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    元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」

    SS+覧 / PC版 /
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    タグ : - 美樹さやか + - 覚醒さやかちゃん + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    701 :

    よいお年を?

    702 :


    「ビィイイィッ!」

    さやか「!」


    接近を試みようとした前のめりになったとき、ヤゴの小さな翼が広がった。

    その裏側から無数の黒い影が舞い上がり、こちらに向かってくる。


    人目でわかる。道中で何匹も潰した、ガトンボの小さい奴だ。



    使い魔「ビィイッ!」

    さやか「ふんっ」


    真っ先に正面から飛び掛ってきた蛾をハンドガードで押し退け、魔女への突撃を敢行する。

    立ち止まったら負けだ。使い魔の群れに怯んだら劣勢になる。


    大量に出現させられて、量で押される前に、なんとか一撃を当てるんだ。

    そう、出来れば翼に当てなくちゃいけない。



    マミ「美樹さん、行って!」

    ほむら「正面に集中して」


    背後から私を追い抜く弾丸たちが、わき見の範囲に広がる使い魔を的確に撃ち落としてゆく。

    703 :

    あけおめー

    704 = 702 :


    切っ先を一匹目に刺し込み、捻って刃の腹で二匹目を斬り、ハンドガードで三匹目を叩き潰す。

    数は多い。けれど横からを気にしないのであれば、全然いける。


    二刀流のサーベルで、使い魔の濁流の中を強引に突き進む。

    そしてついに、というかすぐに、魔女の目の前までたどり着いた。



    さやか「おおおおおッ!」

    「ビィィイイッ!」


    最後の突撃だ。二本のサーベルを魔女に向かって投擲する。

    二枚の翅らしき背中へ向けて投げられたサーベルを、使い魔達は私以上に優先してブロックした。


    翅は私を襲う以上に大事なことらしい。

    ならばこっちの目的も明確になったようなものだ。


    まどか「! さやかちゃん前!」

    さやか「大丈夫!」


    無手、そして目の前に複数の使い魔。

    一瞬だけ守りに重きを置いたが、私への攻撃の手を全くやめたわけではなかった。


    さやか「ほうら!」

    使い魔「!」


    空中で体を翻し、相手にマントを向ける。

    使い魔達は白いマントへ突撃し、白いベールを容易く食い破り、貫いてしまった。



    使い魔「……!」


    そこに私はいない。

    私は浮き上がったマントの下に、今度こそ本当に、何も隔てずに魔女の目の前にいる。


    さやか「翅、もらった!」

    「!」


    相手が反応するより早く前足を駆け上り、魔女の小さな翅のひとつに渾身の蹴りをお見舞いする。

    705 :


    足の甲に痛みが走った。


    さやか(……った!)


    魔女の巨体が、ほんの少しだけ浮き上がる。

    逆に私の体は、反動で押し戻された。


    「ビッ……ビィィイイイ!」

    さやか「まじっすか!」

    マミ「効いてない……!美樹さん離れて!」


    一撃に賭けた私のキックも、魔女の翅を折るには至らなかったようだ。

    なぎ払われる刺々しい前足を避けて、マミさんとほむらの列に並ぶ。


    さやか「いけると思ったのになぁ!」

    ほむら「まったく、逆に安心するけれど……魔女に肉弾戦なんて、無謀もいいところよ」


    アサルトライフルでガトンボの群れを蹴散らすほむらが私を戒める。

    二人とも、迫り来る使い魔の掃除に手間を食っているのか、魔女に攻撃を加える暇がない。


    さやか「しょうがない……近づくのがダメってんなら、私も遠くからで!魔女を狙いますか!」

    706 :

    みく吉wwwww

    707 = 705 :


    さやか「“アンデルセン”!」


    遠距離かつ手数で使い魔を潰す二人のおかげで、私は心置きなく大剣を作ることができた。

    そしてお見舞いする一撃は、サーベルが主力である私の最大火力。遠距離からの攻撃“フェルマータ”だ。



    まどか「あれが当たれば!」

    QB「さやかの願いが生み出したと言っても良いほどの威力がある、直撃すれば、あの魔女はあっという間に消滅するだろう、けど……」

    まどか「え?」

    QB「さやかの使う武器とは真逆をいく性質の技だ、何発も撃てるものではないし、外したときの隙は……」


    さやか「“フェル”……」


    生成した大剣を素早く真上に掲げ、重さのままに、ゆっくり後ろへ下げる。

    その動作だけで、体中の“魔力”と呼ぶらしいシロモノが吹き上がる感覚を得た。


    さやか「“マータ”!」


    自身の体を基点にして半円の弧を描く大振りが、巨大な青白い力の流れを作って、目の前に放射される。

    私の髪を前方へ靡かせる力の波濤が魔女へ襲い掛かる。


    が。


    「! ビィッ!」

    ほむら「!」

    マミ「ああっ!?」



    魔女は今更になって、飛んだ。

    というよりも、跳んだ。真横へ跳んで、私の“フェルマータ”を避けた。


    さやか「……!」


    考え無しに放った大技への後悔と披露感が、大剣を握る両腕を更に重くする。

    708 = 705 :


    マミ「美樹さん!?」

    さやか(今になって気付いたけど……!)


    大剣が手から離れ、床に落ちる。


    さやか(“フェルマータ”を使った後の疲労感が……結構ヤバい!)


    大技は大技だった。代償無しにこんな技を何発も放てるはずがないのだ。

    私の力では、一日に三発程度が限界か。道中の使い魔を相手に使うものではなかったのだ。


    昨日の杏子との戦いでの肉体の消耗もあるだろうが、自分の力量を見誤ってしまったのは紛れもない事実。

    反省……そして、ショックだ。

    自分の魔法は、こんなものかと。




    ほむら「さやかっ!」

    さやか「!」


    頭を冷やす。

    二人は未だ、使い魔の処理に追われている。


    私がなんとかしなくては。


    さやか「仕方ない……!もう一度近づいて、今度はアンデルセンで、そのまま……!」


    床の大剣を拾おうと手をかけるが、ひどく重い。


    ほむら「……!無茶はしないで」

    さやか「……」


    アンデルセンの重さと自分の体力を比べてみれば、すぐに解った。

    これを抱え、正面の使い魔を切り伏せながら魔女を叩く?そんな芸当は無理である。


    私はそんなに身軽ではない。


    さやか「……」

    709 = 705 :


    まどか「さやかちゃん!?」


    親友の声が背中を擦る。

    いつもの底抜けた“大丈夫!”が出てこない。


    代わりに浮かんでくる言葉は、契約する直前にキュゥべえから言われた、素質の話。


    マミさんと比べれば、私は三分の一しか力がない。


    さやか(……違う、今はそんなことを考えるときじゃない)


    素質どうこうを考えてどうなるというのか。


    私は私にできることをするだけだ。それが私の願いだ。

    私は、自分の手の届く範囲を広げるために力を願ったのではないか。


    何も全世界の人々を私の願いひとつで救えるとは思っちゃいない。

    この手の及ぶ限りに、守る力を欲したのだ。


    だから考えるんだ、美樹さやか。

    自分で作った大剣も握れない私が、あの魔女を叩き落すための手段を。



    さやか(……――)


    サーベル、刃とハンドガード。マント。

    走る、斬る、跳ぶ、斬る。撃ち落とされる。

    走る、斬る、斬る。未知数。

    走る、斬る、走り抜ける。未知数。


    魔女の翅のガードは堅い。私の蹴りは通用しない。

    使い魔の出現は連続的で収まらない。魔女に一撃を与えるのが限界だ。


    ……今の私がサーベルを持ったところで、あの魔女に傷をつけることができるのか?



    さやか「……私じゃ、あの魔女には……」


    敵わないのではないか。

    710 = 705 :


    ほむら(……やっぱり、私が時間を止めてやるしかないわね)

    さやか「……」


    銃声を聞くだけで、私は何もできなかった。

    足が動かない。打つ手無し。声を上げることもできない。


    無力感と挫折が同時に私の心を襲う。



    マミ「美樹さん」

    さやか「!」


    優しい声で呼ばれた私の名前に、正気が戻ってきた。


    マミ「駄目そう?」

    さやか「……すみません、私には、あの魔女を倒す力がありません」

    マミ「うん、無茶はいけないわ」


    私の本音を、マミさんは微笑みで受け止めてくれた。

    ……マミさんは本当に、優しい人だ。


    さやか「ごめんなさい、近づいてきた使い魔を倒すくらいしか、私はできません」

    ほむら「気にすることはないわ、相性が悪いだけよ」


    自分の無力さを吐露すると、何故か楽になった気がした。


    ……私は万能ではない。力を願ったからといっても、最強になったわけじゃあないんだ。

    深く、胸に刻むことにした。

    712 :

    鏡開きの日に叩き割るのが鏡餅

    713 :

    カビるまで放置されることもある鏡餅

    714 :

    乾燥してだんだんひび割れてくる鏡餅

    715 :

    最近だとパックの奴にお株を取られている鏡餅

    717 :

    でも飾ってよし、食べて良しの鏡餅

    718 :

    腐るって腐女子的なあれだったんですね

    719 :


    さやか「私は、近寄ってきた使い魔を斬る!」


    できることを宣言し、私はその言葉通りに心を切り替えた。


    自分にできることをやろう。

    ほむらの言う通り、私との相性が悪いのは間違いない。

    魔女が生み出す沢山のガトンボを相手にするのは、サーベルでは無理だ。


    ほむら「私が……」

    マミ「私が魔女の相手をするわ」

    ほむら「……あなたの技では準備時間が長すぎる、私ならすぐに使い魔ごと魔女を倒せるわ」


    なんですと。


    マミ「ええ、あなたの魔法は底知れないものを感じる……使い魔ごと、すぐに魔女を倒せるかもね」

    ほむら「なら」

    マミ「けど、ここは私に任せて」


    休みなくマスケットを打ち続けるマミさんが微笑んでみせた。


    マミ「」

    ほむら「?」

    さやか「?」

    マミ「試してみたい技があるの。成功するかわからないから、今まで使わなかったけど」

    ほむら「……」

    マミ「お願い」

    ほむら「……わかったわ」

    マミ「ありがとう」

    720 = 719 :


    マミさんが手を休めた。

    大砲でもなんでもない、普通のマスケット銃を一挺だけ魔女へ構えている。


    彼女の手が休まったことで何が起こるのかといえば、当然魔女の撃ち漏らしだ。

    無尽蔵に襲い掛かる使い魔は、ほむら一人だけでなんとかなるものではない。


    ほむら「さやか!時間稼ぎを!」

    さやか「おっけー!任せて!」


    一本のサーベルを両手で握り、間合いに入った使い魔を斬る。

    幸いにして脚はよく動く。腕は披露しているが、これなら広い範囲にも隙なく対応ができる。


    マミ「時間はかけさせないわ……少し集中するだけ」

    さやか「はい!」


    マスケット銃で何をするのか、それは私にも興味がある。

    そのために、私はマミさんを守らなくては。



    マミ(……私の魔法には力が備わっている、必要なのはそれに技術を乗せること)

    マミ(私にはちゃんと力がある、技術もある……佐倉さんだけじゃない、美樹さんだけじゃない)

    マミ(力を込めて撃つだけが、私の魔法の終着点ではないはず)

    マミ(……私と佐倉さんの今の距離感が、私の限界ではないわ)


    さやか(!)


    私は激しく立ち回る中、マミさんの眼が鋭くなったのを見た。

    そこにはいつもの柔らかな余裕はない。


    凶暴な熊に照準を合わせた、一発に集中する狩人のような眼だ。

    721 = 719 :


    マミ(……自分が放つ弾をイメージする)

    マミ(私の生み出す魔力の、最も乱暴な形、弾けて回るエネルギーの魔力)


    マミ(私の銃をイメージする)

    マミ(弾を包んで押さえ込み、フリントの衝突で開放する、システムの具現)


    マミ(けれど忘れてはいけない、私が生み出す銃も、弾も私の魔法……暁美さんの使う実物ではない)

    マミ(ただのマスケット銃ではないし、鉛の弾丸でもない)

    マミ(私の魔力から生まれた同じもの……それなら!)


    マミ(撃った後に役目をなくす銃自体を、魔力の弾の回転に乗せる事も――可能!)



    マミ「“ティロ・スピラーレ”!」

    722 = 719 :


    さやか「――」


    間合いに入った使い魔をひとまずは片付けたとき、丁度マミさんが発砲する瞬間を見ることができた。

    光る銃口、あふれ出す光弾。


    マミ(解けて!)

    さやか「!」


    光の弾が放たれると共に、それを包んでいたマスケット銃自体が元のリボンへと戻る。

    それだけじゃない。リボンに還元されたマスケット銃は、その端を光の弾丸に繋げており、弾の進行と同時にくるくると螺旋状にほどけていく。


    弾に引っ張られるリボンの銃はまるで、解けてゆく毛糸のようだ。


    銃を構成していたリボンを全てを解いた弾丸は、真っ直ぐ魔女へと飛び込んでゆき――


    マミ(広がれ!)

    「!?」

    ほむら「!」


    魔女に当たる直前に、弾丸は無数のリボンを放射した。

    使い魔を貫きながら、動きを止めながら伸びるリボン。それはまるで、蛾を捕らえる蜘蛛の巣のようだった。

    724 :

    トッカ・スピラーレとの関連性は

    725 :

    技名もバッチリ考えてあるとは流石です。

    726 :


    「ビィッ……!」

    マミ「あら、ちょっと痛かったかしら?」


    リボンの炸裂弾。咄嗟に浮かんだ言葉はそれだった。

    モニターの魔女の結界で見た、“リボンの花火”とは違う。


    光の弾から展開される無数のリボンは、弾に収束した魔力と回転力を開放し、銃を構成していたリボンを分割して撃ち出したものだ。


    マミ(やっぱり、普通に操るリボンよりも威力が段違い……!)


    放射状に伸びるリボンに貫かれた使い魔は消滅し、魔女の堅い外殻にヒビを入れていた。

    そして魔女に触れるリボンは巻きつき、そのまま巨体を拘束する枷となっている。


    ほむら「なにこれ……!」

    QB「なんてことだ……すごいよマミ!まだまだ強くなれるなんて!」

    マミ「ふふ、上手くいったわ」


    大味な大砲で魔女を消し去るわけでもなく、一発で魔女の弱点をスナイプするものでもなかったが、目に見えてボリュームを失った群れる使い魔の塊に、紛れもない“必殺技”であると、誰もが思ったはずだ。


    マミ「でもまだよ、この技のいいところは、コツさえ掴めば何発でも撃てるってことなんだから」


    スカートを広げ、中からマスケット銃が四挺落ちた。


    さやか「……まさか」

    マミ「ふふ、まさかよ」


    銃口は無慈悲にも、拘束され動けない魔女に向けられる。

    南無。

    727 :

    ショットガンって対人戦とか柔いものにしか通用しない

    728 :

    散弾は弾速が遅い(たぶん)し、弾丸が小粒で貫通力がないからな。
    回転してるわけでもないし。

    729 :

    こ、これは本物じゃなくてマミさんのイメージだし魔法の不思議パワーでどうとでもなるんだよ!

    730 :

    ショットガンというよりフレシェット弾に近い感じがする
    鎧の魔女なんてのも中にはいるけど、魔女が装甲目標とも思えないし十分じゃね
    だいたい貫通力低かったらコンクリの壁にドリルで掘ったみたいな穴は開かん

    731 = 728 :

    SS中のどこにショットガンが描かれてるんだろうと思いながら728のレスをつけたが、
    読み返してもショットガンらしい描写は見つからなかったし、問題はないと思う。

    732 :

    DMCとかバイオとかだと近距離でエライ威力発揮するイメージだな

    733 :

    戦車の砲弾で言うAPHE(徹甲榴弾)と同じだと思うんだが

    おっと、これ以上の議論はやめておこう

    734 = 726 :


    マミ「一発一発に、ただ集中さえすれば、」


    マスケット銃の弾丸が新たに打ち出され、動きの鈍った魔女へと突き進む。

    が、翅の裏側から生み出された使い魔は弾丸を防ぐためにその身を投げ出した。


    マミ「発動を失敗することもなさそうね」


    使い魔の壁に命中する寸前で、弾丸は再び炸裂した。

    弾から無数のリボンが魔女の方向へ伸び、帯は使い魔を貫き、引き裂いてゆく。

    使い魔の献身的な防御をもってしても防ぎきれなかったリボンは魔女の外殻に突き刺さり、更にダメージを与えた。


    と、そこまで私が観察していると、目を休める暇もなく、三発目の弾が魔女へ向かっていた。

    バン、と輝き弾け、幾条もの帯を突き出す弾丸。


    放射状に展開したリボンは結界の壁や床に突き刺さり、ひとつの堅い檻としても機能していた。

    それは一発打ち込まれるごとに、窮屈さを増してゆく。


    四発目のティロ・スピラーレが炸裂する頃には、使い魔が盾を買って出る飛行スペースはなく、リボンの放射線は全て魔女に突き刺さった。


    ほむら「こんな技を使えるなんて……」

    マミ「ふふ、美樹さんや佐倉さんにのまれちゃった所があったけど、どう?私のことも戦力として見直してくれた?」

    ほむら「……いいえ、やっぱりさすがよ、巴さんは……」

    さやか「こ、これでも普通の一発と同じ魔力っていうのが信じられないっすねぇ……」

    735 :

    クラスター弾だな

    736 :

    ショットガンというと昔バカ殿でやってたな

    737 = 726 :


    QB「弾の回転エネルギーを利用したリボンの展開。マミが得意とするリボンの操作ではなく、勢いを乗せた爆発と言ったほうが良いね」

    まどか「リボンの爆発……」

    QB「イメージではクラッカーに近いかもしれないね」

    まどか「……なんか、おしゃれだね」

    QB「いやいや、危ない技だと思うよ……威力は火薬なんてメじゃないだろうね」



    「ビィ……ビィィ……」


    黄色い蜘蛛の巣に囚われた魔女は、全身を貫かれて相当弱っている。

    翅にもリボンが貫通し、飛ぶことも使い魔を出すこともままならない様子だ。


    マミ「それじゃ、終わりにしましょうか?」

    ほむら「ええ」

    さやか「……へへ、やっちゃってください!」


    余裕ありげにニコリと笑って、マミさんは大きな大砲を出現させた。

    相手が動かないためか、機嫌がいいためか、いつになく優雅で、美麗なポージングだった。


    そして最後の一発が轟くだろう。



    マミ「“ティロ・フィナーレ”!」

    738 :


    マミ「はい、おわり」


    ティーカップ片手に、マミさんはこちらに微笑んだ。

    背中で崩れてゆく結界の演出が、相変わらず格好良くて惚れ惚れする。


    さやか「うー、経験不足だあ……」


    それと比べて私といったら、もう。

    今回はダメダメだ。魔女との戦いではほとんどほむらとマミさんだけのものだった。


    まどか「さやかちゃん、上達と進歩を焦っちゃだめだよ?」

    さやか「……うん、うん、そうだよなあ、うん」

    まどか「ね?」

    さやか「はは、参った参った」

    まどか「てぃひひ」


    いつかまどかに言った言葉をそのままに返されてしまうとは。

    魔法少女になってから舞い上がりすぎているのかもしれない。

    こりゃあまた、竹刀で素振りをする毎日に戻ってみる必要もありそうだ。



    ほむら「お疲れ様」

    マミ「ええ、暁美さんもお疲れ様……はい、グリーフシードよ」

    ほむら「私の取り分はいいわ、まだしばらくは……」

    マミ「堅いこと言わないで、ほら、受け取って?」

    ほむら「……私はもともと、取り分を少なくして協力している立場だから……」

    マミ「もう、今更そんなことは関係ないわよ、私は暁美さんを信用してるもの」


    ほむらの手にグリーフシードが、半ば強引に握らされた。

    厚意を手渡されたほむらはマミさんとキュゥべえを忙しく見比べながらあたふたしている。

    そんな表情も、なんか、良かった。

    739 :

    ほむらがやわらかくなってるのがかわいいんだけど

    740 :


    魔女を倒し終えたその後は、マミさんの家でちょっとしたおやつタイムだ。

    色々な形の手作りクッキーと、やっぱりいつ飲んでも美味しい紅茶が振舞われた。


    まどか「んー!」

    マミ「ふふ、美味しい?」

    まどか「カリッとサクサクで美味しいです~……」

    マミ「ありがとう、私、クッキーだけは沢山作ってるから、得意なのよ」

    さやか「ほへぇー」


    と、関心しつつ色の違う3枚を同時食い。

    プチシリーズも真っ青なさやかちゃんの食欲を前にしては、クッキーなんぞ晩飯前よ。


    さやか「ほい、キュゥべえにも」

    QB「わーい」

    ほむら「……ちょっと」

    マミ「ダメよ美樹さん」

    さやか「え?」

    マミ「キュゥべえは沢山食べるから、一日に3枚までって決まってるの、太っちゃうでしょ?」


    キュゥべえの食事、マミさんが管理してるんだ……。


    QB「ひどいよマミ、僕はいくら食べても太りはしないのに」

    マミ「だーめ」

    ほむら「巴さんの言う通りにしなさい、往生際が悪いわよ」

    QB「君はここぞとばかりに辛辣だね」

    741 = 740 :


    さやか「どれどれ」

    QB「きゅ」


    キュゥべえの体をひょい、と持ち上げてみる。

    膝の上に乗せ、耳から伸びているよくわからない腕のようなものを触る。


    QB「あまり引っ張らないでくれよ」

    さやか「うん、耳も気になるけどね、私はどっちかと言えばこっちの方が」

    QB「痛っ」


    キュゥべえの背中に描かれた赤い模様に爪を立ててみる。


    さやか「あれ?開かない」

    QB「あ、開かないって!」

    マミ「ちょっと美樹さん!いじめないの!」

    まどか「あはは……」

    さやか「いっつもグリーフシード食べてるから、中はどうなってるのかなーって!ちょっと見せてよ!」

    QB「千切れる千切れる!割れる!」

    さやか「え、割れるとどうなるの!?」

    マミ「誰か彼女を止めて!?」

    まどか「あのさやかちゃんは私じゃ止められないです……」


    もうちょっとで開くかなと思ったところで、マミさんに後頭部をチョップされて断念となった。

    ほむらはずっと紅茶を飲みながら騒動を見ていたが、どことなく楽しそうな様子だった。

    748 :

    お前ら気持ち悪い

    750 :

    やったね!種無しさ!


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