元スレ右京「346プロダクション?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ☆
1 :
アニメ準拠はほとんどありません
気分を害されたら本当申し訳ありません
SSWiki :http://ss.vip2ch.com/jmp/1457957833
2 :
警視庁の死神さんがアイドルと関わったら何人死ぬんだろう?
3 = 1 :
右京「…」
右京「…!」パチ
右京「…ここは…」
右京「…どこ…ですかねぇ…」
右京「…」キョロキョロ
右京「…僕の家では、ないようですが…」
右京「…」フゥー
右京「…困りましたねぇ…」
右京「…?」
右京「…はて、これも…僕の鞄ではないようですが…」
右京「…」ガサガサ
右京「…」
『346プロダクション 係長 杉下右京』
『会社TEL』
右京「…はて…この名刺は…?」pipipipi
右京「…」prrrr prrrr
『はいもしもし346プロダクション総務課、米沢です』
右京「…!……杉下です」
『杉下係長!どうされました!?こんな時間に…』
右京「こんな時間…とは?」
『何って…もう10時ですよ?』
右京「…」バッ
『AM10:02』
右京「これはこれは…申し訳ありません。どうやら寝過ごしてしまったようです」
『おや?杉下係長がですか?珍しい事もあるんですなー…』
右京「ええ。なにぶん今しがた目覚めてしまったようですから」
『…あー………でも、まあ…』ボソボソ
右京「…?」
『杉下係長から借りた落語のCDが余りにも面白くてですな…私からはほら、出勤中、スカウトに精を出し過ぎたって言っておきますから…』ボソボソ
右京「そうしていただけると助かります」
『まあ、気にせずゆっくり来ることですな』
右京「ええ。感謝します」
右京「…」
右京「…何なんですかねぇ…これは」フゥー
4 = 1 :
翌日
右京「…」
346プロ『』
右京「…はて…僕は一体…どうなってしまったんでしょうねぇ…?」
「おや杉下君。お早う」
右京「…おはようございます」
「うむ?私の顔に何かついているかね?」
右京「いえ。昨日は少し羽目を外してしまったもので、ご迷惑をかけたのではないかと…」
「そうかね?いやいや君の事だ。仕事に精を出していたんだろう?米沢君からもそう聞いているものだからね」
右京「おやおや…」
「まあ、たまにはゆっくりすることも大事だよ。…だが君は今…大変な時期だったね…」
右京「はいぃ?」
「…私で出来ることなら、何とか手助けしてあげたいんだが…」
右京「…」
「とにかく君には期待しているんだ。是非頑張ってくれたまえよ!」
右京「…ありがとうございます」
「うむ!」
右京「…」pipipi
『アドレス登録件数 3件』
『千川ちひろ』
『山西部長』
『米沢守』
…。
右京「…山西部長!」
山西「ん、ん?…な、何かね?」
右京「…いえ、なにぶんまだまだ初めての事ですからねぇ…お力添えして頂ければと思いまして…」
山西「…うむ!任せておきたまえ!」
右京「…」ペコ
山西「頑張ってくれたまえよ!期待しているからね!」
右京「ええ。お心遣い、感謝致します」
5 = 1 :
右京「…」ペラ
『プロジェクト(仮) 室長 杉下右京』
『○階 階段右突き当り』
右京「…ここでしょうかねぇ…」
『プロジェクト(仮) 室長 杉下右京』
右京「…困りましたねぇ…」ガチャ
右京「失礼します…」
…。
右京「…誰か、いらっしゃいませんか?」
…。
右京「…」
…。
右京「…」ペラ
『プロジェクト内アイドル 未定』
右京「…」
米沢『私からはほら、スカウトに精を出し過ぎたって言っておきますから…』
山西『仕事に精を出していたんだろう?米沢君からもそう聞いているものだからね…』
右京「…なるほど。そういうことでしたか…」
右京「…僕にも、不思議な体験をする機会があったんですねぇ…」
6 = 1 :
米沢「は?名刺を失くした?」
右京「ええ…どうやら昨日何処かで落としてしまったようなんです。僕としたことが…」
米沢「いやはや…昨日に引き続き珍しいですなぁ…」
右京「ええ。ですので早急に新しいものを…」
米沢「…え…」
右京「…」
米沢「…そ、早急にと言われましてもですな…」
右京「恐らく電話一本で済むと思いますがねぇ?」
米沢「おわっ…相変わらず勘が鋭い…」
右京「…ところで、つかぬ事をお聞きしますが…」
米沢「…なんですかな?」
右京「…実は僕、アドレス帳の名前の部分だけを、消してしまったんです」
米沢「…は?」
右京「米沢さんなら、恐らくどなたか存じ上げると思うのですが…」
米沢「…杉下係長。本当に大丈夫ですか?どこか調子が悪いのでは?」
右京「あ、これはこれは…。買いかぶり過ぎですよ。僕も所詮、人の子ですからねぇ…」
米沢「はあ…まあ、分かる範囲で…」
右京「まず、この連絡先ですが…」
米沢「…ああ。この方は…千川ちひろさんですな」
右京「千川ちひろさん。…ええ…と…あの…」
米沢「あの緑スーツの若い事務員の方ですよ」
右京「ああ!そうでしたそうでした…」
米沢「それでですな…」
右京「ええ…」
7 = 1 :
右京「…」ガチャ
右京「…」スッ
右京「…」
『346プロダクション 社員心得』
右京「…」ペラ
『その1…』
右京「…」ペラ
『作業手順』
右京「…」ペラ
『アイドルを勧誘するにあたって』
右京「…」ペラ
『オーディションを開催するにあたって』
右京「…」ペラ
『月の売上報告会…第4週土曜』
右京「…」ペラ
『LIVE・イベント・オファー等』
右京「…」パタン
右京「…成る程」
右京「…僕もついに不思議な体験をする機会が出来ましたよぉ…」
「…あのー…」コンコン
右京「どうぞ」
「…あ、失礼します…」ガチャ
右京「…おや、貴方は…」
ちひろ「杉下さん。先日の日報がまだ届いていないようなので…」
右京「ああ!これは僕としたことが…」
ちひろ「簡易的でも構いませんから、書いておいてください。杉下さんの机に入れておきましたから」
右京「どうもありがとう。…あ、千川さん」
ちひろ「は、はいっ?」
右京「…このプロジェクトルームなんですがねぇ?」
ちひろ「え、ええ…」
右京「これ、いつまでにアイドルの方を呼べば良いのですかねぇ?」
ちひろ「え…えーと…ですね…せめて、今月中には…」
右京「ああ…それはそれは。分かりました」
ちひろ「そ、それでは…」ガチャ
右京「…」フゥー
右京「…困りましたねぇ…」
8 = 1 :
ちひろ「…」
ちひろ「…あの人、やっぱり苦手だなぁ…」
ちひろ「…それに、あのプロジェクトって…」
ちひろ「…いわゆる、追い出し部屋…なのよね…」
ちひろ「なのに…あんなに楽しそうに…」
ちひろ「…あの人、どうしてアイドル事務所のプロデューサーなんてやってるんだろう…」
ちひろ「あの人の能力が役に立つ仕事って、他にいくらでもあると思うのに…」
9 = 1 :
翌日
山西「やあ」
米沢「あ、これは山西部長。何かありましたかな?」
山西「うむ…それがだね…」
米沢「はい?」
山西「彼に関することなんだが…」
米沢「…」
山西「…」
米沢「…少し、席を外しますか」ガタッ
山西「うむ。そうしてもらえると助かるよ」
ちひろ「…」
10 = 1 :
山西「…すまないね」シュボッ
米沢「いやあ…中々人前では出来ませんからな」
山西「…しかし、嫌な風潮もあったものだよ」
米沢「…そうですな」
山西「私から見て、杉下君以上に人を見る目がある人間はいない」
米沢「…」
山西「それをどうして皆、分からないのか…」
米沢「…」
山西「思い当たる節は、無いわけではない」
米沢「…」
山西「…杉下右京。彼の下に着いた社員やアイドルは悉く引退、辞職していく」
米沢「…それが、彼の異名となった…」
山西「…杉下右京は、人材の墓場」
米沢「…ふむ…」
山西「おかげで今、彼を煙たがるアイドルや社員は大勢いる」
米沢「…」
山西「だが、それは勘違いだ」
米沢「…私も、そう思うのですがね」
山西「彼はいつだって、誰とでも真っ直ぐ向き合うような人間だよ」
米沢「…ですが、真っ直ぐ向き合い過ぎてしまう…」
山西「…加えて、あの記憶力と洞察力だ」
米沢「社員もアイドルも、彼と関わると自信を失い、辞めて行く…」
山西「…それは、彼のせいではないと思うのだがねぇ…」
米沢「…物腰柔らかな接し方とは裏腹に、社員やアイドルの核心をこれでもかというくらい突く…」
山西「…」
米沢「…彼はプロデューサーとして最も大事なものが欠けているのかもしれませんな…それで、その杉下係長がどうかなさいましたか?」
山西「うむ。…それなんだがね?」
米沢「…」
11 = 1 :
山西「…この間の、彼がスカウトに明け暮れて時間を忘れていたという…君の優しい嘘だがね?」
米沢「…バレておりましたか…」
山西「…まあ、私からもスカウトだ外回りだと報告しておいたからそれは良いとして、だ」
米沢「何ですかな?」
山西「考えてもみたまえ。オーディション会場で彼の前で一体何百人の子供達が涙を流したと思う?」
米沢「…その場に私はいませんでしたからな。どうとは言えませんが…まあ、想像はつきます」
山西「…まあそれは置いといて、だ」
米沢「…今思うと、彼がスカウトなどするわけもありませんでしたな」
山西「…」
米沢「…む?」
山西「…その、まさかだよ」
米沢「…その、まさかですか…」
山西「…彼が、スカウトに出掛けたのだ」
米沢「…なんと」
山西「…警察を呼ばれなければいいのだがねえ…」
米沢「…流石に身元引き受け人はお任せ致しますよ…」
山西「…」
ちひろ「…」
ちひろ「(…どうして、部長はあの人の事をそんなに…)」
12 :
右京キタww
13 = 1 :
同日 PM14:20
「はーい!当日チケット売ってるよー!チケット持ってない人は買わなきゃ入れないよー!」
「…」
「おっ!?そこのお嬢ちゃん!…もしかしてチケット持ってないの?」
「…売り切れだったんだよぉ…」
「じゃあ買わなきゃ!ちなみに…どっちの席?」
「…でも、それ…アレでしょ?ダフ屋って…」
「堅いこと言わないでよー。こういうの、何処でもやってんだからさー…」
「…んー…」
「で?どっち?…あ、でもあれだ。そのユニフォームって…キャッツだよね?」
「…ん。そう」
「じゃあ良いのあるよ!何と1塁側最前列!」
「えっ!?」
「これまさに奇跡だよ!!このチケット買う為に今日ここに来たんだって!」
「…」
「だってチケット無いのに来たってことはさ、ある程度こういうのも期待してたんでしょ?」
「…くら…」
「ん?」
「…それ、いくら?」
「…んー…苦労したからなー…3でどう?」
「うぇっ!?3万!?」
「当たり前だよー!そりゃあこれ一番良いアングルで見られるんだから!」
「…んー…」
「もしかして手持ちじゃ足りない?」
「…足りないよー…」
「うーん…じゃあ2万5千!!」
「高いよー!」
右京「そういう問題ではないと思いますよ」
「!?」
「!?」
14 = 1 :
「…誰?お嬢ちゃんの知り合い?」
「…んー…知らない」
右京「僕が彼女の知り合いかどうかはともかく、転売目的でチケット類を公衆に対して発売する場所において購入すること。公衆の場で、チケット類を他者に転売することは迷惑防止条例で禁止されています」
「んぐっ…あ、アンタ警察か?」
右京「…いえ、警察ではなく。ただの通りすがりですよ」
「じゃ、じゃあ俺を捕まえる資格はねえよな?偉そうに説教垂れやがって…」
右京「ですが、警察を呼ぶことは僕でも彼女でも出来ますよ」
「なっ…」
右京「もし警察に捕まれば、10年以下の懲役または500万円以下の罰金。そのチケットを何枚売れば元が取れますかねぇ…まあ、売れないでしょうが」
「…チッ…なあ、オッさん」
右京「何でしょうか?」
「あんまゴチャゴチャ言ってっとなぁ…痛い目見んぞ!!」ダッ
右京「…」ヒョイ
「おわっ!?」ドタッ
右京「…」グイイッ
「い、いででででで!!わ、分かった!!分かった!!もうやめるから!!ダフ屋やめるから!!」
右京「もう遅いと思いますよぉ?」
「…えっ?」
警察「…」
「あっ…」
警察「申し訳ありません。少しお話を伺いたいのですが」
「…あー…」
右京「まだ彼女には売ってはいないようです」
警察「そうでしたか。犯人逮捕にご協力感謝致します!!」
右京「ええ。お仕事頑張ってください」
警察「はいっ!!…ほら行くぞ。立ってホラ」
「…ぁーぃ…」
右京「…」
「…」
15 = 1 :
右京「貴方、良かったですねぇ」
「えっ?」
右京「もしあの場でチケットを買っていたら、貴方も刑罰の対象になっていたかもしれませんよ?」
「え…えええっ!?アタシもなっちゃうの!?捕まっちゃうの!?」
右京「本来の正規のルートを通さずに買ってしまってますからねぇ…それに、犯罪を助長することにもなってしまいます」
「…ごめんなさい…」
右京「…しかし貴方、野球がお好きなんですねぇ」
「?うん!でもね…好きなのはやっぱりキャッツなんだ!!」
右京「ほー…キャッツ…ですか」
「うん!」
右京「いやはや…野球には疎いものでして。どういった球団なのか…名前しか知らないんですよ」
「えー!?知らないのー!?」
右京「ええ。本当、野球には疎いものでして…ですが、この湧き上がる歓声を聞いていると、どうにも興味が湧いてしまいますねぇ」
「…そうだなー…おじさんもキャッツのファンの一員になる?」
右京「ええ。是非」
「じゃあそこで一緒に観ようよ!あそこの店なら中継で観れるからさ!」
右京「おやおや…。貴方がよろしければ…」
「あ、アタシ姫川 友紀!おじさんは?」
右京「…杉下 右京と申します」
友紀「じゃあ右京さん!助けてもらったお礼も兼ねてガンガン!キャッツの事を教えちゃうからね!」
右京「ああ、それはどうもありがとうございます…ですが」
友紀「?」
右京「先程の後にこんな事をするのは人としてどうかと思うんですがねぇ?」スッ
16 :
右京さんの脳内再生率ヤバい
17 = 1 :
友紀「…?これ、名刺…」
右京「申し遅れました。僕は346プロダクションで働かせていただいているものです」
友紀「346?…346って…。あ!あの超大きいアイドル事務所!!」
右京「ご存知でしたか。…実はですねぇ?先程、僕は貴方に声をかけようと思っていたんですよ」
友紀「え…アタシに?」
右京「ええ。ですが偶然、先程のようになってしまった…ただそれだけだったんですよ」
友紀「…えっと…それ…もしかして…?」
右京「ええ。是非とも貴方に、346プロダクションでアイドルとして活動して欲しいんですよ」
友紀「…え…」
右京「…」
友紀「…ええええええええええ!!!?」
18 = 1 :
右京「何か…おかしかったですかねぇ?」
友紀「だ、だってだよ?アタシ…だって…あれぇ?」
右京「…そうですねぇ…ああ、僕という人間は、こういう時、言葉を発することがどうにも苦手でして…不便な性格です」
友紀「そ、そりゃそうだよ。褒めるところなんて…」
右京「ですが…こうして貴方と話していると、僕も何故か笑顔になるんですよ」
友紀「そ、そうかなぁ…」
右京「ええ。これは、何と言うのですかねぇ……ああ!癒しというものですかねぇ」
友紀「い、癒し…?だって、アタシってほら…うるさくない?」
右京「そうでしょうかねぇ…先程の青年にも、僕にも全く警戒心を出さず笑顔で接する貴方のその少年のよう純粋さ。僕はそこに惹かれたのかもしれませんねぇ」
友紀「え、ええと…と、とりあえず!あの、店に…い、行こうよ!試合始まっちゃう!」
右京「ええ。では一先ず、キャッツのお勉強をさせていただきます」
友紀「よ、よーし!ガンガン教えちゃうからねー!」
19 = 1 :
…。
友紀「あの時はさ、正直驚いたよね」
友紀「え?いや…普通さ、スカウトって…何か、名刺渡してはいさよならみたいな感じじゃないのかなって…」
友紀「でもさ、右京さんは違ったんだよね」
友紀「もう絶対アタシをアイドルにする気満々でさ…。その為なら2時間でも3時間でも10時間でも付き合ってやるって感じでね」
友紀「…今になってみると、ぜーんぶ、右京さんの掌の上だったのかなーって」
友紀「でもね?悪い気が一切しないんだよね…」
友紀「…何だろ…よく分かんないや」
友紀「だってさ、右京さんって、絶対人を悪く言ったりしないし、絶対に見捨てたりしないんだよね」
友紀「怒られたこともあるけど、それでも見限ったりするなんてこと絶対無かったよね」
友紀「…不思議な人…」
友紀「…だったよね」
…。
20 = 1 :
PM16:00
友紀「…あ!もうこんな時間!?」
右京「おやおや…。何か用がありましたか?」
友紀「う、ううん…。そのー…右京さんは、お仕事大丈夫なのかなーって…」
右京「そうですねぇ…ああ、確かにお仕事がありましたねぇ。…ですが貴方のお話と…」
友紀「…」
『キャッツ逆転大勝利ー!』
右京「試合が面白くてですねぇ…忘れてしまいました」
友紀「…」
右京「では、そうですねぇ…手短に、5分だけ」
友紀「…5分だけ?」
右京「ええ。来る来ないは別として、話せることは話しておきたいものですからねぇ」
友紀「う、うーん…」
右京「まず、何故僕が貴方を選んだか」
友紀「う、うん…」
右京「まず一つ。明るいところです」
友紀「明るい…」
右京「二つ。とても話しやすいところ」
友紀「…」
右京「そして三つ目。これは簡単です。…外見です」
友紀「…そ、そんな事言われてもー…」
右京「ただ外見だけでアイドルになれるのならば、こうして一緒に話をしたりはしません」
友紀「…」
右京「僕の見立てでは、貴方には天性の才能があるようです」
友紀「才能?」
右京「ええ。先程貴方がテレビ画面に向かって応援のコールを叫び出した途端、周りの方々も呼応するかのように応援を始めました」
友紀「…」
右京「君を中心として、輪が出来たんですよ。これを才能と言わずして何と呼びますかねぇ…」
友紀「…買い被りってことは?」
右京「僕、こう見えて、目には自信があるんですよ」
友紀「…」
右京「もし僕のお願いを聞いてくださるのでしたら、いつでもいらっしゃってください」
友紀「…いつでも?」
右京「ええ。明日でも、来週でも」
友紀「…」
右京「今からでも構いませんよ?」
友紀「…そ、それはまだちょっと早いかな…」
右京「ああ、これは失礼しました…どうにも羽目を外し過ぎたようです」
友紀「えっと…」
右京「それでは僕はこれで。…あ、お釣りはどうぞご自由に」
友紀「えっ?…あ、ちょっ…」
21 = 1 :
友紀「…行っちゃった…」
友紀「…えっと…」
友紀「…アタシが…」
友紀「アイドル…」
友紀「…」pi pi pi
友紀「…」prrr prrr prrr…
友紀「…あ、もしもし…お母さん?」
友紀「うん。久し振り…うん。元気にやってるよ」
友紀「うん。お父さんは?…相変わらず?良かった…」
友紀「…うん。いや、別に何かあったわけじゃな…んー…いや、あったけど…」
友紀「わ、悪いことじゃないよ。ただね…」
…。
友紀「うん…うん…」
友紀「…うん。…分かった」
友紀「うん。お母さんも。お父さんに宜しく伝えといて」
友紀「うん。…ありがと」pi
22 = 1 :
右京「…」ガチャ バタン
右京「…」ガラ
『日報』
右京「…」
『本日の仕事内容』
山西「杉下君、私だ。入るよ」コンコン
右京「どうぞ」
山西「失礼するよ」ガチャ
右京「お疲れ様です」
山西「ああお疲れ様。…で、どうだったね?初スカウトの成果はあったかね?」
右京「そうですねぇ…」
山西「まあ確かに安易にオーディションを開くより、自分の目で見て確かめた方が良い事もあるからねぇ」
右京「ええ」
山西「…ただ、そうだね…あまり時間をかけ過ぎるのも、後後困りかねないからね」
右京「はいぃ?」
山西「…少なくとも来月までには成果を上げろというのはあまりにも酷だ」
右京「…」
山西「何か困った事があったら気にせず言ってくれたまえよ?」
右京「…お心遣い、感謝します」
山西「それでは、お疲れ様」バタン
右京「ええ。お疲れ様でした」
右京「…」
右京「…」
山西『初スカウトの成果はあったかね?』
右京「…」
右京「僕は、どういった人間だったんですかねぇ…」
23 = 1 :
「…」
人生で、初めてだった。
「…」
確かに、今までの人生でナンパされたこともあった。
学生時代はそれなりに…青春だって経験してきた。
「…」
だけど、なんだろう。
あの人は、違う。
「…」
アタシに対して、何にもいやらしい目をしなかった。
熱心に勧誘していたけど、そこに無理強いはなかった。
…それもそうかも。
「…そもそもアイドルなんて、儲かるのかな…」
出来るとは思えない。
だからこそ、右京さんはアタシに無理強いをしなかった。
…それでも、絶対にアタシをアイドルにしたい。
そんな目だった。
「…」
…正直、どちらにするか、まだ迷ってる。
「…」
だからこそ、その答えを決めに来た。
…だから、今日。
今日の、右京さんの言葉を聞いて、決める事にした。
「…だけど…」
…。
……。
「…アタシって本当に、こんな所に呼ばれたのかなあ…?」
24 = 1 :
そこには、見る者を圧倒するような大きな城。
自分がこんな所で何のオーディションも受けずにアイドルになれるなんて、信じられない。
ピシッとしたスーツの…社員の人かどうかは分からないけど。
「…」
ふと、自分の身姿をたまたま停めてあった車の窓で確認する。
「…」
少なくとも、ここはアタシにはかなり不釣り合いなんじゃないかって、そう思う。
「…」
正門の前から中の様子を確認する。
「…あ!」
一瞬。
一瞬だけだけど、見えた。
「…あれって、城ヶ崎美嘉…だよね…」
…。
こんな所に、呼ばれたってこと…?
「ちょっと君!」
「えっ!?」
25 = 1 :
警備員「え、じゃないよ!ここは関係者以外立ち入り禁止!!それとも許可取ってんの!?」
友紀「え…あ…」
警備員「まー…よくいるんだけどね。君みたいにここからずーっと中の様子見ててさ。酷い奴なんかカメラ構えたりするんだからねぇ」
友紀「え、えっと…」
警備員「何?」
友紀「こ、これ…」
警備員「…え…これ…杉下係長の…」
友紀「は、はい…」
警備員「…うーん…じゃあ、ちょっと…待っててくれる?」
友紀「あ、はい…」
警備員「…あ、もしもしー。はい。杉下さんからの勧誘を受けたという方がー…はい。はい…」
友紀「…」
警備員「えっ?」
友紀「!」
警備員「…あー…はい。じゃあ、はい。お待ちしてますー…」
友紀「…?」
警備員「あのね?杉下係長に繋いだんだけど…ちょっと別の人が来るみたいだから」
友紀「…え、えっと…それって…?」
警備員「あ、違うんだよ!杉下さんに繋ごうとしたら別の人が会うからって総務課の方がね…?」
友紀「えっと…まだ、入ったら…ダメですか?」
警備員「うーん…ちょっとここで…」
友紀「は…はあ…」
…。
…気まずいなあ…。
26 = 1 :
その後、警備員と他愛のない話をしながら、やがてここに来るだろう右京さん以外の人を待っていた。
「…」
恐らくここの専属アイドルかな…。
あまりアイドルに詳しいわけではなかったから、誰かは分からない。
けど、例えそれか誰だとしても…。
「…?」
「…?」
「…?」
…。
まるで、捕まった子供を見るような目がアタシの精神を徐々に削っていく。
…。
誰でもいい。
この警備員さん以外の関係者なら、誰でもいいから話しかけて欲しい。
それならこんな風に見られることはないはずだから。
「多分もう少ししたら来ると思うから」
「…はあ…」
この寒空、なんたって警備員のおじいちゃんと一緒にいなきゃいけないんだろう…。
呼ばれたから来ただけなのに…。
「…」
…来たのは、アタシの意思、か…。
「…あのー…」
「!」
27 = 1 :
「…えっと…」
「貴方が杉下さんからスカウトを受けた方ですか?」
「は、はい…」
「…本当に?」
「あ、えっと…名刺…これ…」
「…は、はあ………あの人、本当に…」
「…?」
「…分かりました。でしたら案内致しますのでついてきて下さい!」
「…はあ…」
…。
何だろ…この人。
変わったスーツだなあ…。
「…あ、それと…」
「な、何ですか?」
「…杉下さん、変な事吹き込んでませんよね?」
「…?」
「ほら、ここの会社の愚痴とか、貴方…あ、お名前…」
「あ、姫川 友紀です…」
「姫川さんですね!私は…千川ちひろです!」
ちひろさんはそう言うと、名刺の代わりに胸の幼稚園児みたいな名札を強調してきた。
「じゃ、じゃあ、ちひろさんで!」
「はい!」
28 = 1 :
「…で、どうなんですか?」
「え?」
「ほら。さっきのお話です…」
ちひろさんは、どうやら杉下さんがアタシを勧誘してきたことがあまりにも珍しいみたいで、その背景をやけに詳しく聞いてきた。
「…え、えーと…特にそういうことは…寧ろ助けてもらったというか…」
「た、助けてもらった…?」
「はい。あのー…ドームで、野球の試合を見ようとしてたんですけど、チケット買えなくて…それでダフ屋に捕まっちゃって」
「あー…そこを…」
「そこを右京さんに助けてもらって…ちょっと怒られて」
「怒られた!?」
「あ!いや違うんですよ!?アタシそのダフ屋からチケット買いそうになっちゃってて…それも犯罪だぞって優しく諭されて…」
「…やっぱりあの人、苦手だなあ…」
「え?」
「…まあ、多分…杉下さんの所に行ったら…」
「…?」
「ちょっとだけ、いや…かなり現実を知ることになると思いますよ」
「…どういうこと…ですか?」
その煮え切らない態度。
何なんだろう、この人…。
仮にも杉下さんはこの会社の係長なのに、何だかアタシが杉下さんの誘いを断ることを期待してるみたいな感じ。
…アタシは、この人が苦手だなあ。
「…ええと、○階の…何処だっけ…」
それに上司のいる部屋なのにも関わらず、場所すら書類を見ないと分からないなんて。
「…」
アタシは自然と口数が少なくなっていった。
「あ、ここを右突き当たり…」
「…」
「…ここ、ですね。…なんせ、最近出来たばかりですからね…」
「…?」
「…私はここで。では詳しい事は正式に決まってから…」ペコ
「…どうも…」ペコ
29 = 1 :
…何だか、不自然過ぎる。
そもそも、杉下さんの仕事が忙しいからとか、そんな理由も聞いてない。
それに、道中の右京さんへの発言。
…まるで、煙たがってるような、そんな感じ。
…あんなあからさまに、そんな事…。
…だとしたら、考えられるのは…。
「…」
ここにいる、右京さんが、何かしらそういう原因を持ってるってこと…。
「…」
でも、あの人がそんな、女性社員に煙たがられるような事するわけがない。
…自信無いけどさ。
「…」コンコン
『はーい』
「あの…アタシ…」
『はい。存じ上げておりますよ』
「え?」
『どうぞ。お入り下さい』
「あ…うん…」
…。
30 = 1 :
…。
「…え…」
「どうも。お待ちしておりました」
…そこに広がるのは…いや。
「…」
…広がってない。
「どうかされましたか?」
「あ…えーと…」
…狭い。
5人も入ったら、満員になりそうなくらい狭い。
…つまり、圧倒的に狭い。
「…どうやら僕は、狭い空間に縁があるようでしてねぇ」
「?」
「いえ、こちらの話です」
…。
高そうなスーツに、サスペンダー。
奥に帽子と、トレンチコートがかけられてる…。
「…」
棚を見ると、ティーセット。その上は難しそうな本。
…ここが、アイドル事務所のプロジェクトルーム?
「外は寒かったでしょう。紅茶でも飲んでいって下さい」ゾボボボボボボボ
「え、あ…うん。………ん!?」
「どうかされましたか?」
「えーと…その淹れ方、何?」
「ンフフ…美味しくなるんですよぉ」
…。
31 = 1 :
右京「ああ、千川さんに…」
友紀「うん。何か案内するーって言ってた癖にここの扉の前でスーってさ」
右京「そうですねぇ…まあ、どうやら僕はそこまで評価の高い人間ではないようですからねぇ…」
友紀「…そうなの?」
右京「何をしたのか、全く見当もつかないんですがねぇ…」
友紀「…でも、右京さんが何かするなんて無いよ。無い無い!」
右京「そうだと思いたいのですがねぇ。いつ何処で恨みを買っているものか分からないものですから」
友紀「だって、アタシの事助けてくれたよ?」
右京「たまたまですよ」
友紀「…」
右京「…さて、今日ここに来てくださった。まずはそこにお礼を言わせて下さい」
友紀「あ、うん…」
右京「その様子だと、まだどちらにするかは決めてらっしゃらないようですからねぇ」
友紀「…アタシって、もしかして分かりやすい?」
右京「分かりやすいというよりは、素直だと思いますよ」
友紀「それ、分かりやすいって事だよ…」
右京「おやそれは失礼しました…」
友紀「…でも、ありがと」
右京「…そうですねぇ…」
友紀「…」
右京「ここの部屋を見る限り、大仰なアイドル活動が出来るかどうか…保証できないかもしれません」
友紀「…」
右京「だとしたら、どうでしょう?」
友紀「…」
右京「実は僕も、アイドルをプロデュースするという経験は浅いものでしてねぇ…」
友紀「え!?」
32 = 1 :
右京「ええ」
友紀「え…なのにスカウト…?」
右京「ええ」
友紀「えええ…?」
右京「ですから、牛歩戦術でゆっくりじっくりと見極めていこうと思っている次第です」
友紀「ぎ、ぎゅうほ…?」
右京「ですから、そんなすぐにデビューという訳にはいかないかもしれませんねぇ」
友紀「う、うーん…」
右京「…ですが」
友紀「?」
右京「僕は、君が辞めると言わない以上、何があっても前に進ませます」
友紀「…」
右京「勿論嫌なこともあるでしょう。辛い事も多い筈です」
友紀「…」
右京「ですから、無理強いはしません」
友紀「…アタシに、任せるってこと?」
右京「ええ」
友紀「…あんまり、熱心な感じじゃないね」
右京「貴方の人生ですからねぇ」
友紀「…ねえ」
右京「はい」
友紀「あのさ、その…『貴方』っていうの、やめてよ」
右京「はいぃ?」
友紀「だってさ、それこれからやっていきたいって相手にかける言葉じゃないよ?」
右京「そうですかねぇ…」
友紀「そうだよ!せめて名前で呼ぶとか、貴方じゃなくて、…うーん…」
右京「…そうですねぇ…なら、姫川君。これでどうでしょう?」
友紀「…何か男扱いみたいだよぉ…」
右京「ああ、これはこれは…申し訳ありません。僕、昔からこうでしてねぇ…ええ。僕の、悪い癖…」
友紀「…」
33 = 1 :
友紀「…あのね…」
右京「ええ」
友紀「この間、右京さんに勧誘された後さ、アタシ親に電話したんだよね」
右京「ああ、それはそれは…」
友紀「…それでね、言われたんだ」
右京「それは、何と?」
友紀「…好きにすればいいって」
右京「…ほお…」
友紀「…でもそれって、別に放任とかじゃないんだよね」
右京「…と、言いますと?」
友紀「人生って、一回しか無いからって。だから好きにしてもいいけど、後悔だけはするなって」
右京「…なるほど」
友紀「…だから、これだけは質問させて?」
右京「何でしょう?」
友紀「アタシ、これからどんなアイドルになるの?」
右京「…そうですねぇ…」
友紀「…」
右京「…これは、僕の提案なんですがねぇ?…チアガールのようなものはどうでしょう?」
友紀「…チアガール…」
右京「ええ。この間の貴方の店の中で起こしたちょっとした出来事。僕はあれがとても印象的でしてねぇ…」
友紀「あの、応援のこと…?」
右京「ええ!まさに。貴方には人を元気付け、力を湧き上がらせる才能があるんですよ!」
友紀「…」
右京「ですから、その才能を生かした仕事をしませんか?」
友紀「…アタシの、才能…」
右京「ええ。是非」
友紀「…」
右京「…」
友紀「…やっぱり、無理だよ」
右京「おやおや。…ちなみに、何か理由がおありでしたか?」
友紀「…」
34 = 1 :
高校時代を思い返す。
「…」
野球部の、マネージャー時代。
「…」
アタシのマネージャーとしての仕事は、色々あった。
球を磨いたり、足りない物を発注したり、練習試合のプログラムを組んだり。
部員のユニフォームを洗濯したり、書類を作ったり。
…でも、アタシが一番頑張っていたのは、部員のケア。
応援してもダメな時はダメで、その時は励ましたり、一緒に悲しんだり。
「…」
でも、あの時。
あの時の事は、今でも鮮明に記憶に残ってる。
「…」
高校生活、最後の夏。
対戦相手に全く歯が立たなくて、そのまま大差をつけて負けてしまった時。
アタシが出来ることと言えば、部員を頑張って励ますことくらいだった。
「…」
…けれど。
35 = 1 :
『…畜生…』
『…これで俺らの野球人生終わりかよ…』
…。
で、でもみんな頑張ってたよ!
『…頑張って、この結果なんだよ』
で…でも…。
『…』
す、凄くかっこ良かった!アタシにとっては凄くかっこ良かったんだよ!
『…は?』
…えっ…?
『大差つけられて、負けて…それがかっこ良かった?』
…そ、そんなつもりじゃ…。
『そりゃ、お前は後ろで見てるだけだもんな』
え…。
『それでも何年も一緒にいてさ、そんな言葉かけるか?こんな時に」
…。
『…もういいよ。どうせ終わりだしさ』
…。
『…だけど、せめて最後くらいは空気読んでほしかったけどな』
!?
『…じゃ、お疲れ…』
…そ、そんな…。
アタシ…そんなつもりじゃ…。
…違う、のに…。
36 = 1 :
友紀「…それでさ、アタシその事がトラウマで、逃げるみたいな感じで東京に来たんだ」
右京「…」
友紀「…かっこ悪いでしょ?」
右京「…そうでしたか。そのような背景があるにも関わらず、申し訳ありません」
友紀「ううん。気にしないで」
右京「…ですが尚更、僕は君をプロデュースしてみたい」
友紀「えっ…」
右京「そんな気持ちになりましたねぇ」
友紀「…だ、だって…アタシ…」
右京「…」
友紀「アタシ…みんなの気持ちも考えずに…無責任なこと言って、怒らせて…それで…逃げて…」
右京「…ならば、その秘密を抱えたまま、君はその人生を全うしますか?」
友紀「…」
右京「君の罪は、部員の皆さんのプライドを傷つけてしまったこと」
友紀「…うん」
右京「ならば、その罪と向き合うべきです。その罪の意識をしっかりと持ち続けるべきです」
友紀「…罪の、意識…」
右京「ええ。その後の人生が大きく変わるはずですよ」
友紀「…」
右京「それに、罪という秘密を抱えたままで、本当の幸せを手にすることなど、僕には出来ないと思うんですがねぇ」
友紀「…」
右京「今一度、向き合ってみませんか?…自分の罪と」
友紀「…アタシの、罪と…」
右京「きっと、見えてくるはずです。これからの人生が」
友紀「…本当に?」
右京「ええ。きっと」
友紀「…本当の本当に?」
右京「ええ」
友紀「…信じて、いいの?」
右京「ええ」
友紀「…」
右京「…」
友紀「…なら、約束」
右京「何でしょう?」
友紀「…アタシの人生、ちゃんと幸せにしてね?」
右京「ええ。勿論」
友紀「…じゃあ、これから…ン゛ン゛!」
右京「…?」
友紀「…よろしく!!右京さん!!」
右京「ええ。よろしくお願いします」
37 = 1 :
…。
友紀「何でだろうね。今思えばこれ、愛の告白みたい」
友紀「うえっ!?さ、流石に無いよ!っていうか向こうもそう思ってるよ!」
友紀「だって考えてみなよ…。少なくとも年齢差30以上あるんだよ?」
友紀「これ、絶対無理だって。世間的に」
友紀「アタシ達の中ではマシって…そんなこと言ったらキリないじゃん!」
友紀「もー…」
友紀「…でも、楽しかったね…」
友紀「…まあ、そうだけど…」
友紀「まあ、ね…」
友紀「…もう、いないんだよね…」
…。
38 = 1 :
山西「聞いたかい!米沢君!」
米沢「…ええ。耳にはしております」
山西「いやあ…これを機に、彼の評価が変わればいいんだがねぇ」
ちひろ「…あの…」
米沢「おや千川さん。どうかされましたかな?」
ちひろ「ええ。その…彼って…」
米沢「ああ、杉下係長ですな。貴方が案内した姫川さんという方が正式に彼のプロジェクトでデビューすることが…」
ちひろ「…えっ!?」
米沢「?」
山西「あの杉下君が…ついに本格的にプロデュースを始めるんだ。私達も全力でバックアップしようじゃないか」
米沢「そうですな…。ああ、千川さんは彼女と少し話したそうで」
ちひろ「え、は、はい…」
米沢「どうでしたかな?彼女は…今までのアイドル達と比べて…」
ちひろ「そ、そこまでは…」
山西「うむ…まあ、彼が自分で選んだんだ。それなりの実力が無ければこんな事にはならんだろう」
米沢「そうですなぁ…まあ、しばらくは見守っていくとしますかな」
山西「うむ…」
ちひろ「…」
ちひろ「(どうして…)」
ちひろ「(今までの人だったら、こんな事あり得なかった…)」
ちひろ「(…あの人の下に着いて、良いことなんか殆ど無いのに…)」
ちひろ「(…でも、まさか…違う?)」
ちひろ「(今度は…違うというの…?)」
39 = 12 :
右京「行きましょう、陣か…姫川君!」
友紀「?」
40 = 1 :
翌日
友紀「おはよー!」
右京「おはようございます」
友紀「…ん?これ、何?」
右京「それですか?ええ…前の職場で、使っていたんですよ。出退勤時に掛け直してくれると助かります」
友紀「ふーん…じゃあ…よい…しょっと!」カタン
『杉下右京』
『姫川友紀』
右京「では…まず昨日渡した書類ですが…」
友紀「ん!書けたよ右京さん!」
右京「ありがとうございます。…おや、元気な字ですねぇ…」
友紀「これからアイドルとしてやってくんだから。これくらい大袈裟な方がアタシらしいかなって!」
右京「良い心がけです。…ところで、君。お腹は空いていませんか?」
友紀「あ…うん。実は…朝ご飯抜いてきちゃって…」
右京「おやおや。それはいけませんねぇ…」
友紀「だってほら…身体測定とか…体重…」
右京「成る程…ですがこういう時に最も大事なことがあります」
友紀「?」
右京「それは、変に飾らないことです」
友紀「飾らないこと…?」
右京「ええ。付け焼き刃程度の努力など、すぐにダメになりますからねぇ」
友紀「う…気にしだしたら余計に…」グウウウウ
右京「おやおや。…でしたら、君の好きな物を食べに行くとしましょう。何でもというわけにはいきませんがねぇ」
『AM9:00』
友紀「あー…でも、リクエストしていいんだよね?」
右京「ええ。何が良いですか?」
友紀「じゃあ、揚げ物と、お肉にピザと…」
右京「……困りましたねぇ……」
第一話 終
41 = 1 :
書けたら続き投下します
色々むちゃくちゃだと思いますので生温かい目で見てもらえたら良いと思います
42 :
期待
でも今西じゃなくて山西なの? 相棒の方に山西ってキャラがいるのか?
43 :
おつ!
続き期待してます
44 = 1 :
>>42
うわああああ
山西部長にしちゃってるうううう
恥ずかしいいいいい
本当にありがとうございます
山西×
今西○
今西部長に訂正します
いきなりやらかしてすいません
45 :
このSSでは、友紀が右京さんの「相棒」扱いでいいのかな?
要するに、薫、尊、カイト、冠城は出てこないってことで
46 = 12 :
相棒とかこだわらずにおそらく右京単体でPとして動かして行くものだと思われ。いつもの5人組の作者だし残りの4人もアイドルとしてスカウトするんじゃない?
47 = 42 :
>>44
単なる書き間違いだったのね、納得
いつもの五人組って20代四人と永遠の17歳の人か! ますます楽しみ
48 = 12 :
ヒマか?のおっさん山西じゃなかっけ?と思ったら役者さんの名前だったw
ドラマでは角田係長だな
49 :
薫つながりで薫ちゃんにせんせぇと呼ばれてる右京さんを想像したらかなり和んだ
50 :
ボクの先生は~フィーバー♪
みんなの評価 : ☆
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