私的良スレ書庫
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元スレ幼馴染「……童貞、なの?」 男「」.
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三姉妹も来てしまうかもしれないと思い、屋上さんにメールを入れておく。
返信はすぐに来た。「了解。お大事に」短くて分かりやすい。
さて、と溜息をつく。
家事しないと。
洗濯、食器洗い、簡単に掃除をして……まぁそのくらいか。
だいたい二人分なので洗濯物は少ない。食器に関してもさっき使ったものだけだが、やっておいても問題ないだろう。
掃除といっても全体的に片付いているので、軽く掃くだけでそこそこ綺麗に見える。
こうしてみると、うちの妹さまは年齢の割にあまりに優秀な性能をお持ちだということがよく分かる。
せっかくなので布巾を使ってテレビ台の脇やカーテンのレールなんかの埃をふき取る。
はじめると楽しい。
掃除を満足するまで続けていると、いつのまにか昼過ぎになっていた。
そろそろ起きる頃かと思い妹の部屋に向かう。そのまえに用を足そうと思い、トイレに向かった。
ドアを開ける。
閉める。
幻を見た気がした。
少しして、水を流す音が聞こえる。
妹が出てきた。
鍵を閉め忘れたのは彼女の方なので、俺に落ち度はない、はずだ。
なんだろう、この罪悪感。
「……気配で察してください」
言い終えてから、妹は小さく咳をした。気配とは無理を言う。
「音で気付くっていうのも、なんか微妙な話じゃない?」
「音とか言うな」
よくある事故だった。
二人でいることが多いので、風呂の時間がかぶることはなかなかない。
そのせいか、妹はトイレでも脱衣所でも鍵を閉め忘れることが多かった。
いや、トイレで遭遇したのは初めてだけれど。
寝てるものだと思ってつい。
「寒気とかない?」
「少しだけ」
「なんか飲む?」
「ココア」
妹を部屋に帰して、そのままココアを入れに行く。黒いカップ。猫のうしろ姿。
ついでに自分の分のコーヒーも入れる。
ゲームキャラを真似してブラックで飲んでいたら、いつのまにか癖になり、何もいれずに飲むことが多くなった。
中身をこぼさないように注意しながら妹の部屋に向かう。
椅子を借りて、ベッドの脇に腰掛けた。
妹はベッドから半身を起こしてカップを手に取る。
パジャマの袖に隠された手の甲。
ひょっとして狙ってやってるのか。
会話がない。
少しずつコーヒーが減っていく。ゆっくりとした時間。
空になったマグカップを持って、妹の部屋を出る。夜まですることがなくなる。
ギターを弾いたら寝るのに邪魔だろうし、映画を見るには気分が乗らない。
部屋に戻って課題を進めることにした。
夕方になっていから、夕食をどうするかを訊ねに行く。だいぶ楽になったようで、食欲もあるらしい。
簡単に、消化によさそうで、あまり食べにくくないものを作ろうとしたが、そんな料理思い浮かばなかったので、適当に済ませた。
食事の後、妹がシャワーを浴びたいと言い出す。
やめておけと言いたかったが、こういうときだけは困る。
性別の壁。女性的な感覚が分からないので、あんまり口うるさくも言えない。
あまり長くならないことと、体をしっかり拭いて髪を乾かすことだけ言いつける。
分かってる、と頷いた妹の顔は、朝よりはずっと普段のそれに近かった。
妹はシャワーを浴びたあと部屋に戻って早々に寝入ったようだった。
俺は部屋に戻って課題を進めた。だいたい半分近くは済んでいる。期間的に余裕はまだあるが、そろそろ終わらせてしまいたい。
しばらく机に向かってから、風呂に入って寝ることにした。
ベッドに入る。なんとなく落ち着かない気分。
明日には妹の風邪が治っているといいのだが。
そろそろ祭りも近い。ユリコさんの言っていたバーベキューの日取りも、幼馴染が言ってくる頃だろう。
食材の費用とか、どうしよう。俺たちが渡そうとしても素直に受け取らないだろうし。
一応、両親にも話をしておくべきだろう。母ならなんとかできるはずだ。
目を瞑って考え事をしていると、自然とここ最近のことに思考が集約していく。
幼馴染、タクミ、妹、屋上さん、後輩、るー。近頃良く会う顔ぶれ。
いつからこうなったんだっけ。幼馴染が家に来るようになったのは夏休みのちょっと前だ。
タクミを連れてくるようになったのは夏休みに入ってから。
屋上さんが家に来るようになったのは、たしかるーが来たがったからだ。
そこまで考えて、不意に疑問に思う。
後輩はたしか、るーと屋上さんとの間には、微妙に距離がある、というようなことを言っていなかったか。
後輩自身も含まれるような言い方で。
だとしたら、るーはどうして俺のところに来たがったのだろう。
素直に受け取るなら気に入られたということになるだろうが、あまり仲の良くない姉妹の友人相手なら、距離をとるはずじゃないだろうか。
考えすぎかもしれない。
その夜、久しぶりに夢を見た。
夢の中の俺はまだランドセルも背負っていないような年齢だった。
公園の砂場で、幼馴染と一緒に遊んでいる。
俺はそこで、彼女を問い詰めている。
「俺、おまえと結婚の約束したよな?」
けれど幼馴染は首を振る。冗談などではない。彼女は本当にそのことを知らないのだ。
俺は混乱する。たしかに、そういうことをした記憶がある。
じゃあ、ひょっとしたら、と考えて、俺は質問を変えた。
「俺、おまえに指輪をあげたことがあるよな?」
この質問には、彼女は頷いた。
少ない小遣いをはたいて買った玩具の指輪。スーパーマーケットの小物店。
でも、おかしい。
俺と幼馴染が結婚の約束をしたとき、俺たちはランドセルを背負っていなかった。
その頃は、ちょうど祖父母の家から両親の家に戻ってきた時期。
両親の仕事は落ち着いてきたけれど、毎日のように祖父母やユリコさんが様子を見に来た時期。
その頃、俺はまだ自分で金を持ったことがなかった。あるにはあったが、ごく少ない金額だったはずだ。
少なくとも、その頃の自分に、小物店で玩具の指輪を見つけて、レジに持っていく、なんてことができたとは考えにくい。
そこまで考えて、結婚の約束と指輪との間に関連性がなかったのかもしれないと気付く。
だとすれば幼馴染は指輪のことだけを覚えていて、約束のことを忘れているのだろうか?
違う気がした。
俺や幼馴染が忘れていても、そんなことをしていればユリコさんが知っているはずだ。
そんなことがあれば、今の歳になったってからかうに決まっている。
だとすると、ユリコさんは知らない。
じゃあ約束なんてなかったんだろうか。
夢はいつのまにか静止していた。砂場で俺と幼馴染が硬直している。少し遠くにあるベンチから、ユリコさんがこちらを見ている。
妹は、ユリコさんのところから、こちらへ向かって走ってくる。あいつはひどく元気で手の付けられない子供だった。
夢の中の俺は、そこで考えるのをやめた。
子供の頃のことだし、実際に約束したかどうかなんてどうでもいいことだ。
実際、子供の頃の約束を理由に何かが変わるわけでもない。
そんなものを持ち出したからといって幼馴染と結婚できるわけでもないし、結婚しなければならないわけでもない。
約束なんてことを言い出せば、妹とだって子供の頃から数え切れないほどの約束を交わしてきた。
具体的に覚えてるものなんてほとんどないけど。
夢はそこで途切れて、俺の意識はふたたび眠りに落ちていった。
翌朝、リビングに下りると、妹が既に起きてキッチンに立っていた。
病み上がり。
「ご飯、すぐにできるから」
嫁みたいな台詞を言われる。
顔色はいつもと変わらない。治ったようではある、が。
「熱はかった?」
「計ってないけど」
「休んでなさい」
料理を引き継いで妹をリビングに座らせる。不満そうにしていたが、ぶり返しでもしたらそれこそ困る。
それでも一応、風邪は治った様子で、多少動いても平気そうにしていた。
あまり無茶をしなければ、もう大丈夫だろう。
妹が部屋に戻って課題をやるというので、俺は暇を持て余した。昨日の今日なので誰もうちには来ない。
部屋に戻ってギターで「太陽は夜も輝く」を弾き語る。かっけえ。俺超かっけえ。
すぐに鬱になる。いったいいつになったら上達するんだろう。
ふと気になってテレビを見る。台風は大きく逸れていったそうだ。期待させやがって。
ギターをスタンドに立てかけて課題を進める。
昼時まで集中すると、結構進んだ。あと二日もあればだいたい終わるだろう。
妹と一緒に昼食をとり、また部屋に戻る。
昼過ぎに幼馴染が一人でやってきた。
「リンゴ持って来たよ」
妹の様子をみて、幼馴染も少しばかり安心したようだった。リンゴを剥いて三人で食べる。美味い。
「バーベキュー、明日だって」
「明日?」
また急な話だ。
ていうか妹はまだ病み上がりだ。
「思い立ったが吉日だって言ってた」
思い立ったのはだいぶ前だと思うが、ユリコさんに理屈は通用しない。
「連絡しておく。みんなに」
その前に、明日は部活があるのだが。
「うん。そんな感じで」
幼馴染はリンゴをしゃりしゃりかじりながらぼーっと周囲を見回した。
特に意味のある行動ではなさそうだが、妙に気になる。
訊いてみることにした。
「どうかした?」
「え? なにが?」
無意識だったらしい。
「そういえばさ」
ふと夢のことを思い出して、訊いて見る。
「指輪を渡したこと、あったよな?」
幼馴染は一瞬変な顔をして、
「ああ、うん」
小さく頷いた。
「ちゃちな玩具の」
「ちゃちって言わない」
なぜか怒られた。やっぱり指輪のことは覚えているらしい。
「それがどうかしたの?」
「別に」
そこで会話が終わると、幼馴染は不満そうな顔になった。なぜ?
リンゴを食べ終える。
幼馴染は早々に立ち上がって、帰る準備をした。
「じゃあ、明日のこと、よろしく。一応必要なものは揃えとくみたいだから」
「はいはい」
彼女が帰ったあと、夕食の準備を始めた。妹が手伝いたがった。仕方がないので分担する。
夕食を食べ終えたあと、部屋に戻った。
課題を進める。一問でも解いておけば、あとで使える時間が一問分増える。時間を貯金している気分。
その夜は雨が降った。
おっつん
これって量的にはどのくらいで完結とか決まってるの?
これって量的にはどのくらいで完結とか決まってるの?
乙!!
しかし屋上さん分が欲しいでござる……
屋上さんの本名ってなんだろう。
二階堂屋根子とか?
しかし屋上さん分が欲しいでござる……
屋上さんの本名ってなんだろう。
二階堂屋根子とか?
なぜか俺のなかで
屋上さん=ちひろ
るー =ちはる
と名付けされてる。るーが後輩さんをなんて呼んでるかが分からん。
屋上さん=ちひろ
るー =ちはる
と名付けされてる。るーが後輩さんをなんて呼んでるかが分からん。
おいおい
チェリーの霊圧がなおとを具現化させた物に決まってるだろう
チェリーの霊圧がなおとを具現化させた物に決まってるだろう
「悪かった」
謝る。
「いや、私が悪いんだけど、さ」
気まずい。
困る。
「調子どうだ?」
話題を変えるついでに訊ねる。
顔色を見ると、少しはマシになったようだった。
額に触れる。
「な、なにをするか」
今日の妹は口調が安定しない。
熱はまだ少しあるようだった。
「まぁ、今日一日休んでれば治るだろ」
「うん」
素直に頷く。
普段もこのくらい分かりやすければいいのだけど。
家事だって黙々とこなすし、学校のことだって何も教えてくれないし、基本的に自分のことを話したがらないし。
お互い様といえば、そうなのだけれど。
乙
今までこういう登場人物が『男』とか『女』とかっての敬遠してたんだけど…
これ読んで衝撃受けたわ
以前の俺を土下座させ、頭を踏みつけて、土の味を噛み締めさせてやりたい
今までこういう登場人物が『男』とか『女』とかっての敬遠してたんだけど…
これ読んで衝撃受けたわ
以前の俺を土下座させ、頭を踏みつけて、土の味を噛み締めさせてやりたい
>>634
まぁ確かに慣れるまでは心地悪いよな
まぁ確かに慣れるまでは心地悪いよな
乙
ここは稀にみる良スレだから終わったらまた鬱になってしまう
ここは稀にみる良スレだから終わったらまた鬱になってしまう
ここはちゃんと>>1が完結させるまでみんなで温かく見守ろう!
>>640
落ち着け
落ち着け
今日は来ないのか…
最初から読み直してみたけど、この後の天界知ってても序盤は読んでると辛くなるな…心臓が痛くなる
最初から読み直してみたけど、この後の天界知ってても序盤は読んでると辛くなるな…心臓が痛くなる
>>642
今後の展開が全然読めない俺はどうすれば?
今後の展開が全然読めない俺はどうすれば?
祭り言ってたんでちょっといつもより遅れました
今から投下します
今から投下します
翌日の午前中、部活があったので学校に顔を出した。
雨は夜中降り続いていたようで、朝になってようやく止んだらしい。地面が濡れていた。
部室につくと、やっぱり部長がいた。
「どうも」
「おはようございます」
そういえば部長と話をするのも久しぶりだ。
「何か良いことでもあったんですか?」
彼女は俺の顔を見てすぐにそう言った。
「なぜ?」
「機嫌良さそうな顔してるから」
「そうですか?」
無自覚。意識していなかった。
「恋人でもできたんですか?」
部長が真顔で突飛な質問をする。なぜ恋人か。
「休み前にそんなようなことを言ってたじゃないですか」
そういえばそんな話をしたような気もする。
恋人つくるにはどうしたらいいか、みたいな話。
すっかり頭から抜けていたけれど、別に恋人ができたわけじゃない。
やたら周囲の女子率が上がっただけで。
「毎日楽しくて仕方ないです」
男として本音を言うべきだと感じた。
「女の子を侍らせて毎日楽しんでるわけですか」
「部長、その言い方だと、なんか俺が悪い人みたいです」
「好きな人はできたんですか?」
部長は疑問が直球です。
好きな人。
好きな人て。
「やだそんな恥ずかしい」
照れた。
「好きな人、いないんですか?」
「ぶっちゃけよくわかんねえっす」
正直に答えた。
好きな人とか言われても困る。
しいていうならみんな好きです。
「部長は、いないんですか?」
「私のことはいいじゃないですか」
誤魔化された。
好きとか好きじゃないとか、難しい。
幼馴染はずっと一緒にいるせいで、きょうだいみたいなものだし。
屋上さんとは友達と言えるかどうかも微妙なところだし。
妹は、いや、妹は妹だし。
しいていうなら、
「全員ひとりじめしたい……?」
「最低の論理ですね」
軽蔑された。いや、男なら思うって。
もちろん、そんなことできないのはわかってる。
でも選べないってことは、少なくとも特定の誰かに恋愛感情を持っているわけではないってことだろうか。
なんかそんな気がする。
「俺はずっと女に囲まれて過ごすのですぐへへ」
うわあ、と部長が声をあげた。
言い方はともかく、割と正直な気持ちではあった。
俺は嘘もつくし失敗もするけれど、できるだけ正直であろうと思うし、真摯でありたいと思う。
言ってることは最低かもしれないけど。
……真摯じゃないかもしれないな、これは。
そういえば、とふと思う。
部長に「好きな人は」と聞かれたとき、頭を過ぎった、幼馴染と屋上さん。妹……のことはおいておいて。
いつのまにか、屋上さんと幼馴染をほとんど同列に置いている自分に驚いた。
ちょっと前まで屋上さんは、ただのよく会う人だったのに。苦手にすら思っていたのに。
ちょっと前まで、幼馴染に彼氏ができたとかいってひどく落ち込んでいたのに。
深く考えないことにした。
部活を終えて家に帰る頃には、地面はすっかり乾いていた。
太陽、まばゆい。張り切りすぎだ。暑い。
汗を拭うが、きりが無い。さっさと着替えてしまいたい。帰ったらシャワーを浴びよう。
家についたのは一時過ぎだった。幼馴染の家には夕方までに行けばいいので、まだ余裕がある。
シャワーを浴びて着替える。昨日のうちに男子三人にはメールを出しておいた。
返信はすべて「行けたら行く」だったけれど、たぶん三人とも来るだろうと思う。
マエストロはエロ小説の肥やしにでもするかもしれないし、サラマンダーは肉食だし、キンピラくんはツンデレだし。
案の定、一時を過ぎた頃に、三人とも俺の家にやってきた。
それぞれ、手にビニール袋を持って。
どこかで一旦集合したらしい。結局乗り気だったんじゃん。
荷物の中身を訊ねてみる。
「サラマンダー、なにそれ」
「花火。食べ終わったらやるかなーと思って」
サラマンダーの面目躍如である。
「マエストロ、なにそれ」
「おまえに見せようと思ったエロ小説」
そんなもんみせんな。マエストロの面目躍如である。
「キンピラくん、それはなに?」
「いや、初めて会いにいくわけだし、親御さんいるんだから、菓子折りでも持ってくべきかと思って」
やけに礼儀正しい。高校生の発想じゃなかった。侮れない。
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