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    元スレ佐天「ベクトルを操る能力?」

    SS+覧 / PC版 /
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    みんなの評価 : ★★
    タグ : - 一方通行 + - 佐天涙子 + - 佐天通行 + - 御坂美琴 + 追加: タグについて ※前スレ・次スレは、スレ番号だけ登録。駄スレにはタグつけず、スレ評価を。荒らしタグにはタグで対抗せず、タグ減点を。
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    401 = 1 :


    その数分後。
    事件が発生した。


    佐天「で、できた……」

    一方「今日は随分と早ェな」


    なんと一発で液体の反射に成功したのだ。
    ちょろちょろと蛇口から水が出ているが、手の甲はまったく濡れていない。


    一方「思ったより効果あンだな」


    そう言って、チョーカーに触れる一方通行。
    実際、この方法は驚く程の効果をもたらしていた。
    それもその筈で、一方通行が水を弾く際の脳の電気信号の流れと、佐天の能力を使っている際の電気信号の流れを近似させていることが原因である。
    つまり、佐天の脳に、一方通行の計算式を直接示して最適化している訳である。
    分かりやすい例としては、見本の上をなぞるだけの習字といったところだろうか?
    この方法のメリットとしては、思考の一部を植えつける『暗闇の5月計画』とは異なり、あくまで、佐天涙子本人の計算式を使っていることが挙げられる。
    そのため、性格が不安定化する心配もなく、『暗闇の5月計画』よりも人体に影響の少ない結果をはじき出していた。
    それにこの方法は、一方通行の了承が必要になるので、乱用される恐れもない。
    もっとも、一方通行でさえ、この方法がここまでの効果があると知っていてやっている訳ではなかった。
    やってみたらできた、というレベルの認識なのである。


    一方「このまま午後は固体に行ってみるとしますかねェ」

    佐天「なんか調子いいです!」


    能天気にそんなことを言う佐天。
    実質的には、一方通行の計算式を流用しているだけということに気付いていない。
    だが、このことに気が付かなかったのは、さらに運が良かった。
    勘違いにより佐天の自信が付き、それによって『自分だけの現実』が強化されるというインフレ状態になっていたのである。

    この時点で、佐天涙子はレベル2相当になっていた。

    402 = 1 :


    4人で昼食を取ると、午後は2日ぶりの座学を行った。
    また2人を追い出すような形になってしまって申し訳ない。

    午後3時になると座学は終了。
    能力開発の再開である。


    一方「固体の反射ができりゃ、ほぼ全ての物理現象を反射できる」


    “ほぼ”とつけたのは、上条当麻などの例外が存在するからだ。
    一方通行は、ここ数ヶ月で、反射が絶対の防御でないことを学んだのだ。


    一方「物は試しだ。とりあえず、そこの消しゴムでやってみろ」


    一方通行は、チョーカーに手を当て能力を発動させる。
    そして、そのまま佐天の頭に手を置いた。
    これだけで、下準備の方は完了。


    一方「よし。いいぞ」

    佐天「い、行きます……」


    佐天は、言われたとおり、消しゴムを手の甲の上方に持っていく。
    そして、精神を集中させ、今までの反射の膜に固体を反射させるイメージを追加させた。
    それを一方通行が修正し、その修正された跡を佐天がなぞる。
    それだけで、物理現象を反射させる反射の膜の完成である。


    佐天「おぉ……」

    一方「上出来だ」


    消しゴムを放した後に起こったことは、事実を確認しただけのことに過ぎない。
    佐天は、驚くべきスピードで、どんな盾より高性能な反射の盾を手にしたのである。
    今は、まだ左手の甲限定ではあるが。

    403 = 1 :



    一方「今日は、こンなところか」

    佐天「ありがとうございましたーっ!!」


    固体を反射させるのに成功したところで、今日は終了ということになった。
    一方通行が、スタスタと廊下に行くのとすれ違いに、打ち止めと番外個体の2人がリビングに入ってくる。


    打ち止め「どうだった? ってミサカはミサカはサテンお姉ちゃんに今日の成果を尋ねてみたり~」

    佐天「いやー、今日はもうすごかったよー」

    番外個体「へえ? どんな感じ?」


    などといった感じで今日の成果を話してあげることにした。
    佐天は、もうこの2人とはすっかり仲良しさんである。
    大体の話が終わると、


    番外個体「もちろん、今日もやってくよね?」


    と言って、番外個体がゲーム機のコントローラーを差し出してきた。
    昨日は、打ち止めとばかり(接待)プレイをしていたので、今日は番外個体と対戦しようという訳である。
    たとえ、相手が片手だからって手加減はしない!
    結果は…………『負け』
    ば、バカな……。


    番外個体「まだまだだね~」

    佐天「ま、まだ第2、第3の私がいますよ~?」


    そんな、四天王のうち最初のボスがやられたら言いそうなセリフを吐いて、コンティニューを連打する。
    い、今のは得意キャラじゃなかったから負けたんだもん!
    次はそうはいかないんだからね!

    404 = 1 :


    ……現実って残酷だよねー。


    番外個体「もう実力差はわかってもらえたかな?」

    佐天「参りました……」


    これは打ち止めちゃんじゃ勝てないわ……。
    なんていうか、戦法がセコイ。
    ハメ技ばっかり狙ってくるし。


    番外個体「結果がすべてだからね」

    佐天「ううう……」

    打ち止め「げ、元気だして? ってミサカはミサカは励ましてみる」


    そんなことをしているうちに、時間は午後8時。
    その後、一方通行さんの作る夕食をご馳走になったので、昨日より遅い時間になってしまった。


    一方「今日も送っていってやる」


    そう言って、杖を取り立ち上がる一方通行さん。
    昨日に続いて、今日も迷惑をかけるのは、なんとも心苦しい。


    一方「気にすンな。コンビニにコーヒーを買いに行くついでだ」

    佐天「そ、そうですか?」


    冷蔵庫にはまだ結構あったと思ったけど。
    あ、これは、この人なりの気遣いってやつですかね?
    ありがたく受け取っておくことにしますか。

    405 = 1 :



    佐天「すっかり寒くなってきましたねえ」

    一方「そォだな」


    帰り道。
    自宅に向かいながら、一方通行と佐天が並んで歩く。
    昨日もそうだったが、しゃべっているのは佐天ばかりで、一方通行は「あァ」とか「そォか」くらいしか返事をしない。
    なんだか、あの部屋にいるときに比べて、少しピリピリしているような気もする。


    一方「あ?」


    どんな話をすれば反応してくれるかなーなんてことを考えていたら、一方通行が何かに反応して突然足を止めた。


    佐天「どうかしたんですか?」

    一方「今、何か聞こえなかったか?」


    特に何も聞こえなかったような気がする。
    猫でもいたのだろうか?
    気が付かなかった。


    佐天「いえ、聞こえませんでしたけど」

    一方「…………気のせいか」

    佐天「え? あ、ちょっと! 気になること言って置いていかないでくださいよー!」


    先に歩き出した一方通行に追いつくため、小走りで追いかける佐天涙子。
    そして、そんな2人を見つめる者。

    ―――非日常はすぐそこまで迫っている。

    406 = 1 :

    最後はちょっと不穏な空気を出してみた。

    それっぽい理屈あるし、このくらいのインフレなら許容範囲だよね?

    伏線(?)も大体張り終えたので、次回で二章はラストです。

    407 :

    しかしつい先日までダメダメな子がたった4日でLEVEL 2相当に成長だなんて・・・恐ろしい子

    409 :



    左手の甲限定とはいえ進歩してるなぁ
    「暗闇の五月計画」版佐天さんも見てみたいと思ってみたりwwwwww

    410 :

    よかった・・・佐天さんが一方さんみたくなる未来はないんだね

    411 :

    正直こんなレッスンされたら伸びない気がしない
    そして次回は遂に“奴”の登場か…!
    いや、まあ知らんけど

    412 = 407 :

    ところで手の甲に固体反射仕込ませて裏拳打たれたら・・・痛い?

    413 :

    更新ペース早くて素敵抱いて!

    414 :

    >>412
    裏拳の力が反射されるわけだから普通に裏拳くらうのとダメージ変わらないと思う。

    415 :

    というか一方さんが足でやってたよね
    物と物がぶつかるとベクトルが双方に分散される訳だからそれを反射で伝々・・・

    416 = 414 :

    >>414
    あれ?
    作用と反作用の両方くらって威力二倍なのかな?
    連投失礼。

    417 :

    例えば裏拳で人の頭殴ったとしても
    殴られたら首が動いたりしてかかった力が分散するから
    単純に2倍ではないだろうけど
    分散しなかった反作用分の威力は上がるんじゃないかな

    418 = 417 :

    途中送信しちゃったぜ

    まぁ一方さんはそこらへん演算しきれるだろうけど
    佐天さん単体じゃまだ無理じゃないかな?

    419 :

    どうなっても文句はないけど、レベル5とかにはなって欲しくないな
    3くらいがなんか佐天さんっぽい

    420 :

    ベクトル式裏拳のダメージか…
    裏拳で普通に殴るダメージ+自分に返ってくるはずの反作用+足の踏み込みを反射した力ってところかなあ

    421 :

    >>419
    でもレベル5になって御坂とは違った視点のレベル5になってるのも見てみたい。

    422 :

    今日で>>1の作品を5つぐらい読み切ってきた
    乙乙頑張って

    423 :

    >>419
    なってもいいけど数日ではいやだなー
    レベル3、4ぐらいであしぶみしてくれたらなおいい

    424 :

    今のところ反射オンリー&手の甲のみ、だから一人のときに狙われたらやばいなw
    抵抗手段皆無だしぶっちゃけ何も出来ずに拉致られそうだw
    能力とか銃弾とか飛んできたら上条さんでもあるまいし超反射神経で全て手の甲でガードとか無理だし肉弾戦も出来ないし。

    425 :

    音やら何やらの反射はやらないんだな

    426 = 1 :


    オマケ!!
    能力使用の全体像(例:反射)

     演算 × 自分だけの現実 = 能力の強さ
      ↑
    能力の特性
    ・強度
    ・範囲
    ・種類
    ※効率性も重要

    要するに、『自分だけの現実』という水道管から、『演算』という蛇口を通して、『能力』という水を出す訳です。
    水道管の太さ(最大出力)は所与で、蛇口の方はある程度自由に調節可能ってことですね。
    また、能力の種類ごとに蛇口が必要なので、それぞれに水道管を引く必要があります。(例えば、反射と風のベクトル操作は別物)
    なので、『自分だけの現実』の強化と『演算』の効率化は別のものだとお考え下さい。
    まあ、自己理論ですけど。

    427 :

    >>425
    光の反射ができるなら音もできるんじゃね?

    428 :

    >>427
    光の、じゃなく風じゃね? 音って空気の振動だし
    でも手の甲で音反射しても意味ないよなきっと

    429 :

    >>1さんお疲れ様です。毎回楽しみでヒマさえあればリロードリロードしてます

    音の反射も銃弾の反射も結局的には分子の反射なわけで・・・
    そうすると下手すると反射した時点で佐天さんが全裸になってしまうわけでww
    あくまで『音』とか『銃弾』とかの『概念』を反射操作するという
    『自分だけの現実』を顕現させられるのが『能力』なんじゃないかと勝手に思ってます

    430 :

    正直チートなのは佐天さんじゃなくて一方さんなんで
    あんまり違和感無いです
    チート学習法ですがレベル4間近になる頃には性格少し変質してそうww

    431 :

    >>423
    ゆっくりめ佐天さん強化ならトンデモ発射場ガールの佐天パートはどう?
    …まぁあれも読んでるときは「早っ」って思ったけど

    432 :

    >>431
    ありがとう
    ただこのストーリーにはゆっくりが似合うかなと思っただけなんで

    433 :

    お前ら本当に考察好きだな。考察スレ行けよ。

    434 = 409 :

    能力の考察なんて自慰にしかならんのによくやるよ
    どうせやるなら反射を使ってどう初春のスカートをまくるかを考えるほうが遥かに有益だ

    435 = 419 :

    初春がモンロー化できるな

    436 = 1 :

    二章ラストを更新。

    437 = 1 :


    佐天涙子が一方通行の能力開発を受け始めてから4日が経った。

    1日日は、手の甲で光の反射。

    2日目、光と風を同時に。

    3日目、熱量を加えた3種類。

    4日目、物理現象の反射に成功。

    ここ数日で、このように急激に成長してきている。
    少し前までスプーン曲げしかできなかった人間とは思えない速度だ。
    もっとも、これは佐天涙子の実力というより、一方通行の力によるところが大きい。
    それも相まって、彼女の日常は加速していく一方だった。


    また、この4日間で出会った人もそれに拍車をかけていた。

    1日目、一方通行と顔合わせ。

    2日目、黄泉川愛穂と出会う。

    3日目、打ち止め、番外個体と出会う。

    4日目、芳川桔梗と出会う。

    出会いのたびに、佐天の世界は広がり、彼女の日常は変質していく。
    既に彼女の日常は、大きな変化とともに、急速に進化を遂げるものとなっていたのである。


    ―――そして5日目。

    この日の出会いは、前日までとは違った意味で、佐天に大きな転機を与えることとなった。

    438 = 1 :



    佐天「おっはよーございまーす!!」


    いつも通り元気な挨拶をして、部屋に入り込む。
    一方通行の能力開発を受け始めてまだ5日目。
    それであるにも関わらず、“いつも通り”と言えるほどになっていた。
    彼女は、環境の変化に適応しやすい性格をしていたので、当然といえば、当然かもしれない。
    部屋では、相変わらず一方通行が缶コーヒーを飲んでいるところだった。


    一方「それじゃ始めるか」

    佐天「はいっ!」


    今までやったのは、“種類”と“強度”の2つ。
    それに、能力の効率化の話を聞いた。
    ということは、今日は恐らく“範囲”についての講義になるのだろう。


    一方「今日は、『範囲』について説明する」


    やっぱり。
    “範囲”っていうのは、どこまで反射を適応させるかってことでいいのだろうか?


    一方「ま、そォなるな。そンなに説明することもねェし、軽く流して実践に移るぞ」

    佐天「分かりましたー」


    うんうん。
    ちゃんとここ数日で、私も察しがよくなってきてる。
    分母である脳の処理速度も成長期という訳だ。

    439 = 1 :



    一方「『範囲』ってのは、『種類』と違って、バラバラに分解して体に染み込ませることもできる」

    佐天「そうなんですか?」


    “種類”の場合、バラバラに分解して覚えると、反射を適用させる際に、タイムラグが生じてしまう。
    簡単に言えば、5種類の反射の膜を発生させるときに、1×5と計算するのと、1+1+1+1+1と計算しているようなものだ。
    最初のうちはいいのだが、種類が増えてくるごとにタイムラグが発生する訳である。
    一方で、“範囲”とは、反射を適用させる範囲を指定する演算で、体のどの部分にどれだけの大きさの反射の膜を張るかを計算する。
    反射の適応範囲を広げる方法は2通りあり、1箇所の固定されたところから拡げていく方法と、全身に少しずつ反射を使用していく方法がある。
    それぞれに長所、短所があるので、一概にどちらが優れているとは言えない。
    1点から拡げていく方法は、新たな領域の拡大に時間はかかるが、実戦のときには演算の手間がワンステップ短くなる。
    範囲を広げている際に、何度も同じ部分を演算しているため、計算することに慣れるのである。
    対して、全身に適応させる方法は、反射領域を少しずつずらしていき、1度全身に反射をなじませることから始める。
    これだと、演算に手間はかかるが、好きな場所に反射の膜を展開させることができるのだ。


    佐天「それで、私はどちらの方法をやればいいんですか?」

    一方「オマエの場合は前者だな」

    佐天「つまり、左手の甲から範囲を拡げていくってことですよね?」

    一方「そォだ」


    後者の方法には、1つ重大な欠点があった。
    それは、自由に反射の膜を張ることができるため、対応の幅が広い。
    その結果、反射できる“領域”の拡大がしにくくなってしまうのだ。
    キャンピングカーの内積を拡張するのと比べれば、一戸建ての増築の方が簡単で効果があるだろう。
    それと似たようなものである。


    一方「今日中にどこまでいけるかねェ?」

    佐天「どうでしょうか?」


    この時点では、まだ左手の甲だけであった。

    440 = 1 :



    一方「今日はこンなところだな」

    佐天「ありがとうございましたー」


    そうして、その日の能力開発も終了。
    夕方になるころには、両手の手首まで反射ができるようになっていた。
    一点から範囲を広げるイメージをしたのだが、一方通行の修正によって、両方の手に効果が見られるようになったのである。


    佐天「これなら、冬も手袋いらずですね」

    一方「3分だけだけどなァ」


    今の佐天は、『光と物理現象、熱』を反射する膜を、両手に3分使用することができるようになっていた。


    一方「レベル2.5くらいにはなってンじゃねェか?」

    佐天「!?」


    5日前までは、レベル1だった自分が、レベル2になっている?
    それはもう凄いことじゃないか。
    つまり、もう少しで打ち止めちゃんに追いつけるということになる。


    一方「でもなァ……。レベル3になっても、オマエじゃ打ち止めには勝てねェよ」

    佐天「え? どうしてですか?」

    一方「オマエの反射に電気を対応させても、飛んでくる電撃に対応できンのか?」

    佐天「む、無理です……」


    事前動作があるとはいえ、秒速180km/hに反応できる人類など存在しないだろう。
    幻想殺しの場合は、それ自体が避雷針のようになっているため電撃が集中するが、反射の場合はそんなことにはならない。
    つまり、飛んでくる電撃の着弾地点に反射の膜を張らなければならないのだ。
    無理ゲーである。

    441 = 1 :



    打ち止め「ミサカのこと呼んだ? ってミサカはミサカはお勉強が終了したのを見計らって部屋に入ってみたり」

    佐天「あ、打ち止めちゃん」

    番外個体「この人にセクハラされたりしなかったかにゃ~ん?」


    外で聞き耳を立てていたらしい打ち止めがトコトコとリビングに入ってくる。
    もちろん、番外個体と一緒に。


    佐天「そ、そんなこと一方通行さんがするはずないじゃないですか!」

    打ち止め「そうだよ、ってミサカはミサカはこの人を庇ってみる」

    番外個体「そうなの?」


    番外個体の顔は非常に楽しそうな顔で尋ねる。
    だが、当の一方通行は、ソファーに横になると、


    一方「くだらねェ……」


    と言って、眠り始めてしまった。
    話に加わる気はさらさらないらしい。


    打ち止め「サテンお姉ちゃんは、今日も遊んで言ってくれるよね? ってミサカはミサカは期待の眼差しで見つめてみたり!」

    佐天「え? いや、さすがに3日連続は……」

    番外個体「いいって、いいって。あの人はもう少し外に出た方がいいんだから」


    確かにそれはその通りかもしれない。
    だってあんなに色白だし。
    いや、あれは反射が原因だったかと思い出し、苦笑いする佐天であった。

    442 = 1 :



    佐天「結局、今日も夕食をご馳走になってしまった……」


    帰ってきた黄泉川が、炊飯器でハンバーグを作るから食べていけと言われて、ご馳走になった訳である。
    時刻は午後9時。
    完全下校時刻はとうに過ぎ、外は暗闇に支配されていた。


    黄泉川「もう遅い時間だし、送っていくじゃんよ」
                             ・
    番外個体「あ、いいって、いいって。今日も、この人が送っていくからさ」

    黄泉川「も?」

    佐天「ええと、その……」


    ここ2日、夜を空けていた黄泉川は、そのことを聞いていなかったようだ。
    少し驚いたような顔をして一方通行の方を見ている。
    なんだかその表情は、息子の成長を喜ぶ父親のようにしか見えない。


    黄泉川「そういうことなら、一方通行に譲るしかなさそうじゃん!」

    一方「別に、ンなこと頼ンでねェけどなァ……」


    一方通行が座っていたソファーから立ち上がり、玄関の方へと向かって歩き出す。
    結局、送っていってくれるみたいだ。


    佐天「あ、ありがとうございます」

    一方「…………」


    お礼を言うが一方通行は反応しない。
    こういう反応にも、もう慣れてきた。
    「一方通行に気をつけてね」という番外個体のセリフを最後に、黄泉川家を後にすることにした。

    この日の出会いは、この後に発生することになる。

    443 = 1 :


    マンションを出て数分後。
    2人は寒空の下を歩いていた。
    空には雲もなく、満天の星空が広がっている。


    佐天「3日連続で送ってもらっちゃってすみません」

    一方「別に気にすンな。アイツらの相手をするのに比べりゃ、随分マシだ」


    ポツポツと会話を交わす。
    初めて会ったときは怖いというイメージしかなかったが、ここ数日でそんな印象もだいぶ変わってきた。
    確かにぶっきら棒で、きつい事もたくさん言うけど、面倒見が良くて、優しいところもある。
    どうしてこれで、御坂さんと仲が悪いのかがよく分からない。
    家庭の事情なんだろうけど……。


    佐天「御坂さんとは仲直りしないんですか?」

    一方「ハァ?」


    いやいや、「ハァ?」はないでしょ。
    そんなにありえないなんて顔しなくても……。


    一方「ありえねェな」


    一刀両断。
    取り付く島もないというのはこのことか。
    もう少しくらい考えてくれても―――


    ???「あ、いたいたー。あなたが第一位?」


    と、そんな2人になんの前触れもなく声がかけられた。

    444 = 1 :



    一方「チッ」


    一方通行は、明らかに油断していた。
    誰かに尾けられていることには気付いていたが、まさか相手が堂々と来るとは思っていなかったのだ。
    とっさにチョーカーに手を伸ばして声のした方向を見ると、そこにいた予想外の人物に、彼は絶句することになってしまった。

    一方、佐天は、その声の出所がわからず辺りを見回していた。
    声の感じからすると女の人だっただろう。
    聞き覚えのない声だったが、一方通行の知り合いなのかもしれない。
    と、そこでやっと、一方通行が、佐天のいる場所と反対側にある細い路地の方を見ているのに気付いた。
    彼女の位置からでは、一方通行が壁になってしまい、その人物の姿が確認できない。
    足音がしなかったことを考えると、そこで待ち伏せでもしていたのだろうか?


    ???「初めまして、第一位」

    一方「なンだと?」


    初めまして?
    ということは、一方通行さんとも初対面の人物なのか。
    いや、それにしては驚きすぎではないだろうか?


    一方「オマエは……」

    完全反射「私の個体名は『完全反射(フルコーティング)』」

    佐天「完全反射?」


    聞き覚えのない能力名だったが、確かにそう一方通行に名乗った。
    こちらにはまだ気付いていないのだろう。
    その口調は、明らかに1対1で話すようなものだった。
    もっとも、こちらもその人物の姿は見えない。
    ただ、隣にいる一方通行が困惑しているのは分かった。
    この前、打ち止めちゃんと番外個体さんが私に見つかったときと同じような感じだ。
    一体どんな人物がここまで一方通行を驚かせるのだろう?
    気になった佐天は、スッと少し体の位置をずらし、その少女の姿を一目見ることにした。

    445 = 1 :



    完全反射「あ、一緒にいたんだ」


    こちらがあちらを捉えるのと同時に、あちらもこちらの存在に気付いたようだ。
    最初は薄暗くてよく分からなかったが、その少女は、自分と同じくらいの背丈だろうか?
    いや、それだけではない。
    同じくらいの髪の長さ。
    同じような髪の色。
    同じような体つき。
    同じような肌の色。
    同じ柵川中学の制服。
    そして、同じような顔つきをしていた。


    佐天「え? 私?」


    似ているどころの話ではない。
    そこには、佐天涙子が立っていた。
    いや、佐天涙子はここにいる。
    そうすると、あそこにいるのは、自分によく似たナニかだ。

                   ・ ・ ・
    完全反射「初めまして、お姉様。よろしくね♪」


    自分とそっくりな少女が、手を振りながらそう告げる。


    ―――“非日常”という存在が、にこやかな笑みを浮かべてそこに立っていた。


                            第二章『Who are you?(非日常との邂逅)』 完

    446 = 1 :

    起承転結の『承』から『転』の入りまでをお送りしました。空気がガラリと変わってきた感じですねー。

    あ、今更ながらオリキャラ注意。彼女の詳細については、第三章『Overline(彼女の目的)』をお待ちください。

    ちょっと用事があるので、次の更新は月曜以降になります。

    447 :

    さよなライオン

    448 :

    おつ

    449 = 409 :



    まさかの妹とな
    つまり今よりロリな佐天さんや
    成長してボインボインな佐天さんが!

    450 :

    一体下さい


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