとつ吐いて、起き上がった。マントを払い、身体に纏う。

    そして睨む。数分で私の中の第一印象最悪ランキング堂々たる1位へと上り詰めた目の前の危険人物、魔法戦闘狂シスター・杏子を。


    杏子「さあ来な……マミじゃあちと弱いが、あんたなら楽しめそうだ」

    さやか「……」

    433 :

    なんだこの杏子
    あんこちゃんあんあん!

    435 :

    面白くなって参りました

    436 = 426 :

    このさやかと杏子は映画の奴よりパラメーターが高いな(あれはあんまり当てにならないかもしれんが・・・・)

    438 :

    CV:藤原啓治な焼け佐倉 杏子といったところか?

    439 :


    髪留めの炎で完全に燃えきったヴェールの切れ端が、炎を灯しながら灰のようにふわりと流れ落ちてゆく。

    何故髪留めが燃えるのか?そういうコスチュームなのか?

    わからない。いや、考えても仕方の無いことだ。


    魔女や魔法少女相手では不可解な事が多すぎる。

    姿に意味を探るのは危険だ。



    さやか「なんで、私たちと戦うのさ」


    この言葉に意味は無い。相手は戦闘狂だ。


    杏子「戦いたいから戦うのさ」


    ほれみたことか。


    さやか「人殺しが趣味の魔法少女がいるなんてね」

    杏子「殺すかどうかは運次第だよ、本気でやるから、死なないように頑張りな」


    ああ、だめだこの子は。

    この子にとって、人の生き死になんてどうでもいいんだ。重要なのは本気の殺し合いかどうかなんだ。


    本物の戦闘狂だ。



    杏子「! ……ありゃ、まただ、目ぇ離してねえのに、消えやがる」


    彼女の驚きに、私の後ろのほむらが居なくなったことを知る。

    といっても、私は後ろを見ない。


    別に彼女の能力を知ってるわけじゃない。私に余裕がないだけだ。


    正面にふらりと構える杏子から、目を離せないのだ。

    440 :


    私の視界の隅からまどかが消え、マミさんも消え、少しずつ壊れる結界の中には私と、杏子だけが残されていた。

    杏子の闘志は衰えず、むしろ邪魔者が居なくなったとばかりに、槍を手の中で回すなどして、上機嫌でもあるようだった。


    いくらか手遊びに興じた後、それまでの油断丸出しな動きを裏切るかのように。



    杏子「っシ!」

    さやか「ぐう!」


    槍は素早く突き出された。


    私が相手の足捌きを読めずに、剣で軌道を逸らせずにいたならば、間違いなく腹には穴が空いてたはずだ。

    十分な間合いを一気に詰めて放たれる槍のリーチには何度でも驚かされるし、これから始まる戦いでも驚かされるち違いない。


    なんといっても魔法の槍だ。その有効範囲は倍以上と見積もっても損はあるまい。


    さやか(なら、少しでも)


    こちらもリーチを稼がなくてはならない。

    同時に、相手の繰り出す槍の威力に負けないほどの武器でなくてはならない。



    さやか「“アンデルセン”!」

    杏子「うぉお!?」


    作り方は簡単だ。

    二本のサーベルを、掌で包み込むようにして持つだけ。これで一本の諸刃の大剣となる。


    柄を両手で握り締めれば、内側から力が沸いてくる。

    人が握れば腕が折れてしまいそうな重量感も、不思議なことに微塵も感じられない。



    さやか「“フェルマータ”ァ!」

    杏子「!」


    剣に見惚れた相手に、容赦なく大剣を振り下ろす。モーションは最少に、何よりも素早く、である。

    切っ先へと流れ溢れる衝撃波が、剣以上の太さのエネルギーとなって杏子を襲った。


    杏子「うっ、ぐぁ……!」


    うめき声の割には随分とにやけた口元を見て、やはり恐ろしい相手なのだなと再確認する。

    そして私も覚悟を決めた。


    さやか「よし……全治三ヶ月くらいにはボコボコにしてやる!」

    杏子「ッハ!上等だ!」


    紅い髪に再び、より大きな赤い炎が灯る。

    442 :

    乙です。
    杏子は何があったんだ?

    444 = 440 :


    杏子「あらよっと」


    槍で地面を突けば、そこからすぐに動きを変える。

    まるで万能な脚が一本、杏子に備わっているのではないか。そう思わせるほど鮮やかに、槍の一発で杏子は浮いた。


    そして次の瞬間に、槍が6つの節に解れ、それらがまるで無造作に杏子の周囲を取り巻いた。


    杏子「こいつでリーチを伸ばしてザックリ、って甘ぇ戦術は、あんたにゃ効きそうもないからな!種はさっさとバラしてやるよ!」

    さやか「ありがたいね!」


    内心では“ああチクショー、面倒な”と思ってるんだけど、そうも言っちゃあいられない。


    杏子「ほら!」

    さやか「うわ!」



    鞭のように振るわれた長い槍が、私の足元を抉り取った。

    その長さと遠心力による威力は、通常の槍の2倍はあろう。


    さやか(!)

    杏子「へっ」


    しかも大振りの後にできるはずの“武器の反動”は、槍をすぐに元の形状に戻すことによってキャンセルさせている。

    都合よく、鞭のように撓って伸びる槍。厄介だ。


    しかし。


    さやか「うおおお!」

    杏子「ほお、これ見ても来るか!」


    距離はある、しかし杏子のもとへと走る。

    私の武器が剣であり、伸びない以上は、近づかなくては勝利は無いのだ。

    小細工は相手に通用しない。ここは勇気をもって、自分の剣術を信じて切り込むしかない。


    杏子「間合いに入れさせっかよ!」


    再び槍が分解され、多節棍となり襲い掛かる。

    腰辺りを狙った、当てることを重視する横振り。跳躍では脚をやられ、中腰では頭が避けられない、絶妙な高さ。


    さやか「その位置を信じてた!」

    杏子「!」


    私の膝は最大限に折れ曲がり、身体はほぼ寝かせた体制で、つま先だけで床を滑る。

    勢いに任せた、強引なリンボーダンス。


    横に凪がれた槍は、私の鼻の3センチ先を掠めて、風だけを残していった。


    と同時に私の身体は、手も着かず力任せに起き上がる。

    445 = 440 :


    さやか(危なかったあああ!身体の柔軟性があと少しでも悪かったら!顔がまるっきり削げ落ちてたし!)

    杏子(やべえ、いくら元の槍に戻せるっても、このままじゃギリ間に合わねえ!)


    さやか(ガラ空き!さっきの攻撃を見て伸縮の時間も把握した!)

    杏子(一発格闘で凌ぐか?いやあのバケモンみてえな大剣相手にか!?冗談言えよ)


    さやか(決め手はわからない、相手はいくらでも対応してくる)

    杏子(やるっきゃねえ、あらゆる方法で後手から返り咲いてやる!)


    さやか(ここからは私が王手をかけ続ける詰め将棋!杏子を防御だけに回らせて、ゴリ押しする!)

    杏子(さあ来やがれ!攻め手は急ぐあまりにボロを出す!その小さな穴を抉じ開けるのみさ!)


    距離にして槍2本分の間合い。私の大剣は切っ先を地面すれすれに構えられ、杏子の槍は未だ多節棍状態だ。


    杏子(へっ)


    が、杏子は末端の柄をこちらに向けた。


    元の槍へと伸縮する多節棍。私の背後から迫り来る、“元の形状へ戻ろうとする”槍先。


    さやか(後ろでしょ、知ってる)


    が、やっと持ち上げられた私の大剣の切っ先は、既に後ろに振り被られている。

    翻る私の身体、風を受けて膨らむ白いマント。

    持ち上げた剣の広い刀身により、迫り来る槍先は弾かれた。


    杏子(そう来るんだろ?)


    ところが、私の無茶な構え方による僅かなモーションの隙を予想していたか、杏子の蹴りは既に目の前に来ていた。

    剣を構えない右サイドから来る蹴りは脇腹か、頭を狙っている。杏子は最初から槍を捨てるつもりだったのだ。


    さやか(ま、私もなんだけどね)

    杏子(!)


    杏子に向けた右肩は、大剣を振りかぶったモーションのため。

    私の身体は白いマントで覆い隠され、杏子からは私の腕の動きが完全には把握できないだろう。


    だから私は、大剣が戻ってくる槍を弾いた直後には、既に剣から手を離していた。


    ――ガコ


    さやか「うぐっ!」

    杏子「ぎっ……!」



    マントから“ぼこん”と伸びた私の拳が、杏子の繰り出した脚の脛を迎え撃つ。


    私の手は軋むような音を上げ、杏子の脛からは薄い血が出た。

    447 :

    あれ、これ何のSSだっけ

    449 :

    なんかちゃんと戦闘してるSSって久しぶりじゃないか

    450 :

    喧嘩商売みてーだな


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