私的良スレ書庫
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元スレ幼馴染「……童貞、なの?」 男「」.
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「息を止めて顔を水につける。ちょっとでいい」
るーは本当にちょっとだけしか顔を水につけなかった。
どうしたものか。
根気か。根気しかないのか。
俺がどう教えたものかと途方にくれていると、横合いからタクミが現れた。
「無理しなくてもいいんじゃない? 泳げないと死ぬってわけでもないし」
るーは救いの神を見つけたかのように瞳を輝かせた。
なんだこの態度の違い。
「いいこと言った。今、タクミくんはいいことを言いました。お兄さん、スパルタはもう終わりです」
「あれー? なんだろうねこの俺が悪者みたいな空気は」
スパルタというつもりはなかったのだが。というか、最大限の優しさをもって接したつもりだったのに。
ビート板か。ビート板が悪いのか。やっぱり浮き輪にするべきだったか。
打ちひしがれてプールからあがる。なんだこの徒労感は。
うしろから、るーに声をかけられる。
「冗談ですよー?」
分かってます。プールサイドでは屋上さんと妹が並んで休んでいた。
るーとタクミは幼馴染たちに任せて、ふたりのところに行くことにした。
「つかれた」
妹がぼやいた。
濡れた髪。一通り泳いだ様子だった。もともとあんまり運動が得意な奴じゃないので、長時間泳ぎ続けるのはつらいのだろう。
屋上さんの方は髪の毛先が少し濡れている程度で、あまり水泳後という感じがしない。
「泳がないの?」
「私、からだ動かすの苦手だし」
今日の目的の根底を覆す発言だった。いつも陸上部で軽快に走ってるのに。
「せっかくなのに?」
「うん。せっかくだから流されてきた。流れるプールで」
「どうだった?」
「寒い」
そりゃあ身体を動かさなければそうだろう。
満足行くまで遊んでから、プールを出る。ふたたび更衣室前で別れて、ロビーで集合した。
一緒に昼食をとることになったが、人数と時間帯の面で考えるとあまり行ける場所が思いつかない。
仕方が無いので、俺の家に集まることになった。なぜか。
帰りに食料を求めてコンビニに寄る。近頃本当にコンビニばかりだ。まずいような気がする。
幼馴染とタクミは一度帰ることにしたらしく、まっすぐ帰路についた。
残された俺と妹、三姉妹は、暇を持て余す。
「つかれたー」
家に帰ってすぐ、妹がソファに倒れこむ。珍しいことだ。普段だったら客人の前でこんな姿を見せたりはしないのに。
それだけ疲れていたのか、それだけはしゃいだのかのどちらかだろう。
しばらくゆっくりとした時間が流れる。妹はともかく、るーと後輩まで、いつのまにか眠っていた。
残された俺と屋上さんは、互いに何も言わずに押し黙った。
何を言えばいいやら。
付けっぱなしのテレビの音量を下げる。台風が近付いているらしい。
沈黙に耐えかねて、屋上さんに声をかける。
「アイス食べる?」
「うん」
彼女の返事は短い。
落ち着かない。
距離が縮まっているようで、やっぱり縮まっていないような。
アイスをかじりながら、また黙る。
ふたたび口を開く。どうも気まずい。
「屋上さん、課題進んでる?」
「終わってる」
「……あ、そう」
早めに済ませるタイプらしい。
どう話を続けるべきか。
……こうなると、そもそも会話する必要があるだろうか、という気分になる。
屋上さんは会話がなくても平然としていて、むしろ俺が話しかけたときほど居心地悪そうにしている気がする。
「あのさ」
不意に彼女は口を開いた。緊張したように表情が強張っている。
まずいことしたかな、と思考を巡らせた。そう考えると山ほど落ち度があるように思えてしまう。
「いや、別にそういうんじゃなくて」
「そういうのって?」
「だから、その、さ」
彼女は何かを言いたそうにしていた。何かを言いたいのだけれど、上手く言葉にできないような、もどかしそうな表情。
「私、あんまり人と話すの、得意じゃないというか」
「……うん」
相槌を打って、続きを待つ。急かすような態度をとらないように、そっけなくなりすぎないように注意しながら。
「だから、別に、話すのが嫌とかじゃなくて」
ゆっくりと、なんとか伝えようともがくみたいに、彼女は言った。
――人と話すのが、あまり得意じゃない。
「……うん。なんかもう、上手く言葉にできないけど、そんな感じだから」
彼女はそれを最後に、また言葉を切った。
また沈黙。その静けさには、さっきまでとは違う意味があるように思えた。
彼女が、人との会話を難しいと思っていることは分かった。
でも、それを今言ったのはなぜだろう。
深読みすれば、とても都合いいように解釈すれば、「話すのを嫌がっていると思われたくない」となるわけで。
それはつまり。
深読みすれば。
過大解釈すれば。
自惚れるなよ、と内心で自分に言ったが、頬がゆるむのはどうもこらえられそうにない。
「何ニヤニヤしてんの?」
屋上さんが怪訝そうに眉を寄せる。
「いや」
短く否定する。彼女は仕方なさそうに溜息をついた。言ったことを後悔しているのかもしれない。
俺は浮かれそうになる気持ちを意識して押さえ込んだ。
どうせこの後、なんかよくないことが起こるに決まってる。
予定調和。
あるいは、俺の勘違いでしかないとか。
屋上さんの発言に、俺が考えてるような意図はなかったとか。
そのはずなのに、何分経っても、妹が起きて、後輩が起きて、るーが起きて、三人が並んで帰るときも、そのあとも、ちっとも悪いことは起こらなかった。
けれどその翌日、妹が風邪を引いた。
つづく
>>528 たぶんやりません
>>528 たぶんやりません
乙
妹!妹!妹!いもうとぉぉうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
妹!妹!妹!いもうとぉぉうううわぁああああああああああああああああああああああん!!!
>>564
リア充爆発しろ
リア充爆発しろ
>>564
お前は俺の敵だ
お前は俺の敵だ
そろそろ部活に行って部長とお話かな?
後輩ちゃんに関するレスが見当たらないので後輩ちゃんは俺が持っていきますね。
後輩ちゃんに関するレスが見当たらないので後輩ちゃんは俺が持っていきますね。
妹デレ回キター!?
明日を期待せざるを得ない 待ち遠しい!!
明日を期待せざるを得ない 待ち遠しい!!
幼馴染派だった俺は最近の展開であっさりと屋上さんに乗り換えたのであった
>>581
妹ちゃんはアスミンだと思うんだけどどうだろうか
妹ちゃんはアスミンだと思うんだけどどうだろうか
>>584
残念俺の方が早かった
残念俺の方が早かった
あれ?俺>>573なのにID変わってる?なんで?
なんと幼馴染み派の少ないことか
>>1!お願いだからもっと幼馴染みに見せ場を!
>>1!お願いだからもっと幼馴染みに見せ場を!
ここまでで身体的に接触しているのは妹だけという事実に着目しようよ
ふと本名出てるの何人いるか調べてみた
幼馴染、妹、茶髪、タクミ、サコの5人が見つかった
そんで後輩が気になったんだが、>>454-455から
「後輩」が名詞そのままなのか、正確な名前はわからない程度の(ちい姉的な)あだ名なのか
幼馴染、妹、茶髪、タクミ、サコの5人が見つかった
そんで後輩が気になったんだが、>>454-455から
「後輩」が名詞そのままなのか、正確な名前はわからない程度の(ちい姉的な)あだ名なのか
思わず一気読み。凄く引き込まれて時間を忘れてしまった
お前等マエストロ達まで持っていくとか見境無さ過ぎる
お前等マエストロ達まで持っていくとか見境無さ過ぎる
「油断した」
と、ベッドの中で唸りながら妹は言った。顔は火照っていて、息も少しつらそうだ。
うちの家族は、風邪になりにくいわりに、実際にかかると弱い。
「いつから調子悪かったんだ?」
「昨日の夜から、なんだか頭痛がするなぁ、とは」
「プールかな」
ほとんどプールサイドに上がって休んでたし。
「たぶん」
妹は疲れきったように溜息をついた。
「しんどい……」
「だろうな」
変に強がられると困ったことになるので、つらいときはつらいと正直に言うのが我が家のルールです。
それでも正直に言わなかったりするのが妹の困ったところではあるのだが。
「間接痛い。頭ぼんやりする。洟つらい。喉がいがいがする。全身だるい」
妹が鼻声で列挙した症状を頭の中で繰り返す。
俺の推理が正しければ風邪だ。
ていうか風邪だ。
「ゆっくり休むように。食欲は?」
「あんまりー」
間延びした声。ひょっとして俺もこんな感じだったんだろうか。
「でも、雑炊なら食べれる、かも」
「後で作る。欲しいものは?」
「愛とか」
うちの人間は自分がつらければつらいほど冗談を言いたくなる人種です。
俺の場合は周囲を茶化してるだけだけど。
「愛ならやるからさっさと治せ」
「うん」
妹はしおらしく頷いた。普段より態度が軟化していて、どうも調子が狂う。それだけ弱っているのだろうか。
たかだか風邪、と言えばそうだけど。
風邪を引いたときの、あの妙に心細い感じは、結構つらい。
台所に下りて冷蔵庫の中を確認する。玉子。野菜室。ネギ。
炊飯ジャーの中を覗く。問題ない。
作れなくはない。
正直、料理はあまり得意ではない。妹はもちろん幼馴染も食べさせたことがあるが、あまり評判もよろしくない。
味が濃すぎたり薄すぎたりするそうな。
粉末かつおだし(万能)を駆使して雑炊を作る。俺の料理は基本的に大雑把だ。
炊飯ジャーから茶碗一杯分のご飯を取る。ザルに移して軽く水で洗い、ぬめりを取る。
小さめの鍋に水を入れる。沸かす。ダシを入れる。米を投入。醤油、塩コショウ、めんつゆなどで味付け。刻んだネギ、卵でシメる。
完成。
五分クッキング。
味見する。
「熱ィッ!」
舌を火傷した。
味は悪くない。
昔は水の分量なんかで手間取ったものだ。料理を教える側だった祖母が感覚で作るタイプだったというのもあるが。
「具体的にどのくらい入れればいいの?」
「だから……このくらい?」
「このくらいってどのくらい?」
「だいたい勘でやってるから」
「勘なの?」
「うん。この量だから、たぶん……このくらい」
そんな祖母に教わっても上達はしたのだから、習うより慣れろというのは案外的を射ていると思う。
出来上がった雑炊を大きめの椀に取り分ける。スプーンの代わりにレンゲを用意した(形から入るタイプ)。
妹の部屋に持っていく。レンゲで雑炊をすくって冷まし、妹の口元に運んだ。
「自分で食べれるから……」
「火傷するから」
「大丈夫だって」
「俺なりの愛だから」
「愛はもうおなか一杯だから」
「いいから食べろって」
妹は仕方なさそうにレンゲを口に含んだ。
餌付けの感覚。
微妙に楽しい。
「塩コショウききすぎ」
妹は味に関しては手厳しい。
「まずいですか」
「そうは言ってないです」
催促されて、手を動かす。嫌がったのは最初だけで、二口目以降は食べさせられることに抵抗はなかったようだった。
半分くらいまで減ったところで、もう食べられないというので、残りは俺が食べた。
「熱測った?」
「七度二分」
微熱。そうひどくはないようだ。
とはいえ、甘く見ていたら悪化しかねないわけだし、どうせ休みなのだから、じっくり休んで治すべきだろう。
「ミカンとか桃とか、それ系の缶詰とか食べる?」
「今はいいや。それより、喉渇いた」
「他には何かある? 水枕いる?」
「大袈裟。そこまでしなくても大丈夫だから」
とりあえず水と薬を用意する。冷蔵庫の中にスポーツドリンクがあったので、それも持っていった。
どうしたものか、と思う。
ずっと傍にいるのも落ち着かないだろうと思い、自室に戻る。
なんとなくそわそわする。
三十分ほど時間をおいて部屋を覗きに行くと、妹はすやすやと眠っていた。
特に寝苦しそうな様子もない。ひとまずほっとする。もういちど部屋に戻ろうとしたところで、インターホンが鳴った。
玄関に出ると幼馴染とタクミがいた。
俺は妹が風邪を引いて寝込んでいることをふたりに告げる。
幼馴染はお見舞いをしたいと食い下がったが、眠っていることを言うとすぐに引き下がった。
「うつったらあれだし、今日のところは悪いけど」
「うん」
お大事にと言い残して、二人は去っていった。
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