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    元スレヒカル「佐為。オレ、強くなったかな?」

    SS+覧 / PC版 /
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    1 :

    北斗杯からいくばくかの時間が経過した。
    進藤ヒカルは、塔矢アキラと対等以上に強くなっていた。

    そんなある日のこと。


    ヒカル「なぁ、佐為。オレ、強くなったかな?」

    ヒカルは空を見上げながら呟いた。

    ヒカル「こないだ、門脇さんと打ったときに言われたんだ」

    ヒカル「昔と同じくらい強くなった印象を受けるって」

    ヒカル「……はは。んなわけねぇのにな」

    ヒカル「どんなに強くなっても、お前にはまだまだ敵わねえよ」



    SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1432116971

    2 = 1 :

    ヒカル「……お前と、もう一度打ちてえや」

    ヒカルは空を見上げたまま大きなため息をつき、目を閉じた。

    3 = 1 :

    ヒカル「は?はぁ!?」

    再び目を開けたヒカルは混乱していた。

    ヒカル「オレ、さっきまで棋院の近くにいたよな?」

    しかし、それも無理はない。先ほどまで棋院近くに居たと思ったら、
    いきなり見知らぬ場所にいるのだ。

    しかも…。

    ヒカル「それに、なんだこの木。でかすぎだろ」

    近くに生えている木のこの大きさ。
    まるで巨木。

    ヒカル「ひぇぇぇ、でっけぇぇ」

    見上げるヒカル。

    4 = 1 :

    ???「ねぇ~ヒカル。何してんの?遊ぼうよ」

    ……と、ふいに巨木に見とれるヒカルに女の子が声をかけた。
    はて、なにやら聞き覚えのあるような声だなと、振り向きながら

    ヒカル「……いや、オレは仕事が」

    と言いかけて、ヒカルはまたもや驚愕する。

    あかり「?」

    目の前には、幼児姿の藤崎あかりが、いたのだ。

    5 = 1 :

    一時間に及ぶ混乱の末、ヒカルはようやっと自分がどういうことに
    なっているのか理解することができた。

    ヒカル(どうやらオレはタイムスリップ?ってのしちまったみてーだ。
    年は幼稚園児ってとこか)

    常人ならばなかなか受け入れることが出来ないだろう現実だが、
    ヒカルは意外にもあっさり受け入れることができた。

    ヒカル(千年以上碁盤に宿ってた佐為がいるくらいだ。何が起きても
    いまさら不思議じゃねーよな)

    佐為との出会いがヒカルに奇妙奇怪な現象も受け入れさせた。

    7 = 1 :

    ヒカル(そーだ。佐為!佐為は!?)

    混乱が落ち着いたヒカルは、佐為のことを思い出した。

    ヒカル(ここって過去の世界だよな?だったら佐為は、もしかして、まだ消えてないんじゃ)

    あかり「どうしたの、ヒカル。怖い顔して」

    ヒカル「えっ!?い、いや。なんでもねーよ」

    あかり「ふーん?」

    ヒカル(とにかく、ここが終わったら急いでじいちゃん家の倉を見に行こう)

    ヒカル(佐為が、いるかもしれない!)


    8 :

    こういうの嫌いじゃない
    むしろ好きかもしれない
    スレ主の手腕しだいだね

    9 = 1 :

    幼稚園から帰宅したヒカルは一目散に祖父の家の倉を目指した。

    久しぶりに来たかと思えば、倉を見に来たのだと言うヒカルを祖父は
    不思議に思いながらも、あまりのヒカルの鬼気迫る迫力にすぐに
    倉の鍵を渡した。


    ヒカル「よっと……」

    そして、梯子を登ったその先にある碁盤を見て

    ヒカル「し、しみがある!」

    ヒカルは叫んだ。

    そして、ヒカルのその声に呼応するかのように

    ??「見えるのですか?」

    烏帽子をかぶった幽霊が姿を現した!

    10 :

    一種の強くてニューゲームかな?
    期待

    11 :

    ヒカ碁作品は泣ける

    12 = 1 :

    ヒカル「さ、佐為!」

    佐為「えっ、は、はい」

    突然自分の名前を呼ばれ驚く幽霊。無理もない。
    驚くのは自分ではなく相手の方だと思っていたからだ。

    ヒカル「うわ~。佐為。佐為だ!いよっしゃぁぁぁぁぁぁぁ」

    佐為「え、え、えっ?」

    しかし、そんな幽霊の疑問そっちのけで喜び興奮している子供。
    烏帽子をかぶった幽霊こと藤原佐為はそんなヒカルを眺めながら、
    この子供は頭が大丈夫だろうかと大層心配した。

    13 :

    あれ、原作始まった時のヒカルって小学生だったよな
    こっからだと元に戻るまで先が長いだろうな

    14 = 1 :

    ヒカル「ってなわけでさ。なんでかは知らないけど、オレはこの時代に
    来ちまってたんだ」

    佐為「時間を遡った?それはまた奇妙な」

    ヒカル「あのなぁ。幽霊のお前が言っても説得力ねーぜ、それ」

    佐為「そ、それはそうですけどっ」

    ヒカルは軽口を挟みながら、前にも佐為と出会って、いろいろな時間を
    過ごしたことを佐為に言い聞かせていた。

    佐為は奇妙な話だと思いながらも、自分が以前寅次郎に憑いていたこと
    などを言い当てられ、信じざるを得なかった。

    16 :

    ヒカルの碁知らんけど前に見たssは良作だったな期待

    17 :

    こう突発的にくる懐かしssの為に張り付いてると言ってもいい。
    ツエーをどう逆境に落とすか期待

    18 :

    これは期待せざるをえない

    20 = 1 :

    佐為「それで、ヒカルはどうしたいのですか?」

    ヒカル「オレ?」

    佐為「はい。ヒカルは元の世界では碁打ちだったのでしょう。
    また、そのプロとやらを目指すのですか?」

    ヒカル「う~ん、確かにプロもいいけど、別になんなくても今のところ
    構わねーかな」

    佐為「なぜです?」

    ヒカル「だってオレが一番打ちたいのは佐為なんだ。佐為と打てるだけで
    オレは満足だよ」

    佐為「ヒカルっ」

    ヒカル「へへっ」

    21 = 15 :

    故人に会うっていいよな
    このスレ見つけた時と同じ感覚

    22 = 19 :

    ?や!が半角なのが気になる

    23 = 1 :

    ヒカル「ってなわけだからさ。早速打とうぜ、佐為」

    佐為「ええ!ですがヒカル…」

    ヒカル「どうした?」

    佐為「碁盤はどこにあるのですか?」キョロキョロ

    ヒカル「あっ!」


    このとき進藤ヒカル、若干6歳。
    家に碁盤どころか、自分の部屋さえもまだない時代だった。

    24 :

    凄く期待してる。
    ヒカ碁SSは珍しい。

    25 :

    また懐かしい題材を...

    26 :

    これは期待やで

    29 = 1 :

    翌日。

    ヒカル「う~ん」

    ヒカルは唸っていた。

    あかり「大丈夫?ヒカル、お腹痛いの?」

    ヒカル「いや、そうじゃねーんだけど。…う~ん」

    あかりが心配そうに覗きこむ。
    ヒカルは朝からこんな調子だ。

    ヒカル(まさか家に碁盤がねーなんてなぁ。考えもしなかったぜ)

    佐為「えぇ。残念です」

    佐為もがっくりと肩を落とす。
    せっかく再び碁が出来ると思ったのにこれだ。
    残念なことこの上ない。

    30 = 1 :

    ヒカル(せめて小学生だったらなぁ。小遣いで安いの買うんだけど)

    まだこの時代のヒカルは小遣いをもらっていない時代。
    高価なものは親にねだって買ってもらうしかないが、

    ヒカル(買ってくれるかなぁ。急に囲碁なんてどう考えてもおかしいよなぁ)

    ヒカルは、どうやってねだれば買ってもらえるか見当すらつかなかった。

    ヒカル「はぁ~。こんなに碁が打ちたいってのに」

    あかり「ご?ごってなに、ヒカル」

    ヒカル「えっ」

    あかり「だからぁ、ごってなに」

    ヒカル「あ、あぁ。碁ってのはさ」

    ヒカル(佐為、オレ声出てた?)

    佐為「そりゃもう、ばっちり」

    31 = 1 :

    ヒカルは簡単な碁の説明をあかりにした。

    あかり「ふーん。陣取り合戦なんだぁ」

    ヒカル「ま、平たく言えばそうなるな。碁盤っていう木の台の上に碁石を置いてだな」

    あかり「碁石?」

    ヒカル「黒と白の石のことさ。その石を使って自分の領地を競い合うんだ」

    あかり「あっ、知ってる。石取りゲームのやつでしょ!」

    ヒカル「そうそう。石取りゲームでも使ってるな」

    あかり「へぇー。なんか面白そうだね」

    ヒカル「まぁな、どんなゲームよりも面白いぜ」

    32 :

    形振り構わないなら鋏で紙切って作ればよくね?

    33 :

    方眼紙で自作しよう

    無邪気の楽園ごっこな展開は望み薄いなー

    34 = 1 :

    あかり「あかりもやってみたい。ねっ、ヒカル。やろうよ」

    ヒカル「オレもやりたいのは山々なんだけどさ」

    あかり「?」

    ヒカル「碁盤がねーんだよな」

    あかり「あっ、そっかぁ」

    ヒカル「それで悩んでたんだ、オレ」

    あかり「ヒカル、かわいそう」

    落ち込むヒカルを見て涙ぐむあかり。
    幼稚園児故か感情のまま泣きそうになるあかりを見て、
    あわてるヒカル。

    35 = 1 :

    しかし次の瞬間、あかりは泣きながら、思いがけないことを言い放った。

    あかり「ねぇ、このおはじき、碁石の代わりにならないかな」

    ヒカル「おはじき?」

    あかりは、持っていたおはじきをヒカルに差し出す。

    36 = 1 :

    たしかに、おはじきには白や黒のおはじきもある。
    碁石の代わりとして使おうと思えば使える。
    碁盤の方だって、紙に線でも引けば簡易の碁盤としては十分使える。
    マグネット碁盤だって所詮似たようなものだ。

    ヒカル「そ、そうだ。ないなら作ればよかったんだ!」

    ヒカルは嬉しそうに叫んだ。
    あかりの方も元気になったヒカルの姿を見て、これまた嬉しそうに笑った。

    37 = 1 :

    碁盤作成の功労者であるあかりに、少しばかり碁を教えたヒカルは
    おはじきを借りて佐為と打っていた。

    久方ぶりの佐為との対局なので、これまでとは比べ物にならないほどの
    興奮と高揚感が彼を包み込んでいた。

    そして、それは佐為も同じだった。
    久しぶりに碁が打てるとあって、その感激は天にも昇る勢いだった。

    しかし、佐為は戦慄する。

    佐為(この子供、只の打ち手ではない!)

    38 :

    ヒカルの話を聞いていたので、彼の実年齢はもっと上という
    ことも知っていたし、プロの碁打ちだということも知っている…つもりだった。

    だが、目の前のヒカルはどう見ても幼子。
    佐為は、つい軽い気持ちで幼子に打つように打ち始めてしまった。

    佐為「まさか、ここまでとは…」

    しかも、自分の全く知らないような手筋で攻めてくる。

    佐為(この強さは…過去、秀策の時代ですらそんなにはいなかった!)

    無理もなかった。秀策の時代の碁とヒカルの打つ碁はまるで別物。
    長い年月の末、研究を繰り返され、過去にはなかった手が編み出されてきたのだ。

    だが、このときの佐為にはまだそれを知る由もない。

    39 :

    >>16
    タイトルわかる?

    41 = 40 :

    あっ、SSじゃなかったわ

    43 :

    佐為(ネット碁により進化後)や塔屋名人に100%勝てるってのはありえないし無双だけは勘弁だけど
    >>1に期待

    45 :

    倉田さんと一色碁やるぐらいだから、地面に枝で線書いて落ちてる石使えば余裕で打てるな

    46 :

    プロなら目隠し碁できるし碁石無くてもOKだな

    47 = 38 :

    佐為(ここまでか…)

    佐為「ありません」

    ヒカル「……」

    佐為「ヒカル?」

    ヒカル「どうしたんだよ佐為、お前の番だぞ」

    佐為(集中しすぎて聞こえてなかったのか)

    佐為「いいえ、ヒカル。私の敗けです」

    ヒカル「えっ、ちょっと待てよ!まだ勝負はこれからだろ」

    佐為「いいえ、この先打っても差は縮まりそうにありません。私の敗けです」

    ヒカル「何言ってんだよ!お前らしくもない。序盤こそ甘い手で打ってたけど
    もう十分巻き返してるじゃないか」

    佐為「ですが……どう計算しても5目は足りませんよ」

    ヒカル「5目ぅ?半目勝負だろ」

    佐為「えっ?」

    49 = 38 :

    佐為「半目?」

    ヒカル「そうだよ!お前は白打ってんだからコミを入れたら半目勝負だろ」

    佐為「コミ?コミとは何です」

    ヒカル「コミはコミだろ。5目半のコミ。囲碁って黒の方が有利なんだから
    白がハンデ貰うのは当たり前じゃないか」

    佐為「そうなのですか?」

    ヒカル「そうなのですかってお前、ずっとそうだったじゃないか」

    佐為「いえ、初耳です。秀策の時代にはそんなものなかったですから」

    ヒカル「あっ!」


    ここでやっとヒカルは思い出した。
    自分は佐為とずっと時間を共有していたが、佐為の方はそうではないのだ。
    つい昨日ようやく現代に蘇ったばかり。

    現代のルールであるコミを知らないのも当然だった。

    50 = 38 :

    ヒカル(あ~そうか、そういえばそうだったよ。すっかり忘れてた)

    ヒカル(ついでに言えば、佐為の打ち方が少し変わった打ち方をするなと
    思ったのも、古い定石で打ってたからか)

    ヒカル「そうだよな。オレにとってはやっと会えたわけだけど、佐為の方
    から見れば初対面な訳だし、現代のことなんにも知らねー筈だもんな」

    佐為「…ヒカル」

    ヒカル「そんな顔すんなって。悪かったな、お前と久しぶりに打てると思ったら
    舞い上がっちまって」

    ヒカル「すっかり説明すんの忘れちまってた」

    佐為「いいえ、ヒカル。気にすることはありません。それよりも、私はあなたが
    ここまで打てたことに感激しています!」


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