元スレ佐天「ベクトルを操る能力?」
SS+覧 / PC版 /みんなの評価 : ★★
552 = 1 :
あの後、黄泉川のマンションまで引き返してくると、一方通行の部屋に通された。
番外個体はリビングにいる打ち止めの様子を見に行ったようだ。
佐天「どういうことか説明してもらえますか?」
開口一番、佐天は一方通行にそう尋ねた。
分からないことはたくさんある。
自分とそっくりな少女のこと。
彼女が何者か知っている様子だった一方通行。
そして、それに関係していると思われる番外個体。
どれも1つに結びついているような気がする。
佐天「何か知ってるんですよね?」
一方「……あァ」
一方通行は難しい顔をすると、佐天から視線をそらす。
真実を話すべきかどうか迷っているらしい。
知ってしまえば、闇の世界に足を踏み入れることになってしまう可能性も高い。
誰も彼も御坂美琴のように、光の世界で踏みとどまれるとは限らないのだ。
一方「聞いちまったら引き返せねェかもしンねェぞ?」
それでも聞きたいか? と暗に問う。
知らなかったなら話す必要はなかった。
だが、もう知ってしまったのだ。
クローニングされた本人が知りたいのならば、黙っている訳にもいかないだろう。
佐天「それでも、何も知らないままじゃいられないです」
そんな脅しをかけるような一方通行の問いに、佐天涙子は迷わず返答した。
アレには、自分が関わっているのだ。
目をそらすことは簡単だが、それではレベルアッパー事件のときから何も変わっていないことになってしまう。
553 = 1 :
一方「いいンだな? 真実を知って、元の世界に戻れるとは限らねェぞ?」
佐天「……それでもです。私のせいで誰か傷つくのはもう嫌なんです」
一方通行が光の世界の住人を傷つけたくないように。
結局、佐天涙子に能力の使い方を教えたのは間違っていたのだろうか?
そんなことをしていなければ、完全反射などと呼ばれるクローンに会うこともなかっただろうし、そもそも一方通行という人物にも会わずに済んだ。
関わることによって、さらに危険性を上げてしまっただけではないのか、という疑念が一方通行の頭の中に渦巻く。
佐天「いいえ、後悔なんてしてません。能力が使えなかったら、もっと危険なことになっていたかもしれませんよ?」
一方「……そォか」
確かにそうだ。
一方通行が、佐天を保護しないからと言って、学園都市が黙っているとは限らないのだ。
下手をしたら、クローンも生み出され、佐天まで生命の危機に陥っていたかもしれない。
それなら、本人を守ることができた代わりに、あのクローンができてしまったと考えるべきだろう。
どちらにしろ、自分と同じ能力を得てしまったことで、佐天の運命も決まってしまっていたのだ。
そこまで来ているなら話すしかないだろう。
力を付けて学園都市から身を守る力を得るか、学園都市の計画そのものを潰さなければならないのだから。
一方「アイツはオマエの複製体、つまりクローンだ」
佐天「そう……ですよね」
戦闘中にあれだけクローンという言葉が飛び交っていたのだ。
あのときは、冷静になって考えることもできずにいたが、今になって考えれば理解できる。
あれは佐天涙子自身。
何から何まで自分と同じ人間なのだ。
映画などでよく見るシチュエーションだったが、まさか自分がその実体験をするとは思わなかった。
あのクローンは、本人との入れ替わりなどを画策したりするのだろうか?
そんな不安が佐天の脳裏をかすめた。
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一方「それはねェから安心しろ」
佐天「え?」
どうやら考えていたことが口に出ていたらしい。
一方通行は言葉を続ける。
一方「クローンってのは、肉体的には確かに一緒かもしンねェが、中身はまったくの別物だ」
佐天「そうなんですか?」
番外個体「そうだよ」
佐天「……番外個体さん?」
いつの間にか、番外個体が佐天の後ろ側に立っていた。
リビングに行ったのではなかったのだろうか?
しかし、今はそんなことより聞かなければならないことがある。
佐天「……なんでそう言い切れるんですか?」
番外個体「だって、ミサカもお姉様のクローンだもん」
佐天「!?」
一方「…………」
頭をハンマーで殴られたような衝撃を受けた。
クローン?
番外個体さんが?
彼女の言う『お姉様』というのは、御坂美琴に間違いない。
つまり、自分より先にもクローンの計画というものがあったということになる。
しかも、知り合いである『御坂美琴』という人物を中心として。
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佐天「そ、そんなこと御坂さんは一言も……」
一方「よく考えてみろ。オマエは自分のクローンがいるなンて他の人間に言ったりするか?」
初春を相手に想像してみる。
どのようにクローンがいると初春に説明すればいいだろうか?
いや、説明できない。
そもそも、するべきではない。
自分だけではなく、初春まで巻き込んでしまう恐れがある。
佐天「そ、それじゃあ……」
一方「あァ。御坂美琴のクローン計画は実在した。打ち止めもそォだ」
番外個体「他にもいっぱいいるけどねー☆」
頭がクラクラしてくる。
しかし、それならば、なぜ自分が?
御坂美琴はレベル5だから、クローンを作るのにも一応説明はつく。
彼女のクローンなら、相当の力を持っていると考えてもおかしくはない。
だが、自分にはそこまでの強い力を持っていない。
ならば、なぜ?
一方「俺と同じ能力だからだろォな」
佐天「え?」
全ての元凶は、佐天涙子ではなく一方通行。
これは、学園都市最強の超能力者が存在することによって巻き起こされた騒動の1つなのだ。
佐天が選ばれたのは、同じ能力を持っていたから。
ただそれだけだった。
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一方「オマエも運がねェな。俺と同じ能力だったばっかりによォ?」
番外個体「でもさ、それならなんでアナタのクローンじゃないの?」
佐天「そ、そうですよ」
そこが腑に落ちない。
なぜ一方通行のクローンを作成せずに、佐天涙子のクローンを作ったのか。
そこには何か理由があるはずだ。
一方通行には、その理由に心当たりがあるのだろうか?
一方「推測だがな。アイツらの目的は“原点超え”なンだよ。オリジナルを超えることが目標なンだろ」
オリジナルから劣化したものしか作れないとされているクローニング技術。
そこから、オリジナルを超えるクローンを作り出すという計画。
体細胞は劣化しても、それを能力で補えれば、結果としてオリジナルよりも価値があると言えるのではないか?
おそらく、計画発案者はそう考えたのではないか、というのが一方通行の推測だった。
佐天「そんな……」
番外個体「なるほどねえ」
一方通行「今度はこっちが質問する番だ」
佐天「え?」
一方「オマエに聞きたいことは1つ。自分のDNAを提供した覚えはあンのか?」
いくらクローニング技術が進歩しても、元がなければ作成することはできない。
その最初の1歩には、必ず佐天が関わっているはずなのだ。
そうでなければ、“完全反射”などという個体は生まれていない。
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佐天「い、いえ、ありません」
一方「髪の毛1本、血の1滴でもありゃ十分なンだ。能力を得てからのことを思い出せ」
佐天「え? 血の1滴……?」
それなら、心当たりはある。
能力が発覚した次の日に血液検査をやった。
それ以外には考えられない。
一方「なるほど。オマエは知らずにDNAマップを提供してたって訳か」
佐天「は、はい……」
よし。
それで聞きたいことは全部聞き終わった。
それなら、書庫(バンク)に正式に登録されていることはないだろう。
そちらは研究所ごと潰してしまえば問題ない。
あとは……。
一方通行は、今度は番外個体の方に視線を向けた。
一方「次はオマエの番だ。“原点超えシリーズ”に関して知ってることを全部話せ」
番外個体「別にいいケド。でも、大した情報はないと思うよ? 計画の目的も知らなかったぐらいだし」
一方「オマエが製造された研究所くれェは知ってンだろ?」
番外個体「知ってるよ? でも、まだノコノコとそこにいるとは思えないんだけど」
それでもいい。
なにか手がかりになるようなものがあれば、それで十分だ。
1つあれば、芋づる式に手がかりが引っこ抜けるはずである。
問題は、あの“完全反射”という佐天涙子のクローンだけだ。
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佐天「何か作戦はあるんですか?」
一方「あン? 俺を誰だと思ってンですかァ?」
番外個体「白いモヤシでしょ? あひゃひゃひゃひゃ」
一方通行には、完全反射の弱点を既に分析できていた。
なぜあの時気が付かなかったのか、というほど単純な作戦である。
であるが故に気がつかなかったのかもしれないが。
一方「でもまァ、さすがに何体もでてこられると厄介な相手かもしンねェな」
一方通行1人では、1対1を相手にする作戦しか取れないのだ。
数によっては、相手を無力化する前にこちらのタイムオーバーが先にやってきてしまう。
番外個体「その心配はしないでもいいと思うけどね~」
一方「なンだと?」
気楽そうに番外個体が言う。
ということは、あの完全反射1人を相手すればいいということになる。
しかし、なぜそんなことを知っているのだろうか?
番外個体「簡単な話。クローンを作るより簡単で時間がかからないのに、一気に戦力増強できる研究が進められてるからね」
代わりにお金はすごくかかるから研究費はほとんどそっちに持っていかれちゃったんだけど、と番外個体が付け足す。
クローン技術による能力者生産よりも効率的な研究。
そんなものがあるのだろうか?
559 = 1 :
答えを知ってしまえば、明快なことである。
その研究とは、駆動鎧(パワードスーツ)を始めとする『兵器の開発』だった。
兵器であれば、ある程度反乱も制御でき、能力者でなくとも扱える。
それこそ、簡単に戦力が強化できるのだ。
ファイブオーバーを始めとするオーバーテクノロジー満載の兵器相手では、多少強化したクローンなど相手にならない。
そう。
“完全反射”という例外を除けば。
一方「つまり、アイツはクローン推進派の尖兵って訳か」
番外個体「だろうね」
そういうことなら、1度戦闘をしただけで引き返したことにも説明がつく。
本当に、“完全反射”は戦いに来ただけなのだ。
あくまで、戦闘データの収集が目的だった。
つまり、一方通行や佐天涙子の殺害や拉致を目的としていた訳ではないことになる。
たしかに、あれだけの成果が出れば、兵器開発に傾いた天秤を戻すことができるかもしれない。
当初の目的であるオリジナル超えも達成させるとは、なかなか凄い研究者がそこにいたものである。
佐天「でも、そんなのって……」
そんなことのために、あの子は生み出されたのだろうか?
だったら、あまりにも寂しすぎる。
誰かのつまらない利益のためだけに生み出されたなんて。
番外個体「ま、その辺はミサカも似たようなもんだけどね」
佐天「え?」
一方「とにかく、今日の話はこれでお終いだ。オマエらはさっさと寝ろ」
佐天「はい?」
えっと、私も?
いきなり話を打ち切られたことよりも、そんなことが気なった佐天涙子であった。
560 = 1 :
打ち止めは口調がメンドクサイので出番カット。
次回、「佐天、完全反射に遭遇」の巻。お楽しみに。
あ、完全反射の弱点は気づいても、心の中に閉まっておいてください。
561 :
木原神拳かそげぶパンチですねわかります。
562 :
こら、閉まっておいてって言われたばかりでしょ!
乙
お、お泊りだと…!?wwktk
563 :
>>561
[ピーーー]
564 :
乙。お泊りということは当然佐天さんと打ち止めの入浴描写が・・・
565 :
ここまでのあらすじは
一方さんが佐天さんの膜を開発してたら、膜を開発済みの佐天さんが登場。
膜を開発済みの佐天さんと出会ったことで一方さんは佐天さんの攻略法を思い付き、膜を開発中の佐天さんは一方さん宅に泊まって行くことに……。
って感じか。 続きを期待して待ってる。
566 :
>>565 つまねーこと書くなしね
568 :
せっかく面白いのに糞みたいな考察するやつ多すぎるんだよ。考察厨絶滅しろ
569 :
膜を開発中の佐天さんは一方さん宅に泊まって行くことに……
これ言いたかっただけちゃうんか
570 :
>>567
お粗末なモノマネですね
571 :
>>567
糞にわかちくしょう
572 :
>>567
しかもageやがって……
574 :
>>567
クソが
575 :
俺も佐天さんの膜を破りたいです。
576 :
番外個体の膜は俺のもんな
577 = 564 :
>>575
ごめんなさい。もう俺がいただきました。
いってみたかったんですごめんなさてんさん
578 :
乙です。
白いモヤシ笑った
579 :
>>567の人気に嫉妬
580 :
何だ1体だけか。
ルイコ20000号とか出てくるかと思ってたのに。
581 :
クローン推進vsファイヴオーバー推進
って構造が出来てるって訳ね
582 :
>>580
変体ルイコ……
583 :
完全反射の弱点……
愛情を向けられたら愛情を返しちゃうことですね!
一方通行×完全反射とか完全に俺得
584 :
反射の弱点?
誰か野原くん呼んできて!!
585 :
>>581
完全反射がファイヴオーバーに搭乗したら
一方さん以外には絶対負けないよな、上条さん機械相手には無力だし…
586 :
>>585
確かに…
まぁ上条さんなら説教でなんとかしちゃいそうだけど
587 :
反射って体の外にある膜に触れると返されるらしいけど、内側から当たったものはどうなるんだろうか?
皮膚から出た汗とかは膜にあたって肌に反射されるのか?
588 :
>>587
それだったらトイレとかどうなんだよ
自分から出た物は反射しないように設定してるんだろ
589 :
>>587
それだと呼吸も出来ないぞ
590 :
追いついた…
おいパンツ脱いでんだまだか
591 = 582 :
>>590
風邪、引くなよ……
592 :
パンツは脱いだといっているが全裸とは言っていない
大丈夫だろう
593 :
>>592
パンツ脱いだらネクタイと靴下残るしな
594 :
最近の寒かったり暑かったりだから気をつけろよ。
595 :
お願いですから上条だけはでてこないでください。それまで面白い作品でもでてくるだけでとたんにつまらなくなってしまいます。どうかよろしくお願いします
596 :
>>595
概ね同意だがお前の価値観を作者に押し付けんなよ。
597 :
特定のキャラクターのアンチはやめたほうがいいですよ、とミサカは嗜めます
自分の嗜好に合わないのであれば読む事を止めればいいだけなのでは?、とミサカは提案いたします
598 :
>>595
過去作みる限り困ったときの上条する作者じゃないみたいだし大丈夫じゃないの? それよりageんな
599 :
全部作者に任せて気に入らなかったら静かにスレを閉じる。それでいいだろ
600 :
そして俺は舞う
みんなの評価 : ★★
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