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    元スレさやか「全てを守れるほど強くなりたい」

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    タグ : - 美樹さやか + - 覚醒さやかちゃん + - 魔法少女まどか☆マギカ + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    501 :

    乙です。
    矛盾?一体なんすか?

    502 :

    (毛布)∀)まどかとマミさんが一緒にカエッテタ

    503 :



    一緒に帰るのが矛盾なら、この後まどかとマミの会話が入る予定だったのかな?

    504 :

    確かにまどかはほむらが送ったからな

    505 :


    † 8月13日


    雨が降らない日は続く。

    蒼天の下で、煤子さんの後姿を見つけると、私は走り出した。


    さやか「煤子さーん!」

    煤子「きゃっ」


    後ろから抱きつくと、煤子さんはふらりとよろめいた。


    煤子「危ないじゃないの」

    さやか「へへへ」

    煤子「こんなに汗かいて、赤くなるわよ」

    さやか「えー?そうなの?」

    煤子「後ろ向きなさい、拭いてあげるから」

    さやか「はーい」


    近くの水飲み場で濡らした白いタオルで、よく身体を拭いてもらったものだ。


    煤子「……」


    ひんやりしたタオルが気持ちよかった私は、そのときの煤子さんの、少し曇った表情に気付けなかった。

    いや、気付いてはいたけれど、もともとミステリアスな部分を多くもった煤子さんだ。大して気にも留めていなかったんだ。

    506 = 505 :


    背中に当たるタオルが冷たい。


    煤子「ねえ、さやか」

    さやか「うーん?」

    煤子「一度だけその手が届くなら」

    さやか「え?」


    煤子「一度だけその手が届くなら、って思うことは、多いわよね」

    さやか「えー……っと……?」


    煤子さんの喋ることは時々、よくわからない。

    遠まわしで、抽象的な事が多いのだ。


    煤子「短距離走で、あとほんの0.1秒速ければ……とか」

    さやか「ああ、うん!あるよ!この前7秒切れるかなって思ったのに……」

    煤子「そう、その気持ちよ……もちろん、今のさやかなら大抵のことは練習でなんとかなると思う」

    さやか「うん!そんな気がするんだ」


    煤子さんに出会ってから、頑張る楽しみを覚えた。そう自覚したのは、随分早かったのだ。

    勉強もやるようになったし……。


    煤子「けど、あと一歩届きたいと思う気持ちもある……それも、いつだっていくらでもあるわ」

    さやか「うん?……うん、そうだね」

    煤子「――全ての力をこの時のために注ぎたい」

    さやか「っつ!?」


    背中にジャリっとする痛みが走った。


    煤子「忘れないで」

    さやか「いたたた……な、なんですか今の!」

    煤子「ふふ、ごめんなさい、強く擦っちゃったかしら」


    † それは8月13日の出来事だった

    507 :

    終わりかな?乙

    509 :



    煤子さんさやかに何か仕込んでるのか?
    音的に砂かな

    511 = 505 :



    ほむら「おはよう、巴さん」

    マミ「おはよう、暁美さん」


    苗字で呼び合うことを“よそよそしい”と勝手に決め付けないでいただきたい!

    これでも進展したんです!私は頑張ったのです!



    まどか「マミさん、おはようございます」

    さやか「おはようございます!」

    マミ「うん、おはよう、二人とも」


    通学路で偶然出会った巴さんとの挨拶である。といっても、校門はすぐ目の前。

    すぐにお別れとなるだろう。周りの目や耳もあるので、込み入った話はできない。


    まぁ、メールで昨日について振り返ってもみたので、急いで話すこともないんだけど。


    それでもこうして朝、みんなが同じ場所にいるということに安心感を得ることはできた。

    杏子に闇討ちされてたらどうしよう、と昨日の寝る前に思わなかったこともない。1分経たずに熟睡したけどね。


    まどか「さやかちゃん、ほむらちゃん、改めて、昨日は本当にありがとう!マミさんもありがとうございました!」

    ほむら「私としてはまどかを一切に巻き込みたくは無いけど……まどかを正しく納得させるためには、こうして魔女退治につき合わせるのも、ひとつの手なのかもしれないわ」

    マミ「あら、暁美さんはまだ反対なのね?」

    ほむら「これだけは、譲れないから……」


    柄にも無くみんなを最後尾から見つめて、約束の時間にやってこなかった仁美のことを想う。

    今日はどうしたんだろう。

    512 :


    さやか「んー」


    教室にも仁美の姿はない。

    先生が来るまであと2分。普段なら絶対に有り得ないことなのに、どうしたんだろう。


    まどか「あ、仁美ちゃん教室にもいない……」

    さやか「休みなのかな?メールくらいくれてもいいのに」


    マメな性格の仁美だ。抜けてるような見た目に反して全く隙は無い。携帯を忘れた、充電が切れているなんてことは有り得ない。

    風邪を引いたか、季節を大いに外れたインフルエンザにでもかかったか……。


    さやか「……」


    まさか魔女なんてことはあるまい。


    ほむら「あ」

    さやか「え?」


    前の席に座るほむらが、焦りを前面に出した顔で仁美の席を振り向いた。


    さやか「え!?」


    なにその反応。

    顔がなんか“あ、仁美……!”って言ってそうだったけど、今のは何なのよ、ちょっと。


    ほむら『……しまった』


    テレパシーで深刻そうな切り出し方をされ、私の身体が硬直する。


    まどか『え……どうしたの?』

    さやか『仁美がどうかしたの!?』

    ほむら『いえ……仁美は大丈夫だと思うけど……なんでもないわ、気にしないで』

    さやか『ちょッ……いや無理でしょ今のその反応は!さすがに!仁美に何か心当たりでもあるの!?』


    とテレパシーでまくし立てたところで、ガラス戸が開き先生はやってきた。

    513 = 512 :


    「えー、志筑さんは体調不良により、午前中はお休みだそうです」

    さやか「ふはぁ、なんだー、良かった……」


    先生から告げられたなんとも無いような報告を受けて、思わずため息が漏れる。


    ほむら「はぁ……」

    まどか「良かった……」


    それはまどかやほむらも同じようだった。


    さやか『……ちょっとほむら!何なのさ!さっきの思わせぶりなリアクションは!』

    ほむら『杞憂だったからいいじゃない』

    まどか『わ、私も……昨日よりドキドキしたかも……』

    さやか『もー……』


    でもまぁ、仁美が無事で何よりだ。

    杏子のこともまだ気を許さないってのに、仁美が大変なことになっただなんて話が飛び込んできたらもう、その瞬間に胃に穴が開いちゃうよ。


    さやか(魔女退治の前に、恭介と……仁美のお見舞い、帰りにしてこよう)

    516 :

    乙。ほむらとのやり取りが面白い

    517 :

    乙!
    「あ」じゃねーよww
    いつもと大いに違う展開ですっかり頭から抜けてたのか?ww

    518 :

    仁美ちゃん…
    俺も完璧に忘れてたわ…

    520 :



    お昼には4人でお弁当を食べた。

    偏り気味なほむらの弁当の中にアスパラガスやブロッコリーを突っ込んでやったり。

    マミさんの卵焼きを分けてもらったり。


    ちょっと前のピリピリしすぎた空気が嘘のようだ。



    まどか「それでその時、ユウカちゃんたら“返してよー”って」

    マミ「あらあら、ふふ」

    さやか「仁美なんて“パース”ってノリノリだったんですよぉー」

    ほむら「……ふふ」


    魔法少女3人とその候補が1人。

    けど女子中学生が集まって、普通の話をしないなんて、そんなことは有り得ない。

    むしろ魔法少女関連の話が一切出てこないくらい、このお昼は和やかなものだった。


    QB「きゅ……」

    ほむら「お父さんの手料理をこんな奴になんて……そんな必要はないわ」

    まどか「ひ、一口だけだから……」


    まぁ、極々一部では、軋轢もあるようだけど。

    521 :

    さすがにお義父さん表記ではないか

    522 = 520 :


    ささいな事など気にせず、のほほんと気持ちを落ち着けてから、放課後を迎えたわけです。


    今まで遅刻欠席なんて一度もしなかった仁美が、私たちに連絡もなしに休んだ。

    先生はなんでもないような風に言ってはいたけど、何かあるに違いない。何かあるなら、見舞いにいかねば。


    そして恭介だ。病院での恭介は、もう信じられないくらいに落ち込んでいた。

    私が行ってどうにかなるものではないだろうけど、慰めてやりたい。

    この私が顔を出せば、生きる希望が溢れるように沸いてくるに違いない。そう信じよう。


    さあ、いざ二人のもとへ。


    「美樹さん」

    さやか「お?」

    「清掃係でしょ!今日のゴミ捨て忘れないでね!」

    さやか「おおおッ」


    そうだった、すっかり忘れていた、今日はゴミ出しの日だ。

    うっかりすっぽかして帰るところだったぜ。


    「あと保健係の人は話があるからって、保健室に集まるようにって、さっき言ってたよ」

    さやか「なんだって、うわー、忙しいなぁ」

    「ふふ、帰ろうと思ってたのに、キツいよねー」

    さやか「……ま!好きでやってるから全然いいんだけどねー!」



    ほむら(……上条 恭介か)

    527 = 520 :


    お菓子の魔女が出現した病院の中。

    彼女は再び、ここへとやってきた。


    ほむら「魔女との戦い以降、ここに寄るなんてね」


    清潔な広い廊下を歩く。

    見慣れない制服姿にも、この階によく訪れる女子中学生の姿を思い出してか、看護師は何も聞かずに挨拶した。

    毅然とした会釈で返し、目的の名前の前で立ち止まる。



    ほむら「上条……」


    それは“ここでは”まだ一度も顔を合わせていないクラスメイト。

    そして、もはや奇跡も魔法も望めないであろう、悲劇のままの天才バイオリニスト。


    さやかは何故、彼の腕を治さなかったのか?

    彼女の願いが、治療から強さに変わった理由とは?


    上条恭介、彼の存在に、さやかの希望と絶望が垣間見えるかもしれない。

    ほむらは扉を軽くノックした。


    「どうぞ」

    528 :


    このさやかちゃんは心配ないけど、他の女と上条が接触するさやかちゃんがヒステリーを起こすからなぁ……



    恭ほむ好きの俺には辛い事だけど…… ボソ

    530 :

    >>528
    それは別のところの話だろ
    どうせあのスレで感化されたんだろうが恭ほむとかもここでいう話じゃない

    531 :

    恭ほむとかほむタツとかはカプ名見ただけでアレルギー反応起こす奴居るからあんま話題に出してはいけない(戒め)

    532 :

    公式では関わり皆無なんだし他スレの設定はあんま持ち出して欲しくはないな

    533 :


    開くと、意外だったか、ベッドの上の上条恭介は閉口した。

    ほむらは静かに戸を閉めると、ベッドから1つ分離れた椅子に腰を落として足を組んだ。


    恭介「君は、えっと」

    ほむら「はじめまして、上条君」

    恭介「ああ、やっぱり会ったことはないよね、でも同じ学年かな」

    ほむら「ええ、つい先週に転校してきた……」

    恭介「暁美ほむらさん?」

    ほむら「え、ええ」


    言い当てられたことには、多少なれ動揺した。


    恭介「やっぱりそうか、さやかから話には聞いていたんだ、はじめまして」

    ほむら「そう、やっぱり聞いてたのね」

    恭介「もちろん、美人で、煤子さんに似た人が転校してきたって……あ、ごめんね、煤子さんっていうのは忘れて」

    ほむら「!」


    図らずも聞き出せた重要な情報、食いつかないわけにはいかない。

    が、今はまだタイミングが悪いだろうと踏んで、じっと堪える。

    534 = 533 :


    ほむら「具合は、」


    月並みな言葉を弾みで出してから後悔した。

    具合など解りきっているというのに。


    恭介「……」

    ほむら「ごめんなさい、辛いはずなのに」

    恭介「ううん、良いんだ、入院生活ももう、慣れたからね」


    わかりきった嘘だった。

    ほむらは知っているのだ。彼がどれほど、自分の動かない左腕を呪ってきたのか。


    そして入院中の寂しさもよくわかる。

    魔法少女と出会う前の入院中のあの日々は、遥か昔のような記憶となって埋もれてしまっているが、孤独は辛い。


    恭介「さやかから、場所を聞いたのかい?」

    ほむら「ええ……勝手に来てしまったのだけど」

    恭介「気にしてないよ、いつも暇だからね……来てくれてうれしいよ、ありがとう」


    微笑む彼の顔を見て、少し胸が高鳴った気がした。

    美男子。さやかも仁美も惚れるわけだ。とはいえ、恋愛に横道逸れる予定は彼女にはない。

    後ろ髪を一本も引かれず、ついに切り出すことにした。


    ほむら「……ところでさっき、“煤子さん”と言ってたけど……」

    恭介「ああ、煤子さんね、僕もよくわからないんだ」

    ほむら「どういうこと?」

    恭介「僕は会ったことがないからね、さやかが昔出合った、先生のような上級生の話なんだけど……」


    それから彼の口から出る言葉は、昨日さやかが話した事とほぼ同じだった。

    535 = 533 :

    (ゴミ袋))) ガサガサ

    537 :

    夜のうちにゴミ出すと近所のババアに絡まれるよ

    538 :

    ゴミ袋から生命の神秘が・・・!

    539 :

    乙。
    周辺人物には面識なく、あくまでさやかのみに接触してた事実。ほむらの心当たりが確信へ一歩前進?

    540 :


    ほむら「……なるほど、今のさやかは、煤子さんの影響があってのものなのね」


    それは、今までの煤子と出会っていないさやかを見てきた彼女だからこそわかる真実。


    恭介「さやかは変わったよ……良い意味でね、まぁ、小学生のあの時期だし、変わるものだろうけどさ」

    ほむら「……さやかは、昔はどんな子だったの?」

    恭介「うん、昔か……やんちゃだったなぁ、すごく」


    と右頬を掻きながら思い出す素振りを見せていたが、その動きは止まった。


    恭介「はは、ごめん、今もやんちゃだね」

    ほむら「ふふ」

    恭介「……昔は男子にも負けないガキ大将って感じだったけど、煤子さんと出会ってからはガラリと変わったっていうか」

    ほむら「……」

    恭介「そうだね……賢い、っていうか」

    ほむら「ふふ、賢い、ね」

    恭介「うん、さやかは賢いよ」


    普通に返された言葉にほむらは相槌を打つ。が、心の中では驚いていた。

    そう、この世界でのさやかは、賢いのだ。抜けていて、ちょっとバカな美樹さやかではない。

    賢く、どこか抜け目無い美樹さやか。それが当たり前なのだと。

    541 = 540 :


    恭介「僕は煤子さんという人に会ったことはない……何度か“会ってみたいな”と言ったんだけどね」

    ほむら「そうなの?」

    恭介「うん、何せ、夏休みが終わってそれ以降、さやかから学ぶことが多くなったからね……興味も沸くじゃない」


    彼は左腕の憂鬱など忘れたかのように語り始める。


    恭介「けれどさやかはもう会えない、と拒むばかりでね、本当らしいから仕方ないんだけどさ……ちょっと残念だった」

    ほむら「……何故煤子さんとは、もう会えなくなったのかしら」


    ほむらも、さやか自身の口から煤子の話は聞いていたが、別れの話についてはかなりぼかされていた。

    ただ「居なくなった」としか聞いていなかったのだ。



    恭介「さあ……“居なくなった”、それしか聞いていないよ」

    ほむら「……居なくなった」

    恭介「高学年になって、中学生になって……どんどん聞き難くなるよ、彼女、その話をすると暗い顔をするからね」

    ほむら「……」


    消えた煤子。さやかは、どうして居なくなったのかを知っている?

    その別れとは、普通の別れではなかったのだろうか。


    ほむらはその後、不自然さを繕うように上条恭介と会話などしながら、彼の気を損ねないように退室した。

    彼は腕について落ち込んではいたものの、さやかの話には気を良くして応えてくれた。

    ほむらはそこが不思議でならなかったが、特に気にすることはなかった。

    543 :


    さやか「幻覚……」

    仁美「ええ、気がついたら知らない所で倒れていて……」


    もたついた放課後、すぐに仁美の家に向かった私は大目玉をくらった。

    風邪でもインフルでもなく、夢遊病のような幻覚。


    気がつけば知らない路上で倒れていたのだという。

    その時に手を軽く捻った以外は怪我もなく、体調も問題はないらしいのだが……。


    さやか(魔女に操られていたのかな)


    魔女の口づけが頭に浮かぶ。

    奴らは人を操り、自殺なり結界に引き込むなりさせる。

    仁美は昨日倒した魔女に操られていたのかもしれない。


    さやか「でも、何ともなくて良かったよ~」

    仁美「御心配を……学校の方にそのまま“幻覚にかかった”なんて伝えてしまうと、ややこしくなりそうだったので」

    さやか「あっはっは、確かにねー」

    544 = 543 :


    今日の授業のノートを仁美に渡して、今日のポイントや明日までの課題を口頭で伝える。

    まぁそんなことしなくても仁美は多分大丈夫だろうけど、中にはいじわるな課題を出す先生もいるので、一通りは話した。


    仁美「ありがとうございます、さやかさん」

    さやか「良いって良いって!」

    仁美「次のテストも頑張りましょうね」

    さやか「うん、……まぁ人と比べるわけじゃないけど、次からはほむら参戦だからね……テスト、どうなることやら……」

    仁美「ああ、ほむらさん……もう、クラスのレベルがどんどん高くなってしまいますわ」

    さやか「望むところだけどね!」


    不毛な点取り合戦はさておき。


    さやか「じゃあとりあえず、そろそろ私は帰るよ」

    仁美「ええ、ありがとうございました」

    さやか「大丈夫だとは思うけど、まぁ気をつけて、ゆっくり寝てなよー?」

    仁美「ふふ、わかりました……また」

    さやか「うん、また!」


    こうして私は仁美の家を出た。


    さやか(……)


    そして恭介の事を考えてしまう。

    仕方がない。どうしようもない事なんだけど。


    仁美の影のある表情が辛かった。

    546 :


    さやか(恭介を励ます言葉は、もうないんだよね)


    嫌な意味で言ってるわけではない。

    単純に、彼に言うべき言葉は全て出し尽くしてしまったのだ。


    あまり同じ事を言い過ぎるのもくどいし、恭介のプライドを傷つけてしまうかもしれない。

    今のあいつは脆い。普段は横暴なほど率直に物を言う私としても、触れ難いタイミングなのだ。


    しかし顔を出して安心させてやらなきゃならない。

    幼馴染として、親友としてのつとめだ。



    杏子「よう」

    さやか「ゲッ!」



    ぼーっと歩いていると、修道服の裾という現実離れした要素が目に入ったので、びっくりして正面を向いたらもっとびっくりした。


    杏子「不意打ちはナシとは言ったけど、エンカウントしちまったらレディ・ファイトってやつでしょ?」


    進行方向で仁王立ちしていたのは、なんと見たくも会いたくもないバトルシスター きょうこ ……で、あった。


    さやか「ちょ、ちょっとちょっと、出来の悪い格ゲーじゃあないんだからさ、もうちょっと個人の都合も考えて……」

    杏子「なんだよ、今じゃあ都合悪いのか?」


    あ、都合聞いてくれるんだ。ぬるいな。

    547 = 546 :



    私はこれから上条恭介という幼馴染の病院へお見舞いに行く旨を話した。


    杏子「くだらねー都合だ!断る!」


    全然温くなかった。普通に断られた。


    杏子「そんなにダチの見舞いをしたきゃあ、アタシがその市立病院送りにしてやるよ。案外そっちの方が近道かもしんないよ?」

    さやか「なってたまるか!」


    今、私は人気のない路地裏にやってきている。

    そう、杏子に無理やり連れて来られたのだ。


    無理やりといっても、片腕を引っ張ってとかそういう原始的な無理やりではない。

    杏子「ここで決闘だ!いくぜ!」とか白昼堂々と人ごみのなかで変身しようとしたので、私がそれを止めるために仕方なく来るほかなかったのだ。


    なるほど、不意打ちはなくても準備を整えさせてはくれないということだ。


    さやか『おーい、ほむらー……マミさーん……』


    二人に助けを請うも、運悪くテレパシーの圏外らしい。

    今の私は絶体絶命だった。



    杏子「おいおい、何ぼさっとしてるのさ、観念して闘いな!」

    さやか「あー……もう……」


    変身してしまった戦闘狂シスター杏子。そうなっては私も自己防衛のために変身しなくてはならない。


    で、魔法少女になってしまえばそれは既に準備完了の合図だ。



    杏子「で?そのお友達の病状はどんなもんなのよ」

    さやか「はぁ?……片腕と脚が動かなくなるくらいの重症だけど……」

    杏子「ひゃはっ!じゃあ同じフロアに搬送されるように、頑張ってみるかぁ!」

    さやか「!」


    とんでもない不謹慎かつ舐めたセリフを吐きながら、杏子は地面を蹴って襲い掛かってきた。

    恭介を軽く見られ、バカにされて、それでもまだ感情が揺らがないほど、私はクールではない。

    548 :



    どうなるかねこれは

    549 :

    クールではないと言ってるが通常さやかなら見舞いをくだらない呼ばわりされたあたりで切れてるよね

    550 :

    この杏子ならソウルジェムの秘密を知っても動揺するどころろか喜びそうだな。

    QB「心臓を貫かれようと、全身の血を抜かれようと、ソウルジェムが有る限り君たちは無敵だ」

    杏子「つまり不死身の肉体ってワケか。願ってもねーな!」
    とか言って。


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