のくす牧場
コンテンツ
牧場内検索
カウンタ
総計:127,062,865人
昨日:no data人
今日:
最近の注目
人気の最安値情報

    元スレ男「…へ?」 お嬢「ですから」

    SS+覧 / PC版 /
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitter

    201 = 1 :

    お嬢「ご飯運びます」

    「あらあら。じゃあご飯を注がないとねぇ。ガス釜のふたを開けて…」

    パカッ ホワーン

    お嬢「うわあ…すごくいい匂い!」

    「そうかい?この御飯は去年採れたものだよぉ」

    お嬢「あ、焦げてる!」

    「おこげだよぉ。香ばしくておいしいよぉ」

    お嬢「そうなんですか!?へぇ…」

    202 = 1 :

    「食べてみるかえ?」

    お嬢「いいんですか!?」

    「おこげを小皿に入れて…はい」

    お嬢「いただきます!あちっ!はうっ、ほっ、ほっ…おいひーれふ!!」

    「そうかいそうかい。お米はねえ、採れたところの水で炊くのが一番おいしいからねぇ」ニコニコ

    お嬢「そうなんすね」

    「それじゃ茶碗によそうかねぇ」

    お嬢「…あの…おこげを…」ソー…

    「はいはい」ニコニコ

    203 = 1 :

    ~夕飯中~

    「いやー、今日は助かりました!」

    執事「いやいや。お役に立てたかどうか」

    「すごく助かりましたよ!明日も田植えのはずが、今日だけで終わりましたから!!」

    執事「いやいやいや」

    「お、グラスが開いてますよ?」

    「こりゃ気がつきませんで。はい、どうぞ」

    執事「これはこれは、ありがとうございます」

    「では、乾杯!」

    執事「乾杯!」

    204 = 1 :

    グビッ グビッ…

    「っぷはーっ!うまいっ!」

    執事「っぷはーっ!まったくです!」

    「わははは。叔父さん、あんた農家の出かい?」

    執事「ええ。15年前までやってました」

    「そうだろそうだろ。ままいっぱい」

    執事「あ、こりゃどうも」

    お嬢「…おいしい」

    「おや。こんな田舎料理なのに、お世辞でも嬉しいねぇ」

    お嬢「お世辞じゃないですよ?野菜の味がしっかりしてて、出汁もきいてておいしいです!」

    「そっちのも食べてみてよ。そのシーチキンと竹の子の煮物、あたしが作ったんだよ♪」

    お嬢「あ、はい。いただきます。…これもおいしいですね!」

    「そう?やったー!ありがとねー!!」

    205 = 1 :

    お嬢(にぎやかな食事…こんなの初めてだ。料理も素朴だけどおいしいし…)

    「…うるさくてごめんな?」

    お嬢「ううん。すごく楽しいよ?」

    「そうか?」

    お嬢「それに御飯がマジうまい!特にこの野菜が!!」

    「野菜は全部うちの畑で採れたもんだよ。気に入ってもらえてよかったわ」ニコッ

    お嬢「いや、これはマジでうまいです!」

    「そうかいそうかい」ニコニコ

    206 = 1 :

    ~家の外~

    「じゃあ、あたしは帰るから」

    「ああ。気をつけて帰れよ」

    「あははは。うちのチビちゃんも寝てるし、安全運転で帰るわ」

    お嬢「今日はありがとうございました」ペコッ

    「…お嬢ちゃん、あんた…いい子だね」

    お嬢「いえ、そんなことないですよ」

    「あははは。それじゃあ、帰るね」ノシ

    「気をつけてな」

    お嬢「おやすみなさーい!」ノシ

    ブロロロロ…

    207 = 1 :

    「…家に入るか」

    お嬢「うん…あっ!」

    「どうした?」

    お嬢「すごい星空…」

    「…この辺は明るい施設がないからな」

    お嬢「うん…」

    キュッ

    (!?お嬢さんが手を繋いできた…)チラッ

    お嬢 キラキラ

    ドキン!

    (やばい…お嬢さんの横顔がきれいだ…)ドキドキ…

    キュッ

    (…ちょっとぐらい手を繋いでも…いいだろ)

    お嬢・「「…」」

    208 = 1 :

    お嬢「すごいな…」

    「六等星ぐらいまでは見えるだろ?」

    お嬢「それはよくわかんないけど…これじゃ天の川がどれか分かんないな。あははは」

    ゲロゲーロ ゲロゲーロ

    「カエルの大合唱だな」

    お嬢「カエル?」

    「ああ、田んぼに水を引いたから、いっぱい出てきたんだ」

    お嬢「そっか…」

    「カエルは嫌いか?」

    お嬢「うん。けど…すごいな」ニコッ

    「…そうだな」

    お嬢「…」

    209 = 1 :

    「…あ、そうだ!」

    お嬢「ん?」

    「ついて来い」

    お嬢「え?」

    「いいから」グイッ

    お嬢「あっ」

    お嬢(手をつかまれてる…//)

    ガサガサガサ…

    お嬢(こ、こんな暗がりで…何するつもり!?)

    お嬢「な、なあ…どこに行くんだ?」

    「…もうすぐ着く…ここだ」

    お嬢「…ここ?」

    お嬢(真っ暗で…何も見えない…怖いよ…)

    210 = 1 :

    「…ちょっと川のほうを見てみ?」

    お嬢「え?…うわあ…」

    ポッ ポッ ポッ…

    「今年は多いほうだな」

    お嬢「すごい…これって蛍?」

    「そうだ」

    お嬢「わぁ…」

    ギュッ

    (!?また手を繋いできた…)チラッ

    お嬢「…」

    (…まあいいか)

    211 = 1 :

    お嬢「キレイだな…」

    「そうだな…」

    お嬢「…ふわぁあああ…」

    「ははっ。今日は疲れたろ。そろそろ家に帰るか」

    お嬢「ん…もうちょっとここに居たい…」

    「じゃあ、もうちょっとしたら帰るぞ。体が冷えるからな」

    お嬢「うん…」

    212 = 1 :

    ~客間~

    お嬢 ウツラッ…ウツラッ…

    「眠いだろ」

    お嬢「ん…まだだいじょーぶ…」

    「今日は田植えもしたし、疲れてるだろうから早く寝な」

    お嬢「…もうちょっと…男さんと話したいな…」

    「まだ二日もあるんだ。今日は寝とけ」

    お嬢「…うん。おやすみ…」

    モゾモゾ

    お嬢 ジー

    213 = 1 :

    「どうした?」

    お嬢「男さんの家族って…暖かいな…」

    「そうか?」

    お嬢「私も…こんな家族が良かったな…」

    「…」ナデナデ

    お嬢「んふ…スー…スー…」

    「…さて、俺も自分の部屋に戻って寝るか…ん?」

    「あらあら。二人とも酔いつぶれちゃってまあ」

    「どうした?」

    「二人とも、酔い潰れちゃったのよ。男、二人に布団掛けるからさ、持ってくるの手伝ってよ」

    「了解」

    214 = 1 :

    ~深夜~

    ジャーゴボゴボ…

    お嬢(ふふっ。古い家なのにシャワートイレって)

    トテトテ

    お嬢(ん?執事?お父様と居間で寝てるのか…)

    ソー…

    お嬢(よく寝てる…それにしても、執事にあんな特技があったなんて驚きだな…)

    執事「…お嬢様」

    ビクッ

    お嬢『…起きてたの?』コソコソ

    執事「はい」

    215 = 1 :

    お嬢『しっ!大きな声を出すとお父さんが起きるだろ!』

    執事「先ほどからよくお休みになっておられます」

    お嬢「そっか…」

    執事「…お嬢様」

    お嬢「はい?」

    執事「今日…農作業をなされていかがでしたか?」

    お嬢「面白かったよ?」

    執事「では…今日のような作業を毎日続けられますか?」

    お嬢「…え?」

    執事「…農家の作業は体力を消耗します」

    執事「昨今は機械化が進み、農作業も楽になってきましたが、それでも肉体労働の連続です」

    執事「それに作物の状態にも常に気を使わなければなりません」

    お嬢「…」

    216 = 1 :

    執事「お嬢様。お嬢様は先ほど面白かったとおっしゃいましたが、それは無責任な発言です」

    お嬢「無責任?」

    執事「男さんのご家族は農作業で生活を支えておられます」

    執事「そして未熟であったり手抜きをすればそれはすなわち、収入の減少につながるのですよ?」

    お嬢「あ…」

    執事「お嬢様、ただの興味本位であるのなら明日ご自宅にお帰りになることをお勧めします」

    お嬢「…」

    執事「いかがなさいますか?」

    217 = 1 :

    お嬢「…まだ分かんないよ…」

    執事「では、どうなさいますか?」

    お嬢「…まだ…」

    執事「…」

    お嬢「…もう少し…ここに居たい…」

    執事「…そうですか。では、私めもご一緒します」

    お嬢「…うん」

    「…」

    218 = 1 :

    ~翌朝~

    「おい、起きろ」ユサユサ

    お嬢「ん…スー…スー…」

    「朝だ。起きろ」ユサユサ

    お嬢「んぁ…あと5分…」

    (か…かわいい…)

    「しょうがない…」バサッ

    お嬢「…さむ…ん?…男…さん?」

    「起きたか?」

    お嬢 ネボケー

    「起きたら着替えて朝飯だ」

    お嬢「ん…ん?…あっ!」

    「どうした?」

    お嬢「メイクしてない!髪ボサボサ!!」

    「何をいまさら…昨夜からスッピンだろ」

    219 = 1 :

    ~家の前~

    お嬢「ふぁあああ…」

    執事『お嬢様!はしたないですぞ!!』コソッ

    お嬢「眠いもんは眠いって…」

    「よく寝てたのに、まだ眠いか?」

    お嬢「しょうがないだろ?…疲れてたんだし…」

    「無理しなくていいんだよ?」

    お嬢「あ、いえ!一緒に行きます」

    「そうかい?じゃあ今日は山にタケノコを掘りに行くよ」

    執事「タケノコですか?」

    「叔父さんはやったことあるかい?」

    執事「いえ。さすがにないですね。楽しみです」

    「ははは。じゃあ行きますか」

    220 = 1 :

    ~竹やぶ~

    執事「なかなか見つかりませんね…」

    「ははは。初めてだとなかなか難しいですよ」

    「おーい、お嬢さーん」

    お嬢「あ、はーい」

    「見つけたよー。おいで―」

    お嬢「あ、行きますー」

    「俺はしt…叔父さんとここら辺で探してみる」

    お嬢「うん」

    ガサガサ

    221 = 1 :

    お嬢「どこにあるんですか?」

    「ほらここ。ちょっと土が盛り上がってるだろ?」

    お嬢「え?…どこ?」

    「ははは。今ちょっと土をどけるよ」

    サッ サッ

    「ほら、タケノコの頭が見えただろ?」

    お嬢「…あ、ホントだ。こんなのよく見つけますね」

    「慣れだよ。じゃあ掘るから、ちょっと離れて」

    お嬢「はい」

    ガッ ザッ ガッ ザッ ガスッ ミチチチ…

    「…ほら、採れた」

    お嬢「うわあ。すごいですね!」

    222 = 1 :

    「ははは。…お嬢さん」

    お嬢「はい?」

    「お嬢さんは…男の住んでる町の人かい?」

    お嬢「あ、はい」

    「そうかい…女性に年を聞くもんじゃないけど…いくつだい?」

    お嬢「あははは。気にしませんよ?来月二十歳になる大学生です」

    「男と7つ違いか…もしよければ…男と知り合ったきっかけを教えてもらえないかい?」

    お嬢「あ、はい…私、方向音痴で…道に迷ってたところを助けてもらったんです」

    「あいつが声をかけたのかい?」

    お嬢「いえ…無言で歩いていったので後をついて行ったら目的地で…」

    「はあ…なんて言うか…不器用だなあ。もうちょっとやり様があるだろうに…」

    お嬢「あはは。そうですよねー」

    223 = 1 :

    「ははは。それで?」

    お嬢「あ、それでですね、お礼に食事をして…そしたらなんか楽しくって…」

    お嬢「それで…男さんといっしょにあちこち出かけるようになったんです」

    「そうかい…なあ、お嬢さん」

    お嬢「なんですか?」

    「…あいつは見ての通り不器用だ。言葉づかいもぶっきらぼうだし」

    お嬢「そうですね…でも…安心できますよ」

    「安心?」

    お嬢「なんて言うんだろ…なんか、本当の自分を見せても裏切られないって言うか…」

    お嬢「ありのまま…そのままを受け入れてくれそうって…」

    「…お嬢さん。あんたやっぱりいい娘さんだ」

    お嬢「そ、そんなことないですよぉ」

    224 = 1 :

    「…なあ、お嬢さん」

    お嬢「あ、はい」

    「…あいつは真面目だ。だから…ワシの後を継ぐと思う」

    お嬢「…え?」

    「…あいつは長男として…大学を出たら家を継ぐつもりだった」

    「けど、それじゃあ男は世間知らずのままここで暮らすことになる…」

    「だからワシはあいつに…せっかくだから30歳になるまで、そのまま都会で遊んで来いと言ったんだ」

    お嬢「…」

    「それで…あわよくば嫁を見つけてくれればいいと…」

    「そのまま…都会に住んでくれればいいと思っていたんだ」

    お嬢「え?…で、でも!そんなことしたら田んぼや畑は…」

    「ワシの代でなくなるだろうなぁ」

    お嬢「そんな!」

    225 = 1 :

    「…この村はもうすぐ終わりだ。働きたくても働き口が無い」

    「だから…若いもんはみんな街に行ったっきり帰ってこん」

    「そんな村に男が帰ってきても…孤独なだけだ」

    お嬢(お父様は…本当に男さんのことを考えてるんだ…)

    「ワシとしては…お嬢さんが男の嫁になってくれればうれしいが…いろいろ事情があるんだろ?」

    お嬢「え?」

    「実は昨夜な、お嬢さんと叔父さんが話してるのを聞いちまったんだ」

    「お嬢さん。あんた…いいとこのお嬢様なんだろ?」

    お嬢「!?」

    226 = 1 :

    「…これはワシの我儘なんだが…それを承知で頼みます」

    「男があっちに住んでる間は…男と仲良くしてやってくれんか?」

    お嬢「…はい」

    ガサガサ

    「おーい。こっちも掘ったぞ」

    お嬢「あ…」

    「どうした?元気がないみたいだが」

    お嬢「な、なんでもない!」

    「男は不器用だって話してたんだ。なあ?」

    お嬢「そ、そう!私が道に迷って男さんが道案内してくれたときのことを話してたんだ!あはは…」

    「なんだそれ?」

    お嬢「まあまあ。細かいことは気にしない」

    「…さて、それじゃあ帰るか」

    227 = 1 :

    「ん?もう帰るのか?」

    「今日食う分は採れたからな。叔父さんも呼んでくれ」

    「ああ、わかった」

    ガサガサガサ…

    お嬢「…」

    「…疲れたか?」

    お嬢「え?そんなことないよ?なんで?」

    「いや…」

    (口数も少ないし…どうしたんだ?)

    228 = 1 :

    ~最終日~

    お嬢「お世話になりました」ペコッ

    「こっちこそ!妹ができたみたいで楽しかったよ♪」

    「なんか娘が増えたみたいで楽しかったわあ」

    「またいつでもいらっしゃいね」

    「男抜きでもいいからね♪」

    お嬢「はい!」

    「おい!」

    「…ほいっと。積み終わったよー」

    執事「すみません。こんなにお土産貰っちゃって…」

    「いいっていいって。こんなもんしかないから申し訳ないくらいだ」

    「そうそう。それにね、田植えも手伝ってもらったし…米と野菜と山菜ぐらいしかないけどねえ」

    「どうか貰ってくださいな」

    執事「…ありがたく頂きます」

    229 = 1 :

    「それじゃ、そろそろ…」

    お嬢「あ、うん…それじゃ…」

    「また都会の話聞かせてね」

    「気をつけてね」

    「元気でね」

    お嬢「はい。お婆ちゃんも」

    『男のこと…よろしくお願いします』コソッ

    お嬢「…」コクッ

    「なんだ?」

    「男に襲われないようになって言ったんだ。なあ?」

    お嬢「あははは。うん」

    「襲うか!」

    230 = 1 :

    執事「…じゃあ、出発します」

    「ばいばーい!」ノシ

    婆・「「またねー」」ノシ

    お嬢「さようならー!」ノシ

    男父 ペコッ

    ブルルルル…

    お嬢「…いい人たちだな…」

    「ガサツだったろ。その…すまんな」

    お嬢「ううん。そんなことないって。素直で優しい、いい人たちだよ」

    「そうか…ありがとう」

    231 = 1 :

    お嬢「ん?」チラッ

    「…」

    お嬢(なんだろう…微笑んでるような…寂しげな…そんな横顔…)

    (俺はいずれここに戻る…お嬢さんのこと…俺はどうしたいんだ…)

    キュッ

    (!?手を繋いできた?)チラッ

    お嬢「…」

    「…」

    ギュッ

    お嬢「!?」

    「…」

    お嬢「…」

    ブルルルル…

    232 = 1 :

    ~翌週~

    「…へ?」

    お嬢『だからぁ、この週末はうちに招待するって言ってんの!』

    「いや…なんでだ?」

    お嬢『ほら、先週男さんの実家に泊まっただろ?だからそのお返しだって』

    「…そんなことしなくていい」

    お嬢『男さんにはいろいろ世話になってるし、前からお返しをしたいって思ってたんだ』

    お嬢『それで、男さんの実家に行かせてもらったから、今度はうちで持て成そうってな?』

    (お嬢さんは言い出したら人の言うことなんか聞かないからなぁ…)

    233 = 1 :

    お嬢『じゃ、今から迎えに行くから』

    「はあ…ちょっと待った」

    お嬢『…なんだよ。そんなにイヤなのか?』

    「そうじゃなくてな。洗濯や買い物をしないといけないから、その後にしてくれ」

    お嬢『わかった!じゃあ昼過ぎに迎えに行くわ』Pi

    「もしm…返事も聞かずに…」

    「…まずは洗濯だな」

    234 = 1 :

    ~お嬢の屋敷~

    「…いつ見てもすごい家だ…」

    お嬢「男さんの実家も大きかっただろ?」

    「うちの実家は田舎の農家だから、あれぐらいが普通なんだが…」

    「こんな都会で…実家の3倍ぐらいありそうだな…」

    お嬢「そう?」

    「そうって…」

    お嬢「そんなことより!早く中に入って!!」ドン

    「押すなって」

    執事「いらっしゃいませ」

    「おj…執事さん。お邪魔します」

    お嬢「…ぷっ」

    235 = 1 :

    「しょうがないだろ?先週はずっとそう呼んでたから」

    お嬢「はいはい。執事、男さんを客間に案内して」

    執事「はい。…お嬢様、口調にお気をつけてくださいませ」

    お嬢「分かりましたわ。では男さん、後ほど」

    「あ、ああ…けど、正直その口調には慣れないな…」

    お嬢「あとで客間に行くから。それまで休んでてよ」

    執事「お嬢様!」

    お嬢「あははは。じゃあ後で」ノシ

    「ああ」ノシ

    執事「まったく…」

    236 = 1 :

    「…ここには俺たち以外の人は?」

    執事「厨房に数名と家政婦が数名おります」

    「いや…お嬢さんの御家族は?」

    執事「姉様がおられますが…」

    「…ごめん。まずいことを聞いた」

    執事「いえ…」

    (お嬢さんの御両親は不在か…)

    執事「こちらの部屋でございます」

    (すごい…ヨーロッパ調の家具に…でかいベッド…)

    執事「後程お嬢様がお見えになりますので、それまでお寛ぎください」

    「そうします」

    237 = 1 :

    ~食事中~

    カチャカチャカチャ

    「…なあ」

    お嬢「ん?」

    「このダイニングテーブル…広すぎだろ」

    お嬢「気にしない気にしない」

    (この机…10人は一度に座れそうだな)

    「お嬢さんは…何人兄妹なんだ?」

    お嬢「んー、3人兄妹で、一番上が兄様、次が姉様。私は末っ子だね」

    「そうか…ご家族は今日は…」

    お嬢「父様と母様と兄様は仕事で世界中を飛びまわってて殆んど家に居ないよ…」

    お嬢「御爺様と御婆様は別荘を転々として悠々自適に暮らしてるし」

    お嬢「姉様は今日は家にいると思うけど…」

    「姉さん?」

    238 = 1 :

    お嬢「習い事ばっかしてるよ。相手もいないのに花嫁修業だって」

    「結構辛辣だな…」

    お嬢「…よし!じゃあ料理の説明するから」

    「見たら分かる」

    お嬢「いいから!こちらが肉じゃが、そして大根の浅漬け、味噌汁、御飯はきのこの炊き込みご飯でーす!」

    「うまそうだ」

    お嬢「そ、そう?えへへ…」

    「じゃあ…肉じゃがから」

    男 パクッ

    お嬢「ど…どうかな?」ドキドキ

    「…うん、うまい」

    お嬢「ほ、ホントに!?」

    「ああ。いい味だ」

    お嬢「っ!」グッ

    「…なに小さくガッツポーズしてるんだ?」

    239 = 1 :

    お嬢「な、なんでもない!あはは…あ、ほ、他のは?」

    「味噌汁もいい出汁が出てるし、炊き込みご飯もうまい」

    お嬢「そ、そっか!?あ、あの…お代わりあるからっ!」

    「ああ。お嬢さんも一緒に食べよう」

    お嬢「え?でも…私は給仕してるから…」

    「食事は大勢で食べたほうがうまい。そうだろ?」

    お嬢「そ、そうだけど…」

    ガチャッ

    「あら?お邪魔だったかしら?」

    お嬢「ね、姉様!?」

    (お嬢さんのお姉さんか…似てるな…)

    240 = 1 :

    「お嬢、お客様かしら?御紹介してくださる?」

    お嬢「あ、はい…こちら男さん。社会勉強の先生です」

    「初めまして。私、お嬢の姉の嬢姉と申します」チラッ

    「初めまして。男です」

    嬢姉 ジー

    お嬢「な…なんですか?テーブルを見つめて…」

    「ふうん…」

    お嬢「な、なんでしょうか」

    「…何とか形になりましたわね」ニコッ

    お嬢「ね、姉様?ナンノコトデショウ?」

    「?」

    241 = 1 :

    「どうしたのお嬢?あ、男さん。お嬢ねぇ…」

    「この一週間、厨房でなにやら練習していたみたいですわよ?」

    お嬢「姉様!」

    「…へ?」

    「じつh」
    お嬢「わーっ!わーっ!わーっ!!//」

    「お嬢?大きな声を出すとお客様に失礼ですよ?」クスクス

    「…ひょっとしてこれ…お嬢さんの手料理なのか?」

    お嬢「ああそうだよっ!私が作ったんだ!!文句あっかよ!!」

    「ない。好みの味だ」

    お嬢「こ、好みって…//」

    242 = 1 :

    「…お嬢。言葉が乱れてるわよ?」

    お嬢「…いーよ別に。男さんにはとっくにバレてるし」

    「あら?そうでしたのね…」

    「美味いよ。ありがとなお嬢さん」ニコッ

    お嬢「あ、そのっ!えっと…あっ!茶碗が空だ!お代わり入れてくる!!貸してっ!!」

    トテテテテ…

    「おーい…って、もう行ってしまった…」

    「ふふふ。お嬢、明るくなりましたわ。男さんのおかげですわ」

    「え?俺は大したことはしてないって。それにしてもお堅い口調だな」

    「あら、ごめんなさい。もっと砕けたほうがいいのかしら?」

    「まあ、俺は田舎者だから。その口調だと聞いてて疲れる」

    「そうですのね。じゃあ…これぐらいでいいかな?」

    「なんだ。普通に喋れるんじゃないか」

    243 = 1 :

    「そりゃあね。あんなの社交界のパーティーか気を抜けないときぐらいしか使わないわよ」

    「もっとも、お嬢が怒ったときみたいな乱暴な言葉遣いはないけどね」

    「ははは。そうだろうな。嬢姉さんは普通の女の子みたいだし」

    「…その笑顔のおかげかもね」

    「ん?」

    「…男さん、お嬢は繊細なの」

    「…」

    「以前のお嬢はね、人が信じられなくて…人と深く係わるのをずっと避けてたの…」

    「社交性がないわけじゃないよ?ただね、なんて言うんだろ…」

    「きっとね、“上辺だけの付き合い”をうまくこなせなくて…」

    「それでストレスを感じて引きこもったりしてね…」

    「それからはストレスがたまると目立たないように部屋の隅に居たりパーティーを抜け出したりして…」

    「すごい方向音痴ですぐに迷うのにね」クスッ

    (そういえば最初にあったときもパーティーを抜け出したって言ってたな…)

    244 = 1 :

    「でもね、最近はすごく落ち着いてるのよ。よく笑うしね」

    「それはきっと男さんのおかげね。感謝するわ」

    「いやいや。そんなことはないって」

    「どうして?」

    「しょっちゅう言い合いもするしな。よく喧嘩にならないなって感心する」

    「たぶん…お嬢さんは頭がいいから喧嘩にならないようにうまく話題をそらしてるんじゃないか?」

    「…」

    「うん、浅漬けも辛すぎず、良い加減に浸かってるな」ポリポリ

    「…私も男さんみたいな人と出会いたいなぁ」

    「俺みたいな?そんなハードル下げなくてもいいだろ」

    「ふふふ。ねえ男さん。赤外線しよ?」

    「え?」

    245 = 1 :

    「お嬢のことで何かあったら相談に乗るわよ?」

    「けど」

    「それとも…一人で乗り越える自信がある?」

    「…はい。受信させてください」

    「はいどうぞ。ふふふ」Pi

    「…よし。じゃあこっちからも…」Pi

    「…はい、オッケーよ」

    ガチャ ガラガラガラ

    「…何をワゴンに載せて引っ張ってきたのかしら?」

    お嬢「炊飯器」

    「…それをどうなさるの?」

    お嬢「ちまちまお代わりするのが面倒だから持ってきたんだけど?」

    ペタペタペタ

    お嬢「はい、どうぞ」

    246 = 1 :

    「すごい盛り方ですわね…私のお茶碗の5杯分はありそうですわ…それは虐めではないのかしら?」

    お嬢「いいからいいから」

    男 バクバクバク…

    「…ふう…」

    嬢姉  アゼーン

    お嬢「な?」

    「…完食…しましたわね…」

    お嬢「へへへ。男さんの食べる量はわかってるからさ」ニコッ

    「あら」

    「肉じゃがお代わり」

    お嬢・嬢「「…」」

    お嬢「…さすがにそれは食べすぎじゃ…」

    「うまいからしょうがない。もう無いのか?」

    お嬢「そ、そんなに言うなら入れてきてやる♪」ニヤケッ

    「…ふふっ」

    247 = 1 :

    ~風呂~

    バシャッ バシャッ

    執事『お湯加減はいかがですか?』

    「いい加減です」

    執事『お着替えをお持ちしましたので湯上りにお召しください』

    「すみません」

    「ふぅ…」

    (なし崩し的に泊ることになってしまった…)

    「…ここまできたら開き直ろう…けど…」

    ヒロビロー

    248 = 1 :

    「…ちょっとした温泉並みの広さだな」

    「…さて、上がるか」ザバァ

    フキフキ

    「着替えは…これか?」

    「…」

    「…パジャマだな…絹の」

    249 = 1 :

    ~客間~

    Pi Pi Pi…

    (メールも特に急ぎのものはないな…)

    コンコン ガチャ

    お嬢「何してんだ?」

    「メールチェックだ」

    お嬢「ケータイで?」

    「ここにはPCは無いからな」

    お嬢「じゃあ私の部屋に行こうよ。PCあるし」

    「え?」

    250 = 1 :

    お嬢「なに?」

    「…いいのか?」

    お嬢「いいから誘ってるんだけど?」

    「…意味、分かってるか?」

    お嬢「なんの?」

    「なんのって…オンナがオトコを部屋に連れ込もうとしてるんだが?」

    お嬢「はあ?…あっ!//」

    「わかったか?」

    お嬢「ちがっ!そう言う意味じゃなくて!!//」

    「わかってる」

    お嬢「なっ!//」


    ←前へ 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 次へ→ / 要望・削除依頼は掲示板へ / 管理情報はtwitterで / SS+一覧へ
    スレッド評価: スレッド評価について
    みんなの評価 :
    タグ : - + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。

    類似してるかもしれないスレッド


    トップメニューへ / →のくす牧場書庫について